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【先天性TS】アス男とシン子と愉快な仲間達3

1 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/02(土) 03:08:20 ID:???
天才美少年惣流・アスカ・ラングレーと
繊細な(美)少女碇シン子の
少女漫画風なLASが見たいんだな(^^)

アスカとシンジの性別が先天的に逆だったら、という可能性
他のキャラはTSしてもしなくてもおk

前スレ
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/eva/1198842112/

【先天性TS】アス男とシン子と愉快な仲間達
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/eva/1193481578/l50
男アスカと女シンジでLAS
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/eva/1189922515/l50

2 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/02(土) 03:12:49 ID:???
乙!

3 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/02(土) 03:13:48 ID:???
              ,. -‐………‐‐一ァ
              /.:::::/l.:::::/.:i::{:::::<_
               /.:::::,lィ≠≧厶∧|`ヽ:::::`ア
              /.:::::/l/ ,f弋{「``  、__厶::::ト
           {::::::::{         く衍∨!::l
           jr弌:!          ′ !」``
           { ⌒`       一 、    }
            ヽー┘            , '
            `T7        , '     僕、男ですよ^^;
             个        /
.               |     厂
            _7    `「
   ______/| ヽ  l ヽ______
  (∋     /  v   \|  ヽ      ∈)
    ̄ ̄ ̄ ̄|  /  。  l 。  人 | ̄ ̄ ̄
         / / ヽ ー   - / \\
        / /  |    |   |    \ヽ
       / /   ヽ       |     \
      //    /       |       \
      /     |     つ   \       \ヽ
      /     /    /ωヽ    \      | |
    /     /    /   \    \     | |
   /   /    /       \   \   |  |
   |   (    く          )   )   |   |
   |    \   \        /  /    |  |
   |     \   \____/  /.    |  /
   | _――- \  \  /  /-――___| /
   |/     ⊂⌒__) (__⌒つ    |/       

4 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/02(土) 03:14:22 ID:???
きゃー嬉しすぎる!!!もう立たないかと思ってた*^^*
>>1さま、ほんっとうに乙ですぅ


5 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/02(土) 03:15:01 ID:???
荒らしに負けずに
シンジ(*゚∀゚)キュンキュン!
しましょうね!

6 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/02(土) 03:19:41 ID:???
腐マンコ(*゚∀゚)濡れ濡れ!

7 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/02(土) 03:29:48 ID:???
>>1

8 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/02(土) 03:31:28 ID:???
シンジ腐きゅんきゅん(→o←)ゞ

9 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/02(土) 03:32:15 ID:???
エヴァ板から出てけ

10 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/02(土) 03:48:18 ID:myyYBMOn
LASとやらが何だか分からないド素人だったんだが
要するにこいつらが交尾してればいいんだろう?

11 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/02(土) 04:02:19 ID:???
シンジはどうでもいいがアスカを男にするのはやめてくれ…orz
完全に少女漫画で腐しかよろこばねーよ

12 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/02(土) 04:04:21 ID:???
トウケツいい加減に鎮まりなさい
本郷に書いてもらえばいいじゃない

13 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/02(土) 04:04:57 ID:???
トウケツ自重しとけ

14 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/02(土) 04:17:08 ID:???
本郷が自分を認めて欲しい為にトウケツ荒らしやってたんかね
気に入らない住人に腐のレッテル貼って全員追い出して最後に自分が占拠

15 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/02(土) 05:16:57 ID:???
なんで(美)少女設定なんだ?
堂々とかっこ外しゃいいのに

16 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/02(土) 05:18:57 ID:???
腐マン

17 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/02(土) 07:06:51 ID:???
>15
FFだし元々無茶設定なんだし、どっちでもアリですよってことじゃね
知らんけど

にしても、粘着の努力によって即死回避&保守簡単だなw

18 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/02(土) 07:47:57 ID:???
全くだな
>>1


19 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/02(土) 19:47:28 ID:???
お疲れ様でした>>1
まとめサイトとか出きるといいな

20 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/03(日) 01:07:50 ID:???
>>11
俺は男で腐でも何でもないけど面白いぞ?w
思わずニヤニヤしてしまうwww

21 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/03(日) 01:20:40 ID:???
前いた神職人の音沙汰がなくなったからなぁ
一気に寂れた感じがしなくもない
未だに正体分からないし

22 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/03(日) 01:34:48 ID:???
女のエヴァSS作家自体少ないから割と搾れると思ったけど
俺の知ってる範囲じゃ文体や作風が似てる人がいなかった

23 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/03(日) 01:35:52 ID:???
女のエヴァSS作家自体少ないから割と搾れると思ったけど
俺の知ってる範囲じゃ文体や作風が似てる人がいなかった

24 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/03(日) 06:31:00 ID:???
荒れてるから後難を避けて逃げてるんでしょう

25 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/03(日) 11:44:56 ID:???
それ以前にここの人たちが荒らしに何の対応もできないなら、投下してあげても意味が無いです。

26 :燃料、投下します:2008/08/03(日) 13:47:51 ID:???
「シン子、首んとこどうかしたのか?」
 朝行く途中、シン子に聞いてみた。
 朝っぱらからずっとむすっとした顔のシン子はどうして機嫌が悪いんだ、と考えてみれば、
 首になにやら赤い虫刺されみたいなものがあるのを発見した。
「……何かに噛まれたの。かゆくてたまんないよ」
「なんだ、そんなことか。まったく、ドジだな。あんまり触るなよ。そういうのは薬塗って放置に限る」
 なるほど。それで機嫌が悪いのか。場所も場所だしな。痛み痒みを容易に想像できてその辛さも理解できる。
「分かってるよ」 
 と、言いつつシン子はまだまだ不機嫌だ。……治るまでこの調子なのか?
この調子なら、俺とミサトは夕食はカップラーメンだろうなあ。
 ああ、くそっ。と俺はごそごそと鞄を漁った。何の偶然かムヒと絆創膏を持ってきていたのだ。
「あっ、アス男、どうして、そんなものを…」
「多分片付けがめんどくさくて鞄にほうりこんだんだ。塗ってやるからじっとしてろ」
 立ち止まる。シン子は「ん」と小さく呻きつつ、顔を傾けて、手で制服の襟を捲った。
 ブラちら、してるのは黙っておこう。そして、これをまぶたに焼き付けておこう。
 艶かしい鎖骨のくぼみに釘付けになりそうになる視線を虫刺されに固定する。
 ……白か、シン子。
「ちょっと、くすぐったいよ」
「こら、動くなよ」
「……手つきがやらしい」
「俺の手先にそんな意思はない」 
 しょうもないことを喋りつつ、むわっと薫る汗とボディソープが混じった甘い香りにくらくらしつつ、薬を塗り終える。
 指で薬を薄く伸ばしてる間シン子が「やっ」とか「んっ」とか「あぅ」とか小さく呻いていたのは一体なんなんだろうな。
 変な声出すなといったら赤い顔で殴られるし。何なんだこのやろう。くすぐったがりなのか?
 ……まぁ、良いか。後は絆創膏を貼ってお終いだ。


27 :燃料、投下します:2008/08/03(日) 13:48:33 ID:???
「手つきが、」
「だからじっとしてろと言ってたのに」
「……むーっ。なによ、変態アス男」
「誰が変態だ、誰が」
 再びしょうもないことを喋りつつ、絆創膏を貼ってやった。
 上手いこと赤い腫れは全部隠れてくれており、見栄えも悪くない。
 後は汗で剥がれないように祈ってろ、シン子
「終わったぞ」
「……ん。ありがと」
「珍しいな、ありがとうなんて」
「イチイチ一言多いのよ、アス男は。私だってお礼くらい言うよ」
「シンクロテストで、いつも負けてる俺も優等生様の役に立てて光栄です」 
「……喧嘩売ってる?」
「生憎品切れ中だ」
「ばか」
 再び坂を上る。何てことは無いかけ合いの途中にそっぽを向いてしまうシン子。
 だが、機嫌は良くなったみたいだ。横顔の口元は確かに綻んでいる。
 やれやれ。良かった良かった。コイツはやっぱり笑ってる方が良い。
「放課後虫除けスプレーか何か買いに行くか?」
 先に行く茶色い髪に、そう言ってみる。
「それくらい一人で行ってよ」
「それが薬局の場所をど忘れしてな」
「ふーん。ならしょうがいない、まったく。良いよ、私がついていってあげる」
 感謝してね! と、振り向いたシン子の顔は、今度こそ本当の笑顔だった。 


28 :燃料、投下します:2008/08/03(日) 13:49:29 ID:KNUONQ+Z


 教室に入る。二人して――というのが原因かどうか分らないが、トウジに目をつけられた。
 おはようとでも言うのか、それともからかってくるのか?
 と思いきやチャックを全開にして、何故かシン子を凝視して固まっている。
 ……何だ?シン子に惚れたか?惚れたなら、EVAで握りつぶすぞ、このヤロウ。
「シン子、お前、首のところ……」
「なに?」
「あ、アス男! お前ちゅうヤツは! このスケベ野郎!」
「はぁ?」
 変質者を見る目をしているのは俺たちの方だ。そして何を思ったかトウジは、大声で、


「アス男がシン子の首にキスマークつけやがったー!」


 酷く頭の悪い中学生の妄想みたいなことを叫び、クラスのヤツラは、
「「「な、なんだってー!!!???」」」
 揃いも揃って馬鹿なリアクションを――って、ま ち や が れ ! 


29 :燃料、投下します:2008/08/03(日) 13:50:11 ID:???
ごめん、sage忘れてた

30 :ごめん、もう一つでてきた:2008/08/03(日) 13:58:35 ID:???
大喧嘩した次の日、ぶっきらぼうに弁当を渡されて
「いってきます」って俺の言葉も無視しやたったシン子に、益々腹が立った。


でも、昼に弁当箱を開けたら俺の好きな食べ物だらけ。
もう本当にアイツは不器用だな、悪いとは思ってんだろうな、謝るのが悔しいんだろうな、
とか思ったら、可愛くてさ「弁当まじ上手かった、お前は馬鹿だな」とメールした。
で、夜帰ってきたら、これまた豪華な夕飯なわけだ。


ケーキまで焼いてる始末。可愛いから、喧嘩の内容は俺は悪くないと思ってたけど
「昨日ごめんな」って言ったら、涙ぐんで「本当だよ!ちゃんと反省してよね!」とか言っちゃってさ、
これまた可愛いから、本当は反省なんかしてないけど、「うん、悪かった」て言って…。
その、あれだ…。キスをした。


ああ、もう何ていうかさ、幸せなんだよ。喧嘩しても。俺が馬鹿でも。




31 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/03(日) 14:37:14 ID:???
アス男ばかじゃないもん

32 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/03(日) 14:37:50 ID:???
SS作ってる人自体がアス男みたいで萌えた

33 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/03(日) 14:39:06 ID:???
これはGJ!

