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【漫画家リレー小説】新生 えなりの奇妙な冒険 第二部

1 :作者の都合により名無しです:2008/05/25(日) 19:32:43 ID:ovI0mTI80
○このスレッドは漫画家リレー小説『えなりの奇妙な冒険』のリニューアル(リセット)版である!
○ただし内容に関連性はないため、旧版を読む必要はない!
前スレttp://anime3.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1182416885/からの続き、いくぜ!!


○リレー小説は割り込み上等!文章の質も基本的に問わない!!
 「この先こうなったら面白い」「あの漫画家に活躍してほしい」などと思ったら自分で書いてみよう!!

○無計画な規模の拡大による空中分解を防ぐための特殊ルール『人数制限』について!
 ・登場漫画家は60人まで(一般兵などの雑魚キャラは除く)
 ・漫画家の登場、退場(死亡、自主退場など)を書かれた方は、作品の最後に
  登場人数、退場人数、残り人数を書く
 ・定員以上の漫画家を出したいときは、誰かの退場まで待つこと。但し、
  出したいからといって瞬殺はNG。納得のいく退場描写を心掛けるべし
 ・書きたいキャラがいたら早い者勝ち

○その他読み手書き手の守るべきルールというかマナーを以下に記す!
 ・ストーリーの流れは把握すること
 ・メインは漫画家。漫画のキャラは出さない
 ・誤字脱字の訂正は最小限に抑える
 ・細かい設定、言葉遣いの失敗には優しく対応
  書き手も人間、失敗はあるもの
 ・指摘は優しく。罵倒と助言は違う
 ・リレー小説に割り込みは付き物。割り込まれても怒ったりせず、それに合わせて話を考えるように

2 :作者の都合により名無しです:2008/05/25(日) 19:34:54 ID:ovI0mTI80
★前回までのあらすじ(可能なら前スレを読んでおくことをお奨めします)
漫画家が自作の能力を持つ、この世界とよく似ているがここではないどこかの世界。
この物語は、そこに生きる漫画家達の生き様を描いた一大叙事詩であ……ったらいいなという願望。

かつて矢吹健太朗が世界を牛耳らんとして起こした大戦は、漫画界の自由闊達な発展を願う
勇気ある漫画家達の活躍により、矢吹の敗北という形で幕を閉じた。

矢吹大戦の直後、『鬼畜・劣情・勝利』を旨とする秋田書店が小学館との間に戦争を起こす。
この戦争は数に勝る小学館の勝利に終わり、秋田書店は屈辱的な講和条約を結ばされることとなる。
それに反発する一部過激派勢力がゲリラ化、それらの掃討を進める小学館と散発的な戦闘を繰り返している。

21世紀初頭、CLAMPや赤松健を始めとする講談社の幹部連が突如として乱心、
少女漫画界への侵攻と武内直子の拉致、敵対者や不賛同者の洗脳など蛮行を繰り返す。
どうやら目的は洗脳装置を用いた精神支配による『ノアの洪水』を起こすことらしいが、これですら真実であるという確証はない。

彼らの手を逃れた少女漫画家であるPEACH-PITや竹本泉達は高い戦闘能力を持つ少年漫画家達に助けを求め、
来るべき戦いに備えようとしている。

それと同時期、秋田書店の車田正美と板垣恵介が集英社(週刊ジャンプ)を急襲、多数の漫画家が重傷を負ったとされるが被害の全容は不明。
またこれに便乗する形で講談社の真島を始めとする一団が秋田書店を装って集英社を襲撃、現在も戦闘中である。

これら大きな動きの他にも、国会議事堂での荒木&皆川対CLAMPや山中での留美子&椎名対藤田など各地で小規模な戦闘が頻発しており、
これから事態は一層混迷の度を増すと思われる。

3 :集英社:2008/05/25(日) 19:35:47 ID:ovI0mTI80
・荒木飛呂彦 【ジョジョの奇妙な冒険】【SBR】
皆川を追ってCLAMPの隠れ家を襲う。
大川緋芭およびいがらし寒月と戦闘、これを破る。
なお、スタンドの切り替えに一分程度かかるらしい。

・皆川亮二 【PEACE MAKER】 【ARMS】
皆川“ピースメーカー”亮二。
PEACH-PITを襲ったCLAMPに急襲を掛ける。
中国拳法やARMSを使う。
現在猫井椿と戦闘中。

・大暮維人 【天井天下】【エア・ギア】
皆川と荒木にPEACH-PITの一件を伝えた後、ウルトラジャンプ編集部にいたが
秋田書店(正体は講談社)の襲撃に対して防衛任務に就く。
現在は久保帯人と戦闘に入りそうな気配。

・尾田栄一郎 【ONE PIECE】
・岸本斉史 【NARUTO】
車田に襲われ重傷。

・冨樫義博 【幽☆遊☆白書】【HUNTER×HUNTER】
休載を超えた休載漫画家。
CLAMPに拉致された妻の武内を救出しようとした折りに福地と知り合う。
東を拘束後、小学館の浦沢と共に集英社へ向かう。

・柴田ヨクサル【ハチワンダイバー】【エアマスター】
三浦と共に板垣と戦闘中。
板垣の猛攻により重傷を負っているが、起死回生の策があるとかないとか。

4 :集英社:2008/05/25(日) 19:36:19 ID:ovI0mTI80
・鳥山明 【ドラゴンボール】
・和月伸宏 【るろうに剣心 −明治剣客浪漫譚−】【武装錬金】
冨樫と共に集英社へ行き、岸本から事の顛末を聞く。
その後許斐と車田の戦闘があった廃ビルに向かう。

・許斐剛 【テニスの王子様】
COOLなテニス漫画家。
車田を相手に互角以上の戦いをするが、幻術?により敗北。
どうやら戦闘の余波で集英社を破壊させられたようだ。
車田を追撃し戦闘になるも、どうやら敗れたらしい(明言はされていないが)。
現在は生と死の間にてドン引きしたり突っ込みを入れたりしている。

・本宮ひろ志 【風のJIN】【サラリーマン金太郎】
・猿渡哲也 【TOUGH】【傷だらけの仁清】
 集英社で雑談中。

・岡本倫 【エルフェンリート】【ノノノノ】
襲撃してきた星野を殺害。眠りについていた?


5 :小学館 :2008/05/25(日) 19:37:39 ID:ovI0mTI80
・椎名高志 【絶対可憐チルドレン】【GS美神 極楽大作戦!!】
超能力者で霊能力者だが煩悩の塊。
留美子と協力?して藤田を倒す。

・高橋留美子 【犬夜叉】【らんま1/2】
サンデーの重鎮。巫女さん→ビキニアーマーで美人で巨乳。椎名のセクハラに悩まされている?
講談社に操られた藤田和日郎と戦闘、これを破り正気に戻す。
このスレのオリジナル技『るーみっく・わーるど』を持つ。
・浦沢直樹 【20世紀少年】【MONSTER】
小学館ビッグコミックスピリッツ支部長にして小学館屈指の策士。
青山とちょっとした?遺恨あり。
冨樫に連れられて集英社へやってきた。

・雷句誠【金色のガッシュ!!】
小学館を襲った秋田書店(正体は講談社)の軍団と戦闘中。どうやら病み上がりらしい。

・藤田和日郎 【月光条例】【うしおととら】
サンデー屈指の実力者。
講談社に単身?戦いを挑むが敗北、洗脳されて留美子と椎名を襲う。
留美子に洗脳を解かれ、彼女らの仲間に復帰した。

6 :講談社:2008/05/25(日) 19:39:16 ID:ovI0mTI80
・大川緋芭
・猫井椿
・もこな
・いがらし寒月 【ツバサ−RESERVoir CHRoNiCLE】【ちょびっツ】
四人でCLAMP。
人類の行く末を憂い、洗脳装置を使ったマインドコントロールによる『ノアの洪水』を起こそうとしている。
そのために必要な『銀水晶』を持つ武内直子を誘拐。
大川といがらしは荒木飛呂彦と戦闘するも敗北。大川は生死不明。
猫井は皆川亮二と戦闘中。
もこなは国会議事堂地下の隠れ家にて待機。

・赤松健 【魔法先生ネギま!】
CLAMPに時間跳躍弾を渡したり福地にえなりの居場所を教えるなど暗躍。
集英社襲撃に参加している。

・光永康則 【怪物王女】
安西を自らの血で蘇生させる。
その研究所を出るが目的等は不明。

・真島ヒロ 【FAIRY TAIL】【モンスターハンターオラージュ】
パクリ四天王の一角。
安西を唆した後、久保や星野と共に集英社を襲撃する。
ファンタジー作家のはずが何故かヤンキーっぽい。

・久米田康治 【さよなら絶望先生】
科学者。洗脳装置などを作っている。
有能なのだが些細なことで絶望するダウナー系。

7 :作者の都合により名無しです:2008/05/26(月) 09:34:56 ID:undu7jrI0
・(畑健次郎)
久米田康治の弟子であり執事。結構かわいい男の子。

・(安西信行)
藤田の弟子。(元)パクリ四天王の一角。
秋田のゲリラに殺されるが、光永の血で蘇る。
真島に唆され、小学館への復讐を誓う。……のだが決心ぐらつき気味?

・(久保帯人)
集英社を裏切り、講談社に所属。
集英社襲撃に同行し、大暮と戦闘に入りそうな気配。

・(川下水希)
集英社を裏切り、講談社に所属。
久保&星野と共に矢吹健太朗を誘拐し、洗脳する。小悪魔。

・(矢吹健太朗)
(元)パクリ四天王の一角。
かつてパクリ漫画家として世界を支配しようとしたが、敗北。
その後作画担当としてラブコメを描くまともな漫画家になった。
久保たちに拉致され、河下に洗脳されて集英社襲撃に参加。
現在集英社にて岡本と対面中。

・藤真拓哉
赤松の弟子。
星野とさいふうめいを殺害後、福本を暗殺しようとするが福地達に阻まれる。

・小林尽
・瀬尾公冶
・寺嶋裕二
・篠原知宏
講談社の作家。

8 :作者の都合により名無しです:2008/05/26(月) 09:35:40 ID:undu7jrI0
☆秋田書店

・車田正美
秋田書店の命で集英社を襲撃後、福本伸行の暗殺に向かう。
一度不覚をとったため配下の岡田と由利に任せ、
自身は追撃してきた許斐と戦闘。どうやら勝利したらしい(明言されてはいない)。

・板垣恵介
秋田書店筆頭。かなりの戦闘狂。
現在柴田ヨクサル、三浦健太郎と戦闘中。

・山本賢治
秋田書店元過激派幹部。
小学館勢力に拷問、暴行を受け瀕死の重傷を負ったところをヤマグチノボルに召喚される。
その後ヤマグチを食べて回復、みなもと悠と共にアライブでラブコメしていたが変態扱いされて仕置きされた。本当はド変態。

・佐藤健悦
山本の弟子。小学館に襲われ、死亡。
現在『生と死の狭間』にて光原、吉富、高橋(葉)、許斐らと共に状況を説明したりしながらのんびりしている。
重症のマゾヒストな上非常にかわいい男の娘。

9 :作者の都合により名無しです:2008/05/26(月) 09:37:54 ID:undu7jrI0
・青山広美
・山根和俊
いろいろあって秋田書店に流れてきた。
情報収集などを行っている。
車田&板垣による集英社襲撃の事後処理難航中。

・岡田芽武
車田の舎弟。
獅子の黄金聖衣を身につけており、それから車田の力を得ているらしい。
由利より強いらしいが、PEACH-PITに敗北。

・由利聡
車田の舎弟。
木刀(聖剣?)を持っており、それから車田の力を得ているらしい。
車田の命を受け福本を襲撃するが、福地、東、藤真らの乱入のため失敗。
ちなみに岡田より弱いようだ。

・余湖裕輝
100人いる。
肉弾戦と治癒力には自信のあるウルフガイ。
満月時には人狼化し能力が上がるが、なにぶん見た目化け物なので目立つ。

10 :作者の都合により名無しです:2008/05/26(月) 09:39:29 ID:undu7jrI0
☆えなりと仲間たち

・えなり
本編の(名目上の)主人公。玲奈と共に数少ない漫画家でない登場人物。
ロックバンド『えなりん』のボーカルをつとめているが、売り上げ不振により借金地獄に陥る。
福本伸行に唆され麻雀をやっていたら車田、岡田、由利に襲われた。
PEACH-PIT、福地、東の助けもあり辛くもこれを撃退、集英社に向かおうとしている。

・福本伸行
何をたくらんでいるのかえなりを『仕事』に誘う。
それとは別に星野、さいふうめいと麻雀勝負中、車田の襲撃を受ける。
また講談社にも狙われているが、理由は不明。

・えばら渋子
・千道万里
二人合わせてPEACH-PIT。
武内直子の依頼によりえなりに会い、CLAMPの野望を阻むため戦う。
車田正美配下の岡田芽武を下した後、福本その他と合流。
ヤングジャンプに移籍したコネから集英社の協力を仰ごうとしているようだ。

・福地翼
打ち切り同然の境遇にいたときに冨樫と会い、行動を共にする。
東を拘束後、赤松の言に従いえなりに会いに行く。
その後対由利・藤真戦を経てえなりたちの仲間に加わった模様。

・東まゆみ
元は矢吹の秘書をしていたが、なぜか『エンジェル部隊』の部隊長になっていた。
冨樫と福地の襲撃を受けて捕獲され、赤松に解雇宣告される。
他人と同契(リアクト)することで武器に変身する種族エディルレイドであり、えなりと同契する。

11 :作者の都合により名無しです:2008/05/26(月) 09:42:10 ID:undu7jrI0
☆その他・無所属・不明

・武内直子
重要そうなアイテム『銀水晶』を持っている。
CLAMPに拉致され、昏睡中。


・高橋葉介
・光原伸
・吉富昭二
生と死の間にて佐藤と許斐を案内(?)中。

・三浦健太郎
ヨクサルと協力して板垣と戦闘中。
板垣の猛攻を受け、戦闘不能?

・玲奈
えなりの姉でジャーナリスト。
武内誘拐事件を探っていたが、講談社に捕まる。
CLAMPの企みを知り、阻止しようとしている。……はずなのだが何やら久米田達と仲良くしている。

・安彦良和
『神』に戦いを挑むも敗れ、死亡する。
と思ったらそれは平行世界での出来事だったらしい。
こちらの世界では今のところ平和に暮らしている。

・長谷川裕一
安彦が『神』と戦い、敗北した平行世界に登場。
地球へ奇跡的な生還を果たしたところを竹本に召喚?される。
情報収集という名目でコミックとDVDを40万円ほど衝動買いしてしまった。

12 :作者の都合により名無しです:2008/05/26(月) 10:17:19 ID:undu7jrI0
☆退場者

・ヤマグチ・カナリア・グリーングリーン・ストライクウィッチ・ノボル
絵師を使い魔として召喚しようとしたら何の間違いか山本を召喚してしまう。
その後山賢に食べられてしまった。合掌。

・竹本泉
自称少女漫画家。
平行世界移動+平行世界の一部入れ替え(ただしほぼ制御不能)が出来、長谷川裕一を召喚する。
退場したのはマイナーだとか使いづらいとかいった大人の事情らしい。たぶんまだ山中の家で漫画を書いているだろう。

・西条真二
戦後処理の一環として秋田書店から小学館に移籍するが、
「小学館の漫画家達にゴリラと将棋打たせるわ
麻薬入りのスープや勃起と鼻血が止まらなくなる料理食わせるわ
好き勝手して挙句の果てにロリ孕ませて年表書いて逃亡」した。

・高橋ヒロシ
戦後処理の一環として秋田書店から小学館に移籍するが、
「移籍早々サンデーに殴り込んでそこの漫画家に
片っ端から喧嘩売って、一日で半分近くの漫画家を血みどろの
ボコボコにした挙句、予告も無しに逃亡」した。

・星野泰視
・さいふうめい
福本と麻雀勝負をしていたが、車田の襲撃で勝負は中断。
その後藤真に殺害される。

・みなもと悠
秋田書店月刊チャンピオン恋愛部門担当にして現アライブ恋愛部門臨時担当。らしい。
山本をボコった後ラブコメ状態に入ったが、結局山本のセクハラにキレて退場。

13 :作者の都合により名無しです:2008/05/26(月) 10:18:35 ID:undu7jrI0
・星野桂
集英社を裏切り、講談社に所属。
集英社襲撃に同行していたが岡本に殺害される。

現在の人数:60/60


★オリジナル設定

・エンジェル部隊
講談社に心酔する同人漫画家をサイボーグ化した実働隊。
早い話が兵士A,Bである。

・るーみっく・わーるど
高橋留美子の能力。
特殊な力場を展開し、その中に自分の漫画のルールを適用させる。
さまざまな行動が適用された漫画内における制限を受けると考えてもらえばいい。
例えば『うる星やつら』や『らんま1/2』使用時に爆発を受けてもダメージにならない、など。

14 :作者の都合により名無しです:2008/05/26(月) 10:50:38 ID:undu7jrI0
テンプレここまで。
それでは始めい!

15 :鳥山&和月+留美子&椎名&藤田:2008/05/28(水) 14:09:33 ID:zzA1IzgZ0
「いやー、悪い悪い。ホントはもうちょっと威力を抑えるつもりだったけど
 車田のヤツの事考えてたら、オラつい力が入り過ぎちまって…」
鳥山がいつもの調子で喋りながら超上空から降りてきた。

和月はさっきまで文句の一つでも言ってやろうと思っていたが、
鳥山のいつも通りのその様子を見て、何か馬鹿馬鹿しくなって止めた。

「もういいよ、鳥山先生。それよりさっきの話の続きなんだが。」
和月が「ヘルメスドライブ」を再び展開しながら鳥山へ話しかける。
「何だ?」
「先程の反応はそっくりそのまま健在なんだ。」
「車田!あのヤ」
「落ち着け鳥山先生!」
鳥山が激昂して再び穴へ衝撃波を叩き込む前に和月が口を挟んだ。

「落ち着いてくれ、鳥山先生。あと話は最後まで聞いてくれ。」
「…あ、ああ。すまねぇな和月。」
思った以上にカッとなりがちな先生と一緒だと話が進まねぇ、と和月は思った。


そしてそのころ小学館の三人だが
「…小学館はPEACH-PITに手を出すな。この件は集英社が処理する、との通達です。」
「何ですって!」
「マジ…いや、本当か椎名ァ!」
椎名の受けた通信の内容に留美子と藤田の二人が驚愕していた。
「…それで、その他には何て?」
眉を顰めながら、留美子が椎名へ尋ねる。
それに対して椎名は留美子よりさらに眉間の皺を深くして吐き捨てた。

「…近日、他社からの大規模な襲撃が予想される為、小学館は一時的に
 一ツ橋グループの一員として集英社の命令系統下に入る事になった。
 俺達は一度小学館本社へ戻り集英社からの命令があるまで待機、と。」

16 :作者の都合により名無しです:2008/05/28(水) 14:32:16 ID:zzA1IzgZ0
その言葉を聞くや否や、藤田が傍にあったビル屋上によくある
ジャンプの巨大看板を殴り倒した。


一方集英社近くの路地裏では柴田ヨクサルが

「 い゙ だ が ぎ い゙ い゙ い゙ !」

涙と鼻水と涎と血を吐き散らし、眼前の巨凶の名を

「 い゙ だ が ぎ い゙ い゙ い゙ い゙ い゙!」

かの地上最強の生物、板垣恵介の名を叫び

「 い゙ だ が ぎ い゙ い゙ い゙ い゙ い゙ い゙ !」

声の限り叫びながら猛然とその巨凶へ向かって駆け出した。
その無様にも壮絶な様を見て板垣は笑みを消した。

17 :作者の都合により名無しです:2008/05/28(水) 15:03:07 ID:3H6TUDuu0
さっそくキターー!!

18 :名誉回復:2008/05/29(木) 06:43:10 ID:BnTObuS10
「う…おおおおっ!!」
数十本の剣が同時に突き出されるような猫井のラッシュを、皆川がナイフで受け止める。
そのまま拳が戻るのに合わせてナイフを突き出したが、これは素早く飛び退いて避けられた。
ともかく勢いに乗り一気に追撃する。と見せかけて一旦間をおき、ちょうど猫井が動き出すタイミングに合わせて今度こそ本当の攻撃、箭疾歩を繰り出す。
だが猫井の選んだ技が悪かったかそれとも彼女の技量が皆川の読みを上回ったのか、
既に動きだしていた体が素早く回転して皆川の拳を避け、さらにその回転を利して後ろ回し蹴りを放ってきた。――

議事堂入口付近での戦闘は見た目こそ上空でのそれより地味だったが、驚嘆すべき技の応酬が間断なく繰り広げられていた。
惜しむらくはこの戦いを見届ける観客がいないこと、そして私にこれを描写し得る技量がないことであろう。
故に今一度、目に見える変化が生ずる瞬間まで場面を送ることをお許し願いたい。

……猫井も皆川も、各々の理由により激しい焦燥にとらわれていた。
猫井はここで下手を打てば計画に多大な支障を来しかねない相手との戦いであることを直感し、
皆川は単なる誘拐あるいは未遂事件だと思っていたものの奥に潜む邪悪な影の存在を薄々とだが感じていた。
さらに共通して先刻の光と熱が自分の仲間に害を与えたものではないかという疑念がある。
とはいえ二人の思いは一つ。
どちらかが倒れなければならない。

先に動いたのは、猫井だった。
だが、普通の人間には動いたとはわからなかっただろう。
それほど高速の刺突だった。
時の止まった世界で放られたナイフのように、一瞬のうちに剣先が皆川の左胸に迫っていた。
しかも、ただの、レイピアではなかった。
刀身は一面霜に覆われ、周囲を雹と霰が舞っている。『氷の刃』だ。
かすっただけでも凍傷は確実、直撃したなら腕だろうと足だろうと、心臓までも凍り付いてしまうだろう。

19 :名誉回復:2008/05/29(木) 06:43:57 ID:BnTObuS10
皆川はそれを視て、避けた。前に。右手のナイフで。
『水の心』。近接戦闘時における、皆川亮二の基本にして奥義。
意識を集中し、自らを見ることで相手の動き考えを読む。怒りからも憎しみからも解き放たれた『心の自由』を旨とする概念である。
さすがに素手で受け流すわけにはいかぬ細身剣を超振動ナイフで受け、高い熱伝導性故に瞬時に凍り付いたそれを手放して猫井の懐に潜り込む。
そして、
「七月先生……技を借ります!! まあ俺もKYOでバーチャをちらっと描いてるってことで、どうか一つ!」
「まずい!これはまさか…!」
「「八極拳……」」
会心と痛恨、二つの声音が同じ語を口にした直後。猛烈な震脚が大地を揺らし、木の葉を散らせ、地表の雨水が再び宙に浮いた。

「裡門、」
剣を受けた右手をそのまま流れるように後方へ引いて、攻撃を逸らすと同時に肘撃ちを入れる。
「頂肘!!!!」
猫井には、爆弾を水月に叩きつけられたとしか思えなかった。
「が……はァッ!」
X0キログラムの体がゴム弾のように吹き飛び、木立に飛び込んで雨露と青葉の雨を降らす。
皆川の位置からでは姿は見えないが、おそらくもう戦うことはできまい。

と、普通の人間なら、いや漫画家でも思うのだろうが、彼等ほどの達人ともなれば、残念ながら借り物の技程度では倒れない。
「……どうしたの?追撃してこないの?チャンスのはずよ。」
先ほど受けたであろうダメージからは想像できないほどしっかりとした猫井の声が響き、
「はっ、よく言うぜ。俺が調子に乗って飛び込んできたら、さっきのレーザーで反撃するつもりだったんだろうが。」
返す皆川も驚いた様子は見られない。両手に炎のようなものを掲げ、猫井の出方をうかがっている。
「…そうね、当たりよ。でも、わかったところでどうするの?ライト・オブ・ソウルはカウンター専用技じゃあないのよ。さっきの何とかウサギはもう一回使えるのかしら?」
そう言いながら猫井は腰を落とし、ライトオブソウルの構えに入っている。
対する皆川の手は炎を纏い、そこだけが真夏の早朝であるかと錯覚するような白煙を振りまいていた。
「やっぱり無理みたいね。……それにしても、そんな炎で私と打ち合えるはずがないってことぐらい、わかりそうなもんだけど。」
哄笑する猫井だが、皆川はうろたえるでも馬鹿にするでもなく、変わらず澄んだ光と燃え上がる闘志を湛えたまま真っ直ぐに猫井を睨んでいる。否、見つめている。

