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リリカルなのはクロスSSその63

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:18:56 ID:ShTHQFfx
ここはリリカルなのはのクロスオーバーSSスレです。
ガンダム関係のクロスオーバーは新シャア板に専用スレあるので投下はそちらにお願いします。
オリネタ、エロパロはエロパロ板の専用スレの方でお願いします。
このスレはsage進行です。
【メル欄にsageと入れてください】
荒らし、煽り等はスルーしてください。
ゲット・雑談は自重の方向で。
次スレは>>975を踏んだ方、もしくは475kbyteを超えたのを確認した方が立ててください。

前スレ
リリカルなのはクロスSSその62
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1208954858/

*雑談はこちらでお願いします
リリカルなのはウロスSS感想・雑談スレ35(避難所で進行中)
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/6053/1208083521/

まとめサイト
ttp://www38.atwiki.jp/nanohass/

避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/anime/6053/

NanohaWiki
ttp://nanoha.julynet.jp/

R&Rの【リリカルなのはStrikerS各種データ部屋】
ttp://asagi-s.sakura.ne.jp/index.html

2 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:19:33 ID:ShTHQFfx
【書き手の方々ヘ】
・作品投下時はコテトリ推奨。トリップは「名前#任意の文字列」で付きます。
・レスは60行、1行につき全角128文字まで。
・一度に書き込めるのは4096Byts、全角だと2048文字分。
・先頭行が改行だけで22行を超えると、投下した文章がエラー無しに削除されます。空白だけでも入れて下さい。
・専用ブラウザなら文字数、行数表示機能付きです。推奨。
・専用ブラウザはこちらのリンクからどうぞ
・ギコナビ(フリーソフト)
 http://gikonavi.sourceforge.jp/top.html
・Jane Style(フリーソフト)
 http://janestyle.s11.xrea.com/
・投下時以外のコテトリでの発言は自己責任で、当局は一切の関与を致しません 。
・投下の際には予約を確認してダブルブッキングなどの問題が無いかどうかを前もって確認する事。

【読み手の方々ヘ】
・リアルタイム投下に遭遇したら、支援レスで援護しよう。
・投下直後以外の感想は感想・雑談スレ、もしくはまとめwikiのweb拍手へどうぞ。
・気に入らない作品・職人はスルーしよう。そのためのNG機能です。
・度を過ぎた展開予測・要望レスは控えましょう。
・作品の投下は前の投下作品の感想レスが一通り終わった後にしてください。
 前の作品投下終了から30分以上が目安です 。
・過度の本編叩きはご法度なの。口で言って分からない人は悪魔らしいやり方で分かってもらうの。

【注意】
・運営に関する案が出た場合皆積極的に議論に参加しましょう。雑談で流すのはもってのほか。
 議論が起こった際には必ず誘導があり、意見がまとまったらその旨の告知があるので、
 皆さま是非ご参加ください。
・書き込みの際、とくにコテハンを付けての発言の際には、この場が衆目の前に在ることを自覚しましょう。
・youtubeやニコ動に代表される動画投稿サイトに嫌悪感を持つ方は多数いらっしゃいます。
 著作権を侵害する動画もあり、スレが荒れる元になるのでリンクは止めましょう。
・盗作は卑劣な犯罪行為であり。物書きとして当然超えてはならぬ一線です。一切を固く禁じます。
 いかなるソースからであっても、文章を無断でそのままコピーすることは盗作に当たります。
・盗作者は言わずもがな、盗作を助長・許容する類の発言もまた、断固としてこれを禁じます。
・盗作ではないかと証拠もなく無責任に疑う発言は、盗作と同じく罪深い行為です。
 追及する際は必ず該当部分を併記して、誰もが納得する発言を心掛けてください。

3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:20:09 ID:ShTHQFfx
【警告】
・以下のコテは下記の問題行動のためスレの総意により追放が確定しました。

【作者】スーパーロボット大戦X ◆ByQOpSwBoI
【問題の作品】「スーパーロボット大戦X」「スーパーロボット大戦E」「魔法少女(チェンジ!!)リリカルなのはA'S 次元世界最後の日」
【問題行為】盗作及び誠意の見られない謝罪

【作者】StS+ライダー ◆W2/fRICvcs
【問題の作品】なのはStS+仮面ライダー(第2部) 
【問題行為】Wikipediaからの無断盗用

【作者】リリカルスクライド ◆etxgK549B2
【問題行動】盗作擁護発言
【問題行為】盗作の擁護(と見られる発言)及び、その後の自作削除の願いの乱用

【作者】はぴねす!
【問題の作品】はぴねす!
【問題行為】外部サイトからの盗作

【作者】リリカラー劇場
【問題の作品】魔法少女リリカルなのはFullcolor'S
【問題行為】盗作、該当作品の外部サイト投稿及び誠意のない謝罪

4 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:29:38 ID:ShTHQFfx
テンプレは以上かな?
ちなみに、前スレからの継続で、投下予約は
なの魂氏→リリカルなのはXtS氏→リリカル! 夢境学園氏となっています。

5 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:30:17 ID:x3qikN5C
>>1乙!

6 :なの魂の人 ◆.ocPz86dpI :2008/04/28(月) 23:30:41 ID:SGO7gvu7
>>1乙なのであります
えー、では時間も迫ってきたので、投下よろしいでしょうか?

7 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/28(月) 23:31:46 ID:8pR6VZ5b
支援します!

8 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:32:21 ID:dX49umvC
>>1乙
&支援だぜ!! もう今日はお祭りだ!!

9 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:32:26 ID:ShTHQFfx
ええい、俺への乙はいい! なの魂を映せ、なの魂を! 支援

10 :なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/04/28(月) 23:33:47 ID:SGO7gvu7
観測室のモニターに、現在の現場の状況とそこへ向かうなのは達の映像、
そして艦のセンサーが拾った情報が次々と羅列されていく。
それらに目を通しながら、クロノは小さく呻き声をあげた。

「まさか、この短期間で行動を起こしてくるとはね……」

完全に予想外だった。
大規模な儀式魔法を行使しただけでも、かなり体への負担は大きかったはずだ。
その上であの戦闘。
普通なら丸一日、いや、それ以上の休息を取らなければ、ロクに動くことも出来ないはずだ。
まさかたったの半日近くで再び行動を起こしてくるなど、誰が予想できようか。
一体何が、彼女をここまで奮い立たせるのか。

「銀時達にも、出動準備の要請を」

すぐ横でコンソールと格闘しているエイミィに告げる。
彼女は正面のモニターから目を放すことも無くクロノに問う。

「フェイトちゃんのことは、なのはちゃんに一任するんじゃなかったの?」

「念のためだ。……現場では、何が起こるか分からない。前回の一件で、身をもって知ったことだろう?」

さすがに前回のような次元跳躍攻撃を個人レベルで防ぐことは出来ないが、それでも人員が多ければ、
不慮の事故には対処しやすくなる。
何より、前回からさほど時間が経っていないので、なのはの疲労が抜けきっていない可能性が高い。
さすがに民間協力者に過度の無理をさせるわけにはいかない。
いざとなれば、約束を違えてでも彼女の安全を優先する必要がある。

「うん……そだね」

その事を汲み取ったのか、エイミィは小さく返事を返すだけだった。
クロノは無言のまま、じっとモニターを見つめる。
せわしなく情報ウインドウが切り替わり、キータッチ音がリズミカルに鳴る。
不意にエイミィが沈黙を破った。

「……あの事、なのはちゃんに伝えなくていいの? プレシア・テスタロッサの家族と、あの事故の事……」

リンディと銀時が馬鹿な勝負を始める少し前に本局から届いた、とある情報のことだ。
モニターの隅に映し出された、今まさに現場に向かおうと駆けるなのは達の姿に目をやり、
クロノは表情を固くした。

「ああ……今教えても……迷いを生むだけだ」



なの魂 〜第二十三話 親の心子知らずって言うけど親も子の心は知らない〜




11 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:34:38 ID:dX49umvC
パフェを食べながら支援!

12 :なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/04/28(月) 23:35:11 ID:SGO7gvu7
思い出されるのは、そう遠くない過去の情景。
澄み切った空とどこまでも続く草原。
そして傍らには、そっと微笑む優しい母の姿。
いつだって、母さんは優しかった。
いつも優しく微笑みかけ、そしていつも優しく自分の名を呼んでくれた。
たまにイタズラをしたり、わがままを言って母さんを困らせることもあった。
それでも、母さんはいつも笑みを絶やさずにいてくれた。
私の自慢の母さん。
私の大好きな母さん。
今も私の傍らで、私のために小さなお花のかんむりを作ってくれてる。

(はい、花かんむり。ねえ、とても綺麗ね、アリシア)

――……? アリシア? 違うよ母さん、私はフェイトだよ。

(さあいらっしゃい、アリシア)

母さんが手招きをする。
言われるままにすぐ傍に寄り添うと、作ったばかりのかんむりを、私の頭に乗せてくれた。

(ほら。かわいいわ、アリシア)

そう言う母さんの表情は、すごく嬉しそうで……。
なんだか、私も嬉しくなって……。

――まあ、いいのかな……。

ずっと、こんな毎日が続いたらいいな……。



夕日を真正面から受け止めながら、フェイトは臨海公園の中央に佇んでいた。
目を伏せ、これから起こるであろう闘争に思いを馳せる。
愛機を握る右手に、じんわりと汗が滲んでくる。
ややあって、背後から足音が聞こえてきた。
――来た。
振り向きもせずに、閉じた目をゆっくりと開く。

「……フェイト、もうやめよう! あんな女の言う事、もう聞いちゃ駄目だよ!」

背後から投げかけられた言葉は、ひどく聞き慣れた相棒の声。
だがその声には、今までに無いくらいの悲壮な響きが含まれていた。

「フェイト……このままじゃ不幸になるばっかりじゃないか! だからフェイト……!」

「……それでも、構わない」

しかしフェイトは、アルフの言葉を遮る。
――もう、決めたんだ。
自分はどうなっても構わない。
母さんのためなら、どうなったっていい。
母さんが幸せになってくれるなら、どうなったって構わない。

「私は、母さんに幸せになって欲しいから……母さんに、笑って欲しいだけだから……だから!」

振り向き、デバイスを向ける。
その先に立つのは、長年連れ添った相棒。
そしてあの白い魔導師と、気弱そうな少年。


13 :なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/04/28(月) 23:36:13 ID:SGO7gvu7
「邪魔……しないでっ……!」

声が震える。
デバイスを持つ手も震えていた。
止まれ、止まれと心の中で何度も念じる。
手の震えが止むことはなかった。

「フェイトちゃん……」

バリアジャケットも装着せずに、なのはが一歩前へ出る。
あくまでも、話し合いだけで決着をつけるつもりか。
だが……。

「……いらない……」

喉の奥から搾り出したような声で、フェイトは呟く。
それはあの時の答え。
自分の心に、決心をつけるための答え。

「友達なんて……いらない……!
 私には、母さんがいれば……それでいいから……!」

「それなら……! どうして、そんなに悲しい目をするの!?」

自身がどんな表情をしているかなど、まったく気にも留めていなかった。
彼女に言われて初めて、自分はそんな表情をしているのだと気付き、そしてそれを否定する。
悲しくなんかない。苦しくなんかない。
だって……母さんのためだから。

「答えて! フェイトちゃん!」

叫ぶなのはの足元で、小さな爆発が起こる。
返事の代わりに返ってきたのは、一発の魔力弾。

「……言葉だけじゃ、何も変わらない……伝わらない」

蚊の泣くような声で、フェイトは呟く。
……そうだ。
言葉だけじゃ、何も変わらない。
変えよう、全てを。
取り戻そう、全てを。

「あなたを倒して、ジュエルシードを貰う。……母さんのために!」



発令所の中央モニターに映し出される映像を見て、クロノは己の見通しの甘さを呪った。
目の前で繰り広げられる、一方的な戦い。
四方八方から飛んでくる魔力弾を懸命に回避するなのはと、無慈悲な弾幕を形成し続けるフェイト。
アルフに聞き及んだ話から、相手側にも話し合いの余地はあるだろうと予想していたのだが、とんでもない。
まともな会話すら交わすことなく、二人は交戦状態へと陥ってしまった。
小さく舌打ちをするクロノの後ろで、新八と神楽も心配そうにモニターを見つめる。
その折、何の前触れもなく突如として発令所の入り口が開いた。
クロノは入り口を一瞥し、そしてため息をついてすぐにモニターへ向き直る。


14 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:36:25 ID:8pR6VZ5b
期待支援!

15 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:37:28 ID:ShTHQFfx
待ち受ける悲劇! 銀さん何とかして! 支援

16 :なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/04/28(月) 23:38:03 ID:SGO7gvu7
「……やっと来たか」

「遅いですよ銀さん! 何してたんですか!?」

遅れてやって来た銀時は、何故か気分が悪そうに口元を押さえ、

「ちょ……あんま怒鳴んなって、今腹の中が混沌と……おぼろろろろろ!!」

その場にくずおれ、嘔吐した。
それはもう盛大に。
どうやら団子の食べ過ぎで胸焼けを起こしたらしい。

「ぎゃァァァァァ! アンタどこでリバースしてんですかァァァ!!」

叫びながらも、駆け寄り銀時の背中をさする新八。
なんやかんやで面倒見のいい男である。
そして銀時が出す物を出し切った頃に、再び人の気配。
新八は顔を上げる。

「うっぷ……ク、クロノ、状況は……おぷ……」

銀時と同じく、気分が悪そうに口元を押さえたリンディがそこにいた。

『提督も何やってんですかァァァ!!』

新八とクロノのシンクロツッコミが飛ぶ。
こんなんで本当に大丈夫か?
新八はため息をつき、神楽は愚かなフードファイター達を冷ややかな目で一瞥して酢昆布をしゃぶりだす。
定春にいたっては、最初から興味など無かったかのように、すやすやと眠りこけていた。
ようやく気分が落ち着いたのか、銀時が顔を上げる。

「どーいうこった。あの嬢ちゃん……話し合うどころか、殺る気マンマンじゃねーか」

口の端から吐瀉物を垂らしながら、真面目な事を言う。
この非常時になんという緊張感の無さ。
それとは対照的に、なのは達の切迫した戦いは繰り広げられていた。
フェイトが振りかざしたバルディッシュがなのはに襲い掛かる。
重たい機動でなんとかそれを回避。
再び眼前に迫る魔力刃。
バリアを使っても抜かれると判断したのだろうか。
両手に握ったレイジングハートを横に薙ぎ、切っ先の軌道をずらす。
得物を完全に振り下ろしたことで、フェイトに大きな隙が生まれた。
しかし、なのはは攻撃を入れることなく即座に距離を離す。

「ああ……少なくとも、なのはには多少なり心を許していると思っていたんだが……。
 まさかいきなり襲い掛かってくるとはね……」

ある程度予想の範疇にあったとはいえ、まさかここまで敵意剥き出しで襲い掛かってくるとは。
安全域まで退避したなのはが、フェイトに向かって何かを訴えかける。
フェイトはしかし聞く耳を持たず、愛機を腰溜めに構え、なのはに向かって突っ込む。

「オイ、クロ助! 私達もさっさと出すネ! なのはがケガしたらオメーのせいだかんな!」

親友の危機を、これ以上見ていられなくなったのだろう。
神楽がクロノの胸倉を掴み挙げて怒鳴りだした。
負けじとクロノも怒鳴り返す。


17 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:39:13 ID:hpvy8pTb
支援

18 :なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/04/28(月) 23:39:27 ID:SGO7gvu7
「その名前はよせ! だいたい、君達は海上では戦えないだろう!?」

「だったらオメーが足場になればいいアル!」

「言ってることが無茶苦茶だ!」

ほとんど子供の喧嘩である。
そんな二人に反して、新八は静かにモニターに映るフェイトの姿を注視していた。

「……迷ってる……」

「……どした、新八。中二の神様でも降臨したか?」

突拍子も無く聞こえてきたセリフに、思わず銀時がツッコむ。
まあそういう年頃なんだろうと勝手に納得していると、何故か新八は必死になって反論を返してきた。

「誰が中二病だァァァ! アンタ忘れてるかもしれないけどねェ、僕一応道場の当主なの! 剣術家なの!
 ホントに少しだけど、剣筋とか読めんの!」

一頻り怒鳴った後、ずれた眼鏡を元の位置に直し、新八は再び正面のモニターへと目を向ける。

「心の乱れは剣に表れるって言いますけど、今のあの子は、まさにそんな状態なんです。
 何に対してかは分かりませんが……フェイトちゃん、きっと迷ってるんですよ……」



逃げる桜花色の光。
追う雷光色の光。
前にもこんなことがあったかな。
ふとそんなことを思うが、すぐに思考を切り替える。
――あの子さえ……あの子さえ倒せば、母さんは……!



もう何も分からなかった。
どうすれば、何をすれば、母さんが喜んでくれるのか。
相談できる相棒も、傍にはいない。
不意に聞こえてくる足音。
顔を上げるとそこには、どこか焦燥したような母の姿。

「母……さん……。アルフが……」

力なくフェイトが言うと、プレシアはまるで、今初めてフェイトの存在に気付いたかのような表情をした。

「……ああ、あの子は逃げ出したわ。怖いからもう嫌だって」

たった今制裁を加えてきた者の事を、さも平然とプレシアは言い放つ。
だが、フェイトは表情を変えなかった。
アルフはそんな子じゃないと、心のどこかで信じていたからだろう。
だがプレシアは、構わず言葉を続ける。

「……必要なら、もっと良い使い魔を用意するわ……」

そう言い、フェイトを気遣う振りをして寄り添う。
フェイトは顔を伏せたまま、思考を巡らせようとする。
だが彼女はそこまで冷静ではなかった。
思考は澱み、目も虚ろになる。
今のフェイトの頭の中を絵に起こすとすれば、きっと洗濯機の中に無数の絵の具をぶち込んだかのような
マーブル模様であろう。


19 :なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/04/28(月) 23:41:07 ID:SGO7gvu7
「母さん……私は……どうしたら、いいんですか……」

小さく震えながら、喉の奥から絞り出すような声でフェイトは呟く。
そして、まるで何かの箍が外れたかのように、両の手で顔を覆い、小さく嗚咽を漏らす。

「いろんなことが沢山起こって、頭の中がくしゃくしゃになって……もう、分からないんです……」

この世界に来てから、色々なことが起こった。
今まで経験したことが無いような出来事にも会った。
今まで抱いたことの無い感情も芽生えた。
未知の体験。未知の感情。
まるでそれらが、自分という存在を侵食していくのではないかという不安に駆られる。
初めて感じ取った時は、嫌悪感すらなかった。
なのに何故今は、こうも苦しいのだろう。

「私は……何を信じればいいんですか……?」

不安に押しつぶされそうになりながら、フェイトは言う。
不意に、頭の上を何かが触れた感触。
母の手のひらだった。

「大丈夫よフェイト。あなたは母さんのことだけを信じていればいいの。そうすれば、間違いはないわ」

表情こそ普段と変わらないが、母のその声は、普段よりもずっと穏やかなものだった。
そしてプレシアは、そのままフェイトの頭をそっと撫ぜる。

「忘れないで。あなたの本当の味方は母さんだけ……。いいわね……フェイト」

彼女の心中を知らないフェイトが、その行動によってどれほど救われたか。
今まで冷たく当たってきた母が垣間見せた優しさに、フェイトは小さく肩を震わせる。
――やっぱり、母さんは私のことを想ってくれてる……。

「……はい……」

小さく返事を返す。
その返事に満足したのか、プレシアは妖艶な笑みを浮かべる。
何かを企んでいるようなその笑みを、フェイトは不審に思うことは無かった。

「あなたが手に入れてきたジュエルシード九つ……これじゃ足りないの。
 最低でもあと五つ、出来ればそれ以上……急いで手に入れて来て……母さんの為に」

「……はい……母さん……」

――もう、迷わない。
絶対に、母さんを幸せにしたい。
だから、私は――



(決めたんだ……母さんのことだけを信じるって……母さんのためだけに戦うって……なのに!)

なおもなのはに追いすがり、フェイトはバルディッシュを振るう。
しかし、それらがなのはを捕らえることは無い。
気がつけば、再び手が震えていた。
視界が歪んでいた。
頬を生暖かい何かが伝った。
自分の涙だった。


20 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:41:39 ID:ShTHQFfx
シリアスな場面でもゲロは忘れない銀魂クオリティ。でもやはりこの場面は重い 支援

21 :なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/04/28(月) 23:42:53 ID:SGO7gvu7
(なのに……どうして、こんなに胸が痛いの……!)

涙を拭うことも無く、フェイトは再びなのはに刃を向ける。
己の内から来る苦しみから逃れるように。



フェイトの仮借ない攻撃をかわし続け、なのはの疲労もピークまで達しようとしていた。
心臓はバクバクと脈を打ち、呼吸も荒々しく乱れる。
父や兄や姉と違って、運動はからっきしな自分がここまで持ったのは、ほとんど奇蹟と言ってもいいだろう。
だが、このままでは間違いなくジリ貧だ。
恐らくフェイトは、自分を倒すまで攻撃の手を休めることはないだろう。
全ては、母親のため。

(でも……)

それにしたって、これは異常だ。
先日までは、会話も交わせた。
一緒に共闘もした。
それが何故、こうして自分の命を狙う?
何故、自分のことを真っ向から拒む発言をする?
――何故、彼女は涙を流している?

(言ってくれなきゃ……何も、分からないよ……!)

知りたかった。
彼女がこうまでして母親に尽くす理由が。
だが、もう今の彼女とは言葉も交わせそうにない。
きっと、今のフェイトには、自分のことも見えていない。
――だったら、今自分にできることは……。

(ユーノくんもアルフさんも手出さないで。私が、フェイトちゃんを助けるから!)

(でも……!)

(助けるって……どうするつもりさ、なのは!)

念話を送ると同時に、アルフとユーノから返答が来る。
当然といえば当然の反応だ。
既になのはは、外野から見ても疲弊しきっていることが目に見えて分かるような状態になっている。
加えて、相手はなのはより格上の実力者。
これで心配をするなという方が無理だろう。
だがしかし、何か策でもあるのだろうか。
なのはは返事もせずに、その場で動きを止めた。
いつものような作り笑いもせず、真剣な表情でフェイトを見つめた。
その横顔は、彼女が慕う侍が時折見せるそれを髣髴とさせるものだった。
僅かな沈黙。
先に動いたのはフェイトだった。
バルディッシュを構え、なのはに向かって一直線に突っ込んでくる。
しかし、なのはは動かない。
意を決したかのように、フェイトから視線を逸らさずにその場に立ち塞がる。
目前に迫る刃が横一文字を描こうとしたまさにその時、ようやくなのはが動いた。
左手のレイジングハートを力任せに振るい、バルディッシュと打ち合ったのだ。
甲高い金属音とスパーク音が鳴り響き、二つのデバイスがぶつかる。
鍔迫り合いの形のまま、二人は極至近距離で見詰め合う。


22 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:44:20 ID:MHhEIuFm
支援

23 :なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/04/28(月) 23:44:21 ID:SGO7gvu7
「誰かのために頑張るのって、すごく立派なことだと思う……けど、そのために
 自分を省みないなんて、間違ってる!」

なのはは叫ぶ。
だが、フェイトはなのはの言葉に同調しようとはしなかった。

「間違ってても構わない! 私は、母さんが幸せになってくれれば、それでいい!」

フェイト自身は気丈に言い返したつもりだったのだが、その声は、僅かに震えていた。
流れ出る涙は既に止まっていたが、その跡は彼女を頬にくっきりと残っていた。

「そんなに苦しそうな顔して……言う台詞じゃ、ないでしょ!」

「苦しくなんか……ない!」

その言葉が偽りであることは、誰の目から見ても明らかだった。
それでも、フェイトは戦いをやめようとはしない。
レイジングハートを打ち払い、頭上に高々とバルディッシュを掲げる。
だが金色の刃が振り下ろされることは無かった。
フェイトの身体に軽い衝撃が走る。
まるで体当たりでも喰らわすかのように、なのはが内懐へ飛び込んできたのだ。
なのははそのまま、ひしとフェイトの身体に組み付き、動きを封じる。

「……ッ!? 離して……!」

身動ぎをするフェイトだが、なのはは決して離れようとしない。

「どうして……!」

フェイトの胸元から、声が聞こえてきた。
だが、それは先程までのような力強いものではなかった。
何処かか細い、哀愁の漂うような小さな声。

「どうして、全部一人で抱え込もうとするの……!」

そう精一杯に叫ぶなのはの声は、先程のフェイトと同じように震えていた。

「苦しい事、悲しい事、全部抱え込んで……無理してるって見て分かるのに、それも隠そうとして……!」

フェイトに向けて言ったその言葉。
それが自分自身の胸へも響き渡る。
ああ、そうだ。
自分も、少し前まではそうだった。
なんでもかんでも自分一人で終わらせようとして。
勝手に自滅して。
周りに迷惑ばっかりかけて。

「どうして……」

でも、自分には……。


24 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:44:28 ID:HshqUh97
大支援!

25 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:45:09 ID:ln+XGCYK
支援

26 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:45:13 ID:Q03MVg4g
ほんと時折入る銀魂節は適度に話がすべっていいwww
支援

27 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:45:41 ID:dX49umvC
支援!
新八とクロノ、つっこみまくれ! 支援w

28 :なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/04/28(月) 23:45:51 ID:SGO7gvu7
「どうして……『友達なんていらない』なんて……そんな寂しいことを言うの……っ!」

自分には、友達がいた。
手を差し伸べてくれる人達がいた。
だが、今のフェイトはどうだろうか。
誰も手を差し伸べてはくれない。
いや、彼女自身が、手を差し伸べられることを拒絶している。
自分のことで精一杯で、周りを見ることも出来ていない。
まるで、少し前までの自分を見ているようだった。

「まだ、何も知らないのに……始まってもいないのに、終わっちゃうなんて……そんなの、ヤだよ……!」

顔を上げ、覗き込むようにフェイトの顔を見る。
戸惑いと驚きの入り混じったような表情だった。
不意に、自分の頬を涙が伝った。
フェイトが困惑している理由は、どうやらこれらしい。

「どうして……」

向かいから小さな声が聞こえたが、またすぐに静かになってしまう。
なのははそのまま、フェイトの次の言葉をじっと待つ。

「……どうして……ここまでするの……どうして、泣くの……?」

ようやく聞こえた言葉。
これで何回目だろうか。
いつだかも聞いた問いかけを、つい可笑しく思ってしまう。
涙を拭いながら、笑みを返しながらなのはは答えた。

「……友達に、なりたいから……」

途端、フェイトの身体から力が抜けていくのが分かった。
自分でも、少々くどいとは思う。
もしかしたら、呆れられてしまったのかもしれない。
でも、それでも構わない。
それでも、自分の気持ちは伝わったと。
そう信じているから。



極度の緊張感に支配されていたアースラ艦内に、突如としてけたたましいサイレンが鳴り響く。
発令所内の照明が赤く明滅し、否が応でも緊急の事態が起こったことをクルー達に知らせる。

「……警報? まさか!?」

モニターに次々と観測されたデータが表示されていく。
前回のあの時と全く同じ魔力パターン。
それが戦闘領域の上空から差し迫っている。
――次元跳躍攻撃。
予測される攻撃目標は……。

『なのはちゃん、逃げて!』

エイミィが血相を変えて叫ぶ。
着弾までの時間は、もう殆ど残されていなかった。




29 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:46:29 ID:8pR6VZ5b
うおおお!感動展開!支援!

30 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:46:50 ID:HshqUh97
支援!

31 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:47:03 ID:hy2lLfd6
銀さぁぁぁぁぁん! 重いシーンが台無しだよGJ! 支援

32 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:48:26 ID:x3qikN5C
支援!支援!

33 :なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/04/28(月) 23:48:35 ID:SGO7gvu7
「っ!?」

突如として、フェイトが怯えるような目で空を見上げた。
同時に、得体の知れない圧迫感がなのはに襲い掛かる。
前にも感じたことがあるような、身の竦むような感覚。
前回の海上での出来事がフラッシュバックする。
――逃げなきゃ……!
直感的にそう感じ、フェイトの手を引こうとする。
だが、それは叶わなかった。
トン、と何かがぶつかったような衝撃。
同時に、フェイトの姿が視界から遠ざかっていく。
いや、遠ざかっているのはフェイトではない。自分の方だった。
両の手を前に突き出すフェイトの姿を見て、彼女に突き飛ばされたのだということを理解した次の瞬間、
フェイトの身体に巨大な雷の影が重なった。

「フェイトちゃん!?」

壮絶な雷鳴と共に、電撃が容赦なくフェイトの身体中を走る。
耳をつんざく様なスパーク音に混じって、何かが砕けるような音が微かに聞こえた。
それとほぼ同じくして、暴力的な雷が為りを潜めた。
後に残されたのは、ボロボロになったフェイトと、ヒビだらけになったバルディッシュ。
そのバルディッシュから、弱々しい光が放たれ、光の中心からいくつかの小さな宝石のようなものが、浮かぶように出てきた。
ジュエルシードだ。
それらは群をなして、宙を踊るように飛び回ったかと思うと、吸い寄せられるようにして雲の合間に消えていった。
だが、なのははそんな物には目もくれていなかった。
目の前ではフェイトがグラリと身体を傾け、同じく吸い寄せられるように動きだす。
ただし、上ではなく下へ。
重力に抗う術を失ったフェイトは、海面へ向かって自由落下を続ける。
すぐさまなのはも彼女の後を追う。
数瞬遅れて、海面に小さな水柱が立った。



「……オイオイ、大丈夫かアレ?」

なのはが海中へ落下したフェイトを救い出したのを確認して、銀時は呟く。
もちろんなのはの事ではなく、フェイトのことだ。
その言葉に対し、クロノは小さく頷き、顔を険しくさせる。

「殺傷設定なら今頃消し炭だ。おそらく命に別状は無いよ。それよりも問題は……」

『……ビンゴ! 尻尾つかんだよ!』

観測室にいたエイミィから通信が入る。
先程空へと消えていったジュエルシードの転送先の割り出しに成功したのだ。

「よし……不用意な物質転送が命取りだ。エイミィ、座標を!」

『もう送ってるよ!』

「……武装局員、転送ポートから出動! 任務はプレシア・テスタロッサの身柄確保です!」

言葉通りすぐさまモニターに送られてきたデータを確認し、リンディは即座に
待機中の武装局員に指示を送った。




34 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:50:06 ID:qKg27kvl
なの魂氏に支援を送ります!!

35 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:50:17 ID:HshqUh97
久々の支援ーーー!!


36 :なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/04/28(月) 23:50:18 ID:SGO7gvu7
ジュエルシードの回収が終了すると同時に、プレシアはその場にくずおれた。
苦しげに胸を押さえ、激しく咳き込む。
咳きに混じって滴り落ちる血を虚ろな目で追いながら、プレシアはゆっくりと立ち上がった。

(……やっぱり、次元魔法は体が保たないわ……それに……今ので、この場所も捉まれた)

管理局とて無能ではあるまい。
あれだけ大規模な転送を行使すれば、まず間違いなく発生源を探知されてしまう。
じきにこの場所に局員が踏み込んでくるであろう事は、確定的に明らかであった。

「フェイト……あの子じゃ駄目だわ……そろそろ、潮時かもね」



「第二小隊、転送完了!」

「第一小隊、侵入開始!」

正面モニターに複数のウインドウが表示され、個々の窓には各小隊の状況が映し出されている。
プレシア・テスタロッサの根城――時の庭園への侵入は、当初のプラン通りに成功した。
だが、油断は許されない。
敵のホームグラウンドである以上、どこにトラップが仕掛けられているか分からないし、何より相手は
未知数の実力を持つ大魔導師だ。
いつ何が起こっても不思議ではない。
普段以上に脳の稼働率を上げ、リンディは思考を巡らせる。
出来うる限り死傷者は出したくないが、今回は世界一つ……いや、いくつもの世界の命運すらかかっている。
最悪、現場の局員を死兵と割り切ってでもプレシアの捕縛しなければならない。
良心の呵責に苛まれながら、慎重に状況の推移を見守る。
世界のため、正義のためといえど、非情になりきれないところが、彼女の彼女たる所以なのであろう。
不意に発令所の扉が開く音が聞こえた。
リンディは後ろを振り向き、そして来訪者達の顔を見て、険しくなっていた表情を僅かに緩めた。
扉の側に立っていたのは、なのはとユーノにアルフ。
そして……フェイト・テスタロッサだった。
今のフェイトは、救助後に局員から渡された真っ白い服を身に纏い、腕には身体に不相応なくらい無骨な手錠がかけられていた。
デバイスが大破し、本人も飛行すらままならないほど魔力を消費してしまった状態で何かしらの抵抗が出来るとは思えないのだが、
それでも一応、ということでの処置だ。
フェイトも自身の立場を理解しているのか、不平や不満を言う様子も無い。
たまたま扉の近くで状況を見守っていた銀時がなのはに気付き、彼女と二言三言会話を交わす。
そしてフェイトに目配せをしたかと思うと、なのは達を連れてリンディの元へとやってきた。

「お疲れ様。それと……フェイトさん? 初めまして」

なのは達に労いの言葉をかけ、努めて友好的にフェイトに話しかける。
しかしフェイトは顔に影を落とし、俯いたまま顔を上げようとはしなかった。
リンディは少しだけ困ったような表情を見せ、なのはに念話で話しかける。

(……母親が逮捕されるシーンを見せるのは忍びないわ。なのはさん、彼女をどこか別の部屋に)

(あ、はい)

なのははフェイトに向き直り、早々に発令所から退散しようとする。

「フェイトちゃん、良かったら私の部屋……」

現場で動きがあったのは、まさにその時だ。
オペレーターの一人が、矢継ぎ早に報告を始める。


37 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:50:36 ID:MHhEIuFm
SLB発動せずか・・・支援

38 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:51:02 ID:ShTHQFfx
うおおおおっ! やっぱりやりやがったあのババァーー! オメーの心は腐りきってやがるぜぇええ!支援

39 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:51:24 ID:xTDBfqfp
ヒロイン(神楽)が吐いてしまった支援

40 :なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/04/28(月) 23:51:38 ID:SGO7gvu7
「総員、玉座の間に侵入! ……奥に通路を発見、目標を確認!」

モニターに映し出されたのは、フェイトとアルフにはひどく見覚えのある場所だった。
その部屋の奥で、ぽっかりと口を開けた狭い通路。
フェイト達ですら立ち入ったことの無いその場所に、武装した局員達が次々と入り込んでいった。



その場所は、古代の西洋の遺跡を髣髴とさせる物だった。
部屋のいたるところに石柱が立ち並び、そのどれもに植物のツタらしきものが絡み付いている。
灯りといえるものは殆ど灯ってなく、部屋の中央から淡い緑色の光が僅かに放たれているだけだった。
不気味な雰囲気を醸し出すその部屋の中央。
淡い光を背に、プレシアは佇んでいた。

「プレシア・テスタロッサ! 時空管理法違反、及び管理局艦船への攻撃容疑で、貴女を逮捕します!」

「武装を解除して、こちらへ……」

局員達は各々のデバイスを構え、警戒を解くことなくプレシアへとにじり寄る。
相手が動こうとする気配は無い。
一歩、二歩と、僅かずつプレシアとの距離が縮まる。
だが、突如として局員達の動きが止まった。
そして一様に、プレシアの背後に目線を向けて表情を変える。
各人表出させた表情は違うものの、そのどれもに共通したものは、驚きの感情であった。
淡い光を放っていた物の正体。
それは――。



"それ"を見て言葉を失ったのは、現地の局員達だけではなかった。
――まったく。タチの悪い冗談だ。
銀時は目を細めて"それ"を見据えた後、ぐるりと辺りを見回す。
発令所にいる人間は、皆一様にモニターに釘付けになっている。
ただ、二人。
フェイトとアルフだけは、"それ"を見て驚き以外の感情も抱いているように見えた。
それは"疑念"。
それは"恐怖"。
顔を蒼白にし、小さく震えるフェイトの目に入ったものは――。



――得体の知れない液体が詰まった巨大なガラス管の中に浮かぶ、自分と瓜二つの少女の姿だった。



「私のアリシアに……近寄らないで……ッ!!」

鬼気迫る表情で、突如としてプレシアが叫んだ。
それと同時に魔力光が迸り、轟音が部屋中に響き渡る。
光が収まった後には、ただ一人を除いて、立っている者は居なかった。




41 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:51:39 ID:Yi1A2oO7
ちょS−ランクのプレシアに隊長Aランク隊員Bランクの武装隊じゃ勝てないよwww支援

42 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:52:28 ID:ihjBKKcg
銀さんのゲロッ気支援!!!

43 :なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/04/28(月) 23:53:27 ID:SGO7gvu7
想像以上の魔力。
予想以上の技量。
なるほど、大魔導師と自称するだけの事はある。
負傷した局員達の強制転移を指示しながら、リンディは歯噛みする。

『……もう駄目ね、時間が無いわ。
 たった九個のロストロギアでは、アルハザードに辿り着けるかどうかは、わからないけど……
 でも、もういいわ。終わりにする』

次々と転送されていく局員達には目もくれず、プレシアはモニターの向こう側で、
傍らのガラス管に慈しむように手を添えた。

『この子を亡くしてからの暗鬱な時間も……この子の身代わりの人形を、娘扱いするのも……』

「………ッ!?」

フェイトの表情が強張る。
まさか。いや、そんなはずは。
様々な思いが、彼女の中で交錯する。
だが、フェイトの思考を遮るようにプレシアは言葉を続けた。

『……聞いていて……? あなたの事よ、フェイト。せっかくアリシアの記憶をあげたのに、そっくりなのは見た目だけ……
 役立たずでちっとも使えない、私のお人形……』



――嘘だ。
そう叫びたかった。
身代わり。人形。
全てを否定したかった。
だが、その意思に反して、言葉が全く出てこなかった。
震えが止まらない。
喉の奥が枯れたように痛い。

『…………最初の事故の時にね……プレシアは実の娘、アリシア・テスタロッサを亡くしているの……』

不意に、観念したような声が発令所に響いた。
――アリシア。
そうだ……あの時確かに、母はアリシアと言った。
楽しかった遠き日の思い出。
優しかった母の言葉。
だが、それが向けられていたのは自分ではなく、自分に似た別の少女。

『彼女が最後に行っていた研究は……使い魔とは異なる、使い魔を超える人造生命の生成……』

「!?」

「な……っ!?」

エイミィの言葉に、なのはが、新八が、神楽が、そしてユーノが、アルフが驚愕の声とともにフェイトを見る。
銀時だけはただ一人、正面のモニターをじっと見据えていた。

『そして、死者蘇生の秘術……。"フェイト"って名前は、当時の彼女の研究につけられた開発コードなの』

『よく調べたわね。そうよ、その通り……。だけど駄目ね……ちっとも上手くいかなかった……
 作り物の命は所詮作り物……失ったモノの代わりにはならないわ……』

そう言い、プレシアは悲哀に満ちた表情をする。
遠い過去を懐かしむように、ガラス管を撫ぜながらぽつりぽつりと彼女は呟き始めた。


44 :なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/04/28(月) 23:54:43 ID:SGO7gvu7
『……アリシアは、もっと優しく笑ってくれたわ。
 アリシアは時々わがままも言ったけど、私の言う事をとても良く聞いてくれた……』

「……やめて」

喉の奥から搾り出すように、なのはは呟く。
出来ることなら、今すぐモニターを叩き壊してでも話を止めさせたかったが、それは叶わない。
なのはの事など歯牙にもかけず、プレシアは暗鬱と言葉を続けた。

『アリシアは……いつでも私に優しかった……フェイト、やっぱりあなたはアリシアの偽者よ。
 せっかくあげたアリシアの記憶も、あなたじゃ駄目だった……!』

「やめて……やめてよ……!」

まるで自分の事かのように、なのはは必死にプレシアの言葉を拒絶する。
だが、その言葉が届くはずも無い。

『アリシアを蘇らせるまでの間に、私が慰みに使うだけのお人形……だからあなたはもう要らないわ……
 どこへなりと……消えなさい!!』

「お願い! もうやめてッ!!」

張り裂けんばかりの声が発令所内に木霊する。
すぐ隣で、フェイトが震えていた。
顔色を窺うなどという真似は、怖くて出来なかった。
ただ、これ以上は……ここから先の言葉は、絶対に彼女には聞いて欲しくない。
そう願った。

『……いい事教えてあげるわ、フェイト』

だが無常にも、その言葉は放たれる。

『あなたを創り出してから、ずっとね……私はあなたが……大嫌いだったのよ!!』

フェイトの身体が大きく傾いた。
それを支えようと、なのはは身を屈める。
そして、見てしまった。
全く生気の感じられない、光を失ったフェイトの瞳を。
手足が、まるで凍りついたかのように動かなくなる。
――どうして……どうして、あんなに頑張ってたのに……!
あまりにもあんまりな理不尽に身を震わせるなのはの目の前で、糸の切れた操り人形のようにフェイトはくずおれた。



「フェイトちゃん!」

なのはがフェイトの身体を抱き起こすが、一切の返答は無い。
あまりのショックに、気を失ってしまったのか。
今まで静観を決め込んでいた銀時が、不意に口を開いた。

「神楽、医務室だ」

「あいあいさー」

そうとだけ答えると、神楽はフェイトの身体を背負い、アルフと定春を伴って発令所を出て行った。
重苦しい空気が辺りを支配する。


45 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:55:10 ID:HshqUh97
くそっプレシアめ!おめぇなんて、プレデターに狩られてトロフィーに
されちまえ!支援!

46 :なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/04/28(月) 23:56:08 ID:SGO7gvu7
「銀さん……こんなムゴいこと……あっていいんですか……ッ!」

肩を震わせ、固く拳を握りながら新八が声を絞り出す。
俯き加減の彼の表情は読み取れないが、それでもその声色から、彼の心境は容易に読み取れた。

「今すぐモニター突き抜けて、殴りに行きたい気分ですよ……僕はッ!」

明確な、怒気のこもった声。
普段はどこまでも温厚な彼が、珍しく激情に駆られていた。
いや、温厚だからこそ、今の理不尽な場景が許せないのだろう。
だが、銀時は何も言わなかった。
先程と同じように目の前だけを見据え、そして何を思ったのか、一言も発することなく彼は発令所を後にする。

「……銀さん!」

新八も銀時の後を追い、発令所から飛び出す。
後に残されたなのはとユーノは、呆然とその場に立ち尽くしていた。
リンディ他、発令所要員達も沈痛な面持ちで押し黙る。
だが、沈黙が続いたのも少しの間だけだった。
突如として、切迫したエイミィの声が発令所に響き渡る。

『た、大変大変! ちょっと見て下さい!! 屋敷内に魔力反応……多数!!』

画面隅に表示されたレーダーに映る光点。
それがおぞましいまでの速さで、大量に増殖していっている。
まるで単細胞生物の分裂を、早回しで見ているかのようだ。

「庭園敷地内に魔力反応! いずれもAクラス!」

「総数、六十……八十……まだ増えています!」

矢継ぎ早に報告を行う通信士の言葉通り、光点の増える速度は留まるところを知らない。

「プレシア・テスタロッサ……一体何をするつもり!?」

予想外の事態に軽い焦燥感を覚えながらリンディは呟く。
それに答えるように、プレシアは両手を掲げ、そして狂気染みた声を上げる。

『……私達の旅を……邪魔されたくないのよ。私達は旅立つの……忘れられた都……アルハザードへ!
 この力で旅立って、取り戻すのよ……! 全てをッ!!』

直後、プレシアの頭上に九個の宝石が浮かび上がった。
そして、そのそれぞれが一斉に光り輝きだす。
それと同時に、空間が揺れた。
比喩などではなく、本当に空間そのものが振動を始めたのだ。
被弾したり、他の艦船と接触でもしない限り揺れるはずの無いアースラの艦内が派手に揺れる。
まるで地震でも起きたかのようだった。

「次元震です! 中規模以上!」

「ディストーションシールドを!」

「ジュエルシード、九個発動! 次元震、更に強くなります!!」

「転送可能距離を維持したまま、影響の薄い区域に移動を!」

「りょ、了解です!」

「乱次係数拡大! このままだと次元断層が!!」


47 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:56:15 ID:dX49umvC
お前に同情の余地はある。
悲しい過去もあるだろう。
だがしかし、それが彼女を傷つける理由にはならない! 支援!!!

48 :なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/04/28(月) 23:57:13 ID:SGO7gvu7
このまま次元震が拡大すれば、確実にこの世界は崩壊する。
クルー達を焦らせるには、その事実は十分な理由であった。
指揮と報告が飛び交い、室内は騒然とする。
そんな中、クロノは唯一人、踵を返し発令所を後にしようとする。

「……馬鹿な事をッ!!」

「クロノ君、どこへ……!?」

「現地へ向かう! ……なんとしてでも、止めないと!」

背後から投げかけられた言葉にそう返し、クロノは後ろを振り向く。
待機状態のデバイスを握り締め、意を決した様子のなのはとユーノの姿がそこにあった。

「私も行く……!」

「僕も!」

クロノはほんの少しだけ逡巡をするが、

「……わかった」

やはり今は、少しでも戦闘要員は多い方が良い。
二人を引き連れ、クロノは転送ポートへと急ぐ。

(忘れられた都、アルハザード……もはや失われた禁断の秘術が眠る街……
 そこで何をしようっていうんだ……? 自分が亡くした過去を、取り戻せるとでも思っているのか……!?)

亡くした過去。
亡くしたモノ。
どれだけ願おうとも、それが返ってくることは決して無い。
『こんなはずではなかった』と後悔し、足掻き、そして終わっていく。
それが世の理だ。
どれだけ人知を超えた力を得ようとも……その理は、変わることは無い。

「どんな魔法を使ったって、過去を取り戻す事なんて……出来るもんか!!」

――そうだ……。取り戻すことなんて、出来やしないんだ……。
苦い過去の思いを噛み締め、クロノは艦内を駆け抜けた。

49 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:57:44 ID:MHhEIuFm
まさかとは思うが支援

50 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:58:16 ID:qKg27kvl
この戦いを終わらせてやってくれッ!銀さんッ!!
支援ッ!!!

51 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:58:45 ID:HshqUh97
クロノッち、タイムマシンを使えば簡単に取り戻せるよ?支援!

52 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/28(月) 23:59:43 ID:8pR6VZ5b
それを言っちゃあおしまい支援!

53 :なの魂 ◆.ocPz86dpI :2008/04/29(火) 00:00:57 ID:fZN0pN7a
以上で投下終了です。
記憶喪失編やらなんやらで色々なモノに触れた結果、こんなんなっちゃいました<フェイト
いや、SLBは迷ったんですけど、このシチュで全力全開は何か違うよな……と思ったので自粛
さて、次話でようやく無印編も決着。の予定です
八神一家をお待ちかねの方々は、もう暫くのご辛抱を

新八ってさァ、長編だと意外とおいしいトコ取ってくよね

54 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 00:01:19 ID:HshqUh97
お客様の中にド○ラ○え○もんさんはいらっしゃいませんか?支援!

55 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 00:05:49 ID:8pR6VZ5b
乙でした!
SLBで全力全壊しなくても説得ができるんだという新しいなのはの方向性を垣間見た気分です。
プレシアとのラストバトルに万事屋がどう絡んでいくのか・・・無印編ついに決着ということで、次回の話も楽しみにしてます!
八神家好きな自分としてはA's編がすごく楽しみだったりするんですがね(ぉ

56 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 00:06:26 ID:nDmUBDqW
ここで終わりかっ…!
いつもいつもいいところで引っ張りやがる、それを待つのも楽しみとはいえ辛いものがある・・・

何はともあれGJ!銀さんの内に秘めた怒りが次週爆発する…!
楽しみに待ってまーす。

57 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 00:07:56 ID:FbuNVcSB
>なの魂
ちょ、これすげくね!? っていうか、銀魂ってこういうエグイ欝展開も意外とマッチしてね!?
リリなの本編でも衝撃的だったあの場面に立つ万事屋メンバーが全然違和感ありませんでした。
特に、新八の怒りの吐露はあらためて彼の善良さを際立ててますね。
そして無言だった銀さん。
もちろんこの人が何も考えてないわけがなく、感情に出さない辺り、原作のようななんでもない表情の下で深く考えていそうで、それが明らかになる次回が気になります。
あー、もう前半のリンディさんとかギャグの部分でも触れたい点いっぱいあるのに、ラストのマジな締めが尾を引いてるよーw
ま、やったことは最低ですが、プレシアにも理由があるんですよね。
銀魂でも下種な悪役だったはすが意外な過去を持ってたりで、銀さんがプレシアに対してもそんな風に見抜いて何か言ってくれるかもしれない。
でも、まずはフェイトに何か言ってやってくださいよ銀さん!
もちろんなのはもだけど、アンタのあったけえ言葉が彼女には必要なんだ!
無印決着の次回、正座して待たせていただきます。

58 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 00:10:04 ID:qrWPU7gj
GJです!!
いよいよ無印もラストでクライマックス。
最終局面において万事屋トリオのとる行動やいかに!?
お待ちしてまーす!!!

59 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 00:12:52 ID:aaZJvviS
>なの魂
馬鹿な!? なのはが全力全開をしていないだと?!(驚くのはそこか)
今回はフェイトの葛藤が浮き彫りにされて、凄い悲しい気持ちになりました。
悲しい、やりたくない、そんな迷いが見えて、それを強いるプレシアへの怒りが倍増です。
本編でもあったとはいえ、次元を介した雷撃を我が子(のコピー)に叩きつける母親。
彼女とフェイトはやはり分かり合えないのか、そして妄執に狂い続ける彼女はどこまで堕ちるのか。
駆け出すクロノ、そして万屋メンバーはどう動くのか。

この悲しき外道に、銀さんはどう動くのか。
期待しまくりです!
スタンダートでありながら、予想の斜め上を行くなの魂!
最高です!!

60 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 00:15:33 ID:Um1e/5qc
精神的にはSLBより全力全開だった気がするGJ

61 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 00:16:23 ID:QNcMfnt8
>>なの魂氏
ついに、氏が、一ヶ月ぶりに・・・っ!!
あえて王道のSLBを外してくる発想は無かったッス、凄すぎですよ!!
フェイトの描写にはえらく初めてなのは1期を見たときと同じぐらい胸が締め付けられました。
助けてあげてよ銀さん!!
次回からのスーパー白夜叉タイムも期待大ですしなのはの身を案じる神楽とかメガネとか本当にイイ!!
そして時折入るギャグも最高。
都築氏と空知氏の双方の良い所が合体してるでござる。
次回も原作二話を詰め込んだ話、期待しております。銀魂の場合、悪党も本当は可愛そうな人もいかなる最後を迎えるにしろ救われる場合が多いので。

・・・そういえば、銀さんの木刀「星砕」って「スターライトブレイカー」って読めるよね。

62 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 00:26:31 ID:oR6Ig1Zc
それにしても作品投下が多すぎて、ひとつひとつ感想もろくに出ず流れていくのがあるな。
作者はどう思ってるんだ?

63 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 00:29:58 ID:KGwS2qR4
GJ…!!
なの魂の人…待ってました!!
もう今からラストを想像して泣きそうだッ!!
最後の銀さんの行動が何より楽しみ!
これこそクロスSSの醍醐味ってぇ奴ですヨ!

良かった…ずっと待っててマジに良かった…。

64 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/29(火) 00:31:44 ID:fcidI1G6
それでは、なの魂氏の投下が終わったようなので、そろそろ投下したいと思います。
投下大丈夫ですか?

65 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 00:32:33 ID:aaZJvviS
支援する!

66 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 00:32:50 ID:QNcMfnt8
スーパー高松アワー支援

67 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/29(火) 00:37:17 ID:fcidI1G6
艦船フリーデン内 休憩室。
大きなソファーに観葉植物が置かれた質素な作りのこの部屋で、ウィッツとロアビィの雇われ組は休憩をとっていた。
ロアビィはを何か考えているのか、壁に寄り掛かって難しい顔をしている。
ウィッツはウィッツでそれを全く意に介さず、つまらなそうにソファーに寝そべっていた。

「おかしいとは思わない?」

ふと、静寂を切ってロアビィがウィッツに話し掛ける。

「何がだよ?」
「ジャミル・ニートといえば、この世界じゃかなり名の通ったバルチャーだろ? そんな奴が実は時空管理局の人間で、『提督』なんて大層な役やってる超エリートと来たもんだ」
「……そのジャミルが、あんな小娘一人に血眼になってるってことか?」
「ご名答」

起き上がり様にウィッツはロアビィに顔を向ける。
実を言うと、ウィッツも少しだけティファの素性が気になっていた。
名目上二人への依頼は『船の護衛』だが、ジャミルから託された真の依頼は『ティファ・アディールの護衛』
しかも仕事は護衛だけだというのに給金は破格。
何故ティファという娘にそこまでこだわるのだろうか。
ウィッツには皆目見当もついておらず、それは話を始めたロアビィも同じだった。

「それにあんなに強そうな局員の方々連れてるのに、俺達みたいなフリーの魔導師雇うのも解せないんだよねぇ」
「裏があるってか?」
「ま、そういうこと」
「……ジャミルが何を考えてるか知らないが、俺には関係ねぇや」

理由を知った所で報酬を貰ったら即さよならだしな、と付け加える。
契約云々以前に、ウィッツは時空管理局と関わりたくないという強い思いがあった。
時空管理局の管理下に置かれたアフターウォーでは法が施行されている。
殆ど飾りに近い法とはいえ、バルチャーを営むにはその法律に則って管理局の許可が必要になるのだ。
しかし質量兵器の使用禁止や魔導師ランク取得などバルチャー認定基準がこの世界の住人にとっては厳しい為、ほとんどのバルチャーは無許可で活動をしている。
ウィッツも認定手続きが面倒だという理由で無許可バルチャーをやっており、時空管理局と行動を共にしている今現在もかなり居心地の悪い思いをしているのだ。
触らぬ神に祟り無しとでも言わんばかりに、ウィッツは再びソファーへ横になった。
そんなウィッツを見てロアビィが呆れたような表情を浮かべる。

「そいつは残念。彼女の秘密がわかれば、それをネタにして儲け話にでも」
「儲け話だぁっ!?」

完全に冷えたと思われたウィッツの態度が急速に加熱した。
ソファーから飛び起き、ロアビィにズイと詰め寄る。
金が絡んだ途端に豹変したウィッツの態度に驚きを隠せないロアビィだが、場所が場所だけに焦りを感じた。

「し、しーっ! 声が大きいよ。誰かが聞いてたらどうすんの?」
「聞いていたが、どうする気だ?」

ハッと口を抑えるが時既に遅し。
後ろから痛い程視線が突き刺さる。
目の前のウィッツの表情が引き吊っているのを見ても、後ろにいるのは話しを聞かれたら相当不味い人間だと言う判断はついた。
ロアビィは恐る恐る後ろを振り返る。
そこにいたのは怖い顔をした鬼……ではなく、腰に手を当てたシグナムとサラだった。


68 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/29(火) 00:38:05 ID:fcidI1G6
「全く、偵察に行くと呼びに来てみれば。油断も隙もあったものではないな」
「い、いやー……これはその、ちょっとした出来心で……」
「とにかく、キャプテンに報告します」
「ちょ、ちょっと待った!」

ロアビィは去り行くサラの腕を慌てて掴み、自分の方へと引き寄せる。
ジャミルに知られれば報酬を貰う前に追い出される危険さえあるのだ、かなり必死である。
しかしサラは煩わしそうにロアビィを睨み付け、捕まれた腕を振り払う。

「言い訳はキャプテンの前でどうぞ」
「怒ると、素敵な顔になるね」
「この状況でよくそんな口が利けたものだな」

身が危ないと言うこんな時まで口説き文句は忘れない。
そんなロアビィに呆れ果てるシグナムだが、サラは対照的に薄っすらと頬を染めた。
しかし厳しい表情が崩れることはなく、またすぐに部屋の外へと歩みを進める。
その時、またもロアビィの手がサラの腕を掴む。

「おい! 待てって言ってんだろ!」
「ちょ、ちょっと! 放して!」
「キャプテンキャプテン言ってるけどさ、あんたらだって何も知らされずにこんな偏境世界まで来てるんだろ!?」
「そっ、それは……」

確信を突く一言に今まで厳しかったサラの表情が一変した。
目を逸らし、ばつが悪そうな顔でうろたえている。
ロアビィはサラの腕を放し、今度は打先程とって変わった優しい表情を見せた。

「こっちだって命張って商売してるんだ。……せめて、あのティファとかいう娘のこと、知りたいと思うんだけどね」
「そ、それは……」
「シグナムさんもそう思わない?」
「全く思わんな」

即答。
シグナムにも自慢の話術で賛同してもらおうと企てていただけに、思わずロアビィは肩を透かしを食らう。

「私は主はやてを信頼し、主はやてが信頼したジャミル提督に全幅の信頼を寄せている。そのジャミル提督の事だ、何か考えがあってのことなのだろう」
「これは、見上げた忠誠心で……。でも、こちらとシグナムさんみたいにキッパリ割り切れるような性格してないんでね」

ね? とサラに微笑みかけるが、彼女は浮かない顔のまま何も答えない。
それはシグナムのように無償でジャミルを信用出来なかったことへの自己嫌悪によるものか。
はたまた、副官である彼女に何も教えてくれないことへの寂しさか。
結局ロアビィの言葉に何も返せぬまま、サラは無言を貫き続けていた。



ガロードがティファを連れ去ってから数時間。
二人は逃げ込んだ森の中で焚き火を前に並んで座っていた。
木々に囲まれた森の中だけに、月の明かりは入って来ない。
揺らめく炎の明かりだけが二人の顔を照らし出している。

「ティファ。君って、あいつらに捕まるまではどこにいたんだ? それに、あの不思議な力は?」

ティファに話し掛けながら、ガロードは焚き火の中へ拾ってきた小枝をくべた。
だが、ティファは答えない。
沈黙の中、枝の爆ぜる乾いた音だけが暗い森の中に響く。


69 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/29(火) 00:38:58 ID:fcidI1G6
「魔法、じゃあないよな? もしかして、前の戦争の時にいたっていう超能力者って君みたいな人だったのかな?」

再びガロードはティファに問う。
だが、やはりティファは答えなかった。
上空で透き通った風が吹き、頭上から木々がざわめく音がする。
雰囲気も手伝ってかその音は非常に不気味に聞こえた。

「なぁ、ティファ。黙ってちゃ何もわからないよ」

焚き火の暖かな光を眺めながらポツリ呟く。
そして沈黙が三度二人の間に落ちるかと思われた時だった。

「私は」
「え?」

殆ど自分からは何も喋らなかったティファが、ガロードに話し掛けてきたのだ。
軽い驚きに顔を横へ向けると、ティファと目が合う。
吸い込まれそうな紺碧の瞳がこちらに向けられていた。

「私は、あなたを知りたい……」
「ティファ……うん。わかったよ」

ガロードはティファからの意外な質問を嫌な顔一つせず快諾した。
気持ちの何処かで、ティファのことも知りたいが、自分のことも知っておいて欲しいと思っていたのかもしれない。
視線を再び焚き火の方へと戻し、ガロードは語り始めた。

「俺が生まれたのは、ちょうど戦争が終わった年だった……」

親父は軍に籍を置く技術者だったけど、戦争で死んじまった。
物心ついた頃って、まだめちゃくちゃだった。
太陽なんて出てないし、ずっと冬みたいだった……。
なんだかんだで、友達も半分くらい死んじゃったし。

やっと春が来るようになって、俺は時空管理局の技師になろうと思ってたんだ。
親父の血を継いだらしくって、昔っからそういうのが得意だったから。
それに管理局なら才能次第で子供でも雇ってくれるし。
でもある日、町は流れの魔導師の一団に襲われて……。

酷い有り様だった、ホントに……。
俺、昔から魔法の素質だけは全然なくてさ、何にも出来なかった……。
だから、そんな俺が助かったのは奇跡だった。
いや、あの時、俺は一度死んだんだと思う。

「……へっ、それでふっ切れちゃってさ。今みたいなお仕事になっちゃったってわけ」
「悲しい時代……」
「えっ?」
「思い出も、悲しい……」

そっと、ティファが自分の手をガロードの手に添える。
手自体は、少し冷たい。
しかし、何処か温もりを感じさせるその感覚にガロードの心は解きほぐされてゆく。

70 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 00:40:18 ID:QNcMfnt8
いーつかみーたあのしえんをー

71 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/29(火) 00:40:23 ID:fcidI1G6
「私も、独り……」
「ティファ……」

ガロードは再びティファの瞳を見つめた。
先程は綺麗だと感嘆しただけだったが、今度は少しだけ違う。
ガロードの過去を知ったからか、深い悲しみの色がそこにはあった。
涙など一滴も零れ落ちていないのに、悲しみを感じさせる深い瞳。
その不思議な色に、ガロードはただただ見入っていた。

「暖かい、手……」
「え? ……うぇっ!? うわぁっ!!」

今更ティファに手を握られていることに動揺し、ガロードは慌てて手を離した。
気恥ずかしいやら嬉しいやら、思わず体が縮こまってしまう。
もちろん顔は沸騰したように赤くなっていた。
それが不思議なのか、ティファは小首を傾げる。
だが、次の瞬間その表情が強張った。

『Emergency』
「うわぁっ!?」

GXの警告と同時にティファがガロードを押し倒した。
突然の出来事に目を見張るガロード。
が、目の前を魔力弾が通過し、背後の森に着弾した瞬間全てを悟った。
自分達はまたも襲撃されていると。

「だ、誰だっ!?」

魔力弾が飛んで来たであろう方向を警戒しながら凝視する。
木々の間に魔力の光が見えた。
それはゆっくりゆっくりとガロード達の下へ近づいてくる。
森の中から出て来たのは一人の女バルチャーだった。
そして光は女の持っていたデバイスの魔力刃だと分かる。

「フフフ。お宝を見つけたよ?」

ガロード達を見つめ、女バルチャー――ヴェドバは妖しく微笑んだ。
魔力光が照らすその笑みは、背筋が凍るほど気味が悪い。

「さようなら、坊や達……」

弱者への慈悲でも掛けているつもりなのだろう。
そう囁くとガロード達に掌を向け、拳大の魔力弾を生成した。
GXを起動させようとするガロードだが、ヴェドバが魔力弾を撃つ方が早い。
ヴェドバがそのまま魔力弾を二人に放とうとした刹那。
ヴェドバが出ていた方とは全く違う方向から魔力弾が飛んで来た。
魔力弾はヴェドバとガロードの間に着弾し、凄まじい砂煙が両者を分かつ。

「なっ! 同業者かい!?」
「い、今だ! GX、行くぜ!!」
『Drive ignition』

砂煙の中、すぐさまティファを背に隠れさせガロードは叫んだ。
同時にガロードの体が光に包まれる。
僅か数瞬で光は弾け、バリアジャケット姿のガロードが姿を現した。
光が弾けた衝撃で立ち上がっていた砂煙も晴れる。
だが、そこには目を疑う光景が広がっていた。

72 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/29(火) 00:41:08 ID:fcidI1G6
「こっ、これはっ! なんて数の魔導師だ!?」

前から、右から、左から。
裕に50は超えるバルチャー達がガロードを狙っていた。
正確には、ガロードの持つGXを。
アフターウォーの大部分である闇を生きる人間は、何もバルチャーだけではない。
情報屋という人種もこの世界において幅を利かせているのだ。
二人が森へ逃げ込んで来た時に茂みから二人を観察していた人物もそんな情報屋の一人。
ガロードは運悪くもGXを所持している所を見られ、バルチャー達に広められてしまったのだ。

「くっ! 渡してたまるかぁっ!」
「うわぁっ!!」
『Round shield』

商売敵の登場に焦ったヴェドバがガロードへ襲いかかった。
辛うじてGXのオートガードにより魔力刃を防ぐ。
しかしいくらデバイスが高性能でもガロードは魔導師として素人だ。
GXに頼り切りで生み出したラウンドシールドは本来の強度の半分にも満たない。
貧弱な障壁はヴェドバの魔力刃によって火花を散らしながら着実に罅を入れられてゆく。

「フッフッフッ……もらったよ!!」
「まだ……まだぁ!!」
『Rifle form』

ガロードの叫びに呼応するようにGXが魔力の光を纏った。
操縦桿の姿は見る見る内に変わってゆく。
光が晴れた時、ガロードの手の中にあったのは白いライフル銃だった。
障壁を維持したまま銃口をヴェドバに向ける。

「ふんっ! 障壁の越しに狙ってどうするつもり」
「食らえ!!」
『Shield buster』

次の瞬間、勝ちを確信していたヴェドバの鳩尾に拳大の魔力弾が直撃した。
障壁として利用していた魔法陣を魔力構築に利用したのだ。
ヴェドバの余裕に満ちていた表情は一瞬で苦痛に歪む。

「がはっ!!」

肺からすべての空気が吐き出されたような錯覚に襲われながら吹き飛ばされるヴェドバ。
そのままの勢いで木に激突し意識を失った。
素人の放った弾とはいえ、ほぼ零距離で射撃魔法を食らったのだ、無傷で済むはずもない。

「よ、よし、まずは一人……うわああぁ!!」

ヴェドバを退け一安心……とは、他のバルチャー達が許さなかった。
同業者が倒れたのを機に、周りで様子を見ていたバルチャー達が一斉にガロード達に攻撃を開始してきたのだ。
罅の入ったラウンドシールドが雨粒の様に飛んでくる弾を防ぐが、いつ消滅してもおかしくない。

(くっ! これじゃあいくらガンダムでも……!)