34 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/03(日) 14:49:39 ID:???
描き慣れてていいな。GJ

35 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/03(日) 18:29:57 ID:???
>>30
あんた、もしかしてVIPのプリンかアナルスレないし、文芸のハルヒスレにいたりしないか?
見覚えのある気がする文体もそうだが、トウジに谷口色、アス男にキョン色が強く感じられる

そのせいでアス男とシン子のキャラが違和感あるんだよ
前にいた職人には、その二人に絶対的なベースとしてアスカとシンジのキャラがちゃんと感じられたから尚更な
どんだけネタに走ろうが、少女漫画的だろうが、そこだけは外れて欲しくないかなぁ

36 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/03(日) 20:22:17 ID:???
>>35
よくね?そんなに、あれもダメ、これもダメにしすぎると面白くないだろう

37 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/03(日) 20:59:39 ID:???
>>35
作者です…。
ハルヒスレには、いたことはあります。アス男はキョンっぽいですか…
すいません、今からちょっと↑のアドバイスに沿って書いてきます。


38 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/03(日) 22:32:58 ID:???
私にはGJでしたよ!
ハルヒスレにはいったことないので
〜色とか言われてもわからないから問題ない!

39 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/03(日) 22:34:56 ID:???
>>26-30
GJ!
ニヤニヤが止まらないwww

40 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/03(日) 22:40:16 ID:???
俺はハルヒもそれなりに好きだが、キョンっぽさとかはあんまり感じなかったなぁ
とにかくGJ!

41 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/03(日) 22:57:49 ID:???
>>37
エヴァはSS歴長いから、下手すると10年選手とかがいて細かい部分で目ざとい。
他のジャンルよりも目が肥えてて、見る目が厳しい奴はとことん厳しいから、
こういうオリキャラ化しやすいネタはやりにくいとだろうけど頑張って。
完全なオリキャラになってたり、どこかで見たキャラになってるとすぐにツッコミがくるよ。
ネタ投下なら割とスルーされるけど、SSだと結構な率で。
TSとかじゃない正統SSでキャラの劣化が激しい時の反応と同じように考えるとわかりやすい。

42 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/03(日) 22:59:27 ID:???
>>40
ハルヒスレに投下されるSSを読んでないと気付きにくいかも
キャラのテンプレみたいな単語とか口調があんのよ

43 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/03(日) 23:02:40 ID:???
まとめ作る?
SS投下スレじゃなくてネタスレだったから抽出の基準が難しいんだよな

44 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/04(月) 04:01:03 ID:???
>>43
是非お願いします(`・ω・´)ゞ

45 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/04(月) 07:34:42 ID:???
前に居た職人は確か自分で名乗ってなかったか?

46 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/04(月) 08:40:42 ID:???
名乗ってないよ
現に俺もあんたも知らないし、誰もヒントすら出さないだろ
ただでさえ叩かれまくったり神扱いされた職人の正体が知られてたら住人が忘れるわけがない

47 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/04(月) 09:20:16 ID:???
1スレ目の職人の事じゃないのか?
1スレ目で叩かれた職人なら名乗ってたぞ

48 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/04(月) 09:26:15 ID:???
ほれ、1スレ目のリアルタイム書きながら投下職人のレス

375 名無しが氏んでも代わりはいるもの sage 2007/11/03(土) 09:39:40 ID:???
>>372
そこまで言われて黙ってられないなw
俺、LASでFF書いてる「しふぉん」って、正真正銘のオッサン・野郎w
物書き仲間の人に、このスレ楽しいって紹介されて、ずっとROMってたわけだw
っで、欲求に駆られて少し書いてたんだよなw
ちなみに、178の人とは別人だぜ? そんなことで成りすましする気はないからなww

「w」乱用とかで決め付ける認識は甘いぜ?

488 名無しが氏んでも代わりはいるもの sage 2007/11/03(土) 19:49:25 ID:???
っつーわけで終了
ここまで荒れるきっかけになるネタを投下したのがこれで帳消しになるとは思わないけど
空気入れ替えの役に立ててたら重畳

これで本当にノシ

49 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/04(月) 09:26:20 ID:???
ログ嫁
それは職人の知り合いだって言ってた別の人間
職人自体は名無しのまま2スレ目までいる
一回いなくなったけど、こっそり戻ってたみたいだな

50 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/04(月) 09:32:05 ID:???
>>48
その人そのあとにSS投下してるけど、
職人の書いてたアス男やシン子の性格、何より文体が全く違う
間違いなく別人

エヴァ板の住人ならそのあたりで見分けるの得意だろw
もしできないなら早めに習得しとけ、ほぼ基本スキルだから

51 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/04(月) 23:02:45 ID:???

 毎朝、先を行くのあなたの背中を見て歩いたね

 背筋をぴんと伸ばして

 誰にも負けないんだと、まっすぐ前を見ていた

 いつからだろう

 そんなあなたの背中が、わたしは哀しくて――



 同じ家に住むことは、きっと戸惑うばかりで

 わたしにしても

 あなたにしても

 作戦のためとはいえ、自分から望んだわけじゃない同居

 ただ、言われるままに受け入れたわたし

 でもこれは、最初から諦めてるだけ

 はっきりと、拒絶の言葉を口にしたあなたの横顔が

 とても眩しかったのを覚えてる

 わたしにはそれができないから



52 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/04(月) 23:04:23 ID:???

 家のことは一切しない

 風呂上がりにバスタオルだけの格好で歩き回る

 牛乳のパックに口をつけて飲む

 お菓子と漫画を枕元に、だらしなくリビングで転がる

 そんな姿が、今までのあなたとあんまりにもかけ離れていて

 複雑だった。



53 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/04(月) 23:04:54 ID:???

 勝ち気で行動的

 いつも感情をあらわにして、あなたは自分を主張する

 どんなことにも、あなたは正面から挑んでいく

 絶対に逃げ出さない


 逃げ腰で消極的

 いつも内にこもり、人とあわせて生きようとする

 戦おうともしない

 そんなわたしとは違うのだと、顔を合わす度に思わされて

 だからずっと、気づけなかった



54 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/04(月) 23:05:29 ID:???

 あなたがそんな姿を見せられる場所は、あの家だけだったんだね

 人に見せるためにつくりあげた自分を

 強い君という虚像を

 見せかけだけの鎧を

 その全ての重圧から、少しだけでも解放される

 多分

 たった一つの、場所




 ママ

 そう呟いて、涙をこぼしたあなたの寝顔を知ってる

 とても綺麗で

 同じぐらい哀しくて

 あなたを知ろうともしないでいる、わたし自身に気がついた




55 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/04(月) 23:06:42 ID:???

 使徒に勝ち、人類の未来を守る

 わたしには荷が重すぎる責任

 一度は逃げ出して、それすらも貫徹できないままで、今ここにいる

 辛い、苦しい

 でもそれは、わたしだけじゃなかったんだよね

 あなたという人が、わたしにそれを教えてくれたんだ




 わたしに何ができるかなんて、わからない

 結局また、逃げるだけなのかもしれない

 でも、それでも

 一つでもいいから、今わたしができることをしたい

 あなたにこんなことを話したら、きっと怒られるだけじゃすまないけど


56 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/04(月) 23:08:42 ID:???

 今日もまた、先を歩くあなたの背中
 決めたから
 あの涙を見たときに
 今わたしが見たいのは、張りつめたきみの背中じゃない
 きみの見る景色を一緒に見たいと思うから
 小さく深呼吸をして
 三歩先を歩くあなたの隣に、並んでみよう
 不安だけど
 わたしからあなたに、少しだけ
 少しだけ


 アス男の隣を、歩いてもいいかな。

 ・・・そんなこと、好きにすればいいだろ。馬鹿シン子。


 ため息をついて、そう応じたあなたの顔は
 まるでそう
 家の中でだけ見せるよう、本当に和らいでいて、わたしはそのことが、ただ無性に嬉しかった


57 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/04(月) 23:09:29 ID:???

 わたしはあなたのことを、きっと何も知らないけど

 でももし叶うなら、願いたい

 あなたがもう、あんな哀しい涙を流さないでいられるように

 願いたい

 神様に願うには、わたしの手はその御使いを殺してきたから

 叶えられないかもしれないけど

 それでもやっぱり願うよ

 あんなあなたの涙をもう、わたしは見たくないから


58 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/04(月) 23:10:00 ID:???