20 :名誉回復:2008/05/29(木) 06:44:18 ID:BnTObuS10
「……嫌な目ね。よっぽど自信があるの?レーザーに炎で、しかもこんな雨の日に勝てるとでも……思ってるのかしら!?」
不快感と不安感を振り払うように猫井が叫び、剣を上空高く放り投げた。その行為が意味するところは明白だ。
時間が不自然にゆっくりと流れる。雨粒一つ一つの落ちる音が聞こえるほど、両人の感覚と精神が研ぎ澄まされていく。
空中の剣が上昇を止め、寸毫の時間空に留まったのち、地に向かい始めた。
猫井の全身が発光し、純白の破壊が今にも溢れ出さんとする。
皆川の両手が発火し、触れる雨粒を乳白色の霧に変える。
剣が次第に速度を増しながらその瞬間へのカウントを進め、どこか上空で鉄の塊が何かにぶつかる音がした。
室内灯の煌々と灯るビルディングすらも息を潜め、やがて訪れる激突の瞬間を畏れている。
いまや互いのエネルギーは臨界点に達し、弾薬庫の留め金はすぐにも弾け飛びそうだ。

そして、まったく突然に停滞していた時間が激流となって流れ出た。
雨音は捕らえられぬ雑音となり、風は渦を巻いて荒れ狂い、立ち木は戦くように騒ぎ立てた。
しかし、外界の喧騒が彼らの目に入ることも、耳を騒がすこともなかった。
修羅場に匹敵する極限状態にある漫画家としては、それは当然のことであるが。
剣が突き立ったのは、偶然か必然か二人のちょうど中間だった。
二人が動いたのは、まったく同時だった。
だが、光と炎では速さが違った。
炎が皆川の手を離れるのとまったく同時に、猫井の光条は標的に着弾していた。
そして猫井の視界が色と形とに抽象化されたそれから、通常のものに戻っていた。
もはや外界の情報を精神集中を乱すものとして遮断する必要はないからである。

そのとき猫井が見たものは、一面の白だった。
純白、乳白、灰白、その他あらゆる白色があった。
困惑しつつ視野を広げると、眼前の白は立ち込める霧であり、それは降り続く雨に急速に薄れていこうとしていたのだとわかった。
だが、なぜそんなものがあるのか。そう思い目を凝らすと、その中で何かが蠢くのが感じられた。
「まさか……」
そう彼女がつぶやくより早く、霧の帳から飛び出てきた皆川亮二が彼女に向けて蹴りを繰り出してきていた。
「まさか!あの火は私を攻撃するためじゃなく、ライト・オブ・ソウルを防ぐために!?
そんな馬鹿な!!ありえない!!!」
だが、いかに信じがたいことであろうとも皆川がほぼ無傷であるという事実、猫井が今や狩られる側であるという現実は揺るぎない。

21 :名誉回復:2008/05/29(木) 06:44:40 ID:BnTObuS10
――どの漫画家にも、『得意な演出』『お気に入りの表現』というものがある。
通常それらはそれぞれ物語の中に組み込まれ、独立した存在でしかない。
だが、一回々々は単体であっても、その漫画家の全作品を(あるいは主要なものだけでも)俯瞰したならば、必ず『似た展開』『お得意の表現』が見つかるはずだ。
そして、漫画家の中でそれらは時と共に蓄積されてゆき、やがて名を持たないが確かに存在する『技』へと昇華する。
皆川にとって、『水蒸気でレーザーを無効化』はその最たるものだ。
あえて完全な敵役の能力である発火能力を使ったのも、今の環境と相手の性質から半ば無意識に選択したためだ。

「長かったぜ……。いい、戦いだった。心からそう思うよ。」
皆川が誰に言うともなくそう呟く。
「だがよ、これで終わりにしようや。」
皆川の体がバネのようにねじれ、右足が急な角度で上昇する。
「……そうね、いい戦いだったわ。」
猫井がそこまで言葉を紡いだとき、皆川渾身のハイキックが彼女の頭部に炸裂していた。
「でも……一つだけ、間違ってるわ。……」
見開き二ページに相当するキックを受けて倒れようとしながら、なおも猫井は語る。
「……これは終わりなんかじゃない…これは……」
皆川も蹴りを繰り出した姿勢のまま、彼女の言葉に耳を傾けていた。
「……始まり……よ………。」
そう言い残し、猫井椿もまた、地に倒れ伏した。

22 :名誉回復:2008/05/29(木) 07:34:34 ID:BnTObuS10
雨は、ようやく収まってきたようだ。これなら朝までには止むだろう。
国会議事堂は、先刻までの戦闘が全て幻想であったように静まり返っている。
だが、それが夢でも幻でもないことは、横たわる三人の女性と、それを見下ろす二人の男性の存在が雄弁に物語っている。
「やれやれ……。まさかCLAMP達と戦うことになるとは。つい数時間前までは想像することもなかったのにな。」
口を開いたのは荒木飛呂彦。
「そりゃあ俺だって同じだよ。だがまあ、勝ててよかったぜ。」
それに応えたのは皆川亮二。共にウルトラジャンプ所属の二人である。
「ああ、まったくだ。正直、戦うのはあの時以来で少々不安だったけれどもね。」
「ははは。……それじゃあ、本題に入るか。」
「うん。何故彼女らがPEACH-PITを襲ったのか、それを聞き出さなくてはこの戦いの意味が……」

みしり、と音がした。
倒れた三人の方に歩き出そうとしていた荒木が、慌てて飛び退いた。
『そうですね、荒木先生。本題はあくまでPEACH-PIT。私たちとの戦いは、あくまで成り行き上のことに過ぎない。』
地底から女性の声が響いてきた。
いや、地底ではない。これはもう地下……すでに、地表だ。
声の主はクラブなんかに鎮座していそうな巨大スピーカー。見れば地下からコードの類が延びている。
「これは……そうか、CLAMP最後の一人……」
そう荒木が言ったのと、森そのものが発芽するように大量のコード、そして電子機器が地面を割って現れたのはほぼ同時だった。
「噂に聞いたことがあるぜ……。CLAMPにコンピュータの達人がいるって話はよ。
そうだ、あの時もこんな化け物の血管みてえな電線に埋もれてたっけなあ。」
「僕は何度か会ったこともあるが……それが君の声かい?もこな君。」
二人の声に、今度は別のスピーカーが応えた。
『ええ、そうです。お久しぶりですね、荒木先生、それに皆川君。…すいませんね、どうもモニタ越しでないと……。
それはそうと、お二人ともやはり大したものですねえ。まさか猫井さんもいがらしさんも、大川さんまで負けてしまうなんて思いませんでしたよ。』

23 :名誉回復:2008/05/29(木) 07:34:57 ID:BnTObuS10
慇懃無礼ぎりぎり、セーフでも感情を逆撫でしかねないもこなの声。
「お世辞は結構だ。で?次はお前が俺達の相手をしてくれるのかい?」
荒木と比してやや激情家な皆川がいらつきを隠しきれない声でそれに応える(ついでに銃をスピーカーに向けて)。
『いいえ。大川さん達が勝てなかった相手に私が何かできるものでもありませんし。
それにですね、私はこういうときのためにここで待機していたのですよ。あなた達、今回の件の事情を聞き出したいのでしょう?』
「その通りだ。別に僕としては教えてくれるなら君でも構わないんだけどね。」
『無理ですよ荒木先生。あなたの「隠者の紫」は電子機器操作が専門というわけではないでしょう?この分野でだけは荒木先生、私の方があなたより上手だわ。
まあそれはそれとしてですね。あなた達のウルトラジャンプには結構イカレた人たちが集まってるじゃないですか。
さすがにそんな変態どもの巣窟に女性を放り込むわけにはいきませんから。』
確かにUJには大暮、木城を始め六道、萩原、うたたねなどアレな人材が揃っている。餓狼の群に雌鹿を投げ込むようなものだ。
『ですから、大川さん達は救出させてもらいます。』

「なにっ!?」
皆川が振り返ると、三人が倒れていたはずのところは小山のように折り重なったコードで埋め尽くされている。
もこなと話している間に展開されたものであるらしい。
「しまった……!!」
『では荒木先生、皆川さん。もう夜も遅いですし、このあたりで解散といたしましょう。
ああ、そうそう。このまま帰るとまた付け狙われそうですし、私たちに一応勝ったご褒美ということで、教えておきましょう。』
『一応』という語が二人に疑問を抱かせたが、気付いていないのか知っていて言ったのか、構わずもこなは喋り続ける。
『あの二人は、私たちが目指す「漫画界の浄化」にとって最大の敵。だから今の内に倒しておこうとしたのです。結局逃げられてしまいましたけどね。』
「漫画界の浄化……?」
『それについてはまだ話せません。ごめんなさいね、皆川君。
ああ、それともう一つ。「漫画界の浄化」のため、私たちは「力」を手に入れました。
今夜はまだ十分に足りていなかったから使えなかったけれど、いずれお目に掛けられると思います。……あなた方の決定的な敗北とともに、ね。』
そこまで言い終えると回線が一方的に切られ、機械の山は砂地に水が染み込むように消えていってしまった。

「ちっ、言いたいことだけ言って逃げちまいやがった。……この地下をぶち抜いたら連中がいるかな?」
「まあ落ち着け。恐らくもう遠くへ行っているだろう。それよりも、さっき聞いた情報をもう一度確認してみよう。」
また激昂する皆川を荒木がたしなめる。

24 :名誉回復:2008/05/29(木) 07:35:49 ID:BnTObuS10
「つっても量としては大した情報じゃねえんだよな。
えーっと、あいつらは『漫画界の浄化』とやらをしようとしてて、PEACH-PITはそれをするのに邪魔だから消そうとした、でも逃げられた……ってわけだな。」
「ああ。それにそのための『力』を手に入れたとも言っていた。
しかし……『漫画界の浄化』ねえ……。」
渋面を作る荒木に、皆川も頷く。
「そんなもん、どうせろくな『浄化』じゃないに決まってるさ。阻んでやってもどっからも文句は出ないだろうよ。」
「だな。じゃあ、これからどうする?僕はどうにも何かが起こりそうな予感がするんだ。」
「やっぱり、あんたもそう思うか?俺もだよ。
だから、いっぺん古巣のサンデーに行ってみようと思うんだがな。」
「なるほど、それはいい考えだな。なら僕も、UJの皆に伝えたあとで週刊の方に行こう。」
「決まりだな。こうなりゃ善は急げ、だ。俺は行くぜ。」
「ああ。一段落着いたら、またUJで合おう。」

こうして、議事堂での戦闘は終わった。
謎のままに残された事柄も多いし、これは単なる予兆に過ぎないのではないかという強迫めいた予感もあるが、とにかく一つの戦いが終わったのだ。
荒木と皆川がふと空を見上げると、雨雲の切れ間に春の星が瞬いていた。


――二人の囚人が鉄格子の窓から外を眺めたとさ。
   一人は泥を見た。一人は星を見た。(フレデリック・ラングブリッジ『不滅の詩』)

25 :名誉回復:2008/05/29(木) 07:43:18 ID:BnTObuS10
・皆川亮二:初登場・01/12/27
        初勝利・08/5/29
 思えば旧版ではいろいろ不遇なお人だったなあ。
 鳥山と一緒に福本に隔離、ガンガンチームに理不尽な敗北、寺沢と睨み合ったまま放置etc...
・というかいつまで書いてんだって話だ。他の戦いほとんど終わって新展開に入ってるよ。
 ここでエース戦とか思い出した俺はもう駄目だ。
・ピースメーカー面白いよ。

26 :作者の都合により名無しです:2008/05/30(金) 22:09:25 ID:NV3g/F/m0
乙。これでUJ軍団にひとまずケリがついて他とクロス出来るようになった訳ね。
…こうして見ると、何気にUJって濃いメンツが多いんだなぁ。

27 :ヨクサル&三浦vs板垣:2008/06/01(日) 11:56:56 ID:ADbPPjnA0
「 い゙ だ が ぎ い゙ い゙ い゙ い゙ い゙ い゙ !」
涙と鼻水と涎と血を吐き散らし、遮二無二突撃してくる「エアマスター」ヨクサルを
三浦はそのへし曲がり歪んだ甲冑の隙間から、絶望的な思いで見ていた。

…あの様子だと身体各部の損傷は思った以上に酷いようだ。
最早アイツの全身のバネを活かした打撃は望むべきも無い。
駄目だ、ヨクサル。来るな。奴は、板垣は…!

一方板垣はヨクサルをごく冷静に分析していた。

…頭蓋骨骨折及び脳挫傷、鼻骨骨折、第7歯から第4歯欠損
第1歯及び第2歯欠損、頚椎捻挫、左鎖骨不完全骨折…
これで…半分ってところか。怪我としちゃ大した事は無いが、
あのルチャ野郎は全身のバネを使った打撃以外は話にならん。
ならこの特攻は…後ろのチャンバラ野郎が回復するまでの
時間稼ぎかそれとも陽動か…どちらにせよ潰すだけだ。

最初に動いたのは三浦だった。
右手の指と両膝を砕かれて、かの大剣を振るえない三浦が選んだ
攻撃手段は左腕義手のボウガンだった。

…大砲だとこの距離では発射するまでの隙が大きすぎる。
それではヨクサルの特攻に間に合わない。駄目だ。
威力は期待出来ないが、仕方無い。援護射撃程度には…!

三浦はとっさに板垣の頚椎を狙い、ボウガンを放った。
この類のバケモノにはそこ以外は分厚い筋肉に阻まれて効果が無い、
とこれまでの経験を踏まえて咄嗟に判断したからだ。

28 :ヨクサル&三浦vs板垣:2008/06/01(日) 12:22:52 ID:ADbPPjnA0
その矢を板垣は振り向きもせずに左手で易々と掴み取り
手中で素早く半回転させると三浦へ投げ返してきた。

甲冑の隙間、右目を目掛けて板垣から放たれたその矢を
義手で咄嗟に受けながら三浦はヨクサルの方を見た。
今までの僅かな時間でヨクサルは間合いをかなり詰めている
あと一歩でまず板垣の間合いに入る位置だ。

行くかヨクサル?あの地獄へ、板垣の間合いへと踏み込んで?
三浦の思いを他所に、何の躊躇も無くヨクサルは間合いに入った。

現在の人数:60/60

29 :作者の都合により名無しです:2008/06/01(日) 19:15:31 ID:AoHa3u550
こっちも佳境に入ってきたな。どっちが勝つやら。
というか序盤から荒木だの板垣だの鳥山だの留美子だの豪華すぎてちょっと怖いんですけど先生方。

UJはなんか本当に凄い面子が揃ってる。
まあ今の連載陣にUJ出身が一人しかいないってのはどうかと思うけどな!

ときに皆川の裡門頂肘のときの台詞なんだけど、これってまさか七月鏡一がバーチャファイターの漫画を描いてたってこと……じゃないよな。

30 :マスクス(仮面劇):2008/06/04(水) 07:55:56 ID:GtOAXjOs0
襲撃者達は既に内部へ突入し、集英社入口に動くものの姿は見えない。
ただ大暮の犠牲となった『エンジェル部隊』の屍が階段に散在しているのと、矢吹の砕いた外壁から砂埃が立ちのぼっているだけだ。
と、その砂埃の中から影が現れた。言うまでもなく、矢吹に奇襲?を受けた大暮維人である。
それに呼応するように、大暮の方を向いて彫像のように立っていた男、久保帯人も動いた。
「ようやく起きたか、下衆野郎め。」
和風の黒衣を纏った久保が、包丁を巨大化させたような奇妙な刀を突き付けながら口を開く。
同時に大暮が立ち上がり、腕をやや曲げて手前に突き出し重心を落とす構えをとった。矢吹の重力張り手の影響など少しも感じさせない、しっかりした姿勢だ。

が、いきなりそれを崩して外向的狂気の宿った眼で久保を睨み付けた。
「おちおち午睡を取るわけにもいかねえ状況のようなんでな。
しかし、下衆とは言ってくれるじゃねえか、この似非オサレ野郎がよお!!」
街でたむろする不良に凄腕の拳法家を足して、それから三ぐらいで割って足りないところに伝奇的なものを加えたような凶悪な視線と姿勢で中指を突き立てている。
もう久保がどうしてここにいるのかなどどうでもいいらしい。
久保もかなり頭に来た様子で、刀を正眼に構え直した。
「ああ、言ってやったさ、下衆野郎ってな。お望みならもう一辺言ってやろうか?
だが、あんたもだいぶ口が悪いねえ。……似非たあ言ってくれるじゃねえか、大暮さんよ。
俺がニセモンだってんなら、本物はどこにいるってんだ?ああ!?」
大暮のそれに比べれば幾分押さえられているが、久保もだいぶ少年ジャンプの域から駄目な方向にはみ出してそうな目つきをしている。

「決まってんだろ……。今てめえの目の前にいる男こそが、オサレ演出と少年誌的ハッタリの最終到達地点だ!!!」
まさに台詞そのもので台詞を体現するかのように、膨大な闘気の奔流とともに大暮が再び中国拳法風の構えをとった。
「面白れえ……!!見せてもらおうじゃねえか、てめえの魂を!!!」
久保もまた自身の闘志を高め、可視化した霊圧が黒い翼を形作る。
そして、

「ダブルインパクト大暮」
「久保帯人」

大暮が腕を十字に組み、久保が刀を横一文字に振り抜いてそれぞれの名乗りを上げる。

「推 (おして) 参 (まいる)」
「てめーを倒す男だ!よろしく!!」

31 :マスクス(仮面劇):2008/06/04(水) 07:56:29 ID:GtOAXjOs0
大物ばっかりだとさすがに疲れるんで、しばらく繋ぎに専念しようと思ったり思わなかったり。
久保や大暮はさすがに看板だけあって動かしやすい。いざとなったら技名叫ばせるだけでもなんとかなるしね!
でもブリーチはDSのゲームしかやったことないんだ。ごめんよ久保。

32 :許斐とスットコドッコイな変態達:2008/06/04(水) 10:13:12 ID:DJachGmV0
前回のあらすじ
高橋:…以下が退場作家達だ。
許斐:待てオラァァァァァ!

・許斐剛…………予定

許斐:ハッ!

  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  ゴ  

許斐:嘘だろ高橋(葉)先生?
高橋:ああ、嘘だ。
光原:でも…おマヌケさんは見つかったようね。
許斐:( ゚д゚) !?
吉富:…二人ともあまり人をからかって遊ぶなよ。
高橋:来たか、吉富。あの娘は?
サトケン:………ゴフッ。
吉富:まだ意識は戻って無い。少しやり過ぎちゃったからね。
    まあ、放っておけばきっちり回復するからいいんだけど。
    あ、もう先程よりは変態じゃないから近づいても大丈夫。
高橋:分かった。
光原:それにしても難儀よね、この娘って。…ここまで性的に
    倒置しちゃうってどれ程酷い仕打ちを受けていたのかしら。
吉富:まあ、代〇ニに通って、山本賢治と松山せいじに弟子入り、
    デビューしてからは秋田書店一筋だから…ね、うん。
光原:…酷い経歴ね。
高橋:許し難いな、あの変態達は。
吉富:…イヤ、ヨースケ先生、いくらあの二人が底無しの変態でも
    アンタにだけは変態って言われたくは無いと思うよ。
高橋:…何か言ったか。
光原:まあまあ。

33 :許斐とスットコドッコイな変態達:2008/06/04(水) 10:53:46 ID:DJachGmV0
吉富:んじゃ、この娘下ろすよ。…っと。しかしこんな世界でも
    意識の無い娘一人背負って運んで来るのは骨だね。
高橋:御苦労、吉富。
光原:悪いわね、吉冨先生。あ、そうそう許斐先生、
    貴方の事なんだけど…って風!?
吉富:強ッ!?

 ビ ュ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ゥ

       フ 
          ワ  ッ

許斐:…!?
光原:あ。
吉富:あ。
高橋:あ。
許斐:ア゙ッ――――――――!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜しばらくお待ちください〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

光原:…まぁ、あの娘のスカート短かったから、こういう事もあるわね。
吉富:…あの娘、さっきまでアレだったから、その余韻ってヤツかな。
高橋:…こういうのも悪くないかもしれんな。
光原:…高橋先生!?

許斐:…嫌だ!もう変態は沢山だ!もう俺は集英社に帰るぞ!
光原:ごめんなさい。さっきも言おうとしたけど…
高橋:それは無理だ。
許斐:何故!?
吉富:だって、アンタもう死んでるし。
許斐:( ゚д゚) !?

34 :許斐とスットコドッコイな変態達:2008/06/04(水) 11:13:05 ID:DJachGmV0
許斐:嘘だろ高橋(葉)先生?
高橋:光原。
光原:分かったわ、高橋先生。…許斐先生?
許斐:!?
高橋:今から全てを見せてあげるわ。
    貴方がどう死んだのか。

現在の人数:60/60
・やっと許斐死亡確認。でも退場はまだちょっと先かも。
・やはりサトケンの経歴は酷い。

35 :作者の都合により名無しです:2008/06/04(水) 15:55:33 ID:GtOAXjOs0
これは耐性の無い奴には拷問だろ……。
許斐は別に退場させるほどではないと思うけどね。それよりも尾田とか岸本とか講談社若手組とかの方が問題な気も。

36 :板垣vsヨクサル&三浦:2008/06/08(日) 10:52:09 ID:Zggip00F0
ヨクサルは何の躊躇も無く板垣の間合いへと踏み込んできた。
まずは板垣の蹴りだけが一方的に届く間合いだ。
だが、板垣は動かない。いや、動けない。
(左ッッ!)
そう。三浦の矢を防ぐために背面に回した板垣の左腕の方へ
ヨクサルは瞬時に、予想以上に速く踏み込んでいた。
(蹴りの間合いが!?クッ!)
反射的に板垣は背面から左拳を袈裟斬りの様に振り下ろした。
しかし
(空ッッ!)
そう。ヨクサルの軌道を薙ぎ払うはずの左拳は空を切り、
そして板垣は腹部に体を突き抜けるような衝撃を感じた。
(これは…勁ッ!)
その衝撃に体をくの字に曲げ、腹から空気をどぅと吐き出す。
(バカなッッ!奴の両腕はッッ!)

「が あ゙ あ゙ あ゙ !」
ヨクサルが吼えている。
相変わらず血と汗と涙で顔をグシャグシャにして吼えている。
(そうかッ!折れた腕でッッ!)
「 い゙ だ が ぎ い゙ ぃ゙ !」
板垣は再び腹部に体を突き抜けるような衝撃を感じ、
腹部から込み上げる血を吐きながら板垣は笑みを浮かべた。

その笑みへとヨクサルの蹴りが叩き込まれた。

その蹴りで板垣の巨体が宙を舞い、壁に叩きつけられたまま
立ち上がって来ないのを見て
三浦は大剣を引き抜き、ヨクサルの元へ駆け寄った。

37 :ヨクサル&三浦vs板垣:2008/06/08(日) 11:13:05 ID:Zggip00F0
熱く、荒い息を吐くヨクサルへと三浦が問いかけた。
「やったのか?俺達は、あの怪物を。」
ヨクサルは、しかし、表情を変えずに首を横に振る。
「ならどうする?今の内に撤退するか?」
ヨクサルはそれにも表情を変えずに首を横に振る。
「だろうな。なら」
「来゙ る゙ ぞ゙ 」
「任せろ。」

三浦は砕けた指と両膝に力を込め大剣を構え、
ヨクサルは止まらぬ足の震えを気力で押さえ、
二人は再び板垣の前に立った。

現在の人数:60/60

38 :作者の都合により名無しです:2008/06/08(日) 13:05:45 ID:I4LYWOBw0
しょっぱなから熱い展開だなあオイ!
いよいよ決着が近いのか?