GXを強く握りしめ、反撃できない歯痒さを押さえつけるガロード。
これだけたくさんのバルチャーに囲まれれば、負けは目に見えている。
それに人数も去ることながら、相手は場数を踏んだバルチャー達。自分は初心者。
絶望的だ。
もしガロード一人であったならば、何が何でも逃げようとしていただろう。

73 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/29(火) 00:42:02 ID:fcidI1G6
「……って、弱音吐いてる場合じゃねぇよな!」

しかし、今のガロードは一人ではない。
守りたい存在が自分のすぐ傍にいるのだ。
有りっ丈の気合いを籠め、ガロードはライフルフォームのGXの銃口をバルチャー達に向けた。

「こんなところで死んでたまるかっ!」

狙いも付けずに引き金を引く。
人数が人数だけに狙いが定まらずとも弾は当った。

「死ぬもんかっ!!」

無我夢中になって引き金を引く。
魔力弾が放たれる度にバルチャーは一人また一人と倒れていった。

「死なせるもんかあああああっっ!!!」

とにかく一人でも多く倒し活路を開く。
自分の後ろに隠れているティファを守るの為に。
ガロードは引き金を引き続ける。

(ガロード……)

10人ほどのバルチャーがガロードの射撃によって気絶した頃。
ガロードを守っていた障壁についにガタが来た。
度重なる攻撃に耐え切れなくなったラウンドシールドは砕け散り、魔力弾の直撃がガロードを襲う。

「うわぁぁぁっっ!!」

バリアジャケットの強度があったお陰で痛みは耐えられる位だが、衝撃は緩和できない。
必死にその場に止まり反撃に出ようとするが、思ったように体が動かないことに気がつく。
慣れない魔力弾の連射にガロードの精神も限界を迎えようとしていたのだ。

「はぁ、はぁ、はぁ……!ジ、GX!」
『Round shield』

少しでも時間稼ぎをとなけなしの魔力で再び障壁を構築する。
が、構築された障壁は点滅し、今にも消えそうなほど頼りないものだった。
これが消えれば、本当にガロードには打つ手がなくなる。

「く、くっそぉ……これまでか………?」
「ガロード」
「えっ?」

ガロードが今度こそ諦めかけたその時、彼の背に隠れていたティファが口を開いた。
命の危機が迫っているというのに、彼女の声は落ち着きを放っている。

「あなたに、力を…」
「力? 力って一体……?」

ガロードが聞き返す声も聞かずティファは不意に目を閉じた。
何かを感じているのか?
理解に苦しむガロードだったが、変化はいきなりやって来た。

『ニュータイプによるシステムロック解除確認。サテライトシステム起動』

GXが告げた瞬間、ライフルフォームだったGコンはデバイスフォームへと戻った。

74 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/29(火) 00:43:02 ID:fcidI1G6
「な、なんだ!?」
『Satellite form』
「うわぁ!?」

変化はそれだけでは終わらなかった。
再びGコンが変形し、小型画面と透き通った緑のレンズ部が現れる。
更に発動させていない筈のリフレクターウイングの翼までもが出現。
極めつけは、ただ背負っているだけだった巨大な砲身が稼働し、ガロードの右肩を陣取ったのだ。
連続する変化について行けないガロードの前に、今度は空間モニターの画面が現れる。
そこには細かな文字とともに、こう記されていた。
『SATELLITE SYSTEM GX-9900 NT-001』と。

「サテライト…システム……? これが、その力なのか?」

その問いに小さく頷くティファ。
元の性格の為だろうか、それとも例の不思議な力で勝利を確信しているのだろうか、表情に不安や焦りは見て取れない。
しかしガロードにとっては些細なことだ。
諦めるくらいならとGXを強く握りしめた。

「よぉし……行くぜっ!」
『フラッシュシステム起動。メインシステムとの魔力リンク接続。初回ユーザー登録を行います』


丁度その頃。
ティファの捜索を再開したフリーデンが、今まさにガロード達が戦闘をしている森へ近付いていた。
戦闘と思わしき光を見つけ、もしやガロードではないかと疑いを持ったからだ。
守護騎士一同と雇われ組は偵察に行っているため、ブリッジには緊急時に襲撃できるようはやてが待機している。

「キャプテン、そろそろ戦闘区域に……あら?」
「どうしたですか?」

管制の手伝いをしていたリインがサラの疑問符を浮かべた声に反応する。

「あ、いや、戦闘中だと思われる魔導師一体の魔力値が規則的に上下しているの。どこかと通信でもしているのかしら」
「なに!? まさかっ……!」
「? ジャミル提督?」
「至急偵察に出ている守護騎士達を呼び戻せ!!」
「は、はいです!!」

様子が急変したジャミルに驚きつつも、リインはすぐにシグナム達と通信を始めた。
ジャミルは落ち着きを失い、体を震わせながら拳を握る。
脳裏に過るのは15年前の悪夢。

(やめるんだ! ティファッ!)

強く念じるジャミルだが、頭を駆け巡ったのは激しいノイズだけだった。
同時に、横にいたはやてが月から伸びる一本の光を視認する。

「なんや、あれ……?」


『ユーザー登録完了。魔力受信用ライン精製』

GXを銃を撃つように構えると、月から伸びてきた魔力ラインがレンズ部に直結した。
空間モニターの内容が文字から射撃照準へと変わり、ガロードの狙いと照準の中心がリンクする。

75 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/29(火) 00:44:50 ID:fcidI1G6
「次っ! 4.03秒後に……月の魔力!?」
「……来ます」

ティファの言葉の直後、膨大な月の魔力が魔力ラインを通してGXへと流れ込んできた。
同時にGX内蔵された小型画面にリフレクターウイングと全く同じ形のケージが現れ、魔力のチャージ量を逐一表示する。
ガロードの背のリフレクターウイングも更なる輝きを放ち、それに怯んだバルチャー達は思わず攻撃を中止した。
歴戦の勘から逃げ出す者も少なくない。
魔力を受けているガロード自身も、デバイスから伝わる魔力の強さにGXを握る力が強まる。

『ライン精製及び受信成功。チャージ完了までのカウントダウンを開始します』


「キャプテン! 例の対象魔力値が大幅に上昇しています!!」
「くっ! ティファよ……!」

ノイズと闘いながらティファに呼びかけるジャミルだが、返答は全くない。
遂には耳から鮮血が垂れ出してきた。

「は、はやてちゃん……」
「誘拐事件は起こるわ月からレーザー光線が降ってくるわ……今度は一体何が起きるって言うんや……」

不安げな表情を浮かべて近づいてくるリインを軽く抱き寄せ、はやては深く溜息をついた。
しかし、不安を抱えているのははやても同じだ。
ジャミルの只ならぬ様子を見ていれば、これから何が起こるのか想像がつかなくても恐怖を掻き立てられる。
何かとんでもないことが起こる。
フリーデンクルー全員が緊張に包まれた。

『Three』

――秩序の崩壊したこの世界にあって、頼れるのは己の力だけである。
生きるためには、戦わねばならないのだ。
確かに戦争は終結した。
だが、一人一人の戦争は、まだ終わってはいなかった。

『Two』

だから人は力を求めた。
己の欲を満たすため、己の大切だと思うものを守るため。
ただ我武者羅に力を求めた。
手に入れた力は争いを招くと知っていて、それでも人は力を求めた。
そして、人が求めた力によって……

『One』

悪夢は再び蘇る――

『Count zero』



「撃つなあああああああああああああ!!!」
「行けええええええええええええええ!!!」



『Satellite cannon』

76 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 00:45:45 ID:YddeP6Kh
月は出ているか?支援。

77 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/29(火) 00:46:09 ID:fcidI1G6
奇しくも、ジャミルの叫びとガロードが引き金を引くのは同時だった。

瞬間、サテライトキャノンの砲口から眩い『光』が噴き出す。
噴き出した『光』は一本の巨大な束となり触れたもの全てを飲み込んでゆく。
草花が、木が、暗闇が、人が、全て例外なく。
『無慈悲』という言葉が最も当てはまるのだろう、その光の前には如何なるものも抵抗を許されなかった。

「うああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

そして光の爆心地であるガロードの視界も光に包まれてゆく。
まるで自分の体が消えてゆくような感覚。
広がってゆく無音の世界。
目の前の現象を全く理解することが出来ず、ガロードはただ叫ぶしかなかった。
――ティファの異変に気付かずに。

かくして、森は数分も経たないうちに光に溶けた。
強い恐怖のみを感じる、死の光に。
『GX-9900 ガンダムX』
15年前一つの世界を滅ぼしかけたデバイスの名である。



―PREVIEW NEXT EPISODE―

復活したサテライトシステムにより、多くの人間が死に、ティファの心は深く傷ついた。
時空管理局の精鋭達により捕えられたガロードは、GXを奪われ監禁されてしまう。
そして他方では、大いなる悪意が静かに動き始めていた。

第三話「私の愛馬は凶暴です」

78 :リリカルなのはXtS ◆/XtxFj5O7E :2008/04/29(火) 00:52:02 ID:fcidI1G6
以上で第二話Bパート終了です。
ついにXのシンボルとも言うべきサテライトキャノンを撃つことができました。
まだ第二話なのにホントに長かった・・・orz
魔法の設定などかなりオリジナル入っているので、早く慣れ親しんでもらえるようもっと早めに投下しいです…

さて、これからの話ですが、しばらくはガンダムX基準の話が続きます。
なので「なのはさんまだ?」とか、「フェイトさんは?」とか思われるでしょうが、もうしばらくお付き合いください。
そして次回は愛すべきあのキャラが登場です!

なの魂氏の神作品の後なのでかなり肩身が狭い…;

79 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 01:03:57 ID:QNcMfnt8
乙です、双方の作品の重要な点を掴んでて面白いです
個人的にガンダムシリーズの中でも一番好きなXなので楽しみです

そういえばガロードって、ガンダムシリーズの中でもけっこう一般人なんですよね。
ニュータイプでもなく、特別な権力や力があるわけでもなく。
しかしながら持ち前の適応能力とガッツで頑張る「一般人」のガロードだからこそ、あのラストにつながるんですよね。

アレ?ガンダムX本編の話になってね?
とにかく、楽しみにしています。

80 :リリカル! 夢境学園 ◆CPytksUTvk :2008/04/29(火) 01:06:29 ID:aaZJvviS
GJでした!
GXのサテライトキャノン。
やはり、ゆりかごと同じく月の魔力を利用したものでしたか……
下手しなくてもSランク魔導師の砲撃より上w なのはのスターライトブレイカーも超えてないだろうか?
史上最大級の砲撃魔導師にそうそうですね、ガロードw
次回出てくるであろうアシュタロンとヴァイサーゴがどんなデバイスなのか怖い。
次回も楽しみにします!


そして、自分は一時半頃に投下したいのですが。
もう夜分なので明日に回したほうがいいでしょうか?
長いので、支援がないと規制されそうなのですが……

81 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 01:10:18 ID:aLMUbl1O
自分は、待っていますあなたの作品を
支援

82 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 01:15:00 ID:qrWPU7gj
この勢いに乗っちゃってくださいな
支援

83 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 01:15:54 ID:t+XNpMV2
支援します。

84 :リリカル! 夢境学園 ◆CPytksUTvk :2008/04/29(火) 01:30:16 ID:aaZJvviS
それでは三十分より投下します。
容量は16KB。
ホテル・アグスタ編。
準備編です! 支援をお願いします!

85 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/29(火) 01:33:49 ID:aaZJvviS
時間ですので投下開始します!



 準備をしよう。
 身支度を整えよう。
 紳士はスーツに、婦人はドレスに身を固め。
 軍人は銃を手に、騎士は剣を手に、殺人鬼は刃を手にとって。
 踊りだそう、踊りだそう。
 狂った狂った舞踏会に、カボチャの馬車に乗って旅立とう。

 ああ、ああ、楽しみだ。

                            殺人鬼の日記より




 手が交差する。
 空気がかき乱され、汗が飛び散り、二つの肉が重なり当てて、湿った音を立てる。
 それは打撃音と呼ばれる肉が、肉を叩く音の乱打。
 踊る、踊る、踊る。
 軽やかに、つむじ風のように、羽のように、二つの影が踊りを交わす。
 紅の影と紫の影がぶつかり合い、互いに交差する。
 それはまるでダンスのようだった。
 ただ違うのは、互いを砕かんと放たれる手足の動き。

「しゅっ」

 鋭い呼気。
 それを洩らすのは紅の少女だった。
 紅い髪を振り乱し、黄金色の瞳を称えた少女。その成熟し切っていない、されどはち切れんほどにエネルギーを秘めた肉体を簡素なTシャツとスパッツで覆った格好。
 その手足に、その額に、その全身から汗を流しながら、彼女は踊っていた。
 戦いの舞踏を。
 彼女から放たれるは剃刀のような鋭い足刀。それは空気を抉り取り、その軌道上の物を破砕する鋭さを秘めた蹴り。
 されど、それは――

「甘い、な」

 重ねられた鋼鉄のグリップが受け止める。
 受け流すように、盾のように、プロテクター表面の上をグリップが滑り、その足の軌道が変わる。否、逸らされた。
 そして、その爪先は空を穿ち、何も残さない。
 まるで水の如く、風のように受け流したのは紫色の髪を靡かせた同じ黄金色の瞳を持った怪人。
 岩石すらも砕く、尋常ならざる一撃を見事な動作で凌ぎきったそれはターンでもするかのように、旋回し――

「っ!」

 足刀の持ち主が足を引きずり戻し、動揺の呼吸を吐き出しながら手を振るわせようとして。

「なっ!?」

 その視界を暗黒が覆った。


86 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/29(火) 01:34:34 ID:aaZJvviS
 
 ガシリと顔面を掴んだ手の平。閃いたその手は獲物に噛み付く蛇のようにうねり、決して少女の顔を離さない。
 それは視界を封じ、意表を突き、これからの行動の抵抗を奪う一撃。視界を覆われた瞬間、感じたのは足元を舐めるような指の感触。
 その感触に、顔面を掴まれた少女が羞恥に一瞬頬を染めて――ガシリと足首を掴まれる感触に蒼白になった。
 足首が握られ、捻られる。
 重心バランスを巧みにずらされ、人間を超えたバランス感覚と三半規管を組み込まれたはずの彼女が引きずり倒される。
 足を捻られ、両足の隙間に体を入れられ、そして胸部に冷たい感触。
 冷たい鋼の感触が心臓を抉るように乳房にめり込んで、顔面を掴む手が床に押し付けるように力をこめられていた。

「チェックメイト、だ。 降参するかね、ノーヴェ? それとも続けるかね?」

「……無理」

 ノーヴェと呼ばれた少女は押さえつけられたまま告げる。
 胸部に突きつけられた弾丸の入っていない銃身、そして何よりもその視界を覆う手が問題だった。
 すぐさま手を撥ね退けたとしても、銃弾が心臓を抉るだろう。
 銃身を押さえようとしても、見えない視界の先で待ち受けるのがなんなのか分からない。
 負けだった。
 完膚無きまでに負けだった。

「そうか」

 ノーヴェの言葉と共に手がどかされる。
 彼女の外見の割には豊富な胸に食い込んでいた銃身が退けられ、そして彼女は見た。
 薄い笑みを浮かべた己の創造主を。

「なんでそんなに強いんだよ、ドクター……」

 常人を超えた性能を持っているのに勝てない、ただの開発者の癖に何故か強い化け物みたいな創造主を睨んだ。
 彼女と彼の手合わせに、装備はない。
 鉛入りプロテクターを着けた自分と弾のない二挺拳銃を持ったドクター。
 身体能力も、戦闘データも、全てにおいて上回っているはずなのに、何故か彼女は敗北する。

 それが不満で告げる彼女にいつもドクターは告げるのだ。

「なに、君の経験が足りないだけさ」

 皮肉げに、開発者は笑う。
 まるで愛しい娘を見るような笑みで。
 まるで幼稚な子供を眺めるような笑みで。

 彼は笑うのだ。
 素直ではない、不器用な笑みを浮かべて。



【Unrimited・EndLine/SIDE 3−2】




87 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 01:35:06 ID:t+XNpMV2
世界の敵の敵 支援

88 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/29(火) 01:38:48 ID:aaZJvviS
 
 床でへばるノーヴェに言葉をかけ終えたスカリエッティは両手を交差に閃かせ、その次の瞬間その手には何も無かった。
 スカリエッティの背部の腰にあるホルスター、そこに十字架のように差し込まれる銃身。
 長時間グリップを握り締め、やや衰えた握力を確かめるようにスカリエッティが指を鳴らすと、無造作に横へと顔を振り向かせる。

「ウーノ、タイムは?」

 スカリエッティの向けた顔の先。
 そこには当然のように立っている女性――ウーノがスカリエッティにタオルを渡す。

「――3分24秒。新記録です」

 時計も見もせずに、淡々とウーノは告げた。

「ふむ。中々の成長ぶりだ」

 タオルで顔を拭い、そしてスカリエッティはおもむろに上着を脱いだ。
 掠るだけでも肉が爆ぜ、皮膚が千切れるノーヴェの一撃を凌ぐための頑丈な繊維で作り上げれたジャケット。それを脱ぎ捨てて、
簡素な肌着だけになったスカリエッティの上半身は鍛え上げられていた。
 膨れ上がるほどに鍛えられているわけではない、されど一目見るだけで分かる尋常ではない鍛錬の成果。
 肉は硬く、皮膚はしなやかに、骨はそれらを支える芯として、鉄線を束ねたような肉体が汗を吹き出しながら現われる。
 涼しい顔をしながらも、尋常じゃない運動量に確かにスカリエッティは汗を流していた。

「普通……科学者ってもっと貧弱なんじゃないのかよ」

 タオルで腕を拭いていたスカリエッティに背後から掛けられる声。
 それはスカリエッティと同じようにウーノからタオルを渡されて、拗ねた顔のまま頭にタオルを被ったノーヴェ。
 機械で作り上げられた手足を象徴するように、その手首から、足首から開いたスリットから蒸気を噴出させている。

「なに、奇跡が使えない身としての暇潰し……或いは悪あがきさ」

 振り返りもせずに、スカリエッティはニヤリと笑みを浮かべる。
 その行動に、ぶーと不満そうに唇を尖らせたのはノーヴェだった。

「それに勝てないアタシはなんなのさ」

「先ほども言っただろう? 経験が足りないと、今の君の動きは“シューティングアーツ”でしかない」



89 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 01:40:58 ID:Um1e/5qc
なにこの武道家親娘支援

90 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 01:41:09 ID:t+XNpMV2
スカ博士強い 支援

91 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 01:41:21 ID:VNgXwaGI
羞恥て、羞恥て、支援

92 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/29(火) 01:41:36 ID:aaZJvviS
 
 スカリエッティは告げる。

「君に転写したシューティングアーツはあくまでも“クイントのためのシューティングアーツでしかない”。もっと咀嚼し、噛み砕き、肉体を慣れさせ、本能に刻み込みたまえ。
情報を入力することは機械ならば出来る、だがしかし、それを進化させることが出来るのは人としての特権なのだから」

「……それじゃあ、今のアタシのは真似事だっていうのかよ?」

「そうだが?」

 ノーヴェの問いに、スカリエッティはあっさりと答える。

「体重も、体格も、癖も違う君がそのまま使うのは単なる真似事だ。装備があるならごり押しも可能だろう、だが装備がなければ君は所詮この程度だ。私程度にも、負ける」

「っ」

 スカリエッティの語る言葉に、ノーヴェが唇を噛み締める。
 怒りに震えて拳を震わせ、殴りかかろうと思う心を咄嗟に自制する。
 敗北は敗北だ。
 それを覆すには勝利しかない。ここで殴りかかれば、ウーノは止めようとするだろうし、そしてなによりもその言葉を事実だと認めることになってしまう。
 そう考えて、ノーヴェは歯軋りをしながら辛うじて自分を自制する。
 しかし、それでもなお抑え切れなかった怒りは悪態となってく口を付いた。

「ドクター」

「なにかね?」

「毎度思うんだけど、あの手口は卑怯だ! マトモに受け止めようとしないっていうか、躱してばっかりだし」

「しょうがないだろう? ひ弱な私は、君の攻撃など受けたら砕け散ってしまうのだよ?」

 ノーヴェとの組み手。
 それにスカリエッティは一度としてノーヴェの攻撃をマトモに受け止めようともせずに、躱し、受け流し、或いはそれを無効化する手段を取っている。
 膂力の差があまり関係しない関節技、体重移動を利用した投げ技、フェイントを多様した工房、徹底的な後の先を行うスカリエッティにノーヴェいつも苦渋を強いられている。
 そして、なによりもノーヴェが耐えられないのは――

「っていうか、毎度毎度セクハラ過ぎるだろ、ドクター!」

 今回の攻防で掴まれた足。
 前には尻を触られ、一度なんか隙を取ったと思った瞬間、胸をわしづかみにされて、硬直した瞬間、首を決められて敗北したこともある。
 なんというか、セクハラ過ぎるのだ。このドクターは。


93 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 01:43:26 ID:t+XNpMV2
実は変態だった 支援

94 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/29(火) 01:43:27 ID:aaZJvviS
 
「ふむ? 弱点を突くのは、勝負において当たり前のことだと思うのだが……どう思う、ウーノ?」

「ドクターの言うことは正しいと思いますが、それでもノーヴェには少々やりすぎかと。まだ多感な時期ですし」

 ドクターのことを肯定しながらも、さりげなくノーヴェの擁護をするウーノ。
 同じ女性として見過ごせなかったのか、それとも純粋にそう思ったのか。
 怜悧な美貌の下から読み取れないものの、ノーヴェは尊敬する姉の一人であるウーノの言葉に表情を輝かせて。

「ほらみろ! ウーノ姉さまだってこう言っているぞ!!」

「ふむ?」

 ウーノの言葉にスカリエッティは顎に手を当てて、ポツリと呟いた。

「しかし、いまさら“あの程度”がセクハラになるのかね?」

「へ?」

「いや、君たちは私が生まれた時から設計したのであって、さらに言えば調整をしているのも私だ」

「つ、つまり?」

「君たち以上に、君たちの体を隅々まで知っているのは私なのだが――」

 その言葉を最後まで言い切ることは出来なかった。
 剛速球で飛来した鉛入りのプロテクターがゴガンとスカリエッティの頭部に命中したから。


「こ、この変態ドクタァアアア!!」


 顔をトマトよりも真っ赤に、涙目で叫び声を上げるノーヴェの声がトレーニングルームでいつまでもいつまでも響き続けた。




95 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 01:44:21 ID:t+XNpMV2
不気味な泡 支援

96 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/29(火) 01:46:43 ID:aaZJvviS
 
「やれやれ、予想以上に凶暴な性格になってしまったものだな」

 頭に出来たコブを摩りながら、スカリエッティが研究所の廊下を歩いていた。

「それについては、ドクターが悪いかと」

 その横にはいつものように怜悧な顔を浮かべたウーノが歩き、僅かに呆れの色を浮かべて発言する。

「彼女の精神年齢は十代の少女と変わりません。幾ら知識が転写されているとはいえ、稼動年数をかけなければ精神は成長しません」

「ふむ。まあ確かに、そうではなくては頭部に脳を搭載している意味が無い。機械では成し遂げられない、精神の強さ――
≪突破する意思≫こそが私が必要とするものなのだから……」

 不可思議な言葉の羅列を告げるスカリエッティ。
 それをウーノは訊ねることはしなかった。
 そのことを告げるスカリエッティの顔は至極真面目であり、同時にそれは主自身にとって深い意味を持つ言葉だと知っていたからである。

「と、そろそろ時間ではないのかね?」

 不意にスカリエッティが呟いた言葉に、ウーノは即座に返答を返す。

「ハイ、ドクター。出発予定時刻よりあと一時間半、そろそろ準備の時間です」

「そうか。それでは準備をしなくては。ウーノ、手伝ってくれたまえ」

 当たり前のように言うスカリエッティ。
 しかし、それに答えるウーノの返事は小さかった。

「……本当に行うのですか?」

「? 当たり前だろう」

「しかし、あまりにも危険性が高すぎます。直接ドクターが出向くなど」

 そう告げようとするウーノの眼前に、スカリエッティの上げた指先が現われる。

「なに、心配はいらないさ。念のための“準備”もしている」

 ピタリと唇を塞ぐように当てたスカリエッティの指。
 そして、それに隠れた彼の笑み。

「それに」

 ニヤリと笑みを浮かべるスカリエッティ。
 それはとても楽しげで、同時にまるで子供のように無邪気な笑みだった。

「たまには私も遊びたいのだよ。不謹慎だがね」

 彼は嗤う。
 そして、向かう。

 様々な運命が重なる場所へと。
 その場所の名は――


97 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 01:47:50 ID:t+XNpMV2
その人が一番美しいとき 支援

98 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/29(火) 01:49:22 ID:aaZJvviS
 



「ホテル・アグスタ?」

 機動六課隊舎。
 その隊長室に呼び集められたスターズ及びライトニング分隊の隊長・副隊長陣は、部隊長である八神 はやてから告げられた言葉に首を捻った。

「そうや。そこで管理局の検査を通って、危険性はないと判断されたロストギアのオークションが行われる。そこの警備任務の通達が本局の方から来た」

「警備任務?」

「って……私らは機動部隊だぞ? 管轄外もいいところじゃねえか!」

 なのはが首をかしげて、ヴィータが怒声を交えながら声を荒げる。
 警備任務。
 それは機動六課としては対極に位置するようなものだった。
 機動性及び突撃性に特化したフォワード陣と砲撃魔法や高速機動戦を得意とする隊長陣、安定した実力と戦闘能力を誇る古代ベルカ騎士の副隊長二人。
 その最大に持ち味である迅速な行動力が完全に減殺され、同時に精鋭であることを求めた故の少人数。
 バランスのいい能力と対応上大人数にならなくていけない防衛任務など、機動六課にとっては不適格この上ない任務だった。

「主はやて。さしでがましいようですが、幾らなんでも我々だけで警備任務とは無理があるのでは? 幾らロストロギア関連とはいえ……」

 敬愛する主に意見するのが心苦しいのか。
 腕を組んだシグナムが、厳しい表情で告げる。

「そやね。私もそう思うわ」

「それなら、何故――」

「心配はいらへん。うちらはまあ言うなれば、オマケや」

「オマケ?」

 はやてが肩を竦めながら告げた言葉に、室内の全員が僅かに首をかしげた。


99 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 01:50:06 ID:t+XNpMV2
それ以上醜くならないように殺す 支援

100 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/29(火) 01:50:42 ID:aaZJvviS
 
「そうや。ホテル・アグスタの警備任務については地上本部の陸士108部隊が主に勤めることになっとる。名目上は協力任務やけど、主力はあちらさんや」

「陸士108部隊ということは……ナカジマ三佐の部隊ですか?」

「そうや。あの人の部隊なら私らの出番はないやね、そもそも警備任務なら向こうの十八番やし」

「なるほど」

 それならば平気か、とシグナムは思う。
 陸士108部隊。
 地上本部の中でも高ランクの魔導師と練度の高い部隊員が揃っていることが有名な部隊である。
 そして、その部隊長は特別捜査官時代のはやての指揮官としての師匠でもあり、スターズフォワードであるスバル・ナカジマの父親でもある
ゲンヤ・ナカジマ三佐が勤めている。
 タブルAAランクの陸戦魔導師であるギンガ・ナカジマも勤めるその部隊は地上本部でも屈指の部隊であるといえた。

「しかし、何故陸士108部隊が警備任務を請け負うというのに我々も協力させられるのでしょうね?」

 シグナムの純粋な疑問。
 それにはやてがビクッと肩を震わせた。

「はやてちゃん?」

「あー、この任務な……どうやら上というか、横からのごり押しみたいなんや」

「へ?」

「どこから聞きつけたのか、ホテル・アグスタのオークションに参加するお偉方さんがコネを使って、うちらに警備するようにいったらしいんよ。大事な出資者やし、機嫌を損ねるとまずいってことでそれが通らざる得なかったらしいんや」

「私達は……客寄せパンダ扱い?」

 なのはがため息を付く。
 好かれるのは嫌いじゃないし、人気があると言われて嬉しくないほどひねくれても居ない。
 けれど、こういう意味のないところで足を引っ張るような人気はいらなかった。


101 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 01:51:27 ID:t+XNpMV2
支援

102 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/29(火) 01:54:08 ID:aaZJvviS
 
「それでは、話はそれだけやないんや」

「へ?」

「シャマル」

 パチンとはやてが指を鳴らす。
 同時に音を立てて開けられる扉。

「ハイハーイ♪」

「シャマル先生?」

 そこから現われたのは機動六課の医務官であり、ヴォルケンリッターの一人である金髪の女性。シャマルがニコニコと笑みを浮かべながら立っていた。
 その手には三つのきらびやかな“衣装”が握って。

「え?」

「まさか」

 なのはとフェイトが顔を強張らせる。
 一瞬だけ向けられたシャマルの視線に、そして三つという数字に。

「あとな。これも本局の命令というかお願いなんやけど……」

 ため息。

「うちらもオークション会場に顔出ししなきゃいけないんや、“正装して”」

「さあ着替えましょー」

 ニコニコ。
 ニコニコ。
 楽しげなシャマルがドンドンと歩み寄って来て――

『ええー!!!?』


 二人の悲鳴じみた戸惑いの声が機動六課の隊舎に響き渡った。


 こうしてまた役者は集まりだす。


103 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 01:54:46 ID:fErmJRQG
このドクターアグレッシブ過ぎる支援

104 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 01:55:03 ID:t+XNpMV2
客寄せパンダ 支援

105 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 01:58:03 ID:VNgXwaGI
あー、なる支援

106 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/29(火) 01:58:18 ID:aaZJvviS
 
 空を見上げるようにして、その男は呟いた。

「――ここか」

 それはまるで岩石のような印象を与える無骨な男だった。
 頭まで覆うフードを被り、左腕を鋼鉄の装甲で覆い尽くした茶色いコートの男。
 その瞳は鋭く、されど自然に溶け込むような静けさを帯びた気配を纏った男。

「ここ、だね」

 そして、その足元でコートの裾を掴んだものが居た。
 それは少女。蒼いフードを被り、姿を隠した少女。
 鮮やかな紫色の髪をなびかせ、額に何らかの呪いを思わせる刻印を施された可憐な少女だった。
 されど、違和感がある。
 その可憐な、そう美貌とも言える美しい顔。
 そこには“感情がなかった”。
 凍りついた表情とも違う、感情が抜け落ちた幽鬼のような表情。
 それを少女は浮かべていた。

「指定された場所はここだ」

 しかし、そんな違和感を放つ少女に、男は淡々と返事を返す。

「うー、やっぱり気が進まないよ旦那ぁ」

 そこにもう一つ声がした。
 それは男の頭上に“着地した人影”から発せられた言葉。
 小人のように小さく、けれど紅色に二つに結わえられた髪は元気よく弾み、紫色の瞳がクリクリと見上げる建物を睨み付ける――少女だった。
 その背には蝙蝠を思わせる皮膜型の翼を生やし、まるで西洋に伝わる小悪魔のような特徴を備えた少女。


107 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 01:59:19 ID:t+XNpMV2
支援

108 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/29(火) 02:01:05 ID:aaZJvviS
 
「あの変態マッドの言うことを聞くのはなんか嫌だし」

 彼女は口を尖らせて、反対意見を呟く。

「仕方あるまい」

 頭の上の少女を右手でなだめながら、男は顔を見上げる。
 その暗く、沈んだ瞳で。

「“俺達に逆らう権利は無い”」

「まあ、ね」

 それは絶望の言葉。
 見えない鎖と首輪を嵌められた囚人たちの言葉。
 それに男は、そして感情の無い少女は縛られていた。

「それに」

 男は告げる。
 晴天の空でありながら、曇り空を睨み付けるような瞳で。

「なにか、嫌な予感がする」

 それは男が感じ取った気配。
 迫り来る嵐の予感。

 役者は集う。

 踊るために。


 或いは踊らされるために。


109 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 02:01:41 ID:t+XNpMV2
支援

110 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/29(火) 02:03:01 ID:aaZJvviS
 
 踊りだす。
 踊りだす。

 狂いだす。
 狂いだす。

 運命は語りだす。
 物語は交差する。

 これは始まりだ。
 これは化学反応だ。

 舞台は観客を集め出す。

 演劇を始めるために。
 ドラマを始めるために。

 さあ、始めよう。

 一世一代のドラマを。

 それは後に世間を騒がせる【ホテル・アグスタ事件】

 その始まりが今足を踏み出す。


 ”四つの思惑の元に”



 ―― To Be Next Scene SIDE 3−2




111 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 02:03:42 ID:t+XNpMV2
支援

112 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/29(火) 02:06:34 ID:aaZJvviS
投下完了です。
投下の間隔が遅くてすみません(汗)
こんな夜分まで支援ありがとうございます!

次回より本格的なホテル・アグスタ編です!
本編とは違い、機動六課に加わっていないギンガ。新しく加わる陸士108部隊という戦力。
原作とは違う動きを見せるスカリエッティ。
そして、”四番目の思惑”

これから物語は大きく動いていきます。
それぞれの登場人物が盛大に絡まりあうSIDE3。
次回から容量を大幅に増やし、お見せする予定です。

ご拝読ありがとうございました!

113 :アンリミテッド・エンドライン ◆CPytksUTvk :2008/04/29(火) 02:09:50 ID:aaZJvviS
間違えた
>To Be Next Scene SIDE 3−2
じゃなくて、To Be Next Scene SIDE 3−3
でした。
さっそく誤字だよ orz
すみません(汗)

114 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 02:13:51 ID:m5RDeOW1
ちょっと教えてくれないか?DMCって2が時系列的には一番最後って聞いたんだが違うのか?

115 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 02:18:42 ID:sPdCfQ4g
>>114
オレも2が一番最後って聞いたな。
3<1<4<2って時系列だって聞いたことがある。
マジかどうかは判らんので、間違ってたら申し訳ない

116 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 02:18:59 ID:MdkvB5tk
wikiでもDMCスレでも池

117 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 02:19:04 ID:0EnqvR17
>>114
ゲームだけだと3→1→4→2の順番
小説とかは微妙に設定の食い違いがあったりする

118 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 02:42:33 ID:JEpzgYmV
>>112
スカ博士はしゃいでるなぁwこれはいい主人公、GJでした


119 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 03:15:23 ID:qrWPU7gj
それにしても今日は何の祭りだ。
大空襲並みの投下爆撃の嵐だったぞ
おかげで感想がおっつかないwww

120 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 03:24:51 ID:VNgXwaGI
追いつかない感想。そんな時は一応ウロス?

121 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 03:48:44 ID:ZkJNFFyy
>>112
GJ!
なんというセクハラ肉体派Dr.ww

122 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 08:05:53 ID:xTSE3w3L
どうも新レス及びに職人の皆さん乙です。
いきなりですが、午後の9時半頃に投下を予約しておきたいのですが、よろしいでしょうか?

123 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 08:08:10 ID:OfzI9Gcr
>>122
元ネタとコテトリくらいはさらした方がいいよ

124 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 08:14:10 ID:johqbYRf
ライダー氏が追放…何てこった!

125 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 08:18:03 ID:e5ay31yq
本人乙と言うべきか

126 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 08:25:32 ID:vLpppxf7
勝手な一発ネタを投下
某所でAIの話が出て思いついた
無茶なのは承知……

127 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 08:29:48 ID:vLpppxf7
反管理局勢力を掃討中、突如暴走し、なのはによって破壊されたケーニヒス・クレーテ「トマス」。
地上世界で破壊される寸前、それから発信された断末魔の叫びの如く次元をかけ巡り、
そのデータはミッドチルダの月の一つに配備されていたケーニヒス・クレーテ「マティア」が受信する。
……受信した「マティア」は消息を絶った。指揮下の無人兵器部隊を、そして一個降下猟兵大隊を率いて……。
その後、ミッドチルダ全域を反応弾が同時多発的に襲う。
有り得ない質量兵器の嵐によって大小関係なく都市等が焼き尽くされ、崩壊して行くミッドチルダ政府と管理局のシステム。

128 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/04/29(火) 08:33:52 ID:xTSE3w3L
>>123
すみません、投下するのは先日言ってたグラヴィオンStrikerSの番外編です。
サンドマンたちを出したいので・・・。
それと勝手ながらトリップは少し変更しました。

129 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 08:34:17 ID:vLpppxf7
聖王教会の予言はJ・S事件ではなくこれを予言していたのだった……。
「プルート」とは?「ケルベロス」とは?引き金を引いた「ジェリカンおじさん」とは?そして現れた彼を追う二人の少女……。
ミッドチルダの封印された過去、そして現在が今、解き放たれ牙を剥く!!
再び集った13人の戦闘機人、それを見守る一人の管理局員……。
彼女達は正義の為、自身の為、創造主の為、各々が思いは違えど共に悪夢とかした月へと向かう……。
彼女達はミッドチルダの悪夢を終わらせることが出来るのか?

各々の思いを胸にリリカル・クリーガー、始まります……。

130 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 08:38:55 ID:vLpppxf7
……始まる筈は無い。幾ら何でもクロス出来そうには無いwww
守備範囲の広さに定評のあるなのはスレ住人と言えど判る人居るかな?

131 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 08:57:37 ID:YNoC5rRV
>>130
とりあえず元ネタ書いてくれ
まとめる時大変だから

132 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 09:39:19 ID:vLpppxf7
クロスネタはマシーネンクリガーな。ストーリーは無きに等しい話だが……

携帯だとまとめには自分で入れられないんだよな……

133 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 09:42:50 ID:FzzcumXs
>>判る人居るかな?

楽しいのは自分だけですね、わかります
熊先生張るの面倒くさいのでAA省略

134 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 12:28:29 ID:MvhQg/Bn
>>113
GJ!!です。
ノーヴェはシューティングアーツを自分に最適化できていないのか、
次回のホテル戦がどうなるか楽しみです。

135 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 13:37:50 ID:UItZdpr6
GJ普通の人はノーヴェと同じ先入観スカさんに持つよなあ。
人手不足の状況でこういう人員配置は不測の事態の可能性がある以外は
宣伝にしかならない。

136 :一尉:2008/04/29(火) 15:12:05 ID:STl00z3U
支援たな。

137 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 15:26:29 ID:+2EA/6ig
告死天使さんとか連れて来て見たいなあ

138 :THE OPERATION LYRICAL:2008/04/29(火) 16:57:14 ID:Y4VmhdN+
<<こちらオメガ11、イジェクトしたいがOKだろうか?>>

139 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 17:03:28 ID:lSST4UD6
>>138
準備は完了している。心置きなくイジェクトしてくれ。

140 :THE OPERATION LYRICAL:2008/04/29(火) 17:06:20 ID:Y4VmhdN+
ではオメガ11、イジェークト!

ACE COMBAT04 THE OPERATION LYRICAL


第7話 Mobius1VS Stars4


鷹は地面に降りた―だが、決して無能になった訳ではない。


「はい、出来ました」
そう言って、シャリオがメビウス1に手渡したのは魔力が格納された二つの拳銃用のマガジン。
「ありがとう―すまないな、急に頼んで」
マガジンを受け取ったメビウス1はその出来を確かめるように手にしていた九ミリ拳銃にもともと入っていたマガジンを抜き取り、新たな
それを入れる。カシンッと小気味のよい機械音がして、マガジンはしっかりと拳銃に収まった。
「けど、急にどうしたんですか?いきなり予備のマガジン作ってくれなんて」
そもそもメビウス1の九ミリ拳銃は彼がもともと所有していたISAF空軍正式品のものをF-22の改修に合わせて改良したものだ。彼は礼を言
いつつも、「実際使うことはあんまりないだろう」と言っていた。パイロットの持つ拳銃など自衛及び自決用だそうだ。
それが今朝になって突然、メビウス1が自分の仕事場にやって来て「大至急拳銃の予備マガジンを作ってくれ」と頼んできた。これではシ
ャリオが怪訝に思うのは無理もない。
「いや、まぁ…やっぱり予備の弾はあるに越したことはないだろ?」
「それはごもっともですけどね―そうだ」
なんとなくお茶を濁したようなメビウス1の回答に適当に頷きつつ、シャリオは何か思いついたようだ。
「メビウスさんの拳銃、カスタマイズしましょうか」
「カスタマイズって…出来るのか?」
確かにシャリオは技術者として非常に優秀なのはメビウス1も理解している。だが、果たして拳銃の改造など可能なのだろうか。
彼女がガンスミスと呼ばれる銃改造のスペシャリストなら納得できるが、とてもそんな風には見えなかった。
「ふっふっふ―休憩時間に八神部隊長がやってるゲームを見せてもらいまして。それから最近ずーっと銃器の勉強してるんですよ」
「ああ―」
メビウス1もそのゲームのことは知っていた。従来のゲームとは違う、敵を倒すのではなく敵から隠れながら進むというステルス・アクシ
ョンゲームだ。ゲームシステムもさることながら緻密でリアルなシナリオに細部までとことんこだわった兵器の描写が人気らしい。
「だから!ちょっとメビウスさんの拳銃、カスタマイズさせてください」
「あ…ああ、頼む」
なんとなく、シャリオから異様な威圧感を感じたメビウス1は素直に拳銃を渡す。
たかが拳銃とはいえ官給品、言ってしまえば国民の血税で出来たものを勝手に改造するのは少し気が引けたが、今のシャリオには何を言っ
ても通用しない気がした。
「それでは、メビウスさん…」
「う、うん?」
「早速作業に入るのでしばらくお待ちください」
そう言って、彼女は部屋の奥へと消えていった。
待っている間、メビウス1は今夜の"対決"のことを考えることにした。
―はっきり言って、火力は負けてるよな。射撃の精度だって、いいとこ互角だろうし。どうにかして火力を封じ込まないと。
対戦相手は二丁の拳銃型デバイスを使いこなす若き銃士。拳銃の片手撃ちなどその命中率はベテランでない限りたかが知れているが、彼女
は例外だ。片手撃ちで普通の兵士の両手撃ちを圧倒する命中精度を叩き出している。
おまけに、実際に目にした事はないが彼女は今では数少ない幻術を使えるらしい。下手に攻撃を仕掛けて実は偽者で、後ろからズドンとや
られるのはたまったものではない。
「ここは、ペン型拳銃とかで意表を突いて―ダメだ、森の中でペンなんぞ何の意味もない」
馬鹿な考えが浮かんできて、メビウス1は自己嫌悪しながらそれを否定。
「ならば蛇型拳銃か!巨大蛇と格闘していると見せかけて―芝居が凝り過ぎだな」
ため息が出た。何故こうもさっきから馬鹿な発想しか出来ないのだろう。蛇型拳銃はアタッシュケース入りの組み立て式まで考えていたの
に―ああ、また馬鹿な考えが浮かんできた。と言うか、巨大蛇が六課の敷地内に住み着いていたらそっちの方が危険である。
あーでもないこーでもないとお馬鹿な発想を繰り返し、その度にメビウス1は自己嫌悪。こいつは本当にISAF空軍のエースなのだろうか。

141 :THE OPERATION LYRICAL:2008/04/29(火) 17:08:04 ID:Y4VmhdN+
「出来ましたー」
そんなこんなで、シャリオが戻ってきた。手には九ミリ拳銃。カスタマイズしたと言う割りにあまり見た目は変わっていないようだった。
「ああ、ありがとう―具体的に、どんなカスタマイズを?」
「それは、触ってみてのお楽しみです」
意味深な笑顔を浮かべて、シャリオは九ミリ拳銃をメビウス1に渡す。
九ミリ拳銃を手にした瞬間―メビウス1の眼がかっと見開かれた。
「こ―これは!?」
「気に入りました?」
驚愕するメビウス1を見て、シャリオは得意げな笑顔。
「鏡のように磨き上げられたフィーディングランプ…強化スライドだ。さらにフレームとの組み合わせをタイトにして、精度を上げてある。
サイトシステムもオリジナル…サムセフティも指をかけやすいよう延長してある。リングハンマーに、ハイグリップ用に付け根を削りこん
だトリガーガード―それだけじゃない、ほぼすべてのパーツが、入念に吟味されカスタム化されている!」
色々小難しい専門用語を並べて、メビウス1はシャリオによってカスタマイズされた九ミリ拳銃を大絶賛。とりあえず要は「とにかく凄い
凝った作りになっている」と思ってもらえばそれでいい。
これなら今日勝てるかもしれない。そんな希望さえ芽生えた矢先、メビウス1がマガジンを抜いてから引き金を引くと―銃口から火が出た。
火を噴いたのではない。火が出たのだ。ライターと同レベルの火力である。
一瞬思考が完全に停止し、放心状態のメビウス1ははっと我に返りシャリオに詰め寄る。
「おい、これは何のギャグだ」
「ご、ごめんなさい。それ今度の宴会芸用の奴で―間違えちゃいました、テヘ」
舌を出して可愛らしく笑みを浮かべるシャリオの顔が最高に憎たらしく見えたのは錯覚ではないはずだ。

「はーい、それじゃ今日の訓練はこれでお終い!」
この日も厳しい訓練が終わった。だが、内容はみんな基礎的なものばかりだ。ティアナはこれで本当に強くなっているのか、いまいち実感
が沸かなかった。
なのはの声でティアナを含む新人フォワード部隊は残り少ない体力で走り、整列して姿勢を正した。
「うん、みんないい調子に技量が上がってきたね。特にティアナは、今日はなんだか鬼気迫るものがあったよ」
「いえ―まだまだ、です」
荒い息を整えながら、ティアナは言った。本心からの言葉だった。
「向上心があるのはいいことだな。けど、ちゃんと休める時は休めよ?お前昨日も遅くまで自主訓練をやっていたそうじゃないか」
途中から訓練に参加したヴィータの言葉に、ティアナは内心顔をしかめたい気分になった。
昨日の自主練のことを話したのはスバル、エリオ、キャロだけ。あと知っているのはメビウス1だが、おそらくヴィータは彼から聞いたの
だろう。
「はい、大丈夫です。昨日はちょっと、寝付けなかっただけなので」
「そうか?ならいいが―」
―まったく、余計なことをするわね。
言葉とは裏腹に、ティアナは昨夜から抱いている闘志の炎がますます燃え上がるような気がした。
「―ともかく、みんなお疲れ様。ヴィータ副隊長の言うとおり、しっかり休んでね」
なのはの解散の指示。だが、彼女の視線は今自分に向けられていなかっただろうか。ヴィータも聞いているなら、確かになのはも昨日ティ
アナが自主練していたことを知っていてもおかしくはない。
―頑張って。メビウスさんは戦闘機に乗ってなくても、たぶん手ごわいよ?
「え?」
突然頭の中になのはの声が響いてきて、思わずティアナはなのはを見た。
「どうしたの、ティアナ?」
首をかしげているが、確実に今の念話はなのはからだ。ところが彼女は表情を変えない。
そういうこと、とティアナは何故だか久しぶりの微笑を浮かべ、なのはと向き合う。

142 :THE OPERATION LYRICAL:2008/04/29(火) 17:09:15 ID:Y4VmhdN+
「絶対に負けません」
「あれ〜、何のことかな?」
あくまでもとぼけて見せるなのは。ティアナはそんな優しいエールを送ってくれた上官に一礼して、決闘の地へと向かった。
「…なぁ、ホントによかったのか?」
遠ざかっていくティアナの背中を見ながら、ヴィータが言った。
「ヴィータちゃん、知ってる?メビウスさんって、元の世界じゃ右に出る者がいないくらい、凄腕のエースパイロットだったそうだよ」
「地面にいるときは全然そんな風に見えねぇがなぁ」
ごもっともなヴィータの意見になのはは思わず苦笑い。
「で、それがどうしたんだ」
「ティアナは自分に自信が持てない―でも、生身とはいえエースパイロットに勝てたら、それが自信になると思う。だからメビウスさんと
の模擬戦を許可したんだ」
「ふぅん…でもメビウスがあんまり呆気なくやられたら今度はあいつの立場が無いぞ」
「大丈夫だよ、たぶん」
あくまでも気楽な考えを通して、なのはは呟く。
「鋭い爪や嘴を持った鷹は、地面に降りても結構強いよ―だから負けないでね、ティアナ」

日が落ちかけている六課の敷地内の森。
メビウス1は、木に体重を預けてティアナを待っていた。その間、彼の手はさながらガンマンのように九ミリ拳銃を弄んでいた。
「いけねっ」
ガチャンッと金属音が響く。腰のバックアップに引っ掛けていた予備マガジンが落ちてしまった。固定が甘かったのかもしれない。
落ちたマガジンを拾おうと身を屈めた時、後ろに気配を感じて振り返る。バリアジャケットを展開していたティアナが、そこにあった。
「装備はちゃんと身につけた方がいいですよ」
「ああ、まったくだな」
彼女の言葉に同意しながら、メビウス1はマガジンを拾い腰のバックアップに改めて引っ掛ける。
「さて―準備はもういいのか?皆に別れの挨拶はしてきたか?」
「いいえ。普通にまた明日って、言ってきました」
メビウス1が勝てばティアナは六課を去る―今回の模擬戦のルールのことを言ってみたが、ティアナはとことん強気な姿勢だった。
「いいだろう―交戦規定は唯一つだ。相手が降参するまで撃つ」
ホルスターから九ミリ拳銃のカスタムを引き抜き、メビウス1は静かに言った。
「私が勝ったら、本当に好きにさせてもらっていいんですね?」
「ああ。俺は何も言わない」
ティアナもクロス・ミラージュを待機モードを解除させ、両手に構える。瞳は闘志で輝いていた。
―ああ、頼むからそんな眼しないでくれ。
内心もう帰りたいメビウス1だったが、言いだしっぺは自分だ。ポーカーフェイスを気取って、身構える。
パイロットのメビウス1が彼女に勝っている点と言えば、戦闘機乗りとして養われた眼のよさと実戦経験の豊富さだろうか。特に後者はテ
ィアナはメビウス1の足元に及ばない。もっとも、地上戦と空中戦では異質な部分も多い。
だがメビウス1も死線を幾度となく潜り抜けてきた。ただでやられるつもりは、無い。
「―来な、小娘。"リボン付き"が相手してやる!」
「手加減はしませんよ!」

143 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 17:09:43 ID:e9OLMLgT
支援