 願うことだけは、わたしにもできると思うから

 だから今は、これで精一杯

 あなたの隣を、歩くだけで精一杯


59 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/04(月) 23:14:33 ID:???
自分なりのアス男(アスカ)、シン子(シンジ)で書いてみました。
>>56がこれだけ、改行がないのは、ここに詰め込んだからです。

あと、前までの自分で書いてみました。
少ししたら、投稿します

60 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/04(月) 23:35:10 ID:???
GJ
せつなくなりました。

61 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/05(火) 00:28:37 ID:???
新スレ記念に同じく投下予定
上の職人さんの投下が終わったら後に続くつもり
時間がないんでまた即興に近いけど推敲ミスとかは勘弁

62 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/05(火) 01:52:22 ID:???
大学生になり、同棲をしている私とアス男。
「なあシン子、知ってるかあいつ結婚するんだって」
「そう」
「学生結婚かぁ、少し憧れるな」
「そう?私はそんなに…」
「んでだよ」
「学生の身の上で自分ともう一人養うなんて大変だよ。なんかいろんな人に迷惑かけそうだし」
「そうかもしれないけど…」
「それにどうせなら自分の力だけでなんとかしたい。私のつまらないプライド」
「わからなくはないけど安心したいんだよ。
 お前は変なとこで優しいから勘違いされるかもしれないだろ」
「そんなことはないと思うけど」
「どうだか。現に俺だって…」
「俺がどうした?」
「なんでもない!お前が言い寄られたりしないか心配なだけだ!」
「アス男は意外に嫉妬深いからな」
嫉妬でEVAを使い、世界を滅ぼしかけたのを知ってる身としては意外でもなんでもないがな。
「うるせぇ!…お前だって俺が言い寄られたりしてたらなんか思うだろ」
「何も思わないよ。アス男を信じてるから」
アス男は言葉を失ったように口をパクパクしてる。
「…あ、う、ずりぃ。そんな言い方、ずりぃ。それにそれじゃ俺が信じてないみたいじゃないか」
「それはアス男の性分だからな、仕方ないでしょう。私は気にしてないし」
「うー、ずりぃ。…お前変わったわよな。なんていうか…怒れないけどずるくなった」
「そう?みんなには「素直になった」って言われるけどね。それに十分怒ってるでしょ」
私たちには色々あって、その色々のおかげで私はアス男のことを本当に好きだってわかったから。
「はぁ、なんか勝てる気がしねぇな」
「勝ち負けなの?じゃあ私はとっくに負けてるよ。惚れたほうが負けだし」
「…やっぱりずりぃ!」



63 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/05(火) 01:54:07 ID:???

<A視点>
「でもちょっとくらい考えてよね。指輪とか高いだろうし。
 前、誕生日にプレゼントしてくれた指輪だって高かったんでしょう?」
「けっこうしたな、でも考えてはいるよ。まあ実際に買うのは社会人になってからだけどな」
「だからー」
「心配するなよ。3ヶ月分だろ?名字と一緒にくれてやる」
「え、それって、その、…バカ」
消え入りそうな「バカ」までは聞こえたがそれ以降もなにやらごにょごにょ言っているようだ。
変な奴だな。まあそんな変な奴に惚れちまった俺のほうがもっと変な奴なんだろうさ。




64 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/05(火) 20:02:05 ID:???
保守

65 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/05(火) 20:03:09 ID:5Tz7iyFl
age

66 :過疎ってるので燃料投下:2008/08/05(火) 22:26:55 ID:???
俺の視線はいつのまにか目の前のにあいつ釘付けになっていた
シン子が不思議そうな顔をして俺の顔を覗き込んでいる。
「どうかしたの?」
今日は近くの花火大会を見物に来ていた。
シン子にしては派手な柄の浴衣を今日は着ている。
なんだか変な感じだ。
「いや、かわいいな と思って」
こんなことを当たり前に言うのは少し恥ずかしいが、
言わずにはいられなかった。
しかしシン子はいつものあきれた顔をせずに、、
黙って俺に寄り添ってきた。
花火の光がシン子の横顔を照らす。
俺は手をシン子の肩に回そうとする。
黒色の髪が腕に当たってくすぐったい。
シン子と触れ合っている時間は人生で一番心地よい。
どんなに嫌なことがあった日でも、シン子といればそんなことはすぐに忘れてしまう。
・・・ずっとこうしていたい。しかし、花火大会に終わりがあるように、この時間も長くは続かない。
それに、俺たちはチルドレンだ。いつ、使徒がきて命が果てるかもしれないご時世だ。
いや、だからこそこの時間が心地よいのかもしれない。
俺はシン子との一秒一秒を大切にしていきたい。




67 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/05(火) 22:28:34 ID:5Tz7iyFl
夏祭りで、イチャイチャしてるカップルがいたのでアス男とシン子に脳内変換した
反省はしてない

68 :『背中』:2008/08/05(火) 23:13:17 ID:???
他の職人も、書かれているので自分も書いてみました

夜中にふと目が覚めると目の前に葉のアス男の背中。
同居してからずっと見ていたけど今のこの背中は私しか知らない。昔のようにつんつんと悪戯してみても眠りに落ちているアス男には届いてないみたい。
 なんだか急に寂しくなって思わず後ろから抱きついた。
 「ん……?シン子?どした?」
眠りの精から開放されたアス男が寝返りを打ってこっちを向く。
完全に覚醒していない私しか知らないかすれた声。
 私は何も言わないでアス男の胸に擦り寄った。
「シン子?」
「……ん、なんでもない」
何も言わない私から何かを感じ取ったのかアス男は大きな手で優しく頭を撫でてくれた。
しばらく頭にかかる優しい感覚を味わってると、さっき感じた寂しさが解けるようになくなっていくのが分かる。
 「ねえ、アス男」
私は私しか知らないアス男の胸に顔を埋めてひとつお願いをした。
「ギュってして」
 
アス男はちょっと笑って何も言わずに私を抱きしめる。私しか知らない力強いアス男の腕。すごく安心する。
 ああ、そっか。急に寂しくなったのは背中を向けられていたから。ちっちゃい頃に、父に捨てられたときのように…
 「アス男」
「なんだ?」
私はもうひとつアス男にお願いをする。
「背中、向けないで」
 「……ああ、わかったよ」
少しアス男が笑ったような気がして、そして私を抱きしめる腕に力を入れた。
 
これでもう大丈夫。寂しくない。




69 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 00:13:02 ID:???
今投下しても大丈夫かな?
まだすぐに投下できるのは半分くらいまでなんだけど

70 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 00:14:04 ID:???
>>69
OK,今の流れで投下すりゃいいと思う

71 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 00:28:43 ID:???




 リビングの真ん中で一人、頭の後ろで手を組んで仰向けに寝転がり、ただ時間が過ぎるのを待つ。
 何故かくしゃくしゃに乱れた紅茶色の髪。
 学校から返ってきた姿のままなのか、鞄をソファーに放り出し、彼はじっと天井を見上げていた。
 その蒼い瞳の映す視界の端に、主のいないキッチンを捉えながら。






72 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 00:30:01 ID:???
 生活感を感じられない、無味乾燥な部屋。
 無意味なまでな広さを持つ光の差し込みが強いその部屋は、その壁や天井の色も相まってか、全てが白く滲んで見えた。
 リクライニングされたベッドに身を起こす彼女の服の水色も、ベッドの隣で丸椅子に座る少女の着る青緑色の制服や彼女の蒼銀の髪も。
 決して汚れているわけではない。
 むしろ、そこは十分すぎるほどに手入れが行き届いていて清潔な――病室という名の――部屋だった。
 ベッドをはじめとする部屋に置いてある品々、ベッドの上の少女の着ている病院着、彼女の腕から伸びるチューブとその先に繋がった点滴のパック。
 窓は締め切っており、殆ど音のないために、ともすれば時の流れが止まっているような錯覚に陥りそうになる。
 それは彼女たちが静かに本を読んでおり、会話どころか殆ど動きもないからでもあるだろう。
 静かに響く空調の音以外は、廊下から時折漏れ聞こえる館内呼び出しの声、窓から漏れ聞こえる蝉の鳴き声だけ。
 時折ページをめくる音がそれらに混じる。

「碇シン子、と……ここかいな。センセ、邪魔するで」

 唐突に圧縮空気の音とともに自動で横にスライドした扉のそれに少年の声が重なり、二人は読んでいた本から顔を上げ、部屋の入り口へと目を向けた。

「鈴原っ! ノックも何もなしに何考えてるのっ! 女の子の病室なのよっ!」


73 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 00:30:38 ID:???
「おわっ」

 扉の向こうに立っていた黒いジャージ姿の少年が一瞬にして横に引きずり倒されるように勢いよく壁の向こうに消え、扉が再び圧縮空気の音を奏でながら閉じる。
 続いて漏れ聞こえる抗議する少年の声と叱り飛ばす少女の声、二人を宥める少年の声。
 それを聞きながらベッドに座る少女が丸椅子に座る少女へ顔を向け口元を抑えて笑い。
 蒼銀の髪の少女は彼女の笑顔に僅かに首を傾げると、ぱたりと本を閉じて立ち上がった。
 本を丸椅子の上に置き、扉へと踵を返す。
 三度鳴り響く自動扉の開閉音の後、部屋の入り口に立ち、壁の影、廊下に顔を向ける。

「入っても問題ないわ」
「なんだ、綾波も来てたのか。一緒に来てくれたら面倒な手続きしなくてよかったかもしれないのに」
「部外者が入る時にセキュリティチェックを受けるのは規則。私が居ても変わらないわ」

 ベッドの上からそれを見ながらまた少女が小さく笑う。
 先程までと比べると格段に賑やかになった周囲の音。
 しかし、それでもやはり白く滲んだ部屋は色づく事はなかった。







74 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 00:31:06 ID:???
「いや、すまん。妹ンとこに行った時とおんなしようにしてもうた」
「着替えや清拭の最中じゃなくてよかったわ。鈴原にはあとでしっかり言っておくから」
「いいよ、洞木さん。着替えとかはお風呂の時だし」
「寝巻き姿の女の子の部屋に入るのよ? 髪もセットしてないかもしれないのに、いきなり入るなんて――」
「いや、ホンマすまんかった思っとるっちゅーねん。もうカンベンしたってくれ……」

 頭を掻くジャージの少年と、腰に手を当てて彼を睨むお下げの少女に、ベッドの上で少女が苦笑する。

「まぁトウジのデリカシーのなさはいつものこととしてさ」
「ケンスケ……お前までそないな――」

 眼鏡をかけた少年が丸椅子に座ってベッドのフットボードに両腕を乗せ、やれやれとばかりに肩を竦めた。
 抗議の声を上げかけたジャージの少年を宥めるように片手を上げて遮り、ベッドの上の少女に向き直る。

「なんか思ったより元気そうだな」
「元々ただの貧血だったんだけどね。検査したら内臓と筋肉に炎症があるからって無理矢理。だから数日で退院するよ」
「なんや、またセンセがワシらの知らんところで戦って怪我したか、訓練やら実験やらで怪我したかと思うとったわ」