39 :作者の都合により名無しです:2008/06/10(火) 21:11:20 ID:I7p5zFX40
しかし最近の小学館は本当にヤバいね
このスレの戦いより、遥かに泥沼の戦争してるじゃないか

40 :ヨクサル&三浦vs板垣 完結編@:2008/06/10(火) 21:45:03 ID:MljN7SQU0
ここは秋田書店本社ビルの一角。その奥でチビでデブで不細工な男が
不細工な面をさらに不細工にしてモニターを眺めていた。
彼の名は青山広美、様々な出版社を転々として秋田書店へ流れ着いた
稀代のギャンブル漫画家である。
「このアホが!いい加減遊び過ぎなんじゃボゲェ!」
青山は先程からモニターに向かって、正確に言えばモニターに映された
同僚たる板垣恵介に向かって実に口汚く罵詈雑言を飛ばしていた。

「落ち着けよ先生、今の所は集英社の援軍は来ないんだからさ。」
その青山に後ろから銀髪ですっきりした印象の青年が声をかけた。
彼の名は山根和俊。彼も青山同様の流浪の漫画家である。
「鳥山先生に和月君は車田先生の所に行った。荒木先生達は
 UJの連中とCLAMPと交戦中。冨樫先生は集英社の幹部と
 会議中で残りは全て重体。もう集英社に駒は残ってないよ。」
「そりゃそうなんやが…。」
山根の尤もな意見を聞いても青山の顔は晴れない。

その時、部屋のドアがバーンと開いた。
「それなら!」「俺達に!」
「任せるじゃん!」

「「「「「任せるじゃん!」」」」」

見ると全く同じ顔の男が10人、思い思いのカッコイイポーズで
入り口の前に立っている。
彼、いや、彼等は余湖裕輝。漫画家のクローン人間集団であり
過去の戦争で他社を震撼させた「一人一殺」戦術の使い手だが

「帰れボゲェ!」
「「「「「酷いじゃん青山先生!」」」」」

今はどうも締まらないキャラである。

41 :ヨクサル&三浦vs板垣 完結編@:2008/06/10(火) 22:38:12 ID:MljN7SQU0
「まぁ、落ち着いてくれ青山先生。…で、今回は何かな、余湖先生?
 僕らは今忙しくてね、馬鹿している暇はあまり無いんだ。」
山根もフォローしているようで何気に酷い事を言っている。
その二人の冷たい対応に余湖はいつもより少し多く凹みながら続けた。
「実はもうあの3人の下へついさっき俺達を12人送り込んだじゃん。」

その頃、板垣達が戦っているストリートの少し近くで1人の男が
仮面をつけた胡散臭い12人の男に囲まれていた。

                                       つづく

42 :ヨクサル&三浦vs板垣 完結編@:2008/06/11(水) 18:01:43 ID:Eq1FzaEk0
「…今、こいつ『ヨクサル君に用がある』って言ったじゃん?」
「ああ、確かに言ってたじゃん。」
「俺も聞いたじゃん。間違いないじゃん。」

怪しい仮面の男達が一人の男を囲んで、しきりにプレッシャーを掛けている。
しかし、その男―――ノースリーブの赤い軍服の上下に赤いロングブーツと
全身赤一色のコーディネートにサングラスでキメた金髪の優男――――は
そのプレッシャーを気にする素振りをまるで見せていない。
その余裕と自信に満ちた態度が余湖×12人達をイラつかせた。

「仕事なのでな。この先に彼は居るのだろう?通して貰いたいのだが。」
男は相変わらずの態度で余湖達へと話を続ける。
その態度に思わず余湖達は銃を抜き、銃口を男へと突きつけた。
「ここは通行止めじゃん。」
「ってか俺達の邪魔をする奴は敵じゃん。」
「連行して尋問するじゃん。」
「とりあえずホールドアップじゃ…!?」

その時、轟音と共に余湖達の上空に巨大な影が現れた。
思わず余湖達が上空を見上げた瞬間
「甘いな!」
優男の銃は余湖達全員を打ち抜いていた。

激痛に呻きながら余湖達は思う。
(ぜ、全滅?)
(12人の俺達が全滅?)
(3分もたたずにか…?)
しかしその思いも次第に腹部の激痛に掻き消されてしまい、
しばらくすると余湖達はそのまま無明の世界へ落ちていった。

・余湖×12人 死亡

43 :作者の都合により名無しです:2008/06/11(水) 20:23:42 ID:60gHISgl0
ついにあの男が動くか?
今は怒涛の最終局面に持っていくためのゆるい展開と見てるが。

ところで荒木&皆川vsCLAMPはストーリー上は昨日の話なんで荒木は何事もなければ週ジャンにいると思う。

44 :ヨクサル&三浦vs板垣 完結編A:2008/06/11(水) 22:48:22 ID:Eq1FzaEk0
「君達を12人?何の為に?」
「決まってるじゃん。あのダラダラしたバトル展開にケリを付ける為じゃん。
 ジャ〇プでもあるまいし人気取りの為に無駄にバトる必要無いじゃん。」
「まあ、そやな。」
「それにあの2人を拉致って尋問すれば有用な情報も多分手に入るじゃん。
 あと洗脳して古巣に喧嘩売らせるも良し、山賢に人間爆弾に改造させて
 送り込むも良しじゃん。用はあの2人の使い道は豊富にあるって事じゃん。
 だからみすみす板垣の娯楽の為に死なせちゃ勿体無いじゃん。」

ここは秋田書店本社ビルの一角。その奥で青山と山根に余湖が
板垣とヨクサル&三浦の元へ自分のクローンを多数送り込んだ理由を
とうとうと説明していた。
日頃のどこか抜けた雰囲気と違い、中々に理に適っていてかつ外道な作戦を
しっかりした口調で説明する余湖に二人は珍しく真面目に耳を傾けていた。

しかし、それも長く続かなかった。
先程の自分のクローン12人の死が仮面を通して即座に伝わってきたからだ。
最初は錯覚だと思った。そして錯覚だと願った。
だが、クローン達の死が紛れも無い本物と分かると
「只1人に一瞬で俺達が12人も?ば、化け物か…」
そう力無く呟いて崩れ落ちてしまった。

その光景を目の当たりにして驚愕する青山と山根。
だが異変はそれだけに収まらない。
「監視カメラだと…冗談ではないっ!」
モニターから何者かの声が微かに聞こえたと思いきや、
ブツリと音を立てて板垣達の中継が切れてしまった。

思いも寄らぬ事態に二人は一瞬完全に呆然としてしまった。

45 :ヨクサル&三浦vs板垣 完結編A:2008/06/11(水) 23:08:40 ID:Eq1FzaEk0
少しして二人は崩れ落ちた余湖を放置したまま机に戻った。
二人とも黙したまま今現在の状況について思考を巡らせる。


やがて青山が腐り切った表情のまま無言で煙草に火をつけた。

(…あのジジイが出て来たんか…よりによってあのジジイが…。
 スマンな、板垣。ワイらは手ェ出せん。自力で何とかしてくれ。)

46 :その後の三浦健太郎:2008/06/15(日) 18:47:46 ID:dpaKhcds0
全てが終わった後で三浦健太郎は空を呆然と見上げながら思う。
あの時、俺達は奴が立ち上がる前に突っかけるべきだった。
だが俺もヨクサルも出来なかった。一歩も踏み出せなかった。

隣ではヨクサルが口から、鼻から、耳から目から傷口から、
その他あらゆる箇所から血を流して痙攣している。
済まない、ヨクサル。俺があの時もう少し早く動けば…

あれから平然と跳ね起き、筋力のみで上着を破り捨て、
上半身を露にしてからの板垣はまさに鬼だった。
奴は俺がこれまで斬り捨てて来たあらゆる異形より遥かに
獰猛で、俊敏で、狡猾で、凶悪で、そして恐ろしかった。

最初に動いたのは俺でもヨクサルでもなく。板垣だった。
俺の、俺達の呼吸を完全に読んでいたんだろう。
気が付いたら俺の前で板垣が拳を大きく振りかぶっていた。
そして顔面に強烈な衝撃を感じて

一回転
二回転
三回転…

地面に叩き付けられてその衝撃で意識を取り戻して…
駄目だ。その辺りの記憶に靄がかかっている。

ただ近くで発生したらしい爆音と銃声、悲鳴で意識を取り戻したら
血を流して痙攣しているヨクサルの傍で、
虚ろな目で方膝を付いたまま立ち上がれないまま
板垣がしきに血反吐を吐いていたのは覚えている。

すまない先生。俺が覚えているのはここまでなんだ。

47 :その後の板垣恵介:2008/06/15(日) 19:18:47 ID:dpaKhcds0
全てが終わった後で板垣恵介は空を呆然と見上げながら思う。
あの時、真に警戒すべきは三浦じゃなくヨクサルの方だった。
確かに奴の体は小さい。三浦のあの一撃必殺の斬撃に比べれば
奴の体術によるダメージなど高が知れていると思っていた。

だから最初に三浦の野郎を全力で叩いておいた。
間合いを詰めて奴の攻撃を殺し、全力の一撃を叩き込んで
反撃の危険性も殺す。まさに定石通りだった。

宙を舞う三浦をそのままに俺はヨクサルへと突っ込んだ。
今思い出せば奴を俺はどこか舐めていたのだろう。
目を閉じたまま構えを取らず、棒立ちのヨクサルを見て
何の疑いも無く、俺は右拳を振りかざして突っ込んだ。

違和感に気付いたときは手遅れだった。

「 ダ イ゙ ブ 」

奴の呟きが聞こえ、
奴の両脚に力が入り、
奴は今までよりも速く、鋭く宙を舞い…

そうか
これが
これが―――

拳に奴の骨が砕ける感覚と、顔面に奴の蹴りが
叩き込まれる感覚を俺は同時に覚えた。
それから一瞬、俺の意識が消えた。
膝を付くまでの一瞬とは言え、間違い無く俺は奴の一撃に意識を飛ばされたんだ。

48 :その後の板垣恵介:2008/06/15(日) 19:48:10 ID:dpaKhcds0
そうだ。奴は初めからこの一瞬だけを狙っていたんだ。
俺の全力の一撃に、奴の全力の一撃をカウンターでブチ当てて
文字通り一撃で倒す事「だけ」を考えていたんだ。

これまでの数十発の打撃も
腕を砕きながら放った勁も
小さな体に蓄積されたダメージも
三浦健太郎の存在も
全てはこの一撃を叩き込む為の

     フェイク
――― 罠 ッッ!

駄目だ。脚に力が入らん。
そうだ。
この状態はアレだ。
完全に脳を揺らされたんだ。
血と反吐がこみ上げる。
久々だ。

おっと。
誰か来たか?
「聞こえるか?私だ、板垣君。」
その声は聞き覚えがあるな。
生きてたか、ジジイ。
「…何故…テメエが来た…安彦…良…和…」
「君を笑いに来た。そう言えば君の気が済むのだろう?」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!」

駄目だ。
今の俺の動きはのろすぎる。
かすりもしない。

49 :その後の板垣恵介:2008/06/15(日) 20:08:06 ID:dpaKhcds0
先程までの俺なら頭を潰していたが
今の俺ではヘルメットに掠るのが精一杯か。
無様な物だな。

両膝に痛みを感じる。
どうやら攻撃を外した隙に安彦に両膝を打ち抜かれたらしい。
十分に距離をとった上でこの状態か。
まずいな。
あのジジイならここで手は抜かない。
ほらな。
両手できっちりと珍妙な銃を構えている。
照準は…胴か。
「落ちろ!」
死ぬか?
死ぬのか、俺は?
…!?

「 エ ク ス カ リ バ ー !」

…車田!
あの妙な銃のビームを衝撃波で掻き消しただと!?
相変わらず滅茶苦茶な野郎だ。
「退くぞ板垣!」

50 :その後の安彦良和:2008/06/15(日) 20:45:43 ID:dpaKhcds0
「逃したか。」
安彦は全てが終わった後の地で一人呟き、
そして突発的な眩暈に思わず片膝を付いた。

見ると万が一に備えて装着していたヘルメットの頭部が
大きく破損し、その辺りから血が一筋流れている。
(ヘルメットが無ければ即死だったな。
 …まあいい。まずこの二人だ。)

まず三浦に声をかける。鎧の魔力の為か意識は有るようだが
鎧の中ははっきり言ってミンチより酷い事になっている。
ここからどこまで出来るかは分からないがとりあえず病院だ。

そしてヨクサルも
(…頭蓋骨骨折及び脳挫傷、鼻骨骨折、第7歯から第4歯欠損
 第1歯及び第2歯欠損、頚椎捻挫、左鎖骨不完全骨折…これで…
 三割というところか。あのメイドさんの事で話をしたかったのだが、
 これではしばらく面会謝絶だな。)
やはり生きているのが不思議なほどの重症を負っていた。

そうした二人の惨状を見て、安彦は苦笑いを浮かべた。


登場人数:0
退場人数:▲2(柴田ヨクサルと三浦健太郎が瀕死の為一時退場)
現在の人数:58/60

・一時退場とかやっちゃってもいいかな?駄目なら修正するよ。
・ビームライフルをエクスカリバーで消すのは無茶だな。
・上空の巨大な影はMSでも戦艦でも適当に解釈して下さい。
・安彦先生の受け師さんは超カワイイ。
・結局余湖とエクストリームな人達は何もしてないけどまあいいや。

51 :作者の都合により名無しです:2008/06/16(月) 09:42:36 ID:VxJG+V/k0
一時退場やっちゃってもいいんじゃない?というか一時退場って言い出したの俺だし。
ビームをエクスカリバーは戸田も似たようなことやってたしありでしょう。
ともかく熱い、いい戦いだった。序盤から快調で嬉しい限り。

52 :作者の都合により名無しです:2008/06/16(月) 09:59:40 ID:VxJG+V/k0
上層部からの一方的な通達に、椎名も藤田も各々のやり方で不賛同を示す。
一方は彼に比べれば死んだ魚すら活き活きとして見えるほどのヘタレそのものを具現化したような目とそれに相応しい態度を取り、
もう一人は心の奥の奥から溶岩のごとく沸き上がる怒りを抑え切れぬと言った表情で手近な看板を殴り倒した。
だが二人とも、肩に暖かい感触を感じて正気に戻る。見れば留美子が二人の肩に手を置いてなだめるような姿勢をとっていた。
元々行き過ぎた女好きである椎名のみならず、一般には硬派で通している藤田でさえも一瞬我を忘れてその感触に身を任せてしまうほどの安らぎ。
だが、椎名も藤田も気付いた(椎名は少々気付くのが遅れたが)。
肩に置かれた手が震えている。恐れからではない。武者震いですらない。もちろん寒いからでもない。
先程彼らを突き動かした衝動と同じもの、怒りのためだ。

「いい?二人とも。まずは落ち着いて。」
声もそれが属する身体と同じく震えていた。この『落ち着いて』は自分に向けられたものでもあるのだろう。
肩に爪が食い込んでいないのがむしろ不思議なぐらいだ。
「落ち付けって、留美子さん。そりゃあ無理ってもんですよ。こんな無茶苦茶なことがありますか!?」
「俺も椎名と同じ意見です。いや、椎名の方がまだ自分を押さえられているかもしれない。
正直なところ、あなたさえうんと言えば今すぐにでも編集の連中に文句を言ってやりたいぐらいだ!」
たぶんその文句というのば言葉ではなく槍だったりするんだろうが、その激情ももっともだろう。
わけもわからぬ内に今進めている仕事を打ち切って、対して親交もない奴らの部下になれというのだ。これが理不尽でなくて何だろう。
その思いは留美子とて同じだ。だが彼女は、今ここの長なのである。
感情の暴風に吹き飛びそうな理性を繋ぎ止め、再構成し、さらに伝播させなければならない。
怒りのままに動けば、結局のところそれをぶつける相手を間違える。
ラブコメや恋愛漫画で些細な誤解からのっぴきならぬ事態へ転げ落ちる展開を何度も書いてきた留美子の、経験に裏打ちされた哲学だ。

「上の決定が一方的で気に入らないからって、それだけで逆らってもいいってものじゃあないわ。」
長い長い沈黙の末、ようやくそれだけが言葉になった。
同時に、そこまで言うと喉を占領していた小石が落ちたように思考が形をなし、舌が回り始めた。
「……だから、とりあえず今のところは大人しくしておいてあげましょう。」
しておいてあげる、というところを殊更に強調したのは、椎名と特に藤田を少しでも押さえるためだ。
「元々私たちにPEACH-PITを追う理由はあんまりないんだし、それなら今彼女たちが所属している集英社にまかせればいいんじゃない?」
「た、確かにそうですけど……やっぱり納得が……。」
「いや、言われてみれば留美子さんの言うことももっともだぞ、藤田。」

53 :作者の都合により名無しです:2008/06/16(月) 10:00:20 ID:VxJG+V/k0
いついかなる時でも美人の味方をする男、それが椎名だ。
ましてやいま話しているのは尊敬する先輩であり、見た目的にも彼の好み直球ど真ん中な留美子。
小学館に対する怒りも何もかもドップラー効果が肉眼で観測できるほどの速度でSHIFTキーを押しながらゴミ箱に放り込まれ、従順な飼い犬が一人完成するのも当然だろう。
「いきなり変わるんじゃねえよ、椎名。お前も相変わらずだなあ……。留美子さん、この野獣とよく一緒にいられますね。」
藤田も椎名の変わりぶりに毒気を抜かれてしまったらしい。とりあえず怒りは収まったようだ。
「まあ、もう慣れたわ。それよりも私たちが今知らなくてはならないのは、藤田君、あなたについてよ。」

藤田君、あなたについてよ。
藤田君、あなたについてよ。
藤田君、あなたについてよ。
あなたについてよ。
あなたについてよ。
あなたについて
今知らなくてはならない
「お…お……、おおう……」
留美子の言い方も誤解を招きかねないものであったとは思うが、まあ普通人なら『何があって誰に操られる羽目になったのか』という意味だと察することが出来るはずだ。
だが、それを傍らで聞いていたのは椎名高志だった。
「まさか…そんな……まさか…!!?」
椎名は女性絡みでは桃色の思考がほとんどだ。故に、『あなたについて知らなくてはならない』などという語から引き出される情報はただ一つ。
え?どんな内容か書け?……あんた、このスレ削除させる気か?
「留…美…子……さん………」
ハムレットの父親もかくやと思わせる無念そのものの表情で立ち上がった椎名が、弱々しく呟いた。
「まさか……どうして……藤田に……藤田なんかに……!!!」
留美子も藤田も、椎名が何を言っているのかまるで理解できずに首を傾げる。
「こうなったら……、留美子さんを殺して俺も……」
ああなるほど、と留美子がようやく合点のいったという表情で手を叩いた直後、どこかの山中で大規模な放電現象が確認された。
ちなみに、幸いにも山火事その他の災害は発生しなかったようである。重傷者一名。

54 :作者の都合により名無しです:2008/06/16(月) 10:02:10 ID:VxJG+V/k0
「えっと、どこまで話したんだっけ?…ああ、そうそう。藤田君、いったい何があったの?」
「お恥ずかしい話ですが、実は……かなり成り行き上らしくて。一応、事の発端は安西ですかね?」
「安西君?」
安西信行といえば、数日前から行方不明ではないか。それと関係があるのかと留美子が問うと、藤田は頷いた。
「あいつはMARの終盤頃から不調で、近頃は俺と会うこともほとんどなくなっていたんです。」
「それは私も知ってるわ。正直、小学館ってさっきの通達もそうだけどあんまり漫画家に優しくないし。」
「雷句もそれにはだいぶ腹を立ててましたよ。机を骨折するまで殴るぐらいなら俺に相談してほしかったんですけどねえ。」
ちなみにその雷句は今連載を持ってないのをいいことに講談社に殴り込みをさせられたり帰ってきたら傷も癒えてない内に襲撃を迎え撃たされたりしている。
そのうち訴えられても文句言えんぞ、小学館。

「でも、最近ようやく少し立ち直って、新連載を始める手はずも整ったんです。嬉しそうに言ってましたよ。」
「ところが、いつまでたっても始まらなかった……?」
「そういうことです。何の連絡もないんでさすがに妙だと思って編集に聞いてみたんですけど、彼らも安西が逐電したこと以外は何も知りませんでした。」
実は資料集めに出掛けた先で秋田書店のゲリラ勢力に暗殺されていたのだが、そんなことは知る由もない。
「不肖の弟子とはいえ俺の大事な教え子です。編集たちも行方を探してましたけど、だからといって何もしないわけにはいけないから
俺も自分であいつに何があったのか調べていたんです。」
「それで、何かわかったの?」
「いえ、安西についての情報が入る前に、黒博物館の縁で講談社の漫画家達から妙な話を聞かされまして。」
藤田の顔が険しくなった。引きずられるように留美子も神妙な顔つきになる。どうやらこれから核心に入るらしい。
「何人かから同じ話を聞いたんです。『最近マガジンが妙な動きをしている。何かよからぬ事を企んでいるらしい』…と。」
「それで?それで、どうなったの?」
留美子が詰め寄った。もし本当にマガジンや講談社が何かを企んでいるのなら、自分たちも無関係ではいられまい。
だから一言一句聞き漏らすわけには行かない、という当然の判断に基づく行動であるが、藤田には少々刺激のきつい光景である。
まあ椎名なら既に抱きつこうとして制裁の電撃か拳を喰らい倒れている頃だろうが。
「そ、それでですね……。」
心なしか声の響きが緊張したものになっている。視線が何かから逃れるように宙を泳いでいるのは見上げた自制心だと言っていいだろう。
顔か、或いは胸元を見ていないのは大したものだ。
「安西のことも大事ですが、こちらも放って置くわけにはいかないと思って調べてみたんです。そうしたら……」
そこで言葉が止まる。どうやらあまりその先を言いたくないようだ。
この先というのはつまり敗北から洗脳にいたる過程なわけであるから当然ともいえるが。

55 :作者の都合により名無しです:2008/06/16(月) 10:02:55 ID:VxJG+V/k0
風がビルの谷間を吹き抜け、小鳥の鳴き声がいやに大きく響く。ついでに椎名がようやく回復して立ち上がった。
眼前の光景に目を見開き、何やらとりとめのないことを言いながら飛び掛かってきたのを留美子が一蹴すると、それでどうやら藤田も踏ん切りがついたらしい。
立ち直った椎名に留美子がこれまでの話を説明し、藤田が再び話し始めた。
「そうしたら、大当たりでしたよ。正面から行ってもわからないだろうと思って忍び込んでみたんですが、地下に何やら妙な部屋がたくさんありました。
で、驚いてつまずいたか何かしてしまいましてね。」
「で、敵に見つかったってわけか。」
「まあそんなわけだよ椎名。恥ずかしい話だけどな。
それでまあ雑兵どもが結構な数出てきまして。もしかするとあれが噂に聞いたエンジェル部隊とかいうやつかも。」
「いくら数が多いからって、そんな連中に藤田君が?それとも、そいつらはそんなに強かったの?」
留美子が訊く。いくら何でも、藤田和日郎が同人作家軍団ごときに負けるとは考えにくい。
もし藤田を倒せるほどの軍団なら、それは驚異以外の何物でもない。
「それが……よくわからないんです。後ろからガンとやられたんですが、気配も何も感じなくって。
たぶん雑魚に紛れながら気配を消して近づいてきたんじゃないかと思うんですが。
そして、気がついたら椎名が留美子さんを襲っていた。」
「へ?なんで俺が留美子さんを……。」
椎名はしばらく思案していたが、どうしても思い出せない。
悩んでいたら留美子が「藤田君は洗脳の説けた直後で記憶が混乱しているんでしょ」と言ってくれたので、なるほどきっとそうだと納得することにした。
もっとも同時に藤田は「せっかく忘れさせたんだから余計なことは言うな」と殺気の籠もった囁きを聞いていたが。

「だが、マガジンか、それとも講談社か……。何を企んでるにせよ、ろくな事じゃなさそうだ。放っておくわけにはいかないな。」
椎名は女絡み以外では案外頼りになる男である。伊達や酔狂やコネやら何やらでサンデーの看板をやっているわけではないのだ。
「ああ。あの警戒ぶりはただごとじゃなかった。よほど見られたら困ることをやってるんだろうよ。」
「だな。よし、それじゃあ……
今日は戦いもあって疲れてるからまた今度にしよう。」
ただし、本当にいざというとき以外は踊りこそしないもののダメ人間だが。
藤田も怒り心頭といった顔で椎名を睨み付けているが、原因の大部分が自分にあるため何も言えない。

56 :作者の都合により名無しです:2008/06/16(月) 10:03:41 ID:VxJG+V/k0
そんなこんなでしばらくコントあるいはどつき漫才が続くうちに少しずつ一旦小学館に帰る方向で話がまとまってきたころ、椎名が再びテレパシーを受信した。
「いや、だから俺は決してびびってるわけじゃなくて、藤田が不覚をとるほどの相手なんだから慎重に行動するべきだと……
あれ?ちょっとすいません。何か、聞こえません? これは……テレパシーか?だいぶ弱いけど。」
「うーん、私にはわからないわね。藤田君は?……やっぱりダメか。椎名君、何を言ってるのかわかる?」
留美子も藤田も明文化された能力としてのテレパシーを持っていないからわからなかったのだろう。それほど減衰、散逸した念波だった。
「いや、だいぶ遠くの上に送信者が集中できてないか何かで聞き取りづらくて……。
あっ、今ちょっと聞こえた! ……どうも、助けを呼んでるっぽいですよ。」
「助けだと?どこでだ!?」
「ちょっ、落ち着いてくれ藤田、聞き取れなくなるじゃないか。気持ちは分かるけどさ。
え〜っと……?『こち………かん、……んのしゅ…きを……』」