144 :THE OPERATION LYRICAL:2008/04/29(火) 17:10:52 ID:Y4VmhdN+
互いに銃口を向け合い、引き金を引く。二つの銃声が、森の中に木霊した。
魔力弾の交差。お互いの放った弾は数ミリのところで外れた。
「!」
メビウス1は背筋に冷たいものを感じながら、横に飛んで森の中へと逃げ込む。
ティアナはすぐに撃ち返して来ると思っていたため一瞬呆気に取られたが、即座に頭を切り替えてメビウス1が逃げた方向に魔力弾を叩き
込む。だが手応えは感じられなかった。
「っち」
露骨な舌打ちをして、このまま追うべきか彼女は迷う。
森の中は視界が悪く、障害物となる木が多いためせっかくメビウス1よりはるかに高い火力が生かせなくなる。
―少しでもこっちのアドバンテージを減らそうってことね。
地形を生かして戦うのは戦術としては初歩的だが効果的でもある。ティアナはなのはの言うとおり、ただで勝てる相手ではないことを悟っ
た。
「…っ!」
視界の隅で走った発砲炎を、彼女は見逃さなかった。すんでのところで身をよじって飛んできた銃弾を回避。直ちにありったけの魔力弾を
送り込む。
一方、奇襲を仕掛けたメビウス1は彼女のすばやい反応に驚き、直後に叩き込まれてきた魔力弾の群れをどうにか木に身を寄せてやり過ご
した。
―くそ、うまく行くと思ったんだが。それにしても一発撃ったら五発くらいの勢いで返ってきやがる。
火力の差は歴然だ。しかもこちらはカスタムされたとは言え元がごく普通の九ミリ拳銃だ。扱いやすくはあるが、何のサポートもしてくれ
ない。対してティアナのクロス・ミラージュは高度なデバイスであるから、通常の射撃でさえサポートが入る。レシプロ機でジェット機に
喧嘩を売っているようなものだ。
メビウス1は匍匐前進でゆっくり、音を立てないようにティアナの後ろに回り込もうとする。
「―逃げてないで、出てきたらどうですか!?あんな大口叩いておいて!」
ティアナの挑発するような声が聞こえてきた。
―逃げているんじゃない。今ちょっと策を練っているのさ。
胸のうちで返答しながらメビウス1は匍匐前進を続ける。ちらりと視線を上げると、ティアナの背中が見えた。
「もらった―!」
立ち上がり、拳銃の引き金を引く。銃声が響いて、魔力弾がティアナの背中に迫り―突き抜けていった。
「何…うお!?」
直後に側面から魔力弾がいくつも飛んできた。たまらず、メビウス1は木に身を隠すが魔力弾は鼻先数センチのところをかすめ飛んでいく。
おそらくアレは彼女の得意な幻術だ。分身を囮にメビウス1を誘い出し、出てきたところを滅多撃ちにする。
こんなの初歩的な戦術じゃないか、俺は何やってんだ―。
自分を情けなく思いながら、木の影から拳銃の銃口だけ突き出してティアナのいると思しき方向に適当に撃ち込む。ただちにその五倍の数
で魔力弾が返ってきた。
「ホントに手加減抜きかよ、洒落にならん…」
顔をしかめて、メビウス1は思い切って木の影から飛び出す。それを待ち構えていたように、ティアナは銃口を向けてきた。
互いに横に移動しながら銃撃戦。当たっていないのが不思議なくらい、多数の魔力弾が交差する。
「痛っ!」
その時、偶然にもメビウス1の撃った魔力弾がティアナの右肩に当たった。同時に銃撃も止む。
「―運も実力のうちってね。今度こそ!」
メビウス1は止めを刺すべく引き金を引く―だが、響いたのは銃声ではなく軽い金属音だけ。弾切れだった。
「ホント、運も実力のうちですね…!」
ティアナは無事な左手のクロス・ミラージュを構えて引き金を引く。機関銃の如く大量の魔力弾がメビウス1に浴びせられ、彼は後退。
「装弾数は身体で覚えないとダメですよ」
「まったくもって!」
逃げるメビウス1の背中に向けて容赦なく魔力弾を撃つ。だが彼はそうされるのを想定してかわざと木が多い場所に向かって走っていく。
放った魔力弾のほとんどは木の枝や幹に当たって、散ってしまった。

145 :THE OPERATION LYRICAL:2008/04/29(火) 17:12:03 ID:Y4VmhdN+
とは言え後ろから撃たれるメビウス1はあまり気分のいいものではない。銃声が止んだと同時に適当な茂みに身を隠して、マガジンを交換。
これで予備のマガジンはあと一つ。長期戦は不利だな―。
と言って、正面から無謀な突撃をやっても火力で圧倒されるのが落ちだろう。先ほどの銃撃戦は本当にただ偶然に過ぎない。
落ち着け、今までの戦いで何か参考になることはないか―?
脳裏によみがえってくるのは辛く長かったユージア大陸での戦い。その中で、一つの戦いが彼の眼に止まった。
巨大レールガン"ストーンヘンジ"の攻撃作戦。ストーンヘンジはもともと隕石迎撃用に開発されただけあって、長大な射程と強力な火力に
より高度二〇〇〇フィート以上の航空機を叩き落すほどの威力を持つ。これでエルジアは大陸の空を支配していたのだ。
だが、弱点があった。低空を高速で機動し、進路の予測が困難な少数の戦闘機には射撃管制が対応しきれない。メビウス1はその点を突い
てストーンヘンジに接近、破壊に成功した。
要するに撃てない状況を作ればいいんだな―。
メビウス1は自分の装備や辺りを確認し、手段を模索する。その手段は案外簡単に見つかった。
あとは、向こうがこっちに接近してくれればいいんだが―。
右手に拳銃、左手に一筋の砂を掴み、メビウス1は息を潜めてティアナの接近を待つ。
やがて、痺れを切らしたのかティアナが森の中へ入ってきた。彼女もこのままでは埒が明かないと踏んで、危険な接近戦を挑むことにした。
大丈夫、火力では勝ってるから発見次第滅多撃ちにすればいい―。
最大限の注意を払いながら、ティアナは一歩一歩足を進める。その時彼女は見つけてしまった。茂みの中で、不自然な黒い塊がある。
―あれね。隠れたつもりなんでしょうけど、見え見えよ。
メビウス1もティアナが近づいてくるのを確認。心臓の鼓動が、爆発的に早くなった気がした。
―いいぞ、もっと近づいて来い。
ティアナがクロス・ミラージュを構えるのとメビウス1が跳ね起きるのは、ほぼ同時だったかもしれない。
引き金を引こうとして、ティアナはメビウス1が左手に何かを握っていることに気づく。
あっと思った時にはもう手遅れだった。彼女の整った顔立ちに砂が叩きつけられ、視界を奪われた。
「う!?」
「終わりだ」
メビウス1は拳銃を構え、引き金を引く。銃声とともに放たれた魔力弾は、ティアナに直撃する―はずだった。
視界を奪われた瞬間、ティアナは攻撃されることを読んだ。即座に身を屈めて、魔力弾をぎりぎりのところで回避。そのまま銃声のした方
向に向かって、クロス・ミラージュを撃ちまくった。
「でぇええやぁあああー!」
目は見えていない。だが咆哮と共に放った多数の魔力弾は確実にメビウス1を射線上に捉えていた。
―これは、避けきれんな。
降り注ぐ魔力弾が着弾する寸前、メビウス1の脳裏によぎった言葉は、それだけだった。
次の瞬間全身に衝撃が走り、彼は地面に叩きつけられた。

146 :THE OPERATION LYRICAL:2008/04/29(火) 17:13:09 ID:Y4VmhdN+
「イッテェ〜…」
ズキズキと痛む痣が、意識を取り戻したメビウス1を苦しめていた。
もっとも、目に当たらなかっただけマシかもしれない。パイロットにとって目は命も同然だ。
「畜生、目くらでこれだけ当てておいて何が凡人だ…イテテテ」
「…勝負は、あたしの勝ちですね?」
バックパックに入れてきたのか、救急キットを展開させながら引き続き苦しむメビウス1にティアナは確認するように言った。
「ああ、もうお前の勝ちだよ勝ち。もうそれでいいよ」
「―ずいぶん投げやりなんですね。そんなに痛むんですか?」
情けないものでも見るような眼で、ティアナは救急キットの消毒液を取り出すとメビウス1の傷に塗りつけてあげた。
「魔力弾って非殺傷設定でもこんなに痛いもんなのか…」
「ええ、まあ…当たりどころも悪かったようですね」
「まったくだ…しかし、これで俺はお前に何も言えなくなった訳だ。喜べ、好きにしていいぞ」
消毒液を塗った箇所に絆創膏を貼りながら、メビウス1は言った。
―そういえば、あたしが勝ったらそういうことになるんだったっけ。
勝負に意識を集中するあまり、ティアナは完全に忘れていた。
「メビウスさん…一つ聞いていいですか?"リボン付き"ってなんです、元の世界でのあだ名ですか?」
落ち着きを取り戻して、ティアナは戦いの前にメビウス1の言った言葉について尋ねた。
「ああ、あれな―リボン付きってのは敵からのあだ名だ」
「敵…から?」
「うむ―いつの間にか、そういう風に呼ばれて敵からは死神扱いだ。味方からは"嘘でもいいからメビウス1が来てると言っとけ"なんて言
われるくらい引っ張りダコ。下手に戦果上げるもんじゃねぇな」
敵から死神扱いって―それって非常に恐れられていたと言うこと?
ティアナの中で、初めてメビウス1に興味が湧いた。
「メビウスさんって、そんな凄い腕だったんですか?」
「まぁ技量に自信はあるが―やっぱ地面じゃ上手くいかんな」
自嘲気味な苦笑いを浮かべて、メビウス1は拳銃のマガジンを引き抜いた。もう、使うことはない。と言うより使いたくないのが彼の本音だ。
「とは言え、"リボン付き"に勝ったのはお前が二人目だ」
生身ではあるが、と付け加えて彼は言った。その言葉に、ティアナははっとなる。
「勝ったって…え?あたしが二人目?」
「一人目は黄色の13って凄腕のパイロット。お前が二人目だ、自信に思っていい」
そう言って、メビウス1はティアナの肩を叩いた。
―勝った。あたしは、この人に勝った。
ティアナの胸のうちで、ようやく勝利と言う実感が湧き上がってきた。
実際に彼女がメビウス1のユージア大陸で上げた戦果を見れば腰を抜かすに違いない。また地上と言うメビウス1にとって不慣れな状況で勝てた
のは当然であり、それを自信と呼ぶのは少し傲慢かもしれない。
それでも勝利は勝利だ。これは疑いようもない。
「さて…俺は帰るぞ。痛くてかなわん」
一通りの治療を終えたメビウス1は救急キットを収納して、やたら辛そうに立ち上がる。
「あの…メビウスさん!」
「ん?」
立ち去ろうとするメビウス1を、ティアナは呼び止めた。
「…自信にしていいんですね、本当に」
「ああ―いいと思う。"リボン付き"に勝った史上二人目の人間ってな」
それだけ言って、メビウス1は森から抜け出していった。
残ったティアナはしばらく虚空を見つめ―よしっと力強く頷いて、自分も帰ることにした。

その日からと言うもの、ティアナは常に自信を持って訓練に臨むようになった。
自主練もほどほどになり、休息もしっかり取ってますます訓練に磨きがかかる。
「ねぇー、ティア。最近すこぶる調子がいいけど、なんかあったの?」
訓練の間際、スバルが尋ねてくる。ティアナは少しの逡巡の後、こう言った。
「別に―リボン付きに勝っただけよ」
「…へ?」
意味がまったく分からない、と言った表情を浮かべるスバルを尻目に、今日もティアナは銃口を訓練標的に向ける。
―質量兵器は今でも認めない。けど、それも扱う人次第なのかもしれない。
メビウス1に抱いていた黒い感情は、すでに消え去りつつあった。

147 :THE OPERATION LYRICAL:2008/04/29(火) 17:14:12 ID:Y4VmhdN+
投下終了。
冒頭のはアレです、MGS3が元ネタです。

148 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 17:48:43 ID:OACTFRVT
MOBIUSが地上戦・・・
レアな物を見た気がする
でもやっぱりMOBIUSの真価は空だな
ところでSKY EYEはどうするんだろ

149 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/04/29(火) 18:26:16 ID:F9cYnIOB
30分から、なのはMissing二話を投下したいのですが
よろしいでしょうか?

150 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/04/29(火) 18:31:21 ID:F9cYnIOB
時間なんで、投下します。

魔法少女リリカルなのはMissing

第二話 前編

 村神俊也が機動六課隊舎内の医務室で眠っている時、陸士108部隊の部隊寮では、一人の少女が目を覚ましていた。



 ガバッ、と。
ギンガ・ナカジマは物凄い勢いでベッドから起き上がった。

「っ!?」

 腰まで伸びた、長く青い髪を振り乱すように、そのまま勢いよくシーツを退かすと、自分の身体を確認する。
着ている服は、いつも寝巻き代わりに使用しているYシャツではなく、昨夜の最後の記憶と同じ、管理局の制服だった。

「…………」

そっと自分の頬を触れると、急な動きで僅かに熱を帯びていたが何てことのない、普通の頬だった。

「…夢……?」

 ホッと安心して、

『おはよう、ギンガさん』
「ひえぇぇっ!?」

突然頭に語りかけてきた少女の声に、ギンガは悲鳴を上げて飛び上がった。
間違いなく念話ではない。いくら寝起きでいきなり使われたからといって、使い慣れている念話でここまで驚いたりしない。

「だ、誰!? っていうかどこ!?」
『うーん、どこと言われても困るんだけど…じゃあとりあえず鏡見てもらえるかな?』
「か、鏡?」

何の関係があるのかと、部屋に置いてある、出掛ける前には必ず見る鏡まで近づき、覗き込むと、

『おはよう、ギンガさん』

肩口まで伸ばした茶がかった髪の少女が、今度こそはとばかりに挨拶してきた。にこやかに笑って手を振る鏡の少女の口は動いていたが、声は変わらず頭に響いている。


151 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/04/29(火) 18:32:25 ID:F9cYnIOB

「…お、おはようございます……」

 あまりのことに何も言えず、それでも何かを言おうとして、出てきたのはそんな言葉だった。

「……な、何でそんなところに…?」

意味不明の状況に、ギンガは思わずそう言う。

『ふふふ、やっとゆっくり話せるね。さっきまで退屈だったんだよ?』

ギンガの問いを無視して、鏡に映っている少女は愉快そうに微笑んでいた。
 そのあまりにも純粋で、邪気のない笑顔には見覚えがあった。

(この子……昨日の…?)

昨晩自分の前に現れた、首から血を流して迫って来た少女は、目の前の鏡にいる少女ではなかったか?
 名前は、十叶詠子。
 それを思い出して、ギンガは首を傾げる。

(…何で私、この子の名前知ってるんだろう?)

 そう言えば、昨夜意識を失う寸前には、既にこの少女の名前を知っていたような気がした。
今、鏡の中の十叶詠子は首から出血などしていない。もししていたらもう一度おやすみなさいだ。さすがにそんな状態の少女と、朝の挨拶を交わせるような神経はギンガにはない。

「えーと、あなたは…一体…?」

何もかも分からないことだらけであったが、とりあえずギンガはこれ以上状況が混乱しないように、少女に話しかけることにした。
だが、

『あ、駄目だよ。挨拶しなきゃ』
「……は?」

早々に状況が混乱するようなことを言われた。

『あのね、朝起きたらみんなに挨拶するのが普通でしょ?』
「あ…はぁ……、いやでもさっき」
『私だけじゃなくて』

詠子は、物分かりの悪い生徒に根気よく教える教師を思わせる口調で、

『みんなに』

ギンガの後ろを指差して、言った。


152 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/04/29(火) 18:33:07 ID:F9cYnIOB
訳がわからず、その指に釣られるように後ろを振り向いたギンガは、

「んなぁぁぁ!?」

叫ばずにはいられなかった
薄っぺらい人が、そこにいた。
別にこれは、判断力や人柄において一般人より劣っていることを示す、いわゆる「薄っぺら」な人間がそこに立っていたという描写では断じてない。
 文字通り、紙のようにぺらぺらの人型が立っていたのだ。
 何を訳の分からないことを言っているのかと思っているのだろうが、今最も何も分かってないのはギンガである。
 彼女は今、この世界の誰よりも怪異≠フ深い場所に踏み込まされていた。

『おはよう、ぺらぺらさん』

頭の中から平然とした詠子の声がして、薄っぺらい人……ぺらぺらさんはそれに答えるようにぺらぺらと鏡の中の詠子に手を振る。
 と、突然ぺらぺらさんは動きを止め、ギンガの方を(おそらく)見た。
 それはまるで、「お前誰?」と聞いているようだった。
『ほらギンガさん、挨拶』
ぼそりと、詠子がささやく。
ハッとして、ギンガは正気に返る。いや、もうそれは正気から離れつつあるものだったが……、とにかく彼女は正気に還った。

「は、初めまして! わ、私はギンガ・ナカジマと言います。よろしくお願いします! あ、後おはようございます!」

つっかえながらも、ギンガはぺらぺらさんにそう言った。
ぺらぺらさんは納得したように(おそらく)頷き、先程と同じようにぺらぺらと手を振った。

(は、話はちゃんと通じるみたいね…?)

どうにかなりそうだったギンガの理性は、ようやく安堵出来る事実に出会い、何とか保たれた。

『まだだよギンガさん』

だが次の詠子の言葉で、ギンガの頭は真っ白になった。

『ちゃんと、みんなに、挨拶しないと』

ギンガは気付く。
今まで何とも思わず使っていたこの部屋が、とっくにソレら≠フ住み処になっていたことを。
枕元に置いてあるクマのぬいぐるみの中から、何か≠ェ這い出て来そうな感覚を覚えた。
ベッドと床の隙間から、じっと部屋の中を見ている目があった。
棚の引き出しの中から、ガサゴソと、虫のうごめく音が聞こえた。

「っ!?」
『さぁ、ギンガさん? みんなに挨拶しなきゃ』

少女の声はどこよりも近い頭の中からしているのに、どこか遠くで響いているような気がした。


153 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/04/29(火) 18:33:38 ID:F9cYnIOB



十数分後、ギンガは膝を笑わせながらも、壁に手を付きながら廊下を歩いていた。
 早朝の部隊寮の廊下は明かりはついているものの、まだ多くの局員が眠っているのか、静かで、人の気配が皆無であった。
状況が状況だったせいでついさっきまで気付かなかったが、まだ出勤時間まで数時間は余裕がある。昨晩の帰宅時間を考えると、睡眠時間は三時間も取れていない。
 もっとも、それで倒れるようなヤワな身体ではないが…。
 昨日逃したシャワーを浴びたかったが、今は一秒でもあの部屋にいたくなかった。
 自室である以上、いつかは戻らなくてはならないと分かってはいるが、今だけは御免である。
 とにかく今は外の空気を吸いたかった。

「……それで…」

 溢れでた冷や汗が、緩めた制服の襟元から服の中に入ってくる。それを不快に感じながら、頭の中の少女に話し掛ける。

「…それで、あなたは何者なんですか……?」

本当はこんな会話をするような気力はないのだが、今の状況を説明できるのはこの少女だけだ。
 話すことは決して無意味ではないはずだ。
 それに、

「……っ!」

手を付いていた壁に、鏡が設置されていた。そこに映るのは自分ではない顔とその背後の世界、そして数匹の金魚の姿……、

「この…!」

 それに気付いた時、反射的にギンガはその鏡を叩き割っていた。

(……あ…)

しまったと思った時には、耳障りな音と共に破片が飛び散り、それと一緒に金魚…人間の目をした明らかに不自然な金魚達も床に投げ出される。

(…だ、大丈夫……?)

不安に思いながらそれらを見ていたが、特に金魚達からの反撃はなく、次第にそれの柔らかそうな肉は溶けるように歪んでいった。
 身体を硬直させていたギンガは、それを見てホッと息を吐いた。

「……もう、脅かさないでよ…」

自室から出ても、何度かこんなことは起きた。どうやらこういう@゙の存在はどこにでもいるものらしい。
 視界のあちこちにそういうモノ≠ェ映る中、詠子との会話は気を紛らすものとして確かに作用していた。



154 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/04/29(火) 18:34:24 ID:F9cYnIOB
『酷いことするなぁ、こんな可愛い金魚さん達に』
「もう一度聞きます……あなたは一体、何者なんですか…!?」

 のんびりした調子でそんなことを言う詠子に、再び歩き出したギンガは問う。

『私は魔女≠セよ?』

 何が嬉しいのか、相変わらず笑みの絶えない表情で詠子は答えた。

「……魔女…? フリーの魔導師ということですか?」

 日常においてあまり使われないその言葉に、ギンガは首を傾げた。
 魔法が普通に存在するミッドチルダでは、魔法使いは基本的に「魔導師」と呼ばれる。
 それに、十叶詠子という名前の局員は聞いたことがなかった。
別にギンガは全ての管理局員の名前を知っている訳ではないが、管理外世界の人間は珍しいので大抵目立つ。
にも関わらず知らないということは、管理局とは関係のない位置にいる魔導師なのだとギンガは思った。
 魔女というのは、その業界でのみ通じる彼女の通り名か何かなのだろう。
 しかし、

『違うよ、魔女≠セよ』
「……はい?」

返ったのは否定の答え。当然、ギンガには意味が分からない。

『そう、魔女=B私は魔法は使えないし、空も飛べないし、猫と話すことも出来ない』

 だがそんなギンガに構わず、詠子はそう言った。

『それでも、私は魔女≠ネんだな』
「…………」

 何故だろう?
 詠子の言葉は全く理解出来ないもののはずなのに、それを聞いた時、ギンガが感じたのは納得と、共感だった。

「…そうですか……」

 だから、それ以上追求することは何となく気が引けて、ギンガは言ったのはそれだけだった。

「それで、あなたは何故私の……うん…?」

その時、寮の玄関が見えてきて、ギンガは思わず立ち止まった。
ロビーには数人の局員がいた。
自分と同じように、早めに起きて目が冴えてしまったのか、そこら辺の理由は知らないが、とにかく端のソファーに腰かけて彼らは談笑していた。
そしてその中の誰も、一瞬足りともギンガには目も向けなかったのだ。

「ちょっと…」
『…あ、ちょっとギンガさん?』

声をかけようとしたギンガに、詠子の静止がかかった。


155 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/04/29(火) 18:35:08 ID:F9cYnIOB

『お願いがあるんだけど、いいかな?』
「……? 何ですか?」

このタイミングでそんなことを言い出した詠子に、ギンガは少し戸惑ったように言った。

『ちょっとの間、この身体貸して欲しいんだけど、駄目かな?』
「……はい?」

今日の自分はこんな台詞ばっかりだな、と思いながらも、質問の意味が分からず、ギンガはそんな抜けた声を上げる。

『あのね、何か私の友達が近くに来てるみたいなんだ』
「…はぁ……」
『多分私に用なんだと思うから、ちょっとの間だけ、ね?』

可愛らしい声が頭に響く。

「…えーと、どうぞ」

よく分からなかったが、そこまで深刻なことだとは思えなかったので、ギンガはそう言った。
それと同時に、全身の感覚が消え失せた。

(なっ!?)

 覚えのある感覚、だが今回の実行者は詠子であるのは確実だった。

「うん、やっぱりお喋りは口でするものだよね」

ギンガの口を動かして、詠子は笑みを浮かべる。
それは普段ギンガが浮かべることは絶対にない、異常なまでに無邪気な笑みだった。

『よ、詠子さん! これは…!?』
「うん? 大丈夫だよ。ちょっと話したら元に戻すから」

全く逆の立場になって動揺するギンガに、詠子はあっさりとそんなことを言う。

『あ…っと、そう…ですか……』

別の人間からの言葉だったとしたら、おそらくは信用しなかっただろう。
しかしギンガは、この僅かな時間で詠子の異常さの片鱗をかなり見ている。
 故に、彼女の言葉が嘘でないことは分かった。
嘘を吐いて人の身体を乗っ取ろうなんて、この状況なら誰でも思い付くような『普通』のことを、この十叶詠子がする訳ないと判断したのだ。


156 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/04/29(火) 18:35:44 ID:F9cYnIOB

「じゃあ、友達のところに行くよ?」

鼻歌でも歌いそうな雰囲気で詠子は出口に向かって歩き出した。
談笑している局員の側を通りながらも、決して気付かれることはなかった。
 そして、

「ふふ、いい天気だねぇ」

 詠子は外の世界に出た。
 日が出てくる寸前の、薄暗い朝の温い気温と、柔らかく暖かい風は、詠子でなくとも思わず歌い出したくなるような、最高の組み合わせだった。

「あ、やっぱりいた」

 否、

時の狭間、風の狭間、
  人の魔王が降り立つ場所に、
  風の乙女が参ります。
夢の郷、山の郷より、
  黒の魔王が求める場所に、
人の娘が参ります。
かの人の元に、
愚者多き神の王国に、
時を越えて参ります。
  大地を越えて参ります。

鼻歌ではなく、実際に歌っているものがいた。
 玄関前の階段を降りた場所に、その二人は立っていた。
一人は全体的に黒を基調とした服を身に纏った、目つきの悪い美貌の少年である。
もう一人は、長い黒髪と白い肌、そして少し古風な雰囲気を持つことから、何となく「お人形さん」といったイメージを与える、可愛らしい小柄な体格の少女だった。
 臙脂色のケープや長いスカートという服装も、彼女を完成させる一部のように思える。

『綺麗な声…あの人達が詠子さんの友達?』
「そうだよ。私はいつまでもあの子達の味方だよ?」

 どこか噛み合ってない会話を疑問に思いながら、ギンガは今は詠子のものである目を通して、二人に意識を向けた。
 歌っているのは少女の方だった。
 空気に溶けてしまいそうな儚い声で、それでも朗々と空気を震わせていた。


157 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/04/29(火) 18:36:26 ID:F9cYnIOB

(……?)

 その時、ギンガはあることに気づいた。

(…何で誰も私達を見てないんだろう?)

 早い時間帯とはいえ、外ともなればさすがに人通りはある。 ただでさえ服装で目立つ少女がそんなことをしていれば注目されそうなものだが、道行く人々の誰も、その二人と、そして突っ立ったまま動かない詠子に目を向けることはなかった。
 まるで、誰も自分達のことが見えていないかのように。

「久しぶりだね。空目恭一君、それと…あやめさん?」

 だが少なくとも、ギンガを除いた三人は、この状況に何の疑問も持っていないようだった。
 詠子があの、邪気のない微笑みを浮かべて少年、空目に言った。

「…確かにそうだが、出来れば二度と会いたくなかったな」

静かで、理知的な声をした少年が、詠子に言う。

「まさか本当に復活するとは思わなかったぞ」

 そこにはある種の感心の意思も込められていたかもしれないが、見上げてくる彼の視線には、呆れたような感情が多分に含まれていた。

「ふふ、残念だったねぇ。でも世界樹に吊るされた魔術士≠フ前例もあるんだから、警戒はしておいた方がよかったんじゃない?」

言外に「一生死んでればよかったのに」と言われたにも関わらず、詠子は微笑んだまま空目と話していた。

「あれは、あの男が生前から入念に布石を打っていたからこそ成功したことだ。死に際にあんな手段で怪異≠ノなったお前には、携帯電話の怪異≠ノはなれても復活は出来ない、そう踏んでいた」

 ギンガには殆ど理解できなかったが、十叶詠子は既に死んでいて、自分はその幽霊みたいなものに取り憑かれているらしいと、二人の話は臭わせていた。

「…そうだね。確かに神野さんがいなかったら、少し危なかったかもね」
(神野さん…?)

 知らない名前にギンガは意識の中で首を傾げる。
 空目はそれを聞いて、気に入らなそうに鼻を鳴らした。

「…やはりあの男の仕業か。死んでからも接点が残っていたとはな。今はどうなっている?」

 臙脂色の少女の歌が響く中、空目は詰問を続けていく。

(…何か偉そうね、この人…)

 ギンガはそう思ったが、詠子は特に気にした様子もなくそれに答えた。

「この身体になってからは完全に別れちゃったみたい。あなたの魂の形も視えなくなってるし、やっぱり他の人と一緒だと私の力も弱くなるみたいだね」

 その言葉に空目は眉をひそめ、黙って聞いていたギンガもハッとした。


158 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/04/29(火) 18:37:19 ID:F9cYnIOB

「もうあなたのことを影≠ニは呼べないねぇ。視えないんだもの。ちょっと残念」

本当に残念そうに、詠子は小さく呟いた。

『…詠子さん、今のはどういう』
「その身体の持ち主は、まだ無事なのか?」

ギンガが詳しく聞こうとした時、空目がそんなことを言ってきた。

「うん? 元気だよ。今はあなた達と話したかったから変わってもらってるだけ」

何を言っているのか、という表情で詠子は言う。

「私はみんなと仲良くしたいって願ってたんだよ? その為に動いた神野さんが選んだ人を、私がどうにかする訳ないじゃない?」
「…………」
「ふふふ」

黙り込んだ空目に、何故か詠子は笑みを深くする。
 そして、

「また、やるつもりなのか?」

見据えるような目で、空目は詠子を見上げた。

「何のこと?」
「俺達がいた世界でやろうとしたことを、ここでもやるつもりなのか。それを聞いているんだ」
『……何? あなた一体何したの?』

今更ながら、ギンガは空目の対応が友人に対するものではないことに気付いた。


159 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/04/29(火) 18:38:02 ID:F9cYnIOB

『ふふ、何だろうね?』

喋ることなく、詠子はギンガに意思を伝えてきた。
驚いている間にも二人の話は進んでいく。

「とりあえず、しばらくは何も出来ないかな?」

空目の問いに、詠子はそう答えた。

「実は私、こっち≠ノは昨日の夜来たばかりなんだ。あんまり勝手したらギンガさんにも悪いし」
「…誰だ?」
「あ、この身体の持ち主のこと。折角だし、話してみる?」
『なっ!? ちょっと待っ』

急に話が自分の方に向き、ギンガは少し焦り、

「必要ない」
『て…って、あれ?』

拍子抜けした。

「さっきのお前の言い方から、おそらくその人物は今話せない状態にあるだけで、最初からこの話を聞いていたんだろうと推測出来る」

まるでどこぞの名探偵のように、空目はそう解説する。

「ならば話すことはない。俺の知っていることはお前より劣る。話すだけ時間の無駄だ」

それだけ言って、空目は振り返る。
 いつの間にか、少女…あやめの歌が止んでいた。

「お前がまだ動く気がないのなら、もう特に用はない」

 背を向けた空目がそう言った、次の瞬間
 空目の姿も、そしてあやめの姿も、神隠しに遭ったかのように消え失せていた。


160 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/04/29(火) 18:40:44 ID:F9cYnIOB
以上で投下完了です。
今までかなり短い文章だったんで、今回は長めに書いたつもりだったんですけど、
どうでしょう?

感想等よろしくお願いします。

161 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 19:04:58 ID:aKj3T1wP
陛下キター!
しばらく登場しないだろうって思ってただけに嬉しい。
生けるロストロギアに等しい彼らと管理局がどう関わっていくか楽しみです。

ギンガさんの精神は詠子と愉快な仲間達に囲まれている割に落ち着いてるな。
やっぱり境遇やら訓練やらの差なのだろうか。
でも、これからどんどん汚染されていくんだろうなあ。
その様を想像するだけでワクワクしてくるよ。

実にGJでした!

162 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/04/29(火) 19:17:06 ID:5WrmtVih
GJですー。
ギンガがどうなるやら、原作を知らないだけにわからない・・・
無事でいてくれるといいなあ。

30分から予約をさせてください。

163 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 19:25:37 ID:sB2ExSGZ
>>162
ゲッター氏ktkr
もちろん投下の際には支援させていただきます。

164 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/04/29(火) 19:32:43 ID:5WrmtVih
ようやくナンバーズが書けましたー。
チンクが主役でいい感じです、何故か。

魔法少女リリカルなのは 闇の王女 第五章前編

 過去というものは、物質的世界の何処にもその痕跡を残さない、あやふやなものだ。
『過去』と『未来』――そして万物が存在する、『今』を区分するものは、結局のところ、人間の主観でしかないのだ。
では、積み重ねられた月日の証とは、何なのか。
物体を構成する分子や原子の一つ一つに刻み込まれたモノ―――それこそ、万物に宿る記憶なのだ、という。
新しい焼きあがったばかりの煉瓦と、風雨に曝された煉瓦がまったく別のものであるように。
経年劣化と関係なく、万物が持つ存在証明。

―――それが、記憶であるならば。

記憶が――存在の証が、真(まこと)のものでない存在は、いったい何なのだろうか。
例えるなら、それは、偽りと言う脆い、脆い骨組みの上に築かれた方舟―――何時沈むかわからない、あまりにもか弱いモノ。
血を吐くような努力も、悔しさも、姉妹達との団欒も、皆。

―――偽りの上に成り立つ虚像。

そこまで考えたところで、ショートカットの青い髪を、健康的な肢体を持つ少女、スバル・ナカジマは呻き声をあげた。
膝を抱え、右の義手を固く握り締め、顔をうずめて泣く。
ぽたぽた、と。
自分でも驚く量の塩水が眼から零れ落ち。
床を濡らした。
ひょっとしたら――この涙さえも、偽りなのではないだろうか――。
馬鹿げた思考が鎌首を毒蛇の様にもたげ、猛毒の如き、破滅的な何かを撒き散らす。
もたらされるものは、どんなに笑っても、泣いても、癒されない孤独。
自分が自分で無いと言う確信。
愛し、愛されたという記憶すら。

―――虚ろなモノなのだという現実。

本当の、真の自分は、ずっと、ずっと昔に消え去ったのだと。
身体が訴えかけるのだ―――。
作られた記憶―――虚構。
生きた証―――身体。機械の、血の通わぬ部位のほうが遥かに多い、作り物。
一体、何を信じられるのだろうか。

だから。
孤独を甘受するように、少女は、スバルは、<聖王の揺り篭>の一室に閉じこもり、動こうともしなかった。
もう、何時間、何日其処にうずくまっているか、わからない。
でも、わかることが一つだけ。

(ここは、あたしのいるべき場所じゃない―――)

今のスバルにとって、全てが、『用意された』環境に過ぎなかった。
無表情に、泣き続ける。
それが、唯一の真理だと言わんばかりに。

虚ろな、監獄のような部屋で、少女は泣き続けた―――。




165 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 19:33:15 ID:8TWh8AdB
支援

166 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 19:33:43 ID:aaZJvviS
スバルガンガレ 支援!

167 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/04/29(火) 19:34:37 ID:5WrmtVih
ナンバーズに宛がわれた部屋。広い、黄金の装飾が施された室内――元々は聖王配下の騎士達の詰め所だったところだ――に、数人の影が在った。
その中の一角に、赤毛の少女二人が並んで座っていた。一人はつり上がり気味の眼と気の強そうな――実際強いのだが――眉をした短髪の少女。
戦闘機人の9番目、ノーヴェだ。
口を開き、ナンバーズの13の数字を戴いた姉妹のことを口にする。
「なあ……スバルの奴、大丈夫か……?」
如何にもからかいがある、といった風に隣の少女が笑った。実際、からかっているのだが。

「ノーヴェは心配性っすね〜。ひょっとして、スバルが心配で心配で仕方がないとかあ?」
赤い髪をショートカットにし、気の強そうな顔をした少女が、顔を真っ赤にして反論する。
金色の瞳が、かっ、と開いて口から大声が飛び出した。拳が硬く握り締められ、動転しているのは一目瞭然である。

「バ……ッ! バカ、そんなんじゃねえよ!!」
にししし、と相方の少女の笑顔。
「じゃあ、なんなんすかー?」
「知るかバカッ! いちいち五月蝿いぞ、ウェンディッ!」
突然、からかっていた少女―――ウェンディが顔を曇らせ、俯いた。

「でも……あたしも心配っす。もうずっと引き篭もったままっすよ? これじゃあ、幾らスバルが丈夫っていったって参っちまうっす……」
「んなことたぁわかってるッ! 言ったってどうしようもねえだろッッ!! トーレ姉があんなことになってッ! チンク姉も怪我しちまったんだ! 
あたしたちには、どうしようもねえんだよ、畜生!!」
トーレの名が出た一瞬、桃色の長髪と額を防護するヘッドギアをつけた少女―――セッテが読んでいた雑誌から目を上げ、悲しそうな目をした。
教育係だったトーレの重体を、彼女なりに憂いているらしい。

ノーヴェの言うとおり、事実、何もできなかった。
四肢をへし折られ、肉体全体に魔力攻撃を受けたトーレの損傷は激しく、内臓にもダメージが及んでおり、今ドクターの手で手術が行われているところだ。
敵の戦闘機人に――壊滅したとある犯罪結社に製造されたタイプゼロファースト――によって深手を負ったチンクもまた、修復カプセルの中にいる。
全ては、ノーヴェ達が訓練に明け暮れていたときに起こったことであり、彼女らは非力だった。
ノーヴェが赤毛を逆立たせながら、テーブルに蹴りを入れた。がたん、と揺さぶられるテーブル―――机上の魔法瓶が倒れかけるのを、慌ててウェンディが押さえた。
膨れっ面で文句を言う。

「な、何やってるんっすか――ッ!あぶねえっす!!」
「うるせえ、がたがた言うな!!」

理不尽な物言いは、この閉塞した状況に対するものか―――とにかく、ノーヴェは荒れていた。
そのときだった。
部屋のドアが音も無く開いたのは。室内の人間の目が、一斉にドアのほうに向く。
無口な、男の子とも言える容姿の少女、オットーが手のティーカップを机に戻しながら無表情に目を向けた。
現れたのは、燃えるような赤毛と白い仮面で顔を隠した少年。小柄な体躯を茶色のコートで覆った魔導師。
その腕には、待機状態のデバイス、ストラーダ―――腕時計が巻かれている。
洗脳と生体強化、脳神経の調整による強化人間―――<子供達>の指揮官であり、統制個体である槍使い、エリオ・モンディアルだ。

168 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 19:35:37 ID:kO4HAIOv
支援

169 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 19:36:04 ID:aaZJvviS
ついに名前出たw
エリオ怖いよ、支援!

170 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/04/29(火) 19:36:18 ID:5WrmtVih
「あん? どうしたんだよ、エリオ。あたしらになんか用か?」
ノーヴェの問い――何処か喧嘩腰。不機嫌な証。
ウェンディが溜息をつきながらフォローした―――意外と苦労性かもしれない。
「で、なんすか?そっちから来るのは珍しいっすけど………」
エリオが軽く頷き、
「いえ、僕はただの付き添いです。手が空いていたもので」
さあ、どうぞ、とその少女をエスコートした。
揺れる銀の長髪。小柄な身体。右目を覆う眼帯―――隻眼の証。灰色のコート。そして――首のXと刻印されたナンバープレート。
ノーヴェが驚いたように目を見開き、立ち上がった。

「チンク姉?! 大丈夫なの、傷は―――」
「浅い。姉を心配するのはいいが、少しは姉を信用しろ、ノーヴェ」
何時もどおりの対応―――安心し、ほっと息をはくノーヴェ。赤毛が揺れる。
チンク―――失った筈の片目を押さえ込み、呻いた。
ウェンディの問い―――どうしたのかという疑問符。

「……? どうしたんすか、チンク姉。まだどこか悪い―――」
「たいしたことはない――神経接続が上手くいっていないだけだ。じきに慣れる」
チンクが手で制し、言った。右目の眼帯を外す。
室内の人間が、皆息を呑んだ。
右目の無い筈の、虚ろな眼窩には、赤い光を放つ機械義眼――高性能センサーの塊。
ノーヴェが呻いた――困惑。
「チンク……姉……。どうしてそんな――――」
姉の矜持――失った右目を、己への戒めとする為の眼帯と、それゆえの再生手術の拒否。その、姉自らの否定。
エリオが仮面ごしに口を開く――事態の説明。

「ドクターにチンク様自ら頼んだんです―――悪い選択ではないかと思います、ノーヴェ様」
「そういうことがッ! 聞きたいんじゃねえッッ!!」
赤毛を再び逆立たせ、ノーヴェが吼えた。掴みかからんばかりの勢いで、前のめりになって涙を眼に浮かべる。
そうですか、と短くエリオが言い、一歩後ろに下がった。
チンクの言葉―――あくまで冷静に。
「落ち着け、ノーヴェ、ウェンディ。私の選択だ―――もう弱さは切り捨てた。これからは―――」
息を吸い込み、
「――――皆を、守る為だけに戦おう。矜持などどうでもいい。皆が守れれば、な」
長い、長い沈黙。銀髪が、揺れた。
不意に、チンクが口を再び開き、言った。

「スバルはどうした?」

かちかちと、運命の歯車が廻り始める。噛み合い、動いた先には何が待つのか、誰にも分かりはしない。
ゆえに、人は生きるのだ―――絶望と諦観を、打破する為に。


171 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 19:37:37 ID:kO4HAIOv
仮面エリオ登場支援

172 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/04/29(火) 19:38:11 ID:5WrmtVih
<聖王の揺り篭>には、幾つかの階層がある。
古代ベルカの遺産であると同時に、超古代遺失技術の塊である戦闘艦、それが<聖王の揺り篭>であり、その性能、機能は既に管理局の現行技術を遥かに上回っていた。
先ほど管理局次元航行艦隊が仕掛けた決死の砲撃にあいた傷跡は深く、通常ならば、大掛かりな改修が必要になるところだが――。

―――揺り篭は脈動し、生ける船である。

その本質は、機械と言うよりも生命体に近い。
現に、傷跡は、奇妙な形で修復が始まっていた―――蚯蚓の様に蠢く装甲材が傷口の断面から生え出し、溶解した装甲を硬化して再生させているのだ。
さしずめ、瘡蓋といった風情の装甲材の回復――爆砕した通路一面を無数の銀色の触手が埋め尽くし、蠢きながら破砕箇所の修復にあたる。
怪物の体内にいるのだ、と痛感しながら、チンクは蠢く銀色の触手を踏みつけ、ゆっくりと目的地へ向かった。
ずぶり。
金属の触手が一瞬チンクの脚に絡まんとするが、何かを思い出したように動きを止め、こちらの進路を遮るのをやめた。
揺り篭の自衛機構――対象を防衛用ユニットと認識、排除行動を中止。修復を続行。
駆ける様に、歩む。急ぎ過ぎることなく、動転しないように、自制しながら。
そして、辿り着く。
堅く閉ざされた扉――まるで天の岩戸。もっとも、中にいるのは女神ではなく、妹である戦闘機人なのだが。
扉の向こうにいるであろう、妹に話しかける。

「………スバル」
びくりと、扉の向こうの気配が動いた。起きているらしい。
(いや、眠れないのか)
地上本部襲撃の際、スバルは一瞬タイプゼロファーストと再会した――それが、妹を不安定にしているのではないかと、チンクは推測する。
だからといって、何かができるわけではないが―――言葉を、続ける。

「出て来てくれないか―――スバル。皆心配しているし、お前の身体も持たない。何か事情があるなら姉が聞こう」
出来る限りゆっくりと、優しく声をかける――良き姉を『演じて』いるな、という吐き気にも似た感覚。
何が、姉だ。自分は、あの子を騙しているではないか―――。
自己嫌悪に陥っていると――スバルからの返答があった。
震えるような声。
ゆっくりと、言葉が紡がれる。

「……ねえ。皆は、本当にあたしのことを、『妹』だと思っているの?」
「何を言っているんだ、そんな当たり前のこと―――」
突然、壁を殴りつけるような音が扉越しに聞こえた―――強く殴ったのか、何かがへこむ音。

「嘘だッ!!………みんな、みんな思い出したんだよ、チンク姉―――本当の家族のことも―――」
ひぐっ、と息を吸い込み、嗚咽が聞こえた。
「父さんの……ことも。母さんの、ことも………」

感情の揺れに呼応するように、銀の長髪が揺れ、チンクの顔が強張り拳が堅く握り締められた。
スバルの母親、クイント・ナカジマは―――死んでいた。八年前に。
いや。
殺したのだ。チンク自身が、まだ見ぬ妹達を守る為―――己のISと、技巧を駆使し。
大量のガジェットに疲弊した管理局武装隊―――それの喉元をナイフでかき切り、爆発物による奇襲でその命と五体を四散させた。
そして、ゼスト・グランガイツと闘い――右目を失った。
殺した。殺したとも。多くの命を。
元よりこの身は戦闘機人。戦うための身体だ。
では。
何故、こんなにも、心が痛む。
虚ろだった眼窩に触れる。眼帯越しに起動している戦闘用機械義眼。扉を透過する視線―――スバルの怒りとも悲しみともつかない表情を浮かべる顔を、見た。
青い髪は、ぼさぼさで。
表情はくしゃくしゃに歪んで。

胸が、苦しい。

173 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 19:40:59 ID:MvhQg/Bn
支援、今の家族と昔の家族のどちらをとるか、スバルの選択はどっちだ!

174 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 19:41:14 ID:kO4HAIOv
また支援

175 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/04/29(火) 19:41:17 ID:5WrmtVih
あ、と声が漏れ、ひゅう、と息を吸い込み、
「―――全てを、思い出したのか―――スバル」
そんな台詞が、漏れていた。
「うん………あたしは―――――」
スバルが、目を宙に向け、呟いた。短刀で刻み込むような言葉。

「―――ゲンヤ・ナカジマとクイント・ナカジマの子供の―――スバル・ナカジマなんだ」

青い髪が、色彩の無い透過視界の中で揺れ、顔が俯いた。
スバルが子供のように泣きじゃくり、続ける。

「もう、どうしたらいいか、わかんないよ――ギン姉にも会いたいよ――でも、皆も大切で―――」
迷い。
希望。
焦がれるような感情。
それらを感じ、義眼を閉じながら、チンクが声を振り絞り、言った。

「スバル、これだけは覚えておいてくれ―――何があろうと、姉達はお前の姉妹だ。決して、別の何かになったりはしない。
辛いときは、頼ってくれていい、弱いときは、姉が守ってやる。だから―――」
ぎゅ、と拳を握り締め、チンクは銀髪を揺らした。長い、長い、銀糸の如き髪が、感情の揺れに呼応するように様にして、
眼帯に覆われた虚ろな眼窩――戦闘用義眼の入ったそれの視界を塞ぐ。
全ては、あの燃え盛る地獄――レリックの起こした火災――から、幼子を拾ったときから始まっていたのかもしれないな―――と思い、涙をまだ生きている片目に浮かべた。
地獄からの帰還。捏造された記憶。喜悦に歪む父の顔。

『実験なんだよ、チンク―――これはね、とても、とても、面白い実験なんだ』
驚きに、一瞬身がすくんだ。
『実験……ですか……?では―――』
『そうさ。君には、この子を『妹』として教育して欲しい――。楽しみじゃないか、この子がどういう風に育つか、ね』

そう、全ては偽りからのスタート。
父への盲目的服従からの献身―――偽った、という罪。
それでも―――共に生き、共に笑い、共に戦い、共に過ごした時は、偽りなどでは無い筈だ。
でも、きっと。
この、何時も笑顔ばかり浮かべている『妹』は、何時か、こことは別の場所へ旅立ってしまうのだろう。

―――だから―――。

ドクターへの忠誠とはまったく別の、熱い何かが、心の底から込み上げて来た。
小柄な身体が、感情の高ぶりに震えた。
「―――これ以上、遠くに行かないでくれ―――お前の眼に何が映っているかは、姉にはわからない。でも、でもな―――」
みっともないな――とても、妹達には見せられない――そう思いながら、チンクは涙を床にこぼし、扉に背中を預けて、泣いた。
涙を、拭い。
ふうっ、と息を吸い込み、言った。

「―――姉は、姉は――お前のことが、大切だ。この気持ちだけは、偽りなど無い。今までお前と共にすごした日々は、本当に楽しかった。
何時も、何時までも、失いたくないと思えるほどに。だから、もう―――これ以上、一人で抱え込まないでくれ。頼む―――」

不意に、扉の向こうの気配が、泣き続けるのを止めるのを、チンクは感じた。顔を挙げ、扉を見つめてくる。
チンクは、静かに扉の前から立ち去り。
呟いた。

「私を母の仇と思うのなら、何時でも後ろから刺してくれていい。私の罪だ―――甘んじて受けよう」

ぽつり、とスバルが呻くように、言った。
「できるわけ………ないじゃない……そんなこと―――チンク姉」

少女の呟きは、誰もいない個室に響き、消えた。

176 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 19:41:33 ID:aaZJvviS
チンクせつねええええ
支援!

177 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 19:45:24 ID:UItZdpr6
これはなんて事だ、どちらも家族には違いない支援。

178 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/04/29(火) 19:46:08 ID:5WrmtVih
投下完了ですー。
何かテッカマンブレードな気分で執筆――結果、珍しく何事もなく終われましたね(?)
スバルとチンクがナンバーズ側の軸になります、多分。

皆様、御支援ありがとうございました。
感想などをいただけると幸いです。


179 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/29(火) 19:48:53 ID:kO4HAIOv
GJ!!
ナンバーズとしての自分とスバル・ナカジマとしての自分との間で葛藤するスバルが切なかったです。

2100に投下予約よろしいでしょうか?

180 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 19:51:55 ID:MvhQg/Bn
GJ!!です。
どっちも家族、やはり黒なのはの殺戮の矛先が偽りの家族にとはいえ、向けば
優しいから戦うんだろうな。そして、エリオきゅんがいい・・・すごくいいw
フェイトそんと戦闘して欲しい。

181 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 19:53:44 ID:aaZJvviS
>>178

偽りの家族。
本当の家族。
けれどその間に繋がられた絆は本物で、どちらも千切ることなど考えられない宝物だった。
切ないです。スバルの葛藤が、そしてスバルの本当の母親を殺し、偽りの姉を演じながらも家族として心を通じ合わせてしまったチンク。
他のナンバーズもまたスバルのことを大切に思っているものもいれば、違うものもいる。
それは決して自分ではない他人の集まり、けれど同じ時を過ごした家族といえるのではないでしょうか?
スバルはこれからどのような決断をするのか。
そして、失っていた目を取り戻し、ただ護るために力を振るうチンクなどうなるのか。
復讐鬼なのはにとっての障害であるナンバーズ。
彼女達にもまた理由があり、信念があり、護る家族がいる。
両者が幸せになれる道はないのか。
そして、狂わされたエリオ。そして、おそらくキャロもまたどうなろうか。
目が離せませんね。
次回も期待してます。

GJ!

182 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 20:19:42 ID:UItZdpr6
GJ人は全部を選べない、こんな事でない事ばかり。
スバルにはどちらが大切かなんて優先順位はつけられないわけで
さらに悩む それもスカさんの年月をかけた実験だったわけで。


183 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/04/29(火) 20:26:50 ID:xTSE3w3L
乙です。
9時半頃に投下予約をしたのですが、諸々の事情により投下が10時半になりそうですけどよろしいでしょうか?

184 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 20:27:09 ID:5CyLNKvM
GJ!
チンク達もいいですが、仮面エリオも良かったです。
彼がどういう活躍をしてくれるのか楽しみです。
仮面って黒みたいなかんじのやつかなー。

185 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/29(火) 21:04:22 ID:kO4HAIOv
時間になりましたので投下させていただきます。

186 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 21:05:00 ID:aaZJvviS
支援するぜ! お前の投下は天を突く!

187 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/29(火) 21:05:49 ID:kO4HAIOv
 ミッドチルダ北部、ベルカ自治領。
 豊かな自然に囲まれ、活気と笑い声の絶えぬその街が、燃えていた。
 空を埋め尽くす異形の敵――特定の人間やロストロギアを狙って現れるという質量兵器、謎の侵略者アンチスパイラルの尖兵、ムガン。
 聖王教会は直ちに騎士団を出撃させたが、限りある人員での敵の撃退と住民の避難誘導の両立は困難を極め、結局どちらも進まぬまま時間と被害だけが徒に過ぎていった。

「くっ……!」

 減らない敵、広がり続ける戦火に、聖王教会の修道女、シャッハ・ヌエラは歯噛みした。
 何故このような辺境にムガンが……頭の中を埋め尽くす疑問は、しかし戦場と化したこの場では何の意味も持たない。
 大切なのは如何に敵を撃退するか、優先すべきは如何に住民の安全を確保するか。
 今の自分達が必要としている言葉は「何故」ではなく「どうやって」なのである。

 ムガン一体一体の強さ自体は教会騎士団の敵ではない。
 厄介なのは破壊した後に起こる爆発、しかしそれも対処さえ間違わなければ大した脅威にはなり得ない。
 だが、それが百も二百も集まって来られれば、当然ながら話は変わってくる。
 飽和状態を遥かに超えた敵の物量に攻撃も守備も追い着かず、結果として味方の損害ばかりが増える一方だった。

 両手の双剣型デバイスを握り直し、シャッハは空へ――敵陣へと斬り込んだ。
 跳躍系魔法を得意とするシャッハにとって、距離や重力は意味を持たない。
 十数mもの距離を文字通り一瞬で跳び越え、頭上を浮遊していたムガンをまず一体、斬り捨てる。
 両断された一体目が爆発する前に手近な場所――それでも数十mは離れているが――を飛ぶ別のムガンに跳び移りデバイスを一閃、二体目を撃破。
 足場として獲物として、敵から敵へと跳び移りながら、シャッハは双剣を振るい続けた。
 しかしそれも焼け石に水――如何にシャッハが、騎士達がムガンを破壊したところで、空を覆う敵の軍勢は一向に減る気配を見せない。

 劣勢だった、負け戦だった。
 しかし退く訳にはいかない、諦めることは出来ない……守るべき人が、救うべき民がいる限り。

 その時、

「ディバインバスター!!」
「サンダースマッシャー!!」

 凛とした二つの声と共に、白銀の閃光と黄金の雷撃が空を貫いた。
 直後、爆炎が空を赤く染め、轟く爆発音が全ての音を塗り潰す。
 攻撃に射抜かれ、周囲に固まった仲間をも巻き込んだムガンの爆発、その連鎖である。

「騎士はやて……?」

 炎に彩られた空の真ん中に浮かぶ二つの人影、その片割れ――六枚の翼を広げ漆黒の騎士甲冑を身に纏うその少女の名を、シャッハは思わず呟いていた。

「んー、やっぱミッド式はいまひとつ肌に合わんなぁ」

 虫食いのように部分的に数を減らした敵の群れを眺めながら、はやてはのほほんとした口調でそうひとりごちる。
 見様見真似で撃ってみた親友の十八番だが、威力はオリジナルの半分以下。
 術式も魔力も違いは無い筈なのに、しかしその差は歴然……これはもう相性としか言いようが無い。
 出力限定を掛かった今の状態ではこの程度が限界だろうか……砲撃でムガンの群れに開けた「穴」、フェイトによるものよりも小さなそれを眺めながら、はやては思う。

「しかし……「口は災いの元」って本当やね。ウチびっくりしたわ」

 何かがある……カリムの待つ教会本部へ向かう車の中で、自分は確かにそう言った。
 しかしそれはカリムが何か無理難題でも言い出すだろうという程度のものであって、まさか目的地自体が戦場になっているとは流石に想定外であった。

「結構な団体さんみたいやけど、どうするフェイトちゃん? 二回目の限定解除いってみよか?」

 まるで緊張感のない、しかし普段よりも明らかに固い口調で、はやては隣を飛ぶフェイトに問う。


188 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 21:07:34 ID:MvhQg/Bn
支援

189 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/29(火) 21:07:45 ID:kO4HAIOv
 出力限定――時空管理局の規定する一部隊の保有戦力の上限により、機動六課の隊長陣の全員がデバイスと本人にリミッターを掛けられている。
 フェイトの場合は2ランク落とされて現在A+、Aランクまで制限されたはやてよりは上であるが、それでも心許ないことに変わりは無い。
 出力限定は、対象者よりも上位にある特定の人間の権限により、一時的に解除することが出来る。
 なのはやフェイト、その他隊長級部隊員の場合ははやて、そしてはやて自身の場合は後見人のカリムと監査役のクロノが、それぞれ限定解除の権限を有している。

 しかしフェイトは首を横に振り、格好つけるように右手のデバイスくるりと一回転させる。

「……このままで十分」

 力強くそう言い切るフェイト、その言葉に偽りは無い。
 あの敵の相手ならばこの四年間、嫌という程やらされてきた。
 目測だが、残存するムガンはおよそ二百前後――出力限定を掛けられた身とはいえ、たかがその程度の数、今更自分の敵ではない。

 愚問だったか……フェイトの返事にはやては首肯し、続いてシャッハへと視線を向ける

「シャッハ! 空の敵はフェイトちゃんに任せて、教会騎士団は住民の避難誘導や救助に集中して。ウチもそっちを手伝うから!」

 聖王教会の騎士は精鋭揃い、それは認めよう。
 では何故苦戦しているのか――簡単である、彼らはやり方を間違えているのだ。
 戦い方を見た限り、どうやら騎士団の者達はムガンの相手は初めてらしい。
 ムガンの最も効率的な駆除方法は、一箇所に集めたところに砲撃を叩き込み、自爆の連鎖を誘発して一気に殲滅することである。
 しかし騎士達の採っていた行動は全くの真逆――ムガン一体一体を群れから引き離し、各個撃破するという非効率的なものだった。
 爆発による周囲の被害への考慮、そして近接戦闘に特化したベルカ式魔法の特性を考えれば仕方のないことなのかも知れないが、そのような事情ははやてには関係が無い。
 現時点で教会騎士とムガンとの相性は最悪――はやてにとって、必要な事実はそれだけで十分だった。
 先方の矜持に付き合い無駄な被害の拡大を許容する程、はやては寛大でも愚鈍でもない。

 そして自分自身の戦力としての価値も、はやては冷静に分析していた。
 先程のディバインバスターの威力から判断して、出力制限の掛けられた今の自分の砲撃の評価は「あってもなくても大して変わらない」程度。
 かといって自分本来の戦闘スタイルは広域殲滅型、下手に撃てば地上の街ごと消し飛ばしかねない。
 どちらに転んでも役立たず……それがはやてが自分自身に下した評価だった。

 以上のような思惑から、はやては敢えて自分を含めたほぼ全員を戦力外と切り捨て、無謀ではあるが一番確実な方法を選んだ。
 形振り構っている暇は無い、自分達が手をこまねいている間に減っていくのは人の命なのだ。

 はやての指示に、シャッハだけでなくその場の教会騎士全員が瞠目していた。

「騎士はやて……あの数の敵を、その人一人に押し付けるつもりですか!? 我々はただ指をくわえて見ていろと、そう仰りたいのですか!!」

 自分達教会騎士団の全戦力を投入しても抗しきれなかった強敵を相手に、あのような小娘独りで何が出来るというのか。
 無茶な特攻でも仕掛けて、結果犬死するのは目に見えている。

 ……否、本当はシャッハにも解っていた――あの金の髪の魔導師が敵に後れを取ることは無い、はやての判断は正しいのだと。
 自分達が手も足も出なかった敵の軍勢に、この二人はたったの一撃で驚くべき損害を与えてみせたのだから。
 頭の中では理解は出来る、しかし心は納得出来ない。
 何故ならはやての指示を了承してしまえば、同時に自分達教会騎士団は役立たずの無能者であると、間接的にではあるが認めてしまうことになるのだから。
 認められない、断じて認めることなど出来ない。


190 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/29(火) 21:09:29 ID:kO4HAIOv
 糾弾するように叫ぶシャッハに、しかしはやては顔色一つ変えることなく、背中の翼を羽ばたかせながら地上へと舞い降りる――本当に自分は前線に出ないつもりらしい。
 フェイトも周囲に魔力弾を生成し、金色の軌跡を描いてムガンの群れへと突入した。

「騎士はやて!!」

 激昂したように声を荒げ、シャッハははやての胸倉を掴み上げた。
 憤怒一色に染まるシャッハの顔を真っ直ぐに見つめ返し、はやては静かに口を開いた。

「勘違いしたらアカンよ、シャッハ。ウチの言ってるのは命令やのーて提案、今この状況でウチの出せる最良の選択肢を提示してるだけ……。
 余所者のウチに騎士団を顎で使う権限は無い――従うかどうかはアンタら次第や。
 でも、もしアンタらがこの街が好きやったら、騎士の誇りと街の皆を天秤に掛けて皆の命の方が重い思うんやったら、不本意やろーけどウチの言うことを聞いて……!」

 どこまでも平静さを保った、しかしその実シャッハ以上の激情を押し殺した声音で、はやては目の前の騎士にそう語りかける。
 漆黒の瞳の奥で、冷たい炎が燃えていた。
 陳腐な矜持に拘る者達に憤っている、無力な自分自身に泣いている。

 嗚呼……はやての胸倉を掴む手を離し、シャッハは観念したように項垂れた。

 この人も自分達と同じなのだ――絶望に打ちのめされている、無力感に慟哭している。
 ただ一つ、自分達と違うものは……この人は自分の無力を素直に認め、その上で自分に出来るやり方で、自分に出来る何かをやろうと足掻いていること。
 たとえ自分を曲げてでも、希望を掴み取ろうとしていること。

「騎士はやて……貴女は、卑怯だ……!」

 デバイスを握る両手を震わせ、血を吐くように悲痛な声でシャッハはそう口にする。
 住民の命を引き合いに出されて、断れる筈などないではないか……。

「……分かりました。貴女のその提案、採用させて頂きます」

 泣き顔のような笑みを浮かべてそう口にするシャッハ……その言葉は、戦場の騎士達全ての思いを代弁していた。
 はやてもまた泣きそうな笑顔で首肯を返し、周囲から成り行きを見守る教会騎士達を見渡した。

「……皆、頑張っていこーか!」

 そう呼びかけるはやてに、騎士達は迷いも乱れもなくこう応える――「応!!」と。
 時空管理局の魔導師と聖王教会の騎士、信念も立場も役割も違う者達の道が、今、同じ思いの下で一つに交わった。

 しかし結束するはやて達を嘲笑うように、その時、街の情景が――空間が突如ぐにゃりと歪んだ。
 ひび割れた地面の底から這い出るように浮上する無数の小さな影――円盤状の頭部に、折り曲げた針金を束ねたような胴体、見覚えのある、しかし初めて見るシルエット。

「人間サイズの、ムガン……!?」

 愕然と呟くはやてに反応したように、新たに出現した小型ムガンが一斉にビームを放った。
 はやてとシャッハ、そして騎士達は一斉に散開し、雨のように撃ち込まれるビームをかわす。

「ミストルティン!!」

 はやての呪文詠唱と共に中空に展開される魔方陣、その周囲に生成された七本の光の槍が、小型ムガンへと放たれる。
 光の槍に貫かれ自爆する小型ムガン、その爆発力は上空でフェイトの相手取っている大型ムガンのそれに比べれば遥かに小さく、大きさ相応と言える。


191 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/29(火) 21:11:22 ID:kO4HAIOv
 小さくなっただけで、対処法は大型と同じ……攻防の結果からそう判断を下し、はやては大きく息を吸い込んだ。

「何やぁー! 小っこい見た目通り全然弱いやんかぁーっ!!」

 周囲に散らばる騎士達を見渡し、はやては突然そう叫んだ。
 その顔には無邪気な笑みすら浮かんでいる。
 唖然、呆然……はやての突然の変貌に、教会騎士達は大口を開けて固まっていた。

「き、騎士はやて……?」

 戦士の顔から一転し、まるで子供のようにはしゃぐはやてに、シャッハがおずおずと声を掛ける。

 こいつ頭でも打ったのだろーか……心配の色を多分に含んだシャッハの呼びかけを無視して、はやてはデバイスの先端を手近な小型ムガンへと向ける。

 はやての周囲に無数の魔力塊が生成され、

「なのはちゃん風なんちゃってミッド式魔法第二段――アクセルシューター!!」

 気合いと共に射出された魔力弾が小型ムガンを撃ち抜き、破壊する。

「小っこくなって強さも半減なんて、何や明らかに間違っとるやろ? 雑魚キャラの進化逆走しとるんじゃないんかぁーっ!?」

 周りの騎士達を煽るように、けしかけるように、はやては再び声高に叫ぶ。
 空の敵はフェイトが抑えてくれている、地上の新しい敵は自分達が何とかしなければならない……そのためには教会騎士団の協力は何としてでも必要になる。
 騎士団が役に立たないというのはあくまで上空の大型群相手の話、この大きさならば、たとえどれだけ数が増えようと気合いと根性次第でどうにでもなる。
 無論、先程とは状況が変わった今ならば、騎士達は率先して小型ムガンの駆除に当たるだろう。

 しかし大きさが違うとはいえ似たような形の敵に苦戦したのだ、小型ムガン相手に騎士達が萎縮してしまわないという保障はない。
 トラウマが刻まれている可能性があるのだ。
 極端に言えば、象程の大きさもある巨大なゴキブリに遭遇したとして、その後普通のゴキブリを見た時に人はどう反応するか……自分ならば即座に卒倒する自信がある。

 これは微妙に意味が違うよーな……頭に浮かんだ例えに一瞬首を傾げるが、しかしこの場ではどうでも良いことであるとはやては思い直す。

 小型ムガンは大型とは別物……そのイメージを騎士達に刷り込ませるために、自分は道化を演じていれば良い。
 周りを見渡してみれば、早速はやての「刷り込み」作戦が効果を見せてきたのか、騎士達の表情は少し前とは明らかに違っていた。
 絶望や恐怖の色が消え、気概と活力を取り戻している。

 あと少し、もう一歩……己の計算通りに気迫を取り戻しつつある騎士達に最後の一押しを加えるべく、はやてはデバイスを構え直した。

 景気良く一発デカいのを撃ってみようか……最後の発破掛けに使う呪文を慎重に吟味し、はやてが詠唱を始めたその時、

(――はやてちゃん!)