 拍子抜けしたように言う少年二人に、お下げの少女が持って来た花を花瓶に生けながら安堵の声を上げる。

「ホント、入院したって聞いたからビックリしたわ。碇さんのこと心配してる人、他にもいるのよ」

 それを聞いて照れたように視線を下げた少女の傍の丸椅子に再び腰を下ろしながら蒼銀の髪の少女は再び本を手に取り。

「ほいで、綾波しかおらんけど惣流はどこに行ったんや?」

 ジャージの少年の言葉に視線だけを一瞬そちらへと向けた。


75 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 00:31:42 ID:???
「アス男? 来てないよ?」
「え? でも彼、今日学校に来てないわよ……?」
「てっきりこっちにずっといるもんだと思ってたんだけど、違ったんだな」

 口々にいると思っていたらしい少年のことを言う彼等に、隣で読書を再会した蒼銀の髪の少女へと顔を向け。

「そうなの……? あ、あの綾波……もしかして私が入院したせいで、訓練とか実験の負担が上がってる?」
「何も命令はないわ。もしそうだとしたら今こうやって私はここにはいない」
「そ、そうだよね……。アス男、どうしたんだろ……?」

 恐る恐ると言った様子で尋ねられた質問に返されたのは、本へと視線を落したまま呟かれた平坦な言葉。
 一瞬顔を見合わせた少年二人が小さく溜息を吐いたように見えたのは気のせいか。
 ジャージの少年が考え込んでしまった少女に向き直り、軽い調子で口を開く。

「センセがおらんせいで朝起きられへんかったんとちゃうか? 遅刻決定の時間やったせいでそんままサボったんやろ」
「……ありえそう」

 そのまま次々に可能性を並べては笑ったり呆れたり言いすぎだと諌められたりしながら談笑する彼らの傍で、蒼銀の髪の少女は静かに本のページをめくっていた。




76 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 00:32:22 ID:???
<ゴミン、出前か何かで済ませちゃって!>
「ちょっと待て! 俺が自炊できないとか決め付けてんだろ!」

 電話の子機を握り締め、リビングのソファーの上でTシャツにショートパンツ姿の少年が吠える。
 その傍のカーペットの上で器用に両羽から長く伸びた爪を使ってビールの缶を持つペンギンが振り返り、すぐにテレビへと向き直った。

<シンちゃんが帰って来た時に台所の状態を見て機嫌損ねない保証ができるんなら好きにしていいわよん>
「や……やってやろうじゃねーか」
<お、言ったわね。あ、あと、ペンペンのご飯とかも宜しく>

 足元のペンギンを見下ろしながら呆れたような表情を浮かべ、鼻で笑う。
 その気配に気付いたのか、ペンギンが再び振り返り、彼の顔をじっと見返してきた。

「こいつなら心配いらねーだろ。さっき自分で魚取り出して食ってたし。今はテレビ見ながらビール飲んでる」
<オッサン臭いわねぇ……。飲ませすぎないように見張っといて>
「飼い主に似たんだろ?」
<うっさい。んじゃ、良い子にしてんのよん>
「子供扱いすんな!」

 受話器を耳から離し、マイクに向けて叫んだその声は相手に届いていたのかどうか。
 既にスピーカー部からはつー、つー、と信号音が響いてくるだけ。
 額に青筋を浮かべ、口元を引き攣らせながら暫しそこに相手がいるかのように受話器を睨みつけ、彼はソファーにそれを握り締めたまま叩き下ろした。
 その瞬間に再び着信音が鳴り響き、思わず反射的に受話ボタンを押してしまってからディスプレイ部分を見つめる。

<もしもし。あれ? もしもし?>

 表示される「公衆」の文字と、流れてくる聞き覚えのある声。
 一度深呼吸をしてから彼は受話器を耳に当てた。

77 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 00:33:02 ID:???
「どうした」
<もしも……あ、アス男? あの、私。シン子だけど……>
「……なんだよ」

 遠慮がちな少女の声にぶっきらぼうな返事。
 そんな彼の態度に電話の向こうで言葉に詰まったのだろうか、僅かに間を空けて少女の言葉がおずおずと続いた。

<その、ご飯……ちゃんと食べた?>
「当たり前だろ」

 実は朝パンとインスタントのスープを食べたきりであることを誤魔化すその言葉に躊躇いはなかった。
 ずっと鳴っている腹の音が受話器に拾われてしまうと思ったのか、彼は腹にクッションを載せて抑えつける。

<そっか……。えと、具合悪かったり、する?>
「お前よりマシだ」
<もしかして、何か怒ってる……?>
「なんでだよ。くだらねーこと聞くのなら怒るぞ」
<だ、だって、今日アス男が学校休んだって聞いたから>

 一瞬の沈黙。
 すぐさま何かに思い当たったのか、機嫌悪げに眉が顰められ、舌打ちと共に苦々しい声が漏れた。

「ファーストか」
<違うよ! トウジとケンスケと洞木さんがお見舞いにきてくれて、その時に……>
「あー、分かった分かった」

 彼の機嫌が傾いたのをそれだけで感じ取ったのだろう、少女の声が慌てたものに変わり、彼は溜息を吐きながらトーンを戻した。
 そのまま沈黙が続く。
 彼女が何を求めているかが分かったから、と言えば聞こえはいいのだろうか。
 実際のところ、分かったというよりも今までの経験上彼女が黙った時の行動パターンは決まりきっているからでしかなかったのだが。

78 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 00:33:38 ID:???
<……あの>
「俺は病院が嫌いなんだよ」

 何か言いかけた少女を早口で遮る。

<……え?>
「何回も言わせるな」
<あ、うん、ゴメン……>

 恐らく納得などしていないというよりも、まだ彼の言葉の意味を理解する段階にも至っていないのだろう。
 戸惑ったような彼女の返答。
 そのままそれは受話器の向こうで「病院が嫌い」「アス男は、病院が、嫌い?」という自問に変わり。
 やがて沈黙に変わった。
 彼女が何か言い出すのだろうと彼は暫く待ち。

「……あーもう! 本当は今日お前の間抜け面を見に行ってやろうと思ったんだよ! 踏ん切りがつかなかっただけだ!」

 結局それは十五秒も保たなかった。
 そんな彼の自棄を起こしたような声と口調に、少女の声に明らかな呆れが滲む。

<それで、学校まで休んだの?>
「悪いか」

 もはや開き直ったのか、堂々とし始めたその気配が受話器の向こうにもしっかりと伝わったのだろう。
 その沈黙は恐らく口篭もったのではなく、ただの絶句で。

<わ、悪いに決まってるでしょ! 理由もなく学校休むなんてただのサボり――>
「来て欲しいか?」

79 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 00:34:07 ID:???
 口火を切ったように彼女にしては珍しく激しい口調に変わりかけた反論に彼の静かな質問が重なった。

<え?>

 完全に虚を突かれたように一音だけの彼女の返答に、彼は更に言葉を重ねる。

「お見舞いとか、そういうの。お前は来て欲しいか?」
<え、その……やっぱり、来てくれる人がいたら、嬉しい、けど>

 完全に彼のペースに飲まれてぽつぽつと素直に答えた彼女に、しかし彼は笑うことすらなく。
 ただ、目を閉じ、静かに深呼吸を繰り返していた。

<……あ、あの、アス男?>

 やがて、その沈黙に不安が増してきたのか、少女の戸惑ったような声。
 その声から一拍置いて、彼はすっと目を開いた。

「明日行ってやる」
<あ、うん>
「電話代の無駄だ。もう切るぞ」
<う、うん。それじゃ、えと、また……明日>
「じゃあな」

80 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 00:35:12 ID:???
 受話器を耳に当てたまま、頭をソファーの背凭れにぐったりと乗せ、じっと待つ。
 やがてがちゃりと音が響き、続いてつー、つー、と電子音が流れ始めたところで、彼は受話器を持った腕を力なくソファーの上に投げ出した。

「クワ?」

 ペンギンがそんな彼の様子を見ながら首を傾げる。
 彼は横に倒れるようにしてずるずると背凭れをずり落ちながら寝転がり、またゆっくりと目を閉じた。

――やめてママ! ママをやめるのをやめて! 僕ママに好かれる良い子になるよ! だからママをやめないで!――

 頭に幼い子供の声が響く。

「……ちくしょう」

 彼の青褪めた顔と呟きを聞いていたのはペンギンだけ。
 その意味を知る人間は、そこには誰もいなかった。





81 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 00:36:58 ID:???
とりあえずここまで
後半は明日
即興で良いならここから続けるけど、どうしようか?
その場合はただでさえロクに推敲してないから、前みたいにクオリティは期待しないで

82 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 00:40:18 ID:???
>>81
GJ 面白かったよ!後半待ってる

83 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 00:40:58 ID:???
これはもしや…アス男補完の神職人のご帰還か

84 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 02:18:07 ID:???
久々にktkr
アス男とシン子の立役者様のお帰りをお待ちしておりました

あいかわらずキャラが立ってるしアスカとシンジが感じられる
超期待して後半待ちます

85 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 06:43:13 ID:???
久々に超力作来たー!
お待ちしてました後半wktk

86 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 06:46:53 ID:???
相変わらず会話の中身がリアリティ高くていい
お世辞抜きにマジでGJ

87 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 12:27:09 ID:???
久しぶりに来たら新スレ立っててびびったw


職人さんみんなGJです!
続き楽しみにしてます

88 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 22:10:00 ID:???
すばらしい職人さんの投下なので、私も書き溜めた分を投下してみます。

『付かず離れずな微妙なお年頃』


空が、蒼く澄んでいて。

 雲一つない、真っ青な景色が目の前には広がっていて。

 より深い、蒼の瞳を輝かせて。

 彼は私に、確かにこう言ったんだ。

 「学校行きはキャンセルだ、シン子」

 人差し指をたてて、ウインクを一つ。

 アス男の笑顔に、私はただ、頷いた。

 天国の母さん。

 意思の弱い娘でごめん。



89 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 22:10:38 ID:???
「それにしても、毎日あついなぁ。常夏っていうより、異常気象だな」

 「セカンドインパクトで、地軸がずれたからしいね」

 「そういうことらしいな」

 学校に行くには乗る必要がない、弱冷房の列車に乗って。

 私とアス男は、揺られている。

 通学時間には少し遅くて、制服姿は私とアス男だけ。

 通勤するスーツのサラリーマンの姿も、この時間帯は少ない。

 目的地は知らない。

 アス男はどこに行こうとしてるんだろう。

 それがわかるほど、私はアス男を知らない。

90 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 22:12:19 ID:???
「年中夏って言うなら、ずっと夏休みでいいだろ。そう思わねぇか?」