しばらく、沈黙が続いた。
留美子にも藤田にも、そして椎名にも耐え難い沈黙だった。
どこかで誰かが助けを求めている。それが明らかなのにどこをどうすればそいつを助けられるのかわからない、というのは非常に心の痛むことだ。
唯一の手がかりであるテレパシーはどうやら30〜40秒程度の短いフレーズを繰り返しているらしい、と椎名が理解するまで、
実際には3分程度の時間だったが、三人には3時間以上にも思えた。
留美子と藤田は、時間の砂漠を果てもなく歩いているように感じた。その砂は凝集した時で、見渡す限り延々とくすんだ黄土色の地平が広がっていた。
椎名は、過去、現在、未来の全てが駆け足で一瞬のうちに過ぎ去るのを感じながら、微弱な念波を解読しようと見えない戦いを続けていた。

そして、まったく突然に椎名が目を見開いた。
その目は眼前の風景ではなく、彼の直感を見据えていた。霊感の雷に打たれるように、いきなり全てのパズルが一点の歪みもなく組み上がった。
「わかった!」
知らず、椎名は叫んでいた。
「何だか聞き覚えがあると思ったら……こいつは皆川だ!!」
「皆川だと!?」
藤田も叫んだ。
「それで!?皆川君は、どうしたって言ってるの?」
留美子は叫びこそしなかったが、興奮を隠そうともしていない。
椎名は一度深く息を吸い込むと、一語一語を絞り出すように淡々と語った。
「……小学館が秋田書店の軍勢に攻撃を受けた。現在自分を含む有志が防衛しているが、敵の増援に一流クラスの漫画家二名が参加し、苦戦中。
これが聞こえた者は救援を求む。だ、そうです。」

57 :作者の都合により名無しです:2008/06/16(月) 10:10:48 ID:Zog31PFA0
支援

58 :作者の都合により名無しです:2008/06/16(月) 10:16:08 ID:VxJG+V/k0
「秋田書店、だと……」
藤田が拳を握りしめた。もしそこに石があったとしたら、粉々になっていただろう。
「あの腐れ外道どもめ……!!! まだ、やろうってのかよ!!!
俺達も!!読者も!!あいつら自身まで傷付けて、まだ足りないのか!!!!」
「……同感ね。こうなったら、四の五のいってる場合じゃないわ。今すぐ、小学館に戻るわよ!!」
留美子も、眼鏡の奥が悲しみと怒りに燃えている。
「ところで、椎名君。敵の増援、一流クラスの漫画家二人って事らしいけど……どんな奴か、皆川君は言ってた?」
鬼か、勝負師か、はたまた反逆者か、侍か。
留美子の頭の中を、様々な最悪の答えが駆け回る。
だが、椎名の返答は留美子と藤田の考えた最悪を軽く超えるものだった。

「………言って、いいんですか?」
「いいも何も、わかってるのなら言わなきゃ駄目だろうが。」
「そうよ。敵が誰か、少なくともどんなやつかわかれば対策も立てられるでしょ?」
「本当に、いいんですね?後悔しないんですね?」
「くどいぞ椎名!今は遊んでる場合じゃないんだ!わかってるのか!!」
「わかったよ、言うよ、言いますよ。」
藤田と留美子の怒気に圧され、苦虫を二桁は噛み潰した表情で椎名が言った名は、
「赤い仮面の男と、………

                   ………安西、信行。」

59 :Title:Take me to…:2008/06/16(月) 10:22:34 ID:VxJG+V/k0
一応補足しとくと仮面の男は記憶喪失のあの人。新キャラじゃないよ。
しかしおかしい。一〜二レス程度の繋ぎの話なはずだったのに、なんでここまで長くなってるんだ。
どうもギャグバージョンの椎名が絡むと俺の変なスイッチが全力でオンになってしまうらしい。

60 :作者の都合により名無しです:2008/06/19(木) 00:37:05 ID:5oNtoMAp0
おつぅ。
そして仮面の人が素で分からないけどまぁ気長に続きを待つよ。

61 :ヤクザ:2008/06/20(金) 14:50:35 ID:EW2koBaw0
山根 第3偵察部隊、応答を!…第4!第5!…駄目か。
青山 偵察部隊も全滅か。
山根 ああ。余湖先生達を一蹴するような連中が相手では
    無理もない。とはいえ…
青山 集英社の手の内が見えんようになるのは痛いな。
山根 そうだな。少ししたらまた諜報員は贈ってみるが…
青山 望み薄やろな。
山根 …ハァ
青山 …ハァ

山根 …ところで青山先生。
青山 …何や。
山根 小学館と集英社への申し開きはどうする?
青山 そりゃ、今回もまたREDの連中に全部責任転嫁で
    後は知らぬ存ぜぬで通すしかないやろ。
山根 相変わらず苦しいな。
青山 やかましいわクソガキ。そもそも…

 ジリリーン ジリリーン

山根 僕が出るよ。…はい、秋田書店です。
本宮 俺だ。
山根 そ、その声は!まさか!まさか!?
本宮 青山を出せ。
山根 先生は…その…現在…
本宮 うるせぇぇぇ!青山出せやぁ―― っ!
山根 は、はいっ!…先生!青山先生!
青山 アホ!貸せクソガキ!…お電話代わりましたぁ〜青山で
本宮 じゃっかあしゃぁぁぁ―――― っ!!
青山 ブヒッ!

62 :ヤクザ:2008/06/20(金) 15:28:38 ID:EW2koBaw0
本宮 テメェのゴタクに付き合う気はさらさら無ぇんだよ!この野郎!
    いいか?とっとと小学館に喧嘩売ってる連中とウチに喧嘩売った
    板垣のバカと車田のガキ!首根っこ掴んで引っ張って来い!
青山 あ…あの…
本宮 口答えするんじゃねえ!とっとと引っ張って来りゃいいんだよ!
    それとな、またウチに喧嘩売ってみろ…テメエら全力で潰すぞ。
青山 あ…あ…
本宮 チンピラァ…集英社を……なめんじゃねぇぞボケェ―――ッ!!

   ガ シ ャ ――― ン !

山根 ……
青山 ……
山根 …ハァ
青山 …ハァ


猿渡 …相変わらず荒っぽいですね、先生。
本宮 この位でいいんだよ。あのブタ野郎の話聞いてるといつの間にか
    丸め込まれちまうからな。そういう相手は話を聞かないのが一番だ。
猿渡 そうですか。それはそうと許斐君、ヨクサル君と三浦君の事ですが…
本宮 ああ、上々だ。
猿渡 ……。
本宮 考えてもみろ。あの連中に喧嘩売って、両方に結構なダメージ与えて、
    おまけに少なくとも2人は生きているんだぜ。将棋で言えば飛車角を
    銀、桂馬、香車で殺った様なもんだ。
猿渡 ……。
本宮 本番はこれからなんだぜ。その最中に横からあのキチガイ連中に
    手ぇ出されたら厄介だからわざわざここまでしたんじゃねぇかよ。
    お前さんだって分かってンだろ?
猿渡 ……。

63 :ヤクザ:2008/06/20(金) 15:39:50 ID:EW2koBaw0
本宮 なぁ、猿渡先生よ…。
猿渡 ……。
本宮 ……。
猿渡 ……。
本宮 …わーったよ!分かった分かった!
猿渡 何がですか?
本宮 許斐探して!三浦とヨクサル見舞いに行きゃいいんだろ!
猿渡 花とメロンは用意します。ちゃんと持って行って下さい。
本宮 ああ、分かったよ!ったく…っとに、お前さんはよぉ。
猿渡 何でしょうか。
本宮 無表情なのに妙に情に厚いのな。
猿渡 そうですか。

                                   つづく

64 :作者の都合により名無しです:2008/06/21(土) 18:58:37 ID:lqeArwFa0
そういや本宮ってもともとこういう作風だったんだっけ。旧版のイメージが強すぎるのも問題だな。
今のところ講談社だって気付いてるのは冨樫だけっぽい?

65 :サムライドライブの続き:2008/06/22(日) 19:32:23 ID:tUcpK68z0
前回のあらすじ
光原:今から全てを見せてあげるわ。
    貴方がどう死んだのか。

許斐:!?
高橋:少なくとも車田の技を弾き返した事は覚えているな。
許斐:あ、ああ。
吉富:じゃ、その続きからだね。ほら。


「サムライドライブ!」
許斐が打ち返した車田の「スカーレットニードル・アンタレス」は
恐るべき衝撃を保ったまま二つに裂けた。
(倍返しだと!?)
そう。許斐は彼の放った致命的な一撃を正面から受け止め、
それを文字通り倍にして返して来たのだ。

理屈ではありえない。
神にも等しい力を持つジャンプ黄金期の漫画家の一撃を
一介のスポーツ漫画家がテニスラケットで打ち返す事も
打ち返した球が物理的に不可能な軌道を描く事もありえない。
そもそもテニスで打球が二つに分裂する事自体が不可能だ。
しかし許斐はそれを平然とやってのけた。

「許斐!」
車田が思わず許斐の名を叫ぶ。
それは自分の必殺技がいとも簡単に返された事への驚愕か
それとも今、同等の域に達した眼前の後輩に対する賞賛か。
ともかく車田はその技を防ぐ為、指を許斐へ…

「まだまだだね。」
許斐の打球は突きつけた指を容易に弾き、車田へと深々と突き刺さった。

66 :サムライドライブの続き:2008/06/22(日) 20:09:43 ID:tUcpK68z0
「うわああああ―――― っ!」
許斐の一撃で車田は見開きの左斜め上、いや、上空へ吹っ飛ばされ
盛大に顔面から地面へ叩きつけられた。
(この威力…俺と…俺達と同等!)


これは賭けだった。

自分の最終必殺技「サムライドライブ」は、作品では相手の打球を
一瞬で文字通り真っ二つにして返す技である。
その(自分の脳内)原理を応用すれば、いかなる技でも。それを
二つに裂いてカウンターで倍返しする事が可能となる。

しかし相手は車田正美。
理不尽さで言えばあのゆで先生や平松先生にも引けを取らない。
拳が光速や絶対零度を越え、ボクシングで宇宙を砕く男の一撃を
俺が弾き返せるのか?

アンタレスが迫るのを感じた時、体が勝手に反応していた。

そうだな。
俺達は、漫画家は理屈じゃない。
出来ると思えば出来る。
自分の手で描き上げた物が俺達の真実だ。
車田先生、アンタが光速を超えるなら
俺は今、この手でアンタを超えてみせる!
例えこの一瞬だけでも!

車田の小宇宙の揺らぎから、五感の絶たれた許斐にも
自分が一世一代の賭けに勝った事が分かった。
しかしまだ終わりではない。
車田の小宇宙は前方からまだ沸々と湧き上がっている。

67 :サムライドライブの続き:2008/06/22(日) 20:55:17 ID:tUcpK68z0
そうだよな。
あの車田先生がこの程度の一撃でやられる訳が無いか。
ならどうする?

「…手塚ゾーン」
口も聞けないはずの許斐がぼそりと呟いた。
それと同時に許斐の周囲にオーラが渦巻き始め、そして
(上空の…先程のアンタレスが!)
不自然な起動を描き、二発とも引き寄せられていく。
車田はその光景を見て全てを察した。

(ここで…今ここで!)
ボロボロの体に許斐が力を込める。
今の自分にアレを受けきる事が出来るのか?
この攻撃で倒し切れなかったら次はどうする?
聖闘士には同じ攻撃は二度通用しない?
そうした雑念も彼には最早無い。
自分の全てを、車田に叩き付ける…それだけだ。

(…あくまで俺を正面から「力」で倒す気か、許斐。)
先程の一撃で叩き付けられた体躯を瞬時に起こしながら
車田は腕を組み、許斐へと向き直る。

「貴様が『力』で来るならば面白い!俺も『力』で相手をしてやる!
 我が全力の一撃で次元の果てまで吹き飛べ!許斐剛!」
悠久の時を経て砕けぬ黄金聖衣がメリメリと音を立てる程、
周囲の空気が歪む程に車田は腕に力を込めた。

「 グ レ ー ト ホ ー ン !!」
「 サ ム ラ イ ド ラ イ ブ ・ ア ン タ レ ス !」

68 :サムライドライブの続き:2008/06/22(日) 21:04:24 ID:tUcpK68z0


吉富:…つづく。
許斐:え――――――― っ!

登場人数:0
退場人数:0
現在の人数:58/60


・平松伸二は最高だぜェェェ。
・グレートホーンを馬鹿にする奴は許さん。
・サムライドライブ・アンタレスは言うまでも無くオリ技。

69 :作者の都合により名無しです:2008/06/23(月) 11:26:33 ID:xR+z/N8O0
いいじゃんオリジナル技。
キャッチ(略)とかるーみっく(略)とかもう出てるし。というかどっちも俺の仕業だけどな!
しかしこうして見るといかにテニスの王子様がぶっ飛んでたかわかるなあ。

70 :作者の都合により名無しです:2008/06/26(木) 10:04:53 ID:dPirgIvy0
一部が落ちてしまったな。
まあ新スレも軌道に乗ってるからいいっちゃあいいんだけど、なんか寂しい。

71 :作者の都合により名無しです:2008/06/26(木) 20:12:47 ID:k+MT+oGG0
あっちは落ちたのか。まあこっちは落ちない程度にゆっくりやってけばいいさね。
そうしてればそのうち書き手も…増えるといいな。イヤホント。

72 :作者の都合により名無しです:2008/06/26(木) 22:59:42 ID:tsky63Ea0
ホントにな、えなりのその後が全く浮かばねえよ
そういや、ジャンプにキン肉マン載ってたな

73 :迷える魂:2008/06/28(土) 07:45:29 ID:vyBIe4T70
時は少々遡り、所は講談社地下。
直線と直角で構成された灰白色の廊下に沿って窓のない鋼鉄の扉がどこまでも立ち並んでいる。
その中でも特に色彩を欠いた殺風景な部屋の中、男が泣いていた。
男の名は安西信行。灰色の部屋で灰色の時間を過ごし続け、闘志も復讐心も時の流砂に漂白されて萎えきってしまい、今やただそこにあるだけの存在に成り下がっていた。
なぜか?全ては不幸な偶然としか言いようがない。
数十時間前死の淵より蘇り講談社に所属したばかりの彼を知る者は少なく、そしてその数少ない人間達はみな彼よりも差し迫った眼前の課題に忙殺されていたのである。
真島ヒロと赤松健は集英社へと攻め込み、光永康則はいずこかへ出立してしまった。
そして彼はその存在を忘れられたまま、静かに、緩慢に滅んでいくかと思われた。

だが、安西が涙も涸れ果て脳裏に浮かぶ想い出も虚無の霞に覆われ始めた頃、彼の聴覚が何かを捉えた。
僅かな間に、あるいは長年の漫画家生活にすっかりと錆び付いた脳髄はしばらくの間それの存在を認識していなかったが、
それでも徐々に彼の心はそれが足音であると気づき、柄にもなく心臓が早鐘を打ち始めた。
<落ち着け。落ち着け。>安西は今にも飛び出そうとする手足を必死に押さえつけた。
足音の主が自分に用があるとは限らず、そしてもしもぬか喜びに終わったなら彼はもはや二度と立ち上がれないだろうからだ。
そうだ、世の中はそこまで甘くない。心の赴くままに自分が面白いと信じるものを描いたら剽窃と糾弾され、心を病んで尚馬車馬のように描かされ続けてきたんだ、いい加減学習しろ。
足音が近づいてくる。それが何だ、たまたまこの部屋がある通路を行き過ぎるだけだ。
自分がいる部屋の前で止まった。早合点するな、疲れたか何かで少し足を止めただけだ。
ノックの音がする。馬鹿げている、きっと気のせいに決まっている。
ドアノブをがちゃがちゃと回している?ああ、確かにノブが回っているな。でもそれだけだ。……ほら、止まった。
ドアが銅鑼を打ち鳴らしたような音を立てながら吹き飛んで、もう一度同じ音を響かせながら壁にめり込んだ。まあたまにはそんなこともあるさ。

74 :迷える魂:2008/06/28(土) 07:45:57 ID:vyBIe4T70

何だって!!?

ようやく頭が現実に戻ってきた。今更のように目を白黒させながら立ち上がり既に存在意義を見失った蝶番が一つぶらぶらと揺れている入口に目を向けると、
そこには険しい目の男がいた。後ろに二名の男女が控えている。
「お前が、最近俺達の仲間になったっていう奴か?」
顔つきと同じ位険しい、それでいて無感情な声だった。安西はしばらく砂像のように呆然と立ちつくしていた。
人の声を聞くのがずいぶんと久しぶりのように思え、名状しがたいが恐らくは正の方向であろう感情が一度気に噴出してきたというのもあるが、
それ以上に、険しい声をした男の険しい目に彼の意識は吸い付けられていた。
何かを探している、という目であった。その眼光は安西を見ながら同時に安西を突き抜け、彼の居る狭い監獄のような部屋そのものを凝視していた。
虹彩は妄執のためか色を失い、瞳孔を中心とする幾多の同心円と化していた。それがある種の狂気を体現しているかのように見る者に恐怖を与えると同時に
もう一つ、今は亡き偉大なる魂を想起させ、歪んだ畏怖の心をも抱かせた。だが、安西には彼を襲った恐怖の理由は理解できても、畏怖の理由は理解できなかった。
「おい……」
低く呟きながら、男が安西へと一歩踏み出した。それだけで彼は三歩後ずさった。
だが、男の眼から視線を逸らすことは出来なかった。狂気と凶気を湛え、押さえ切れぬ負の何かを周囲に発散させているその眼を見ていると、
彼の奥深くに澱んでいた、あるいは沈殿していた凶悪なものが目の前にいる男のそれに反応し、対流を起こして正気を下へ下へと押し込みながら浮かび上がってくるのが感じられたからだ。
その感覚はある種恐ろしいものであったが、同時にそれ以上の歓喜に満ち溢れたものでもあった。
秋田のゲリラ勢力に奇襲を受けて殺された時。光永という男に助けられ、真島の話を聞いて小学館への復讐を誓った時。
いや、それらよりも遙かに昔、『四天王』と呼ばれ、雑誌や出版社の枠を超えて暴虐の限りを尽くしていた頃の気分そのものであったからだ。

「聞こえていないのか?お前が俺達の新しい仲間か、って聞いてるんだ。」
男がもう一歩前に出た。安西の沈黙に業を煮やしたのだろう、口調も心なしかさらに厳しくなっている。
だが、安西は先程とは逆に一歩前へ踏み出した。そして、今度は男の目を覗き込むのではなく睨み返している。
「そうだぜ。これから厄介にならせてもらう。まあよろしくな。」
そこまで一息に言った安西の目が自分と同質の光を湛えているのに気が付くと、男はようやく視線を安西だけに絞った。
後ろに控えている二人は何も言わない。男の邪魔をしないように、直立の姿勢は崩さぬまま数歩下がって待機している。
「で、てめえは何もんだ、甲羅?死にたくなるぐらい退屈してたから正直助かったけどよ、いきなり人の部屋のドアをぶっ飛ばすなんて普通じゃねえぜ。」
この何でもなさそうな安西の問いに、なぜか男は口を閉ざした。その質問には心底うんざりしている、と無言のまま雄弁に語っていた。

75 :迷える魂:2008/06/28(土) 07:46:21 ID:vyBIe4T70
「俺は……」
男の声には、先程までは全く感じられなかった感情が含まれていた。恐らくは怒りであろう。だが、誰に対しての怒りなのか。
「俺には……記憶がない。自分は誰なのか、どうしてここにいるのか、俺は何を為すべきなのか、全ての問いに対して持っていたはずの答えを無くしてしまった。」
安西もさすがに少々ばつが悪くなり押し黙ってしまったが、男の独白はさらに続く。
「だが、ここ……講談社の連中が言うには、俺の記憶を取り戻す方法はある、ということだ。条件は講談社のために戦うこと。」
「そうかい、そりゃあ悪いこと聞いちまったな。しかしまあ、記憶を返してほしければ戦え、か。悪党だな。まあ俺にはその方がありがたいがね。
でもよ、そんな無茶を言うんじゃあ案外あんたの記憶はそいつらに取られたんだったりしてな。」
安西はだいぶ本気で言ったのだが、男の反応は醒めたものだった。
「連中は『難しい技術を使ってるからタダでしてやるわけにはいかない』とか言ってたが、まあそれでもいいさ。何だろうと。
俺に記憶をくれるなら、神でも悪魔でも関係ない。……何だって、やってやるさ。」
「ヒュウ、言うねえあんた、いい感じにいかれてるぜ。」
安西もまた、眼前にいる男の毒気に当てられて熾火のように燃え残っていたどす黒いものに火がついていた。
「で、あんたの名前は?本名はわからなくても、ここでの呼び名ぐらいあるだろ?」
男が頷く。
「ああ。俺はZX――『ゼクロス』と呼ばれている。お前は?」
安西が返す。
「俺は安西。安西信行、元小学館だ。まあとりあえず今後ともよろしく。」

そこまで会話が進んだとき、男が突然発作を起こしたようにうずくまった。
左手で身体を支え、右手で頭を押さえて何やら呻っている。どう見ても何か起こったとしか考えられない。
主の変調を察して二人の兵が駆け寄ったが、ZXがそれを押し止めるゼスチュアを取りながら立ち上がった。
足は少し震えているし頭も右手で押さえていなければ落ち着かないようだが、とにかく助けは無用と下がらせ、安西に向き直った。
その瞳には安西への、そして同時に自分自身への驚愕、困惑、その他種々の名状しがたい驚きの感情が満ちていた。
「小学館……」
ZXが呻いた。
「小学館……だと……」
「あ、ああ。ここに来るまではな。」
安西も眼前の男の奇異な行動に心を乱されてやや震えた声になっていた。
が、さすがにZXや雑兵よりはまだ残っていた冷静さで事態を推測する。

76 :迷える魂:2008/06/28(土) 07:46:42 ID:vyBIe4T70
「まさか……記憶が戻ったりしたかい?」
もしそうだったら、自分はどうすべきなのだろう。様々な考えが頭をよぎるが、結局ZXの正体如何だと気付いて考えるのをやめた。
「いや……」
先程までよりも大分しっかりとした声でZXが応えた。どうやら思考と感情の大海から抜け出してきたらしい。海底の宝物を回収できたかどうかまではわからないが。
「全部……戻ったわけじゃない。」
その声はあくまでも無感情だった。
高揚も、落胆も、歓喜も、憤怒もない。
ただ、何かしらの事を成そうとする強い意志を感じる声だった。
「ほんの少しの間、何かが見えたような気がした。」
二人の兵士も、安西も、空間そのものまでもが息を潜めて彼の言葉に耳をそばだてているような沈黙があった。
しばらく無音の音を身体全体で聞くようにしてそこにいたZXだったが、またすぐに話しはじめた。
「それが何なのかは、わからない。だが……一つだけわかる。」
安西の目を見つめ、一言一言をやけに明瞭な発音で言った。
「俺は、小学館に行かなくてはならない。案内してくれるな。」
先程よりも長い沈黙の間、二人の悪鬼は睨み合うように立っていた。
片方の眼から不可視の邪悪な光線が飛び、もう片方の眼に反射、増幅して跳ね返る。そしてどこかへ叩きつけるための悪意が際限なく膨れ上がっていく。
現実にはありえないはずの光景だが、不思議とそれを疑いなく信じてしまえそうな沈黙だった。

その沈黙を破ったのは、安西ではなかった。
ZXでもなかった。
それは兵士の一人――別にどちらでもいいことだが、安西から見て左側に立っていた方だった。
「それは……いけません、ゼクロス様。」
両の手を白くなるほど握りしめ、声は砂利道を走る馬車のように震え、目にはうっすらと涙さえ浮かんでいる。
「あなた様の任務は、そこの安西様とともに集英社への攻撃に参加することのはずです。」
ZXが、ようやく二人の存在に気付いたようにゆっくりと声の方へ向き直った。
右の兵士は音のない呻き声を上げ続けている。左の、ZXを諫めた方の兵士は彼の目をちらりと見たとたん、「ひっ」と叫んだ。
その眼は、相変わらず何も映していなかった。通常目に無意識下の動きとなって現れるはずの感情――怒り、哀しみ、悦び、あるいはもっと単純に快、不快――
そのいずれも、ZXの空虚な眼窩に収まっている空虚な眼球と、その周りの空虚な筋肉群からは見て取ることは出来なかった。

77 :迷える魂:2008/06/28(土) 07:47:19 ID:vyBIe4T70
勇気ある兵士は真空の温度を持つ目にじっと視られてなお、彼の職務に忠実であろうとしていた。
「で、ですから……どうか、どうか、今小学館へ、向かわれるのは……」
ZXが一歩前に出た。安西は趣味の悪いショウでも観るようににやつきながら傍観している。
「また、ご、後日、明日にでも……赤松様や、真島様、の、ご了解を……」
ZXが頷いた。
どうやら生き残れたらしいという安堵と、ZXの暴走を止めたことはきっとお手柄に違いないという喜びで、兵士二人の表情もほんの僅か緩んだ。
その顔のまま、左の男はZXの拳を、右の女は十字手裏剣を打ち込まれ、魂消る悲鳴を上げる間もなく崩れ落ちた。無論、即死だった。
安西が、ひゅうと口笛を吹いた。鉄錆を思わせる血の臭いが、辺りに広がりはじめた。

先程頭が下がったように見えたのは肯定の意志を見せるためではなく、胸部にある手裏剣を取るためだった。
もちろん戦闘中なら視線一つ動かさず取ることもできただろうが、なにぶん非戦闘態勢の時である。
そして二人の人間を手に掛けてなお、ZXの顔はぴくりとも動かなかった。
巌で出来ているのか、あるいは人の顔に似せた仮面を被っているのではないかと思われるほどに完璧な無表情だった。
「おいおいいいのかい?手下を二人殺しちまったうえ命令違反ってのは、俺だったら相当きつい罰にするぜ。」
言葉とは裏腹に、安西はどこか高揚しているようだった。かつての魔人に戻った男が久しぶりに殺戮の現場を見たのだから、無理からぬ事とも言えるが。
「ふん……そんなこと、どうだっていい。」
殺人を『そんなこと』と言い切るZXもまた、人であって人ならぬ悪魔に相違あるまい。
「小学館に、俺の記憶を取り戻すための何かがあるかもしれないんだ。あんな、そう……フラッシュバックというのか?あれが起きたのは初めてだった。」
興奮するでもなく、あくまで淡々と語る。
「記憶の手がかりなんてものが、あるとは思わなかった。それのためなら、手下殺しだろうが、上官への反抗だろうが……
なんだって、やってやるさ。」
そこまで言うと、ZXは深く深呼吸し、――どこからどう取り出したのか、霧が凝集するように出現した昆虫類を思わせる赤い仮面が彼の頭部を覆った。
同時に身体と四肢もまた、やけに生物的な印象を与える装甲に包まれる。

さすがの安西もこれには面食らったらしく、口を半開きにしたまま硬直していた。
そんな状況が見えているのかいないのか、ZXはあくまで調子を変えることなく、虚無をはらんだ声で告げる。
「さあ、もう話は十分だろう。安西とか言ったな、俺を小学館まで案内しろ。」


そして時は現在へと戻る。
雷句は、皆川は、留美子は、椎名は、藤田は、そして、安西とZXは――――――――!