 切羽詰まったようなフェイトの声が、突如はやての頭の中に飛び込んできた。

「……フェイトちゃん?」

 念話によるフェイトからの緊急通信に詠唱を中断し、空を見上げたはやては、次の瞬間表情を凍りつかせた。
 空を埋め尽くす大型ムガンの大群、はやてが地上に降りた時とは比べ物にならぬ程の量に、いつの間にか増殖している敵。

(ちょっとちょっとフェイトちゃん、何で減るどころか増えとるんよ!? しかもこんな洒落にならん数!!)

 最初に自分達が砲撃を撃ち込んだ時の数倍の規模にまで膨れ上がったムガンの群れに、はやては念話越しに絶叫した。

(敵の増援……いきなり現れたの)

 固い声音で返されたフェイトの返事、念話越しにフェイトの歯噛みする気配が伝わってくる。
 上空に広がる絶望的な現実に、はやてのパフォーマンスに釘付けとなっていた教会騎士達も徐々に気付き始めていた。


192 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/29(火) 21:12:58 ID:kO4HAIOv
 拙い……愕然とした表情で空を見上げる騎士達に、はやては心の奥で舌打ちした。

 ここで折れさせてはいけない、ここで諦めさせてはいけない。
 折角ここまで盛り上げてきたのに、ここで絶望に呑まれる訳にはいかない。
 気持ちで負けてしまったら、その時点で希望は潰えてしまうのだから……。

「機動六課部隊長八神はやての権限により、フェイト・T・ハラオウン隊長の出力限定を解除します!!」

 まるで戦場全体に響かせるように、この場にいる騎士全員に聞かせるように、はやては高らかに宣言した。

 同時にはやては上空で戦うフェイトに念話を送る。

(フェイトちゃん、今使える魔法の中で一番派手なモンを一発、盛大にぶち撒けてくれへん?)

 はやてからも不可解な要請に、フェイトは思わず眉を寄せた。

(え? それってどういう……)
(えーから!)

 そう言って強引に切られた念話に首を傾げながらも、フェイトはデバイスを両手で握り直し、周囲を覆い尽くす大型ムガンの群れを見据える。

「フルドライブモード」

 短く紡がれたフェイトの言葉と共に、バリアジャケットの外套部分が消え去り、デバイスが大剣型に変形する。
 フルドライブモード――出力限定のために普段は封印されている、フェイトの限界突破形態である。
 万が一の時の切り札の筈が、この二週間で二度も使うことになるとは……嘆息したくなる衝動を押し止めながら、フェイトは魔方陣を展開し、デバイスを振り上げる。

 突然、空が暗くなった。
 大型ムガンの群れに埋め尽くされた青空、その更に上空に厚い雲の蓋が嵌り、太陽を覆い隠しているのだ。
 雲の奥で鳴り響く雷、蛇のようにうねる無数の光の軌跡が、フェイトの掲げたデバイスの刀身へと吸い込まれていく。
 雷を吸収した魔力刃が激烈な輝きを放ち、太陽の消えた空を眩く染め上げる。

「プラズマザンバーブレイカー!!」

 虚空を踏み締め、フェイトは気合いと共にデバイスを振り下ろした。
 金色の光の奔流が空を突き抜け、まるで一つの生き物のように蠢くムガンの群れに大穴を開ける。
 おお……動揺の声を上げる騎士達を一瞥し、はやては大仰に両腕を広げ、口を開いた。

「見たかぁ! 我ら時空管理局の誇るエース級魔導師の出鱈目さ!! 理不尽さ!!
 我が機動六課にはあのフェイトちゃんレベルの猛者がもう五人! そして次点が一体と一匹!! かくゆーウチも本気出せばそいつらに負けへんで!!
 ウチら機動六課のお仕事はムガンの殲滅! つまり今言った五人と一体一匹が、もうすぐ皆纏めてここに大集合っちゅー訳や!!
 あと少しや! あと少しウチらが踏ん張れば、最強のご都合主義軍団が到着する!! そしたらあんなメカクラゲの千や二千、チャンチャンバラバラの瞬殺や!!
 ――だから皆、それまで頑張ろー!!」

 演説を終え、はやては勿体ぶったようにゆっくりと両腕を下ろした。

 次の瞬間、まるで地を揺るがすような騎士達の咆哮が戦場に轟いた。
 溺れる者は藁をも掴む――絶望の波に呑まれた人間は、目の前に差し出された希望に飛びつかずにはいられない。
 たとえそれがどんなに小さなものであっても、逆にどんなに荒唐無稽なものであっても。


193 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 21:13:27 ID:MvhQg/Bn
支援、THE・物量なアンチスパイラルw

194 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 21:14:40 ID:aaZJvviS
物量こそ力だ! 支援!!

195 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/29(火) 21:15:11 ID:kO4HAIOv
 これで暫くは大丈夫……希望を取り戻した騎士達を満足そうに眺め遣り、はやてはこれからの段取りを考え始める。
 まずはシャッハを通じてカリムと連絡を取り、自分の出力限定を解除して貰う。
 同時に機動六課に連絡、なのはと新人達を大至急こちらに向かわせる。
 新人達の到着後はなのはの出力限定も解除、自分とフェイトとの三人で空の敵を一気に叩く。

 大まかな流れを脳内で纏め上げ、はやては大きく深呼吸した。
 大丈夫、自分ならばやれる……気合いを入れるように両手で頬を叩き、はやては顔を上げた。
 周囲に散在する騎士達が、皆はやての顔を見つめている……行動開始の合図を待っているのだ。
 いつから自分はこいつらの親玉になったのだろうか……絶対的な信頼と共に自分に向けられる騎士達の視線に、はやては照れたように頬を?いた。
 越権行為で後で始末書確定だなーという後ろ向きな思考は取り敢えず心のゴミ箱に放り込み、はやては表情を引き締めた。

「皆……気合い入れていこーか!!」

 えいえいおー……元気良く拳を天に突き上げるはやてに、騎士達は雄叫びで応えた。

(あのー、はやてちゃん? 凄く盛り上がってるところに水を差すようでとてもとても恐縮なんだけど……)

 困ったような、物凄く困ったような声色で、フェイトが念話で話しかけてきた。

(――さっきグリフィス君から連絡が入ったんだけど……なのは達はもう別件で出撃しちゃってるんだって)

 唐突に聞かされたフェイトの爆弾発言に、はやての時間は凍りついた。

(……ごめんフェイトちゃん、何やウチ居眠りしとったみたいや。悪いけどもう一度言ってくれんかな?)

 ぎこちない口調でそう問いかけるはやてにフェイトは嘆息し、グリフィスから伝えられた内容を親切丁寧に話し始めた。

(ミッドチルダ東部の山岳地帯を運行するリニアレールが謎の魔導機械に襲われたって、管理局に通報が入ったのは発端。
 その後ムガンまで現れたらしくて、本部は機動六課に出動を要請……ついさっき、なのはちゃんが新人をつれて出撃したんだって。
 はやてちゃんの通信機に幾ら掛けても繋がらないからって、私の方に回ってきたんだけど……)

 今度こそ、はやての時間は止まった。

 そう言えば演説中に何かがピコピコ鳴ってたよーなとか最初にムガン出現の連絡は入れたけどなのはちゃんたちが出張る必要なしと出撃突っぱねたんだったとか、
思い起こせば続々と出てくる若さ故の過ちという名の失態に思わず頭を抱えたくなるはやてだったが、全てはもう後の祭りである。

 始末書やー首切りやーとゆーかウチら生きて帰れるんやろかーと、この世の終わりにように呻くはやての思念が、念話の回線越しにフェイトの頭の中に叩きつけられる。

(一応六課にはシャマルとザフィーラがいるし、リィンも何故か残ってるみたいなんだけど……)

 ――輸送ヘリもなのは達運ぶのに使用中だから、人はいるけど足が無い……非情な現実に打ちのめされるはやてに、フェイトは追い討ちをかけるように報告を続ける。

 そして……、

(つまり私達、絶対絶命ってことだね)

 これがトドメだった。

(う……)
(う?)
(うわぁああああああああああん! ウチの馬鹿馬鹿馬鹿あああああああああっ!!)

 過酷過ぎる現実に理性が決壊したのか、子供のように泣き叫ぶはやて。
 しかしその慟哭はあくまで念話越の中だけ――つまり妄想の範囲内――に収まり、現実のはやては何事もないかのように平然と騎士達を煽っている。
 本音と建前がここまで乖離しているのも珍しいものだと妙なところで感心しながら、フェイトはムガン群へと視線を戻す。


196 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/29(火) 21:16:06 ID:kO4HAIOv
 
 機動六課は、なのは達は助けに来ない……ならば自分達で、何とかするしかない。
 絶望的な戦いが、始まろうとしていた。



天元突破リリカルなのはSpiral
 第8話「騎士はやて……貴女は、卑怯だ……!」(了)


197 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/04/29(火) 21:18:40 ID:kO4HAIOv
以上、投下完了しました。
今回は改行に苦戦してしまい、読みにくい箇所があったかもしれません。

前回GJコールくれた方々、今回支援してくれた方々、この場を借りてありがとうございます。

198 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 21:23:07 ID:MvhQg/Bn
GJ!!です。
そろそろ、ラゼンガン登場待ちでわくわくしてたら・・・何ィィィ!
来ないんですか!LIVEでピンチだw

199 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 21:27:04 ID:EJtGl7mh
なんという最悪の事態・・・!
えーっと、想定しうる打開手段は・・・?

ここはひとつ“この作品の六課”メンバーで、
今回名前が出てこなかったジョーカーさんの活躍に期待してみますww

200 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 21:36:33 ID:UItZdpr6
GJしかしはやて大丈夫か無事に解決しても明らかな過失なわけで
迅速な展開を目的として設立されたのにいきなり看板倒れ。
かなり重大な責任問題なるのでは。

201 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 21:44:43 ID:6nam38E5
GJ!
ところでフェイトはなのはやはやてにちゃん付けはしてなかったと思ったが。
あと副隊長ズはどうしたんだろう?

202 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 21:50:06 ID:EJtGl7mh
>>201
列車の方についてったんじゃね?
シャマル先生とわんこしかいない訳だし

203 :×DOD ◆murBO5fUVo :2008/04/29(火) 22:22:11 ID:3IBpxFNA
保証期間終了直後のノートPCが天に召されました\(^o^)/

というわけで携帯からなのですが、予約ってどうなってるんでしょう。
23:00〜23:30周辺って空いてますでしょうか。

204 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 22:24:52 ID:kO4HAIOv
22:30に予約が一本ありますので、もう少し空けた方がよろしいかと。

205 :×DOD ◆murBO5fUVo :2008/04/29(火) 22:26:58 ID:3IBpxFNA
>>204
了解であります。
ご報告下さりありがとうございます。

206 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/04/29(火) 22:27:15 ID:xTSE3w3L
もう間もなく時間ですのでグラヴィオンStrikerSの番外編を投下したいと思います。
出来れば支援もお願いします。

207 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 22:31:27 ID:MvhQg/Bn
支援

208 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/04/29(火) 22:34:14 ID:xTSE3w3L
 超魔法重神グラヴィオンStrikerS番外編 機動六課、原作キャラに会いに行くの巻



「あの、これはどこに行くのですか?」
「それはね…、あそこだよ」

 リムジンに乗る機動六課の面々。スバルがヴェロッサに尋ねると同時にリムジンが暗いトンネルを抜け、ヴェロッサは窓を開けて指を刺すとそこにはでかい屋敷が立っていた。
 機動六課の面々はあのでかい屋敷にご招待されたのだ。

「でも、何でまた?」
「僕達が今グラヴィオンを使って戦ってるけど、やっぱり本家の人達に会っておこうと思ってね。それにこれはあの屋敷の持ち主が言い出した事なんだよ」
「そうなんですか〜」
「でもどんな人かしらね? その屋敷の主人は…」

 皆が色々な期待をしながら屋敷に向かう。
 リムジンが屋敷の門で止まり、門には大勢の召使の女性が並んでいた。

『ようこそ、いらっしゃいました!』
「うわ〜、すごいメイドさんの数……」

 スバルはあまりのメイドの数に驚きあふれんばかりであった。

「とりあえず、中に入ろうか」
「こちらです」

 メイドの一人が機動六課の人達を連れて行く。

「ここです」

 メイドが大きな扉を開けると、その前には大きな広間が存在していた。

「本当に大きい〜」
「あ、人がいるみたいだね」

 なのはが広間にあるソファーに腰をかけている6人の男女の姿を見つける。
 年はまだなのは達とそんなに変わらないくらいで、一番年上そうな女性でもドゥーエくらい、1番年下の女の子はリインくらいの少女であった。
 髪の色は男の子は青髪や赤髪、女性は茶髪、緑、金髪、銀色であったり、
 服装においては青い髪の少年は青を基調とした服、赤い髪の少年は白基調の服、茶髪の少女は赤が目立つ服だがいたって年頃の服装である。
 その一方で、金髪の女性は胸の谷間が明らかに見える服、緑の髪でメガネをかけている少女はメイド服に見えなくもない服、銀色の少女はフリフリの服だがどことなくリインと似た服装だった。

「ようこそサンジェルマン城へ……」

 広間にある階段から声が聞こえてくる。その声の主は黒い仮面を付けた男の人共に階段から下りて来る。
 声の主も男性だが、見た目は30代くらいの若い男性で、服装も年齢に見合った紳士的なものであった。

「初めまして、私がこの屋敷の主のクライン・サンドマンです」

 サンドマンは礼儀よく機動六課の人に対して頭を下げる。

「お久しぶりですね。サンドマン」
「ああ久しぶりだね、ヴェロッサ」

 サンドマンとヴェロッサが握手を交わす。

「元気そうで何よりだよ」
「そちらこそ…」
「それより、そこにいる彼女達が…」
「はい、僕が作ったグランナイツのメンバーです」

209 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/04/29(火) 22:35:18 ID:xTSE3w3L
 ヴェロッサはなのは達をサンドマンに紹介する。

「初めまして、高町なのはです」
「フェイト・テスタロッサです」
「ドゥーエ」
「スバル・ナカジマです」
「ティアナ・ランスターです」
「リインです」

 なのは達は自分の名前を紹介する。

「では、そちらの方は?」

 サンドマンがクロノの事を尋ねる。

「僕は機動六課にいてヴェロッサ・アコースの補佐をやっているクロノ・ハラオウンです」

 クロノの事を聞いてサンドマンの隣にいた黒い服と仮面をつけた男の人がクロノに近づき握手をする。

「初めまして、レイブンと言います。私もサンドマンの補佐役をやっています」
「あなたもですか…」
「その様子だとあなたも苦労しているようですね」
「そちらも…」

 二人はそのまま互いの顔を見つめあい、そして突然抱き合う。

「な、何故?」
「お互い何か気が合うところが出来たのかな…」

 突然の事でティアナは驚くが、ヴェロッサが笑いながらその様子を見る。

「では次に我々の牙のグランナイツを紹介しなければ……」

 サンドマンはソファーに座っている少年少女達の方に顔を向け、彼らはソファーから立ち上がって自己紹介をする。
 まずは青い髪の少年が自己紹介をする。

「僕は斗牙(とうが)、天空侍斗牙です」

 その次に赤い髪の少年、金髪の女性、茶髪の少女、メガネの少女、リインと雰囲気の似ている少女が自分の名前を言う。

「俺は紅(しぐれ)エイジ」
「ミヅキ・立花よ」
「城(ぐすく)琉菜です」
「エィナと申します」
「リィルです」

 サンドマン達のグランナイツもなのは達に向かって自己紹介した。

「斗牙はグランカイザー、エイジはGアタッカー、ミヅキがGストライカー、琉菜とエィナがGドリラー、リィルがGシャドウのパイロットだ」
『ああ、やっぱり』

 サンドマンが自分達の操縦者の乗る機体を言うと皆が予想通りと言うような顔をする。

「では今度はこちらですね。こっちは少し変わってましてグランカイザーには交代で二人乗るんですが、とりあえずメインでいきましょう。
クランカイザーはスバル、Gアタッカーがなのは、Gストライカーがドゥーエ、Gドリラーにフェイトとティアナ、そしてリインがGシャドウに乗りますが、
なのはとスバルは時々乗る機体を変えます」
「へえ、そっちは変わってるんだな。グランカイザーを交代で乗るなんて…」

210 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/04/29(火) 22:36:26 ID:xTSE3w3L
 ヴェロッサの話を聞いて、エイジが変わった感情を持つ。

「本当はグランカイザーはなのはのだったんだけど、なのはがスバルを乗せたいというから乗せたらなのはに匹敵するほどだから交代させたのですよ」
「つまりエイジと違ってスバルは才能があったんだ」
「ちょっと待て、誰が才能ないって…」

 琉菜の言葉にエイジは頭に来る。

「だってそうじゃん。グランカイザーに乗った時すごい疲れた顔してたじゃない」
「慣れれば俺だって斗牙くらいになれるぜ」
「まあまあ二人とも落ち着いて…」

 なのはがケンカするエイジと琉菜の間に入る。

「そう言えばさ、あんたがGドリラーのパイロットだよな?」

 エイジがふとティアナに尋ねる。

「ええ、そうだけど…」
「何か、お前髪型はともかく…、性格が琉菜みたいで凶暴そうだな」

 エイジが笑いながら言う。それを聞いた琉菜とティアナは怒りの炎を燃やす。

「エイジ、あんたって奴はーーーーー」
「お、落ち着けって、あんたも何か言ってくれよ」

 エイジがフェイトに助けを求める。

「さすがにエイジが悪いから助けない」
「そんな〜〜〜」
『この馬鹿たれがーーーー』

 ティアナと琉菜はエイジの顔面目掛けて怒りの鉄拳を打ちかまし、二人の鉄拳は見事エイジに命中する。

「まったく…」
「そうだ。あなたって、グラヴィオンと合神する時どっちのドリラーに乗ってる?」
「あたしは左でフェイトさんが右だけど…」
「わあ、偶然! あたしもレフトドリラーなんだよ」
「へえ、そうなんだ」

 同じような性格でGドリラー(しかも同じレフトドリラー)乗りだからか、ティアナと琉菜は仲良くなる。

「仲良くなったわね」
「本当」

 ドゥーエとミヅキが大人の反応を示し、お互いの心の内側を見るようにドゥーエとミヅキは互いの顔を見る。

(この女……)
(何か隠してるわね……)

 二人とも考えている事は一緒だった。そして二人は握手を交わす。

「よろしくね…」
「こちらこそ…」

 二人の顔はなにやら冷めている表情だった。

211 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/04/29(火) 22:37:22 ID:xTSE3w3L
 その傍らでリインとリィルが話す。

「あなたもリインのように一人ですか?」
「ううん、この子ロロットが一緒だったよ」

 リィルが自分の肩に乗るフェレットをリインに紹介する。

「でもね、今は違うの。今は斗牙さんにエイジさんにおじさま、それに他の皆もいるからね…」
「リインと同じですね。リインもユーノさんだけだったですけど、今はヴェロッサさんになのはさんにフェイトさんにスバルさんや他の皆さんがいるです」

 リインとリィルは笑顔でお互いを語り合う。

「いててて…」
「大丈夫?」

 スバルが先ほどティアナと琉菜の鉄拳をくらって倒れているエイジを起こす。

「すまねえ。えーと、スバルだっけ?」
「そうだよ」
「お前、グランカイザーに乗ってるって言うけど、本当なのかよ?」
「本当だよ。話によると、本当はあたしはGアタッカーに乗る予定だったけどなのはさんの推薦でグランカイザーに乗ってる」
「でも、さっき交代で乗ってるって…」
「まあ、たまになのはさんがグランカイザーに乗ることがあるってだけでほとんどあたしが乗ってるんだよ」

 その話を聞いてエイジが羨ましがる。

「いいな〜。俺ももう一回グランカイザーに乗ってみてえ〜」
「出来ると思うよ。エイジなら…」

 スバルとエイジの間に斗牙が入ってくる。

「斗牙」
「だって初めて乗った時はすごい動かせたもんね」
「ところでスバル、お前は初めて乗った時どのくらい動かせた?」
「え〜と、グラヴィトンソードを出すところまではいけたかな…」
「はあ〜、俺より動かせてるじゃないか…」

 エイジは落胆してしまい、斗牙とスバルが懸命に励ます。

「皆、仲良くなってるね」
「そうですね」

 なのはとフェイトとエィナがみんなの仲良くなっていく様子を見る。
 フェイトの前にある女のシスターがやって来る。

「あの、すみません」
「何か?」
「お酒飲めますか?」

 そのシスターは突然フェイトに酒を勧めたのだ。

「ごめんなさい、私まだ未成年なので…」
「そうですか…」
「でも何でまた急に…」
「どうも他人のような気がしないので…」

212 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 22:39:27 ID:kO4HAIOv
支援

213 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/04/29(火) 22:45:00 ID:xTSE3w3L
 そのシスターは照れくさそうに頭をかきながら答える。

「ああ、そう言えばまだアースガルツのオペレーターの諸君を紹介してなかったね」
「こちらもですよ」

 サンドマンとヴェロッサは自分達のオペレーターを紹介する為、互いのオペレーター達を呼び集める。

「では今度はこちらからが紹介しよう」
「テセラと言います」
「ぱよ、チュイルです」
「マリニアです」

 三人のメイドオペレーターは簡単な自己紹介をする。(ちなみに先ほどフェイトに酒を勧めたのはマリニアである。)

「ではお次はこちらの番ですね」
「シャリオ・フィニーノです。シャーリーと呼んでください」
「アルト・クラエッタです」
「ルキノ・リリエです」

 シスターオペレーターも簡単な自己紹介を済ませる。

「それでは自己紹介を終えたところでパーティーでも……」

 サンドマンがパーティーを開始しようとしたら、突然Gコールと呼ばれるものが鳴り響く。

「Gコール!」
「ゼラバイア!」

 そうGコールとはゼラバイア襲来を知らせるものだった。

 ゼラバイアは2体現れ、サンジェルマン城の近くに降り立つ。2体とも剣の様な形をしていた。

「2体か…」
「とにかく、倒さないとね」
「でも、なのはさん。あたし達のグランディーヴァはありませんよ」
「その心配は要らないよ」

 ヴェロッサがそう言うと、サンジェルマン城の前に突然転送魔法の魔法陣が現れ、そこから機動六課のグランカイザー及びにグランディーヴァが現れる。

「皆、おまたせ!」
「ユーノ君、ありがとう」

 ユーノが急いで転送魔法で持ってきてくれたのだ。フェレット姿のユーノを見てエイジ達は驚きを隠せない。

「フェレットが喋ってる……」

 しかし驚いている暇はない。すぐにゼラバイアを倒すためにアースガルツのグランナイツ、
 機動六課のグランナイツはそれぞれ自分達の機体に乗る。そしてゼラバイアの前に到着する。

「そっちのグランカイザーは誰が乗ってるんだ?」
「私だよ」

 エイジの疑問になのはが通信で答えた。

「なのはか…。てことはスバルがGアタッカーか?」
「そうだよ」
「でも何でまた?」
「今回は何となくなのはさんにしようかなって…」
「ふ〜ん」
「とりあえず、お前達話は後にしろ」

214 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/04/29(火) 22:46:11 ID:xTSE3w3L
 レイブンとクロノがスバルとエイジを叱る。

『よし、斗牙(なのは)エルゴフォームだ』
『はい!』

 サンドマンとヴェロッサはなにやらポーズをとろうとする。

『グランナイツの諸君、合神せよ!!』
『えるご、フォーーーーーーーム』

 サンドマン、ヴェロッサの承認を受け、斗牙となのははエルゴフォームを発動させ、グランカイザーの周りに重力子フィールドが覆う。

『超重合神!!』

 二人は自分の前のパネルを押す。互いのグランカイザーには互いのグランディーヴァが合神していき、二つのゴッドグラヴィオンが誕生した。

『超重合神! ゴッド、グラヴィオーーーーーーーーン!!』

 サンドマンとヴェロッサが互いに叫ぶ。

「何となく言ってみたかのだよ」
「僕もです」

 二つのグラヴィオンは2体のゼラバイアの前に立つ。

「よし、一気に決めるぞ」
「こっちもいくよ!」
『おう!』
『はい!』
『グラヴィトンソーーーーーード!』

 斗牙となのははグラヴィトンソードを展開させて、ゴッドグラヴィオンは互いのソードを握る。

『いくぞ(よ)ーーーーー!!』

 斗牙の操るゴッドグラヴィオンは上に上がり、なのはの操るゴッドグラヴィオンは横に走る。

『エルゴ、エーーーーーンド!!』

 斗牙の方は上から振り下ろし、なのはの方は剣を横に振る。
 それはまるで十文字を描く斬り方で、縦一直線にいたゼラバイアは二つのグラヴィトンソードを受けて、2体ともクロスに切れて爆散する。

「終わった…」

 そしてゼラバイアを倒した後にサンドマン主催のパーティを改めて執り行われ、皆が騒ぎあう。
 パーティ終了後機動六課は帰還する事になる。

「また会おうぜ」
「うん」
「リイン、元気でね」
「リィルもです」
「琉菜、頑張りなさいよ」
「ティアナもね」
「まあ」
「あんたも頑張りなさいよ」

 エイジとスバル、リィルとリイン、琉菜とティアナ、ミヅキとドゥーエが別れの言葉を交わす。

「それじゃあ、お元気で」
「エィナ、無理はしないようにね」

215 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/04/29(火) 22:46:34 ID:xTSE3w3L
 フェイトがエィナに無理はしないように言う。

「なのは、これからもよろしく」
「斗牙君、こちらこそ…」

 斗牙となのはも別れ際の言葉を交わす。

「それじゃあ…」
「ああ、さようなら。我が友……」

 サンドマンとヴェロッサが挨拶を終え、皆リムジンに乗り込み聖王教会へと帰っていった。
 帰りのリムジンに乗るなかスバルがぼやく。

「また会えるかな…」

 ヴェロッサがスバルの悩みに答える。

「また、会えるさ。同じ志を持つものだからね……」



おまけ

「くうーーーーー! ダブルグラヴィオン、かっこいいぜ!」

 先ほどのダブルゴッドグラヴィオンの戦闘を見ていたアレックス・スミスは歓喜の声を上げる。
 彼は熱烈なロボット好きで、特にデカイロボット(通称スーパーロボット)が好きである。

「でも、何でグラヴィオンが2体あるんだろ?」

 彼は今まで1体のゴッドグラヴィオンしか見たことがないので当然思う疑問であるが…。
「でも、やっぱりかっこいいぜ! 俺も乗り手えーーーーーー!!」

 スミスはそんな事をあまり気にせず、2体のグラヴィオンを見てますますグラヴィオンに対する憧れが強くなったそうだ。



 終わり


「ちょっと待ちなさいーーーーーー!」
「私達の出番なしで終わるんですか!?」
「出番…」

 サンジェルマン城でサンドマンに仕えるちびっ子メイドの赤い髪の少女ブリギッタと茶髪のアーニャが怒りながら自分の本音をぶちまけ、黒くて長い髪のセシルも静かに本音を言う。
 しかしこれで終わりなのでごめんなさい。



 本当に終わり

216 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/04/29(火) 22:49:40 ID:xTSE3w3L
投下完了。
正直な話、5月の1日から避難所で始まるイベントに本家のグラヴィオンキャラを出したくて書きました。
突貫的な部分があってごめんなさい。でもサンドマンはやっぱり色々いいですね。
一応言っておきますが、これはよくアニメの映画などである世界であり、互いの本編の時系列とは関係ありません。
次の投下は第4話になります。

217 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 23:05:03 ID:VBGieYQU
.....?

218 :メビウス×なのは ◆ga/ayzh9y. :2008/04/29(火) 23:16:39 ID:unFjaVUn
>>216 超重氏
GJです。
グラヴィオンはスパロボ最新作に参加するというのもあるから、色々と気にはなっていました。
これを機に、拝見させていただきたいと思います。


さて、ようやくウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのはの最新話が書き終わりました。
今はDOD氏が予約をなさっているようですので、その30分〜1時間程後に続けて投下をさせていただきたいと思います。

219 :×DOD ◆murBO5fUVo :2008/04/29(火) 23:24:20 ID:3IBpxFNA
メビウス氏、申し訳ないです。

23:35より、投下を開始したいと思います。DODの方です。

220 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 23:36:55 ID:KB48Ib4o
支援

221 :×DOD 五章九節 0/6 ◆murBO5fUVo :2008/04/29(火) 23:37:21 ID:3IBpxFNA
では、根性の携帯投下を開始します。
6レスです。

222 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 23:37:45 ID:UM2J1OOr
よーしパパ支援しちゃうぞー。支援

223 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 23:37:56 ID:unFjaVUn
支援いたしやす

224 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 23:40:44 ID:MvhQg/Bn
支援

225 :×DOD 五章九節 1/6 ◆murBO5fUVo :2008/04/29(火) 23:41:38 ID:3IBpxFNA
 地上の敵は全て殲滅し、空の連隊は撃滅が終わった。増援の気配はなく、時空管理局、あるいは
「機動六課」としての戦闘は一段落、ということになる。
 引き続いて周囲を警戒、新たな召喚が確認されないようならば即時現場検証。シャマルを中継して
はやてからはそう通達された。地上戦を終了したヴィータ、ティアナ、スバルのスターズ分隊と、
援護に駆けつけたザフィーラに向かって。
 奇妙な敵であった。命無き鎧と生きた箱、強靭なシールド、ガジェットの中に混ざっての襲撃。
さらに考えるなら、会場内にレリックがなかったため、果たして本当にレリックが目的だったかも
わからない。見た目の奇怪さも手伝って、そう意味ではある種の不気味さすら残した戦闘だった。
 速やかにデータを回収せねばならぬのは必定だが、しかし不意討ちされると痛い。それにこちら
から叩くことは出来よう筈もない。それ故の「待ち」。
 カイムが場を離れたのもイレギュラーと言えばイレギュラーだが、こればっかりはどうしようも
ない。ヴィータたちを捜索に回しては、ホテル前の守備はゼロ。それに防衛戦であろうがなかろう
が、人一人を探しに広範囲に散ったところを狙って各個襲われてはお話にならない。
 彼への援護、そして捜索は、空にいるドラゴンとフェイトたちに任される運びとなった。契約を
したドラゴンがいる方が見つかりやすいし、陸より空中にいる者の方が目が利くのは当然の理だ。

「あいつ、こいつらを、知ってたのかもしれねぇ」

 グラーフアイゼンでぶっ叩いて壊した、シャドウの亡骸から外れた鋼板を拾い上げつつ、まるで
確認するかのようにヴィータは呟いた。
 警戒中とはいえ、召喚や接近があれば直ぐに分かる。念のための待機といえ、戦闘終了の気配は
濃厚だった。注意は張っていても、いくぶん余裕がある。

「たぶん……きっと」
「ただ狂っていた、或いは……愉しんでいたようにも見えたが?」

 聞き付けて、ザフィーラが問い返した。盗み聞いたのではない。ヴィータ自身どういうつもりか
無意識なのかはわからなかったが、ザフィーラに聞こえる声量だった。
 心の何処かで、聞いて欲しいと思ったのかもしれない。

「あいつ、ガジェットには、あんな顔しなかった。見向きもしなかった。だから……」
「個人的な感情、怨みがあると言うのか? 未知の敵だぞ」

 だがそこでザフィーラは、いや、とひとつ言葉を区切った。ヴィータの推測、言わんとする事が
分かったのだ。なるほど確かに、疑問にも説明がついた。
 異界から現れ、ミッドチルダにやってきた男と竜。彼らが生きた世界は誰も知らない。それ故、

「同郷の者であるなら……何もおかしいところはない。矛盾はない、か……」

 ヴィータの言いたかったのは、正にそれだった。小さく頷く。肯定の意思。
 だが仮にそうだとして、問題はそれがどうして、カイムたちを追うようにこの世界に現れたか。
 それに加えて何故、ガジェットに混ざり現れたのか。偶然ではあるまい。ならどうして。何故?

226 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 23:45:01 ID:AjQwVIcs
支援

227 :×DOD 五章九節 2/6 ◆murBO5fUVo :2008/04/29(火) 23:45:28 ID:3IBpxFNA
「……思うところはあろうが、考えに耽っても仕方はない。今は持ち場、だ」

 正直な話嫌な予感が満載であるが、現時点では晴れることのない疑問であるのも確か。二人とも
考えを巡らせるが、答えなど得られようはずもない。悟ったザフィーラが先に思考を切り上げた。
警戒のみではあるが、今はとにかく任務の遂行こそ最優先だ。考えるのは後でいい。

「わかってる。……二人とも、怪我はねぇなっ」
「はいっ!」
「はい」

 ザフィーラさん喋れたんだ、などと溢していたスバルの元気な返事。ティアナの落ち着いた声。
外傷もない。ヴィータは続けた。

「考えるのは後にすんぞ。第二陣が無いとは言えねーから、固まってた方がいい。ここで待つ」

 隊長たちの話はスバルとティアナにも聞こえていたため、カイムらと「敵」についてはこれ以上
考えても仕方がないと、二人も悟った。
 もちろん衝撃の余韻は、まだ心の中に燻っている。狂人のようなあの顔、怖気の走るあの笑み。
静かなあの男があんなふうに豹変するなんて……そんなショックは、決して弱いものではない。
 しかしそれはヴィータも、ザフィーラも同じこと。自分たちばかりがいつまでも、気にして考えて
注意を散漫にしてはならない。今は任務中なのだ。

「ティア、行こ?」

 目が醒めるようなあの男の顔を未だ頭にちらつかせたまま、しかしスバルはティアナを呼んだ。
自分への気付けの意味もあったのか。

「ん」

 ティアナは、やはり静かに答える。その言葉の印象にその胸中に一瞬スバルの頭を何かがよぎる。
 しかしその正体を知ることはできず、結局スバルはティアナと肩を並べて歩きだした。

 スバルのこの感覚は、実のところ正しかったと言える。ティアナの胸中には、どうしようもなく
渦を巻く、あるひとつの思いがあった。
 カイムとヴィータを包囲から救ったのはスバル。敵を仕留めたのはヴィータとカイムと、後から
来たザフィーラ。
 スバルの援護こそ完遂したし、それ自体は決して軽いものではないのだけれど、だがそれでも、
敵を退けたのは彼らの方だ。

(わたし……何も、できなかった…………)

 無力感。圧倒的無力感だった。

228 :×DOD 五章九節 3/6 ◆murBO5fUVo :2008/04/29(火) 23:48:52 ID:3IBpxFNA



 空のガーゴイル、地上のシャドウ。それらは自分たちの世界の異形であると、ドラゴンは手短に
フェイト達に告げた。同時にそれら魔物は、カイムの敵、「帝国軍」との戦いにまぎれていたもの
であり、旅の中で幾度となく対峙してきたとも。
 彼らが最後に戦っていたという「母天使」、そしてその由来である世界の調査には、フェイトの
義兄クロノが関わっている。彼の話によると彼らの世界は全く発見できず、信じられないことだが
時空管理局でさえ関知できぬ領域にある可能性が高い……フェイトはそう聞いていた。そのため、
ある程度は納得できた。
 ただ他の三人――キャロ、エリオ、シグナムはその限りではない。
 特に自然保護隊に所属していたキャロの驚きはひとしおであった。岩石の無機質さと、肉の体の
生々しさを兼ねたあの立方体の何者かは、彼女が今まで見てきたどの生き物とも一線を画している
ように思われたから。

「……カイムさんに、何が、あったんですか」

 しかしそれ以上に彼らが気になるのは、やはりあの男の方であった。
 震える声でキャロは言った。
 彼と同じ「竜と共に生きる者」として、幼さも手伝ってか憧憬を感じてもいた。そういうことも
あってキャロはカイムのことを、機動六課の誰よりも見てきたつもりだった。
 きっと複雑な人生を歩んできたのだろうということは、心臓を交換する「契約」を竜とかわした
ことからわかっていた。それが決して平坦な道では無かったことも、契約者の力の強大さと代償の
重さから想像がついていた。
 しかし実際にその道がどのようなものであったのか、そこでカイムに何があったかを、キャロは
知らない。知らなかった。

「……何も起こってはおらぬ。あれがあやつの本性、正体。ただそれだけよ」

 ドラゴンはカイムの消えた空を見やりながら、翼をゆるゆるとはためかせつつ、暫しの間の後で
静かに口を開いた。紡がれたのは事実であり、ありのままの真実だった。それに対して尚キャロは
食い下がる。

「でも、あんな……あんなのっ……!」

 焦燥に突き動かされてか、珍しくキャロは語を荒げていた。取り乱したと言った方が正しいかも
しれない。
 複雑な事情はあっても、根はきっと温厚で穏やかな人なのだと、出会ってから今まで彼らのいる
森をおとずれることが多かったキャロはそう思いつづけていた。カイムは静かで厳かで無表情で、
そっけない人間だったけれど、しかしドラゴンに向ける視線だけはどこか温かい光を帯びていたから。
だからきっとその考えは、間違っていない、筈だったのに。
 キャロが口にすることはなかったが、それはドラゴンが聞いても否定する類の話ではなかった。
かつて旅を共にしたカイムの妹フリアエから、彼が生来は温和で優しい男であったと聞いている。
フリアエがカイムに対して、実兄へのそれ以上の慕情をいだいていたことを差し引いたとしても、
血を分けた兄妹の言葉に大きな間違いはなかろう。
 ただその穏やかさを、狂気が塗り潰しているだけのこと。

229 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 23:50:23 ID:unFjaVUn
カイム……支援

230 :×DOD 五章九節 4/6 ◆murBO5fUVo :2008/04/29(火) 23:53:12 ID:3IBpxFNA
「そう。あれは……狂っておる。戦いに、血肉の匂いにな」
「命を奪うことに、ですか……?」
「相違無い」

 やりとりを引きついだシグナムの言葉を聞いて、感情の激流に耐えられなくなったか、キャロは
今にも泣き出しそうな顔になったまま自分の口を閉ざしてしまった。これ以上の言葉を声に変える
ことは、もう叶わなかった。
 そしてそれはその場にいた誰しも、フリードリヒの背に乗るエリオとシグナム、魔法で宙に浮く
フェイトも同じことで、それから先口を開こうとするものはいなくなった。
 あれはもう、どうしようもなく、咎人の目であった。人殺しの顔だった。
 少なくともキャロたち魔導師の目の前では、カイムは口が利けない事を除いたとしても、静かで
穏やかな人間だった。それがあんな。あんな顔になるなんて。
 ひどすぎる。キャロは恐ろしさを感じると同時にそう思った。カイムの人生の激しさを思って、
沈黙した。彼を豹変させたのは、あの恐ろしい笑みを彼にもたらしたのは何なのだろう。
何がカイムを狂わせたのだろうか。
 それはきっと想像もつかぬほど、凄惨で残酷な。

「…………」

 ストラーダの槍を握り締めるエリオの、ちいさなてのひらが固く握り締められる。
 暗い暗いあの闇の目は、彼にとっても全く身に覚えが無いものではない。フェイトに触れてから
記憶の底に封じてきた、己の壮絶な出生が思い起こされていた。
 「誰にも出会わなかった」と、ドラゴンはそう言ったのだ。真意は定かではないが、その言葉が
もし自分に当てはまっていたらと思うと、エリオは背に冷たいものを感じずにはいられなかった。
人間としてこの世に在ることすら許されぬあの悪夢のような暗い場所で、もしフェイトに巡り会わ
なかったなら、今の自分もあの病んだ目をしていたのだろうか。壊れた顔をしていたのだろうか。
 あれは竜が言った、キャロに有り得た結末でなく、自分が辿るべき末路だったのではないのか?
そう考えるとエリオには、カイムのあの姿が他人事には思えなかった。自分と種類は違っても彼も
また、気の狂うほどの苦しみを味わってきたのは簡単に推測がつく。
 運命に翻弄され地獄のような苦痛を味わって、精神の破壊を逃れた者と逃れ得なかった者。その
違いはきっとほんの些細な差であって、隔てるものは殆んど無かった。荒みきった心で生きた事が
あり、それでもなお救われたエリオには、そのことが痛いほどに分かっていた。
 そしてそれはシグナムも、そしてフェイトも。

「……急いだ方がよい。カイムはおぬしらとの約束なぞ、もはや欠片も覚えておらぬぞ」

 そうして何も言わなくなった魔導師たちに、ドラゴンが声をかけた。キャロが、え、と顔を上げる。
 赤き竜の視線は、カイムが飛び去った方向にむいている。空中に留まるための、翼のゆるゆると
した羽ばたきが、加速のための力強いそれに変わりはじめていた。
 何を急ぐのか。フェイトが問うと、ドラゴンは答えた。

「なにを愚図愚図しておる。あやつの逆鱗に触れた者で、今まで無事に済んだ人間はおらぬのだ。
探し出さねば捕らえる前に斬り殺されるぞ」

 それはフェイト達にとって、十分すぎる
言葉だった。
 あの男は本当に人を殺すのだと、嫌でも認めさせられるには。

231 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 23:55:25 ID:xl8HQVOu
闇の王女おもしろいわー。
全力支援ですよ。
両作品の刷り合わせうまいですねー。

232 :×DOD 五章九節 5/6 ◆murBO5fUVo :2008/04/29(火) 23:55:25 ID:3IBpxFNA



 秘められし拡散する炎の魔法で、必要とあらば森を焼き逃走経路を奪う。其の心算で竜の背から
受け取った大理石の長剣「月光と闇」。幾多の命と血を吸い続け、毒々しく染まった紅のつるぎ。
 その魔の剣身を伝ってカイムの手に届いた反応は、重い斬撃に反して軽いものでしかなかった。
 不可視となった状態から繰り出された剣は、発見し接近した紫色の髪の少女の、デバイスらしき
宝玉を嵌めた片腕を斬り飛ばしている筈だった。魔法を司るデバイスさえなければ魔導師など只の
人間に過ぎぬと、そう踏んでの奇襲であった。だが腕は奪えなかった。外されたのだ。横合いから
何者かが少女に飛び付き、護るように抱きしめ地を転がり、剣が届く前に間合いから逃げられた。
 斬れたのはその際掠めた男の肩でしかない。それもごくわずか。血糊が剣の先に付着しているが
それも微量。殺し損ねた。微量の血。微量のの血血血血? 血??

 血? 血? 血? 血? あかい血? 血、剣、血? ち。紅。あか? 血? 血? 血???

「どうして……」

 そこから離れて、ルーテシアは問いかける。さらわれて感じた草のクッションと、鼻腔を駆ける
大地のにおい。それら森の感覚に混じって伝わる、抱きしめる人の気配は見知った男のそれだった。
 片膝をつき肩に手を当て傷を確認し、それでも視線だけは前方から動かさずにいる男の手に血を
見て、彼女はようやく敵が居たということを知った。
 何故彼は、気づくことが出来たのか?

「……森に、救われた」

 その男、ルーテシアの危機を救ったのはゼストだった。
 表情には珍しく、隠しようもない焦りが顕れている。問いへの答えも大きく息をしながらのもの
であった。
 目はもと居た場所に向けられたままだ。尻をついたまま尋ねたルーテシアは、襲われたことこそ
わかるものの、何が起こったかの委細が掴めない。
 しかしやがて、見ていて気付く。ゼストの視線は先ほど彼女がいた場所の一面に、絨毯のように
茂る、野草の緑に向けて注がれていた。何かがあるのか。目で追いかける。
 下草には点々と、少女のそれとは明らかに異なる、大きな足跡が森の奥から続いていた。
 彼女とゼストが森へやってきたルートに対し、正反対の方向から踏み締められた跡であった。
ルーテシアは召喚魔法の使用中一歩たりとも動いてはいないし、ゼストの巡回経路ともまた違う。
それをゼストは見つけたのだ。その場所に何かが居ると、彼が確信するのは早かった。
 何者のそれとも知れぬ接近の足跡が独りでにルーテシアの方へ進むのを見たゼストは、反射的に
駆け出していた。進みが少女の背後でぴたりと止まったのを見た時は、それが彼女の危機であると
戦士の本能で悟っていた。そしてそれは正解であった。己の肩口を掠めていった、刃の付けた傷が
何よりの証であった。

 血、剣、つるぎ。ち? 紅いしずく。朱。赤い血、血、あか。あかあかあかああかあかあかあか

233 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 23:56:20 ID:AjQwVIcs
支援

234 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/29(火) 23:57:30 ID:UM2J1OOr
し、支援・・・

235 :×DOD 五章九節 6/6 ◆murBO5fUVo :2008/04/29(火) 23:59:22 ID:3IBpxFNA
 肌が焼けつく。ゼストの頭を過る、言い知れぬ悪寒。
 ルーテシアもまた奇妙な違和感を覚え、無事に済んだ片手のデバイス・アスクレピオスの魔石の
核を見る。紫の宝玉の輝きが、小さく、細かく揺れていた。
 後で思い返してみれば、それは少女が信頼する使い魔からの警告であったのかもしれない。
 それでも危機感が薄い彼女に対し、ゼストの感覚は彼の中で最大限に警鐘を鳴らし続けていた。
首を冷汗がつたうのが分かる。異様な未知の気配がそこにあった。

「アギトは……まだかッ」

 虚空であったはずの空間から、カイムの姿がずるりずるりと、彼らの目前に這い出るように現れ
はじめていた。無意識に少女を後ろ手に庇いながらゼストは、焦燥からか知らぬ内に言葉を吐く。
アギトが探しに出ているふたりの妖精たちを、これほど恨めしく思ったことは無かった。これほど
までに禍々しい、瘴気のごとき闇のにおいを、ゼストは未だかつて感じたことがない。
 やがて鮮血の剣を持った、ひとりの剣士が姿を現す。赤々とした刃を見たルーテシアは、まるで
随分前にゼストから聞いた、おとぎ話に出てくるの悪魔のようだと漠然と思う。

 あかいちあかいあかいそらあかいあかいつるぎあかあかあかあかあか、死血肉血にく、いのち。
 斬れ。奪え。戦え。斬れ。戦え。いのち。奪う、奪え。奪う。戦え、奪え。奪え。奪え。奪え。

 平穏の中で小さな血を見るのとは訳が違う。闘いの場の意識がカイムの精神を揺らし、剣の血が
切っ掛けとなって更なる狂気が呼び覚まされる。
 戦争と殺戮、断裂しつつある思考はその一点で集束した。カイムの中へと、戦いが還ってくる。
 唇が細い月の如くに歪んだ。剣の柄を握る力が倍に増える。どす黒い憎悪と戦いの歓喜が、波紋と
なってアグスタの森へと広がりはじめた。
 口元が三日月に曲がってわらい、並びの整った歯がニイと現れた次の刹那、男と少女はカイムの
背後に、歪曲した声の幻を聞く。



 奪わセろ。

236 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 00:00:36 ID:AjQwVIcs
覚醒支援

237 :×DOD ◆murBO5fUVo :2008/04/30(水) 00:01:09 ID:3IBpxFNA
書きはじめた頃にある名無しの方から、「カイムらしさがなくならないように」と頂いたお言葉。
PCを失いログを紛失した今でも、はっきりと覚えています。原作を何周も斬りまくって、
自分の中のEエンド後のカイム像を描いたらこのようになりました。ぶっ壊れた感じが上手く出て
いるといいのですが……。
というわけで、原作で戦ってるカイムはこんな人です。誇張表現ではないので悪しからず、むしろ
もっと壊れてるとか言わない。

カイムのキャラがぶっ飛んでる為か、描写量と戦闘量のバランスがちょっとアレなのが課題です。
スバルやフリードリヒやキャロにも、きっちり動いてもらえているとは思うのですが。

支援レスありがとうございました。長時間投下すみません。
最近はスレを覗く頻度が下がってきているので、質問やご意見なぞありましたら、今のうちにどうぞです。



238 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 00:01:10 ID:UItZdpr6
契約はしてはいかんぞルー子支援

239 :×DOD ◆murBO5fUVo :2008/04/30(水) 00:02:50 ID:/UyvxLk1
>>231
ごめんね。人違いでごめんね。

240 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 00:06:13 ID:GBsruHkZ
カイム怖いよカイム。
そりゃゼストも焦ります罠。
とにかくGJ!

241 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 00:08:26 ID:3BRWFADg
>>239
いやいや
あなたが謝る事じゃないですよ

242 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 00:09:04 ID:sWUSCdoa
GJです。
ああ、カイム……見事にぶっ壊れてますなぁ……
しかし、これでこそカイムというべきでしょうか。
凄いらしくて、面白かったです。


243 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 00:10:25 ID:RydJgh5d
真のカイムの恐ろしさ、味わわせていただきました。超GJ!
もうね、この場を切り抜けたとしても、
今後六課メンバーがどう彼に向き合っていくのかを考えるだけで身震いが……


244 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 00:12:08 ID:7gYmoqx7
GJしかし第3者視点で見れば少女に襲い掛かる
ただの危ない変態にしか見えないなカイムwそりゃゼストも飛び出しますよ。

245 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 00:13:21 ID:zcR6+vr9
GJ!
なんというカイム大暴れ!
敵には容赦せん!なカイムにドキドキです。ゲーム画面が思い浮かびます。
戦場に立つならルーテシアも覚悟を決めないとね。

246 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 00:13:48 ID:7gYmoqx7
管理局版蛆虫の巣に即効入れられても文句は言えないような気が。

247 :×DOD ◆murBO5fUVo :2008/04/30(水) 00:16:31 ID:/UyvxLk1
>>242
> しかし、これでこそカイムというべきでしょうか。

実はその一言がいちばん聞きたかったのです。
もうこれでご飯三杯は行ける。


>>246
これじゃあ……ねぇ。うん。

248 :メビウス×なのは ◆ga/ayzh9y. :2008/04/30(水) 00:25:20 ID:sWUSCdoa
先程感想をお書きしましたが、この場で改めまして一言。
DODさん、GJです。

それでは、自分は12:30頃に投下を開始したいと思います。
よろしければお時間になりましたら、支援できる方は支援よろしくお願いします

249 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 00:27:58 ID:6hyMuMlf
GJ!!です。
カイムの本領発揮だw皆が知ってるカイムが出たぞッ!!
サンドイッチを齧りながら、双眼鏡片手にカイムウォッチングだ。
この後の対応で六課の人たちが試される。

250 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 00:28:53 ID:Z3yX2znv
オメガ11イジェークト支援

251 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 00:30:49 ID:7gYmoqx7
しかしルー子の場合は契約したら何を失うんだろう。

252 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 00:31:29 ID:7gYmoqx7
っと支援

253 :メビウス×なのは ◆ga/ayzh9y. :2008/04/30(水) 00:33:12 ID:sWUSCdoa
それでは、時間になりました。
ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは 15話を投下して行きたいと思います。


254 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 00:33:17 ID:RydJgh5d
ウルトラ支援

255 :メビウス×なのは ◆ga/ayzh9y. :2008/04/30(水) 00:34:29 ID:sWUSCdoa
第15話「ウルトラマンの資格」



「デュアッ!!」

話は一時間と数十分ほど遡り、ヴィータが双子怪獣に敗れ去ったのと、丁度同時刻。
彼女が向かったのとは別の世界において、ダイナもまた蒐集活動を行っていた。
彼の目前に立っているのは、巨大な原住生物。
その生物は、大きさに見合うだけの戦闘能力は持ち合わせており、その分魔力も期待できそうな相手であった。
それだけに……ダイナは、少々梃子摺っていた。

(思ったより、長引いちまった……一気に勝負をかけないと!!)

既にカラータイマーは点灯し始めている……残る時間は少ない。
早急に勝負をつけるべきだと判断し、ダイナは一度相手との間合いを開いた。
その直後、ダイナの体色が真紅へと変わり、そして全身の筋肉が増強される。
高い火力とパワーを以て、敵を一気に殲滅する。
そう判断して、ストロングスタイルへとタイプチェンジをしたのだ。

「オォォォォォッ!!」

ダイナは身を屈めた後、力強く地を蹴る。
その体勢のまま、相手へと勢いよく急接近し……相手の下腹部へと、強烈なショルダータックルをぶちかました。
人間で言う鳩尾に直撃したのだろうか。
原住生物は悲痛な叫び声を上げ、下腹部を押さえたまま前のめりになる。
相手に対して無防備な姿を晒す事となったその決定的な隙を、ダイナは見逃さない。
素早く、相手の両脇から胴体へと両腕を伸ばし、しっかりと抱きしめる。
そして、そのまま全力を込めて相手を持ち上げ……

「デュアアアァァァァァッ!!」

勢いよく、脳天から地面へと叩きつけた。
豪快かつ強力な、必殺のパイルドライバー。
その衝撃により、周囲の土砂が上空へと舞い上がる。
それからしばしして、土砂が降り止んだ後。
ダイナはゆっくりと両腕を解放し……それと同時に、原住生物は地面にグッタリと倒れこんだ。
勝負は着いた……ダイナの勝利である。

256 :メビウス×なのは ◆ga/ayzh9y. :2008/04/30(水) 00:35:57 ID:sWUSCdoa
『ふぅ……シャマルさん、今大丈夫?』
『あ、はい。
今、病院を出る所だから……もうちょっと待っててくださいね』

ダイナはシャマルへと念話を飛ばし、自分の元にこれないかと連絡を入れる。
ヴォルケンリッター達と違って、今のダイナにはリンカーコアを摘出する能力は無い。
いや、厳密に言えばあるにはあるのだが……『ストロングスタイルである今のダイナ』には、それが出来ないのだ。
一回の変身に着き、タイプチェンジは一度だけ……もう一つの、蒐集が可能なスタイルには今はなれない。
その為、他のヴォルケンリッターに頼る以外に蒐集の手段は無く、こうしてシャマルを頼ったわけである。
一度、変身を解いた後にすぐ再変身という手段もあるにはあるのだが……それは出来ればしたくなかった。
変身は体力をそれなりに消耗する為、短期間にそう何度も変身していれば、それだけであっという間に力を使い果たしてしまう。
最悪、その所為で不測の事態に対応出来なくなるという事態も起こりうる……それだけは避けたかった。
ちなみにシャマルに連絡を入れたのは、単純に一人だけ手が空いてそうだったからである。

『じゃあ、変身解いて待ってますから。
着いたら連絡お願いしますよ』
『分かりました』

シャマルとの連絡を終え、ダイナはすぐに変身を解こうとする。
普段ならば、変身を解く際には姿を見られない様注意を払ってからするのだが、今はそうする必要は一切無い。
そもそもこの世界には、人が一人もいないからだ。
その為、今のダイナには警戒心など全く無かった訳なのだが……

「!?」

人間へ戻ろうとしていたその最中、ダイナは何者かの視線を感じ背後へと振り返る。
人はいないから、別に変身を解いても問題は無い……その、筈だった。
しかし……現実は違った。
何故なら……振り返った先には、確かに人がいたからだ。

(何で、こんな所に人が!?
いや、それよりも……見られた!?)