 「…それはさすがに、ちょっと」

 「毎日が日曜日なんだぞ?」

 駅の売店で買ったオレンジジュースを飲んで言うアス男に。

 私も自分の買ったコーヒーを、一口飲んでから。

 「それだと暇を持て余すよ。きっと」

 「そうだな、その時はお前が俺の退屈を紛らわすんだよ」

 「私が?」

 「う〜ん。でもそれだと、すぐにレパートリーが尽きるな、シン子だもんな」

 ひとしきり、勝手に納得して。

 私の手にする缶に目を向ける。

 どこにでも売っている、コーヒー飲料の缶。

 それを少しの間、ただじっと見て。

 「オマエ、そんな苦い飲み物が好きなのか?」

  アス男が聞く。


91 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 22:12:56 ID:???
「好きって事は、ないけど」

 「なら、嫌いなのに飲んでるわけ?シン子、そういう趣味はよくねぇぞ」

 「どうしてそうなるのさ」

 私の答えには反応しないで。

 アス男はやれやれと、頭を左右に振ってみせた。

 それから、僕に向き直って。

 「日本人の、そのどっちつかずな考え方って。オレは好きになれないな」

 「好きなものは好き。嫌いなものは嫌い」

 「どっちかしかねぇだろ」

 眉を寄せて、胸をはって。

 あまつさえ、握った手を持ち上げる。

 アス男は感情と体が同時に動くから、見ていて新鮮だ。

 何て言うか、私の周りにいなかったタイプだ。


92 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 22:13:35 ID:???
今まで生きてきて、少しでもわかる人なんて両手で数え切れるぐらいけど。

 アス男は、行動的なんだ。

 だから今日みたいに、思ったらすぐに行動する。

 生気にあふれてる。

 だから多分、ひかれている。

 「でも、全部が両極端でないといけないのかな」

 「そうとは、限らないけどな」

 「コーヒーの好き嫌いは簡単な二択だぞ?シン子」

 クスリと笑って。

 アス男は身を乗り出してくる。

 「で、好きなのか?それとも嫌いか?答えはどっち?」

 「……ええと、好き、かな」

 「しんじらんねぇ、あんな苦いのが好きなのか!?」

 「え、あ、いや、嫌いかも…」

 「なぁんだよシン子、オマエ嫌いなの?しょうがないな」

 とたんに、ころりと表情をかえたアス男の手に。


93 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 22:15:23 ID:???
 
私の手の中にあったコーヒー缶があって…。

 アス男はプルトップ部分の穴に、口をつけた。

 …二度、三度。

 咽をならして。

 私に缶を押しつけてきた。

 先ほどより軽くなったのがわかるコーヒーの重み。

 私はただ、アス男を見る。

 「ほら、飲むのを手伝ってあげたんだから。感謝しろよ?シン子」

 平然と。

 そう言ってから、自分のオレンジジュースを口にする。

 「やっぱり、オレンジジュースの方がうめぇぞ」

 「今度からはシン子もそうしたら?」

 ただ、頷く。

 それしかできない、私。


94 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 22:15:54 ID:???
そんな私を、満足そうに見つめて。

 「いつも、それぐらい正直でいいんだよ。難しくないだろ」

 「変に人の出方ばかり伺ってないでさ」

 「……そう、なのかな」

 「…さあ?オマエが考えて、決めろよ」

 いたずらっぽく、微笑んで。

 アス男は私に言った。

 「ところで、今の間接キスって。嬉しかった?シン子」

 …ごめんなさい天国の母さん。

 私は二択も、満足に回答できない子供なんです。

 目をつぶっても、アス男の笑い声が証明してる。

 私の顔は、きっとユデダコのように真っ赤だろう。


95 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 22:16:29 ID:???
「そういえばシン子。これからどこ行くんだよ?この電車」

 「……知らないの?」

 「知らねぇよ」

 一言。

 ああもう、確かにその場合は二択だよね。

 「……私も知らない。初めて乗る電車だから」

 「ふぅん」

 「…心配じゃないの?」

 先が分からないのに、怖くないの?

 そう思って、アス男を見たら。

 やっぱり君は、笑ってみせて。

 「使徒と戦うEVAのパイロットが、行き先がわからないぐらいで騒ぐなよ」

 「行けるなら帰れんだよ」

 びしっと、私の眉間を人差し指でついて。

 「しゃきっとしろ。仮にもこの俺と、二人っきりでデートできるんだからよ」


96 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 22:17:44 ID:???
 
 私の顔は、きっと、さっきと同じぐらい紅いんだろうな。
 顔を見られたくなくて、背中を向けたら。
 「まあ、いいんじゃない?」
 「オマエとこんな日があったって」
 「それともまさか、嫌とでもいうのか?」
 …天国の母さん。
 私には正直、アス男のことも、僕自身のこともわからないけど。
 でも、この二択は答えられると思う。
 だから、それを私の言葉に変えて。
 アス男にこう言うんだ。

 次は、休日にしようねって。

 ゆらり。

 ゆられて。

 のんびりと。

 帰ったら、ミサトさんに怒られるだろうけど。

 それでもいいかと思えるのは、きっと。

 あなたの影響だよ。アス男。



97 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 22:18:48 ID:???
神職人の邪魔をして申し訳ありません。
後半期待しております。

98 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 23:30:38 ID:???
 翌日。
 また学校へ向かうことなく、彼はその用途の割に無駄に豪華な佇まいを持つ施設のロビーで立ち尽くしていた。
 ある機関の名前を冠する総合病院。
 利用者は一般人ではないため、ロビーに人はそれほど多くはなかった。
 やはり無駄に広く、空きの多い待合室の椅子に腰をおろして息を吐く。
 浅く荒い呼吸。
 それが身体的な疲れからくるものではないことは、彼の様子から一目でわかった。
 白人の血の濃さも相まって、脂汗の滲んだその顔色はまさに血の気が引いたように青白く。
 微かな頭痛と眩暈、それを振り払うように目を閉じて軽く頭を振る。
 しかし、消毒液の臭いや耳から入ってくる病院特有の館内放送がそれを許さない。

「ちょっと君……大丈夫?」

 彼の様子に気付いたのか、女性看護士が一人彼の傍でしゃがんで顔を覗き込んできた。

「あぁ、いや……大丈夫」
「あら、あなた……」

 彼の顔を見て、何かに気付いたように女性が呟く。
 顔を伏せ気味のままそれを横目で見て、彼が視線で質問を投げかけると、彼女はにっこりと微笑んだ。

「サードの子のお見舞い? ちょっと待ってね、部屋の確認してくるから」

 彼女に悪気など欠片もなかったのだろう。
 彼は――彼等は――その立場上、特定の人間たちには一般的な呼称である「番号」で呼ばれるのだから。
 それは本来なら、普段ならば彼にとって誇りとも言えるものであったはずだった。
 番号で呼ばれることではなく、それが意味するものが。
 そのはずだったのに。


99 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 23:31:09 ID:???
――ママ! ママ! 僕、選ばれたよ! 人類を守るエリートパイロットなんだ! 世界一なんだよ!――

 その呼称を聞いた瞬間、軽く嘔吐きかけて歯を食いしばり、それに耐える。

「ちょ、ちょっと……大丈夫じゃなさそうだけど。……診察の連絡してくるから待っててね」
「いらねぇ!」

 彼の叫びに周囲にまばらにいた外来患者や病院スタッフの視線が集中する。
 それらに軽く会釈を返し、女性は再び彼の前にしゃがんで優しく語りかけた。

「何か理由があるみたいだけど、あなたの場合はそうはいかないの、分かってるでしょう……?」

 ぎり、と音が聞こえそうな程に一度歯を食いしばり、彼は搾り出すように声を出した。

「後で……シン子のところに行った後でいくらでも受ける」

 生唾を飲み込み、何事もなかったかのようにすっと立ち上がり、額の脂汗を拭う。
 その様子に眉を顰めて、女性は少し迷う素振りを見せた後、ふっと息をついた。

「約束してね。サードの子のお見舞いが終わっ――」
「シン子だ」

 横目で睨み付けながら短く遮る。

「え……?」
「サードじゃねぇ。『碇シン子』だ」


100 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 23:31:40 ID:???
 無論、彼女もその名前は知っていただろう。
 しかし、アス男の言葉に口篭もり、小さく「ごめんなさい」と呟いて早足で受付の奥へと歩いていった。
 内線でどこかへ連絡して戻ってきた時、病室番号を告げるその表情はこれ以上なく神妙で。

「……君の体調も芳しくなさそうだから念のため一緒に行かせて貰うわね。病室までは入らないから」

 無言で歩き始めたアス男の後ろにつく。
 しかし、監視されているかのようなその位置関係も、彼は全く意に介することはなく。
 別の何かを耐えるように時折歯を食いしばっていた。
 リノリウム張りの床、白い壁、白い扉、消毒液の臭い。
 病院特有のそれらをまるで視界に長く入れることを拒絶するかのような早足。
 エレベーターホールに着き、その到着を待つその膝が微かに震える。
 到着したエレベーターの扉が開く。

――ママ! ママ! 僕、選ばれたよ! 人類を守るエリートパイロットなんだ! 世界一なんだよ!――

 目的階のボタンを押し、一緒に乗り込んできた看護士が後ろで壁際に立つのを完全に無視して壁に手をつく。
 扉が閉じ、階層表示だけがエレベーターが動いていることを表す中、再度、袖口で滲んだ汗を拭う。
 目的階に到着したことを告げる音が鳴り、扉が開く。

――誰にも秘密なんだ。でもママにだけ、教えるね!――

 開いた扉を前に佇み、動かない彼。

「やっぱり先に診察を――」
「うるせぇっ!」


101 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 23:31:58 ID:???
 痺れを切らしたように後ろから上がりかけた声に激しく反応し、閉じかけた扉を押さえて壁を辿るようにエレベーターから降りる。
 目の前にはナースステーションと、ゲートのような硝子の扉。
 今の彼の叫びに何事かと顔を覗かせた看護士や医師たちが、彼の後ろに控える女性に目を向けて何事かを了承したように小さく頷く。
 彼の目の前で、また扉が開く。

――いろんな人が親切にしてくれるんだ。だから、寂しくなんかないんだよ!――

 彼にとっては、まるで、「あの日」をなぞるように次々に目の前に現れる扉。

――だから、パパがいなくなっても大丈夫。寂しくなんかないよ――

 揺れる視界と、次第に酷くなる頭痛と吐き気に耐えながら廊下を進み。

「あ、アス男。本当に来てくれたんだ」

 最後の病室の扉を開けた時。

――だから、僕を見て、ねえママ!――

 ぬいぐるみを抱いてベッドの上から微笑みかけてきた彼女の姿を見た瞬間、彼は意識を手放した。






102 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/06(水) 23:34:27 ID:???
何の予告もなしに始めたけど>>98からが>>80の続きね
これで終わりじゃないぞい
もうちっとだけ続くんじゃ
1時間くらい待って

103 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/07(木) 00:24:04 ID:???
待ってるぜ!