78 :迷える魂:2008/06/28(土) 08:13:04 ID:vyBIe4T70
というわ
けでかめんはらいだーでし

ー。

こんなマイナーなネタがわかるはずないよな、うん。
ああ、賢一兄さんじゃなくてコメントの話ね。

書き手は本当に欲しいねえ。単純に数が増えればその分活気が出ると思うし、
人多すぎの弊害なんてのは相当な大所帯にならないと縁がないだろうしね。
漫画二時創作系スレでそれとなく話題を振ってみようかとも思うがどうしてもわざとらしくなって結局出来ない。

ところで、この乱戦状態へさらに長谷川と安彦を放り込んでも書ける人いるかな?
あんまりこういうことは言いたくないけれども、現実世界が忙しくなって実質上引退せざるをえない状況なんだ。
なんで、俺が放り出しても書ける人がいたら二人を描いて、駄目だったらこれで最後にさせてもらいます。

79 :作者の都合により名無しです:2008/06/28(土) 08:18:40 ID:GQ49S5PW0
>>78
ガノタなんで、安彦と黒本及び鋼鉄の七人限定の長谷川なら普通に書けるよ
ただ俺も忙しいから、あんま頻繁には書けないけれど

80 :作者の都合により名無しです:2008/06/28(土) 19:34:00 ID:N0XwZpgl0
>>78
乙カレサマー。もし暇が出来て気が向いたらひょいと覗いて下さい。
ここはのんびりのんびりと年単位で保守していきますよ。多分。

あと展開は今までの流れをある程度踏まえてればお好きなように。
ここはイイと思った展開を勢い任せ先手必勝でOKなスレです。
あと宣伝は何となく気恥ずかしいので結構です。

81 :作者の都合により名無しです:2008/07/05(土) 14:04:36 ID:JPbmGKum0
保守

82 :作者の都合により名無しです:2008/07/08(火) 11:13:11 ID:5n8ZlgnC0
しかし、旧版の頃からそうだったけど特にジャンプの若手は扱いがひどいな。いやこのノリが好きだけどさ。
まともに活躍したのは許斐ぐらいじゃないか?
しかし許斐vs車田って絵的にものすごいシュールだ。


そしてなぜか唐突に『えなりチームに美水かがみ乱入』という電波を受信してしまい困っている。
いったいどうしろっていうんだラッキースターなんて友人の噂話でしか聞いたことねえよ行きつけの本屋にも置いてないし
そもそも女キャラならもう三人もいるじゃないかそれに話に聞く限りじゃ長谷川とか椎名のほうが相性よさそうだし
畜生あの野郎やけにトランシーなアニメ版主題歌をノンストップで流しやがってお前の下らない作戦はこれを狙っていたのなら予想以上の効果を挙げたぞッ!

やはりどうにかして一度読んでおいたほうがいいんだろうか。しばらく前からやけによく名を聞くようになったし。

83 :作者の都合により名無しです:2008/07/08(火) 20:08:29 ID:yObai/V+O
>>82
それはいい電波www
アニメと漫画じゃ色々違うってよく聞くから漫画は読んでみた方がいいのでは?
漫喫にはありそうなものだが…
しかしえなりチームがまたカオスなことになりそうだw

84 :サムライドライブ・アンタレスの解説:2008/07/09(水) 10:46:04 ID:sqDCYGhK0
グレートホーン。

それは人知を遥かに超えた力を持つ聖闘士が、その腕を組む構えで
双腕に極限まで蓄えた力を瞬時に相手に叩き込む、所謂「居合い」。
その迅さは光を超え、
その威力は虹を砕く。
物理的な威力に限定すれば数ある車田の必殺技の中でも
最強の一撃の一つと言ってもいい。

一方サムライドライブは人知を遥かに超えた力を持つテニヌ選手が、
その俺理論で相手の打球を二つに割り文字通り倍返しする所謂「魔球」。
たしかに色々な意味で恐るべき必殺技ではあるが、その程度では到底
かの不条理の極みにして暴君、車田は倒せない。ならばどうする?
(…ゆで先生、アンタの理論、使わせてもらうよ。)
許斐はボロボロの体に僅かに残された全ての力を込めた。

(…先程の一撃で、車田先生のアンタレスは2つになっている。なら…)
「…手塚ゾーン。」
(このアンタレスを2つ同時にサムライドライブで叩く事で
 さらに倍にする!これで4倍!…そして!)
「うおおおおお!」
車田に直撃して跳ね返り、ロブが上がった状態のアンタレスを
許斐はあえてその場で待たずに一瞬ダッシュで前に出て、
(最後に通常の1.5倍のダッシュと!)
通常のスマッシュの打点よりかなり高い位置のアンタレス目掛けて
通常より高く、高く舞い上がり、
(2倍のジャンプで!)
そのラケットで正確にアンタレスを捉えた。
(車田先生!貴方を上回る2×2×1.5×2=12倍の一撃だ!)

「 サ ム ラ イ ド ラ イ ブ ・ ア ン タ レ ス !」


85 :サムライドライブ・アンタレスの解説:2008/07/09(水) 11:03:37 ID:sqDCYGhK0
つづく

・別に車田が1000万パワーで許斐が100万パワーと言う訳ではない。
 12倍なら勝てるってのは許斐の妄想と勢いでの発言みたいな。
・かがみは難しいよ。あとアニメと漫画はちょっと違うよ。
・忙しいと書く暇がなかなか見つからないよ。

86 :作者の都合により名無しです:2008/07/11(金) 13:50:22 ID:EWJKdxqn0
まさにテニヌ。気合と思い込みでパワーアップするのが少年漫画だからこれでいいのだ。
グレートホーンのアルデバランもいいキャラだったんだけど、十二宮編以後は徹底的に不遇だったな。
やはり………顔か。

らきすた(ラッキースターの略じゃなかったのね)がどうしても見つからないからDOGSのついでに取り寄せてもらうことにしたよ。
しかしなまじのエロ本よりタイトル書くのが恥ずかしかったよ。
面白い漫画でありますように。

87 :メロスのごとく:2008/07/13(日) 22:36:39 ID:x6IsHXtk0
久米田 おや?知らない内に板もスレも変わっていますね。
怜奈  そりゃそうよ。私達、何か数ヶ月放置されてたもの。
畑    あれ、そんな経ってました?
河下  ………
怜奈  あ、畑先生に河下先生も無事だったのね。
畑    無事って、大げさな。
怜奈  この類のSSはいきなり展開とか複線とか
     一切合財放置して消えるって事があるのよ。
久米田 メタですね。
怜奈  まぁね。で、ついでにこっちも今までの展開のおさらいを
     しておきたいんだけど。ホラ、前スレ少し前に落ちて
     今、私達が何してるか分からない人も多いじゃない?
畑    っていうか読んでる人がそもそもあまり…
久米田 畑君。
畑    はい。
怜奈  んじゃお願いね。
畑    …はい。では、えーテステス。それじゃ始めますよー。

88 :メロスのごとく:2008/07/13(日) 23:46:00 ID:x6IsHXtk0
ダンダンダダダダダン ダンダン ダダダ
久米田 (!)

チャラーチャラララーチャラーチャラララーチャラーチャラララー
チャラーララララーラーラーラーラーラー
怜奈  (何この80年代っぽい音楽?)
久米田 (ニヤリ)

〜〜〜〜〜〜 中 略 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

涙ーキスでーぬーぐーぅたぁー♪

「パンツ見せるのも仕事ですから。ただ見せれば
 人気取れる訳でもないですし。」
「…やっぱり貴方ってプロよね。ムカつく位。」

「えーと!女の人が!裸で!おっぱいとか!」
「痴女ですよ河下君!天下の集英社に痴女が!」

ロンリーウエーィ♪

〜〜〜〜〜〜 中 略 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

畑    ふぅ〜。まぁ、今までのおさらいはこんな感じで。
久米田 お見事です畑君。でも原曲を使わずあえて自分で
     アイドルソングっぽく歌い上げたのは何故ですか?
畑    今の僕はCV:白石涼子だからです。そもそも(ry
久米田 …成程。畑君、君の考えは分かりました。ですが(ry

怜奈  何言ってるかよく分からないが
     とりあえずお前ら黙れ。

89 :作者の都合により名無しです:2008/07/14(月) 09:19:46 ID:gO3EkgMX0
そういやこいつらも久しぶりだなってかお前らそのあらすじでいいのか?
えなり対ハムのアレを思い出すなあ。

そして白石女史なハヤテ君な畑君が歌うメロスのようにって破壊力ばつ牛ンなのは確定的に明らか。

90 :えなりの卵:2008/07/15(火) 09:36:29 ID:/g+LD6pC0
ここはとある山間部。普段ならビル街から少し離れた森林浴場として良さそうだが、
現在そこにいる者たちにはどうでもよい事だ。
そもそも、ついさっき戦でもあったように、少しばかり木がなぎ倒されているのだ。
そうして広くなった場所はヘリの着地に丁度いいとばかりに、えなり一行は森林に降り立っていた。
するべき事は唯一つのみ。片時も見逃すまいという監視カメラを撃ち落す為。
どうやってやるのかえなりが問う前に、福地は“口笛”を“レーザー”に変える能力で撃ち落し始めていた。
それに続けとばかりに、千道も羽根を手裏剣のように放つ。
えばらは何処からか取り出した傘をバイオリンに変えて、奏でるように衝撃波をぶつけていた。
えなりも手伝おうとしたが、生憎武器となる東はまだ眠ったままなので、3人の力に関心している福本の隣で
ただ眺めていた。

3人の攻撃により、瞬く間に監視ゴーレムは破壊された。藤真の悔しがる顔が目に浮かぶようだ。
そうしていると、破壊による騒音からか、はたまたエネルギーの充填が完了したからか、
目覚めた東がヘリから降りてきた。
「もう寝てなくていいのか」
「あれだけの消費分だったらもう大丈夫よ。第一さっきから五月蝿くて眠るどころじゃないじゃない」
「お前な、頑張ってるのにそれはないだろ」
東の愚痴に応えるえなりを横目に、福本は腕時計を何気なく見た。そんな自身の行為で、
彼はある事を思い出した。
「そういや、まだ飯食ってなかったな」
そんな一言に、えなりを含めた他の面子も空腹を思い出した。
「そういえば、お昼がまだだったのだわ」
「色々と大変だったから、忘れてたわぁ」
「僕も」
「なら俺が何か買ってくるっスよ」
彼らの様子を見て、福地はそんな事を言い出した。


91 :えなりの卵:2008/07/15(火) 09:39:31 ID:/g+LD6pC0
「いや、そんな悪いですよ。福地先生はさっきから働いてるじゃないですか」
「別にいいっスよ。皆何かリクエストはあるっスか?」
彼はえなりの気遣いに問題ないよ言うようにペンを片手にメモをとる体勢になっている。
「俺は缶ビールに焼き鳥」
「私はサンドイッチ一つね」
「私は万里と同じく、それに午○の紅茶」
「あら渋子、ペットボトルのお茶でいいの?」
「ここのところ、まともに紅茶が飲めてないから」
「なら私幕の内弁当」
「お前ちょっとは遠慮しろ。えっと、じゃ僕もお言葉に甘えてカツサンドを」
「了解っス。じゃあ近くのコンビニまで行って来るっスよ。『電光石火(ライカ)』!!」
途端に福地の足に木製のローラースケートのような物が装着される。そのまま彼は、滑る様に斜面を下っていった。

福地が出掛けてからしばらく、暇を持て余した一行は他愛もない話で盛り上がっていた。
そんな中、東が不意にこんな話題を持ちかけた。
「そういえばさ、あんたバンドのボーカルやってるのよね」
「そうだけど、なんでそんな事訊くんだよ?」
「いやさぁ、さっきの戦いで謳ってた時、練習無しだったのに上手かったなぁって」
「あら、えなりの歌ってそんなに素晴らしいものなの?」
「それだったら、私達も聴いてみたいわね」
「俺も聞いてて、なかなか良かったと思ったな。しかしそんな才能で借金持ちなんてな」
「それは言わないで下さい」
褒められて少し嬉しくなっていたえなりが、借金の事を聞いただけで途端に暗くなってしまった。
「世の中そう上手くいきませんよ。僕より凄い歌を歌える人が沢山いるのに……」
「あら、それは分からないわよ」
このまま行けば地球の核まで落ち込みそうだった気持ちのえなりに、えばらが言い出した。


92 :えなりの卵:2008/07/15(火) 09:41:27 ID:/g+LD6pC0
「確かに、今のあなたはまだまだだわ。けれど、これからどうなるかはやってみて初めて分かるのよ。
 それに、あなたの中には『心のたまご』があるはずよ」
「心のたまご?」
「自分がなりたいと思う自分が生まれてくる卵よ。今はまだ殻が割れていないけど、
 あなたの力になってくれるはずだわ。第一、あなたは歌が好きだから歌い続けているのでしょ?」
「……」
それは彼に深く考えさせる言葉だった。今まで自分は、
来てくれない観客や増え続ける借金に気を取られ、一番大切なことを忘れかけていたのかもしれない。
「心のたまご……か……」
誰かに言うでもなく、えなりは呟きながら考えていた。そんな時だった。

「みんなーっ、大変っスよーっ!!!」
突如、遠くの方から福地の大声が響いてきた。自身の神器『電光石火(ライカ)』により、
その名のまま仲間の元に到着する。
「一体どうした!?」
「そんなに急いで何事なのよ!?」
彼はえなりたちに、息絶え絶えに言い始める。
「さっきコンビニにいたら、小学館が襲撃を受けているって情報があったっス」
「小学館に襲撃!?」
「お昼食べてる時間はねえっス。至急ヘリで向かうっス」
彼が急がせるまま、一行は再びヘリに乗り込んだ。小学館に向かう為に。
悲しいことに、福地はその敵襲の中に安西がいる事を全く知らない。



93 :えなりの卵:2008/07/15(火) 09:48:50 ID:/g+LD6pC0
・やっとえなり達が書けた。自分怠けすぎだよ
 けどこれから一ヶ月確実に書き込めないんで、えなりは好きな様に動かして下さい
・『しゅごキャラ』結構面白いよ
・畑の姿がハヤテなら、女装ネタもまた一興

それと『らきすた』関係はどうなんだろうね
旧えなりの赤松みたいに、萌え漫画描きに一部厳しい部分あるしなぁ

そんなこと言う自分だが、旧えなりに出た佐々木少年と福地を戦わせて見たいと思ってたりする
エロゲの厨設定vs少年漫画の地味能力設定って感じで

94 :作者の都合により名無しです:2008/07/15(火) 10:56:43 ID:VIYVNfaR0
なるほど、しゅごキャラネタか。
だが一番の問題は主人公っぽく悩むえなりに強烈な違和感を覚えてしまったことだな。俺が。
旧版中期以降の呪縛は強力だぜェェェ

いわゆる萌え系は好き嫌いがはっきり分かれるからね。
まあ一度出してみて不評だったら竹本とかみなもととかヤマグチみたいに退場させればいいんじゃないか?
まあ俺が電波を受信した本人だからこう思うだけかもしれないけど。

あと、もし本当にやるなら佐々木よりも茄子茸(だっけ?)本人のほうが一発ネタとしては優秀かも。
確かに漫画家じゃないけれども、言動のアイタタぶりでは近年トップクラスとかいう噂を聞くし。

95 :作者の都合により名無しです:2008/07/15(火) 14:09:36 ID:zIqL/TF6O
えなりktkr今回はまったりとした雰囲気で和んだw
えなりの成長フラグが立ってて良い感じ。それにしても福地は働き者だなw
次回はやっぱり安西と戦うことになってしまうのかな。

96 :えなりの奇妙な冒険外伝 小学館の嵐:2008/07/15(火) 14:40:34 ID:VIYVNfaR0
小学館、週刊サンデー編集部前。
普段は漫画家や漫画家志望者や編集者で溢れ返っているここも、今日は異様な雰囲気に包まれていた。
資本的に集英社とある程度連動しているここは、集英社の『週刊少年ジャンプ』が襲撃を受けたとの報を受けてすぐに封鎖された。
しばらく前より秋田書店と泥沼の抗争状態になっておりサンデーも数度の攻撃を受けているためにその対応は素早く、
サンデー並びに小学館の関連施設全てから関係者以外の人間が閉め出されるまでにはさほどの時間を要しなかった。
だから、そこだけ不自然なまでに警備が薄い正面の大通りから五十人はいるであろう秋田と思しき暴徒が現れたときも、誰一人として動揺する者はいなかった。
なぜならそこは最大の罠であり、常人を、いや、並の漫画家を遙かに上回る力を持つ男、雷句誠が防衛していたからである。
もっとも当の雷句は先日無策な上層部により講談社へ単身突撃させられ、
窮地に陥ってなんとか帰還したと思ったらいきなり危険度最大の部署に配属されて胸中穏やかならぬ状態だが。

ともあれ、いくら雷句がベストの状態ではないと入っても相手は所詮努力も年期も足りないアマチュア集団である。
スピリッツの浦沢が『リハビリテーション』と揶揄したのもむべなるかな。
「やはり万一のことがないか心配だ」と言って雷句の元に向かった皆川が道化に見えるほどに力の差は歴然としていた。
皆川が雷句の元へたどり着くまでの3〜4分足らずの間に魔法すらほとんど使わず20人近くを沈め、「ようやく勘が戻ってきた」と涼しい返事をしたほどである。

だが、その直後に敵の増援が現れた。数は二名。
人数と反比例するように彼らの気配は禍々しく且つ強大で、間違いなくメジャー誌の看板クラスであろうことは容易く想像できた。
そして、二人のうち向かって右側の男の姿を認めたとたん、雷句の身に尋常ならざる戦慄が走った。
なぜなら、その男こそは彼の兄弟子、安西信行であったからである。

雷句が安西と対峙するのとほぼ同時にもう一人の男が皆川に十字手裏剣を投げつけ、戦闘が始まった。
昆虫を思わせるフルフェイスのヘルメットを被ったそいつは忍者、それも古典的な少年漫画に出てくる忍者を思わせる一流の体術と暗器の使い手で
昨夜の怪我と疲労が完全に治りきっていない皆川は苦戦を強いられる。

やや遅れて安西と雷句も戦闘状態に入るが、こちらはもう少し極端だった。
雷句は相手が安西ということで、生来の純粋で一本気な性格も手伝ってどうしても手が鈍り、加えてつい数刻前までの死闘(作者談)の影響も色濃い。
対照的に安西には全く手心を加えようなどと言う意志は見えず、むしろ同門であることが却って彼の歪んだ怒りに油を注いでいるかのようだった。

97 :えなりの奇妙な冒険外伝 小学館の嵐:2008/07/15(火) 14:42:02 ID:VIYVNfaR0
安西達が現れてから数分足らずで戦局は完全にひっくり返された。
皆川は仮面の男ZXの前に防戦一方、雷句は安西の執拗な攻撃に息も絶え絶えといった状況であった。
エンジェル部隊達はその間隙を縫ってサンデーへ進攻を再開し、まさに絶体絶命という状況まで小学館は追い詰められていた。
だが、あわやというその瞬間に皆川の賭けが功を奏した。
彼の発信し続けていたテレパシーを自らもテレパスである椎名高志が受信、同行していた高橋留美子と藤田和日郎までも連れて現れたのである。
そしてそのまま藤田は雷句をかばう形で安西と戦闘開始、椎名はどう見ても危険性レッドゾーンな連中の相手は御免と雑魚の掃討を始め、
留美子は皆川に加勢してZXと対峙した。
これで機運は再びサンデーに向くかと思われたが――


「まずいな……。」
サイコキネシス(観念動力)で秋田の雑兵(正体は講談社のエンジェル部隊)を数人まとめて吹き飛ばしながら、誰に言うともなく椎名が呟く。
一部の隙なく着こなしていたであろう高級そうなスーツは土と木の葉と埃にまみれて数十年着た切り雀だったかのように見え、シリアスにしていればそれなりに整った顔も焦燥が色濃い。
数分前に皆川からのテレパシーを受信し小学館に急行したのだが、なにぶん三人ともつい先程まで戦闘していたため疲労困憊である。
椎名は直接戦闘に参加していたわけではないが、かなり長距離かつ長時間のテレポートを繰り返したため疲労の度合いは留美子や藤田とさほど変わらない。
平時なら同人崩れの雑魚など何十人かまとめて戦闘不能にするほどの威力を持つサイコキネシスも本来の力を発揮出来ていない。ギャグとシリアスの中間っぽく吹き飛ばすのがやっとだ。

しかしそれでも、椎名は相手の質という意味では最も負担が軽い。
だから周囲の状況や今後の戦況などに頭を回す余裕があるのだが、
(やばい……やばいぜ留美子センセエ……不都合な真実しか見えやしねえーーーー!!)