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「さて……鉄槌の騎士の方は、これで準備が整ったな」

257 :メビウス×なのは ◆ga/ayzh9y. :2008/04/30(水) 00:37:06 ID:sWUSCdoa
丁度同時刻。
異次元空間にて、ヤプールはギラススピン打倒の為に奮闘しているヴィータの姿を眺めていた。
これで自分の思惑通りに事が運べば、ヴィータの魔力は今よりも更に高まる。
闇の書の完成は、間近となるが……ヤプールには、一つだけ不安材料があった。
ヤプールは視線を隣へと移し、そこへ映し出されている風景を眺める。
その風景の中に立っているのは、ヤプールにとって最大のイレギュラー。
ヴォルケンリッター達と行動を共にしていながらも、魔力を持たぬ存在。
しかしその戦闘力は、確実にヴォルケンリッターを超えているであろう戦士……ウルトラマンダイナである。

「出来る事ならば、完成の前に葬り去りたいものだな。
完成した闇の書相手に、勝てるとも思えんが……」

ヤプールは、早急にダイナの始末を行いたかった。
メビウスと違って、彼は全く得体が知れない相手である。
完成した闇の書を倒せるとは思えないが、万が一という事もある。
ウルトラマンを侮る事は出来ない……無敵と思われていた究極超獣や暗黒皇帝とて、彼等には敵わなかったのだ。
総力を挙げ、早急に始末をつけておきたい。
ヤプールは早速、ダイナがいる世界へと怪獣を送り込もうとする……が。

「むっ……!?」

その直前に、彼の目の思わぬ人物の姿が飛び込んできた。
ダイナから少しばかり離れた位置に立つ、一人の男。
ヤプールは、その人物の正体を知っていた。
彼にとっての仇敵が一人。
自分達の存在を追ってきた、光の戦士の一人……ヤプールの表情が、より険しくなる。
よもやこの様なタイミングで介入されようとは、思ってもみなかった。

「いや、だが……ダイナは闇の書側。
光の国の者達とは……」

しかしヤプールは、すぐに冷静さを取り戻して状況を整理する。
ダイナが闇の書の完成を目指していると言う事実を考えれば、事態は完全に自分達の不利というわけではない。
寧ろこれは……一種のチャンスかもしれない。

258 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 00:38:18 ID:RydJgh5d
つるの支援

259 :メビウス×なのは ◆ga/ayzh9y. :2008/04/30(水) 00:38:32 ID:sWUSCdoa
「……消耗した所を一気に叩けるか……?」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


(やべぇ……思いっきり、こっち見てるぞ……)

アスカは額に冷や汗を浮かべながら、眼前の人物を見つめ続けていた……その男から、目を反らす事が出来ないでいた。
白髪頭で、少々皺の入った顔。
視力が悪いのだろうか、メガネをかけている。
その容姿から判断するに、初老と呼ぶには少し遅い年齢かもしれない。
しかし……彼には、老いを感じさせられない何かがあった。

(てか……そもそも、何でこの世界に人がいるんだ?
ここって、誰も人間はいないって聞いてたのに……どうする?
話しかけるか、それともこのまま逃げるか……)
「……参ったな、驚いたよ」
「っ……!?」

どう行動すべきかを考えている内に、男に先手を打たれてしまった。
それが、アスカの焦りに更なる拍車をかける。
額に浮かぶ冷や汗が、頬を伝い地面へと落ちていく。
アスカは己の心臓の鼓動を押さえ込むかのように、胸へと片手を押し付けた。
明らかに、普段の倍は心臓が高鳴っている。
このままの状況を保ち続けていては、どうにかなってしまいそうである……何でもいい。
兎に角、場の空気を変えなければならない……アスカはそう感じ、思い切って口を開いた。

「……驚いたってのは……見てたんすよね?」
「ああ……巨人が怪獣と戦っているかと思えば、その巨人がいきなり人間になったのだからな。
驚くなという方が無理な話だ」

やはり、完全に見られていた。
自分がダイナであるという事を、知られてしまった。
胸を押さえる手の力が、自然と強まってしまう。
もしも、目の前の人物が管理局の人間ならば、これは最悪のケースとしか言いようが無い。
しかし……すぐにアスカは、その可能性が無い事に気付いた。

260 :メビウス×なのは ◆ga/ayzh9y. :2008/04/30(水) 00:39:49 ID:sWUSCdoa
(あれ、でもこの人……今、巨人って俺の事言ったよな?
管理局の人なら、ウルトラマンって普通は呼ぶはずだし……てか、ダイナの事知ってるよな?
それなのに、こんな風に何ともなさげにってことは……)

相手が管理局の人間なら、この反応はおかしい。
自分の事を警戒していないどころか、ウルトラマンという呼称すら使わない。
これはつまり……自分の事を知らないという事ではなかろうか。
人のいないこの世界にいる理由に関しては、恐らく他世界からの旅行者か何かなのかもしれない。
そう考えると、辻褄は合う。
アスカは己のその推理に納得し、そして大きく溜息をついた。
相手が管理局の人間でないのならば、まだ大分気が楽になる。
ならば後は……適当に本当らしい嘘をついて、誤魔化すのみ。

「あ〜……今のは、変身魔法の一種なんすよ。
ああいう巨大な奴を相手に戦うには、やっぱ同じサイズでいかないとって思って」
「成る程、そういう事だったのか。
しかし、なら何故あんな怪獣を相手に戦っていたんだ?」
「それは……」

変身については誤魔化せたが、別の疑問をぶつけられ沈黙する。
確かにその通りである……相手からすれば、こんな人のいない世界で孤軍奮闘する理由が分からない。
無理に戦わずとも、逃げるなり何なり出来るのだから。
アスカはこれに、どう答えていいか分からなくなる。
まさか、闇の書の事を言うわけにはいかない。
だとすれば……強くなる為の特訓だとでも言うべきだろうか。
強引ではあるかもしれないが、通らなくはない……アスカはそう思い、口を開こうとする。
しかし……その瞬間だった。

「アスカさ〜ん」
「あ、シャマルさん……」
「む……?」

二人の上空から、シャマルがやってきた。
何とも、絶妙なタイミングで来てくれたものだ。
アスカは、大きく安堵のため息をついた。
これならば、念話で相談しつつ嘘を考えられる。
十分、場を凌ぐ事は可能である……そう思っていた。
しかし……この直後。
目の前の男が、予想外過ぎる言葉を口にしてしまった。

261 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 00:40:27 ID:7gYmoqx7
Uキラーザウルスやジャンボキングとかいるじゃないですか支援

262 :メビウス×なのは ◆ga/ayzh9y. :2008/04/30(水) 00:40:59 ID:sWUSCdoa
「闇の書の……守護騎士……?」
「えっ!?」

アスカの表情が一変し、シャマルは硬直し動きを止めてしまう。
無理もない反応である。
いきなり己の正体を当てられてしまったのだ……驚くなという方がおかしい。
ましてや、ウルトラマンに関する知識は全くない相手なのにも関わらずである。
アスカは、一体どういうことなのかと困惑するが、そんな彼に素早くシャマルが念話をする。

『アスカさん、この人……誰なんですか?
私の事を知ってるって事は、もしかして管理局の……』
『いや、それが俺の事は知らないみたいなんすよね。
だから、管理局の人じゃないと思うんだけど……俺も今会ったばっかで。
一体何者なんかは……』

途中まで答えておいて、アスカはある重大な事実に気がついた。
考えてみれば、一番大事なことを聞いていなかった。
本来ならば真っ先に聞くべき事を、忘れてしまっていたのだ。
すぐにアスカは、男に対し尋ねる。

「……あなたは、一体何者なんですか?」

相手は一体何者なのか。
そう尋ねた後、アスカはリーフラッシャーをすぐに抜ける様、ポケットに手を伸ばす。
シャマルも臨戦態勢を取り、すぐにでも行動に移せるようにする。
返答次第では、攻撃もやむをえない……二人は息を呑み、男の次の言葉を待つ。
そして、しばしした後……男は、ゆっくりと口を開いた。

「……私は、色々な異世界を旅している。
闇の書の事は、その最中に聞いたんだ。
完成すれば、主に莫大な力を与える禁断の魔道書であり、その主には四人の守護騎士が着くと……
それで、話に聞いたのと君の容姿とが同じだったから、もしかしたらと思ったのだが……」
「え……?」

男の返答を聞き、アスカとシャマルは互いに顔を見合わせた。
自分達の予想に反し、相手は敵でも何でもなかった。
ただ単に、シャマルの事を知っているだけだったのだ。
考えてみれば、守護騎士は全員、闇の書と共に転生と再生を延々と繰り返す存在である。
その最中で、こうして一般人にも知られる可能性は十分あるのだ。
しかし……そうだとすると、やはり問題が一つある。
この男のいう闇の書の守護騎士とは、はやて以前の持ち主達に仕えていた自分達の事。
つまり……この男は、自分達を危険な存在だと認識しているのではなかろうかという事である。
もしそうだとしたら、最悪攻撃される可能性だってある。
シャマルは以前警戒を続けたまま、男の様子を伺う……だが。

263 :メビウス×なのは ◆ga/ayzh9y. :2008/04/30(水) 00:42:14 ID:sWUSCdoa
そんな彼女の考えを、男は見事に裏切る回答をした。

「……話とは、どうも違うらしいな」
「え……?」
「闇の書の守護騎士とは、感情も何もない、ただ主の命令だけを忠実にこなす存在だと私は聞いていた。
だが……君は、話とは違う。
澄んだ良い目をしている……誰かを守りたいという思いを持った、優しい者だというのがよく分かるよ」

男は、シャマルが危険人物であるとは認識していなかった。
寧ろその逆……彼女がはやて以前の主の元にいた彼女とは、違うという事を見抜いていたのだ。
二人とも、開いた口が塞がらない。
先程からずっと、この目の前の男に考えを裏切られてばかりである。
それも、自分達にとって都合のいい方にばかり……

(一体、何なんだよ……?)
「……アスカと言ったな。
君が、今の闇の書の主なのか?」
「え、俺?
いやいや、俺は違いますよ」
「なら、どうして彼女達と一緒にいるんだ?}

闇の書の主でないのなら、何故守護騎士達と行動を共にしているのか。
それは、至極当然の疑問である。
シャマルはアスカを心配しつつ、その視線を向ける。
相手は闇の書に対する知識を、少なからず持っているようである。
下手な答え方は出来ない……妙な誤解を生むような結果にだけはなって欲しくない。
しかし念話でアドバイスをしようにも、自分にも良い答え方が思いつかない……全ては、アスカの返答次第。
そして、ホンの数秒程経った後……アスカは、真剣な顔つきをして口を開いた。

264 :メビウス×なのは ◆ga/ayzh9y. :2008/04/30(水) 00:43:35 ID:sWUSCdoa
「……守りたい子がいるんです。
皆にとって……俺にとっても、本当に大切な家族の一人なんです。
だから……闇の書が完成すれば、きっと……俺は、助けたいんです」
「アスカさん……」

アスカは、素直に真実を言った。
今の自分には、助けたいと思える者がいる。
守りたいと思える、大切な者がいる……そしてその願いを遂げる為には、闇の書の力が必要であると。
男はアスカの真剣な眼差しを見て、言葉を失った。
そこに宿りしは、迷いの無い強い決意……絶対に成し遂げようという覚悟。
そして、視線を少し逸らしてみれば、傍らに立つシャマルからもまた同じものを感じる事が出来た。

「……優しいんだな、君達は」

男の顔に微笑が浮かぶ。
シャマルも……そしてアスカも、大切な者を守りたいからこそ戦っていたのだ。
その真っ直ぐな気持ちは、正しく自分達が抱えているものと同じである。
彼等がどの様な人物なのかは、これではっきりした。
ならば……もう、これ以上隠し事をする必要は無い。
男は、決意を固め……アスカへと視線を戻した後、静かに口を開いた。

「大切な者を守る為に、己が出来る全てを賭ける……住む世界の違いこそあれど、我々は同じだ。
君もまた……立派な、ウルトラマンだ」
「えっ……!?
ど、どうして……!!」

男の口から出た、予想外の一言……ウルトラマンという単語を聞き、アスカとシャマルは驚き目を見開いた。
ウルトラマンに関しては何も知らないとばかり思っていたのに……一体、どういう事なのか。
どうして、ウルトラマンの事を知っているのか。
アスカは男に対し、そう尋ねようとするが……寸での所で、その理由に気付いた。
考えてみれば、先程から自分達に都合がいいように予想を裏切られていたのは……こういう事である。

「……騙してたんすか?」
「……本当にすまない。
だが、どうしても確かめたかったんだ……果たして君達が、どの様な思いを抱いているのかを」

男は、アスカとシャマルに嘘をついていた。
ワザと、ウルトラマンの事を知らないかの様に振る舞い……彼等と話を出来る状況に持っていったのだ。
闇の書に関して口にしたことは、全て本当のことではあるのだが。
兎に角、話を出来た御蔭ではっきりと確認する事が出来た。
守護騎士やアスカ達の戦う理由を、その思いを。
そして……アスカが、ウルトラマンを名乗り戦う資格を持っているという事を。

265 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 00:43:59 ID:RydJgh5d
やっぱりハヤタでしたか支援

266 :メビウス×なのは ◆ga/ayzh9y. :2008/04/30(水) 00:44:55 ID:sWUSCdoa
「……自己紹介が遅れたな。
私はウルトラマン……地球での名は、ハヤタだ」

男―――ハヤタ=シンは、己の名を二人へと名乗った。
彼こそが、地球で最初にその呼び名をつけられた光の巨人。
全ての発端といっても過言ではない存在……ウルトラマンである。

「……ハヤタさんは、ウルトラマンメビウスの仲間なんですか?」
「ああ……メビウスは、我々ウルトラ兄弟の大切な弟だ。
私達もまた、メビウスと同じく闇の書の完成を阻止する為に戦っている……ダイナ、シャマル。
君達が悪意を持って戦っているのではないということは、はっきりと分かった。
ならば……私達も、君達の思いを汲みたいと思う。
闇の書を完成させずとも、君達が助けたいと願う者を助ける手段は無いか……それを探す時間をくれないか?」

ハヤタは二人の思いを汲んで、平和的な解決方法を探したいと答えた。
闇の書の力に頼らなければならぬほどの事となると、簡単に片付けられる問題ではないのは明らかである。
しかし、何か他に方法があるかもしれない……闇の書に頼るにはまだ早い。
きっと何か、探せば方法はある筈である。
それに……二人には伏せているが、ヤプールの存在もある。
もしも自分達の思っている通り、ヤプールの狙いが完成した闇の書にあるとしたら……闇の書を完成させる訳にはいかない。
そう思っての言葉であったのだが……二人は、それを受け入れなかった。

「……すみません、ハヤタさん。
そう考えてくれる事は嬉しいのですけど……」
「……例え、闇の書の力を利用しようとしている者がいるとしてもか?」

ハヤタは、闇の書を狙う者がいると二人へと話す。
悪意ある者に闇の書が渡った時の恐ろしさは、その側でずっといた彼等ならば分かっている筈である。
だから、この事実を聞けば止まってくれるかもしれないと思い口にした。
しかし……この時ハヤタは知らなかったが、彼等は既にその事実を認識してしまっていた。
その相手は、ヤプールではなく謎の仮面の男ではあるが……どちらにせよ、彼等はその危険性を承知の上で戦っているのだ。
ハヤタの言葉を聞いたところで、最早今更なのである……いや。

「……俺達には時間がないんだ。
もう……いつ死んじまっても、おかしくない状況なんだ。
他の方法を探している時間なんて、もうない……だから!!」

例え今更で無かったとしても、彼等は止められなかっただろう。
それ程までに……彼等のはやてを守りたいという思いは、強いのだから。

267 :メビウス×なのは ◆ga/ayzh9y. :2008/04/30(水) 00:46:07 ID:sWUSCdoa
「ハヤタさん……俺達は、ここで止まるわけにはいかないんだ!!」

ここで止められるわけにはいかない……勝って罷り通る以外に、道は無い。
アスカはポケットからリーフラッシャーを抜き、真っ直ぐに構える。
ハヤタもそれを見て、懐へと手を伸ばす。
彼等の気持ちは痛いほどに分かる。
己もまた、大切な者を守りたいと思ったからこそ戦い続けてきたのだから。
しかし……だからこそ、彼等は止めなければならない。
これ以上、誰かを傷つけない為にも……大切な者達を守る為にも。

「それでも……私はその者の最期の時が来るまで、ギリギリまで方法を探し続ける。
最後まで諦めず、信じる心の強さが不可能を可能にする……それが、ウルトラマンだ!!」

ハヤタは懐から、己の変身道具―――ベータカプセルを抜き、天高く掲げた。
そして、そのスイッチを入れると同時に……周囲に閃光が走った。
アスカとシャマルは、その眩さに一瞬瞳を閉じるが……アスカはすぐにハヤタへと向き直り、リーフラッシャーを起動させる。

「ダイナアアァァァァァァァァァッ!!!」

リーフラッシャーが光を発し、アスカの体を包み込む。
両者が放つ光は、辺り一面をこの上なく明るく照らし……やがて光が消え去った時。
その場には……二人の戦士が立っていた。
ウルトラマンダイナと……そして、ウルトラマンが。
シャマルがいる事に対する配慮だろうか、二人とも巨大化はしていない。
二対一という状況でこそあるが……正々堂々と戦いたいと思い、敢えてこうしたのだ。

「……いくぞ、ダイナ、シャマル!!」

268 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 00:50:02 ID:sut96oGc
支援

269 :メビウス×なのは ◆ga/ayzh9y. :2008/04/30(水) 00:51:00 ID:sWUSCdoa
以上、投下終了です。
前話より長らくお待たせしまして、申し訳ありませんでした。

今回、現在羞恥心として中の人が大人気なダイナをようやくメインに持ってこれました。
どちらかというと、アスカよりも寧ろ、ヘキサゴンでの中の人っぽくなってしまったかもしれませんが……
何はともあれ次回は、ダイナ&シャマルvsウルトラマンの激突をお送りいたしたいと思います。

そして最後に。
支援してくださった皆様、ありがとうございました

270 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 00:55:02 ID:zcR6+vr9
GJ!
ハヤタキタワ*・゜゜・*:.。..。.:*・゜(n’∀’)η゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*ァ
このドリームマッチはwktk全開!

271 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 01:46:56 ID:mwPyn5MB
ハヤタ→変身と聞くとどうしてもカレー及びスプーンを思い浮かべてしまう

272 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 01:54:48 ID:ck7NhyCE
>271
動きを止められて変身出来なくなったけど、倒れた拍子にスイッチが入って変身
のシーンで、倒れる瞬間に少しだけ、ビクッとするのも入れて欲しい

273 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 01:59:21 ID:JlNrmU1p
>>272
そうなると光太郎が出てきたら
バッジと大根使って変身しなきゃだな

しかしあれですね、ダイナとメビウス達の夢の競演見てると
ティガやガイア達の事もついつい考えてしまう
作者様、sts編までもしも続けるんなら、彼ら三人の登場も
検討して下さいませんか

274 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 04:50:55 ID:2jZMNm2O
>>273
映画を見に行くほうが早いぞw

275 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 08:46:17 ID:4rJqsEue
>DOD
やべえよ、やっぱ六課の皆ドン引きだよ…orz
殺戮王子カイムとのクロスからすでに決定されていた展開ではありましたが、やっぱりあの狂いっぷりは他人にはきつかったですね。
原作のDODは比較的変態が多いから気にしてなかったけど、考えてみれば殺しまくりだもんね。
ルールーも、まさか七話の時点でこんな大ピンチに陥るとは思ってもいなかったでしょう。
何も無い空間からプレデターの如く姿を現すカイム完全に悪wwっていうか魔www
原作では今後の強敵を匂わせていたゼスト達に早くも死亡フラグが立って、こっちの方が心配になってきましたよw
ティアナもやっぱりドツボに嵌り始めてるし、これは今後は胃の痛い展開が待ち受けてますね。

>メビウス×なのは
せ、先輩…!
仮面ライダーで先輩ライダーと後輩が出会うのは王道ですが、ウルトラマンでやると新鮮ですね。
しかも、本来はクロスしないはずのダイナが初代と会うなんてそれなんて幻のクロスオーバーw
放送後期ほどウルトラマンの技の数とか増えてるからダイナの方が有利に見えるんだけど、初代マンには何か年季みたいなの感じて、無条件ですげえ強そう。
元祖スペシウム光線を見せてください、ハヤタさん!

276 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 09:29:13 ID:2jZMNm2O
>本来はクロスしないはずのダイナが初代と会う
ウルトラマン映画の最新作をチェックするんだ

277 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 10:09:37 ID:P1s+RCeg
>>237
DOD氏GJ
なんだか原作ではあまり笑ってないEDが多いみたいだが
果たしてなのは世界でのカイムが、ここではちゃんと笑えるような第六のEDに辿り付けるだろうか。

>>269
メビウス×なのは氏GJ
初代ウルトラマンのスペシウム光線は凄く強そうだ。

278 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 14:36:15 ID:9Lf0kGaw
ハヤタがでたのは嬉しいけど、
メビウスとなのはが空気だな……。

279 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 14:43:13 ID:vS1hmHkG
なのはは原作アニメでも空気(ry

280 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 16:14:31 ID:qk5tbD/P
ちょwww死亡フラグwwwww

281 :リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/04/30(水) 16:45:57 ID:XosGBjxU
リリカルTRIGUN第八話、20時くらいに投下させていただきます

282 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 18:11:56 ID:95XrxTTa
きた!
全力で支援つかまつる

283 :魔装機神  ◆BbNMlcrDFw :2008/04/30(水) 18:16:14 ID:lUmsxZec
TRIGUN氏を支援すと同時に、自分も2100時に投下したいと思います。

284 :一尉:2008/04/30(水) 19:29:31 ID:LvLaZGbS
ふむニイチマルマル支援たな。

285 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 19:33:16 ID:jBORIG36
両氏の投下を支援します。
つーか自分も投下したいのにパソコンがアクセス規制で書き込めん……orz

286 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 19:50:39 ID:MaJDiX5g
>>285
つ避難所

287 :リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/04/30(水) 20:02:24 ID:dj3iSpVi
それでは投下します

288 :リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/04/30(水) 20:05:29 ID:dj3iSpVi
訓練室。
まだ明朝の筈のそこに、一人の男と一人の少女が立っている。
十メートル程の距離を挟み二人は真剣な表情で睨み合う。

男の手には一丁の拳銃。
この場に於いては、本来ならば有り得ない武器。
それを右手に握り、男は正面に立つ少女を見やる。
対する少女は素手。
何も持たずに男の正面に立っている。


突如、男は腰に掛かったホルスターへと拳銃を差し込む。
そして首を縦に振り、頷く。
それを見て少女も首を縦に振る。

瞬間、少女の足元に円と二つの三角形が組み合わさった桜色の模様が現れる。
――魔法陣。
魔導師が魔法を使う際に発生する力場。

そして魔法陣が現れて数瞬後、少女の頭と同じ高さの位置に桜色の光球が発生する。


「いきますよ」

少女が問う。

「OK」

男が頷く。

その言葉と同時に、光球がはじけるように動き出した。

光球が上下左右、縦横無尽に男の周りを駆け巡る。
それでも男は微動だにせず、ただ立ち尽くす。

「アクセル」

少女の言葉を受け、光球のスピードが上がる。
もはや光球が何処にあるかなど予測不可能。それ程のスピードで駆け回る。
不意に光球が軌道を変え、その矛先を男へと向けた。
桜色の魔弾が右下から浮き上がり、男に迫る。
申し訳程度に開いていた距離が瞬時に消失――――するより早く、男の拳銃が火を噴いていた。

――轟音。
――霧散する光球。

少女の目が見開かれる。
でも――これで終わりではない。魔力弾はもう一発ある。
――それで倒す!

少女は瞬時に気を切り替え、もう一つの光球の操作に専念する。
それと共に光球が動きを変える。

高速で男の頭上へ移動。そこから直角に滑降。
人間から見れば真上は死角。更に男は攻撃をしたばかり。
タイミングとしてはこの上ないはず。



289 :リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/04/30(水) 20:08:03 ID:dj3iSpVi
少女の判断は、この状況では完璧といって良い程の判断だった。
――だが、男の早撃ちはその完璧な解答をも押し潰す。



――この時の少女の気持ちを一言で言い表すのなら『見えなかった』。
これが最適だろう。
銃を持っている右手が一瞬ぶれたと思ったら、次の瞬間には轟音が鳴り響いていた。

魔力弾は弾丸に貫かれ消滅し、少女はそれを呆然と見ている事しか出来なかった。

「よし、いい感じだ」

そんな少女を尻目に、拳銃をホルスターへて差し、男――ヴァッシュ・ザ・スタンピードは嬉しそうに呟いた。




「本当に凄いんですね、ヴァッシュさん……」

ヴァッシュと並行して歩きながら、なのはが口を開いた。
その口調には感嘆が込められている。

「あっちの世界じゃ色々あったからね。あれくらい出来ないと」

飄々とヴァッシュが答える。
その言葉に、なのはが苦々しい表情になる。
『あの攻撃で、あれくらいですか……』そんな事を考えているのだろう。

それを察したのか、ヴァッシュが慌てたように言葉を付け足そうと口を開く。

「いやいや、なのはも凄かったよ!
それになのはは病み上がりじゃないか。本調子だったらああはいかなかったよ」
「そうかもしれませんね……」

実際ヴァッシュの早撃ちが規格外なだけなのだが、生真面目な性格が影響してか、なのはの表情が少し暗くなる。

「あ、なのはちゃんにヴァッシュさん!」

と、その時二人に声を掛ける者が現れた。
二人が振り返ると、駆け寄って来るエイミィの姿が目に入った。

「朝から訓練?二人共精が出るね〜」

笑いながらそう言うエイミィに二人は苦笑する。

「あ、それでね艦長が、アースラ全乗組員集合だってさ。何か大事な話があるみたい」

二人は顔を見合わせ首を捻る。

「大事な話って?」
「多分、闇の書に関する事だど思うけど……」

闇の書という単語に二人の顔が知らず知らずの内に引き締まる。

――――闇の書。

あの模擬戦から数日後、リンディから知らされた謎の襲撃者達の正体。



290 :リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/04/30(水) 20:09:04 ID:dj3iSpVi
曰わく魔導師の魔力の源、リンカーコアを蒐集し、それを媒介にし次元にまで影響を及ぼす力を発揮するデバイス。
曰わく様々な世界を永遠にさまよう破壊不可能のデバイス。
あの謎の襲撃者達は闇の書自身とその主を守るプラグラムとの事だ。


「まぁ詳しくは集合してからのお楽しみってことで!……じゃ、二人共まだ回復したばかりなんだから無理しないでね!」

エイミィはそう言い手を振り、去っていく。

「闇の書か……」

ポツリとヴァッシュが呟く。

――今までは四人の魔導師を捕まえるだけの話かと考えていた。
だが、それは世界を賭けた戦いへと昇華した。

闇の書の主が闇の書を完成させるのが先か、こちらが守護騎士を捕獲し、主の居場所を特定するのが先か。
負ければ、世界は滅び、闇の書は再び転生する。

負けられない。
あの平和な世界を殺させはしない。

ヴァッシュはホルスターに掛かった銃を強く握りしめた。



管理局・休憩所、自動販売機と一つの机、三つの長椅子が存在するだけの部屋にアースラスタッフは集合した。
長椅子にはなのは達が座り、その後ろにアースラスタッフが立ち並んでいる。
リンディはアースラスタッフを見回し、口を開く。

「さて、私達アースラスタッフは今回、ロストロギア闇の書の捜索、及び魔導師襲撃事件を担当することとなりました。
ただ、肝心のアースラが暫く使えない都合上、事件発生地の近隣に臨時作戦本部を置くことになります」

そしてリンディはアースラスタッフの分割を指示していく。
普段はどこか抜けている様に見えても、やはり艦長だ。
淡々と内容を指示していく。

「――で、肝心の臨時作戦本部の場所ですが、」

と、そこまで真剣そのものだったリンディの表情が弛まる。

「ヴァッシュさんとなのはちゃんの保護を兼ねて、なのはちゃんの家の直ぐ近所になりま〜す!」

そして、最高の笑顔でそう言った。

「え?」

なのはが目を見開き、フェイトと顔を合わせる。
そして、ワンテンポ遅れて――

「やった〜〜〜!!」

これまた最高の笑顔で歓声を上げた。



291 :リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/04/30(水) 20:10:47 ID:dj3iSpVi


その次の日の夜、なのはとヴァッシュは海鳴市を歩いていた。

――あのミーティングから早速引っ越しの準備が行われた。
流石は鍛えられたスタッフと言ったところか、引っ越し作業はほぼ一日で終わり、次の日には引っ越し先――つまり海鳴市にまで来てしまった。
当然それにはなのはとヴァッシュも着いてきており、二人は約一週間振りに海鳴市に足を踏み入れた。
本格的な機材の運び出しは明日にやるらしく海鳴市に着いた時点で、今日のところは解散となった。

そして二人で帰路についている訳だが――

「……どうしたんですか?何か不安そうですけど……」

――どうもヴァッシュの様子がおかしい。
喜びを顔に出しているのだが、何か考え込んでいる。
その微妙な違和感をなのはは感じ取り、指摘した。

「……いや、士郎さん達に連絡いれてないから、怒ってそうだなぁって思って」
「あぁ、その事なら大丈夫ですよ。ちゃんとお父さん達には留守にするって電話しておきましたから」

ヴァッシュの悩み事に、なのはは平然と答えた。

「え、そうなの?」

ずっと言い訳を考えていたヴァッシュにとっては朗報だ。
ヴァッシュは顔を弛ませ、安堵する。

と、そこで、ようやく目的のそれにたどり着いた。
見慣れた古めかしい門。
表札には『高町』の二文字。

そう二人は帰って来た。
なのはにとっては我が家。
ヴァッシュにとっては、自分に暖かい世界を教えてくれた、そこに。

「ただいま〜!」

なのはが元気に玄関を開け、家へと上がる。
その後にヴァッシュもついて行く。

「なのは!ヴァッシュさん!」

そう言い二人を迎えたのは、眼鏡をかけた少女――高町美由希だった。

「驚いたよ。いきなりフェイトちゃんの家に泊まる、だもん」
「えへへ、ごめんね」

苦笑しながら頭を下げるなのは。
――なるほどそういう設定か。
なのはの後ろでヴァッシュは理解する。

「ヴァッシュさんもご苦労様。なのはの子守、大変だったでしょ」

美由希はその後ろで黙っているヴァッシュへと話しかける。

「いや、全然。二人共しっかりしてたしね」

ヴァッシュは両手を振り答えた。



292 :リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/04/30(水) 20:12:31 ID:dj3iSpVi
「そう?なのはが大人ねぇ……って、どうしたのその左手!?」

無かった筈のヴァッシュの左腕を指差し、美由希が驚愕の声を上げる。

驚くのも無理はない。
娘の友達の家に付き添いで行き、帰って来たらが腕が生えているのだ。
誰でも驚く。

「い、いやーこれは……」

途端にしどろもどろし始めるヴァッシュ。
チラリとなのはを見て助けを求める。が、なのはも義手の事を忘れていたのか慌てた様子で頭を捻っている。
気まずい空気が三人を包む。

「フェ、フェイトちゃんの家はお医者さんなの!だから無料で義手付けてくれて……」
「そうそう!優しいご両親でね!」

その空気を払拭するようになのはが大声で答える。
苦しい言い訳なのは分かっているが、これしか考え付かなかった。
なのはとヴァッシュは苦笑いをしながら、この嘘でこの山場を乗り切れるよう願った。

「ふーん、そんなものなのかな……」

ギリギリでその願いは通じた。
訝しげな表情をしているが取り敢えず納得してくれたのか、義手についての言及は止まった。
二人が安堵のため息をつく。

「そういえばね。二人が久し振りに帰って来るって聞いて、お母さん喜んじゃってさ。
めっちゃ豪華だよ、今日のご飯」

その言葉にヴァッシュの眼が輝く。

「へぇ、それは楽しみだなぁ」

嬉しそうに歩を進めるヴァッシュを先頭に三人は食卓へと向かった。



「うんまぁ〜い!」

いつぞやと同じ歓声を上げ、ヴァッシュが片っ端から料理を口に運ぶ。
その顔は至福に満ちている。
それを高町家の面々が微笑ましく眺める。
これでも一ヶ月近くを共に過ごしたのだ。こんな光景は慣れたものだ。

「いやーやっぱり桃子さんの料理は最高だなぁ!」

そう言ってる間も手の動きは止まらない。
皿から皿へ縦横無尽に箸が動き回る。

見る見るうちに皿から料理が消えていくが、そこは高町家の面々も慣れたもの。
隙を見て、自分の皿へと料理を取っていく。

「にゃはは……」

そんないつも通りの食卓を見てなのはが微笑む。



293 :リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/04/30(水) 20:13:32 ID:dj3iSpVi
――楽しそうだ。
やっぱりヴァッシュさんには笑顔が似合う。
管理局の事や異世界の事で悩んでいる時より、模擬戦に向け真剣に特訓している時より、ずっとずっとヴァッシュさんらしい。

――良かった。

心の底からそう思う。

そしてなのはは密かに決意する。

――ヴァッシュさんの笑顔を守ろう。
闇の書事件だって直ぐに解決して、争いのないこの世界を思うがままに楽しんでもらおう。
ずっとヴァッシュさんには笑っていて欲しい。
今まで辛かった分を取り戻せるぐらい、笑っていて欲しい。

――心優しい少女はひっそりと心の中で願いを唱えた。



真っ暗なリビング。
ヴァッシュはボーっと闇に染まった天井を眺めていた。
背もたれに寄りかかり手をブラブラと垂らし、足を伸ばし、脱力しきった様子で何をするでもなく天井を眺める。

「……まだ起きてるのかい?」

そんなヴァッシュに声がかけられた。
少し驚いた様子でヴァッシュが天井から声のした方へ、顔を向ける。

「明日からは今まで休んだ分、しっかり働いてもらうんだ。寝といた方が良いよ」
「いやーそれが眠れないんですよね、何か……」

体を起こし苦笑するヴァッシュに士郎が呆れた様にため息をつく。

「まったく……子供か君は?」
「はははは……」
「仕方がないな…………ここに眠気をもたらしてくれる最高の薬があるんだが、どうだい?」

そう言い士郎は手に持っていた瓶を机の上に乗せる。
それを見てヴァッシュがニヤリと笑う。

「いいですね〜」
「だろう?」

そう言う士郎の顔もニヤリと笑っている。

士郎は何処からともなく栓抜きを取り出し、『薬』の蓋へと伸ばした。



294 :リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/04/30(水) 20:16:08 ID:dj3iSpVi


窓から入る月灯りが高町家のリビングを照らす。
こんな月が出てる日には蛍光灯もある意味をなくす。
自然が作り出した柔らかい光が、二人の男達を包んでいた。

「いやー美味しい薬ですねぇ、これは!」
「そうだろう!やっぱ眠れない夜にはこれしかない!」

そんな優しい光に包まれている二人の男は、大笑いしながらコップを掲げ、ぶつけ合っていた。
足元には空になった『薬』の空き瓶。
当然この『薬』は薬品の事を指すわけがなく――

「やっぱ大人の『薬』って言ったら酒以外にありませんよねぇ!」
「その通り!これこそが最高の『薬』さ!」

――二人は酒を飲み合い最高の高揚感に包まれていた。

それから数分後、流石に限界が来たのか、不意にヴァッシュが机に突っ伏した。

「……何だヴァッシュ君、もうダウンかぁ?」

そう言う士郎も脱力しきり背もたれに身を任せている。

「まだまだ元気ですよ、僕はぁ……」

ヴァッシュは、突っ伏したまま右手を上げて、気の抜けた声で答える。
その姿は誰がどう見ても限界そうだった。

それきり静寂が二人を包む。
聞こえるのはまだ元気に働き続ける車の音や、遠くから聞こえる市街地の喧騒のみ。

「………起きてるかい、ヴァッシュ君……」
「………何ですかぁ?」

不意に上げた士郎の言葉にヴァッシュが体を起こす。
対する士郎は椅子によたれかかったたままだ。

「…………良い表情になったな」
「…………えーっと言ってる意味が良く分からないんですけど」

ヴァッシュはアルコールにより赤みがかった顔を困惑に歪める。

「……迷いが消えてる」
「はぁ……?」

ヴァッシュの困惑の色が濃くなっていく。

「……君がなのはと出掛ける前まで、君はいつも何かに迷っている様に感じた」

不意に士郎が身を起こした。
真剣な顔に微笑みを浮かべ、ヴァッシュを見つめる。

「君だけじゃない……なのはも何かに迷っていた……君と出会ってから、ずっと……」

ヴァッシュは何も答えず、黙ったまま士郎の言葉に耳を傾ける。

「…………だけど、今のなのは、そしてヴァッシュ君は良い顔をしている……フェイトちゃんの家で何があったか知らないけど……良かったよ」



295 :リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/04/30(水) 20:17:28 ID:dj3iSpVi
そう言うと士郎は立ち上がり台所へと向かう。
そして数秒後、冷えた数本のビール瓶を手にし戻って来た。

「聞きたい事は沢山あるさ…………何でなにも言わず夜中にいきなり出掛けたのか、何で義手を付けてもらったのか………
でも、本当に楽しそうな君となのはを見てそんな疑問はどうでも良くなった」
「……士郎さん」

ドン、とヴァッシュの前にコップが置かれる。
そのコップには並々とビールが注がれている。

「細かい事はいい……今夜は良い夜だ……こんな日に飲まないでやってられるかい?」
「……ですよねぇ!」

二人はコップを掲げる。

「「……乾杯!」」


ヴァッシュは今までの長い人生の中でも最高の一杯を飲みながら、思った。

――絶対に消させない、この世界を、この最高の家族を。

――俺は負けない。絶対に阻止してみせる、闇の書の完成を。



次の日、なのはは信じられない光景を見た。

床に転がる大量の空き瓶。
思わず鼻を抑えたくなる強烈なアルコール臭。
そして「レム……レム……」「桃子……桃子……」と、意味不明な寝言を呟きながら机に突っ伏し熟睡している二人。

この光景を見たなのはは深くため息をつき、桃子の眠るに寝室へと向かった。

――――この日の二人の目覚ましは桃子からの熱い一撃だったとか。



296 :リリカルTRIGUN ◆jiPkKgmerY :2008/04/30(水) 20:18:40 ID:dj3iSpVi
投下終了です。
前回の投下から約一ヶ月……。
スロウリィ……あまりにスロウリィ!
ってことで次回はもうちょっと早く投下出来るように頑張ります。

あ、ちなみに題名は「選んだ道」で。

297 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 20:18:53 ID:StLxzMGr
支援

298 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 20:39:10 ID:ytJGijLl
     ::|     /ヽ
     ::|    イヽ .ト、
     ::|.  /   |.| ヽ.
     ::|. / u    |.|  ヽ     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     ::|-〈  __   ||  `l_    | あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
     ::||ヾ||〈  ̄`i ||r‐'''''i| |  < メビウスクロス読んでふと思い立って円谷ジャングルに行ってみたら
     ::|.|:::|| `--イ |ゝ-イ:|/   | 店内巡回に出てきたウルトラヒーローが何故か
     ::|.ヾ/.::.    |  ./     | 『ダークメフィスト』だった。
     ::|  ';:::::┌===┐./     | ウルトラ念力だとか超スピードだとか
     ::| _〉ヾ ヾ二ソ./      | そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
     ::| 。 ゝ::::::::`---´:ト。    │ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
     ::|:ヽ 。ヽ:::::::::::::::::ノ 。 `|:⌒`。 \____________________
     ::|:::ヽ 。ヾ::::::/  。  ノ:::i   `。
     ::|:::::::| 。 |:::|  。 /:::::::|ヾ:::::::::)
     ::|::::::::| . 。 (●) 。 |:::::::::::|、  ::::〈

299 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 20:50:31 ID:+s93tqA3
TRIGUN氏GJ!

まだ戦いは始まっていないけど、既に心は完全に臨戦態勢に入ったヴァッシュが素敵だぜ。
この先八神家面子との接触・戦闘含めて心から期待してます。


あとナイブズの暴走とか。

300 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 20:56:13 ID:RydJgh5d
兄さん空気読んでください

GJ!
ヴァッシュの心が潤っていく事がしみじみと伝わってきます。

301 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 21:01:26 ID:n5DD7xQo
GJ!
繋ぎの回がこんなにも面白い。
次回も楽しみです!

いつも思うけどTRIGUN氏のSSは何故か読みやすい感じがする。



302 :魔装機神  ◆BbNMlcrDFw :2008/04/30(水) 21:02:46 ID:lUmsxZec
トライガン氏、GJでした。
これからのヴァッシュの活躍に期待です。
では、こちらもそろそろ投下させていただきます。

303 :魔装機神  ◆BbNMlcrDFw :2008/04/30(水) 21:05:41 ID:lUmsxZec
それでは投下します。

FLAME OF SHADOW STS 30

「ん……」」
スカリエッティのアジトの中で、オットーはうつろながらも目を覚ます。
いったい、自分はどうなっていたのだろうか……
「……ここは……っつ!」
視界内の情報からすると、自分は医務室にいるということがわかる。
「おや、もう目が覚めたのかい?」
「しばらくは動かないほうがいいわ。火傷の傷がひどくて、皮膚と骨格の交換にしばらく時間がかかるの」
ふと前を見ると、そこには自分たちを作ったドクター、ジェイル・スカリエッティと自分たちの長姉、ウーノの姿があった。
「ドクター、ウーノ姉さま……っつ!!」
二人の姿を見つけて、オットーは振り向こうとするが、体を動かすと、やけど特有の激痛が体中に走った。
よく見ると、体のほとんどが焼け爛れている。
自分の体でありながら、自分の傷跡を見てオットーは顔をしかめる。
「大体の話はディードやオットーから聞いているわ。できるだけ早く直してあげるから、ゆっくりしていなさい」
スカリエッティの隣にいる自分たちの長姉であるウーノに言われて、オットーはうなずきながらもただぼうっと天井を見る。
こういうときは目を瞑って、ゆっくりと眠っているほうがいいのだが、そうすればあのことを思い出すだろう。
自分を丸焼き状態にされ、普通の人ならばすでに死んでいるであろうこの火傷を作った男とのあの光景を。
そう思うと、眠るのがためらわれてしまう。
それよりも、オットーには気になることがあった。
「ドクター、ディードは大丈夫なんですか?」
ある意味自分がこうなった原因、自分と同じ素体で作られ、双子といってもいいが、ナンバリングからいえば妹に位置するディード。
彼女をかばい、自分は今傷を負ってしまった。
だけど、彼女を助けたかった。
ただでさえ元は自分よりも負傷していたのに、このような傷を負っていては死んでしまうかもしれないと思ったから。
「心配ないよ。腕を折られていたが、今はもう完全に直っている」
よかった、とほっとしてオットーは前を見る。
それを聞いただけで、気持ちが幾分か落ち着いたような気がした。
(ん?)
ふと、そのときにウーノの顔を見ると、その表情はどこか曇っていた。
(ウーノお姉さま、どうしたんだろう?)
まさか、ドクターが何か隠しているのだろうか……
「ドクター」
ふと、そこに聞きなれない声が聞こえ、オットーはそのほうを見る。
そこには自分たちと同じスーツを身にまとっているが、いまだに見たことがない人が二人ほどいたのだ。
いや、そのうちの一人、青い髪をし、スーツの上に黒と青を貴重としたバリアジャケットをまとっている少女には覚えがある。
彼女は確か……
「タイプ……ゼロ?」
そう、確か管理局側にいた戦闘機人、タイプゼロ・セカンド。
彼女がどうしてここに……
「ああ、オットーにはまだ言っていなかったね」
スカリエッティは地上本部を襲撃した際、タイプゼロセカンドを捕獲し、こちらの戦力となるように調整をしなおしたということ。
そして、今ではゼロという名で、13番目のナンバーズとして活動している。
「はじめまして、私のいとおしい妹」
そこに、かつてスバルと呼ばれた戦闘機人、ゼロの隣の女性はオットーにゆっくりと近づき、自分のことを妹といった。
「妹?」
「ええ、私はずっと管理局にいたからからわからないでしょうけど、私は2番目の姉、ドゥーエよ」
2番目、ということでオットーは思い出した。
自分たちが稼動する前、それも最古参のウーノの次、2番目のナンバーズが管理局のほうにいったことを。
それが彼女だろうか。

304 :魔装機神  ◆BbNMlcrDFw :2008/04/30(水) 21:07:36 ID:lUmsxZec
「けど、たまに写真でみんなの顔とかは見てるけど、近くで見れば見るほど、あなたって男の子顔ね」
「え?」
突然のドゥーエの突然言葉に、オットーはぽかんと彼女を見る。
「胸もほかの最後発と比べてちっさいどころか、チンクやセインと競えるくらいにぺったんこだし……服脱いでないと女の子って判断しづらいわね」
うーむ……とまじめなのかふざけているのかまったくわからないドゥーエに、オットーはしどろもどろと目を泳がせるしかできない。
だが、なんとなく、彼女は4番目の姉、クアットロに似ているような……とオットーはドゥーエを見る。
「ドゥーエ、病み上がりの妹をおちょくるのはやめなさい」
「わかってるわよ、ウー姉さん」
ドゥーエの行動をたしなめるウーノに、はいはいと手をひらひらとさせるドゥーエに、オットー、そしてゼロはぽかんとするしかなかった。
どうやら、元からこのような性格をしているようであった。
(まだ病み上がりどころかぜんぜん直っていないことは突っ込まないほうがいいのかな?)
そして、珍しく突っ込み役を演じそうになったスカリエッティ。
「あ、そうそう。忘れるところだったわ」
と、ここに来た本来の理由を思い出し、ぽんと相槌をするドゥーエ。
「今のところ、模擬戦をさせてみたんだけど、姉妹に埋め込まれた魔道具は順調に作動中。特にこの子の適応力はすさまじいものがあるわ」
ドゥーエはスバルの頭をぽんぽんとなでながら、先ほどまで行っていた模擬戦のデータをスカリエッティに見せた。
スカリエッティはそれを見て、ふむ……とうなずく。
「やはり、調整と埋め込みを同時に行った分、扱いに長けているのかな?」
興味心身に見ているスカリエッティに、オットーは?マークを浮かべる。
魔道具……?埋め込み……?
「後で教えてあげるから、今はゆっくり休みなさい」
ウーノはオットーの治療を始めるため、睡眠薬を投与する。
投与してしばらくたち、オットーが完全に寝息を立てるのを見計らってから、ウーノはオットーを治療室へ運ぶ。
そんな光景をスカリエッティとドゥーエ、そしてゼロは見つめていた。
「ところでドゥーエ、報告書を見て思ったんだが、またディードは立ち直れないのかい?」
スカリエッティの言葉にええとドゥーエはうなずく。
「やっぱり、目の前であの子があんな目にあったのは堪えているらしいわね。トーレから聞いたけど、かなり悲惨な状態だったらしいから」
と、トーレから聞いたオットーとディード、この二人と戦った全身ほど黒一色で覆われている男と戦っていたときのことを話す。
たった一人で二人の戦闘機人をここまで怪我を負わせるほどの実力を持つ男。
最初、それを聞いたときドゥーエはまさか……と思ったが、考えれば自分も変わった男と会っている。
地上本部で聖王の器を奪おうとしたとき、自分が持つデバイスもどきを魔道具といった少年。
彼も炎のようなものをだす。
自分のの大切な、かわいいかわいい妹をこんな目に合わせた男と何か関係があるのかもしれない。
「それでドクター、あのエミグレ文書とかいうものの調査は進んでるの?」
その中、話は最近ドクターが研究を進めている、伽藍という人物が見つけてきたエミグレ文書。
なんでも、人を蘇生させるという方法が記されているというなんとも科学者の興味をそそる書物。
スカリエッティはオットーの修理と平行して伽藍とともにあの書物の解明に乗り出していた。
「いやあ、あれはあれで楽しいよ、オットーの修理の息抜きにちょうどいい」
スカリエッティは半分興奮しながらそのことを語りだした。
「どうやら、実験をするにはある特定のアイテムが必要なのだがね……今回はレリックで代用しようと思っている。
もう聖王の器がないのでは、方舟はもう動かないからね……」
にこやかに笑うスカリエッティに、ドゥーエはそうですか……と彼を見る。
その目は、まさに無垢な子供の目だった。
どうやら、あの研究がよほどお気に召したそうだ。
(ん?)
しかし、ドゥーエはそこである疑問に気づいた。
代用……?
「ドクター、まさかあれの実験をする気?」
ドゥーエの言葉に、心外だね、といわんばかりに驚きの表情を浮かべるスカリエッティ。
「当たり前じゃないかドゥーエ。こんないいものがあるのに、何もしないなんて、科学者として失格だよ!」
さすが広域次元犯罪者、言うことが違う。

305 :魔装機神  ◆BbNMlcrDFw :2008/04/30(水) 21:09:21 ID:lUmsxZec
「それに、すでに素体もいることだしね」
そういって、スカリエッティは意味深げな笑みを浮かべる。
そのときだった。
入るぞ、という言葉と同時に、誰かが入ってきた。
それは、一人の中年くらいの男性とその娘、といってもいいほどの年が離れている少女。
そして、その二人の間をふとふよと浮いている小人というなんとも奇妙な3人組。
「やれやれ、ノックぐらいはしてほしいものだがね」
「そんな必要はないだろう」
男はスカリエッティの言葉にもめもくれない様子で彼を見る。
「それで、ここではないといえないこととは何だ?」
どうやら、彼らはドクターに呼ばれてきたらしい。
その男の言葉にああと巣か理恵ティはうなずいて、さっさと言う件を口にした。
「もう、君達にレリックを探してもらう必要はなくなったんだよ」

「へえ、そうなんだ」
「うん、それで……」
自分の心の闇の世界、通称グレイブヤードでなのははかつての幼い自分とお話をしていた。
その内容はほとんど家族のことだった。
まだアリサたちと出会うまでは、友達と呼べるほどの友達がいなかった。
だから、話はほとんどが家族のものとなってしまう。
「なのはちゃんは、家族が大好きなんだね」
「うん!」
にこにこと無垢な笑顔で話す自分に、なのはもつい笑みをこぼす。
(みんな、どうしてるかなあ……)
なのはは、その笑顔を見てみんなのことをもいだす。
自分の大親友であるフェイトやはやて。
起動六課のみんな。
そしてヴィヴィオ。
みんな、自分を心配しているはずだ。
(なのに、何やってるんだろうな、私……)
心の中ではぁ、と大きなため息をつき、なのはは天を見上げる。
だが、その天は依然に暗闇そのものだった。
自分の心の闇。
おそらく、この自分もその心の闇の一部なのだろう。
「おねえちゃん、どうしたの?」
ぼうっと考えていると、なのはははっとして自分を見る。
どうやらずっと考えこんでしまったようだ。
なのはは自分のほうを向き、なんでもないよ、といってにっこりと微笑む。
「ちょっと、お友達のことを思っていただけだよ。皆、今はどうしてるのかなあって」
「ふぅん」
なのはの言葉に、自分は心身と聞いている。
「おねえちゃん、今度はおねえちゃんのことを話して」
突然の自分の言葉に、え?と自分を見る。
「私の?」
「うん。お姉ちゃんの話も聞きたい」
そういえば、さっきから自分の話を聞いているだけで、自分のことはまったく話してなかった。
自分は、わくわくと無垢な瞳で自分を見る。
そのことを考えた後、わかったよ、となのはは前を見る。
「それじゃあ、私はちょっとしたお話をしようかな」
「お話?}
「そう、お話。ある女の子達のお話」
御伽噺か何かだろうか、と思っているのか、とてもわくわくしながら自分を見つめるかつての私。
やっぱり子供だなあ、と苦笑を浮かべつつ、なのははヴィヴィオを思い出す。
何回かヴィヴィオにも話したことがあり、ヴィヴィオもそのお話は大好きで、続きはないの?とせがまれることもある。
眠れないときなどに話し、本を読む代わりにしている。
そのたびに、ヴィヴィオもこの自分と同じように聞いていた。
「それじゃあ、いくよ。あるところに、一人の女の子がいました……」
そのあと、グレイブヤード内に聞こえたのは、今から10年ほど前の、ある女の子のお話だった。

306 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 21:09:23 ID:+X5rkeM4
支援


307 :魔装機神  ◆BbNMlcrDFw :2008/04/30(水) 21:10:48 ID:lUmsxZec
その頃、艦船「アースラ」内の模擬線場で、二人の人影の姿があった。
「貴様、正気か?」
その一人、全身黒尽くめの衣装を着ている男、紅麗は目の前にいる少女を見る。
話は少し前にさかのぼる。
紅麗は自分にあてがわれた部屋で休んでいた。
「魔道具か……」
紅麗は苦笑を浮かべながら、烈火から聞いたことを思い出す。
この世界に、魔道具を持ったものがいたと烈火から聞いた。
しかも、それは自分が知っている、かつて自分の配下だったものが持っていたらしい。
まさか、この世界でもその名を聞くとはさすがに思わなかった。
まあ、自分達がこの世界に飛ばされたのだ。魔道具も飛ばされても別におかしくはない。
もしかすれば、ほかにも魔道具を持つものが現れている可能性もある。
そのようなことを考えていたときだった。
突如、自分の部屋の呼び鈴が鳴った。
紅麗はその声を聞くと、入れと簡潔に促す。
プシュウッと自動ドアが開き、そこにいたのはティアナだった。
「少し、時間をもらいたいんだけど、いいかしら?」
その彼女の目は、なにかを決意した顔で相棒のデバイスを持ち、自分を見つめていた。
その後、彼女は自分を模擬戦室に呼び、このような形となっていた。
彼女が自分に持ち出した話は、模擬戦をしてほしいというものだった。
やれやれ、紅麗はため息をついて彼女を見る。
なんとなくだが、彼女が自分を呼んだ理由はわかった。
以前、自分が見せた幻術、「別魅」
彼女も幻術を使用する。
だから自分が別魅を作った張本人、幻十浪から奪ったように、彼女も自分から奪うつもりだろう。
確かに魔力というものを使わない別魅を彼女が得ることができれば、かなりのプラスになるだろう。
あくまでも、得ることができればだが。
しかし、その行為は今の彼女では無謀だとあきれ果てたが、同時に面白い、と仮面越しに笑みを浮かべる紅麗。
こんな馬鹿なことを思いつく者は自分を除けば誰もいない。
「こっちはあの馬鹿がさらわれて、取り返さなくちゃいけなくなった。なのはさんの教えには、ちょっと逆らうことになるかもしれないけど……」
ティアナはクロスミラージュを構え、紅麗を見据える。
「ちょっとだけ無茶をしてでも……あの技、習得させてもらうわよ!」
その目には、決意のまなざしだった。
すべては、あの元気という言葉に手足がついたようなパートナーのために……
確かに、それがうっとおしい時もあるが、あれがスバルの持ち味だし、あの元気な姿にはティアナは幾度となく助けられた。
(待ってなさいよ、スバル……)
その決意の表情を見せたティ穴に、紅麗は、微笑を浮かべる。
いい目をしている。
「ちょっとだと?府抜けたことを言うな」
この後、彼女を待っていたのは、ある意味教導間であるなのはの訓練よりもきつい、紅麗によるひとつの「試練」だった。
ティアナいわく、「少し、死んだはずの兄さんとお話をしたかもしれない」と語ったそうだ……

308 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 21:12:08 ID:+X5rkeM4
支援

309 :魔装機神  ◆BbNMlcrDFw :2008/04/30(水) 21:13:11 ID:lUmsxZec
「ふぅ……」
ウルは一息つき、自室のベッドに大の字で横たわる。
程よいクッションのやわらかさがウルの体をやさしく受け止める。
さっきから自室でこもっているばかりなのに、彼の額には汗が浮かんでいた。
「あんま、うまくいかねえなあ……」
つぶやきながら、ウルは自身の右手を見る。
先ほどまで、ウルは力のコントロールを試していた。
おそらく、今度の戦いが最後のとき。
もちろん、なのはを乗っ取ったアスモデウスも出てくるに違いない。
だが、今までのように全力で相手をするわけにもいかず、今回は彼女を助けないといけない。
自分には非殺傷設定なんてご大層なものはついているはずもなく、
全力を出しすぎ、つい力のあまりやりすぎて殺してしまいました、などということがあれば目も当てられない。
そういうことはフェイトたちに任せればよいのだが、彼女達には管理局員としての仕事もあるだろう。そのときは自分一人でしなければいけない。
ただでさえウルは以前よりも強大なを手にした。
アモンを超える存在、ネオアモン。
そして、さらにそれを超える最強もフュージョンモンスター。
扱えない、といえばうそになるのだが、どうにも微妙な力のコントロールが難しい。
今までは相手が相手なので手加減することなく全力でかかったが、今回はそういうわけにもいかない。
(誰かにコントロールの仕方でも尋ねようかな……)
非殺傷を前提としているフェイトたちに、魔力の上手なコントロール方法を聞こうか、と思案するウル。
ただ、教わっても一朝一夕でできるとは限らないし、何より系統が違う分役に立つかもわからないが。
「ういーーっす」
そこに、シリアス(本人談)に不釣合いな、どこかとぼけた声が聞こえてきた。
ウルはん?とそのほうを向くと、そこには烈火が「よっ」と片手を上げて部屋に入ってきた。
そのまま彼は、近くにあったイスにドカリとすわり込む。
「お前、お姫さんはどうしたんだよ?」
と、ウルは彼が姫と呼んで慕う少女のことを訪ねる。
いつも一緒のはずなの意珍しいときもあるな、と意外そうに烈火を見た。
「姫か?姫ならヴィヴィオに絵本を読ませてる」
「絵本?」
なんだよそれ、と思ったが、一度なのはがヴィヴィオに読ませていたものを思い出し、あの類か、と納得した。
「ああ、姫は将来、絵本作家になるらしいからな、練習しておきたいんだろう」
まだ絵は下手だけどな、と烈火は苦笑する。
何度か、意外に器用な喧嘩友達が無理やり手伝いをしている姿を見て、少し涙を流しかけたところもある。
それほど彼女は絵本に熱中している。
それで、ヴィヴィオは今大好きなママがいなくなって落ち込んでいるので、ヴィヴィオの気を紛らわせるにはちょうどいい。
「で、何のよう?」
別に、彼と同室というわけではない。
普通にやっていると思うが、何をしにここにきたのだろうか……
「理由?理由ねえ」
うーむ……と考える烈火に、おいおいとウルはうつむく。
何も考えもなしにここに来たのか……
「まあ、お互い違う世界とはいえ時空漂流者……だっけ?まあ、飛ばされたもん同士、交流をふかめんのもいいかねえ、と」
ま、俺はなのはの世界出身だけどな、と苦笑する。
烈火の言葉にウルもなるほど、とウルも納得する。
そういえば、烈火がここにきてからあまりまともな会話をしたことがない。
アースラに乗るまで、自分がはやての家に世話なっていたということもある。
いつ分かれるかわからない今、こうして交流を深めるのもいいだろう。
「でさ、お前のあの、化け物になる能力あれってどんなの?」
「あれはフュージョンっていうんだ」
「フュージョン?かっこ悪い合体ポーズでもすんのか?ヒューージョン!って」
「しねえよ……」
そのあと、二人はほんのくだらない話に微笑を浮かべる。
烈火は学校生活を思い出し、ウルはかつての仲間たちとの談義を思い出しながら……
しかし、こうしているうちにも、最後の戦いのときは刻一刻と迫ってきている……

310 :魔装機神  ◆BbNMlcrDFw :2008/04/30(水) 21:14:23 ID:lUmsxZec
これにて投下完了。
ようやく最終決戦近くまで進めることができました。
それまでに約30話……少々時間をかけすぎた……
とにかく、もう少しで最終決戦になります。

311 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 21:19:24 ID:+X5rkeM4
GJ!
名前からしてスバルがナンバーズの一番の姉になるのかと思いましたw

312 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 21:28:39 ID:Yj+T9oF2
魔装機神氏おつ!!