104 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/07(木) 00:36:51 ID:???
――アー君、ママね、今日はあなたの大好物を作ったのよ。ほら、好き嫌いしてるとあそこの兄ちゃんに笑われますよ――
――あらこんにちは、どちらの坊やかしら。この子はアー君って言うのよ。仲良くしてあげて頂戴ね――
――緒に死んでちょうだい――

「……ろさないで」

 自分の呟きが耳に届き、薄く目を開ける。
 視界に入った見覚えのない天井に思考を止める。
 全てがオレンジ色に染まっているのは自分の目がおかしくなったのではなく、日没か夜明けだからなのだろうと理解するまでに僅かの間。
 その光を遮るように傍に降りた影に視線を動かすと、窓いっぱいのオレンジの中に黒く女性のシルエットがあった。

「……マ――」
「アス男……起きた?」

 影が発した少女の声に急速に意識と思考が戻る。

「……ああ」
「大丈夫?」
「……全然」

 まだ若干の不調を訴える視界と頭痛と胃に顔を顰めながら彼は身を起こした。
 起き上がって大丈夫なのかと狼狽える少女を鬱陶しそうに片手を振って黙らせると、目を閉じて深呼吸する。
 そんな彼を見つめていた少女が、何かを思い出したようにヘッドボード横のスイッチに目を向けた。


105 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/07(木) 00:37:48 ID:???
「あ、ナースコール……」
「やめろ。また検査だなんだって連れまわされて益々具合が悪くなる」
「だってアス男が目を覚ましたら知らせて欲しいって――」
「水」

 食い下がる少女に短く言い放ち、切り捨てる。

「あ、う、うん。ちょっと待って」

 慌てたようにサイドテーブルからグラスを取り、水を注いでから差し出されたそれを、彼は力なく受け取ると一気に飲み干した。
 グラスを両手に握り、それだけをじっと見つめる。
 沈黙の中、窓からひぐらしの声が遠く滲み漏れてくる音だけが響くオレンジ色の部屋。
 どれくらいの間そうしていたのか。

「……あの、ゴメン」
「……何がだよ」
「……そんなに具合が悪いだなんて思わなかったから――」
「違う」

 少女の謝罪に否定する声が重なる。
 しかし、珍しく彼女の言葉は留まることはなく。

「昨日電話した時にちゃんと気付けなくて。あの時ちょっとアス男の様子がおかしいのはなんとなく――」
「お前のせいじゃない」
「だって! 現にアス男はこうやって――」
「俺を産んだママは病院で自殺した」

 起きかけた彼女のヒステリーがその一言で止まる。

106 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/07(木) 00:39:01 ID:???
「……え?」

 視線を手の中のグラスに落したままの彼を見下ろし、呆けたように呟かれた少女の声に。

「だって前に、エヴァの実験でって……」

 ゆっくりと彼の顔が上げられ、そのまま後ろに倒れこむように横になる。

「あ、アス男……! 大丈夫?」
「その後、精神に異常が出て、入院してたんだよ」

 グラスを持った片手をベッドから突き出すようにだらりと伸ばし、もう一方の腕を額の上に乗せながら、心配する彼女の声を無視して彼は静かに語りだした。

107 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/07(木) 00:39:30 ID:???
「俺だと思い込んだ人形相手にベッドの上で話しかけ続けてて」

――やめてママ! ママをやめるのをやめて! 僕ママに好かれる良い子になる! だからママをやめないで!――

「目の前にいる俺はよその子供。……腕の中の人形を『アス男だ』って紹介された」

――だから僕を見て! やめてママ! 僕を殺さないで!――

「暫くして俺はチルドレンとして選ばれて」

――ママ! ママ! 僕、選ばれたよ! 人類を守るエリートパイロットなんだ! 世界一なんだよ!――

「それは皆が俺を良い子だと思ってくれた証で」

――誰にも秘密なんだ。でもママにだけ、教えるね!――

「ママがそれを知ったらもう一度自分を見てくれると思って」

――いろんな人が親切にしてくれるんだ。だから、寂しくなんかないんだよ!――

「早く知らせようと走って走って、スタッフに走るなって怒られるのも無視して走って」

――だから、パパがいなくなっても大丈夫。寂しくなんかないよ――

「病室の扉を開けたら……」

――だから、僕を見て、ねえママ!――

「ママが天井からぶら下がってた」


108 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/07(木) 00:48:46 ID:???
シリアスとほのぼのが混ざり合っているなこのスレ

109 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/07(木) 01:07:24 ID:???
 小さく息を飲む音が横から零れる。
 そこまで話して、彼は一度唇を噛み締めた。

「だから、俺は嫌いなんだよ。病院は」

 声が震える。

「誰かの見舞いに行くってのは、嫌なんだよ……」

 額に乗せられていた腕が下がり、目元を隠す。
 ただひたすらに落ちる沈黙に混じる蝉の声ももはやなく。
 彼女はただそこに佇むだけで何もすることが出来ず。
 オレンジ色の光が殆ど部屋から消えた中、くぐもった声だけが小さく響いた。





110 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/07(木) 01:07:46 ID:???
「……誰にも言うなよ」
「……言わないよ。言うわけないじゃない」

 消灯時間が過ぎたあと、真っ暗な病室で隣り合ったベッドに寝転がり、互いに天井を見上げたまま呟く。

「私がぬいぐるみ持ってベッドに座ってるのが、思い出させちゃった……?」
「うるせぇ、もうその話は終わりだ」
「ご、ゴメン……」

 彼等が何か変わったというわけではないのだろうが。

「えと、その……私は、アス男はちゃんとここにいるって分かってるよ」
「……ああ」
「アス男は人形じゃないって、分かってるよ」
「……ああ」





111 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/07(木) 01:08:11 ID:???
「シンちゃ〜ん、おはよ〜う。具合はどうかし……」
「……見舞いにくんのおせぇよ」
「ア……アス男! アンタ見損なったわ! 一緒の病室で寝てるなんて何考えてんのよっ!」
「ちょ、待て、違、これは俺のせいじゃ、シン子を見舞いに来て――」

 翌朝、彼の様子はいつもと変わりなく。

「あ、綾波おはよう。こんなに早くから来てくれたんだ」
「セカンドは何故いるの?」
「うーん……少し、病院が平気になったみたい。……なってたら、いいかな」
「そう」

 やはり、彼等何かが変わったというわけではないようだったが。

「女の子のせいにするな! そこになおりなさい! 死ぬまで根性叩きなおしてあげるわ!」
「シン子! 見てないで助けろっ! これ以上病院関連のトラウマ増やされて堪るかぁっ!」

 彼の声は、少しだけ軽く、明るく部屋に響いていた。





112 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/07(木) 01:08:47 ID:???
というわけで終わり
結局最後は即興になった件orz

113 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/07(木) 01:24:32 ID:???
>>112
アス男補完はやっぱりいいな
ちゃんとアス男はアスカの男版に見えるし、
シン子もシンジの女版に見えるあたりさすがだ
とにかくひたすらGJ

>>108
テンプレには少女漫画ってなってるけど
元々はネタスレ、殆どコメディ
かなりのネタを投下してたのが上のシリアスSS書いてる職人で
このスレのアス男とシン子の形を作り上げた

114 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/07(木) 02:07:36 ID:???
このスレは職人さん達頑張ってるなー
良スレGJ

115 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/07(木) 03:49:24 ID:???
うおお、なんかまた盛り上がってきたなw
SS投下してくれた人みんなGJ!

116 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/07(木) 05:42:22 ID:???
神職人投下お疲れ。読ませるね。GJ!

117 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/07(木) 18:14:03 ID:???
まとめを作ってるんだが、載せられたら困る作者はいるか?
あと…小ネタとかも入れていいよな

118 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/07(木) 20:24:53 ID:???
>>117
自分のサイトに引き取る予定は今のところないからご自由に
Wiki形式のまとめなら編集できるようにしてくれると嬉しいかも
直したい所とかあるし

119 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/07(木) 21:03:56 ID:???
>>117
つくりかけでもいいからURL教えて

120 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/08(金) 00:33:20 ID:???
初めてですが、投下してもよろしいでしょうか?

121 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/08(金) 00:53:58 ID:???
キーン、コーン、カーン、コーン・・・・・

午前授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。
それに連鎖反応を起こした教室中の生徒から、歓喜の含まれた声が生まれ、飛び交う。
眠っていた者も飛び起き、目を輝かせながら背伸びをする。

同じくして昼を迎えた葉アス男は、端末を机の中にしまい、かわりに弁当箱を机の上に乗せる。
シン子の作る弁当箱は、いつもナプキンで包まれ、口拭き用のハンカチがその弁当箱の上に乗せられている。
一度、トウジとケンスケの前で弁当を食べたとき、口の周りをいっぱいに汚した自分の姿を見られ、ひどく笑われたせいだ。
その日から、シン子が弁当を作り、アス男がシン子の作った弁当に口拭き用のハンカチをいれるのが、家でのルールだった。
そう・・・今日もナプキンに包装された弁当箱の上には、自分が乗せたハンカチが乗せられているはず、だった。

「さて、昼飯にするかな・・・」

空にそう呟きながらナプキンの結び目に手を掛ける。


・・・・・・!!!・・・・・・


瞬間、アス男が硬直した。
その顔は、まさに顔面蒼白といった感じだ。


122 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/08(金) 00:54:33 ID:???
ナプキンをほどいてハンカチを取り出した・・・・・つもりだった。
しかしどうだろう、現実に手にしていたのは白い三角形の布きれ・・・。
同義で「シン子の下着」、であった・・・。
アス男は、偶然「それ」を洗濯機の中で見たことがあった・・・間違いない。
家事一般をしているシン子も衣類の洗濯は当然自分でやっているが、基本的にそういう面で疎い所がある。

(なぜ!?なぜ弁当箱の上にシン子の下着が!!?)