「何でだよおオイ!!!藤田ァ!! あんたは、あんただけは俺の味方なんじゃあなかったのかよ!!!
応えろよ!!応えてくれよォ!!!」
「ああ。僕は君の味方だ。弟子を裏切るような師匠なんて、いるわけがないじゃないか。
だから、ここで君を止める!! 留美子さんが、僕にしてくれたように!!!」
「仲間になっている」と聞かされていた藤田が敵として現れたことで、安西の精神は非常に不安定な状態にあった。
心のタガが外れかけ、暴走する一歩手前である。
「意味わかんねえ事を言うんじゃねえ甲羅ァ!!チェンジARM、ダガー!!」
「わからなくてもいいさ。僕は口下手だから、行動で示す!!聖ジョルジュの剣!!」
対して藤田は、いつもと変わらぬ鋼鉄のようであり流水のようでもある光を放つ目で安西を見据えている。
だが、後ろに引いた形となった雷句には、二人の現在の状況は見た目通りのものではないことがわかってしまった。

98 :えなりの奇妙な冒険外伝 小学館の嵐:2008/07/15(火) 14:42:49 ID:VIYVNfaR0
安西は自身の肉体や精神を破壊しかねないほどの力が内面で底流となって渦を巻いており、
藤田は眼光こそいささかの衰えも見せないものの体力、精神力ともに砂利道を走ったタイヤの如く摩耗している。
「藤田殿……!!安西……!!
頼むっ! 虫のいい願いなのだろうが……死ぬな…!!!」

留美子の花火爆弾『八宝大火輪』と、仮面の男ZXの膝蓋に取り付けられていた『衝撃集中爆弾』が空中でぶつかり合い、爆風が留美子、皆川、ZXを覆う。
「皆川君、大丈夫かしら?」
「ええ。お久しぶりです留美子さん。
助かりましたよ。正直、もうだいぶ駄目かなと思いましたから。」
小洒落たTシャツは埃にまみれ、所々ほつれや破れのみならず刃物によるとしか思えない傷や、まだ真新しい赤い染みが付いている。当然、それを着ている皆川の状態も推して知るべしだ。
だが、先日の怪我や疲労が残っているのに加え、テレパシーを使いながらZXと戦っていたのだ。この程度で済んでいると言うべきなのかもしれない。
「駄目よ、そんな弱気じゃ。勝てると思ってない人間が勝てるわけはないわ。
……ところで、こいつは何物?」
まだ緑色のビキニ水着としか言いようのないコスチュームのままの留美子が言う。ちなみに親指程度の太さがある鋼線っぽいものが上半身に何本か絡み付いていてなかなか扇情的だ。
適度に筋肉が付いた白い腕が指す先には、徐々に晴れてきた爆煙の中を焦るでもなく怯えるでもなく、高揚するでもなく、ただ隙なく歩いてくるZX。
「いや、それがさっぱり。大方秋田書店の刺客なんでしょうけど、まったく読めないんですよ。
ロボットとかそういうアレじゃなさそうですけど、心が閉ざされているというか空洞というか……」
「そう……。何だか、嫌な感じね。何だか、誰かの泣き声が聞こえるみたい。」
半ば独り言のように呟きながら構える留美子の足が、僅かに震えている。
恐れではない。限界まで駆動する身体に蓄積された損耗が、ついに脳の下す命令を実行できなくなる危険水域を超えたのだ。
『るーみっく・わーるど』も今度こそ本当に発動できない。
つい数十分前まで藤田和日郎と命懸けの戦いをしていた彼女もまた、皆川に負けず劣らずの満身創痍であった。


そして数分の後、椎名の見た最悪の幻視はまさに顕現しようとしていた。
すなわち、留美子と藤田、そして椎名が加わってもなお、天秤は彼らに傾こうとはしなかった。
むろんそれは彼らが皆今立っていられるのが不思議なほどの死闘の直後であったこと(約一名例外)が大きいのだろうが、
それはルールの不在こそが唯一のルールである戦いにおいては考慮されてはならないものだ。

99 :えなりの奇妙な冒険外伝 小学館の嵐:2008/07/15(火) 14:43:54 ID:VIYVNfaR0
椎名は数を頼みに圧す敵兵の足止めで手一杯であり、他を助けにこの場を離脱するなど不可能だ。
留美子と皆川は一切の感情とそして感覚までも何処かへ置き去りにしてきたようなZXの戦い振りに苦戦を強いられている。
藤田は半ば正気を失いかけた安西の暴力的な攻撃を受けて防戦一方。雷句は蓄積されたダメージが大きくまだ戦える状態にない。
要するに、打開策の見つからない絶望的な消耗戦である。


その戦場に飛び込んでくる鋼鉄の咆哮を最初に聞きつけたのは、あろうことか安西であった。
「なんだ……この空間を打ち鳴らすような重低音は? まるでスピードメタルのドラムロールだ!!」
音というものは、普通考えるより強く記憶と同期している。
雑踏の中でたまたま耳に入った言葉なり音楽なりが脳の深層に眠っていた遙か昔の出来事を思い起こさせることも、珍しくはない。
本能的な意識が全面に顕在していた安西が、普段傾倒していたメタルを思わせる音を耳にして一瞬自失したとしても、何の不思議があろうか。
そしてその一瞬に、安西の意識はバネ仕掛けのように激しく揺さぶられた。
「駄目じゃないか安西。漫画でもなんでも、途中で他のことに気を取られちゃあさ。」
藤田の剛拳がこめかみに砲弾を思わせる速度と威力で叩きつけられていた。
「ぐうっ……し、師匠………藤田ァ……!!!」
さすがに戦闘不能までは至らなかった安西が再び藤田に殺気を叩きつけたが、確かにこの瞬間から天秤は動きはじめた。
藤田の後ろでゆっくりと、だが確実に、雷句誠が立ち上がりはじめたのもその一つ。

「なんだ……あれは?自動車……いや、バイク…なのか!?
あんな化け物バイクが、存在するのか!!」
次にその姿を認めたのは、皆川。
なるたけ挟撃の形にするべく痛む身体に鞭打って動き回っていた彼の目が、彼方の黒点を見定めた。
昨日まで、そして恐らく明日からは数限りない車と人で埋め尽くされている大通りも今は封鎖のため閑散としており、その車らしき物は奇妙に場違いに思えた。
いや、たとえ平時であったとしても、このバイクは明らかに『ここにあるべきではない物』に見えただろう。
それは一見したら幅狭のバギーかと思うような、怪物自動二輪だった。
もしかすると自動二輪という言い方も不適当かもしれない。
深いモスグリーンのボディを持ち、ノーズに『07』と白地で刻印されたそのバイクには、前輪が二つあった。
悪路での戦闘を前提として制作された事を示す、兵器の証である。
重量1トン、排気量3000、カウルはフルセラミックで出力は20000rpmを軽く叩き出す。
武装はノーズから戦車の主砲のように生えた40mmライフルと、戦闘機のそれを彷彿とさせるリヤウイングに取り付けられたミサイル。
昨今の緩いバトル漫画家たちが夢想するアイテムとは明らかに一線を画す、戦争のために作られた『兵器』であった。
そいつが猫科獣の吠えるような排気音を奏でながら、幅50メートルはある幹線道路を埋め尽くすような威圧感をばらまいて近付いてくる。

100 :えなりの奇妙な冒険外伝 小学館の嵐:2008/07/15(火) 14:46:25 ID:VIYVNfaR0
乗物オタクでもある皆川がその野性的なフォルムと、舗装道路を走っているだけなのに躍動するかのような活き活きとした動きとに目を奪われていたとき、
ぐんぐん大きくなる化け物バイクの上で立ち上がる人間がいた。
短く切りそろえられ、いかにも少年漫画の主人公といった感じに後ろへ逆立った茶髪の中に二筋だけ鮮やかな赤毛の混じるその男が、
カッターシャツの上から結んだネクタイが風を受けて激しくはためくのも構わず何事か叫んでいる。
「だ、誰!? あんなバイクに乗って、いえそもそも今この場に現れるなんて漫画家以外ありえないけれど、あんな物を持ってる知り合いはいないわ!!」
ZXの攻撃を必死で捌いている留美子の脳内に、最悪の仮説が浮かぶ。……知り合いでなければ味方である可能性は低く、味方でないのならばこの状況で現れる以上敵でしかありえない。

しかし、幸運にもその想像は外れた。
何やら特撮ヒーローのようなかけ声と派手なジャンプから留美子たちとZXの間に跳び蹴りの動作で割り込んだ男は、こう言った。
「小学館ってのは、どっちだい? SOSが聞こえたから、助けに来たんだけど……」

いつの間に着替えたのか、競泳用水着のような光沢のある黒いSFスーツの上から青のロングコートを羽織ったそいつの名は、長谷川裕一。


謎の乱入者に大きく救われた感のある四人に比べ、椎名は少しだけ星の巡りが悪かった。
男(長谷川)が飛び降りたあともバイクの速度はまったく落ちず、雑兵の群れへ、つまり椎名のいる方向へ真っ直ぐ突っ込んできたのである。
「うわあああああ!!こ、殺す気かあああぁぁぁっ!!!」
とっさに三メートル程度テレポートして轢き逃げアタックは避けた。
が、まだ避け方が甘かった。
ほっと一息つこうとした椎名に向けて――実際には椎名を狙ったわけではないのだろうが――羽の付いた筒状の物が煙を吐きながら飛んできた。
「み、みさいる……… ? 」
本来対戦車用として開発されたそれの威力は凄まじく、着弾地点が軍団からだいぶ離れた場所であったにもかかわらず
殆ど全員(椎名含む)を吹き飛ばし、さらに10人以上(椎名含まず)を戦闘不能にしてしまった。

「チクショウ……敵の新手か!?味方ごとぶっ飛ばそうなんて、悪趣味な外道め!!」
悪態を付きながらなんとか椎名が起きあがると、先程の大惨事を巻き起こしたバイクの化け物がUターンして彼へ向かってきた。
「やる気かてめー!!上等だ、相手になってやんよ!!!
俺あこれでもサンデーの看板張ってんだ!!かかってきやがれ下衆野郎!!!」
椎名は既に両手にサイキックエネルギーを集めて気合十分だったが、突然相手のバイクが止まった。
何事かと少々面食らっていると、長身の男が鉄の馬から飛び降りた。どうやら長谷川だけでなくもう一人乗っていたらしい。
「こっ……こいつは………!!!」

101 :えなりの奇妙な冒険外伝 小学館の嵐:2008/07/15(火) 15:02:14 ID:VIYVNfaR0
「すまなかった。あの中に小学館側の人間がいるとは思わなかったものだから……。」
その男の口調は穏やかで本心から謝っているようだったが、椎名の全身が『こいつは敵だ』と声を限りに叫んでいた。
長身にぴったりとフィットした赤い軍服の上からでも引き締まった体躯が見て取れ、スポーツサングラスをかけた顔は嫌味なまでに整っている。
その上一挙手一投足にカリスマというかなんというかオーラっぽいものが漂い、詰まるところ町中を歩いていたら黄色い嬌声が上がること間違いなしの優男であった。

椎名がこの男を敵と断じたのは、要するに嫉妬である。
(今のうちにこいつを抹殺せねば……!! 遠からず俺に害をなすっ!)
そう感じて霊波刀を振りかざし男に斬りかかったが、あっさりと赤く光る剣で受け止められた。
「なんだ…?やはり、敵なのか?
私は小学館を助けに来たのだ。君がサンデーの漫画家だというのなら、その剣を仕舞いたまえ。」
男の声には静かながらも空気が倍の密度になるような威圧感があった。
『戦えば死ぬ!』椎名の本能はそう告げていた。

「い、いや……それならいい。こちらこそ済まなかった。
見ての通りの状況だからな。誰かは知らないが、協力してくれるというのならお願いするよ。」
コロコロと秋の空より速く態度を切り替えられるのも、見ようによっては椎名の特技と言えなくもない。
今は勝てないとわかったとたんに平謝りし、改めて協力を要請する。まさに電光石火の早技である。
「なに、わかってくれればいいのだ。こちらも誤解されるようなことをしてしまったからな。悪かった。
私は安彦。安彦良和だ。いわゆるマニア誌を中心に活動させてもらっている。
もっとも今は一つの長編にかかりっきりだがね。とにかく、よろしく頼むよ。」
どうやらそれが功を奏し、和解には成功したようだ。
「まずは、ゴチャゴチャとうるさい雑兵どもから片付けるとするか!!」
右手にビームサーベル、左手にギリシャ風の剣を構えて安彦が叫ぶ。
「安彦良和……どっかで聞いたような気がするなあ。まあいいや。俺は椎名高志。サンデーの漫画家さ。」
内心胸を撫で下ろしている椎名。
「そんじゃあ一丁……共同戦線といくかぁ!!
こんな二束三文の雑魚はさっさと倒しちまって、向こうの留美子さんたちに加勢しねえとな!!」
こちらは右手にサイコエネルギー、左手にサイキックソーサーを浮かべて吠える。

102 :えなりの奇妙な冒険外伝 小学館の嵐:2008/07/15(火) 15:04:57 ID:VIYVNfaR0
太陽は中天に座し、都会特有のアスファルト臭を含んだ暑い風が吹き抜ける。
人気の無い大都会などという矛盾した地に立つ者9+30人ぐらい。

藤田和日郎・雷句誠VS安西信行。
皆川亮二・高橋留美子・長谷川裕一VSZX(村枝賢一。)
椎名高志・安彦良和VSエンジェル部隊×約30人。

そして――打ち合わせていたわけでもないのに、まったく同じタイミングで全員が動いた。
聖ジョルジュの剣とダガーソードが火花を散らし、
長谷川とZXが二言三言のやりとりの直後上空に飛び、
安彦と椎名が各々の武器で兵士を叩き伏せる。


今ここに、最悪の大乱闘勃発。と書いて野球を思い出す人ってどれぐらいいるんだろうか。

――――――――――――――――――――――――

・最後とか言っておきながらこのままいくとあと二回ぐらい書かないと収まりそうにない感じ。
・横島と皆本が混じり合ってどうにもシリアスモード椎名がうまく書けない。
・今回安彦と長谷川はだいぶマイナーどころからネタを持ってきてるんで、使い辛かったら適当に換装させといてくださいな。
・そういえば、いわゆる萌え系は不遇といっても畑とか河下とかは結構愛されてる印象を受けるけれども。
・MTGでも歌でもない題名を付けるのは久々だな。

103 :おまけの人々:2008/07/15(火) 22:00:36 ID:Q9L11kX90
それは、恐るべき闘争が幕を開けた小学館から
かなり離れた講談社の一角にて。

畑    だから!何度言えば分かるんですか師匠!アイドル声優はただのアイドル崩れとは
     違うんです!アイドルと声優!両方の魅力を備えたそれがアイドル声優なんですよ!
久米田 それが逃げだと言うのですよ畑君!私は見てきたのです!所謂ブームで祭り上げられ
     実力も無いまま持て囃され、努力もせずに漫然と活動を続け、ブームが去った後には
     何も残さずに姿を消したそのような連中を幾人も!
畑    そうした連中と今のアイドル声優は違います!
久米田 何が違うと言うのですか!昔も今も世の真実はそう変わる物ではありません!

怜奈  …ねぇ、河下先生。
河下  はい?
怜奈  あの二人、殴り飛ばしてもいい?畑先生が何かオタ臭いアイドルソング歌ってから
     いきなりアイドル声優とやらについて議論始めてかれこれ30分、正直ウザイわ。
河下  ダメですよ。いくら何でも暴力はちょっと。
怜奈  ってか今、アンタら戦闘中でしょ?ちょっとくらい仕事しなくてもいいの?
河下  私達の仕事はバックアップですから。何かトラブルが無い限り仕事は無いんですよ。
     ほら、今の所モニターにも計器にも全くもって異常なし。
怜奈  まぁ、それならそうなんだろうけど…。
河下  「知らせが無いのは良い知らせ」、のんびりしてましょう。
怜奈  まぁ、そうね…で、あの二人殴ってもいい?
河下  ダメですってば。


そして講談社のまた別の一角にて。

もこな ちぃ?
大川  何かあったの?
もこな …ちぃ。
大川  何も無い?ならいいじゃない。赤松君と私達の計画が
     上手く行ってるって事なんだから。今の所は、ね。

104 :おまけの人々:2008/07/15(火) 22:33:11 ID:Q9L11kX90
もこな ちぃ!
大川  違和感?何か?
もこな ちぃ。
大川  …小学館と集英社の両者を相手にしている割に
     状況があまりに万全過ぎる、か。
もこな ちぃ。
大川  分かった。情報操作の可能性を考慮しろって事ね。
     まさか貴方にその分野で一杯食わせるような漫画家が
     存在するとは思えないけど、一応チェックしておくわ。

                                   つづく

・いきなりスレが進んだなぁ。何とも驚いた。
・落とし神を出そうと思ってやっぱりやめた。
・集英社どう動かそうかな。

105 :作者の都合により名無しです:2008/07/16(水) 12:57:11 ID:+nUlPto3O
長編乙
これは熱くなりそうだw大人数を動かすとはスゲー
久米田と畑自重しろwww

106 :作者の都合により名無しです:2008/07/16(水) 22:18:26 ID:Y2+qUD1l0
藤田は某ジュビロや単行本の後書きでのキャラが強烈すぎて、どうしても「僕」呼ばわりにとてつもない違和感があるな

107 :小学館の乱闘より前の事件と考えておくれ:2008/07/17(木) 23:10:06 ID:GDLJiQ/80
和月  「こ…」
鳥山  「これは!?」

   ゴールドクロス
 「「 黄金聖衣 の 欠片!」」


新生 えなりの奇妙な冒険 第二部
第19話 親愛なるテニスの王子様、許斐剛へ その@


鳥山  「オメエの言ってた車田の反応ってのはコイツの事か。」
和月  「あぁ。聖衣の中に残された小宇宙が反応してたって訳だ。
      これならさっき先生がギャリック砲を喰らわせても反応が
      全く変わらなかったことも説明が付く。」
鳥山  「って言うと?」
和月  「つまり黄金聖衣は悠久の時に及ぶ神々との戦いを経て完全には
      破壊された事がない程に頑丈ってのは嘘じゃなかったって事だ。
      小宇宙は多分装着してる内に自然に強く染み付いたんだろう。」
鳥山  「成程…じゃ、何でそのバカ堅い聖衣が壊れてんだ?」
和月  「今の時点じゃ俺にも全く見当も付かないな。まぁ取りあえず
      コイツを持って帰ってみっちりと調べてみるしかないな。」
鳥山  「許斐の方は?」
和月  「そっちは相変わらず手掛かり皆無、チリ一つ見つからないな。
      レーダーはフル稼働しているんだが…っと、本社から連絡?」

登場人数:0
退場人数:0
現在の人数:58/60

108 :作者の都合により名無しです:2008/07/18(金) 10:00:49 ID:hNLYqd100
>>103
相変わらずオタク全開な師弟が最高過ぎ。
一人醒めてる玲奈もいい。

>>107
直情径行型の鳥山と苦労人な和月がいい感じ。
旧版では見られなかった『まともにヒーローやってる和月』にも期待したかったり。

>>106
富士鷹はまあアレだけども単行本のあとがきでは『僕』が多かったと思うんだ。
まあこればかりは個人個人のイメージに左右されるんでどうしようもないけど。
とりあえず俺の中での藤田は一人称僕です。

109 :小学館の乱闘より前の事件と考えておくれ:2008/07/20(日) 03:19:29 ID:cDAkKDkX0
吉富 さあ、はじめるザマスよ。
光原 いくでガンス♪
高橋 フンガー
許斐 まともに始めんかこのバカ共!

新生 えなりの奇妙な冒険 第二部
第19話 てに☆ぷり そのA

許斐 違ェ!

新生 えなりの奇妙な冒険 第二部
親愛なるテニスの王子様、許斐剛へ そのA

許斐 …ったく。
光原 まあまあ。
吉富 それじゃ、続きね。前回アンタがよく分かんない理論で
    何かインチキ臭い超必殺技出した訳なんだけど、
    車田先生も腕組んだ状態から凄い技出してきたんだ。
許斐 …具体的な描写とかは?
吉富 メンドいからパス。
許斐 おい。
吉富 アンタらの技がどの位トンデモだったかってのは、
    まぁ、これを見てもらえば一目瞭然だね。

許斐 …えーと、何?鳥山先生と和月先生と…クレーター?
光原 あなたと車田先生の技が正面衝突した余波で出来た穴よ。
    鳥山先生と和月先生はそれを調べに来ただけ。
許斐 本当ですか?
光原 断言してもいいわ。あのテニス、すごいのよ。
許斐 ひゃあ。
吉富 つーか、あり得ぬだろう。

110 :小学館の乱闘より前の事件と考えておくれ:2008/07/20(日) 03:57:20 ID:cDAkKDkX0
高橋 説明を続けようか。
許斐 あ、あぁ。
高橋 端的に言えばお前と車田の技は互角で均衡状態に入った訳だ。
    お前達の言葉で言えば「千日戦争」だな。
許斐 …。
高橋 で、ここからが問題だ。かのジャンプの新旧看板作家同士が
    全力で戦って発生したこの「千日戦争」、それに干渉するには
    どう考えても人知を超えた超パワーのような物が必要な筈だ。
許斐 まぁね。
高橋 だが、これを見て欲しい。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

車田 (黄金聖衣が砕けた!?この戦いの中で人を超え俺を超え、
     神の域にまで辿り着いたというのか、許斐剛!)
許斐 うおおおおお!
車田 この…車田正美が!ぐ…おおおお!
許斐 うおおおお!行けえええ!

    タ ー ン

許斐 …へ?
車田 …許斐?
許斐 ……!
車田 …許斐!許斐!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

許斐 …何だこれは?
光原 描写が分かり難くて御免なさいね。まぁ、要は車田先生を
    あと一歩のところまであなたが追い詰めた所で…
吉富 謎の第三者に脳天を打ち抜かれたって事だよ。

111 :小学館の乱闘より前の事件と考えておくれ:2008/07/20(日) 04:13:04 ID:cDAkKDkX0
許斐 馬鹿な!あり得ん!
高橋 そう。まさしくあり得ない。あの状態のお前達二人に
    気取られる事無く狙撃を遂行する事もあり得なければ
    只の銃で、しかも今の銃声から推測するに恐らく
    本来狙撃用ではない銃を用いてジャンプ看板作家を
    狙撃、殺害する事もあり得ない話だ。

許斐 …どういう事だ!
高橋 詳しい事は分からない。が、
吉富 アンタは死んだ。
光原 もう元へは戻れない…って事だけは確かね。

登場人数:0
退場人数:0
現在の人数:58/60

112 :作者の都合により名無しです:2008/07/20(日) 10:47:38 ID:bFuopMH0O
もしやゴルゴ?www

113 :作者の都合により名無しです:2008/07/20(日) 21:05:55 ID:3yskSkpd0
この手の展開最近少なかったから楽しみ。
新キャラ枠を空けて待ってます。

114 :小学館の乱闘より前の事件と考えておくれ:2008/07/21(月) 10:22:40 ID:ZbuJ50KM0
全てが終わった後、何処かのサバンナで車田はパチパチと音を立てて
燃える焚き火を、板垣と共にぼんやりと見ていた。

新生 えなりの奇妙な冒険 第二部
親愛なるテニスの王子様、許斐剛へ そのB

車田は思う。
結局俺は、また肝心な所で何も出来なかった。
手代木が時空の間に消えた、あの時と同じだ。
神に最も近い漫画家の一人だ?俺が?笑わせる。

今の俺は姿も見せずに許斐を殺した奴の微かな殺気に
心底怯え、尻尾を巻いて逃げた、惰弱な腰抜けだ。
まるで男として認められない、只の屑だ。

「酷い面じゃねぇか。車田。」
ぼそりと正面の板垣が呟く。
「お前に言われたくは無いな、板垣。」
同じくぼそりと車田も返す。
「そりゃ俺の面は酷ぇ事になってるさ。思いっ切り殴られたからな。
 だがお前さんのはそういう問題じゃねぇ。何だその面は?」

板垣がずい、と車田に顔を寄せた。
「お前さんのその湿気た面構えだよ。何時ものお前さんの
 無駄に自信に満ち溢れた、フッとかフンとか言葉の端々に
 無駄に付いて来る、あの鬱陶しい面構えは何処行った?」

だが板垣の若干挑発的な言葉にも車田は黙して答えない。
「…ったく、仕方無ぇな。まぁいい。奴が戻って来たら飯だ。」
そう言うと板垣は顔を引っ込めた。

人気の無い草原でパチパチと音を立てて焚き火が燃えていた。

115 :作者の都合により名無しです:2008/07/21(月) 13:19:02 ID:K+K3o3w80
この組み合わせ好きだな
基本的に義や男らしさを規範とする故に迷ったり後悔したりする車田と、己のエゴに忠実で一切の迷いが無い板垣
旧のときは理性の荒木に本能の板垣というコンビが好きだったが、こっちもなかなか

116 :小学館の乱闘より前の事件と考えておくれ:2008/07/21(月) 13:41:21 ID:ZbuJ50KM0
しばらくして彼方から途方も無く巨大な獣を
担いだ男がゆっくりと歩いてきた。

全身はち切れんばかりの筋肉と頬に刻まれた三本の疵、
落ち武者のようなボサボサの髪に鋭い眼光が印象的な
その男に、車田は何故か懐かしい物を感じた気がした。

「遅れて悪いな、板垣の旦那。」
「いいって事よ。それより飯だ。」
男と板垣は気さくに言葉を交わす。二人は親しい間柄のようだ。
「あぁ。…で、このお方が何で旦那とここに?」
男はそう言って獣を地面に下ろすと、車田の方を向いた。

「まぁ、色々あったんだよ。」
「もう少し分かり易く頼むよ旦那。…っと、お久しぶりです車田先生。」
ニヤニヤしながら話をはぐらかす板垣を軽くあしらって
男は車田へと丁重な挨拶を続ける。
しかし、どうしても車田はその男に見覚えが無い。
車田は酷く当惑した。

「オイオイ、コイツはお前さんの元同僚なんだぜ。
 まさかド忘れしたんじゃねぇだろうな?」
「仕方無いか。俺も昔と比べて少し見た目が変わってるからなぁ。」
少し見た目が変わった元同僚、その言葉で記憶を辿るも
やはり車田は目前の野生的な男に見覚えは無かった。

「ヘッ、日頃第六感だのセブンセンシズだの言ってる割には勘が鈍いな。
 まぁ、いいか。俺の方から紹介してやるよ。」
その言葉に少し落胆した様子の男を差し置いて、板垣は言葉を続けた。
「こいつは島袋、島袋光俊。元集英社の漫画家だ。」

馬鹿な……!?