313 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 21:37:02 ID:4rJqsEue
>リリカルTRIGUN
何コレ……あったかい! あったかいよママ!
原作でもそうだったけど、シリアスが重い反動のように、こういう家族愛とかの描写が暖かいトライガン。
ホントにね、ヴァッシュが癒されるたびに俺も癒されるよw
っつか、何気にこの作品って士郎さんメインキャラじゃね?
二人が飲み明かすシーンは、トライガン七巻の飲み合うシーンを思い起こさせますねぇ。あのシーンは個人的にトライガンでもベスト3に入るお気に入り。
バトルだけじゃなくて、ああいう静の場面が上手いんですよね。その辺の特性を、うまく生かしてると思いました。
でも、どんだけ穏やかでも先に待つのは冥府魔道。
やがみけのナイブズさん。コイツちょーヤクネタ。もう何起こすか分かんない。
ただ存在するだけで嵐の前の静けさを感じる奴との戦いがどうなるか、期待して待たせていただきますw

314 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 21:54:50 ID:bkgjswuE
どの作品も楽しませてもらっております支援

315 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 22:06:48 ID:QxbBNf+Y
GJ!
スバルがゼロ…奇しくも平行世界での旦那と同じ名前を名n(ディバインバスター

316 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/04/30(水) 22:08:35 ID:HXPGtsxP
乙でした。
突然なのですが、10時45分頃にグラヴィオンStrikerSの第4話を投下したいのですが大丈夫ですか?
それと支援もお願いします。

317 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 22:16:10 ID:zp+Dulqo
いいともーw
支援するぜ。

318 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/04/30(水) 22:46:43 ID:HXPGtsxP
投下します。支援もお願いします。

「久々に帰ってきたわね……」

 朝早くからティアナはバイクを運転し、一人で外に出て行った。それは大事な用を済ませるために…。
 スバルは訓練開始前に皆で広間でノビノビしていたらティアナがいないことに気付く。

「あれ? そう言えば、ティアは……?」
「ああ、彼女なら……」

 ヴェロッサがティアナ不在を答える。



 第4話 オレンジ色のドリル少女


 ティアナは海が見える丘でバイクを止めて、桶と花を持ちながら墓地へと向かい、そしてあるところで足を止める。
 それはランスター家の墓石のある場所だった。

「兄さん、あたしグラヴィオンに乗ってるよ」

 ティアナの大事な用とは兄の墓参り。今日はティアナの兄ティーダ・ランスターの命日であったのだ。

「兄さん、あたし復讐みたいな事をしてる。でもあたしは復讐なんて考えてない。確かにゼラバイアは兄さんを殺した憎い敵。
でもそれ以上に兄さんが守ろうとしたこの世界を壊そうとする敵。だからあたしは戦う。復讐なんかじゃない、この世界を守るために…」

 ティアナは暗い顔をしながらも自分の思いを墓に向かって言う。そこには兄の亡骸はない。
 それでも魂は眠るであろうその場所に向かってティアナは目を瞑り、手を合わせる。

「だから兄さん、あたしを守って……」

 ティアナは静かに黙祷を捧げる。


「と言うわけで彼女はいませんよ」

 ヴェロッサがティアナ不在の説明をし終える。
 スバルはその事情を聞いて暗い顔をする。

「そう言えば、ティア言ってた。お兄さんはゼラバイアに殺されたって。あたし何も知らなかったな…。てっきりちょっとした事で死んだって聞いてたから…」
「ゼラバイアの事はこの前まで秘密事項だったからね。ティアナもその事実を知ったのはティーダが死んだ1ヵ月後くらいだからね…」

 ヴェロッサはティーダの事を知っているために、ティーダの死を思うと悲しい顔をする。

「しかし彼の死は無駄じゃない。彼のおかげでゼラバイアの襲来が予測しやすくなったからね…。彼がいなかったら初陣で勝利を得ることは出来なかっただろう」「
「僕も彼には感謝している。彼は個人的な友人でもあったしね……」

 クロノやヴェロッサはティーダの事と行動を共にしていた事を思い出す。

「あの、それでティアはどこにいるんですか?」
「…、そうだね。ティアナなら……」

319 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/04/30(水) 22:47:31 ID:HXPGtsxP
 ティアナは墓地から海の方へ向かおうとしている途中、自分がこの土地で見たことないビルがあるのに気付いて近所の人間に聞く。

「あれは何ですか?」
「ああ、あれね。あれは最近出来た管理局地上部隊の会議場だとさ」
「まったく迷惑だよね。話し合いなら中央でやればいいのに…」
「あはは、そうですね…」

 ティアナはその話を聞いて苦笑いをし、お礼を言ってその場を去る。
 ティアナは海へと向かい、砂浜近くにバイクを止めて自身は海の近くまで行き、砂浜で座り込む。

「やっぱりいいわね。ここは…」

 この海は自分の故郷の近くにあるということで、夏になるとたまにだが兄と一緒に行って遊んだ事をティアナは思い出す。

「……、兄さん……」

 ティアナが思い出にふけって顔をうずくまっていると突然砂浜が揺れだす。

「な、何!? 地震!?」

 揺れはティアナの方に近づいているようで、ティアナを中心に地面は揺れる。
 するとティアナの横からGドリラーが砂の中から姿を現したのだ。

「Gドリラー!?」

 ティアナは突然のGドリラーの出現に驚きを隠せない。
 そして上空からはグランカイザーやグランディーヴァを運用する輸送機「グランフォートレス」が飛んできて外にはスバルが出ていて、ティアナに手を振る。

「やっほ〜〜〜〜〜〜、ティア〜〜〜〜〜〜〜」
「スバル、あんた何をって……、何よ、その格好!?」

 スバルがグランフォートレスから降りる。ティアナはスバルの格好を見てまたしても驚く。
 スバルの格好は水着だったのだ。しかも水着を隠す服は着ていない。(短パンは履いている)
 スバルの水着は青色で上半身の部分は露出は高いわけではないが低いわけでもなく、胸を強調するようなものだった。

「あんた、その格好でここに……」
「あたしだけじゃないよ」
「え?」

 スバルがそう言うと、Gドリラーからはフェイト、グランフォートレスからなのは、ドゥーエ、リインも降りてくる。
 ティアナはリイン以外の降りてきた3人の姿を見て驚愕する。
 リインはいつもの格好だったが、他の3人は何とスバルと同じ水着姿だった。
 なのはとフェイトは二人ともビキニと呼ばれる露出の高いもので、なのははピンク、フェイトは黒色の水着であった。
 ドゥーエはなのはやフェイトのような露出の高いものではないが、レオタードのようなもので色は緑色。

「なのはさん、フェイトさん、ドゥーエさん……。まさか……」
「さあ、皆で泳ごうか」

 なのはの言葉を聞いてティアナの予感は的中した。ティアナは理由をなのはに聞く。

「な、何でまた急に……」

 その疑問はなのはではなく、フェレットの姿でリインの肩に乗っていたユーノが答える。

「ヴェロッサがティアナが海の近くにいるから、どうせならグランナイツで海に行こうと言う事になってね……」
「…そうですか……。でも何でグランディーヴァで?」
「それもヴェロッサの指示です。何かあった時用だって……」

 ティアナはヴェロッサの考えに呆れてものも言えなかった。

320 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/04/30(水) 22:48:05 ID:HXPGtsxP
「ところでティアの水着もあるんだよ。これでどう!」

 スバルがティアナの為に用意した水着を取り出す。それは学校などで見かけるスクール水着だった。
 ティアナはそれを見て、すぐにスバルに向かって飛び蹴りを入れる。スバルは海まで吹き飛ばされてしまう。

「馬鹿スバル! 水着くらいあたしが選ぶわ!」
「ひどいよ〜〜〜〜」

 スバルは泡を立てながら喋る。

「だったらこれはリインが着ますね」


 ティアナの地元の近くに出来たビルではレジアスが地上部隊の一部の上官達を集めて会議をしていた。
 何故こんな場所で会議をしているのかと言うとそれは最近グラナガンがゼラバイアの襲撃を受けたためにグラナガンは少しばかり壊滅状態。
 それによって会議の場所を変えていたのだ。
 レジアスは会議場の中心に立ち、各地上部隊の上官達に向かって演説をしていた。

「ゼラバイアと呼ばれる謎の存在により、ミッドチルダは危機にさらされているのは諸君らも知っているだろう。政治経済はもちろん、民間レベルでもゼラバイアの出現で様々な社会不安が引き起こされている。
ゆえにわしは混沌した現在だからこそ、地上部隊はその力を次元部隊や本局に見せ付ける好機だと考えている。
今の現状を嘆くのではなく、より市民の安全を約束できるように各部隊の……」

 レジアスが演説を続けようとすると突然建物全体がわずかに揺れる。
 揺れがすぐに治まりレジアスが演説を再会しようとするとまたしても建物全体が揺れる。

「何だ!?」

 この揺れは地震ではない。地震にしては少し不自然である。席に着いていた地上部隊の上官達はどよめきあううちに一目散に逃げていく。

「まさか、地面から……」
「中将…」

 レジアスを武装局員が囲むように守り、レジアスは会議場を去ろうとした時、先ほどまでレジアスが立っていた場所からゼラバイアが出現したのだ。
 ゼラバイアの出現で武装局員は量産デバイスから魔力弾を撃ち、ゼラバイアを攻撃。レジアスは守られながら急いで会場から逃げた。


 海で遊んでいたグランナイツはユーノの感知魔法により、ゼラバイアの出現を感知して急いで自分達の機体に乗る。
 聖王教会の司令室でもゼラバイア出現を感知して、シャーリー、アルト、ルキノ、配置について、ヴェロッサとクロノも司令室に入る。

「グランカイザー及び全グランディーヴァの起動を確認」
「コックピットをモニターに出します」

 アルトがコックピットのモニターを出すと、そこには水着姿のグランナイツの姿が映し出される。
 リインもさっきまで服を着ていたのに、スバルがティアナに出した水着が気に入ったのか、自分のサイズにあう水着を着ていた。
 そしてティアナも水着を着ていた。ティアナの水着はなのは、フェイト、スバルより露出は控えめだがドゥーエやリインのものよりはある。
 上半身部分は露出よりも胸の大きさを強調していおり、下はなのはとフェイトとそんなに変わらない。色はオレンジ色。

「君達、そんな格好で戦う気か……」

 クロノが呆れかえるとヴェロッサは反対しなかった。

「いや、今は緊急事態だ。それにあれはあれで美しい」
「ヴェロッサさん……」
「ヴェロッサのエッチ」

 ティアナが呆れ、フェイトがぼそりとそう言う。

「諸君、今その近くでは地上部隊の平和会議をしていて人口密度が高い。大量殺戮を目的にしているゼラバイアはそこに反応したのだろう。急いで止めてくれ」
『了解!』
「グランナイツの諸君、合神せよ!」

321 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/04/30(水) 22:48:37 ID:HXPGtsxP
「エルゴ、フォーーーーーーーーーム!!」

 ヴェロッサの承認を得て、スバルがエルゴフォームを発動させる。
 グランカイザーからはエルゴフォームの重力が包み込まれる。

「超重合神!!」

 そしていつものようにグランディーヴァがグランカイザーと合神してゴッドグラヴィオンが完成するが、今日は少し違っていた。

「超重合神!! ゴッド、グラヴィオーーーーーーーーーーーーーーーーン!!」

 合神直後に何故かヴェロッサが叫んだのだ。

「今のは…」
「一度言ってみたかったのだよ」
「ははは……」

 クロノは思わず苦笑いした。
 グラヴィオンは会議をしていた建物にたどり着くがゼラバイアの姿はなく、あるのは破壊された建物だけである。

「ひどい……」
「ゼラバイアがいないようだけど、逃げたのかな?」
「いえ、そんなはずないわ! 絶対にいる!」
「ティアナ、少し落ち着きなさい」

 自分の故郷を荒らされて怒るティアナをなだめるドゥーエ。

「わかってます」

 すると地面から突然触手が現れ、グラヴィオンの脚に絡みつく。
 今回のゼラバイアはダイヤの形で貝殻のような厚い装甲をしており、中身からは本体が出ている。

「あいつね。あたしの故郷を荒らすのは……。スバル!」
「グラヴィトンバスターーーーーーーー!!」

 グラヴィオンが両腕を組んでグラヴィトンバスターを放つが、ゼラバイアは自分の厚い装甲に身を固めて、グラヴィトンバスターから本体を守る。

「くっ! ダメか…」

 ゼラバイアは脚にグラヴィオンの脚に絡めた触手でグラヴィオンの体勢を崩し、厚い装甲を被ったままそのまま体当たりしていき、グラヴィオンは後ろに倒れる。

「うわああああああ!!」
「重力安定指数65%」
「重力臨界値まで後7075ポイントです」

 ゼラバイアは体当たりしてすぐに装甲の腕をドリルのように回して、そして自分自身もドリルのように回転させて地面に潜る。

「あれは……」
「まさか逃げる気!」

 ドゥーエが敵の狙いを予測する。

「まずいよ、このまま逃がしたら被害が増える」
「どうしたら…」

 フェイトが逃がした時の状況を考え、スバルが悩みながら策を練る。

「あたしが行くわ。Gドリラーで奴地下からたたき出すわ。フェイトさんもいいですか?」

 ティアナが提案してフェイトに同意を求める。

322 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/04/30(水) 22:49:42 ID:HXPGtsxP
「それしかないね…。いくよ! ティアナ!」
「はい!」
「エルゴ、ブレイク!」

 グラヴィオンの両腕から二つに分かれたGドリラーが離れて、また一つのGドリラーになり、ゼラバイアが掘った穴からゼラバイアを追う。
 穴に入って間もなくGドリラーはゼラバイアを発見する。

「くらえええええええ!!」

 ティアナは叫びながら、ミサイルとバスターをゼラバイアに向かって撃つ。
 ゼラバイアは一時撤退と考えたのか地上に向かう。

「ティアナ、こっちも急いで戻るよ」
「はい!」

 Gドリラーも元来た道を急いで逆走して、ゼラバイアよりも先にグラヴィオンのところに戻り、Gドリラーは再び二つに分かれてグラヴィオンの腕になる。

「スバル、フェイトさん、あれを使います!」
「あれって…、まさかあれを……」

 フェイトがティアナの考えを察知し、ティアナに答えを聞く。

「ええ、あれです」
「でもあれは私もシュミレーターで何度もやってるけどうまくいかない。ティアナも一度も成功してないでしょ」
「……、それでも…。それでもあたしやります! スバル準備して!」
「わかった!」

 グラヴィオンは再び両腕を前にして手を合わせる。数秒後ゼラバイアが地上に姿を現すのと同時に組んでいた両腕が高速回転し始める。

「行くよ、ティア!」
「「「グラヴィトン」」」
「プレッシャーーーー」」
「スパイラル、ナッーーーーーーーーーーークルーーーーーーーーー!!」」
「え?」

 スバルとティアナの叫びが自分と違う事にフェイトは戸惑いながら、両腕は高速回転を続けながらゼラバイアに向かって飛んでいく。
 ゼラバイアの装甲は硬い。だがそれ以上にティアナの怒りで増えたG因子でパワーアップしたスパイラルナックルの方が強かった。
 ゼラバイアの装甲は破壊され、ゼラバイアの体に大きな風穴が開き、爆散する。
 Gドリラーはグラヴィオンの腕にと戻る。

「終わったね」
(兄さん、故郷が荒れてごめんなさい…。でも守ったよ……)


 グランナイツは再び海辺へと戻り海水浴を楽しもうとするが、フェイトがスバルとティアナに説教をしていた。

「二人とも、勝手に技の名前を変えるなんて…」

 フェイトが説教している訳は、さっきの両腕を発射させる技は「グラヴィトンプレッシャーパンチ」なのに、
 スバルとティアナが勝手に「グラヴィトンスパイラルナックル」と変えたことである。

「ごめんなさいフェイトさん。あたしが訓練中のティアに技の名前を変えたらって言ったから…」
「いえ、スバルが悪くないんです。あたしが勝手に…」
「まあまあ、二人とも反省してみたい出し許してあげようよフェイトちゃん」

 フェイトが二人を叱る中、なのはがその間に入る。

「それに私はそっちの方が好きかな。『スパイラルナックル』」
「な、なのは……」

323 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/04/30(水) 22:50:18 ID:HXPGtsxP
「でも今度からはちゃんと一緒に使う人の了承をとってからにしようね」
「「はい!」」
「それじゃあ、海で泳ぐよ。フェイトちゃんも行こう」
「うん」

 なのはがフェイトの手を引っ張り、スバルとティアナがそれを追うように海に入ろうとすると…。

「諸君、バカンスは楽しんでいるかい?」
『ヴェ、ヴェロッサ(さん)…』

 何とヴェロッサが手にサーフボードを持ってビキニパンツ姿でここにいたのだ。

「な、何でここに…」
「そんなことより、グランナイツの諸君着いてきたまえ!」

 そしてヴェロッサは海へと突撃する。

「美しい波だ。さあ、乗るぞ! はっはっはっ」

 ヴェロッサは楽しそうだった。

「「海に行ってくる」って僕だけ留守番かーーーーーーーーー!!」

 クロノはヴェロッサの置手紙を見て、教会には自分しかいないのを見てそう叫んだそうだ。

324 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/04/30(水) 22:50:41 ID:HXPGtsxP
「でも今度からはちゃんと一緒に使う人の了承をとってからにしようね」
「「はい!」」
「それじゃあ、海で泳ぐよ。フェイトちゃんも行こう」
「うん」

 なのはがフェイトの手を引っ張り、スバルとティアナがそれを追うように海に入ろうとすると…。

「諸君、バカンスは楽しんでいるかい?」
『ヴェ、ヴェロッサ(さん)…』

 何とヴェロッサが手にサーフボードを持ってビキニパンツ姿でここにいたのだ。

「な、何でここに…」
「そんなことより、グランナイツの諸君着いてきたまえ!」

 そしてヴェロッサは海へと突撃する。

「美しい波だ。さあ、乗るぞ! はっはっはっ」

 ヴェロッサは楽しそうだった。

「「海に行ってくる」って僕だけ留守番かーーーーーーーーー!!」

 クロノはヴェロッサの置手紙を見て、教会には自分しかいないのを見てそう叫んだそうだ。

325 :超魔法重神 ◆ghfhuMYiO. :2008/04/30(水) 22:53:03 ID:HXPGtsxP
投下完了。
支援いるかと思いましたけど、大丈夫でしたね。
今回は原作グラヴィオンでもあった水着回でした。
機動六課の面々はアニメディアなどで水着姿を披露してるからそれでいけますけど、ドゥーエはどうしようか真剣に考えました。
それとさりげなく他のアニメネタも入れてますがそれが何かわかりますでしょうか?
次回は話は飛んで真剣な話になります。

326 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 22:53:24 ID:zp+Dulqo
支援!

327 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 23:37:05 ID:/UyvxLk1
投下乙。

ちょっと単調な印象があったのでお知らせ。心理をもう少し入れるといい。

328 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/04/30(水) 23:49:26 ID:fOqVPld6
投下乙
ティアナさん、君のお兄さんはゲッター線と同化して君の事を見守っているから
大丈夫だよ。

329 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 00:05:11 ID:FNvVFO62
そーいやヴァッシュって相手を本気で殺す気なら融合しまくったナイブズすら(疲労で髪がほぼ黒になった状態でも)瞬殺可能な程強かったよな。
不殺無しで全力なら悟空とも互角で戦えそうだ。
リリカルTRIGUNのナイブズは融合してないはずだからヴァッシュと戦えばどうなるかな。

330 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 00:19:41 ID:JN0MiZwm
>>325
氏よ。最後が被ってるぞwww
それとかってに名前変えちゃだめだぞスバルwww
と、言うことで(何が?www
今回も盛大なるGJをおくらせていただこう。

331 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/05/01(木) 17:45:27 ID:uBl8gVQB
十八時からなのはMissingを投下します。
よろしくお願いします。

332 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 17:59:56 ID:P8mTDzFJ
人界の魔王 支援

333 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/05/01(木) 18:00:21 ID:uBl8gVQB
魔法少女リリカルなのはMissing

第二話 後編

「あれ、ナカジマ?」

背後から声をかけられて、ギンガはハッと我に返り、振り向いた。
場所は変わらず部隊寮玄関前。
声をかけてきたのは、先程領内のロビーで談笑していた男性局員の一人だった。

「あ…どうも、おはようございます」

相手が見知った人間であると分かり、ギンガは安堵と共に挨拶した。

「おはよう。って、いつの間に外に出てたんだ? ロビーにいたのに全然気付かなかったぞ?」
(やっぱり見えてなかったんだ…!)
「え? ついさっきですけど、ロビーにいたんですか? 私の方こそ気付きませんでした」

内心の思いを押し殺して、ギンガはそんなとぼけた返答をした。

「はは、お互い寝惚けてたみたいだな。俺は今からコンビニ行くとこなんだが、一緒にどうだ?」

爽やかな笑顔を浮かべて、その局員は何やら誘ってきた。
当然だが、今のギンガにそんな元気はないし、これ以降出番のないだろう名無しと親交を深めるつもりもなかった。

「いえ、折角ですけど、少し用があるので…」
「こんな朝からか? 大変だな。ま、頑張れよ」

丁重に断って、走っていく局員を見送る。
やがてその姿が見えなくなってから、ギンガは歩き出した。
『どこに行くの?』
「とりあえず人の少ない所です。あなたと話しているところやあの…みんな≠ニ話しているところを見られると色々面倒です」

自室からここに来るまでに出逢った怪異£Bをどう呼ぶか迷い、他人に聞かれても誤魔化せる程度の、少しぼかした言い方を採用した。
奇しくもそれは、今朝詠子が彼ら≠呼んだ時のそれと同じ呼び方であったが、ギンガは気付かなかった。

『そうだねぇ。私もそこら辺のことには苦労したなぁ。お母さんに精神病院に連れて行かれちゃったりもしたし』

懐かしむように、詠子はそんなことを言った。

「…詠子さんのご家族は、やはり元の世界の方に…?」

内容が内容だけに無視もできず、何となく間をもたせる為に聞いた。


334 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/05/01(木) 18:01:12 ID:uBl8gVQB

『うん? ああ、第97管理外世界って言うんだっけ? そうだよ、多分まだ生きてると思う』
「……まだ?」
『いつかはみんな≠ノ食べられちゃうだろうから』

あっさりとそう言われた。
今更だが、この少女の決定的に壊れた人格には、分かっていてもついていけない。
空目の言う怪異≠ニ接し続けていたら、自然とこうなるのだろうか?
だとしたら自分もそう遠くない内に…?

(…考えたくもないわね……)

浮かんだ嫌な予想を、必死で頭から振り払う。
 今はそんな先のことよりも、とりあえず目先の心配をしたほうがいい。
 詠子から全ての話を聞くのだ。
 それが今、ギンガに出来る最良の行動だ。

「…訓練場なら、まだ人は少ないわよね…」

呟き、ギンガはその場所に入って行った。



「お、まだ出番はあるのか」

コンビニに向かう途中の男性局員が、のんびりとした歩調でその通りを歩いていた。
後衛スタッフの自分にはあまり会う機会のないギンガ・ナカジマだが、部隊内でも優秀かつ美人である彼女の存在は、割と有名であった。
それ故さっきはあんな誘いをしてしまったが…、

「コンビニはねぇよなぁ」

事実とはいえ、自分のセンスのなさを今頃嘆いた。
いや、センス以前の問題か。

「まぁいいけどな。どうせ俺には……ん?」

強がりにもならないことをいいながらコンビニに入ろうとした時、男はそれに気付いた。
後一歩でも歩けば開くであろう自動ドア。
そのガラスには、本来あるべき自分の姿が映っていなかった。


335 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/05/01(木) 18:01:46 ID:uBl8gVQB

「…な…んだ……これ…?」

自分の存在だけを忘れたかのように背景は映すソレに、思わず一歩、後ずさる。
その右足を掴まれた。

「わっ!?」

反射的にそこを見て、男の身体は硬直した。
そこには自動ドアのガラスから死人のように白い手が、にゅう、と伸びていたのだ。

「う……あ…っ!」

喉の奥から声が零れるように出され、それが絶叫という悲鳴となるその寸前、

「ひっ!」

手は人外の力でもって、男をドアの方に引き寄せそして、

「いらっしゃい…ませ?」

開いた自動ドアに反応した店員がそう言った時、そこには誰の姿もなかった。



 そんな訳で陸士108部隊訓練場である。

「やっぱり、まだ使っている人はいないみたいね」

ジムのような造りになっている訓練室内を覗き、ギンガはホッと息を吐いた。
何人か隊員らしき人影が見えるが、皆壁にもたれて座り込んでたり、ベンチに
倒れ込んでたりで眠っているようだった。
どうやら、昨晩からずっとここにいたらしい。お疲れ様です、と心の中で言って、念のためその人達から離れた場所の、部屋の壁端に寄りかかる。

「…ここなら大丈夫ね。詠子さん?」
『はい?』

小声で話しかけたギンガに、詠子は明るく返事をした。

「いくつか聞きたいことがあります。いいですか?」
『うん、いいよ。私もギンガさんにはちゃんと話しておきたいし』

割とあっさりと承諾されたことにギンガは疑問を感じたが、同じ身体を共有しているのだから、無駄な争いを避ける為ならこの程度は普通か、と思い直した。


336 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/05/01(木) 18:02:17 ID:uBl8gVQB

「じゃあ最初に、何故私に取り憑いて…この表現が正しいかどうか分かりませんがとにかく、今のような状態になっているんですか?」

静かな訓練室内で、ギンガの声だけが空気を震わせる。

『あなたを選んだのは私じゃなくて、神野さんだよ』
「神野さん…?」

それは確か、さっき空目恭一との会話でも出てきた名前だった。
その時は何のことか分からなかったが、今は少しだけ予想がついていた。

「もしかして、昨日の夜、私の動きを止めた、あの人ですか?」

 思い出したくもない、思い出すだけで全身に震えが走る、声しか聞いていない男を思い出し、確認する。

『もう人じゃないけどね。そう、神野陰之。呼び名はたくさんあるみたいだけど、とりあえず私はそう呼んでる。』

 相変わらず楽しそうな声で、詠子はそう言った。

『彼≠ヘ最高の霊能者≠ナ透見者≠ナ、そして何より最高の魔法使い≠諱B』
「…………」
『彼≠ヘ叶えるもの=B強い願いを持つ人の所に現れて、その人の願いを叶えてくれたり、その為の手段を教えてくれるの』

 話だけ聞いていると、とんでもなくいい人に聞こえるが、そうでないことをギンガは身をもって知っている。
あの男は良い悪いとか、そういう善悪で語れるものではないのだ。

「…では次に」

結局自分に取り憑いてる理由は教えてくれなかったが、それならそれで仕方ないと、ギンガは別の質問に移る。

「何故、鏡にあなたの姿が映るんですか?」
『鏡≠ヘその人の魂≠映すものだから。あなたよりも濃い℃рェ映るの』

先程と違ってすんなり答えが聞けたが、何やら詩的な言葉のせいで理解出来なかった。
それに気付いたのか、詠子は補足するように説明を始めた。

『あ、勿論鏡は鏡だよ? 光を反射させて目の前のものを映すだけもの。魂なんか映さないし、鏡の向こう側なんてものもない』

引き込まれるように、ギンガは詠子の話を聞き入る。

『でもね』

そして詠子は引き込むように、ギンガに自分の声を聞かせる。

『本当はそういうものはある≠フ。だから私の魔法≠ノ反応して、あなたにも影響を与えるの』
「……?」

だが結局、ギンガには意味が分からなかった。
とりあえず、

「あなた、魔法は使えないって言ってなかった?」


337 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/05/01(木) 18:02:57 ID:uBl8gVQB

事前知識と違うところに突っ込んでみる。

『私の魔法じゃなくて、私の魔法≠セよ?』
「…………」

訳が分からない。
こんなことなら臆さず空目と話していればよかったと、ギンガは思った。彼は詠子より知識は少ないかもしれないが、詠子より分かりやすく説明してくれただろう。

「…魂の形って、何ですか?」
(もしかしたら…)

 ギンガは思う。
 さっき詠子はああ言ったものの、あまり踏み込んだことは聞いても話す気はないのかもしれない。
例えそうであっても、何か聞けることがあるかも知れない以上、質問を止める訳にはいかないのだが。

『魂のカタチっていうのはね、うーん、前はこれの説明した時に怒られたんだよねぇ』

詠子はまたも懐かしむように言ったが、すぐに話を戻して、

『その人の持つ強い意志が、その人の魂に影響した姿、かな?』

そう言った。
今度は多少分かりやすかった。が、言ってる詠子が自信なさげなので、やはり当てにならない。
まだいくつか聞きたいことはあったが、多分自分には理解出来ない答えが返されるだけなので、

「じゃあ、詠子さん。最後に一つだけ」

この質問を最後にすることにした。

『うん? もう終わりでいいの?』
「はい、あまり長居しているわけにもいかないので」

気付けば窓から見える景色に日が出てきている。寝ている局員達も起きるだろうし、誰がが来たら何かと面倒だ。
 だから、

「あなたの望みは、何なんですか?」

ギンガは最も重要なことを聞いた。
神野陰之、声しか聞いていないが、それだけでも常軌を逸した存在と分かった、あの男。
そしてソレを呼び出したという、詠子の願望。
内容如何によっては、自殺してでもこの女を消さなければならないと、ギンガは思う。


338 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/05/01(木) 18:03:27 ID:uBl8gVQB
 もちろん死ぬ気はないが、もしも詠子と神野陰之が管理局の敵になれば、おそらく負けるだろう。
心霊現象≠ノ対抗する術など、科学の延長として魔法を発展させてきた管理局にあるはずがないのだ。

『私の望み?』
「はい」

詠子は驚いたように聞き返した。空目達のことを先に聞かれると思っていたのかもしれない。

『うーん、皆すぐ勘違いするんだけど、私はそんなすごいお願いを持っているつもりは、ないんだよ?』

困ったように詠子は言う。

『空目君には否定されちゃったし、神野さんにも来てもらったりもしたけど、本当にたいしたものじゃないし、私が願うまでもなくいつかそうなることなんだよ?』
「…教えてください」

そんな詠子の様子に少し気が引けたが、ギンガは質問を止めなかった。

「あなたの願望≠ヘ、何ですか?」

静かに強く問う。詠子迷ったようだったが、僅かな間の後、答えた。

『…………みんなが、仲良くかれますように』
「…………!」

それを聞いて、ギンガは自分の中にソレが広がるのを感じた。

「今朝ギンガさんが見たみんな≠焉Aさっきギンガさんに話しかけてきた人みたいな普通のみんなも、私とギンガさんも、みんな仲良く出来ますように」

ソレは感動だった。
おそらく生まれた時から持っていた異能によって、多くの経験をしただろう。
まさか復活するとは思わなかったと、空目は言っていた。
つまりそれは、殺されたということだ。
久しぶりとも言っていた。
つまりそれは、長い間空目の言う携帯電話の怪異≠ニしてさまよっていたということだ。
そんな経験をして、この少女はこんなことを願い続けていたのだ。
間違いない。
十叶詠子は狂っている。
だがそれでも、ギンガは彼女の言葉に感動した。
戦闘機人として生まれたギンガは、母に助けられ、妹と共に優しい家庭で育った。


339 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/05/01(木) 18:04:00 ID:uBl8gVQB
おかげで自分の生まれについて気にする機会は少なかったが、それでも皆無ではない。
ふとしたことで自分は周りと違うことを思い出し、その度に思っていた。
こんなことを気にしなくていい世界になって欲しいな≠ニ。
勿論思っていただけだ。願うとまですらいかない、小さな望みだ。
普通の人間が人口の大半を占めている現状では、どうしたって少数派の立場は弱くなる。
だから、諦めていた。
だけど、ここにいた。
死んでも諦めないなんてことを本気でやらかした少女がいた。

「……詠子さん…」
『何?』

ならば、自分のすることは決まっているだろう?

「その願い、多分思ってるだけじゃ叶いませんよ?
『そうかな? 世の中はいい人ばっかりなんだから、大丈夫だと思うよ?』

狂っていようが関係ない。

「無理だと思います。でも…」
『?』

ギンガは言う。
自身にとって当然のことを。

「もし行動して叶うとしたら、私も手伝っていいですか?」
『…………』

それを聞いて、詠子はしばらく黙っていた。
驚いたのかもしれない。
やがてギンガの表情は別人のように変わり、無邪気な笑みを浮かべた。
そして、

「ありがとう」

小さく動いた唇から、その言葉は呟かれた。



同時刻、時空管理局本局、無限書庫にて、

「…ふう、とりあえずはこんなところかな?」

眼鏡を掛けた気弱そうな、何となく苛めたくなる雰囲気の少年が、そう呟いた。
司書長、ユーノ・スクライアである。
徹夜で書庫内の整理をやっていたらしい彼は身体を伸ばしながら歩き、少し休憩しようかな、とまだ働く気満々の異常な思考をしていた。
その彼の背後の棚に、その本はあった。

『奈良梨取考/著:大迫栄一郎』

第二話 完


340 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 18:09:13 ID:P8mTDzFJ
魔王陛下 支援

341 :魔法少女リリカルなのはMissing:2008/05/01(木) 18:09:22 ID:uBl8gVQB
投下完了です。
言い忘れてましたけど時系列的にはまだファーストアラートも始まってません。

では、感想と、多少きつくてもいいので批判も下さるとありがたいです。
あんまりコメントつかないんで頑張ろうとは思ってるんですけど、一人じゃどうにも出来ないんで。




342 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 18:13:48 ID:P8mTDzFJ
GJ!でした。
原作読んでないので、分らないところがありますが
独特の雰囲気が素敵ですね。魔王陛下とか。魔女とか。
詠子の願いが叶うとどうなるのか興味ありますね。
みんなが仲良くなれますようにに少し感動しました。
では。

343 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 18:25:38 ID:RrKHtbfC
乙でーす
原作はあまり知らないのですが、続きが気になりますな
頑張ってください

344 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 18:53:39 ID:UzTx5lFD
Missing乙!
みんな仲良く
でも、それってつまり最終的にはデモベのネバーエンディング悪夢エンドな罠。
ギン姉、強くイキロ!

345 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/05/01(木) 18:58:13 ID:/o77+eqa
GJ!不安です・・・ギンガさんがすごく不安だー、頑張れ!!

コネタを投下、いいいでしょうか?
カトル・カールが守護騎士になりますー(悪夢的に)

346 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/05/01(木) 18:59:20 ID:P+XRYa1P
Missing GJです。
魔術師が誰に乗り移って復活するのか楽しみです。
やっぱり恭也と美由紀が首をつるんでしょうか?

347 :一尉:2008/05/01(木) 19:07:33 ID:IQUlgoA7
あの人しかない。支援

348 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/05/01(木) 19:36:24 ID:/o77+eqa
返事が無い・・・だが、投下ー。

マルドゥック・ヴェロシティクロス「はやての家族〜カトル・カール召喚編」

 月村すずかが遊びに来る―――。
それは、八神はやての人生において降りかかった難題の中でも、最大級にビッグなイベントだった。
図書館で知り合った、友が自分の家を訪ねる、それはいい。むしろ大歓迎。
だが。
この家には、人には見られたくない生命体が、存在している。
一名除く、合計三名。
奇声が家のダイニングに響く。

「いくよいくよ! いくよいくよ!」

「おかああさん!おかあああさん!」

「しゃぶってやるぜ! しゃぶってやるぜ!」

「あーもう! 皆、今日は二階に行って部屋から出てこないこと! ええね?!」
はやてのシャウト―――もう涙ぐましいくらい切実=その心意気が伝わる。
すごすごと二階に退散する異形三名。
黒いスーツを着た長身の男―――竹刀袋に軍刀を入れ、執事のように振舞う。
顔に火傷跡。
アイスブルーの眼―――顔に浮かぶ微笑。

「すずか様がいらっしゃいました、主はやて」
「うん、じゃあ押して行ってえな、フリント」

車椅子を押してもらい、玄関へ向かう―――友人の笑顔を見る為に。
思えば、彼ら―――守護騎士達も、随分丸くなったなあ、とはやては回想しながら、栗毛を揺らして満面の笑顔で友を出迎えた。


忍び寄る運命の残酷な刃に、気づかぬまま―――。


 それは、とある夜のことだった。
広い家――脚の不自由な少女が独りで暮らすには、あまりに広すぎる豪邸。
ところどころに埃の積もった廊下。暗い、人気の無い広々としたダイニング/キッチン―――少女の孤独を象徴するような部屋。
週に一回ヘルパーが掃除と身の回りの世話をしにやってくるが、それだけだ。
あとは、一人、この虚ろな胸のうちのような家で過ごし、生きていく。それが、八神はやてという車椅子の少女の生き方であり、全てだった。

―――寂しいと思っても、誰も救ってなんかくれへん。

だから、我慢をしなければ、いけないのだ。
そう思い耐えて来た。今までずっと。そして、多分これからも―――そう思っていた夜だった。

一冊の分厚い本―――後に<闇の書>と呼ばれることになる魔導書が輝き、彼らが現れたのは。

眠れない――そう思い、目を開けたときだった。
一冊の本が宙に浮き、輝いた。ぱらぱらとページが風も無いのにめくれ、召喚儀式を実行。
プログラムの実体化を開始。
閃光。
目を閉じる―――開く。人影、無数。

目に飛び込んで来たのは、異形の群れ――赤ずくめ。

「な、なんやあんたら……?」
あまりの異様さに、知らず声が漏れた。

349 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/05/01(木) 19:39:10 ID:/o77+eqa
アイスブルーの眼の男。
火傷跡のある顔/引き締まった体躯=猫科の猛獣といった風情。
ぴったりした赤いレザースーツ/腰にはスチール製の鞘に差し込まれた軍刀――サーベル。
男性器の象徴のような禍々しさ。

「守護騎士カトル・カール参上しました、闇の書の主」
顔に微笑が浮かぶ―――まるでよく切れるナイフといった感じのシャープな笑み。
滑らかな長身が、猫のように背を丸めてこちらに頭を下げている――異様。

「私は、フリント・アロー。カトル・カールの指揮官です」

その左―――両足に車輪式義足。
見た目は少女。赤いレザースーツに身を包んだ、車輪で踊る奇異なバレリーナ。
顔の鼻から下――赤塗りの鋼鉄製の顎――まるで鮫の口。牙を剥いて喋る。

「しゃぶってやるぜ! しゃぶってやるぜ!」

しゃがれた中年男の声―――顔と体を造形した機械化バレリーナ。
フリントの解説――冷静に。目眩がして、はやては頭を抱えた。

「リッキー・ヒッキー。鋼鉄製の顎で噛み付くのを好みます」

さらに左――真っ赤な人間大平べったい何か。おそらく背中に鋼鉄製の甲羅を背負っている――それはいい。
が、頭部らしきところから二本のワイヤーが突き出て左右に動いている――視覚補助装置。
まるで昆虫の触覚―――カサカサ動く黒い『アイツ』を連想。
両手足、脇腹から生えた同型六本の移動補助アーム―――どれも針だらけ。
顔を上げた―――禿頭、丸っこい目、おどおどした笑み。こめかみから生えた補助視覚のワイヤー。

「おかあああさん! おかああああさん!」

奇声―――害虫の鳴き声。
フリントの解説=馬鹿丁寧。

「ローチー・ニードルマン。名の通り<ゴキブリ>のように早く動き、手足の先には注射針が付いています。薬物のプロフェッショナルです。
腹部に危険物をぶら下げていますので、主もご注意ください」

フリントの右―――ゴキブリ男の次は人間大角鹿。
真っ赤な体毛に、太く猛々しい角。バーベル上げの選手のようなぴっちりした赤い皮のボディスーツ。
巨大なトナカイ――我が目を疑い、はやては大きく目を開いた。
手も足も、鹿の脚に似た機械化義肢―――握り締めた四つの拳を、蹄のように地面につけてお座り。
角の下に、馬鹿でかい鹿そっくりの黒目しかない顔――生体義眼。
トナカイの咆哮。

「いくよいくよ! いくよいくよ! いくよいくよ!」

フリント――おなじみの解説。すらすら喋る。

「ホーニー・ソープレイ。カトル・カールの紅一点です。その日の気分で角を取り替えます―――卑猥な形状のものもありますので、ご留意ください」

はやて――悪い夢を見ているのだと現実逃避。
フリントは微笑を湛え、一礼した。
「カトル・カール―――闇の書の主の前に、再び結集いたしました。どうかご命令を、主」
「…………」
「…主?」

はやて、ショックと心労で失神。
その後、フリントに介抱されて目覚めた彼女が、眼前に広がる悪夢に再び悲鳴を上げたのは言うまでも無い。


350 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/05/01(木) 19:40:59 ID:/o77+eqa
彼女は知らない。

彼らが辿った、凄惨な戦と人生を。


彼女は知らない。

彼らが行った、無残極まる任務を。


彼女は知らない。

彼らの身体が、生身で無くなり、人をやめるしかなかった、数奇な運命を。


彼らは知らない。

彼女の心のうちの孤独という空洞を。


彼らは知らない。

彼女がこれから味わう、陰謀という闇を。


彼らは知らない。

<闇の書>の真の名を。


<彼女>は知っている。

全てを。

351 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/05/01(木) 19:42:25 ID:/o77+eqa
投下完了ー。

フリントが解説担当の人になってしまった・・・

352 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 19:46:53 ID:plXa0ibl
>346
つまりこういう事だな?
なのは「おにいちゃんとおねえちゃんの首がゴムのように首が、伸びて縄が首が、食い込んで
ギシギシと首が音を首が立てて、そして二人の首が首が首が首が首が首が
首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が首が
首が首が首が首が首が首があああぁっ!」

353 :キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/05/01(木) 20:16:09 ID:kaWWIU1A
ルールールー(謎
キャロとバクラの続きが完成しました〜長かったね〜話は進んでないけどw
八時半辺りで投下して大丈夫ですか?

354 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 20:17:10 ID:+RCRXpfA
私怨

355 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 20:20:52 ID:JN0MiZwm
>>353
さあ、皆で支援だ。

356 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 20:21:40 ID:P8mTDzFJ
支援します。

357 :キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/05/01(木) 20:32:36 ID:kaWWIU1A
「はじめまして、キャロ・ル・ルシエといいます!」

ティアナ・ランスターは目の前で手を差し出しながら、ニコニコと微笑む少女について計りかねていた。
横から彼女の訓練学校時代から続く腐れ縁、スバル・ナカジマが元気に挨拶しながら、小さな少女の手を握ってブンブン振ってる。

今彼女達が居るのは新しい職場 遺失物管理部機動六課隊舎、その食堂。
そこでスターズ、ライトニング格分隊のコールサイン、3と4をそれぞれ得た彼女達は飲み物が置かれたテーブルを挟んで向き合う。
六課発足の為、部隊長たる八神はやての挨拶などの予定を控え、軽い自己紹介と能力や経歴の確認などをしている。

キャロは四人のうちで誰よりも小柄であり、年下だろう。特徴的な桃色の髪と薄い藤色の目。
着慣れない感じの管理局員の制服の下、僅かに見えるは金色のリング。中央に目が刻まれた三角形、リングの下部には等間隔で錘が並んでいる。
左手には袖から微かに覗く金の腕輪。ペンダントと含めてあまり良い趣味ではない。

「それからこっちが私の竜、フリードリッヒです」

「竜……か」

気になっていた彼女の肩に止まる物体の正体を告げられ、ティアナは呟いた。
使役するのこそ難しいが、制御できればかなりの戦力になるだろう竜召喚は、それだけで特殊技能として認められる。
『レアスキル』
それは彼女にとって何時でも心をチクチク刺激するトゲだった。何時も凡骨の自分を下に見られているような劣等感を覚える。
もちろんソレに甘んじるつもりは無く、何れは超える壁でしかないのだが……

けど今感じている違和感はそんな所に由来するものではない。
第一にこんな小さな少女がここに居るのか?と言う単純なもの。管理局での雇用年齢は魔道師に限ってかなり広い。
だが着慣れない管理局の制服と叩き込まれているはずの堅い反応、そして名乗りの時に階級や魔道師ランクを言わなかった。
つまり初めて管理局と言う組織に組すると言う事。ではその理由は?

『ライトニング4はフェイト分隊長の肝いりで決まった』

『ライトニング4だけは嘱託と言う形で所属し、傭兵のように報酬を貰うらしい』

そんな噂とも言えない言葉の流れを何度か聞いている。そこでまた疑問が生まれる。
なぜ? キャロだけ、言い方が悪いが『特別扱い』なのだろうか? 
実はこの答えは本当に簡単なこと。

『フェイト・T・ハラオウンに気に入られ、八神はやてがワガママを許すに値すると判断したから』

それだけでキャロと言う存在が、自分達と大きく違うモノだと瞬時に理解できる。
もっともそこまで頭が回っているのは彼女だけでスバルはもう新しい仲間と戯れ、エリオはどこか一歩引いて困惑気味。
どれが正しい反応か?と言う事では無いが、ティアナは状況を把握して推論を立てる指揮官としての一要素をシッカリと持っている。




358 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 20:33:20 ID:+RCRXpfA
呪怨支援

359 :キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/05/01(木) 20:33:37 ID:kaWWIU1A
「えっと……どうして私みたいな者がここに居るのか? 皆さん、そんな疑問を感じてると思うんです」

経歴を語る前にキャロが口にしたそんな前置き。ティアナとエリオは小さく頷き、スバルは首を傾げる。
一緒にここまで来たエリオにもキャロは「後で話す」と詳細を語ってはいなかった。
スバルが疑問を感じていない事に関しては彼女の長所にして短所、細かい事を気にしない成果だろう。
小さな白銀の飛竜は辺りの空気など読めるはずも無く、主の膝の上で丸くなっていた。

「隊長さんや副隊長さんクラスにはフェイトさんがお話してくれているみたいです。
 でもこれから一緒にお仕事して、訓練する本当の意味での同僚になる皆さんには自分の口でと思って……」

「結構興味あるわ。悪い意味じゃなくてね」

重苦しい雰囲気を打破するためだったのか? それとも純粋な好奇心だったのか?
ティアナは軽い気持ちで口にして……後悔した。

「そういって貰えるとちょっと喋り易いかな? 
私はアルザス地方にすむ竜を使う少数民族 ルシエとして生を受けました。そして……」


『追い出された』


「「「え?」」」

続くのは残念な事に他の三人には『ワカラナイ』世界の話。知識としては知っている。
そんな話を聞けば胸を痛め、顔を顰めるだろう。だけどそれは体感した現実ではない。

『薬漬けにされそうになり』 『遺跡を盗掘し』 『不良狩りをして』 『僅かなお金でハンバーガーショップで夜を明かす』。
『カジノでマフィアに売り込みをして』 『魔道師として腕を磨き』 『マフィアの仕事をこなす』
『そんなマフィアも壊滅し』 『あちこちの世界を巡りながらフリーの魔道師としてその日暮らし』


「ゴメン……軽率だった」

重苦しい沈黙を破ったのはティアナだった。聞かされた内容を把握できて無いように目が泳いでいるが、謝罪だけはシッカリとしている。
それは自分が先ほど軽い気持ちで口にした言葉に対するものだろう。だが受け止めるキャロと言えば軽い表情。
先ほどと変わらない笑顔で答える。

「うぅん、別に私はソレが辛いなんて思ってません」




360 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 20:33:51 ID:9PFsXHdl
キャロ 支援

361 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 20:35:05 ID:+RCRXpfA
世の中銭や!支援

362 :キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/05/01(木) 20:37:33 ID:kaWWIU1A
「「「え?」」」

キャロの言葉に大なり小なり、そういう過去を持つ三人はやはり首を傾げた。

「違いますね……辛いです。でもその辛さの積み重ねで、ここまで来た……大事な人と一緒に」

キャロが服の上からペンダントを撫でた意味、それをこの場で理解できたのはエリオだけ。
スバルとティアナがその意味を知るのは僅かな後、初めての訓練の時だろう。

「つまり……そんな風に生きてきた私は皆さんとの違いが大きいと思います。
 良い経験も悪い経験も、質でも量でもオカシイ位に沢山してきました。
 だから私は皆さんと同じ物を見ても、同じ事を感じるとは限りません。
 突拍子の無いこと言うかもしれませんし、理解できない行動をするかもしれない」

自己・主観と言うモノは決して単独・独立して形成されるものではない。
常に自分と呼ばれる存在は自分以外の人、それ以外の情報によって形作られる。
情報は発信される環境によって異なる。キャロが生きてきた環境は他の数人とは大きく異なる。

「私は管理局の大儀や正義を信じてなんていません」

だからこんな言葉も出てくる。管理局の法と正義の下に居たら、絶対に出てこない台詞だろう。
頭では理解しているつもりだったティアナもその言葉にはカチンと来てしまった。

「じゃあ! なんで貴女はここに来たの!?」

「ちょっと……ティア」

何時もとは違う役回り、突っ走る自分を抑える戦友を逆に宥めるスバル。
何時もとは違う役回り、激情のまま机を叩いて立ち上がり、怒りを顔に滲ませるティアナ。
それを受け止めるキャロは困ったような、それでも穏やかな笑みを浮かべていた。

「お仕事です。スカウトされましたから、フェイトさんに」

「だからそういう事じゃなくて!!」

「良いお給金を貰えるし、ご飯や寝床もついてきて、訓練までさせてくれるって言うから引き受けたんです」

ティアナにとって、管理局員と言うのは憧れの兄の後を継ぐという、神聖な意味を持つ義務と捉えられていた。
だと言うのに目の前の小さな女の子は給料や待遇の事ばかり口にする。分かっているのだ、ついさっき宣言されたばかりだから。
『考え方が違う』と言われて数分も経ってはいない。これでは全く自分が話を聞いていないよう……


『キャロとバクラは仕事仲間との関係がギクシャクしているようです』




363 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 20:38:55 ID:+RCRXpfA
バクラ支援

364 :キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/05/01(木) 20:39:31 ID:kaWWIU1A
「私にとっては同じなんです。管理局でこれからやるお仕事も、日雇いのティッシュ配りのアルバイトも」

……ソレでも許せないことはある。ティッシュ配りと管理局の仕事が同じ?
自分やスバルが血反吐を吐いて頑張ってきた全てがそんなくだらない事と同じ!?

「このっ!!」

その怒気の爆発でフリードは主の膝の上から飛び去る事を余儀なくされた。一瞬送れてパートナーの制止の声。

「ティア! ダメだよ!!」

ティアナはスバルの静止も聴かず、キャロの胸倉を掴み上げよう手を伸ばす。
キャロの胸元でペンダントが一瞬輝き、向かってきた手首を掴む事で止める。
もし力比べになれば体格的にも体勢的にもティアナが有利だろう。だがティアナは手を振り払い、思わず一歩下がる。
丁度二人の手がクロスする形で隠していたが、僅かに覗いたキャロの瞳。ソレにヤラれた。

「っぅ!」

敵対心と嘲り。何時でも踏み潰す事ができると言う確証。勝利し続けた自信。
獣のような残忍で獲物を噛み千切る事に何の疑問も有りはしない。
暗い暗い闇の底で横たわる死体とも寝床を共にした事があるように冷たく……

「私はアンタを認めない……けど! 仕事はしなさいよ!?」

「もちろん、何事にも全力ですよ?」

ティアナは背筋を駆け上がる寒気と纏めて払うように腕を振り、抑えていたキャロも全く抵抗無く離す。

「フンッ!」

「待ってよ、ティア〜」

ドスドスと音が立ちそうなほど床を踏みしめて歩き去る友人を追って、スバルも食堂から姿を消す。
残されたのはキャロとフリードリッヒ。どちらかと言えばキャロと親しいエリオ。そして……

「ア〜逃げられた。相棒が止めなかったら、殴り倒してやるつもりだったのによ〜」

制服の前のボタンを外し、胸元から引きずり出される金色のペンダント 古代エジプトのロストロギア 千年リング。
輪の中の三角形で一つ目が輝き、吊り下げられた錘が暴れる。そこで『カワル』のだ。
先ほどティアナの手首を掴み、振り払われるまでの間と同じ状態。寒気を誘うような視線をぶつけた……『人格に』

「相棒は合いも変わらずお人好しだぜ」

目付きが鋭さを増し、前髪が二房立ち上がり、口元が笑みで歪む。その動作を見ただけでエリオはゾクリと背筋に走る恐怖感に気がついた。
恐らく初対面時に胸倉を掴まれ、首なし騎士に物陰に連行されて、バラされかけたのが響いているのだろう。




365 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 20:39:50 ID:9PFsXHdl
金を掴め、キャロ! 支援

366 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 20:40:38 ID:+RCRXpfA
保有資産額支援

367 :キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/05/01(木) 20:42:05 ID:kaWWIU1A
『そうですか? 当然の事だと思いますけどね、バクラさん』

キャロの体に重なるように浮かぶもう一人のキャロ、そちらこそがキャロと言う本来の人格の象徴。
つまり今体を支配しているのは別の人格、千年リングに宿る三千年の亡霊、邪神の欠片。名をバクラといった。

「だからあの時も言ったんだ……そうだ、相棒。お前は甘すぎる……やっぱり体に刻んでやらねえとな」

「一つ……聞いて良いですか?」

永遠と当人達だけで分かる会話を続けるキャロとバクラに、恐る恐るといった感じでエリオは声を上げる。
この状態では何と呼ぶのが正解なのかわからないので、名前は無し。

「あん?」

「どうしてあんな事を言ったんですか? 黙っていればケンカにも成らなかったのに」

「ハッ! そういうお前はどうなんだ? 腹が立ったんじゃねえのか、管理局の悪口だぜ?」

そう言われてエリオはどうして腹も立てずにここに居るのか?と疑問を感じた。しかしその答えは意外と近くにある。
目の前の少女「たち」の事をティアナやスバルよりも知っている……気になっているからだろう。
それに……エリオ・モンディアルが本当に信じているのは世界で唯一人、フェイト・T・ハラオウンだけなのだから。

「……」

「まあ良い……アレはオレ様の判断じゃねえからなぁ〜相棒に聞け」

沈黙するエリオに可憐な姿とは全く一致しない鼻息を一つ鳴らし、千年リングが再び光を放つ。
一度瞑っていた目を開ければ、そこには盗賊王のモノではない優しい瞳。それだけで彼は肩の力が抜けるのを感じた。

「あの……ルシエさん、さっきの質問だけど……」

「も〜エリオ君、バクラさんが恐いからってそんな口調じゃなくて良いよ。キャロって呼んで」

「うっうん」

改めて会話を展開してみるとエリオにとって、キャロと言う存在は今まであまり接してこなかった女性だろう。
経験豊富な年上の女性には沢山お世話になった。純粋無垢な同年齢とはたまに遊んだ。
では経験豊富な同年齢の少女とはどんな風に接すれば良いのだろう? 恐いパートナーも憑いている。

「どうして先にあんな怒らせるような事を言ったか?……だよね?」

「これから訓練だってあるのに……」

「だからだよ、エリオ君」

まるで意味がわからない。訓練だって大事だし、チームワークが悪ければ成果も出ない。
怒られることもあるだろう。せっかく無理を言って六課に入ったのだから、フェイトさんだけは失望させたくない。
そんな風にエリオが首を捻っていると予想外、いや……ある種当然という答えが返ってくる。

「訓練は幾らミスをしても、連携が悪くても……誰も死なない」




368 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 20:42:59 ID:9PFsXHdl
善や正義とは凡人の保険 支援

369 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 20:43:40 ID:+RCRXpfA
正義でご飯は食べれない支援

370 :キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/05/01(木) 20:44:09 ID:kaWWIU1A
「……え?」

「でも実戦は違うよ? 簡単に死んじゃう……敵も味方も。だから「いま」言ったの」

自分の真意、本当の姿を隠しておけば確かに関係の構築、そこから派生する訓練などは円滑に進むだろうとキャロは思う。
ほんの僅か、薄い関係ならば隠し通す事は可能だろう。それぐらいの嘘がつける人生を送ってきたのだから。
しかし戦場と言う場所でそんなメッキはすぐに剥がれる。何よりも優先するべき事は嘘ではなく、勝利だからだ。

「今なら……疑ったり、怒ったり、嫌ったりする余裕があるからね?」

戦場では本当に相手を理解するほどの会話などする余裕は無い。意見の衝突は瞬時に勝利を導く方程式に化けなければ成らない。
だからこそ本音を語るべきは今この時でなければ成らない。意見を衝突させ、相手を理解する余裕がある時間。

「訓練の時はたくさんケンカすると思うの。そのたびにエリオ君には迷惑をかけちゃうかもしれないけど……」

「ぜっ、全然大丈夫だから! 気にしないで」

エリオは不思議な高揚を感じながら、上擦った声で叫ぶ。自分の常識を大きく超越した同年齢の少女が上目遣いでこっちを見ているのだ。
何だかとっても……男の子として悪くない気分である。

「訓練の中でティアナさんやスバルさん、それにエリオ君にはもっと分かって欲しいんだ。
 私の考え方、私がここに居る理由、『私達』の力、『私達』の戦い方を……」


カタリと残されたカップがテーブルの上で揺れた。千年リングの指針が激しく揺れ、中央の目が再び光を放つ。
放たれた光はテーブルの影や椅子の下、そして二人の後ろに生じるのは影。
その影の中、闇の中で「ダレカ」が歩いてきた……どんな理由も無くエリオはそう感じさせられる。

「口で言っても分からない奴には……見せてやらねえとな?」

激変する口調。闇の中の「ダレカ」はもう光、現実世界との境のすぐ側にいる。
闇の中で見開かれる血走った瞳、何かを掴もうと差し出される骨のような手。
絶叫を上げるの必死に押さえ、エリオは訴えるような視線をキャロに向けた。
けど残念な事にいま居るのはお人好しな少女ではなく、どこまでも自分勝手な盗賊王。

「訓練学校じゃ習わない戦い方を……本当の闘いってヤツを……」

キャロ、いやバクラは指を鳴らして席を立つ。その音に答えたのは彼女の手に装着された金の腕輪。
腕輪が答える「セット・アップ」腕輪の名はディア・ディアンク。この四年、キャロ達とともに死地を潜ったブーストデバイス。
その起動と共にキャロが纏うのはゆったりとした真紅のロングコート。手には本来の姿、金のラインで彩られたディア・ディアンクが納まる。


「盗賊王の戦を魅せてやる」


影や闇から這い出してきた死霊を元に作られた異形の数々。
彼らが一斉に上げる唸り声が波乱の幕開けを祝福しているように聴こえた。


371 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 20:45:04 ID:+RCRXpfA
あまりにも特異なバトル方法支援。

372 :キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/05/01(木) 20:45:45 ID:kaWWIU1A
以上です。読んでくださった方は分かると思いますが、全然進んでません!!
それとティアナやエリオに若干?性格の差異が見受けられるかもしれませんが、私の書く物なので気にしないで読んでいただけるとみんな幸せに成れますw


373 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 20:47:24 ID:9PFsXHdl
オカルトデッキ 支援

374 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 20:53:05 ID:/8SKW62H
GJ!!
オカルトデッキ対新人かw

375 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 20:59:09 ID:wjK9TiJo
キャバクラの人、GJです!