アス男は信じられなかった。いや、現実を認めたくなかったのかもしれない。
だが、この事態を引き起こしたであろう心当たりが脳裏をよぎる。

そういえば、今朝は珍しく寝坊してしまった。
シン子に起こされ、ぼーっとした頭で弁当にハンカチを入れようとしていた。
そして、いつも置いてあるところにに弁当用のハンカチが無いことに気づき、ベランダに衣類と一緒に干してあったハンカチを取って、弁当と一緒にナプキンで包んだ・・・・・寝起きで朦朧とした頭で。

(やっぱりそうだ・・・・・これしか考えられない・・・・・。)

アス男は確信した。ベランダでハンカチかと思われた「アレ」は、シン子の下着であったことを。


123 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/08(金) 00:55:07 ID:???
(ハッ!)


慌てて現実に戻り、咄嗟にその弁当箱をしっかりと包み直す。もちろん、シン子の下着も一緒に。
それもその筈。この教室の誰一人として、この「白い三角形」を見られてはいけないのだ。

そして今、アス男の孤独なサバイバルゲームが始まった。

「アス男。」

後ろからかけられた声にアス男はビクッと体を震わせる。
シン子だ。
そう、この「白い三角形」の持ち主、碇シン子だ。
いきなりにして最大の難関を迎えてしまったアス男。
だが、今、これを持ち主に返すワケにはいかない。
いまやこの事件はアス男の最重要機密に設定されているのだ。

(こんな事がシン子にバレたら・・・)

考えただけでもゾッとしてしまう。

「よ、よう。シ、シン子」

隣りに来ていたシン子にどもりながら言葉を返す。
しかしながら、自然を装いたいと思うほど不自然になってしまうのは鉄則である。

「ん?どうしたの。気分でも悪いの?」

「そそそんなことねぇよ。はハ、ハ。」

「ま、いいか。ほら、お昼にしようよ。」


124 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/08(金) 00:55:58 ID:???
そう言って、シン子がいつも通りアス男の机の横に椅子を持ってきて、座る。いや、座ってしまった。

「ふふ、今日は結構自信作なんだ」

嬉しそうにシン子が弁当の蓋を開ける。どうやら、シン子の弁当には例のモノは同梱されてなかったようである。
人知れずホッと胸を撫で下ろすアス男。
だが、危急存亡という事態に変わりなかった。

いつまで経っても弁当を開けないアス男に、不審に思ったシン子が突っ込む。

「どうしたの。食べないの?」

「あ、ああ。なんか、食欲なくて・・・・・」

冷や汗はかいているものの、シンジの返事に偽りは無い。

「ふーん。珍しいねぇ。」

特に気にしていないように、シン子が箸を進める。

そう、そのまま何も言わず食べて欲しい。アス男はそう切望するのだった。
もちろん、時間が早く経つようにとも。

しかし・・・そんなのは所詮、儚い空想に過ぎなかった。

「なんや、アス男、弁当食べへんのか?」

「!!・・・トウジっ。」


125 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/08(金) 00:57:48 ID:???
最も恐れている惨劇への道標、鈴原トウジであった。
アス男の冷や汗を一層に導き出す。

「あ・・・いや、今から、食べる所だ・・・。」

「そやそや、食べ物を粗末にしたらバチが当たるで。」

「でもアス男、食欲ないんでしょ?」

崖っぷちのアス男を一押し。

「あ、あの、その、まだ、わかん、ねぇな、なんて・・・」

言葉を必死に継ぎ接ぎしながら、ヒクヒクと笑う。

「そか、じゃ、残飯処理はまかせとき。」

小さな親切、大きな障害。
トウジは惨劇への刻限を告げると、片手を上げて去っていった。
残飯処理はまかせとき。
この言葉のせいで、昼食時間である残り30分以内にこの「同梱弁当」をなんとしても食べてカラにする必要があった。食べないでそのままにして置いたら、死神トウジがこの弁当を奪いにやって来る。
よって、「何事も無く弁当を食べる」という、ハイレベルミッションを余儀なくされるアス男。

「ねぇアス男、ホントに大丈夫なの?」

滝のような冷や汗をかいて、頭を抱えているアス男。それを心配したシン子が気分を訪ねる。

「い、いや、だ大丈夫だ。ホント・・・。」

必死に平静を装い、ぎこちなく笑顔を作る。

126 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/08(金) 01:00:59 ID:???
(すると、気を遣ったシン子が恐怖の提案を出す。

「ひとまずお弁当開けてさ、なんかひとつ食べてみたら?空腹のままだと、気分良くなんないわよ。」

「い!?いや、それはっそのっ。」

「それとも、私の作ったお弁当を食べたくないの?」

(それだけは!それだけはダメなんだ!)

心で必死に叫ぶが、それではシン子に伝わらないのは必然である。

「だ、大丈夫だって、シン子。」

ひとまず弁当を持ってシン子から遠ざける。
だが、その行為がシン子の気に障ってしまった。

「やっぱり。食べたくないんだ、私のお弁当」

シン子が同梱弁当に手を伸ばす。

「や、やめろってば!」

必死に抵抗するアス男。
その様子に、更なる不審感を募らせるシン子。

「弁当にこんなにムキになるなんて・・・さては何かあるでしょ!!」

いつもボーっとしているシン子が今日は冴える。


127 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/08(金) 01:01:46 ID:???

「なななんでもねぇって!」

図星に直撃なアス男。必死の形相だ。

2人の争いに周囲の生徒たちも興味が沸いたのか、興味深々といった面もちで観戦している。

「何もないなら大人しくして!」

すでにアス男の体の上に身を乗り出して、同梱弁当に手を伸ばしているシン子。
アス男も必死に弁当を持った左手を後方に伸ばすが、時間の問題だった。

(もう限界だ!!)

シン子の手が同梱弁当を掴んだ。

(これしかない!!すまんシン子!!)

「え!!?」


128 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/08(金) 01:03:02 ID:???
ガバッ

すると、アス男は空いていた右手をシン子の背中に回し、抱き寄せた。
アス男の体の上に身を乗り出していたシン子はバランスを崩し、アス男の体に倒れ込む。
結果2人共、密着してお互いの肩口に顎を預ける格好となった。

「「「「「おお〜〜〜〜っ!」」」」」

教室中からどよめきの声があがる。

「きゃー!惣流君て大胆!」
「うそーーー!」
「白昼堂々、抱き合うなんて!」
「惣流のヤツ!ちくしょう!」
「よっ!惣流ご夫妻!」
「イヤ〜ンな感じ!」
「仲人はわしがやったるで!」
「不潔よ!2人とも!」



「ちょ、ちょっと!アス男!なにするの!」

「す、すまん!」

「なにがすまんだよ!離して!」

すっかり顔をまっ赤にしたシン子が、アス男の体から離れようと上半身を起こす。
・・・・・が。

「えぇ!!?」


129 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/08(金) 01:04:10 ID:???
ガバッ

アス男が再度シン子を抱き寄せた。
そう、アス男には離せない理由があった。
シン子がもう一度この同梱弁当を狙う危険性があったからだ。
しかも、今シン子が身を起こすと、体勢が不利なアス男は弁当の防衛手段が無い。
結果、2人共先ほどと同じ格好に戻った。

「「「「「「「「「おお〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」」」」」」」」」

教室はもちろん、いつの間にか集まっていた廊下の大勢のやじうまからどよめきの声があがる。

「きゃー!惣流君すごい!!」
「うそ!マジ!?」
「おいおいおいおい!!」
「惣流の野郎!許せねぇ!!」
「いやぁぁ!碇さん惣流さんから離れて!」
「おいケンスケ!ビデオや!ビデオ!こりゃスクープや!」
「バッチリだよトウジ!!」
「不潔よ!いい加減にして〜!!」
「おい見ろよ!惣流が抱きしめたぞ!」
「ああ〜ん!ショックだなぁ〜。」
「惣流先輩!嘘だって言って下さい!!」
「碇さんは惣流だったのか!こりゃ大番狂わせだ!」
「オッズはどうなんだよ、オッズ!」
「180倍ィィ??!」
「まずいな、万馬券どころじゃないぞ!」
「ああ〜!惣流に賭けときゃ良かった、俺はてっきり綾波かと・・・」


130 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/08(金) 01:05:50 ID:???

・・・後半はちょっと違っていたかもしれないが、まぁこんな感じで騒がれた。

そして、一方で大変なのはシン子であった。

「ア、アス男、なんなの・・・?」

「RGB」の「R」の目盛りを最大にした顔のシン子が力無く言う。
もう抵抗の様子は無く、ただその身をアス男に預けていた。

「あ、あのさ、お弁当の事なんだけど・・・もういいか?」

「そ、そんなの・・・もう、どうでもいいよ・・・。」

「そ、そっか、よかった・・・・・。」

ようやく安心したアス男は、シン子の身を解放した。
ちょっと残念そうな顔のシン子。
・・・・・が、しかし!

バッ!

「あッ!!!」

一瞬の隙をついたシン子が、アス男の手から「同梱弁当」を取り上げた!
仮にもネルフの司令とEVAの作り主の娘を、侮ってはいけない。


131 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/08(金) 01:07:02 ID:???

アス男は再び抱き寄せようとするが、完全に上半身を起こしたシン子はびくともしない。
しかも、シン子はアス男の体を空いた左手で押さえつけている。

「でも、アス男がここまでするんだもん、気になるんだよねぇ〜。」

いつもの内気とは違う顔でそう言うと、早速スルスルとナプキンの結び目を解いていくシン子。
危機の頂点を極めたアス男は、その様子がスローモーションになって見える。

(やらなくちゃ・・・やらなくちゃ!!)