117 :小学館の乱闘より前の事件と考えておくれ:2008/07/21(月) 13:56:19 ID:ZbuJ50KM0
違う。俺の記憶の中の島袋はこう、眼と鼻の穴が極端に大きくて、
胸毛が濃くて脚が短くて、不条理な体付きをした男の筈…

「何だその顔?言うだろ?『男子三日会わざれば克目して見よ 』ってな。
 馬鹿して集英社追い出されてから色々あったんだよ。この馬鹿にもよ。」
「馬鹿は無いだろ、旦那。ってかそっち系はアンタの方がずっとアレだぞ。」
驚愕を隠せない車田を差し置いて、二人の雑談はダラダラと暫く続いた。

そしてそのダラダラした会話に一区切り付いた頃、板垣は腰を上げ、
「まぁいい。飯にするぞ。肉は俺が焼くから二人共少し待ってろ。」
そう言って素手で肉を切り分け、焚き火の上にそっと肉をすえた。

人気の無い草原でパチパチと音を立てて焚き火が燃えていた。
人気の無い草原でジュウジュウと音を立てて肉が焼けていた。


特別出演 島袋光俊(ちょっとしたらすぐ退場させる予定)

118 :作者の都合により名無しです:2008/07/21(月) 14:26:44 ID:ZbuJ50KM0
いかん。字、間違えた。
島袋光俊→島袋光年(しまぶー)

119 :作者の都合により名無しです:2008/07/21(月) 14:43:46 ID:GmubcH96O
しまぶーktkr
まさかこいつが出てくるとは予想外だ

120 :作者の都合により名無しです:2008/07/21(月) 20:02:41 ID:6dGzQRv60
上の人も言ってるけど板垣と車田の対比がいい感じ。
当然サバンナは夕暮れ時で遥か左手にバオバブの木が見えますね?

121 :作者の都合により名無しです:2008/07/27(日) 11:51:55 ID:nKB9uGRq0
ガプッ
モニュ…モニュ……
ゴクッ
ガッ
モニュ…モニュ……

新生 えなりの奇妙な冒険 第二部
親愛なる焼肉の王子様、許斐剛へ そのC

焚き火を囲んで三人の屈強な男達が肉を喰っていた。
何物とも知れない、巨大な獣の肉を、
ただ軽く塩を振って焼いただけのその肉を、
男達は何も言わずに、ひたすらに喰らっていた。

本当に旨い物を喰うとは
賞賛も、
反応も、
薀蓄も、
その他全ての不純物をも必要としない、神聖な行為だった。

しばらくして山のようにあった獣の肉が尽きた。
我に返ったようにほぼ同時に顔を上げた三人は
お互いの顔を見て、思わず笑ってしまった。

「…オイオイ何だその面は、車田も島袋も?酷いったらありゃしねぇ。」
「…ヘッ、そういう旦那こそ、唯でさえ不細工な面がグシャグシャだぜ。」
「…フッ、どうやら先程とは別の意味で俺の弟子達やファン達には
 見せられぬ面になっている、と言う事か。こういうのも久々だな。」

肉を喰っている内に思わず流れていた滝の様な涙を拭おうともせず
男達は腹の底から笑った。
人気の無い草原でパチパチと音を立てて焚き火が燃えていた。

122 :作者の都合により名無しです:2008/07/27(日) 12:17:05 ID:nKB9uGRq0
ひとしきり笑ってから、男達は横になって空を眺めていた。

とびきり旨い物を腹一杯食った後のこの幸せな時間を、
闘争も、
対立も、
立場も、
その他あらゆるこれまでの煩わしいゴタゴタも全て忘れ
この静寂を男達は満喫した。

しばらくして、島袋が口を開いた
「で、これからだけど板垣の旦那。」
「何だ?」
「…俺と一緒に一緒にグルメ漫画、やってみないか?」
その言葉に思わず板垣は目を丸くする。
「グルメ漫画ァ?」
「そうさ。世界のあらゆる美味を求めるグルメハンターって奴さ。
 旦那と俺なら料理漫画界のトップ、取れるぜ。」

島袋のその言葉に板垣は少し躊躇いの表情を見せた。
だが、すぐに右手を左右に振った。
「ないない、それはない…ってか。」
「俺の知り合いにゃ料理漫画家も多くてな、俺が本気出したら
 あの中華料理バカに和食天然素材バカが路頭に迷うだろ。」
「……」
「それによ、今の俺は集英社してみりゃ不倶戴天の敵だ。お前が
 俺と手ェ組んだ時点で干されちまうだろうが、このバカ野郎。」

「そっちが本音か?相変わらず素直に物が言えないんだな、板垣。」
横から車田が口を挟む。
「うるせぇよ。」
車田の言葉を受けてか、板垣は横になったまま身をよじり、
車田と島袋の二人に背を向けた。

123 :作者の都合により名無しです:2008/07/27(日) 12:51:46 ID:nKB9uGRq0
「少なくとも集英社に戻ったら俺たちはお前の敵なんだぜ、島袋。
 今ここで闘りたいんなら好きにしな。」
背を向けて横になったまま、板垣は島袋へあっさりと衝撃的な言葉を告げる。
「フッ、敵か。そうだな、俺と板垣は今日集英社を襲撃したばかりだからな。
 集英社の人間にしてみれば不倶戴天の敵だな。」
車田も相変わらず横になったまま、同じくあっさりと衝撃的な言葉を告げた。

「敵…。」
その言葉を心の中で反芻しながら島袋は少し両腕に力をこめる
しかし、すぐにふっとその力を抜いた。
「いいのか?」
「ああ。旦那はともかく車田先生が動くのは何か理由がある筈だ。
 今ここで闘ってそれを聞き出すってのも無い訳じゃないけど、
 まだもう少し様子を見てからにしておくさ。」
そう言うと島袋は目を閉じた。
「ただ覚えておいてくれよ、旦那、車田先生。集英社の命令があれば
 アンタ達二人にも容赦無しだ。そんじゃお先にオヤスミ…」

島袋が寝静まった後、車田と板垣はぼそぼそと話を続ける。
「で、これからどーするよ車田。」
「俺はまず出来の悪い馬鹿弟子達を回収しに行く。お前はどうだ板垣。」
「特に無いな。いつも通りぶちのめしたい奴をぶちのめしに行くだけだ。
 赤松のガキでも年増の留美子でも安彦のジジイでも猿渡の馬鹿でも
 青山の豚野郎でもどれでもいいのさ。まぁ、移動手段はお前だが。」
その言葉に車田は苦笑を浮かべた。

「ま、どっちにしても全ては明日からだ。寝るぞ、車田。」
「ああ、そうだな。」
そう言うと二人とも目を閉じた。

人気の無い草原でパチパチと音を立てて焚き火が燃えていた。

124 :作者の都合により名無しです:2008/07/27(日) 13:01:12 ID:nKB9uGRq0
登場人数:0
退場人数:0
現在の人数:58/60

・翌朝、日が登る少し前に板垣&車田は聖闘士カードを残して
 どこかに消えてたとさ。
・それを見たしまぶーは苦笑いを浮かべていつもと同じように
 狩りに行ったとさ。
・というわけで車田&板垣がテキトーに動ける状態になったよ。
・怪我は肉を喰ったら治るぞ。スゴいね、人体。

125 :作者の都合により名無しです:2008/07/27(日) 14:06:37 ID:cbM0tjm70
相変わらずこの二人いいなw
最初は悪役っぽかったが、最近はむしろ強大で胡散臭い集英社や小学館に立ち向かう、孤高の男達ってイメージに

126 :作者の都合により名無しです:2008/07/27(日) 19:17:44 ID:sCJhbBCe0
いいねえ、内容もさることながら叙情的?な文章が上手い。
悩みまくって結局わけのわからない長文になってしまう俺も見習いたいよ。

127 :作者の都合により名無しです:2008/07/31(木) 02:51:47 ID:DWtAzNPx0
確かに板垣せんせーはグルメ漫画を描いていてもおかしくないなw

128 :追悼:2008/08/03(日) 10:06:59 ID:7a/01Mx20
客もまばらなバーで二人の男が静かに酒を飲んでいた。

一人は緑色のジャケットに黒いシャツ、黄色いネクタイの
飄々とした粋でイナセな細身で短髪の男で、
もう一人は黒のタートルネックに黒のパンツと全身黒で
コーディネートした、狂気を感じさせる眼の男だった。

「酒飲みの旦那も遂に逝っちまったよ。」
「そうですか。」
視線を合わせずに二人はぽつり、ぽつりと言葉を交わす。
その表情は様々感情が含まれているらしい、重い物だった。
「旦那の生き方は何と言うか、自分を削っていくような、壊していくような
 生き方だったからな。いつかこういう日が来るとは思っていたんだが」
「…でも、早過ぎましたよね。」
「そうだな。」
二人は少し沈黙の後、一口、酒を口に含んだ。

「こういうヤクザな生き方してるといつ逝くか分からないからな。」
「ですね。僕のツレも…」
「すまない。」
頭を下げる粋な男に、黒い男はいい、とでも言うように軽く手を振る。
「いや、アイツと僕は今でも共にありましたね。」
「『皇帝』、か。」
黒い男が、粋な男へ顔を向けた。
「ええ。アイツの遺したアレがある限り、僕とあいつは一心同体です。」

その言葉に粋な男はふっと表情を潤める。
「そうだな。」
「ええ。」

二人は眼を合わせると、グラスに残っていた酒を一気に干した。

129 :追悼:2008/08/03(日) 10:37:55 ID:7a/01Mx20
「よし。ここからは仕事の話だ。」
空になったグラスをテーブルに置いて、粋な男が言った。
先程までの重い雰囲気とは打って変わって口調も軽い。
黒い男は、その様子にかえって痛々しい物を感じたが
敢えて口を挟まずにそっと頷いた。

「あのテニスの件は銀行に報酬を振り込んでおいた。」
「いつものあそこですか。」
「ああ。あと安彦の坊やはまだ遊ばせておくとさ。」
「悠長な事ですね。もう少し試練を与えても…」
「いいんだよ。前回と前々回はそれで壊れちまったんだから。
 で、水島の馬鹿は相変わらずこっちに来る気は無いらしい。」
「あの人、頑固ですからね。」
「ったく、あ〜んなイカレ連中の為に馬鹿やって…」

いつも通りのように見えて何処と無く重い雰囲気の中、
黒い男はマスターに向かって軽く手を上げた。
「マスター、ボトル。」
「おい。」
「いいんですよ。こんな日はこれで。」
「って。」
「いいんですよ。今日はあの人の分まで…ってね。」
「…まぁ、いいか。」

二人の酒は結局カンバンまで続いた。


・合掌
・あの人、リアルはともかく作風からすると
 「僕」と敬語がとても似合わない。
・何気に緑ジャケットの方も結構トシだ。

130 :作者の都合により名無しです:2008/08/03(日) 16:50:33 ID:qlj/tu8oO
タイムリーだな
ニュースみて驚いたわ

ご冥福をお祈りします

131 :作者の都合により名無しです:2008/08/03(日) 17:40:15 ID:awH3DKXH0
また一人巨匠が亡くなられたか・・・

132 :作者の都合により名無しです:2008/08/03(日) 18:07:29 ID:2lxHkNag0
赤塚先生のご冥福をお祈りいたします。
そういえば旧版最終部で動いた数少ない人物の一人でしたなあとかそんなことばかり頭に浮かぶ俺はとんでもない罰当たりだ。

133 :作者の都合により名無しです:2008/08/04(月) 08:47:14 ID:aH66b4Ny0
ご冥福をお祈りします

旧版のとき、どうやって戦わせようかと作品内容をこじつけたりして一生懸命能力考えてた時が懐かしい
結局、披露する機会は永遠に失われてしまったけれど

134 :@n H@ppy Choice:2008/08/09(土) 08:35:01 ID:pxA2YO/O0
福地が作り出したヘリコプターへ最初に乗り込んだのは福本だった。
本当に人が乗ることを前提に作られたのか疑問に思うほど堅いシートに腰を下ろし、しばし思案に耽る。
(さっきもそうだったが、なんてひどい座席だ‥‥ これにガソリンエンジンの強烈な振動がくれば、立派な拷問装置の完成っ‥‥!!
能力とやらで模型から作ったヘリに文句を言うのもどうかとは思うが、これじゃあ立っていた方がましだっ‥‥!!

さて‥‥小学館、福地の言葉を信じるならその中でも週刊少年サンデー、か‥‥。漫画界トップ3の一つだが、俺は付き合いがなかったからな‥‥。
確かラブコメ・スポーツ・職業系の比較的地味で堅実な漫画家が多い雑誌というイメージがあるが‥‥。
『ラーメン屋のマガジン』『網棚のジャンプ』そして『漫研のサンデー』などと言われているな。
コアなファンを多く抱え、週刊少年誌にしては珍しいほど長期間同じ雑誌で描いている奴が多い、とも聞く‥‥!
ということは、安定した戦力を期待できるベテラン作家がいる可能性が高いっ‥‥!!
ククク、どうやら少しは運が向いてきたっ‥‥!! あとはこのチャンスを物にするためにどう動くべきか、それに焦点を絞るっ‥‥!!)
福本の鋭角的な貌に刃物のような笑みが浮かび、誰もいないというのに空気がどよめくようにざわついている。

(まず、襲撃とやらがどの程度のものかわからないが、それの鎮圧に貢献したならば好印象を与えることが出来るっ‥‥!!
ピーチ何とかのえばらと千道もなかなか使えるようだし、福地は先程の戦いを見るにかなりの使い手‥‥恐らくメディア展開クラス、
えなりの坊やも東とやらのおかげでなんとか戦力になってくれるだろうし、メジャー誌の看板作家でもいない限り盤石っ‥‥! 盤石だっ‥‥! 問題ないっ‥‥!!
あとは恐らく戦闘には加われず、そして交渉の矢面に立つことになるであろう俺を司令官、出来ればリーダーとサンデーの連中に認識させるような行動が必要っ‥‥!!
いや‥‥それよりも同じサンデー漫画家である福地にある程度任せる方が向こうの感情を和らげられるか‥‥?
人間は‥‥結局の所人間は、真に理性的に行動するなど出来るわけが無いっ‥‥!!
ならば、感情から逃れられないのならばっ‥‥!! 利用するっ‥‥!! 徹底的にっ‥‥!)
そう考えて福地翼を呼ぼうとしてはじめて、福本は彼の威圧感によって重力が倍加したようなヘリコプターの中にいるのが自分一人だと気付いた。
彼の思考していた時間はそれほど短いものではなかったはずだ。もう全員乗り込んでいるどころか、小学館への道程を半ばぐらいまで終えていてもおかしくない。
どうやら何か起こったらしい。さっき話してみた感覚では、どうもお人好しそうなのが多かった。この重要なときに自分から面倒事へ首を突っ込んでいないといいが。

135 :@n H@ppy Choice:2008/08/09(土) 08:35:43 ID:pxA2YO/O0
福本が異常に気付いてヘリを降りようとしていたころ、そのすぐ側では
「だから、今はそれよりも小学館の方が大事でしょう!?」
「そんなことはないのだわ千道! これは確かに助けを呼ぶ心の声よ!」
「この嫌な臭いはきっと不法投棄されたゴミっス! 山を汚すって事は温泉を汚すのと同義っス!! 樹に変えてやらないといけないっス!!」
「今は臭いより声の方が大事でしょう!? あんた、嗅覚が聴覚より偉いっていうの!?」
「言ってる意味がまったくわかんないっス!! 万物の頂点に立つのは温泉と45億年前から決まってるっス!!」
「ごめん、福地の言ってることのほうがわかんなぁい……。」
何やら異臭がするだの音やら声やらが聞こえただのと不毛な議論という名の馬鹿騒ぎが繰り広げられていた。
「どうでもいいけど、何をするにしても早く決めた方がいいんじゃないの?」
「そうですよ! 変な臭いだのなんだのはあとからでもなんとか出来ますし、今は急いで小学館に向かいましょうよ!
(というか、ただでさえ色々大変なのにこれ以上面倒なことはごめんだよ〜〜!!!)」
だが、えなりと東の比較的冷静な意見によって、

「東の言うとおりなのだわ! 声の正体を迅速に確かめてから小学館へ向かう!! それでいいんじゃなくって!?」
「探偵ごっこは漫画の中だけにしなさいよぉ、えばらぁ! そもそも声が聞こえたなんてのも錯覚じゃあないの?」
「えばらさん、今は謎の声とかよりも重要なことがあるっス!」
「そうそう、福地さんの言うとおりですよ!」
「今大事なのは、ゴミをちゃんと処理して山をきれいにする事っス!! そうっスよね、えなり君!!」
「ちがーーーう!! 違いますから!!」
……事態はさらに混沌とした様相を示し始めた。


(なっ‥‥何をしているんだっ‥‥!?)
相当な場数を踏んできた福本もさすがにこの狂乱は予想外だったらしく、ヘリを降りようとしたままの姿勢で固まってしまった。
(一刻を争う事態だということがわかっていないのか‥‥? ギャグやドタバタをやっている場合では無いというのにっ‥‥!!
くそっ‥‥!! どんな時でもユーモアを忘れないのは結構なことだが、これだから少年漫画家は扱いづらいっ‥‥!)
それでもとにかく事態を収拾させようと彼らの中に割って入ろうとして、再び福本の足が止まった。
ただし今度は放心によるものではなく、その逆、精神を一点に集中させている故である。
彼の耳が、葉擦れと喧噪の中からそれらとは明らかに異質な音を捉えていた。

136 :@n H@ppy Choice:2008/08/09(土) 08:36:21 ID:pxA2YO/O0
(草木が音を吸収してしまう上にあいつらがうるさくて非常に聞き取りづらいが、確かにこれは人間と犬‥‥恐らくは野犬の足音っ‥‥!
足音と言うよりは下生えをかき分けて走るときの音と言ったほうが正しいが、あいにくそれを一言で表現できるような言葉を知らないっ‥‥
犬のほうは‥‥最低でも五頭はいるっ‥‥恐らく十頭以上っ‥‥! 殺気立っているっ‥‥!!
人間は一人‥‥! 大方素人が粋がって一人で山に入ったか仲間とはぐれたかして、野犬の縄張りに入り込んだなっ‥‥!
馬鹿がっ‥‥! 山は‥自然はっ‥‥! 魔物だっ‥‥!! それを甘く見たお前が悪いっ‥‥!!
‥‥あのお人好しどもが助けに行こうなどと言い出してまた時間を無駄にする前に、さっさと退散‥‥! この場を立ち去るっ‥‥!)
微動だにせずそこまで思考した福本が「おいっ‥‥」とえなりたちに声をかけようとした瞬間、福本から見て前方左手、えなりの背後に密生していた葛の茂みから
青い塊が何事か叫びながら飛び出してきた。

「わあっ!! な、なん、なん、何だ!?」
混乱をどうにか収集させようとして結果的に火に油を注いでいたえなりは背後の茂みががさがさと音を立てていたのに気付いておらず、
突然の闖入者にいよいよ平静を失った。
「あーーーっ人がいたぁ!! 助かった〜〜〜〜!!!」
突如現れた青髪の少女がそう言ってとりあえず手近にいたえなりの背後に隠れたのにも殆ど気付かず、ただ何かしら叫んでいるっぽいのにだけ反応して頭を抱える始末であった。

「ほら千道!! 右の茂みから音が聞こえるのだわ!!」
「あらあ本当……。しょうがないわねえ、今回ばっかりはえばらの言うことが正しかったみたい。」
福地やえなりよりはまだいくらか冷静さを残していたえばらと千道は、福本の次に乱入者の存在を察していた。
「出てきたのだわ! 彼女が助けを呼ぶ声の主よ、間違いないのだわ!」
「あれえ……? あの子、どこかで見たような……。」
複雑に絡み合って天然の網を形成する葛の弦をかき分けながら脱兎の如く走り出てえなりの背後に隠れたのは、
腰まで届く青い長髪とどこか小動物じみた顔、小学生程度の小柄な体躯とフェティッシュな夏物のセーラー服――しかも非常に丈が短い――が
奇妙にアンバランスな印象を与える少女だった。

「だから福地、ちょっとは落ち着いて! ……はっ!? 何か来るわ!」
「山が温泉で温泉がね温泉が山して温泉なんっスよ! え?なに?」
この面子で唯一の純少年漫画家かつ非常な直情径行型の福地を相手に説得を試みる愚を東が悟り始めたころ、彼女も闖入者の存在に気付いた。
そしてどうにか正気に戻った福地は、少女を追っていたものたちが間もなくここに現れることを察知していた。
それは少女の怯え様からも見て取れる。
ところどころ枯葉や樹液にまみれながらもふわりと伸びた髪の中で一筋だけ重力に逆らうようにぴんと跳ねた毛が震えている。
小文字のオメガを想起させるどこか愛嬌のある口が空気中に放り出された金魚のようにあわただしく開閉している。

137 :@n H@ppy Choice:2008/08/09(土) 08:37:03 ID:pxA2YO/O0
「来るぞっ‥‥!!」
突然に現れた少女のために生まれた一種異様な緊迫しつつ弛緩した空気を、福本の短いが有無を言わさぬ強い声が書き替えた。
「来るって、何が……?」
「野犬っ‥‥! 野生化した犬の集団だっ‥‥!」
恐る恐る口を開いたえなりの問いに答えるように、福本が滔々と喋りだした。
「言っておくが、犬といってもジャーマンシェパードや柴といった、運動能力に優れかつ気性の激しい連中をベースにした雑種が大半を占めるっ‥‥
血肉の味と群れでの狩りを覚えたそいつらは、もはや狼といっても遜色がないっ‥‥!
そんな連中だっ‥‥!! そいつらが今の今まで追い掛けていた獲物を諦めて逃げ出すか、隙を衝こうと尾行でも始めるか、それとも人間相手に正面から突っ込んでくるか‥‥
お前達、どう思うっ‥‥?」

「言ってる場合ですか!? 吠え声が聞こえますよ! 突っ込んできますよおーーっ!!」
「突っ込んでくるのだわ!」
「うふふ……突っ込んでくるう……」
「そう、突っ込んでくるっス!!」
「そこをっ‥‥!」
福地が言うのとほぼ同時に茂みを飛び出して襲い掛かってきた一頭に福本がパンチを叩き込んで昏倒させた。
「ガツン‥‥! だっ‥‥‥!!!」
そして手近な石を拾い上げ、
「よく見ろ‥‥半殺し‥‥これが、半殺しだっ‥‥!!」
倒れたままの野犬の頭部に思い切り叩きつけた。
「いいか‥‥こいつらは、全殺し‥‥止めを刺せっ‥‥!!
残酷だと言うだろうが、傷を負った野生動物は凶暴になるっ‥‥!
そのままにしておけば、俺達ではない別の誰かが死ぬと思えっ‥‥!!!」