ティアナとの関係でギクシャクするだろうな〜とは思っていましたけど、最初から最悪になってますねぇ。
しかし、ティアナの管理局への妄信ッぷりはいいなぁ、どこかの宗教の狂信者みたいで。
ここから色々と現実を知っていく事になりそうですね。ティアナのこれからに眼が離せません。
なのはさんも、自分を心から尊敬するわけでも慕ってくれるわけでもないキャロが部下になってどういう反応をするのか楽しみです。
次は早速バトルになりそうで今から期待満々ですよ。

性格の違いは、これくらいなら別に気にしない範囲ですね。
これが外見上以外、面影が無くなったりしてくると変えすぎだと思いますけど、今は別にそんな事はないですし。
頑張ってください。

376 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 21:05:34 ID:NizQsfib
GJです。
しかしここでバクラのような悪党をどうやって倒すのかとか、畏れさせるかに
思考がよってしまう俺は異端だろうか。

377 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 21:15:21 ID:+RCRXpfA
GJ!
やっぱ価値観が違うが故のぶつかり合いは面白い!
これから一緒に闘う仲間に自分の能力を教えてあげると同時に実戦を疑似体験させてあげるなんて優しいなバクラは…
キャバクラの参入によるこれからの6課の人間関係にwktkです!

378 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 21:16:25 ID:KdkaOWUF
GJ!
原作以上に、スターズとライトニングが差別化されそうだぜ
あと、なのはさんの折檻に、キャロも追加されそうだな

379 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 21:19:07 ID:9PFsXHdl
キャバクラの人、GJ!でした。
キャロが独立思考してますね。レイヴンみたいなかんじで。
個人的に大好きです。格好良いし。
次回オカルトデッキお披露目ですね。いつかトラップが見たいです。
リリカルにはないものですから。
ティアナとの仲の悪さは新しい関係ですね。
どこまでも実践思考なキャロ。管理局志向なティアナ。
組織を盲信するキャラが出てくるのは
組織物のお約束みたいなかんじですよね。
ティアナが恐れるキャロの目でDTBの黒の目や
ミルズ少佐の戦闘中の目を思い出しました。

ルールーのほうもかなり強くなってそうだ。
いつか出てくる虫デッキの活躍を待ってます。
エリオやティアナの性格の差異は特に感じませんでした。

ところでフリードも少しは強くなってるんですか?w

380 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 21:22:20 ID:qgyNRv6N
GJあーやっぱりバクラ生きてた時代の王族に対する憎悪や復讐心から
大きな権力が正義のためと行う行為を最初から信じてませんね。
劇中でも何度も言ってますし(真犯人アクナディンですけど。)
しかしエリオの女性遍歴がプレイボーイとしか聞こえないw

381 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 21:27:15 ID:LUmbW+8Y
GJ!
良くも悪くも正道から外れた存在であるキャバクラが嵐を巻き起こすようですw
キャバクラの6課メンバーに対する評価表がどうなるか楽しみ。

382 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 21:35:36 ID:qgyNRv6N
しかしたった一人で王族への復讐という執念で生きてきて
どんなに負けようが無様になろうが決して諦めずに這い上がる様は
ティアナと非常に通じるものがると思う。

383 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 22:03:57 ID:NizQsfib
しかしキャバクラびいきも多いな。


384 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 22:13:37 ID:xiBnrXxJ
>>383
さぁ本音スレに行こうか

385 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 22:24:06 ID:wS88YfCv
>>379
VS露出狂の最後に使ってたよ

386 :385:2008/05/01(木) 22:25:44 ID:wS88YfCv
>>379
トラップカードはVS露出狂の最後に使ってたよ

387 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 22:26:39 ID:qgyNRv6N
俺は贔屓じゃなくて良いものと思うからつけてるだけだけどな。
しかし今までの社会経験からとにかく損得勘定重視のキャロ達と
兄の事から管理局で執務官として上り詰める事を理想とするティアナでは
価値観は違うな。


388 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 22:40:27 ID:95BpVmSl
ティアナには
『ゆっくり成長していけばいいじゃないか、目先の勝利なんか譲ってやってさ
そうすれば、最後に勝つのは君のような受け継いだ者なんだからな』

と、言ってやりたいところだが

正直なところフルボッコにされて再起不能になる姿しか想像できん

389 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 22:47:36 ID:LUmbW+8Y
今のティアナは執務官になることが目的で、執務官になってからのことは全く考えてない状態だからなあ。

390 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 23:15:17 ID:NIm8d9so
>>388
何その戦術的勝利などくれてやる反逆シスコン仮面w

391 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 23:25:33 ID:VN4+9nWJ
355 名前:高天 ◆7wkkytADNk 投稿日:2008/05/01(木) 22:17:29 [ G00N9psg ]
アクセス規制のため、投下をする事が出来ません。
申し訳ありませんが、お時間が空いてる時に、本スレでの代理投下をお願い致します。

との事ですので、空いていれば代理で投稿させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか?

392 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 23:26:51 ID:NX9cFFeI
GO

393 :ラクロアの勇者(代理):2008/05/01(木) 23:27:48 ID:VN4+9nWJ
魔法少女リリカルなのは外伝・ラクロアの勇者

        第六話


・月村家正門前

時刻は午前5時30分。
辺りには朝霧が立ち込め、早朝特有の寒さが辺りを支配する冬の朝。
駅では始発電車が走り出し、新聞配達人が漕ぐ自転車が町をそれなりのスピードで各家庭を回る。
なのはの両親が経営する喫茶翠屋ではモーニングセットの準備をする桃子がせわしなく動いており、高町家の道場では木刀がぶつかり合う音が響き渡る。
月村家では月村姉妹が揃って未だに寝息を立てており、ファリンは充電中。
ノエルは朝食の準備を始め、ナイトガンダムはデッキブラシと洗浄液が入ったバケツを持って廊下を歩いていた。
それぞれが、朝から自分の仕事を行なう何時もとあまり変わらない海鳴市の朝。

「ふ〜ん・・・・・ここが月村忍の屋敷ね・・・・」
そんな肌寒い朝の月村家の門の前に、一人の少女がいた。
歳からして忍と同じ、もしくは少し若い程度。
赤いカチューシャで飾られている長い金髪の髪の毛は、右耳を隠すように右サイドに垂らしており、
紫色の瞳は彼方此方落書きされた月村邸の壁を面白そうに見つめている。
真冬の早朝にも関わらず、素足を露出したチャイナ服に酷似した服を来た少女は、全く寒さを感じさせずに
壁に書かれた落書きを面白そう見つめていた。
「・・・・・安次郎・・・・様もつまらない事を・・・・・ん?」
ふと、足元に障害物を感知した少女は自然と目線を向ける。そこには
「にゃ〜」
猫がいた。
大きさからして子猫。月村家で放し飼いにされている子猫が、ゆっくりと近づいてきた。
少女は無視を決め込むため、直に目線を逸らそうとするが、構って欲しいのか、子猫は少女の足元まで近づき、顔を擦り付け、じゃれ始めた。
「・・・・・・まったく・・・・・・・」
大きく溜息をついた少女は小さく笑いながらしゃがみ、じゃれ付く子猫の頭を撫でる。
頭を撫でられた子猫も、嬉しそうに目を細めるが、突然体を一瞬硬直させた後、少女から離れ正門に向かって走り出す。
そして子猫が正門の前まで来た瞬間、門を開ける重い音が辺りに響き
「おや?何時の間に外に出ていたんだい?」
少し大きめのデッキブラシと洗浄液が入ったバケツを持ったナイトガンダムが、目の前で座りながら自分を見上げている
子猫に笑顔で尋ねる。そして、直に様子を伺うように自分達を見ている少女の視線に気が付く。
「(こんな格好で寒くは無いのだろうか?)おはようございます。朝早くどうされました?」
数メートル離れて自分を見つめる少女の第一印象を内心で呟きながらも、ナイトガンダムは笑顔で朝の挨拶をする。
少女は短く「別に・・・」と答えた後、観察するようにナイトガンダムを見据えた
「(何こいつ、データには無かった?ロボット?月村家から出てきたってことは、月村忍が新しく作ったの?・・・・・まぁ、
素体が残っていたとは言え、月村忍は安次郎と違って自動人形を二体も作ったんだから、可能でしょうけど・・・・)」
興味から警戒へと変わったのか、自分を見据える瞳が険しい物へと変化した事を感じたナイトガンダムは、
とりあえず、ここの住人であることを知って貰うため自己紹介を行なった。

394 :ラクロアの勇者(代理):2008/05/01(木) 23:28:19 ID:VN4+9nWJ
「申し遅れました。私、この家の主、月村忍殿によって作られたロボット、ガンダムと言います。」
忍に言われた通りに自己紹介をしたナイトガンダムに、少女は「ふぅ〜ん」と納得したように呟いた後、目線を落書きだらけの壁に映した。
「だけど、酷い者ね。この家の趣味?」
「いえ、たちの悪い悪戯です。一体誰が・・・・・・・・なにかご用件でこちらに?申し訳ありませんが、忍殿達は
未だ就寝中。メイド長のノエル殿でしたら起きていますが?ご案内いたしましょうか?」
「へぇ〜・・・・ノエルね・・・・・いいわ。大した用件じゃないし。仕事、頑張ってね」
手を振りながらその場から去る少女。だが、子猫は少女の事を気に入ったのか、帰ろうとする少女の後を追いかける。
それに気付いた少女は小さく溜息をついた後、地面にしゃがみ、再び頭を撫でた。
「貴方の家はここでしょ?ついてきちゃ駄目」
優しく子猫に語りかける少女に、子猫も納得したのか、一度鳴いた後その場に座り込んだ。
「よろしかったら、また来てください。この子達も喜びます」
その光景を微笑ましく見ていたナイトガンダムは、また来るようにと少女を誘う。
「ええ・・・・また来るわ、近いうちに。あと、同類のよしみとして忠告しておくわ。貴方、ここから出て行きなさい。故障じゃ済まなくなるわよ」
怪しげに微笑みながら、誘いの了承と忠告とも言える発言を残した少女『イレイン』は、今度こそその場を後にした。
ナイトガンダムはイレインの残した言葉の意味を考えようとするが、先ずは人目につく前に壁の汚れを落とす事を優先する事にした。
ブラシをバケツに入った洗浄液に浸し、汚れを落とすために壁をこすり始めた。


・数時間後

「それじゃあ、行ってきます」
「いって参ります」
海鳴市に引っ越してきたフェイトに会う為、待ち合わせ場所である商店街のペットショップに向かうすずかとナイトガンダム。
ナイトガンダムに関しては、フェイトだけではなく、周囲の人達の紹介の意味も兼ねた外出であった。
その姿を姉である忍は、笑顔で手を振りながら見送り、二人が見えなくなったのを確認してから、
「・・・・ノエル・・・・・・捕まえた?」
彼女は普段からは想像できないほどの冷たい声で呟く。
その呟きに答えるように、何時の間にか忍の後ろに立っていたノエルは一度いやうやしく頭を下げた後、淡々と答える。
「・・・・・はい、忍お嬢様。案の定、ただの部外者でした」
「おそらく『お金をもらってやりました〜』ってオチでしょう?」
「その通りです。頼んだ相手は『緑色のスーツを着た偉そうなおっさん』だそうです・・・・・やはり」
「安次郎ね・・・・・・・・あの狸・・・・・」
忍は険しい顔をしながら呟き、湧き出る苛立ちをどうにか抑える。
「・・・・忍お嬢様、やはりすずかお嬢様の外出を控えさせた方が宜しかったのでは・・・・・忍お嬢様の腕の事もありますから・・・・」
途中から声のトーンを下げて、呟くように話すノエルに、忍は微笑みながら右腕をまくる。
「安心して、腕ならもうくっついたから。ほら」
まくられた右腕には包帯が巻かれていたが、忍はそれをゆっくりと外し、巻かれていた部分をノエルに見せ付ける。
そこには肘の直下の方に、腕を一周する用についている小さなキズがあるだけだった。
「それに、すずかには知られたくないから。こんな汚い大人の悪意なんて。あの子ね、大人しい割には結構勘が鋭いのよ。だから、
下手な嘘は直にわかっちゃう。それにね、今はガンダム君がついてるから安心して任せられるわ。私達はお茶にでもしましょ」
リビングに向かうため、後ろで立っているノエルの横を通り過ぎるが、直に歩みを止める。

395 :ラクロアの勇者(代理):2008/05/01(木) 23:28:49 ID:VN4+9nWJ
「でもね・・・・ノエル・・・もし・・・・私以外の誰かに・・・・・私が受けたような仕打ちをしたら」
ノエルの方を向き、彼女の瞳を見据え忍は答えた。

             「・・・・・・・・殺すわ・・・・・・・・・」

彼女の青色の瞳は、自身の怒りを表すかのように真っ赤に染まっていた。


・喫茶翠屋

ペットショップでアリサと合流したすずか達は、フェイトが引っ越したマンションへと向かう。
途中ナイトガンダムに向けられる多数の好奇の目線を軽く受け流しながら、3人はマンションに到着。
訪れてきたすずか達を向かえるため、玄関へ向かったなのはとフェイトは、すずか達が来た事への喜びと同時に、
二人の間に平然と立っているいるナイトガンダムに、声をあげて驚いた。

「まったく・・・・二人のあの顔には笑ったわ。貴方もそう思わない?」『わふ〜ん』
「アリサちゃん、そんなに笑っちゃいけないよ。ユーノ君もそう思うでしょ?」『きゅ』
獣に変身したユーノ達に向かって話しかける二人に、なのはとフェイトは乾いた笑い声を上げた後、
優雅に紅茶を飲んでいるナイトガンダムに恨めしい目線を向ける。

二人から『忍が作ったお手伝いロボ』として紹介されたナイトガンダムと共に翠屋ヘ向かったなのは達
当然、周囲の人やなのはの家族(リンディに関しては起用に驚いた表情を見せた)は驚いたが
アリサが「忍が作ったロボット」と紹介すると

                 「ああ!納得!!」

全員が手を叩き、納得した表情を見せた。

「(しかし・・・・忍殿の知名度には驚かされる・・・)」
皆の納得具合を目の当たりにしたナイトガンダムは、内心で改めて忍の懐の大きさに驚かされながらも、
隙あらば自分に恨めしい目線を向ける二人を申し訳なく思いながらも軽くあしらう。その時
「(もう!!ガンダムさんったら、別に隠す必要なんかなかったのに!)」
突然頭の中から聞こえるなのはの声に、ナイトガンダムは驚きのあまり、飲んでいた紅茶を吐き出しそうになる。
皆の前でどうにか無様な姿を晒さずに済んだが、突然咽せ始めたナイトガンダムに、アリサとすずかは心配と不審が入り混じった目線を向け
なのはとフェイトは互いの顔を見据えた後、悪戯が成功したかのように微笑んだ。
「(にゃはは・・・・・・ごめんね。そんに驚くとは思わなかったから)」
「(『念話』っていってね、離れた相手に連絡したり、こんな感じに相手の頭の中に直接言葉を伝えたりする魔法なんだ。
魔法を使える人なら誰でも出来るから、ガンダムにも出来る筈だよ。こう、心で伝えたい事を思えば・・・・やってみて)」
一度頷いた後、目を閉じ、フェイトに言われたとおりに伝えたいことを思う
「(・・・・・こうかな?)」
「(うん、そんな感じだよ。簡単だったでしょ?)」
「(確かに便利だ・・・・これなら、魔法関係の会話も、すずか達に気付かれずに出来る。ありが)」
早速、念話を使い二人にお礼を言おうとしたが突然頬を抓られたため、そちらに意識が行ってしまい、念話を中断してしまう。

396 :ラクロアの勇者(代理):2008/05/01(木) 23:29:12 ID:VN4+9nWJ
大体予想はついたが、確認の意味も込め、目を開け自分をつねっている相手を確かめる。安の序、アリサだった。
「何さっきから驚いたり目を瞑って唸ったりしてるの!?普通に怪しいわよ!?」
アリサは瞳を吊り上げながら、ナイトガンダムの頬を真横に引っ張る。
事情を知らない者であれば、アリサの突っ込みは当たり前であるため、ナイトガンダムはどう弁明して良い物かと割と本気で考える。
だが、頬を抓られながらも真剣に考えるガンダムに対し、頬を抓っているアリサは途中から面白くなったのか、
引っ張るだけでは飽き足らずに、パン生地をこねるかの様にこねくり回しだした。
「本当にらわらかいわね〜。パン生地?白玉?」

もう完全に面白半分でナイトガンダムの頬をこねくり回すアリサに、どうにかアリサを止め様とあたふたするフェイトとすずか。
その光景をニコニコしながら見つめるなのは。そして
歳からして20代後半の男が、白い車の中からその光景を観察するように見据えており、懐から取り出した携帯電話で
連絡を取った後、車を発進させた。

・数時間後

その後、『フェイトのお迎えイベント』を日が沈むまで行なったなのは達。日が落ちた頃を見計らった桃子が
アリサ達に帰るように諭した所でお開きとなった。
フェイトはリンディと共に帰宅し、アリサはいつの間にか外で待機していた鮫島が運転するベンツに乗り込んだ。
「すずかとガンダムも乗っていきなさいよ。帰りに図書館によっていくけど?」
「ごめん、アリサちゃん。お姉ちゃんに真っ直ぐ帰って来るように言われてるんだ。だから・・・・」
申し訳無さそうに断るすずかに、アリサは「そっか〜」と呟きながら残念そうに溜息をつく。
「まぁ、しょうがないわね。それじゃ、明日学校で。鮫島」
恭しく返事をした鮫島が、ゆっくりと車を発進させる。車の窓から身を乗り出しで手を振るアリサを見えなくなるまで見送った二人は
月村家に帰るために、歩き出した。

同時に、一台の白い車が、ゆっくりと動きだした。


「うれしそうだね、すずか」
笑顔で、時より鼻歌を歌いながら隣を歩くすずかに話しかけるナイトガンダム。彼女の影響なのか、彼の顔も自然と綻ぶ。
「うん!明日からフェイトちゃんが同じ学校のクラスメイトになるんだもの。嬉しいよ」
忍達のお土産である翠屋のケーキが入った箱を軽く揺らしながら嬉しそうに答えるすずかに、
「自分としても、喜ばしい限りです」と言おうとした直後、二人の後ろから、道のアスファルトを削るタイヤの音が鳴り響く。
突然の音に驚いた二人が揃って後ろを向くと、一台の白い車が猛スピードで迫ってきた。
「えっ?」
自分達に真っ直ぐ向かってくる車に、すずかはどうして良いのか分からず、立ちすくむ。
いや、本当なら直にでも避けるべきであり、彼女の運動神経なら造作もない事ではあった。だが、
正に自分達を狙って猛スピードで突っ込んでくる車に、彼女は恐怖感に支配されてしまい、動くことが出来なかった。
このままでは数秒後にはすずかは跳ねられ、その小さな体が空に舞う事になる。だが、隣にいる騎士がむざむざその様な事をさせる筈もなかった。

397 :ラクロアの勇者(代理):2008/05/01(木) 23:30:06 ID:VN4+9nWJ
「失礼!」
ナイトガンダムは短く謝ると、すずかの手を後ろから引っ張ると同時に彼女のつま先を軽く蹴る。
突然引っ張られた上に、足を蹴られたすずかは背中から倒れそうになるが、ナイトガンダムの右腕が地面に接触しようとするすずかの背中を優しく抱きとめる。
同時に彼女の両膝の後ろに手を回す。俗に言う『お姫様抱っこ』という形で彼女を持ち上げたナイトガンダムは、即座にジャンプ。
迫り来る車の上を飛び越えることで危機を回避した。
着地して直に自分達に襲い掛かった車の方に顔を向けるが、再び自分達を襲うことは鳴く、そのまま走り去っていった。
「大丈夫ですか?」
安心させるように微笑みながら、ナイトガンダムはすずかをゆっくりと下ろす。
すずかも真似するかの様に笑顔でお礼を言うが、顔からは先程の恐怖が抜け切れておらず、足もガタガタと震えていた。
「(・・・やはり怖かっただろうな・・・・・・なら)すずか、また失礼するよ」
自分がすべき事を決めたナイトガンダムは、早速行動に出る。すすかの返事を待たずに再び彼女をお姫様抱っこし、そのまま月村家に向かって歩き出した。
「えっ!?ちよっと!?ガンダムさん!?一人で歩けるよ!?」
先程まで自身を支配していた恐怖感より、今の自分の現状の恥ずかしさの方が勝ったのか、すずかは顔を真っ赤にしながら下ろすように言う。
だが、ナイトガンダムは彼女の抗議を一切無視し、歩き続けた。
途中からすずかも抗議をするのをやめ、身を任せることにした。だが、その時になって彼女はようやく気が付いた。
「(・・・・あれ、恥ずかしいって気持ちだけで、さっきまで感じていた怖いって気持ちが全然ない・・・・・)」
先程まで自分を支配していた恐怖感が一切鳴く、今の自分の中にあるのは、ガンダムが自分を抱っこしてくれてるという大きな安心感だった。
「・・・・・落ち着いたかい?」
「うん」
「忍殿に借りた本に、このようにすれば、女性は安心すると書かれていました。効果は絶大のようですね」
自分が身に付けた知識を自慢するかのように、多少誇らしげに語りかけるナイトガンダムに、すずかはつい噴出してしまう。
一体自分の姉は彼にどんな本を貸したのか?気になる所ではあるが、今はナイトガンダムに身を任せることにした。
「でも、お姉ちゃん達に見られるのは恥ずかしいから、家の前になったら下ろしてね」
「御意」
時より、自分達を微笑ましく見つめる通行人の視線を気にしながらも、すずかはナイトガンダムに抱っこされ、自分の屋敷へと向かった。


屋敷が目で確認できる所ですずかを下ろした後、再び二人揃って歩き、月村家へと向かった。
その後は、ナイトガンダムに好奇の目線を送る人とすれ違う以外、何事もなく屋敷へと到着したのだが、
「・・・・・あの車・・・・・」
門の前に止めてある見慣れる黒い車を見た途端、すずかの表情が曇る。
「・・・・アリサの車に似ているね・・・・・・ん?」
すずかの表情を気にしながらも、ガンダムは止めてある車へと近づく。だが、近づくにつれ彼の目は止めてある車から、
門と屋敷をつなぐ大理石の道の中央で、話をしている忍達の方へと向けられた。


「お前が、わしの言う事をきいて、ノエルとファリンを渡せば、お前やすずかの事、守ってやってもええねんけどな」
男は一息つくために、右手に持った葉巻を吸い、口から吐き出した煙を忍に向かって噴出す。
葉巻から落ちた灰が、大理石の道に遠慮なく落ちるが、男はそんな事を微塵も気にせずに話を続ける。

398 :ラクロアの勇者(代理):2008/05/01(木) 23:30:46 ID:VN4+9nWJ
男の名は『月村安次郎』忍やすずかの親戚に当たる人物であり、昔から何かと嫌がらせをなどをしてきた人物である。
歳は40代、紫のスーツに身を包んだその体系は中肉中背、いかにも高そうな葉巻を持つ右手の親指以外の指には純金の指輪をはめいてる。
オールバックにした紫色の髪を整髪料で固め、同じく純金で出来ているであろうメガネ越しから忍を見据える瞳は
一見我侭な子供を諭す様にも見えるが、彼という人物を知る人から見れば、腹の底では何を考えているかわらない邪な瞳に見えた。
それから『美術品や土地を渡せ』や、『便利で快適な家を用意する』など、色々と言ってはいるが、忍はそんな話は最初から聞いておらず。
ノエルたちもただ『義務』として耳を傾けるだけであった。
『この男に対してこれ以上譲歩はしない』忍が既に決めていることであり、ノエル達はその決まりを『無視するといけないから話だけはきいてあげましょう』
という自愛の心をもって実行していた。
そんな忍達の態度に業を煮やしたのか、安次郎は不自然にニヤつきながら、彼女達が食いつく話を始めた。
「そういえば・・・・ここん所、走り屋を名乗っ取る馬鹿なガキが、彼方此方に出没しとるらしいな〜」
「・・・・聞いた事ないわね・・・・漫画の読みすぎじゃないの?」
隠す事無く小馬鹿にする様に忍ははき捨てる。だが、
「・・・そういえは、すずかはどうした?お出かけか?」
安次郎はニヤつく口元を隠さずに呟く。案の定、『すずか』の名前に反応した忍達に気を良くしたのが、
彼女から発せられる殺気に気付く事無く、話を続ける。
「一人でお出かけは物騒やからな〜、その走り屋にうっかり撥ねられたりでもしたら・・・・・っ!!?」
再び葉巻を吸った後、不安で泣きそうな顔をしているであろう忍の顔を見ようとした瞬間、安次郎は震え上がった。
瞳を真っ赤にしながら自分を射殺さんばかりに睨みつけている忍に、そして今更気が付いた、彼女から発せられる殺気に。
だが、安次郎も自分に向けられる殺気を、どうにか受け流すと同時に忍を睨み返す。
「・・・・オマエは・・・・睨みつける事は出来ても、手を出す事は出来ん子やろ?ノエル達も『ワシ』がお前達に手を出さん限り無暗に攻撃はでけへん」
「・・・・・そう?」
先程以上の殺気を放ちながら、忍は安次郎の首を掴む。そして自身の2倍近い体重であろう彼のそのまま片腕だけで軽々と持ち上げる。
「貴方・・・・・私を甘く見すぎね。私自身なら別に我慢は出来るけど・・・・・・すずかや・・・・私の大切な人に手を出すのなら・・・・」
空いている手をゆっくりと引きながら親指を曲げ、残りの指を密着させ真っ直ぐに伸ばす。
「貴方も少しは血を引いているんでしょ?常人が死ぬような怪我でも、大怪我で済むでしょ?試してみようか?」
安次郎やノエル達が何が叫んではいたが、今の忍にはどうでも良い事だった。
今はこの男に自分の本気を・・・・覚悟を示してやる。こいつの体で分からせてやる。
手刀を放つ手に力を込め、無防備な安次郎のわき腹目掛けて放とうとした瞬間、

                「忍殿!!!」

無視する事を許さない凛とした叫び声に我に返った忍は、放とうとした手刀を止める。同時に安次郎を掴んでいた腕も離し、彼の拘束を解いた。
咽る安次郎を無視して声のする方を向くと、忍の行動に怒りを表しているナイトガンダムと、その後ろで自分達を見つめるすずかの姿があった。
「いけません、貴方のような優しい方が、人を傷つけては。皆が悲しみます」
自分を見据えながらゆっくりと近づいてくる二人に、忍は先程の行動を反省するかのように俯く。
安次郎の方はむせながらも、近づいてくる二人の、特にすずかの姿に驚きながらも、二人に向け笑みを見せる。
「おお、すずか。久しぶりやな〜、元気やったか?」
「・・・はい、安次郎叔父様も、お変わりなく」
ナイトガンダムの後ろに隠れるようにしながら、挨拶をするすずか。
忍ほどではないが彼女も彼の事を知っているらしく、警戒している事は目に見えていた。
「まったく、気が小さいのは相変らずやな。で、隣にいるちっこいのは何や?」
「申し送れました。私、忍殿によって作られたロボット、ガンダムと申します。以後、お見知りおきを」
目線がすずかから自分の方へと移った為、ナイトガンダムは跪き頭をたれ、自己紹介をおこなう。

399 :ラクロアの勇者(代理):2008/05/01(木) 23:31:49 ID:VN4+9nWJ
「ほぉ、忍も面白いモンを作るやないか。そういえばすずか、怪我とかなかったか?白い車なんかに轢かれそうにならんかったか?」
意味ありげな笑顔で尋ねる安次郎にすずかは身を縮ませる。だが、ナイトガンダムがそんなすずかを庇う様に安次郎の前と歩み寄る。
「はい、危ないところでしたが、大丈夫でした。それより良くご存知ですね。轢かれそうになったのが『白い車』だと」
「何?長い人生経験から出た勘って奴や。それにな、仮にすずかが轢かれたとしても、夜の一族の血を濃く受け継いでいる以上、死ぬ事はあらへん」
「夜の一族?」
「なんや?製作者である忍からは何も聞かされてないんかいな?まぁええ、暇つぶしにおしえたる」
先程まで吸っていた葉巻を近くに放り投げ、懐から新しい葉巻を取り出し、火をつける。
「・・・・・忍やすずかを始めとしたうちら一族はな、普通の人間とちゃう。『夜の一族』と称する吸血鬼や。
まぁ、うちは引いている血が薄いから並みの人間と変わらんが、忍とすずかに関しては世界に散らばる『夜の一族』の中でも5本の指に入るほど色濃く血を受け継いでる。
血が濃いってことは、それだけ人間離れしてるってことや。腕を切断されても直にくっついたり、車に轢かれて骨が彼方此方砕けても人の数十倍の速さで回復する回復力。
常人をはるかに超える運動神経ももっとる。忍は勿論、今のすずかでも本気を出したらオリンピックで金メダル総なめとちゃうか?」
安次郎はナイトガンダムの後ろに隠れるように立っているすずかに話を振るが、すずかは俯き、沈黙で答える。
「まぁ、ぶっちゃけて言えば『化け物』や。血を引いているとは言え、薄いうちらと違って色濃く血を引いた正真正銘の吸血鬼。『化け物』。
せやけど、忍も昔はその事にやたらコンプレクスを抱いていてなぁ。『自分は人とは違う』『自分は人には受け入れてもらえない』って怯えて
自分の殻に閉じこもっとったどうしようもない奴や。まぁ、姉妹は似るようやから、今度はすずかが殻に閉じ篭る番やろな」
一方的に話し終わった後、一度葉巻の煙を肺一杯に吸い込み、ナイトガンダムに向かって吐き出す。
避ける事無く、その煙を受けたナイトガンダムは、数秒の沈黙の後、頭を垂れた。
「安次郎殿、ご理解しやすいご説明、誠にありがとうございました」
自分に頭を下げながら礼を言うガンダムに安次郎は満足したのが、声をあげて笑いながら再び葉巻の煙を肺に吸い込もうとする。だが、
「ですが、二つほどおねがいがあります」
「なんや」と安次郎が呟いた瞬間、彼の目の前に何かが通り過ぎる。その直後、彼の持っていた葉巻は挟んでいる人差し指と中指のすれすれの所で、綺麗に切り取られた。
「一つ、ここは禁煙です。葉巻はお控えください」
何時の間に抜いたのか、自分に向かって西洋の剣を突きつけているナイトガンダムに、安次郎は罵倒を浴びせようとするが、彼の瞳を見た瞬間言葉を詰まらせる。
彼の目は、自分を明らかに『敵』として見ていたからだ。
「一つ、忍殿やすずかのことを『化け物』と呼んだ事の撤回と謝罪を要求します・・・・・お早く・・・・・」
先程の忍と同様に殺気を放つナイトガンダムに、安次郎は大きく舌打ちをした後、持ち手の部分しか残っていない葉巻を投げ捨てた。
「あ〜も〜興醒めや!!胸糞悪い!!!所詮忍が作ったガラクタ、生意気な(止めてください!」
今まで喋らなかったすずかの突然の叫び、それも怒りが篭っている声に、安次郎は勿論、忍達も素直に驚く。
彼女達は決して突然叫んだ事に驚いたわけではない、安次郎は無論、忍達も初めてだったからだ、すずかが本気で怒る所を見たのは。
「安次郎叔父様・・・・・・謝ってください・・・・・・ガンダムさんに」
ナイトガンダムから離れ、怒りの篭った瞳で自分を見据えるすずかに、安次郎は再び舌打ちをした後、すずかとナイトガンダムの横を通り過ぎ
正門へと向かう。だが、途中で足を止め、睨みを利かせた顔で忍達を見据える。
「忍・・・・これが最後や・・・・遺産を譲ってくれや・・・・そうでないとワシは、最悪の選択をせなあかんかもしれんのや・・・・」
「・・・・・・出てって・・・・・今すぐに・・・・・」
はっきりと言い張った忍に、安次郎は深い溜息をついた後、再び門に向かって歩き出す。
「ここ数日は悪戯や不幸は起こらんと思うし、走り屋なんかの物騒な奴も現われんと思う。
ただ、近いうちにわしが満足する返答をきかせてくれへんのなら・・・・ワシは知らん」
皆の耳に残る言葉を残し、安次郎は自分の車へと乗り、月村家から去っていった。

400 :ラクロアの勇者(代理):2008/05/01(木) 23:32:14 ID:VN4+9nWJ
・数時間後

その後、暗い雰囲気を打ち消そうと、忍が全員でカラオケに行く事を提案。
この世界の風俗の知識も見につけていたためカラオケの事を理解はしていたが、人前で歌を歌う事の筈かさから
「あっ・・・え・・・私は留守番を・・・」と遠慮がちに断った。だが、
「しったこっちゃないわ!!強制参加!!!」という忍の回答とともに最寄のカラオケ店へ。
珍しくノエルも羽目を外してのドンちゃん騒ぎを数時間に渡って行った結果、すずかは途中で寝てしまい、
忍が背負った帰宅した時には、既に午前0時を回った後だった。
各自が自室へと帰る中、ナイトガンダムは安次郎が残した言葉の事もあるため、見回りをしようと外に出ようとする。だが、
「大丈夫よ、警戒レベルは最大にしておいたし、あいつも、今日来て直にチョッカイ出さないでしょ。それよりどう?」
寝巻き姿で右手にワインが入っていると思われる瓶、左手に二人分のグラスを持った忍に誘われたため、
ナイトガンダムは見回りを止め、彼女の誘いを受けることにした。

「・・・・・ありはとうね・・・・・」
リビングで果汁100%のグレープジュースを一口飲んだ後、忍は中身が半分以上残っているグラスを玩びながら呟いた。
「あの時・・・・私を止めてくれて・・・・私達の為に怒ってくれて・・・・・ホント、貴方、恭也と並んで良い男だわ」
再びグラスの中の液体を煽った後、微笑みながら自分を見つめる忍に、ナイトガンダムはテレを隠すように俯く。
「私は、感謝されるような事はしていません。それに、結果的に私も剣を向けてしまった」
「私と違って傷つけるつもりはなかったんでしょ?言い脅しになったわ」
忍の言葉に安心したのか、ナイトガンダムは初めて自分に注がれたジュースに口を付けた。
ジュースを飲みながら、ナイトガンダムの世界についての質問や、忍の彼氏の話(半分以上はノロケ)で時間を潰す二人。
時刻が午前2時を回り、そろそろ寝ようかと忍が切り出した時、ナイトガンダムはあの時から疑問に思っていたことを尋ねる事にした。
「忍殿、お尋ねしたい事があります」
「ん?何?改まっちゃって?今はご機嫌だから3サイズも教えてあげるわよ」
「・・・・・安次郎殿の事です」
うんざりしている人物の名前を真剣な表情で呟くナイトガンダムに、忍は顔を引き締め、彼を正面から見据える。
特に何も言わないで自分を見据えている忍に、ナイトガンダムは話を切り出した。
「安次郎殿は『遺産を譲ってくれ』と言っていました。ですが、彼の身なりからして見れば、お金に困ってるようには見えません。何か、別の目的が?」
もし彼が、直球に言ってしまえば『貧相』、ある程度緩和して言えば『普通』の格好だった場合、月村家の遺産を
求めるのは理解できる。様々な嫌がらせをしてでも。
だが、自分が見た彼の格好はどう見ても貧相でも普通でもない。高そうな服に両指に嵌めていた指輪、そしてアリサが
移動で使用してるのとそっくりな黒い車。この世界に疎い自分でも、『裕福な人間』だと一目で理解できた。
そんな『裕福な人間』が、姑息な手を使ってまで月村家の財産を欲する理由が、彼には理解できなかった。
「・・・・・あいつは、確かに金持ちよ。ほんと、今の財でも一生遊んで暮らせるお金を持っているのに。私にも何でなんでか分からない。
ただね、あいつが本当に欲しているのは家の金銀財宝じゃない、ノエルとファリンよ」
「・・・・ノエル殿とファリン殿?・・・・・なぜ・・・・」
ナイトガンダムの問いに、忍は沈黙で答える。真夜中のリビングに響く秒針を刻む音が60回を越えたとき、彼女は口を開いた。
「ノエルとファリンはね、人間じゃないの。『自動人形』という『夜の一族』に伝わる技術で作られたロボット・・・いえ、半ロボットね」
人間と信じて疑わなかった彼女達が、機械で出来た人形と知らされたナイトガンダムは、驚きのあまり声を出す事も出来なかった。
「驚いている最中で悪いけど、続けるわね。安次郎が『夜の一族』に関して色々説明してくれたけど、他にも特徴があるのよ。
純潔の『夜の一族』の寿命はね、とても長いの。それこそ、300年とかを余裕で生きることが出来るわ。そんな彼らの付き人として『自動人形』
は作られた。ノエルとファリンはそんな自動人形の生き残り。素体が残っていたから私が作ったわ。まぁ、両親に甘える事が出来なかった
すずかの為にって思っていたんだけどね、私も同じだったわ。構ってくれる人が、家族が欲しかった・・・・・・」

401 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 23:32:17 ID:JT8QRwNa
支援

402 :ラクロアの勇者(代理):2008/05/01(木) 23:32:43 ID:VN4+9nWJ
一息つくために、忍はコップに残っていたジュースを一気に煽る。
「安次郎はね、そんな彼女達を・・・・正確には彼女達に使われている技術を欲しているのよ。ガンダム君もこの世界の事を勉強しているから分かると思うけど、
ノエル達のような人間そっくりなロボットは今の地球じゃどう頑張っても作る事なんて出来ない。ちなみにガンダム君の場合は見た目がロボットだし
機械工学に関しては私も名が知られてるから、『簡単なプログラムを組み込んだお手伝いロボット』って事で普通に通すことが出来たわ」
ガンダムはふと昨日の出来事を思い出してみた。確かに町の人々は自分が『忍殿に作られたロボット』と言った途端、妙に納得していた事を。
「正に『遺失技術』。そんな技術をお金に換えたらどうなると思う?金額を見るだけで馬鹿らしくなるわ。
あいつの目的はその『馬鹿らしくなる程の金額』よ。まったく、仮にノエル達を手に入れたとしても、解析なんて出来る筈が無いのに」
「解析出来ない・・・・・構造を理解する事が出来ないという事ですが?」
「そう。さっき言ったと思うけど、私はノエル達を『素体』が残っていたから作ったの。
その素体を含めた、各箇所の構造は私でも全てを理解する事が出来ない。うぬぼれじゃ無いけど、
あいつらが理解できるなんで思えないわね。それをあいつは理解していない。『自分なら出来る』と思ってる。とんだお祭頭ね」
「忍殿も全てを把握できないとなると・・・・・ノエル殿達『自動人形』を作った古来の『夜の一族』の方にでも聞かない限りは無理でしょうね」
ナイトガンダムが話した後、再び沈黙が訪れる。これで話が終ったと思ったため、色々と話してくれた忍に感謝の言葉を言おうとした時、
「・・・・・・・今から話すことは・・・・・・誰にも言っていないの。すずか達や恭也・・・・・素体をくれたさくらにも・・・・・聞いてくれる?」
他言は許さないと言いたげな瞳で、自分を見据える忍に、ナイトガンダムは静かに頷いた。
「・・・・・私も、機械工学に関してならそれなりに自信があった。だけど、ノエル達自動人形は遺失技術の固まり。
だからさくらにも頼んで・・・・ああ、『綺堂さくら』私やすずかの叔母ね。そのさくらにも頼んで昔の、それこそ純潔の『夜の一族』が
生存していた時の資料なんかを探しては読みふけったわ。幸い、古い資料はそれなりの保管状態で大量に見つかった。当然『自動人形』に関しての
資料も沢山あった。だけどね・・・・・何処をどう探しても、見つからなかったのよ・・・・・・・私が理解できない部分についての説明が」
「・・・・・・悪用を恐れて・・・・・処分したのでは?」
「なら、素体も一緒に処分する筈よ。それに資料に関しても処分してる筈。悪用を恐れて処分したのなら、あまりにも中途半端だわ」
自分の意見が直に否定されたため、次の意見を考えようとする。だが、それより早く忍が口を開く。
「さっきノエル達のことを『半ロボット』っていったわよね?言葉通り、彼女達は半分は人間なのよ。人間の体に身体機能の強化として
機械部品が様々な所で使われている。普通ならこんな馬鹿な事をすると、生身の方で拒絶反応を起こしたりするんだけれど、ノエル達の場合は
『夜の一族』の純血人の遺伝子によって作られた肉体が使われている。だから拒否反応なんかも無視する事ができるし、生身の部分の負傷も私達以上の速さで治るわ。
機械部品に関しても、そこだけ綺麗に取り外しが出来るがら、メンテナンスも簡単。まったく凄い技術よ、どっかの秘密結社じゃあるまいし、
素体を作った人に弟子入りしたいわ・・・・・・」
忍はソファに体を預け、右手を軽くオデコに当てながら天上を見つめる。そして、その状態から続きを話し始めた。

403 :ラクロアの勇者(代理):2008/05/01(木) 23:33:37 ID:VN4+9nWJ
「ただね・・・・ふと思った事があるのよ。『こんな凄い技術をもった夜の一族は宇宙人じゃないか』って。正直真面目に考えていたわ。
行き過ぎた技術は勿論、『夜の一族』に関しての起源も資料の何処にも載っていない。正に『突然この世界にやって行きました』って言葉がぴったりと当てはまる。
まぁ、当然ただの妄想として処分しようとしていたけど、最近『突然この世界にやって行きました』って居候が現われたから否定できなくなっちゃったわ」
腹筋を使い、忍は体を預けていたソファから体を起こす。そしてキョトンとしているナイトガンダムを悪戯っぽく微笑みながら見つめる。
「これは私の推測、『夜の一族』は本当はこの世界『地球』の住人じゃない。元いた世界が崩壊なり何なりしたために逃げてきた人々ってね。あっ、もうこんな時間」
今の時刻を見た忍は一瞬顔を顰めた後、空き瓶と空になったコップを持って立ち上がる。
「ごめんね、付き合わせちゃって、それとありがとう。話を聞いてくれて。今日はたっぷり寝坊していいから。おやすみなさい」
「いえ、お礼を言うのは私の方です。話をして頂き、ありがとうございます。おやすみなさいませ」
恭しく頭を垂れるナイトガンダムに、忍は微笑みで返した後、リビングを後にしようとする。だが、
「一つ、言い忘れた事があったわ。ノエル達は『自動人形』って呼ばれてるけど、本来は別の名称があったの。本来の名称が物騒だったから変えたみたいね」
足を止め、ガンダムの方を向き、本来使われていた名称を呟く。

                       「『戦闘機人』そう呼ばれていたらしいわ」



こんばんわです。投下終了です。
読んでくださった皆様、支援してくださった皆様、感想を下さった皆様、ありがとうございました。
職人の皆様GJです。
次回は戦闘です。VSイレインです。
まんまとらハ3とのクロスになってます、しかも説明ばっか・・・・orz、

次回は何時になるのやら・・・・・orz


404 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/01(木) 23:51:26 ID:42GzOQVz
代理の片お疲れ様です

ってかそう繋げてきたか!
読んで体がビクッとした

405 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 00:01:43 ID:KP1VxF1h
乙です
とらハ3にStsと、繋がりが見えてきましたね〜
次も期待しております

406 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 00:12:21 ID:P8xdfvd9
アニ個板の柊つかさスレで一日のレス数を数えてカキコした方が乙されるミステリー。

407 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 00:33:19 ID:29M5uG79
GJ!!です。
嫌な親父だぜ。面倒だから後腐れなく、Gに依頼してズキューンして欲しいw
そして、戦闘機人技術が既にこの時に地球に流れてるとは・・・ビックリです。

408 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 00:41:25 ID:iDSq+P8J
戦闘機人って……まぁ、自動人形とは機械主体か、生体主体かの違いはあるんでしょうね。

409 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 01:07:51 ID:U5lzH9hM
遅らせながらキャバクラ氏GJ!

・・・クレイモアや激流葬とか発動したらどうなるんだろ

410 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 01:15:20 ID:29M5uG79
キャロとバクラの人氏GJ!!です。
戦いとは物量であるを実践するバクラ式が楽しみですw
しかも、その兵達は死を恐れない恐ろしい奴らwww
近距離戦や一撃で再起不能にできない威力の射撃しかできない奴は数で潰されちゃうぜ。

411 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 01:40:40 ID:UwH04Kx/
>>410
しかもキャロのブーストがつくからなぁ(笑)

412 :フルメタなのは ◆JCTewlikow :2008/05/02(金) 01:50:53 ID:GeWmHWnR
誰か……避難所に投下した自分の作品を代理投下して下さい…
いやマジで(懇願)

413 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 01:51:32 ID:ZfodB78i
代理の方、お疲れ様です。高天氏、GJです。
たしかに、とらは3でも自動人形技術は明らかにオーバーテクノロジーでした。
それをリリカルの滅びた世界の高テクノロジーと組み合わせるという考え、
お見事です。次回も楽しみに待たせていただきます。

414 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 01:54:06 ID:jaioehz/
その点複数攻撃が出来るなのはは最適と言えるが
スバルやエリオ ティアナは物量戦で押される。

415 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 02:19:21 ID:hhXQxCyS
>>412
では代理投下します。
SS投下は初めてなので
うまくいかなかったらすいません。

416 :フルメタなのは(代理):2008/05/02(金) 02:21:11 ID:hhXQxCyS
第三話「ヴォルケンリッター」

「我々はヴォルケンリッター、主をお守りする守護騎士だ。」

女の口上を聞いたゴウは、頭に疑問符を浮かべた。

「守護騎士、だと?」
「いかにも。奥からシャマル、ヴィータ、ザフィーラ、そして私はシグナムだ」
「…それで、その守護騎士とやらが何用だ?」
「先ほど話したとおりだ。我らの存在は主を守護する為に在る」
(こいつら何を言っている?少なくとも敵意は感じないが・・・)
「なあ」

ゴウ達の会話は、ヴィータと呼ばれた少女の一言により中断された。

「コイツ気絶してるみたいだぞ」

はやての方を指差して告げるヴィータ。
言われてゴウが眼を向けると、はやてはベッドの上で文字通り眼を回して気絶していた。
ゴウは警戒を続けたままゆっくりとベッドに近寄り、はやての具合を診た。

(目立った外傷はない……呼吸も安定しているし、血色も良い。気を失っているだけか……だが万一ということもある。石田に診てもらうべきか…)「あのー」

突然シャマルとか言う女に話しかけられ、ゴウは思考の海から帰還し、そちらに向き直る。

「何だ」
「その子、ひょっとして体が悪かったりするんでしょうか…」

シャマルは心配そうにたずねる。

「問題は無さそうだが、一応病院に連れて行かねばならないな。それでだ、貴様らにも共に来てもらうぞ」
「え?」
「信用したわけではないが、害意は無いようだし、何より今この家には俺とはやてしかいない。お前らだけ置いていくわけにはいかんからな。話はその後で聞く」
「…分かった、それで良い。我々としても主の身が心配だからな」

どうやらリーダー格らしいシグナムの同意を受け、全員で病院に向かうこととなった。

417 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 02:32:13 ID:hhXQxCyS
続きを投下しようとしてるですが、
長すぎる行があるとエラーになっています。

418 :フルメタなのは ◆JCTewlikow :2008/05/02(金) 06:22:05 ID:GeWmHWnR
途中の空いてる行を詰めてもらっても構いませんが、どうにもならないってんなら規制解除を待って自分でやりますんで無理しなくても構いません。
協力に感謝です。

419 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 08:04:03 ID:pF0AkuGD
>>418
すいません。最近さるさんがなかったもんだから全然チェックしてませんでした。
これからやってみます。

420 :フルメタなのは代理2:2008/05/02(金) 08:27:14 ID:pF0AkuGD
その後、病院に運ばれたはやてはまもなく意識を回復させた。診察をした石田には、一緒についてきたシグナム達についてあれこれ追求されたが、
「はやての外国の親戚だ」だの、「ああいう服があいつらの国で流行っている」だの、「日本に慣れていないから言ってることが少し変なんだ」、と説明をしておいた。
もっとも、帰り際に石田から「本当のことはそのうち話すように」と釘を刺されたあたり、完全にだますことはできなかったようだが……


「・・・つまり、主の為にリンカーコア──簡潔に言うとあらゆる生物が持つ魔法を使うのに必要なものですが、それを蒐集し、闇の書に喰らわせることで、主を真の所有者とすることが我々の使命なのです。」

家に戻ってきた一行は居間に集まり、現在シグナム達が闇の書に関する説明を行っていた。

「お前らの素性は判明したが、俄かには信じがたい話だな」
「うるせーな、本当の事なんだからしょーがねーだろ!お前は口出すなよ!」
「喧しい、貴様には話しかけていない。引っ込んでいろガキ」
「んだとぉ!!」

……が、その場のムードというか空気は険悪極まりなかった。何しろ、そこに集まっている面々がやばすぎるのだ。
片や数百年の時を生きる歴戦の守護騎士達、片や戦国時代の闇を単身で渡り歩いて来た男。
そんな奴らがひとつの部屋の中で面をつき合わせているのだから、こんな状況になるのも当然と言えよう。
壁際に立ったゴウは武器こそ収めているが、四人に不審な動きがあればすぐ対応できるように気を張り詰めらせている。
それは騎士達も同様で、はやてに説明しながらもゴウを警戒しており、特にヴィータはさながら猫の如く、警戒心剥き出しの目でゴウを睨んでいた。

正に一触即発の空気の中、一応話の中心人物であるはやてが、おそるおそるといった感じで、気になった事を質問した。

「……え、えーと、そのリンカーコアやったっけ?それを体から取られたらどうなるんや?それに闇の書を完成させたらうちどないなるん?」
「最初の質問ですが、大抵の場合は死にます」
「ええっ!?」

さらりとシャマルがそれに応答し、返ってきた答えに仰天するはやて。

「あっ、でも必ずってわけじゃなくて、大型のリンカーコアを持つ個体からなら、一回だけなら蒐集しても再生しますから大丈夫です。あと次の質問ですが、完成させた闇の書から膨大な魔力と魔法の知識を得ますから、
主は魔導士としてより高次の存在となります。それからはやて様の場合、不自由な御足を動かせるようにもできます。」
「待て、それは本当か!?」




421 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 08:28:36 ID:XxnNRsUD
>キャロとバクラ
まさか、初の邂逅からすでにティアナとの対立が生まれるとは思いませんでいた。
いやね、もう冒頭から嫌な予感はしてましたよ。だってティアナが語り出してたもん(ぉ
もちろん、この場合キャロとティアナにもそれぞれの言い分と経験がありますからね。
キャロはバクラに出会って変わったし、ティアナはティーダと別れて変わった。それぞれ違いはあっても抱く信念はそれも納得のいくものです。
……でも、やっぱこのままだとティアナのフルボッコフラグだよなぁw
キャロにはフェイトそん撃破の実績があるから仕方ありませんけど、それ抜きにしてもティアナってばいろいろフラグたてすぎてるよw
いや、それもまたティアナなんですけどね。挫折なしにして彼女の強さは語れません。
早くも胃が痛くなる展開ですが、それ以上に期待が大きいです。
ティアナに限って、敗北や挫折はむしろ望むところさ。い い ぞ も っ と や れ !
いや、大好きですよ? ティアナw
あと、何気にエリオがいい位置についてるな、と思いました。
バクラがいるからどうしてもヘタレに見えるけど、完成された二人の関係に唯一入っていけそうな気がする。
頑張るんだ見習い騎士!