アス男は迷わなかった。
全身全霊を腹筋に注ぎ、シン子の押さえつけている手をはねのける。
そして続けざまに両手で、シン子の両手首をそれぞれ掴んだ!これでシン子は弁当箱の結び目を解けない。

「しまった!!」

思わぬ抵抗に焦りを見せるが、なんとしても弁当箱の中身を確かめたいのだろう。今度は口を使い、蝶々結びのナプキンの一端を歯で噛む。そして、あろう事か引っぱり出す。
最終強羅防衛線の蝶々結びがだんだんと緩んでいく。


132 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/08(金) 01:07:45 ID:???
《最終装甲板、融解!》
《やばい!メインシャフトが丸見えだわ!》

不意に、アス男の頭の中でそんな声が聞こえた。
だが、彼の両手が塞がっているのは先刻述べた通りだ。為す術が無い!

恐怖の光景を目の当たりにしたアス男。ここが正念場である。

そして、惣流アス男ラングレーは決意する。

(こういうのは、順序立ててやるもんだが、この勢いで告白をしてしまうか・・・)

「!!んっ!??」

目には目を。歯には歯を。唇には唇を!?
アス男はシン子のその口を、自分の口で押さえつけた。

まぁ、平たくに言えば、「キス」だ。

ボンッ

少しの間を置いて、シン子の顔が爆発した。
まっ赤になったその顔からは、蒸気が出ているようだ。
もう、ホントに抵抗する気も失せたのだろう、力無く両手の肘がぶら下がった。
これにはシン子も活動限界である。


133 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/08(金) 01:08:36 ID:???
「「「「「「「「「うおお〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」」」」」」」」」

まさかのこの事態に、教室も廊下もごった返した。

「キャ―――――ッ!!」
「イヤァァァァ〜〜!!」
「なにィィィィィィ!?」
「うわぁぁ〜〜〜〜!!」
「おおおおおおぉ!!!」
「やめてぇぇぇ!」
「あ!委員長が倒れたぞ!」
「どうしたんやイインチョ!」
「しまった!バッテリーがっ!」
「配当金いくらだ!配当金ッ!」

今度のどよめきは叫声で盛り返された。
怒り、悲しみ、驚愕、歓声、泣き出す女子、走り去る男子、もう、なんでもござれだ。


シン子が口から弁当のナプキンを離したのを確認したアス男。そっとその唇を離した。
そして、シン子の手から同梱弁当を静かに受け取る。・・・ひとまず奪取成功である。

一方のシン子は、放心したような表情で、アス男をぼーっと見つめている。
その顔が上気しているのは言うまでもない。


134 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/08(金) 01:09:21 ID:???
「・・・・・アス・・・男・・・?」

人形みたいに、口だけ動かしてシン子が言う。

「すまねぇなシン子。誰もいなくなったらちゃんと言うから」

いくら同梱弁当の事とはいえ、アス男も今回ばかりは照れを隠せない。顔がまっ赤である。

シン子はふらふらとアス男から離れて立ち上がると、まっ赤にした顔で俯く。

「・・・別に・・・謝んなくても・・・いいのに・・・。」

アス男にもやっと聞こえるほどの小さな声だった。

「あ、ああ・・・。」

アス男もまっ赤になって俯いてしまう。

ここで、終われば甘いLSAなのだろう。だが、現実は非常である。


135 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/08(金) 01:24:01 ID:???
盗作乙
某LASと名前挿げ替えただけじゃん

136 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/08(金) 02:02:38 ID:???
http://www39.atwiki.jp/asuosinkolove/pages/1.html

まとめ立てるだけ立ててみた。だれかまとめパス。

137 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/08(金) 02:08:41 ID:???
ちなみにパスは性転換アス男シン子からとって
『tsas』なのででは、おやすみなさい

138 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/08(金) 03:02:18 ID:???
おいおい、いくらなんでもこれは丸投げしすぎだろ
人のネタと作品扱うのに、運営する姿勢が頭からないじゃねーか
ネタ師と職人に無礼が過ぎる
単にまとめサイト管理人の肩書が欲しいだけか?

139 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/08(金) 03:06:31 ID:???
まぁ慌てなくていいんじゃね

140 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/08(金) 10:42:36 ID:???
>>139のいうとおりまだ、あわてなくてもいいと思う。
もし、建て逃げなら新しく作りなおえばいい。

でも、パクリに丸投げとちょっと雰囲気が悪くなったな


141 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/08(金) 18:43:39 ID:???
>>135
これだな
ttp://www.lares.dti.ne.jp/~ebi/sinkurou03.htm
8年半前のSSだから作者本人が改変して投下したとは考えにくい
まがりなりにも作家やってたならそんなショボいことしないだろうし
EF5よりも更に前からあるエヴァSSサイトでは最古参に近いGehenからパクるとか、馬鹿としか言えんわ

>>140
丸投げについては実質何もしていないに近いから大したことじゃないけど、名前改変丸パクりはな
どこのガキが知らないが作者だけじゃなくSS読者も舐めてる

142 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/09(土) 00:09:31 ID:???
>>141
だよな…。
ここらで、職人光臨しねぇかな…

143 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/09(土) 01:21:02 ID:???
俺前スレで一回自分が前に書いたSSをこのスレ向けに焼き直して投下したや
ネタが同じだけで内容殆ど違うけど
誰も気付いてないし、いいよね?

144 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/09(土) 02:36:00 ID:???
>>143
自分が考えたのなら問題ないと思うよ

145 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/09(土) 04:28:50 ID:???
>143
元々自作な上に「ネタが同じだけで内容殆ど違う」なんて問題無さすぎる

146 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/09(土) 23:04:15 ID:???
>>51の作者です。
今から、投下します。楽しんでもらえたら幸いです。

147 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/09(土) 23:10:14 ID:???


  それは特別、何でもない日。

  ネルフでの実験や訓練もなく。

  学校から帰ればだらだらと過ごすだけの、何でもない日常。

  ただ一つ。

  いつもと違っていたことは。

  紅い髪の少年が帰宅したときに、同居する少女が眠っていたことだけ。

  そう。 ただそれだけのこと。



148 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/09(土) 23:11:10 ID:???
『何でもない日』


  惣流アス男ラングレーというのは、常に自分を表に出す。

  自分の意志を表すことで、他者の反応を求める性分。

  全てでないにしろ、そういう少年。

  だから帰宅したとき。

  習慣となった「ただいま」の言葉に、返事がなかったことが物足りない。

  いつも返ってくる「おかえり」の言葉。

  それがなかったことが物足りない。


149 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/09(土) 23:11:48 ID:???

  玄関からリビングを通り抜け、台所へ。

  水道の蛇口をひねり、冷たい水でよく手を洗う。

  うがいと洗顔も忘れない。

  顔と手をタオルでよく拭ってから、冷蔵庫を開ける。

  お気に入りのメーカーの、紙パック入りの牛乳。

  コップに注がず、直に口をつけて飲む。

  そうする度にいつも注意されるのに、今日に限ってはそれもない。

  それがやっぱり虚しくて。

  一口だけ飲んで、牛乳をしまった。

  これでどうだと、尻で冷蔵庫を閉じる。






150 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/09(土) 23:12:44 ID:???



  「…馬鹿シン子」



  通り過ぎたときは気がつかなかった、リビングのソファー。

  あどけない顔で眠ってる、力の抜けた同居人の姿。

  着替えもすませず制服姿のまま、二人がけのソファーに身をもたれさせ。

  眠っている。


151 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/09(土) 23:14:18 ID:???

  「オレを出迎えもせずに……幸せそうな顔、しちゃってよ」


  言葉と裏腹、少年に自然とうかんだ微笑。

  碇シン子の寝顔なんて、こんなふうに見たことはなかったから。

  隣に腰掛けて、初めて見る同居人の寝顔をじっと観察する。

  いつも自分より早起きして。

  いつも自分より遅く寝る。

  学校でも家でも、昼寝なんてしない優等生。

  何て言うか、狡い。


152 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/09(土) 23:15:03 ID:???

  碇シン子というのは、いつも自分を内側にこめる。

  自分の意志を秘めることで、他者と争うことを拒んできた存在。

  ほとんど全て、そういう少女。

  だからこうして、警戒心をといた、安らいだ表情なんか。

  同居人していても、ほとんど見たことがなかった。





  それが今こうして、手を伸ばせば、届くことさえできるほど近くに。




153 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/09(土) 23:16:25 ID:???

  「どうするんだよ。 夕飯」

  「オマエが寝てたら…誰もつくってくれないじゃねぇか」





  起こさぬよう、起こしてしまわぬよう。

  時間をかけて。

  ゆっくりと、白い指先で触れてみる。

  普段は意識しないが、女らしさを少しは感じる、柔和な顔つき。

  でもそれが、この少女らしいと思う。

  柔らかな頬。

  小さめの唇。

  なぞるように指先で触れる。



154 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/09(土) 23:18:01 ID:???
背もたれに身を任せて、眠るシン子の首元に。

  頭を預けてみる。

  耳にとどく、小さく、でも確かな息づかい。

  生きている証。

  それがくすぐったくも心地いい。





  「…馬鹿シン子」





  起きたときにこんな格好だったら――どんな顔をするだろう?

  そう思って、瞳を閉じる。








155 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/09(土) 23:18:34 ID:???

  それは特別、何でもない一日。

  仕事を終えて、弟と妹の待つ我が家に帰宅したミサトが目にしたのは。

  着替えもせずに眠り続ける、寄り添う子供達の安らいだ寝顔。

  普段見られぬ子供のままの姿。

  足に抱きつくペンギンを抱いて、背中を向けた。


  「いい夢をね。 シン子ちゃん、アス男」


  柔らかな笑顔でそう呟き。

  彼女はそっと、リビングの電気を消した。


  それは多分、何でもない日だからこそ見つかる。

  小さな小さな、幸せの一コマ。






156 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/10(日) 02:46:01 ID:???
支援

157 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/10(日) 10:17:30 ID:???
詩的でいいな GJ

158 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/10(日) 13:54:39 ID:???
GJ!
綺麗な文かくなぁ


159 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/08/17(日) 12:02:51 ID:???
ほす

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