あまりに厳しい福本の言葉に少々意気を削がれもしたが、所詮漫画家からしたら野犬のたかだか十数頭などお話にもならない。
数分も経たぬ内に全滅させ、一応の埋葬までするほどの余裕があった。
「……で、君は誰?」
戦闘には加わらずにいたえなりが尋ねると、少女はいつの間に立ち直ったのかやたらと元気な調子で
「いやー助かった助かった。ホントもう駄目かと思ったよ、ありがと!」
などと喚きだし、一息ついてからこう名乗った。
「私は美水かがみ。漫画家だよ! コンゴトモヨロシク!」

138 :@n H@ppy Choice:2008/08/09(土) 08:37:51 ID:pxA2YO/O0
「漫画家ぁ!?」
「そ、漫画家。コンプティークってとこで、『らき☆すた』ってのを描いてるよ。最近アニメにもなったんだ。よかったら見てね!」
「ああ……聞いたことあります。結構評判いいらしいですね。(っていうかあれ原作あったんだ……)」
相手が漫画家とわかったとたん少々露骨にえなりの態度が変わったが、まあある程度は仕方がないだろう。
「ところで、君たちは何てーの? 見たとこ君以外はみんな漫画家っぽいけど。」
「ああ……あっちの小柄な人形二人が江原渋子さんと千道万里さん。二人でPEACH-PITと言うそうです。
その隣の女の人……女の子? が東まゆみさん。僕と……えーっと、…上手く説明できないからいいや。」
「なんだい、気になるじゃないか。もしかして恋人とか?」
「間違ってもそんなんじゃないです。で、左にいるバンダナをした人が福地翼さん、顔に傷がある怖そうな人が福本伸行さんです。」
「ほうほう、なかなかそうそうたる面々じゃあないか。そんな人たちと一緒にいる君は何もんだい?」
「えーっと、僕は……えなりです。作者の怠慢でそれ以外の名前はないの。職業は一応ロックバンドのボーカルをやってるんですけど(長いので略)」

と、いきなり美水が吹き出し、堰が切れたように笑い出した。
「な、なんですかいきなり!」
「えなり? えなりぃ!? え・な・りいいぃぃ!!?
いやいやいやいや、ないないこれはないって。どう見てもえなりって顔じゃないもん。もっとカズマとかタイキとか……」
「僕はトリーズナーでもアンデッドロンリーウルフでもありませんから! それとその笑い方なんか腹が立つんですけど!!」
「いやーごめん。でも名前って大事だよ? 名は体を表すともいうしさ。挿絵のない小説じゃあ特にね。
それをえなりじゃあどうしても『あの顔』が浮かんじゃうじゃん。
うーん、ラルバ村の焼け跡や海底神殿に行くにはシルバードもマーメイドハープもないし、ダーマ神殿のある中東・チベット近辺は最近物騒だし、
そもそもFC版準拠だったら改名できないし……やっぱり竜の首コロシアムだね! 大丈夫、サボテンダーはスナイパーアイがあれば倒せるから!」
「言ってる意味がまったくわかりません!!!
だいたいこの名前は旧版からの伝統ですし、厨房除けの効果もあるんですよ!!
そんなに変更したかったらテキスト形式で保存してからテキストエディタの置換機能を使えばいいでしょう!?」

書いている本人にもわけがわからない不毛な言い争いは、しかしえばらと千道により遮られた。
「名前なんてモノの本質を示すには至らない些細なものなのだわ。」
「でも同時に必要なものでもあるから、大切にしたほうがいいけれどねえ。」
「あっ、えばらさんに千道さん、助かりました。美水さんをなんとかして……?」
えなりの言葉が途中で止まったのは、PEACH-PITの二人がまるで敵を見るときのようなとしか形容しようのない目で美水を見ていたからであった。
「あなたはだぁれ? 自称美水さぁん……。」

139 :@n H@ppy Choice:2008/08/09(土) 08:53:47 ID:pxA2YO/O0
「え? なんのこと?」
「とぼけても無駄なのだわ! ……私たちの描いてた『ローゼンメイデン』も結構同人業界では人気があって、
中には年齢制限かかること間違いなしの本を作者の私たちに送ってくる命知らずも何人かいたのだわ。」
「その中に、あなたの『らき☆すた』ものを一緒に描いてた人も、私たちがそれに興味を持つぐらいいたのぉ。」

※この物語はフィクションであり、全ての台詞および出来事は作者の想像によるものです。

「そしてねえ、美水かがみは男で間違いないんだって。」
「お前はどう見ても女なのだわ!! この名探偵えばらの目はごまかせないのだわ!! おとなしく正体を現しなさい!!」
ここまで二人に一気にまくし立てられて、当の美水はもとより端で聞いていたえなりや福地までも唖然としていたが、
しばらくの沈黙の後、美水が静かに語り始めた。

「確かにこのスレでは『漫画家は一部本人のキャラ立ちが凄かったりする場合を除き、性別の合致する自作のキャラをモデルとする』という不文律があるね。
でも、私が現実世界と同じように男の姿を取ったとして、だよ。
誰をモデルにすりゃあいいのさ。
犯罪気味ロリコンなこなたの父親?
後書きページの猫っぽい生物?
それとも作品の傾向からプロファイリングしたステレオタイプなオタク青年?
ほら、ろくなのがいないでしょ?
これじゃいまいちイメージが沸かないでしょ?
沸いたとしても一発ネタで終わっちゃうよ。
だから、私は女――
泉こなたのキャラ、ポジションにいる方がこのスレ的にいいと思うんだよ。」

「お、思いっきりメタ的な視点で語ったわねえ……。」
「……とりあえず、今のところは信用してやるのだわ……。」
美水の大演説に、何となくえばらも千道も毒気を抜かれてしまったようだ。
「そういえば、昔の私は特にキャラが立ってるわけでもないのにモデルがいなかったなあ……。」
「オイラはなんでモデル主人公じゃないんっスかね? 植木モデルって扱いにくいっスか?」
他の面々も何やら己を鑑みたりしている。
「ククク‥‥なかなか話術の上手い嬢ちゃんだ‥‥。」
「っていうかこの演説って思いっきり旧15部104の丸写しじゃないですか!!」

140 :@n H@ppy Choice:2008/08/09(土) 08:54:35 ID:pxA2YO/O0
そんなこんなでだいぶ遅くなってしまったが、ようやくえなり達一行は小学館へ向かうヘリコプターに乗り込んだ。
場面転換が唐突すぎるがここは気にしない方向でお願いします。
ちなみに美水は戦闘能力がほぼ0であり、これからの戦いには付いて来れないだろうということで事情を説明して麓の街まで送
ろうとしたが、本人が根拠不明の自信を持って同行を強硬に主張したためヘリに乗っている。
これについては特に福本が強く反対したが、結局少女のわがままというのは通るものであると全員が思い知らされる結果となった。
(少女なのは見た目だけのような気がしないでもないが。)

そして彼らは、一路小学館へ向かう。

                     To Be Continued...

――――――――――――――――――――――――

「はーーい! 今回初登場の美水かがみだよー! cv平野綾らしいよ? 中の人は声優に疎いらしいよ?
原作の読み込みが足りなくて口調が変かもしれないけど、あくまで泉じゃなくって美水だって事で許してね。他の漫画家さんたちもそうだけど。
というわけで、今回は慣れないギャグ編で大変苦労したと中の人が言ってるみたいだけど、どうだったかな? ご意見・ご感想お待ちしてまーす!


さーて、来週のえなりの奇妙な冒険は―――

たいへん! 小学館が秋田書店っぽい連中に襲われてるっちゃ!
留美子さんや藤田君も苦戦してるし、サンデーが危ない!
そこに現れたのは長谷川裕一君と、なんと安彦良和さん!
二人の助けを借りて、反撃開始だっちゃ!
って、うちらの出番はどうなるっちゃ!? 福地君、急ぐっちゃ!

次回、
『掟破りの大乱入!? 小学館に嵐吹く!!』
で、会うっちゃ!


………って、文じゃなくて綾だって!!」

141 :@n H@ppy Choice:2008/08/09(土) 08:56:44 ID:pxA2YO/O0
登場人数:1
退場人数:0
現在の人数:59/60


142 :作者の都合により名無しです:2008/08/09(土) 09:24:35 ID:fQmHhvs30
1部と比べ書き手のレベルもさがったし、つまらんな

143 :作者の都合により名無しです:2008/08/09(土) 20:28:07 ID:wRL7AmwLO
本当にかがみktkr
福本…所詮模型のヘリに突っ込んじゃダメだw
えなりチームカオスすぎるw

144 :久々の変態二人in集英社。:2008/08/10(日) 13:29:30 ID:yEcl+p1X0
小学館に各勢力が集結しつつあるその時、集英社では血と塗れた重厚な造りの扉の前に
見るからにキ○ガイなピエロと、ハットリ君の面を被った、やはり変質者が立っていた。

反吐が込み上げる程に濃い血と臓物の匂いの中、あちこちに散らばる犠牲者の残骸に
目もくれずに、スッと背筋を伸ばして扉の前に立つ二人のその姿はホラー映画、
それも某アルバトロス社が嬉々として買い付けるような悪趣味ホラー映画を思わせた。

「さて、ここでウチのトップがキミをお待ちかねだよ♪」
キ○ガイなピエロが変質者の背をポンと叩いてその扉を開く事を促す。
彼は集英社屈指の狂人、冨樫義博。集英社・小学館襲撃の最中に
いきなり小学館へ現れ、小学館のトップである仮面の変質者、浦沢直樹を
半ば拉致するような形で集英社へと連れて来たのだ。

なお現在集英社は1階正面入り口を防衛していた筋金入りの変態、大暮維人が
講談社に洗脳された元集英社漫画家の矢吹健太朗の不意打ちを喰らった隙に
講談社漫画家の突入を許しており、各所で戦闘状態に突入していた。
ちなみに現在二人がいる付近の惨状は先程まで講談社の尖兵、エンジェル隊と
集英社の無差別殺人鬼、岡本倫との衝突、いや、岡本倫による一方的な虐殺が
原因である。

「その前に一つ話して貰おうか。」
扉に手も触れずに浦沢はその顔を冨樫に向ける。
「あの妙な口に俺を飲み込んでから口にした言葉について詳しくだ。
 お前は今回の襲撃について何もかもお見通しといった口ぶりで
 『秋田書店は今回の騒動に関与していない』の様な事を言ったな。」
「まぁね。」
大した事ではない、といった様子で、冨樫は相変わらずキレた笑みを浮かべ
浦沢へと顔も向けずに平然と答えた。

145 :久々の変態二人in集英社。:2008/08/10(日) 13:49:58 ID:yEcl+p1X0
「ならば話せ!今ここでだ!」
掴みかかる勢いで浦沢は冨樫へと詰め寄る。
それでも冨樫は涼しく狂った表情を崩さない。

その表情のまま冨樫は浦沢がここに居ないかの如く
一歩前に進み、血に塗れた扉をノックした。
「…冨樫!」
「失礼♪小学館の浦沢直樹クンを連れてきたよ、先生方★」

登場人数:1
退場人数:0
現在の人数:59/60


・状況説明だけで大半。
・集英社、放置し過ぎたよなぁ。
・アルバトロスなホラーは色々凄い。
>>134-141 新作だそこをガツンだ乙ゥ。

146 :久々の変態二人in集英社。:2008/08/10(日) 13:54:07 ID:yEcl+p1X0
コピペはダメね。登場人数:0だわ。

147 :作者の都合により名無しです:2008/08/10(日) 17:50:03 ID:QJdykJjm0
んなこたぁない

148 :作者の都合により名無しです:2008/08/10(日) 18:50:01 ID:0aezPIM70
状況説明は非常に重要だと思うからこのぐらいで問題ないと思うよ。
ただ、岡本に矢吹が接触してるはずなんだけど。
虐殺場から移動した後で出遭ったと思えばいいのかな?

149 :久々の変態二人in集英社。:2008/08/10(日) 20:23:35 ID:yEcl+p1X0
補足(おまけ)

・岡本倫…寝起きそのままテキトーにフラフラと歩いてる。
       とりあえず人の気配を感じたら即ちょんぱしに行く虐殺モード中。
・冨樫……倫タンが偉い人達の部屋やあんまり下の方に来ても困るから
       囮として集英社の一般人達をわざと結構多く配備してた。
・矢吹……何か上の方で悲鳴が聞こえるから思わず駆けつけた。

まーこんな感じの隠れ設定があったりなかったりだけど
基本的にアバウトにやっちゃってます。
もし仮にこれ関連の投稿をしたい人がいれば自由に変更して全く無問題。

150 :サイドストーリー:2008/08/15(金) 11:48:00 ID:277LRgoP0
竹本泉は長谷川が居なくなってがらんとした部屋の中で、
彼の置き手紙を見やると、一つ溜息をついた。

また君は行ってしまった。
前の世界と、その前の世界と、そのまた前の世界と同様に
結局僕は君を戦乱から遠ざける事は出来なかった訳だ。

置き手紙には「短い間だが世話になった。」とだけ走り書きされている。
恐らく麓の店で買って来た山のような書籍にDVDはまだ封も切ってない。
よほど急いでここを出たのだろう。
「バカだねぇ。」
と、思わず竹本は呟いた。

思えば彼はいつもそうだった。
その無駄に強い正義感の為か、これまで見てきたどの世界でも彼は
頼まれても無いのに真っ先にトラブルに首を突っ込んで、ボロボロになる。
今回もまた名も知らない誰かの為に厄介事に首を突っ込んでいるんだな。
まあ、彼らしいといえば彼らしいが。

この感じだとこの世界では君と再び会う事はないか。さようなら長谷川君
…出来ればもう少しゆっくりと話でもしたかったんだけどね。

竹本は長谷川の残した手紙に山のように積まれた書籍、DVDに眼をやると
再び溜息をつき、そしてゆっくりと身支度を始めた。

151 :サイドストーリー:2008/08/15(金) 12:16:11 ID:277LRgoP0
ところ変わってここは夢と希望がたくさん詰まった某店長の店。
開店休業気味の平日昼下がり、サンバイザーも眩しい店長が一人で店番をしていた。

他の店員がいわゆる年に二回だけの大規模同人誌即売会へ出かけてしまい
都合の付くのが自分だけのこの状況、いつもなら不平不満たらたらなのだが
今日は珍しく彼は上機嫌だった。

「…俺は間違っていなかった!」
一人、彼はそう呟くとグッと拳を握り締める。
そう、今まで自分の趣味で入荷した各種懐かしめのアニメDVDが売れたのだ。

「こんな古臭い商品、売れる訳無いじゃないですか!」
「もっと新しい人気商品を入荷しましょうよ店長!」
「ってか邪魔ですよコレ!デッドストックです!」
等と今までボロクソに言われてきた俺のお気に入りのあいつらがきれいに売れた。
って事はアレだ。時代の流れがどうあれ俺は間違っていなかったんだ。
「フフ…フフフ!ハーハハハハハハ!」
思わず彼は一人、高笑いを上げた。

その時、久々に店の戸が開いた。
人として微妙にアレとは言えそこは店長、彼はすぐさま身を引き締め接客モードに入る。
「いらっしゃいませ!…って竹本さんですか!いやーよく来てくれました!
 今日も良い物入ってますよ!オススメは…」
「いや、今日は返品に来たんだ。」
「…へ!?」
「僕の知り合いがさっき勝手に買って来ちゃった本やDVDとか42万6520円分なんだけどね。」
「…え…ええ…?」
「ごめんね。今度何かあったら買いに来るからさ。」

それからしばらくして、店内に店長の深い悲しみを湛えた慟哭が響き渡ったという。

                                                   おわり

152 :作者の都合により名無しです:2008/08/16(土) 10:00:38 ID:7O+9x8od0
シリアスな竹本……想像できねえ!
これがリレー小説の醍醐味だなと改めて実感したよ。

実際あの人の漫画真面目に設定突き詰めていくとだいぶ暗くなりそうなのが多いからな。
平行世界移動の元ネタであるさよりなパラレルの最終回とかギャグタッチにしてあるけどだいぶ黒いというか怖いというか。

153 :小学館前:2008/08/16(土) 12:57:30 ID:xkV9IClh0
長谷川とZXが上空で交差するその一瞬に、眼にも留まらぬ技の応酬が繰り広げられた。
満身創痍の留美子、皆川では眼で追うのがやっとの異形とヒーローの技の応酬、
しかし二人はその一瞬で明らかな違和感に気付いた。

(…あの長谷川とか言うヒーロー野郎、バッタ男の動きを完全に読んでる?)
(…というより、完全に相手の動きが『分かっている』って感じ?)
そう。ZXの動きのおこりを見るや否や、長谷川はそれに対し最適な反撃行為を見せていた。

武術や格闘技の達人達が僅かな筋肉や目線、空気の動きを捉えて
それに応じた動きを見せるというのは、よく言われている事である。
だがそれを初見で、ここまで完全に実現するのはまずありえない。
しかも技の技量と威力自体はバッタ男の方が少し上回っている。
という事は、技量以外の何かが二人の間には存在する可能性が強いという事だ。
(何よ、あのヒーロー男?)
留美子は思わず眉間に皺を寄せた。

同様の疑念がZX・村枝の方にも生じていた。
目の前のオールドスタイルなSF男は俺の動きを完全に読んでいる。
記憶の無い俺にも武術の心得は幾つかあるから分かるが、奴の見切りは武術のそれとは
全く異質な物だ。あらかじめ俺の全ての行動パターンを把握してあるかのような動きだ。
…まさかとは思うが、この男はもしかして俺について何か知っているのか?
ふとZXは少し腕を下げて長谷川へと声をかけようとした。

だが気がそれたその一瞬で、長谷川は一気に中距離まで間合いを詰めてきた。
咄嗟にZXはそれを迎撃すべく、肘の手裏剣へ手を伸ばす。
しかしZXが手裏剣を手に取った瞬間、長谷川の姿が消えていた。

「この…ばかやろーっ!」
思わずZXはその声の方へ顔を向けてしまう。
その瞬間、顔面に突き抜けるような衝撃が走った。
ZXはその一撃でドロドロになった意識下で長谷川の声を反芻しながら
長谷川の追撃の一撃をまともに喰らって吹っ飛んで行った。

154 :小学館前:2008/08/16(土) 13:18:59 ID:xkV9IClh0
吹っ飛び、起き上がったはいいが片膝をついたままのZXへ
留美子、皆川は即座に追撃をかけようとする。
しかし長谷川は二人に背を向けたまま両手を広げ、それを押し留めた。

そのまま四人の間に沈黙が続いた。



一方えなり達ご一行のヘリでは

「ゔ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」 (cv平野綾)

今回も次回予告をしようと張り切ってた美水かがみが模型ヘリの
あまりの乗り心地の悪さに乗って30分で酔って真っ青な顔で
アホ毛もヘナヘナにしてドロドロに苦しんでいた。ダメじゃん。

登場人数:0
退場人数:0
現在の人数:59/60

・少し割り込んだよ。

155 :へきへきは現役:2008/08/17(日) 12:39:00 ID:LXXVcz830
久米田 だから!声優は声優でアイドルはアイドルでいるべきなのですよ!
     自分の身も弁えずに!自分の才能を過剰に自己評価して!
     そうして無駄な時間を過ごしてきた人をどれほど見てきたものか!
畑    それ以上椎名へ○るを侮辱する事は許しませんよ!師匠!

怜奈  …あー!もう!
河下  はい?
怜奈  もーイヤ!限界!あの二人、超ウザい!頼むから何とかして!
河下  はい。…あのー、畑先生?久米田先生?
久米田 後にして下さい河下君!
畑    取り込み中です!邪魔しないで!

河下  …えいっ♪

   ポ チ ッ

怜奈  今何かボタン押して…ってうわー!
久米田 痴女!?
畑    痴女!!
河下  うふふ。
怜奈  このバカ!アンタ何スクリーンに大映しにしてんのよ!
河下  何って、集英社の岡本倫ですよ?
怜奈  そういう話じゃないだろこのエロ女!
畑    えーと!その!とりあえず何とかして下さい河下先生!
久米田 消しなさい河下君!今すぐ!ほら!
河下  はい。

   ポ チ ッ

畑    …ふー。
久米田 やれやれですね。

156 :へきへきは現役:2008/08/17(日) 13:37:24 ID:LXXVcz830
河下  駄目ですよ、畑先生も久米田先生も。
     今は仕事中なんだから私語は慎まないと。
畑    あ…はい。
久米田 分かりました、河下君…ところで先程の痴女ですが。
河下  はい。
久米田 あれは一体誰が撮影してるのですか?
     どう見ても戦闘中の集英社に潜り込んでリアルタイムで、
     しかもマルチアングルで映像を送って来るのは
     並みの漫画家では出来る芸当ではないと思いますが。
河下  あれは…
藤真  僕だ。
畑    あれ、お帰り藤真先生。
河下  お疲れ様、藤真先生。

怜奈  誰このショタ?
久米田 藤真拓哉、赤松先生の一番弟子の魔法使いの漫画家ですよ。
     これからはアイドルのプロデューサーも始めるみたいですね。
     成程、彼ならアレにはうってつけです。
怜奈  …って事はあの痴女を盗撮してたのはあのショタって訳ね。
久米田 ええ、まあ。
怜奈  んじゃ、一つ聞いてくるわ。

河下  藤真先生、もう仕事終わりって訳じゃなさそうですね。
藤真  …先生から命令があった。一旦本社帰還のち戦線に復帰せよ、と。
畑    相変わらず忙しいって事ですか。
藤真  ああ。

怜奈  あー、藤真先生だっけ?ちょっといい?
藤真  何者だ、貴様。
怜奈  見た通り人質よ。アンタの師匠にとっ捕まった、ね。そりゃそうと
     さっきから集英社の痴女盗撮してたのアンタだって聞いたけど。
藤真  監視と呼べ、無礼者。

157 :へきへきは現役:2008/08/17(日) 14:05:52 ID:LXXVcz830
怜奈  カメラ寄った時のアングルが基本的にローからの煽りなのは何故よ?
藤真  !?
怜奈  いや、ね。フリーのジャーナリストなんかやってるとエロ本な仕事
     やる事も結構あるんだけど、アンタのカメラアングル見てると
     投稿系エロ本の読者投稿のアイドル盗撮写真とか思い出すのよ。
藤真  ……!
怜奈  で、そこの所どーなのよ。
藤真  ……来れ(アデアット)

   ヒ ュ ン

怜奈  消えたわね。
畑    いなくなっちゃいましたね。
久米田 そうですね。
河下  消えましたね。

畑    …まぁ、集英社の方の監視は続けてくれてるみたいですし、
     とりあえず集英社の矢吹先生の方でも見てみますか。
久米田 そうですね、仕事しますか。

怜奈  (そりゃそーと。)
河下  (はい?)
怜奈  (どう考えてもあのショタにスカートの中、ガン見されてるよ。)
河下  (大丈夫ですよ。)
怜奈  (イヤ、大丈夫じゃないだろ。)
河下  (大丈夫ですって。見せ方を熟知しているって事は、
      見えない角度や方法も熟知してるって事ですから。)
怜奈  (そういう問題でも…)
河下  (…セクハラにはもう慣れたから。)
怜奈  (………)
                                       つづく

158 :作者の都合により名無しです:2008/08/17(日) 14:11:20 ID:LXXVcz830
登場人数:0
退場人数:0
現在の人数:59/60


・勝手に藤真を変態にしてしまった。すまない。
・合言葉はBee

159 :作者の都合により名無しです:2008/08/17(日) 21:19:04 ID:AI29fi2A0
きた!ラッシュきた!久々の投稿ラッシュきた!これで勝つる!

・やっぱり王道一直線をいく長谷川最高。
あとリレー小説で割り込みはむしろ賞賛されてしかるべきだと思うので断らなくてもいいと思う。
どうしても書きたいシーンがあるとかで割り込まれたくなかったらその旨を書いておけばいいわけだし。

・えなりチームに匹敵する超混沌空間にワクワクが止まらねえ! 別に読んでて死ぬわけじゃないのでご安心を。
やはり少年誌的お色気漫画家が集まったら猥談になるのは必然か。

160 :作者の都合により名無しです:2008/08/21(木) 18:10:41 ID:CpwagRXa0
前スレと旧版のまとめサイトを一応貼っておこうと思う。
ttp://mimizun.com/search/perl/dattohtml.pl?http://mimizun.com/log/2ch/csaloon/anime3.2ch.net/csaloon/kako/1182/11824/1182416885.dat
ttp://www.geocities.jp/enyarino/enarin/enari-house2.html

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