>ラクロアの勇者
喋るロボットって素敵ですよね。
何気に最初からずっと読んでましたガンダム君の新たな戦記。元ネタをあまり覚えてないけど、昔カード集めたてたからイメージは簡単でした。
今回はとらハの内容もクロスしているらしいですね。そちらのネタは全く知らないので新鮮に読めました。
読みながら『ああ、はいはい安次郎君ね。君をガンダムがプチッと潰しておしまい。死ねば?』と静かな怒りと共に読みすすめていたら、ラストで意外なキーワードが出ていて意表を突かれました。
完全にとらハの設定のみの話かと思いましたが、ここで繋げてくるとは盲点でしたね。あくまでリリなのメインが素晴らしいw
まあ、それでも? その伏線には関係なく安次郎だかアンジェロだかは岩と同化するくらいに殴りラッシュは決定だと思うので文字通り『俺がガンダムだ』の騎士ガンダムに全てをお任せします。
オリジナル展開、期待しておりますので頑張ってくださいw
あとさぁ、少女とロボットの暖かい心の交流って素敵だと思うんだ。つまりガンダムはもっと幼女を抱っこすべき。

422 :フルメタなのは代理2:2008/05/02(金) 08:29:05 ID:pF0AkuGD
先ほどまでヴィータ達と睨み合いを続けていたゴウが、突然話に割り込んできた。

「え、ええ。闇の書を完成させると、特殊な治癒魔法が使えるようになるの。それを使えば治す事も可能な筈だわ」
「願っても無い話だ。はやて、これで歩けるようになるぞ」

はやての足が治ると聞き嬉しそうにゴウは言う。
しかし当のはやてはこの場の誰もが想像だにしない言葉を吐いた。

「…蒐集なんて、しなくてええ。うち、そんな方法でなんか歩きとうない」
『えっ!?』
「はやて!?」

予想を大きく裏切る発言に、全員の視線がはやての方に向いた。

「どういうことだはやて。もう不自由な思いをしなくて済むんだぞ?」
「そりゃあわたしかて、歩きたくないなんて言うたら嘘になるで?でも話を聞く限り、うちの足を治すためには、他の誰かが傷つかなあかんのやろ?
そんなことまでして歩けるようになりたいなんて、少しも思わへん。誰かが死ななきゃ治らんゆうんなら、一生このままでいたほうがマシや」

凛とした口調で話すはやて。そのきりっとした表情と言葉は、十歳足らずの子供とは思えない程はきはきとしている。
ゴウはそれ以上反論できなかった。はやてが筋金入りの頑固な性格であることはこの家に来たときから知っているし、この発言も生来持つ彼女の優しさからきているのだと分かったからだ。

だが、これに困ったのはシグナム達ヴォルケンリッターだ。何せ自分達が最初に作られた時から与えられている使命を真っ向から否定されたのだ。今までの主にもこんなことを言われた覚えはない。

「しかしそれでは、我々は一体どうすれば……」
「ん?簡単や。みんなで一緒にこの家に住めばええやん」
『は!?』
「住む人が増えるんはゴウで一度慣れとるし、右も左も分からんみんなを追い出すのも気が引けてまうしな。今日からみんなは新しいうちの家族や。ええよな、ゴウ?」
「この家の家主はお前だ。お前の好きにするといい」
「よーし、明日からいろいろと忙しくなるやろな。がんばるでー!」

完全に呆気に取られたままの騎士達をよそに、ひとまずその場は一風変わった闇の書の主の「皆まとめて養ったる宣言」を最後にお開きとなり、
その日から六人家族となった八神家の新生活が始まるのであった。




423 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 08:31:55 ID:XxnNRsUD
投下の続きが来なかったので感想を出してしまいました。申し訳ありません。
反省しながら支援。

424 :フルメタなのは代理2:2008/05/02(金) 08:32:11 ID:pF0AkuGD
それから数ヶ月の間、八神家では平和な生活が続いていた。
以前のゴウ同様、新しい生活に不慣れだった騎士達も現在はすっかり落ち着き、この世界の常識に順応していた。

ある日の夕食後、ゴウが外に出て風に当たっていると、そこに近づく人影があった。

「ゴウ」
「シグナムか。どうした?」
「なに、私も夜風に当たりに来ただけだ」
「そうか」

しばしの沈黙が降り、静かな風の音だけがその場を包む。

「不思議なものだな」

不意に、シグナムが口を開いた。

「ん?」
「今こうして、穏やかな気持ちで星を眺めている事がな。最初に話したように、我々は本来主の願いを叶えるための道具に過ぎんのだ。
それなのに、此度の主はそんなことは微塵も考えておらず、それどころか我らを家族と呼び、一人の人間として扱って下さる。・・・少なくとも覚えている中で、このようにされたのは初めてだ」
「不満か?」
「まさか。戸惑いこそすれ、主がして下さるご配慮に不満などあろう筈がない」

ふっ、とゴウが軽く笑って返す。

「俺も同じだ。あいつは俺みたいな見ず知らずの人間に対してまで、心配と優しさを絶やさないやつだからな。まあ正直、俺もあいつのそんなところに救われているんだが」

ゴウは目を細めて遠くを見ながらいう。
八神はやて。未来に飛ばされ何も分からず、どこの誰とも知れない自分を家に招きいれ、それどころか家族とまで呼んでくれた優しい娘。いつの間にかゴウにとってはやては、何にも増して大切な存在となっていた。

「それにしても、まさか此処までそっくりだとはな」
「? 何がだ?」
「俺とお前達がさ。過去が、というべきかな」
「?」
「俺が過去から来たというのは話したな?あの時代で、俺はろくでもないことばかりしてきた・・・」

ゴウの言うとおり、生まれた時代も場所も違うゴウとヴォルケンズだったが、彼らがこれまで行ってきたことは驚くほど酷似していた。
騎士達は創られた時から与えられている“主の手足となり、命令を遵守する”という使命の下、命令に従ってさながら機械の如く、
それこそ、奴隷のように見下され、嘲られ、虐げられ、どんな罵詈雑言を浴びせられようとも、蒐集行為を行い続けてきた。
───それが、自分達に課せられた使命であるが故に。

一方のゴウも、自らの失った記憶を取り戻すため、各大名の下す様々な任務をこなしてきた。
任務といっても、殆どが暗殺や敵部隊の全滅などの汚れ仕事ばかりであり、生還が望めないような任務であろうと、聞いただけで胸糞の悪くなるような事だろうと完遂が求められ、ゴウは一切の感情を殺して臨まねばならなかった。
───それが、自ら背負ってきた業の結果であるが故に。

状況は各々違えど、彼らは双方とも運命という鎖に縛られた人生を生きてきたのだ。




425 :フルメタなのは代理2:2008/05/02(金) 08:34:05 ID:pF0AkuGD
「あの頃はそんな毎日ばかりだった。でもまぁ今じゃお前達同様、この生活が幸せな物だと、そう感じてる」
「そうか…お前も我々同様、辛い過去を送ってきたのだな……」
「…はやてには、黙っていてくれ。大方はあいつにも話したが、こんな血生臭い真相を聞かせて、あいつの悲しい顔を見たくはない」
「わかった。・・・ところでゴウ、ひとつ聞いてもいいか?」
「ん?」
「元の時代に、親族はいないのか?」
「いないことは無いな。血の繋がりはないがな」
「帰りたくは、ないのか?その者達の元に」
「……帰りたいというより、帰らなければならない、と言ったほうが正しいな」
「どういう意味だ?」

興味を引かれたようにシグナムがゴウの顔を注視する。

「詳しい事までは喋れんが、俺は自らの過ちで、あいつらの大切な物を根こそぎ奪ってしまった。
今のところ方法は見つからんが、俺はいつか過去に戻り、俺がしてしまったことのケジメをつけなきゃならない」
「そうか……だがもしお前が帰ってしまったら、主はやては悲しむな」
「ああ。だから頼むぞ」

ゴウは真摯な顔つきでシグナムを見据える。

「え?]
「今言った通り、俺はいずれはやての元から去らねばならん。俺がいなくなってからはやての傍に──共にいてやれるのは、お前らだけだ。
ずっと孤独な思いをしてきたあいつをまた一人にするのは忍びない。だからあいつのことを……頼む」

はやてから離れるのは辛い。だがそれ以上に為さねばならないことが──自ら背負ってきた償うべき業がゴウにはあった。
なにより、元々二人は住む世界が違う。今はこの生活に甘んじていても、きっと自分はもう血と戦いの無い世界には戻れない。
暖かくて日の当たる世界に生きるはやてを、自分の生きる暗く冷たい世界に関わらせたくなどなかった。

「…分かった」

丁度その時家の中からはやての声が聞こえてきた。

「ふたりとも、食後のデザートができたでー。入ってきいやー」
「はい、今行きます。…ゴウ」
「ん?」
「確かにお前とは、いつの日か別れねばならないのかもしれん」

シグナムは微笑を浮かべ、しかしはっきりと言った。

「だがその時までは─いや、例えその日が来ようとも、お前と主と我らは家族だ。その事は忘れるなよ」
「……ああ」

そして二人は“家族”の待つ家の中へと戻っていった。




426 :フルメタなのは代理2:2008/05/02(金) 08:35:32 ID:pF0AkuGD
その後も海や温泉、レジャーに行ったりと、八神家の一同は楽しく穏やかな日々を過ごしていた。



───が、そんな平和な日々は、冬が近づく秋ごろに終わりを告げた。

「ただいまー」
「お帰り、はやて。・・・ん?」

病院から帰ってきたはやてたちを見て、ゴウは違和感を覚えた。シグナム達の表情がやけに暗かったのだ。

「どうかしたのか、シグナム?顔色が悪いが」
「別に、何でもない。気にするな」

嘘をついていることは一目で分かった。人が嘘をつくときの目線や口調は、常時のそれとはごく僅かに異なるのだが、その違いを看破する術をゴウは身に付けていた。
こういった眼をした人間が真実を簡単には喋らないこともまた知っていたが、そのまま放っておくわけにも行かない。そう判断したゴウは、深夜になってから家を出て行く騎士達の後を尾行した。
近くの公園に集まった彼らは何事か話しており、ゴウはやや離れた茂みの中から聞き耳を立てていた。


そしてそこで──聞いてはならない真実を耳にした。

「このままだと、主はやては死ぬ」

今シグナムは何を言った?
はやてが死ぬ?はやてがしぬ?ハヤテガシヌ?
最初は何を言っているのか分からなかった。否、余りの事に脳が理解を拒んだと言うべきか。
だが、烈火の将の口から語られる言葉の数々は、ゴウの心に残酷な真実を次々と突き付けていった。

曰く、はやての足の麻痺は病気ではなく、闇の書がはやての魔力を吸収し続けているのが原因であり、このままでは麻痺が内臓器官にまで達して死に至ること。
曰く、唯一それを止めるには、騎士達の本来の使命であるリンカーコア蒐集を行い、はやてを闇の書の真の所有者にする以外にないこと。
曰く、闇の書の覚醒により侵食がより早く進んでいるため、あまり時間が残されていないこと。

全てを聞いたゴウは、怒りに体を震わせていた。そんな大変な事態を隠そうとした騎士達に。深く考えることもせず、日々をただ安穏と過ごしていた自分自身に。
そして何より、あの心優しい娘が、こんな訳の分からない理由によって死なねばならないという、理不尽かつふざけた運命そのものに。
耐え切れなくなったゴウは、シグナム達の前にその姿を見せようと足を───


──踏み出した体勢のまま、体の動きを止めてしまった。
考えてしまったからだ。『行ってどうする?』と。




427 :フルメタなのは代理2:2008/05/02(金) 08:36:19 ID:pF0AkuGD
今この場で四人の下へ詰め寄るのは簡単だ。しかし、今の自分には「力」がない。魔法なんて代物はもちろん、刀の一振りだってありはしないのだ。そんな自分に何が出来る?
ただの対人戦ならば戦えないこともないだろうが、今からシグナム達が行おうとしているのは魔法戦という人智を越えた戦いだ。鬼忍者と呼ばれようと、「人」の域は越えていない自分に、出る幕など無い。今行ったところで足手まといにしかならないのは明白だった。

悔しい。その言葉だけが、現在のゴウの胸中を占めていた。それこそ、強く噛み締めるあまり、口元から血が流れてくるほどに。
だが今の自分に出来る事などない。あるとすれば、怪しまれないよう先に戻っていることくらいだった。

「俺は……また何も出来ないのか………」

家までの帰り道、ぽつりと洩らした言葉は誰の耳に入るでもなく、そのまま冷たい風の中に消えていった。


続く


428 :フルメタなのは代理2:2008/05/02(金) 08:37:05 ID:pF0AkuGD
以上です。
一月以上も顔出さなかったのに、これっぽっちでスンマセンorz
次こそは戦闘シーンとか色々出しますんで勘弁して下さい。

次回はもっと早く更新できるよう努力します。ではまた。


429 :フルメタなのは代理2:2008/05/02(金) 08:44:11 ID:pF0AkuGD
代理投下完了です。
すいません、色々手間どって……。

430 :キャロとバクラの人 ◆2kYxpqWJ8k :2008/05/02(金) 09:30:01 ID:8HUnrjtj
たくさんのご感想ありがとうございます! 
今回もいつも通りに私視点のお返事をさせていただきます。

>ティアナとギクシャク、激突!
えぇ、もうソレはソレは大激突です。書き出す前にはあんまり意識していなかったのですが、ティアナとキャロとバクラ相性最悪w
意思のぶつかり合いをご堪能下さい……何時になるかワカリマセンが

>スターズとライトニングの差別化
折角二つの分隊に別れているのだから、戦略の違いや意見の衝突があってしかるべきだと思ってこんな形に。
本編じゃ新人は何時でも一緒に行動、隊長と副隊長はどこ?みたいなことが日常茶飯事でしたが、このお話では分隊別の行動とか入れたいです。

>やっぱりバクラって正義や大儀がお嫌い?
本来バクラは邪神ゾークの欠片ですので、そういう感情は無いはず……なのですが、原作でも人間臭すぎてw
扱いに困ってますが、根元は『自分とキャロが最優先』ですのでその線で「管理局? ハッ!」みたいな感じでよろ(意味不明

>逆にティアナとは通じるものがあるんじゃないのか!?
確かにありますが、まず目指すものが違います。それに作中でも言っていますが「今から」お互いを理解する段階。
次の訓練でお互いを理解できるかしら? そう言えば何かティアナたちVSキャバクラとも取れるコメントがあったような気がしますが……普通にGJ戦なんだけどな〜
その過程で色々諍いとか理解と有りますが

そして最後はコレ!!

>露出狂
貴様ら〜! 二度もフェイトそんを連続して露出狂呼ばわりとはどう言う事だ!?
まったく……良くわかってらっしゃる(ぇ

431 :テルミドール ◆Q8cqSo5Bg2 :2008/05/02(金) 09:39:59 ID:KzKynMpA
the answer plan0 (×アーマードコアFA)


「…一部の者はクレイドルに逃れ清浄な空に暮らし、一部の者は地上に残され汚染された大地に暮らす…
 …クレイドルを維持する為に大地の汚染は更に深刻化し、それは、清浄な空をすら侵食し始めている…
 …このままでは人はやがて活力を失い、諦観の内に壊死するだろう…
 …それを善しとしないのであれば………」

それが、私の、私自身の意志による戦いの始まりだった。
最初に私の下に集った者は4人。そこから力と陰謀を駆使し、世界の支配者に反旗を翻す為の力を蓄え続けた。
戦いを公にする為に必要なだけの力を蓄え、我らは表舞台へと名乗りを挙げた。そして・・・

「お前が?勝てるものか。相手はおそらくウィン・D・ファンションだぞ?」

「まぁ、そうだろうな。そのときは、私が死ぬだけだ」

私が集めた精強なる戦士達は、しかし、支配者達の強大な力の前に一人、また一人と散って行った。
そして私もまた…

「お前たち…やはり、腐っては生きられんか…

 心しておけ。お前たちの惰弱な発想が、人類を壊死させるのだと…」

「悪いな、美人の涙が最優先だ。
 …あばよ、酔っぱらい…   」

私は、敗れた。
私の死をもって、我らの…ORCAの戦いは終わる。そして我らの望んだ未来も潰え…
いや、違う。まだ、一人残っている。
カラードのリンクス。彼が、彼ならば我らの意志を継ぎ、必ず成し遂げてくれるだろう…
だから私は、安らかに逝こう。先に逝った戦士達に胸を張り、会おう。

…薄れゆく意識の中で、私は光りを見た。コジマ粒子の放つ光ではない、星の光。暖かな…
メルツェルの言うとおり、私は過剰なロマンチストだったか。まぁ、いい。
最後に、やつの口癖とも言うべき言葉が思い浮かんだ。私は、最後の意識を振り絞り、それを口にした。

「人類に、黄金の時代を…」

「人類など、どこにもいないさ…オッツダルヴァ…」

                          plan0・終

432 :テルミドール ◆Q8cqSo5Bg2 :2008/05/02(金) 09:44:23 ID:KzKynMpA
初見となる。こちら、マクシミリアン・テルミドールだ。

申し訳ない。投下予告宣言と投下の順序が逆になってしまいました。
今回の作品は水没王子こと、テルミドールにスポットを当てて、書いてみようと思います。
何分初投下であり、何かとご迷惑をかけるかもしれませんが、今後ともどうか暖かく見守っていただければ幸いです。


最悪の反動勢力、ORCA旅団のお披露目だ。諸君!派手に行こう……

433 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 09:45:01 ID:4J2xasB7
>>431
まずはテンプレをご覧ください。

434 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 09:48:09 ID:4J2xasB7
>>432

おろ、これは失礼。
ともあれ投下乙であります。

435 :節制の14 ◆6EgzPvYAOI :2008/05/02(金) 11:51:34 ID:0SSZJOxK
今なら、誰もいないね?投下するなら今のうち……踊るのも今のうち……
ダブルクロス・リリカル・トワイライトの第2話をお届けしようかと。
ちょっとごちゃごちゃし過ぎましたが、この回の中で収拾付けるのは諦めた。(マテ
当初プロローグ+3話の予定でしたが、プロローグ+4話+エピローグになるかと。

436 :ダブルクロス・リリカル・トワイライト ◆6EgzPvYAOI :2008/05/02(金) 11:52:14 ID:0SSZJOxK
「あらゆる武術の基本は、パンチだ。鉄拳だ。正拳突きだ。パンチの基本、その一、抉る様に撃つべし!」
「いい事?指揮官と言うのは、あらゆる状況を俯瞰し……」
「そもそも守るという事はだね……」
「支援するって、口で言うのは簡単だけど、そう容易い事じゃ無いんだよ……」

 ホテル・アグスタ以来、大悟たち四人は折を見て六課に現れ、新人達に稽古を付けたり、様々な講義を行ったりしている。
 大悟とギヨームは嘱託魔導師の資格を持ってはいるが正式に契約して参加しているわけではなく、クリスやフィンも技術局や無限図書館から出向してきたわけでは無い。
 なので、保有制限には引っかからないがおいそれと直接戦闘に参加する訳にも行かないと言う、ちょっと微妙な立場。

 ガジェットの大群が押し寄せ、はやてが限定を解除した時も、六課に居合わせたクリスがユーノと指揮管制を手伝ったくらい。
 本当は、過労気味のユーノに休養を取らせる口実だったのだが……結局、働いてしまったと。

 因みに、ヴィヴィオが六課に来た時、彼女を隊舎の屋根程も高い高いした大悟が頭を冷やされたのは、ご愛嬌。

「こう、こう打って……(ばぁん、と、サンドバッグが破れて砂まみれ)」
「……で、予想しない事態に出会っても、不適に笑ってこう言うの、『ふ、それもまた我が策の内』と」
「つまりだ、この『プロテクション・フロム・痛いの』は……」
「じゃあ、フリード用にパワードスーツでも作ろうか?」

 ご愛嬌。

437 :ダブルクロス・リリカル・トワイライト ◆6EgzPvYAOI :2008/05/02(金) 11:53:24 ID:0SSZJOxK
『ダブルクロス・リリカル・トワイライト 天からの快男児』
 第2話 強襲!地上本部 〜法の塔が墜ちた日〜

「さて、今日は『努利封(ドリフ)』の話をしようか」
 何時もの訓練エリアで、大悟は何時もと違う話をスバルに始めた。
「努利封、『努めて利器(刃物)を封じる』と言うこの流派の事を知るのは、お前にとってもプラスになる筈だ……」

 一方その頃、ギヨームは六課の食堂内で、『真・レ・サンテュリ』を開いていた。と言っても、今の彼には読めないのだが……
「なんやその白紙の本は」
「あ、例の預言書ですね」
「僕には読めないどころか白紙にしか見えませんが」
「アレか?好き勝手に書き込んだら成就するって奴か?」
「何か、いっぱい書いてるね」
「そうかな……って、えっ!?」

 一同の視線が、ヴィヴィオに集まる。彼女だけが、書かれた文字を(読めないまでも)視認出来るのだ……

 それから更に数日、結局謎や伏線をブン投げたまま、ミッドチルダ地上本部での公開陳述会。
 そこに、出席する者、警備する者。そもそも参加しない者、そして……

 轟く爆音、沸き立つ粉塵。

 スカリエッティ一味による、襲撃である。
 絶賛開発中の新兵器、アインヘリアルは無残に撃破され、高濃度に展開されたAMFによって無力化された武装隊員達は追い散らされ逃げ惑う。
 かろうじて戦力となるのは、フィンの操るパトドローン。それも多勢に無勢。
 陳述会に出席していた六課メンバーは、預けたデバイスを受け取る為に、走る。
 スバルもまた、預かったデバイスを届ける為に、走る。

 そして、地下区画に侵入した敵を迎撃する為に走ったギンガ・ナカジマが見たのは……

438 :ダブルクロス・リリカル・トワイライト ◆6EgzPvYAOI :2008/05/02(金) 11:54:01 ID:0SSZJOxK
「タイプゼロ・ファーストか……」
「スカリエッティの戦闘機人……!?」
 その、右目を眼帯で覆った少女を、そしてその左胸のバラの花を見た瞬間、ギンガの中で何かが目覚めた。
 思い起こすはあの、空港火災の日の事……

 「少女よ、貴女の、名前は?」
 「わ、私は……ギンガ・ナカジマ……」
 「そぉ。ギンガ……貴女は今より、ギンガであってギンガでない。
  貴女は貴女であり、そして私でもある」
 「私は……あなた……」
 「そぉ。私の、そしてこれよりの貴女の名は……」
 「あなたの名、私の名は……」

 両手にナイフを構えたチンクの、その機先を制するかの如く目の前に立つギンガ。
 慈しむ様に隻眼を覗き込む、その瞳の色にチンクは思い当たる。

「……待たせたわねぇ、チンク。ずっと、このバラを持っていてくれたんだ……嬉しいわぁ」
「まさか、あなたは……」
「そぉ、私は……」

 今、遠き落日に消えた筈の名が、蘇る。その名は……

「「クレオパトラ・ダンディ」」

 古代ベルカの快男児にして次元世界に気高く咲いた一輪の薔薇、復活の瞬間であった。

439 :ダブルクロス・リリカル・トワイライト ◆6EgzPvYAOI :2008/05/02(金) 11:54:30 ID:0SSZJOxK
「ギン姉っ!」
 スバルがそこに駆け込んだ時、姉は敵である筈の隻眼の少女を優しく抱きしめていた。
 振り向いたその表情は、よく知る姉であって姉ではない。
「スバル……ナカジマ、か」
「……ちょ、どうしちゃったの、ギン姉!何で……そんな……」
「ふむぅ、クレオパトラのダンディズムと英国紳士の美貌を兼ね備える私としては、敵は倒さねばならないが……」
「て、敵って!ギン姉どうしたの!?」
 思いがけない発言に驚愕するスバル。一方ギンガは、いやさダンディは動かない、いや、動けない。主の急変に戸惑うブリッツキャリバーが、動作を拒否しているのだ。

「ダンディ、どうし……ああ、分かった。
 良い所に来たなウェンディ、彼女をアジトまで送ってくれ。タイプゼロ・セカンドは私が」
「…………え、ええと!?
 タイプゼロ・ファーストを!?何が起きたんだか分からないッス!?それに一人で大丈夫ッスか?」
 この現場に今着たばかりで、予想をはるかに超えた事態に戸惑うウェンディ。
「安心しろ、彼女は私たちの味方だ。それに、姉なら触れずに戦える。

 何しろ……」
 言いつつチンクが右目の眼帯を少しだけずらした、その下から放たれた電撃が、スバルを打ち据える。
「……姉の瞳は百万ボルトだからな」

440 :ダブルクロス・リリカル・トワイライト ◆6EgzPvYAOI :2008/05/02(金) 11:55:00 ID:0SSZJOxK
 一方その頃、六課隊舎。

 ここもまた、ガジェットの大群による襲撃を受けていた。
 護るは二枚の盾、守護騎士ザフィーラと怪盗紳士ギヨーム。

 そんな彼らの前に現れた三人の戦士を、二人は知っていた。
「古代ベルカの完璧戦闘機人(マシーネン・ゾルダート)、か。久しいな」
「有無、つい数年前にも現れてな、私達で倒した。よもや量産型だとは知らなかったが」
「ならば分かるか。“完璧”といっても機械部分が多いからと言うだけだ」
「分かっている。我々はアレを、1対1で倒したから」
「なら、もう言う事は無い」
「行くぞ」

「そうは問屋が卸しません。目的が達成されるまでは、あなた方を何としても足止めさせて貰います」
 更に現れたのは、単眼六腕、巨大筆ペンや流麗な細剣(エペ)、何やら紋様の書かれた盾を構えた2m級の和風の意匠をしたロボット。
「ええと、諸般の事情により10's TERRAから寄せ手に加わった、“マジカル金剛機”龍飛と申します。

 さぁ、山の精霊達よ、あの二人を……!」

 そして隊舎内。紫の髪の少女、ルーテシアは、通路を塞ぐ様に立ちはだかる隊員を見て歩みを止める。
「ここここここを通すわけにはいかないでゴザる……」
「ガリュー、どかして」

 スバルの瞳が、金色に光る。その拳が、怒りに燃える。
 戦闘機人である彼女の先天技能、“振動破砕”が炸裂する。

 ティアナ達が駆けつけた時には、そこに残されていたのは傷付いたスバルと、待機状態に戻されたブリッツキャリバーと……

 満身創痍のギヨームが、右手には傷付き半ば凍りついたザフィーラを担ぎ、左手は上半身だけになったマジカル金剛機にしがみ付かれたままそこに来ると、
壁には、幾つもの人を叩きつけたような穴や亀裂が走り、そして先ほどの隊員が、デバイス片手に仁王立ちしている。
「確か、彼は小太刀右京ノ介とかいったな……立ったまま気絶している……」
「有無、頑丈なのだけが取り柄だ、とは常から言っていたが……ただのハッタリじゃあ無かったようだな」
 つまり、彼はガリューによって幾度も壁に叩き付けられ、それでもなお立ち上がり、前進を食い止め続けていたのだ。たった今まで。

441 :ダブルクロス・リリカル・トワイライト ◆6EgzPvYAOI :2008/05/02(金) 11:56:13 ID:0SSZJOxK
 機能を一時的に停止していた“マジカル金剛機”龍飛が意識を取り戻した時、機動六課の誇るデバイスマイスター、シャリオ・ルフィーノは、丁度彼の頭脳に当たる部品、『明鏡』を取り出そうとしていた。
「あ、えーと、聞かれた全部話すからそこに手を出すのはやめてやめて!後その下の心珠にも触れないで!
 ああ、だからそれをどうにかされたらあ、いや、そんな残念そうな顔をしないでー!!

 アッ――――!!!」

 この場面、映像化されてもシャーリーの表情は逆光或いは後ろ向きなので見えなくて幸い。

 そして、六課の前庭、エグエグとべそをかくマジカル金剛機(の一部)とバラシ足りなくて残念なシャーリーの傍らで、戻ってきた三人娘や大悟達は、得られた情報の吟味を始めた。

「つまりこのカラクリ人形は、スカリエッティが管理外世界からレンタルしてきた、ちゅうわけか」
「でも、そこにどんな取引があったかまではこれは知らない、と」
「ええ、何しろ神宮社長のする事ですから。
 あっしのような下っ端金剛機は、言われたままに赴いて戦うと言うか、金剛機的には戦うのではなく殺戮する、と言うのが存在意義のような……」
「もうちょっと頭冷やそうか?」
「ひ、冷やす頭があるだけマシだと思って下さい!
 普通の金剛機は会話すらしない、破壊と殺戮と粉砕の為の機能しか持たないんだから!
 こんな風にお喋りな金剛機は基本的に不良品かつ暴走の可能性があって危険なので処分、て扱いなんだから!」
「でも、スカリエッティのアジトの大まかな場所は分かったんだ」
「へぃ、あっしがミッドチルダに転送されてきた時の座標ですが、多分あのあたりにアジトがあると思われますよ。
 後、何故かそこらへんの情報にプロテクトがかかって無くて……ええ、皆さんを誘っているのかと」
「そして、俺達は罠と知りつつ、そこに踏み込むしかない、か」
「でも、一緒に色々得体の知れないのが来てたんで、大変ですよ?例えば、モヒカンマッチョとか、あか○ん弁当とか、極悪中隊や人間の屑、陸サーファーにバカとか」
「あ、あ○りん弁当!?そんな……大惨事じゃないか!」
「屑とかバカってナニ!?」
「だって、(迷キンの)ルールブックにそう書いてあるし、田中天的にはバカも出しておこうか、って作者が」
 うわははははは。

「だけど……ギンガさんはいったい……」
「ブリッツとマッハの記録を検索した結果、ギンガさんは“クレオパトラ・ダンディ”と名乗ったと……」
「何、ダンディだと!」
「知ってはるんか!大悟さん!」
「有無、古代ベルカが産み出したとされる、恐ろしき接触感染呪術型ロストロギアだ。
 ウィルスのように感染した人間の精神構造を、そして肉体すらも書き換え、支配する……
 あの空港火災の時、その最後の一人を追い詰め……倒した筈だが」
「そっか……ギンガさんに感染して生き延びたのか……くそっ!」
 その時の事を思い出し、恐怖に震えるギヨームと、地団駄を踏むフィン。一方大悟は、その時の激戦に想いを馳せる……

「しかし……我々の戦力はかなり減ったな……」
「ヘリが失われ、ザフィーラとシャマル、ヴァイスが重傷、交代部隊もほぼ全滅……」
「……あの、そういえばフェイトさんの車は……」

「「「「あ」」」」

「ええと、ご愁傷様で……」
「いいのよ、死人が出なかっただけ幸いだから……

……バラバラにしてアルフとザフィーラの餌にしてやる(ボソ)」

442 :ダブルクロス・リリカル・トワイライト ◆6EgzPvYAOI :2008/05/02(金) 11:57:40 ID:0SSZJOxK
「とにかく、まずせにゃならんのは、屋根のある場所の確保や。
 宿舎も壊れたし、怪我人の手当てとか何とか……」
「……はやてちゃん、ちょ、ちょっとアレ……」
「……なんやなのはちゃん、ナニを……って、アレ、廃艦になった筈のアースラとちゃうか……?」

 彼女らが見上げると、そこには一隻の次元航行艦が飛来していた。
 皆が知るその艦の名はアースラ、だが、そこから聞こえてきた名乗りは……

『諸君!この“マジカル船長”グラーフ・シュペーと虚無の翼号が来たからには!』

 一方その頃。

《ふむ、概ね予定通り……とは、行かないな》
《それもこれも、あの天花寺とか言う一党が関わってからだ。あれの存在が我々の正義の妨げになる》
《せっかく、組織運営の下手な八神はやてが立身出世する糸口を与え、効率的な組織運営という質量兵器復活の目を潰せる筈だったのに……》

 時空管理局某所、三つの水槽に浮かんだ三つの脳髄。
 極僅かの限られた者のみが知る、管理局真の支配者。

 彼らの目論見とはすなわち、『質量兵器=効率的な組織運営の産物であり、そうならない為の道筋をつける』事である。
 その為に、失われしアルハザードの遺産を用いてジェイル・スカリエッティを生み出し、非効率的な組織運営を為し得るであろう将来の指導者の踏み台とする。
 更にはその過程で生み出されたテクノロジーを用いて、時空管理局による更なる魔法文明の発達と質量兵器規制を成し遂げる……
 そして、『歪んだ組織構造』と言う、世界に魔力を充たし続ける為の壮大な儀式呪術を継続させる……

《更に、あのレジアスの小僧が企んだアインソフ何とかの無力さを見せ付け、魔導師優位を演出し……》
《そして本局の優位を維持し……》
「……お話中のところ申し訳ありませんが、メンテナンスのお時間です」
《おお、もうそんな時間か……》

 がしゃーん、ぱりーん。

443 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 12:02:30 ID:hGYGQnBQ
>>403
戦闘機人キター!!
まさかStrikerSに出てくるキーワードが出るとは!

ふっと思いましたが、安次郎にブラックドラゴンの魂が取り付いているのはどうでしょう?

444 :節制の14 ◆6EgzPvYAOI :2008/05/02(金) 12:06:04 ID:0SSZJOxK
と言うわけで、ダンディ復活、並びにマジカル船長襲来です。一応ブリッジにはエクスとエリーもいます、と。
マジカル金剛機は、3話冒頭で船長の解説をするのと、シャーリーに分解される為に引っ張ってきました。
なお、まだまだ来ます。ブラストハンドとか。

三脳の目論見について異論はあるでしょうが、この話では彼らが意図的に歪んだ組織を作り出した事にしています。
エピローグでのお茶会の会話も、これに伴って違ったものになるでしょう。

付記:マジカル金剛機について。
 今回登場の“マジカル金剛機”龍飛は、以前卓上ゲーム板天羅スレでルール関連の質問のついでに生み出したキャラです。
 オリキャラですが、TUEEEEEEするようなキャラではありません。むしろ、マジックユーザーとしては堅いだけで弱いです。
 基本的には、以前NWクロススレで使った時のような狂言回しが主目的です。

 = = 以下はTRPG『天羅WAR』『アルシャードガイア』のルール面からの解説です = =
 = = これらのルールブックをを所有していない方は、読み飛ばして構いません = =

 なお、データ的には、金剛機2/陰陽師2/マジシャン1/シャーマン1。陰陽機で達成値を上げた《式:雷撃》や《契約:山の精霊》の差分ダメージを与えるキャラです。

 更に今回、彼が手にしている細剣もディーヴァ/ダーク/ソードマスター/アルケミスト/アーティストでエペを《主我》の本体にした一人のキャラです。
 チャンバーシステム、シュートパーカッション+SPインストゥルメントによる支援に特化しています。

445 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/05/02(金) 16:59:42 ID:NkH7l10q
僕は、投下する!!ルルーシュ!!

というわけで投下よろしいでしょうかー?

446 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 17:01:42 ID:JcdDu0j8
支援します。

447 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 17:01:55 ID:ifbX6PwW
どうぞ、支援

448 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 17:03:40 ID:RAvEKtmg
>>445
バッチ来いやあ!!(訳:投下どうぞ)

449 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/05/02(金) 17:04:53 ID:NkH7l10q
なんというか、他の方々のギアスクロスを見ていたら、「フアッハー、我慢できねえ」という状態になりまして。
そういうわけで、ネタは「コードギアス」です!!



 とある辺境次元世界。
漆黒の闇が辺りを覆い、この惑星の衛星である半月が姿を現す頃。
血風が、ふいた。
人間の身体が、半ば以上身体の断面から臓腑を見せつけながら、空中から上体と下半身が別々に落下。
さあああ、とふく朝霧のような動脈から吹き出る鮮血を浴びながら、桃色の髪をした女性が笑う。
其の長い髪は、頭の後ろでポニーテールに纏められ、風になびき、揺れた。
女性は、空を飛んでいた。周りには、杖を持った人間――魔導師と呼ばれる魔導技術の使い手たち。
その顔は、皆、驚愕と嫌悪に歪んでいる。
男達の一人が、吐き捨てるように言った――拒否感を精一杯にじませて。

「化け物め……そんなに人殺しが楽しいか?」
ふん、と一笑に付し、女性が口の端をつり上げた。
実に単純な挑発。

「そういう貴公らこそ、何を躊躇う? 残るヴォルケンリッターは私一人。全員で掛かれば容易く落とせるものを――兵法を知らぬと見える」
男が激昂して叫んだ。
「ふざけるな! 我々は時空管理局の――ブリタニア皇帝陛下の威信を背負っているのだ。貴様風情に集団戦術など――」

「面白い。ならば、我が剣を折ってみせよ!」

刹那、女性の桃色の髪が空気抵抗に揺れ、突進。鋭い長剣の切っ先が男の杖を両断、喉笛をかき切っていた。
げえ、と鈍い呻き――ゴポゴポという喉から漏れる音。
バリアーを張る暇も無い、早業であった。

魔導の技による、飛翔能力を失った男の遺体が、空中をゆるゆると落下していき――男の腕に、受け止められた。
憂えた顔で、眼鏡をかけた銀髪の男が、遺体を見つめ、溜息をついた。まだ歳若い――二十歳になるかならないか、といった感じの青年だ。
魔導師たちが一斉に驚きの声をあげる。

「隊長?! どうしてここにッ!」
「隊長は後方待機では?!」
男――不機嫌に返答。心底面倒くさそうな対応。
「君達が不甲斐無いからだよぉ〜。あーもう、僕は技官で、前線向きじゃないのにぃ。研修終わったばっかりなんだよぉぉぉ?
全員、戦闘準備ぃ!目標、ヴォルケンリッター<シグナム>」

『イエス、マイロードッッ!!』

男――ロイド・アスプルンドは眼鏡を指で弄くりながら命令を下し、ふう、と溜息をついた。
ヴォルケンリッター最後の将は、表情を引き締め、目の前の男に問うた。

「貴様……何をした?」
ロイド―――余裕の返答。
「うん? あはぁ、それはねぇ。封時結界を張ったんだよぉ、逃げられちゃ困るしねぇぇ、シグナムさん?」
「愚かしい……私は逃げも隠れもしない――全員切り倒すまでッ!!」

女――烈火の将、シグナムは、雄叫びを上げると切っ先を大上段に構え、魔力の足場を蹴り、跳躍。
さながら雌豹の如き動き――振り下ろされる肉厚の刃。
武装局員――防御術式。
分厚い障壁が刃を遮り、一瞬シグナムの動きを止める。男が叫んだ。

「今だ、討て!!」
身を挺しての足止め―――仲間達の射撃魔法詠唱。恐るべき早さの、戦況判断だった。
だが。
古代ベルカの騎士を足止めするには、あまりに稚拙な戦法だった。
落下。
その姿が一瞬魔導師たちの視界から掻き消え―――シグナムが笑った。

450 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 17:06:23 ID:thrMpGrj
支援

451 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/05/02(金) 17:06:33 ID:NkH7l10q
「温いな……未熟!!」
『シュランゲフォルム』
カートリッジリロード。最後の一発。
魔力の詰まった薬莢が、蒸気と共に廃莢された刹那、長剣型アームドデバイス――レヴァンティンの刃が、蛇腹状になり、伸びた。
鎌首をもたげた蛇の様な動き―――鞭状連結刃の煌き。
使い手の意思に、柄を通じて忠実に反応する毒蛇の如き刃が、きらり、と魔導師達の死角に回り込み―――その腹を、存分に抉った。
鮮血。
意識を失った二人――包囲網に穴が開く。蛇腹剣が瞬時に長剣に生まれ変わる――変形機構。
包囲網の開いた先――ロイドのいる場所。シグナムが、恐るべき加速で飛び込みながら笑った。

「もらったぁッッ!!」

ロイド―――焦りの見えない顔。
「地味にピンチだねぇ〜。でも―――」
白い防護服――技官の制服を模したそれを風に揺らしながら、ロイドが笑う。

「僕の勝ちだねぇぇー」
(グランセニックくぅん――今だよぉぉぉ)
返答―――念話。
(アイコピーッ!!)

シグナム―――本能的に殺気を感知――防御術式を張る。
だが――、魔導の狙撃手の必殺『スナイプショット』の前には無意味――術式が中和され、バリアーを貫通した魔力弾頭が、甲冑を、シグナムの擬似心臓を貫いた。
待ち伏せ射撃――恐るべき手だれの狙撃だった。
げぽぉ、と擬似血液――吐いた先から分解される――を吐血しながら、シグナムが言った。
顔に浮かぶ賞賛。

「見事……!!」

(いい狙撃だったよぉぉぉ、グランセニック君)
(ありがとうございます、伯爵。息子に自慢できそうです)

落下し、消え逝くヴォルケンリッター最後の生き残りの身体――魔力結合によるプログラム体の限界。
レヴァンティンを握り締め――目を凝らす。鷹のような目――戦闘用プログラムならではの能力。

―――見つけた。

遠く、茂みに隠れた迷彩魔法を使う、ライフル銃型のデバイスを保持した男―――狙撃手。
茶髪の髪。ブリタニア正規軍の紋章。壮年男性――。

体に残った全魔力を長剣――レヴァンティンに注ぎ込み、歯を剥いて笑う。
ロイドがその笑みに危険なものを嗅ぎ付け、叫んだ。

「不味いッ! 逃げろ、騎士グランセニック!!」
「――もう遅い」
投擲――音速を超える速さで投げられたレヴァンティン―――その切っ先が、グランセニックの胸を、貫通した。
どちゃり、と倒れこみ――真っ赤な血が、茂みを濡らした。

「獲った、ぞ……」
シグナムの身体は今度こそ、身体維持の為の魔力を使い切り、霧散。
消滅した。
ここに、幾多の転生を繰り返したヴォルケンリッターは壊滅し、再び眠りについた。

―――目覚めのときは、10年後、地球―――。

452 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 17:08:05 ID:JcdDu0j8
オトコマエですシグナム姐さん支援!

453 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/05/02(金) 17:09:37 ID:NkH7l10q
だが、遺族は――残された者はそうはいかない――人であるがゆえに。
次元世界ブリタニア、首都クラナガン郊外。
墓地―――黒衣の人々―――並ぶ軍服姿の男達。
泣く婦人―――殉職した騎士グランセニックの妻だ。その脇には、まだ幼い男の子と女の子――兄妹。
父と同じ、茶髪の髪を持つ少年が、妹の手を握りながら、涙をこらえた。
父は、殺されたのだという――次元犯罪者に、悪い奴に。
何故、何故だ。
父は何時もやさしくて、でも時々厳しくて――笑顔の絶えない人だった―――。
本当に、大好きだった。

3名の殉職者を出しながらも、ヴォルケンリッターを殲滅、闇の書を回収することにも成功した。
だが、作戦は失敗だった。
確保し、移送中だった闇の書は暴走。
L級戦闘艦<エスティア>を犠牲にし、なんとか艦隊は生き残ったのだ。
これにより、クライド・ハラオウン提督は殉職。
軍の礼装に身をつつんだ、当時の現場部隊の指揮官―――ロイド・アスプルンド伯爵が、沈痛な顔でグランセニック婦人に近づき、頭を下げた。
張り飛ばされる――踏みとどまるロイド。眼鏡がずれ、頬が腫れ上がった。
頭を下げ続け―――不意に、その眼が、少年と少女に留まった。
ロイドは、ゆっくりと近づき、声をかける。

「ねえぇ、君達―――」
父の遺体は埋葬され、もう顔も見えない―――見えない死者の群れに父が加わるヴィジョン。
ゆっくりと、口を開く。

「父は――誰に殺されたんですか? 教えてください、アスプルンド伯爵」

ヴァイス・グランセニック六歳の頃の話であった。


454 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/05/02(金) 17:11:29 ID:NkH7l10q
 そして、月日は流れ、三年後。
西暦2010年八月十日。
第97管理外世界<地球>。
世界有数のレアメタル「サクラダイト」貯蔵地であった日本に対し、とある組織から宣戦布告が為された。
以前から、極秘裏に<地球>に接触と干渉を繰り返してきた組織。
組織の名は、『時空管理局』。
魔導技術の管理と開発、観測された多数ある次元世界――居住可能惑星を中心とした人類文化圏の秩序の維持を目的とした巨大組織である。
魔導技術とは、『魔力素』と言われる物質を媒体に物理現象を操作、様々な効果を生み出す技術体系であり、科学の一種だった。
この技術を保有する世界群を傘下に治め、拡大する超巨大軍事組織。
それが時空管理局である。
無論、日本はこれに対し自衛権の行使を選択。
在日米軍もこの戦闘に参加。21世紀始まって以来の、大戦争になるかと思われた。
だが。
結果から言えば、この戦争は一方的な敗北に終わった。

―――蒼穹を飛ぶ巨大な艦艇。純白の船体。

―――現行兵器を無力化する不可視の盾。

―――ただの一撃で全てを消し飛ばす魔導砲――未知のエネルギー兵器。

―――戦略兵器、アルカンシェル。

―――そして、天駆ける人、魔導師。放たれる魔力砲の嵐。撃墜される航空機群。

まったく未知の技術体系の前に、日米の軍は惨敗した。一時は、アメリカ大統領に核の使用を決断させかけるほどに。
最悪の事態――核による土壌汚染は回避されたものの、日本は次元世界ブリタニアを盟主とする次元世界管理機構の統治下に置かれることとなり、戦争は終結した。
レアメタル「サクラダイト」は盟主国ブリタニアが独占的に採掘と供給を支配、日本人は名前と伝統、誇りを奪われた。
新たな国名は、「エリア11」。支配と隷属の、証であった。

日本侵攻から七年――父殺しの罪を背負う少年、スザクと、父の仇を狙う少年、ヴァイス。
ばら撒かれた危険指定遺失技術――ロストロギア「ジュエルシード」。それを追い、地球に現れた管理世界の住人、ユーノ。
ジュエルシードを狙う少女、フェイトと、謎の力「ギアス」を他者に与える黒い仮面の怪人、ゼロ。
彼らの運命が交わるとき、物語は動き始める。

―――「コードギアス 不屈のスザク」―――始まります。


455 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 17:11:33 ID:ifbX6PwW
支援

456 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 17:11:44 ID:thrMpGrj
全力で支援しろ!

457 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 17:13:09 ID:JcdDu0j8
支援再び

458 :ゲッターロボ昴 ◆yZGDumU3WM :2008/05/02(金) 17:14:10 ID:NkH7l10q
投下完了。
というわけで、「レイハをスザクが手にいれたら面白そう」というネタの、予告でしたー。
管理局=実質的に若本帝国です。

次回は、セシルさん出せたらいいなあ・・・

459 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/05/02(金) 17:17:20 ID:JcdDu0j8
GJ!!

ブリタニアを次元世界に、しかも管理局もブリタニア側とは斬新な設定ですね。
色々と複雑そうな人物関係で、想像の翼が広がります。

一時間後くらいに続けて天元突破第9話投下予約よろしいでしょうか?

460 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 17:17:53 ID:NkH7l10q
勿論支援。

461 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 17:19:36 ID:ifbX6PwW
GJ!でした。
ブリタニア皇帝陛下の〜で管理局員が格好良いと思ってしまった。

462 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 18:07:21 ID:lN0F6Swz
GJ!
日本対管理局ってギアス本編以上に戦力差が開きすぎだwww
もうRXを呼ぶしかねえw

463 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 18:10:09 ID:29M5uG79
奇跡の大安売りで日本を救うのかwww

464 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 18:12:41 ID:kbVnJ5vL
ちょwww
てつをが来たらミッドが吹っ飛ぶww

465 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/05/02(金) 18:21:34 ID:JcdDu0j8
そろそろ時間なので、投下を始めさせて頂きます。

466 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 18:23:00 ID:RAvEKtmg
支援だぜ!

467 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/05/02(金) 18:23:16 ID:JcdDu0j8
 機動六課司令室は緊迫した空気に包まれていた。
 オペレーター達から絶え間なく送られてくる報告の一つ一つを整理し、最も的確と思われる指示を返しながら、グリフィスは額の汗を拭った。
 隣のリィンフォースUも、食い入るようにモニターを凝視している。
 傍らの椅子、部隊の最高責任者の座るべき席は空――本来は司令官代理のグリフィスが座るべきなのだろうが、本人は律儀にも立ったまま己の仕事を行っていた。

 モニターに映し出される二つの映像――その片方は、輸送ヘリから送られてくる、山間で展開されるなのは達の作戦状況である。
 進行状況は極めて良好――ベテランの隊長陣三人が制空権の確保し、経験の浅い新人四人は列車の中に突入し、魔導機械の殲滅している。
 順調、文句のつけようもない程順調に作戦は進んでいる――こちらの方は。

 問題は……グリフィスはもう一つの映像へと視線を移した。
 炎上する市街地、数えることも馬鹿らしい程の量のムガン相手に孤軍奮闘するはやてとフェイトの姿――軌道上の通信衛星から送られてくる、ベルか自治領の様子である。
 限定解除した二人の隊長級魔導師は、絶望的な物量差をものともしない圧倒的な攻撃力を惜しみなく振るい、驚異的な勢いでムガンを殲滅している。
 しかし大技の連発は体力魔力両面での急激な消耗を招き、ペース配分を無視した無茶な戦い方は必ず破綻を迎えるだろう。
 長くは保たない……歯噛みするグリフィスの拳は固く握り込まれ、爪が掌の皮膚に食い込む。

 無論、何もせずにただ傍観者に徹する程グリフィスは無能ではない。
 機動六課の戦闘要員はなのは達正規部隊だけではない、交替部隊――前線部隊の人員が何らかの理由で不在の際、その穴を埋める人員も用意されている。
 ベルカ自治領での戦況報告を受けたグリフィスは、直ちに交替部隊の出撃を命じた。
 本来は前衛メンバーのオフシフト時の待機要員としての意味合いが強い交替部隊であるが、正規部隊と同時に出撃させてはならないという規定は無い。
 しかし元々正規部隊が到着するまでの時間稼ぎを主目的とした代替戦力、この想定外とも言える敵の物量を相手にどこまで通用するか、不安は残る。
 更にそれ以前の問題として――決して考えたくない事態ではあるが――果たして交替部隊が到着するまでの間、はやて達二人は持ち堪えられるのだろうか。
 あの二人の実力を疑う訳ではないが、それでも頭に浮かぶ最悪の可能性をグリフィスは否定することが出来なかった。

 隣でモニターを見つめていたリィンフォースUが、突如グリフィス達に背中を向け、まるで逃げ出すように司令室を退出した。
 すれ違いざまにグリフィスの目に飛び込んだリィンフォースUの横顔は、大粒の涙で濡れていた。

「リィン曹長!?」
「放っておけ」

 声を上げるシャリオを片手で制し、グリフィスはモニターに視線を戻した。
 気持ちは解る……絶望的な状況に陥るはやて達を見て泣き出したい気持ちは、目を逸らし逃げ出したい気持ちはグリフィスも、否、この場の全員が同じだった。
 しかしグリフィスには泣き出すことも、逃げ出すことも許されない――何より自分自身が、そのような無様を許せない。
 将とは如何なる時も冷静に、そして気丈に振舞わなければならない。
 指揮官の動揺は部下の混乱に直結し、そして部隊そのものを瓦解させる。
 あくまで冷静に、気丈に、そして普段通りに――それが指揮官としてこの場に立つ、グリフィスの義務なのである。

 しかし……リィンフォースの消えた自動扉を振り返り、グリフィスはふと思い直す。
 放っておけとはいったものの、やはりこのままでは些か後味が悪い……。

「シャーリー」

 コンソール操作に戻るシャリオの背中に、グリフィスは遠慮がちに声をかけた。

「やっぱり……リィンさんを追いかけてあげてくれないかな?」

 冷静に、しかし冷徹はなりきれない自分は、指揮官としては落第かもしれない……甘さを捨てられぬ自分自身に、グリフィスは胸の奥で自嘲する。

 司令官代理として「命令」するのではなく、ただのグリフィス・ロウランの顔で「お願い」した幼馴染に、シャリオは親指を立てて了承した。

 モニターの中で、なのは達は無事に任務を達成し、はやて達は相変わらず危うい戦いを続けていた。

 


468 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/05/02(金) 18:24:48 ID:JcdDu0j8
 
 
「……ぅ、うぅ……」

 廊下の片隅で小さな嗚咽の声が響いている。
 司令室から――モニターの向こうで苦戦するはやてと、状況の改善に奔走するグリフィス達から背を向けて逃げ出し、リィンフォースUは膝を抱えて泣いていた。
 自分は何をしているのだろう……何も出来ない自分、ただモニターを眺めていることだけしか出来ない自分に絶望し、リィンフォースUはただ涙を流し続ける。

 出動要請を受けた時、何か言いようのない胸騒ぎを感じたリィンフォースUはなのは達との出撃を拒否し、この隊舎での待機を申し出た。
 はやての守護騎士としての勘だろうか……リィンフォースUの予感は見事に的中し、はやてとフェイトは今、絶体絶命の危機に陥っている。
 交替部隊の出撃をグリフィスが命じた時、リィンフォースUも同行するつもりだった。
 同じ守護騎士のシャマルとザフィーラも同じ決断に達し、交替部隊と共に出撃していった。
 主の危機は自分の危機、そして部隊長の危機は機動六課全体の危機でもある以上、リィンフォースU達の選択は当然のものと言える。

 では何故、リィンフォースUは独り、未だこの場所に留まったままなのか――理由は単純である、出撃に間に合わなかったのだ。
 機動六課が正式稼動を初めて二週間、部隊長補佐という肩書きを持つリィンフォースUだが、部署の詳細も隊舎の構造も、未だ完全には把握出来ていない。
 特に交替部隊に関してははやてではなくグリフィスの管轄であり、リィンフォースUはその存在すらも今まで知らなかったというのが本音である。
 勝手に意気込んで飛び出し、迷いに迷った挙句に気がつけば独り置いてけぼり……。
 肩を落として司令室に戻ったリィンフォースUを、グリフィスは何も言わずに隣に迎え入れた。
 それなのに、この無様……自分は本当に何をやっているのだろう。

 惨めさにただ泣き続けるリィンフォースUの周囲が、いつの間にか薄暗くなった。
 停電だろうか……顔を上げたリィンフォースUは、その時になって漸く、自分を見下ろす人影に気付いた。
 
 ……科学者に化けた熊がいた。

「ひぃやぁあああっ!?」
「……何をやっている」

 腰を抜かすリィンフォースUに、ロージェノムは呆れたように息を吐いた。


469 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/05/02(金) 18:26:28 ID:JcdDu0j8
「ろ、ロージェノムさん……?」

 びっくりしたですーと胸を撫で下ろすリィンフォースUに、ロージェノムは巌のような顔をにこりともさせずに再び口を開く。

「何をやっている、お前は?」
「…………」

 ロージェノムにとっては何気ない、何の意図も無いその問いは、しかしリィンフォースUの心に深く突き刺さる。

「……本当に、何をやってるんでしょうね。私は……」

 顔を伏せ、リィンフォースUは自嘲するように口を開いた。

「はやてちゃんのために生まれた私なのに、でもはやてちゃんがピンチの今、何も出来ずにここにいるです……」

 リィンフォースUは人間ではない――はやてによって創られたユニゾンデバイス、その管制人格である。
 はやてのために生まれ、はやてのために存在する……作り物の生命に過ぎないリィンフォースUにとって、それだけが己の存在意義であり、そして心の拠り所だった。

「はやてちゃんが呼んでくれれば、私はどんなところにでも飛んでみせる、どんな奇跡でも起こしてみせる……そう思っていたし、そう生きようと決めてたです。
 だって、はやてちゃんのことが大好きだから。他の守護騎士の皆に負けない位大好きだから……!」

 しかし誓いは破られた。
 創造主の危機に馳せ参ずることも出来ずに、こうしてただ泣いているだけの無力な自分……。
 痛みを堪えて戦い続ける主に、しかし自分は手をのばすことも、声をかけることも出来ない。
 こんな筈ではなかったのに……何もかもが上手くいかない不条理な現実に、リィンフォースUの幼い心は折れかけていた、砕けかけていた。

「想えば飛べる……か」

 リィンフォースUの独白を聞き終え、ロージェノムはどこか感慨深そうに呟いた。

 その時、

「……じゃあ、飛んでみます?」

 まるで出番を待っていたかのような絶妙なタイミングで、シャリオが曲がり角の陰から姿を現した。

「……シャーリー?」

 困惑の声を上げるリィンフォースUに、シャリオは柔らかい、そして力強い笑みを浮かべる。

「一緒に飛んでみませんか? リィン曹長の大好きな人のいる場所へ、皆で」

 


470 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/05/02(金) 18:27:45 ID:JcdDu0j8
 
 
「プラズマザンバー……」

 フェイトの掲げた刀身に雷が集中し、

「ラグナロク……」

 はやての展開した魔方陣に光がする。

「「――ブレイカー!!」」

 気合いと共に放たれた二つの光の奔流が敵を飲み込み、天空を紅蓮一色に染め上げる。
 千を数える程存在していた大型ムガンの大群は、今やその半分近くまでその数を減らしていた。

「な、何や……結構やれば出来るもんやないか……!」
「為せば成るってことだね、何事も……!」

 荒い呼吸を整え、デバイスを構え直しながら、はやてとフェイトは背中合わせに笑い合う。
 出力限定を解除し、聖王教会によるカートリッジ補給支援を受けながらのゴリ押し戦法でここまで戦ってきたが、その効果は予想以上に絶大なものだったらしい。

 時空管理局と聖王教会は表面的には協調関係にあるが、管理局本部内では教会との馴れ合いを快く思わぬ者も多数存在しているし、その逆もまた然りというのが現実である。
 無断で教会と共同戦線を張り、更に補給まで受けているこの状況は、後々重大な責任問題となって自分達に降りかかってくるだろう。
 協力を要請したはやてや実際に支援を受けるフェイトだけでなく、その要望を聞き入れたカリムも、何らかの処罰は免れないだろう。
 自分の無茶な「お願い」を快く了承し、身を捨てる覚悟で余所者の自分達を全力で支援してくれているカリムに、持つべきものは姉貴分だなーとはやては改めて感謝する。

 しかし、そのおかげで何とかなるかもしれない……僅かな可能性に望みを賭ける二人の思いは、しかし次の瞬間、新たに発生した空間の歪みによって粉々に打ち砕かれた。
 蜃気楼のように揺れる空、新たに現れる大量の見飽きた影――敵の増援だった。

「フェイトちゃん……ウチ、泣いて良い?」
「私の方が立ち直れなくなりそうだから我慢して」

 元通り――否、それ以上の規模に勢力を回復させたムガン群に、はやてとフェイトは思わず天を仰いだ。
 誰か、助けて……絶望に押し潰され、二人の心が悲鳴を上げる。

 その時、

――はやてちゃん!!
 
どこからか、リィンフォースUの声が聞こえた。


471 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 18:27:57 ID:34qMNVIN
GJ!
もうあれだ、日本が管理局に勝つにはEDFの応援が必要だな。

472 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/05/02(金) 18:29:23 ID:JcdDu0j8
 空に――空間に裂け目が入り、巨大な何かが姿を現す。
 まるで卵から孵る雛鳥のように、或いは獲物を食い破る獣のように、空間の裂け目をこじ開けながら這い出る鋼の巨人。
 完全な人型として洗練されたフォルム――見たことのない、しかしどこか見覚えのある漆黒の巨人に、二人は思わず声を上げる。

「「ラゼンガン!?」」
『否』

 二人の目の前に通信ウィンドウが開き、画面いっぱいにロージェノムの顔が映し出される。

『汎用量産型ガンメン、通称グラパール。これはその試作機だ』
『はやてちゃん!!』

 淡々と解説するロージェノムを押し退け、今度はリィンフォースUの顔がウィンドウを占領した。
 グラパール腹部のハッチが開き、中から弾丸のように飛び出したリィンフォースUがはやての元へ駆け寄る。

「ごめんなさい、はやてちゃん……。遅くなっちゃって、肝心な時に傍にいられなくて……」
「リィン……」

 胸の中で泣きじゃくるリィンフォースUを、はやては優しく抱き締めた。

 螺旋界認識転移システム――ロージェノムが開発し、埋められていたものをシャリオが発掘した、新型の次元転移装置が、この奇跡を呼び起こした。
 宇宙とは曖昧さであり、認識されて初めて確定する――量子宇宙論とも呼ばれる、この宇宙の理である。
 認識した物質を元に次元座標を割り出し、時間も空間も無視して対象の元まで一瞬で転移する、それが螺旋界認識転移システムである。
 誰にでも使いこなせるものではない。
 人の認識力に依存したシステムであるが故に、緻密なイメージ力や強い想いを持つ者でなければ正確な転移は不可能なのだ。
 今回の場合は、はやてをを助けたいというリィンフォースUの強い想いが、はやて達への道を繋いだ――想えば飛べたということである。
 
「来てくれてありがとな、リィン。それに、ロージェノムさんも……」

 胸に抱いたリィンフォースUと、腕組みして虚空に仁王立ちするグラパールを交互に見遣り、はやてはそう言って泣きながら笑いかけた。
 涙に濡れた漆黒の瞳は、希望の輝きを取り戻していた。

「リィンが来てくれたから百人力、ロージェノムさんもおるから千人力や。もうあんなガラクタ共に好き勝手させへん、ちょちょいのちょいの超瞬殺や!」

 己を奮い立たせるようにそう意気込むはやてに、しかし胸の中のリィンフォースは笑いながら首を振る。

「違うですよ、はやてちゃん……千人力じゃないです。皆も来てくれるから一万人力です!」

「……へ?」
「皆……?」

 リィンフォースUの言葉にはやてとフェイトが疑問の声を上げたその時、グラパールの開けた空間の裂け目に新たな変化が起きていた。

 まず現れたのは、一本の巨大な筒だった。
 まるで砲身のような青い円筒――否、事実それは砲身である。
 徐々に姿を現す、戦車に手足を生やしたような青い鋼の巨人――ラゼンガンやグラパールとは大分意匠は異なるが、それはまさしくガンメンだった。

『やっほー、はやてさんにフェイトさーん! 助けに来ましたよー!!』

 瞠目するはやてとフェイトを見下ろし、西洋兜を彷彿させる青いガンメン――ダヤッカイザーがぴこぴこと手を振る。
 外部スピーカーから響くその聞き覚えのある声に、二人は思わず顔を見合わせる。

「まさか……シャーリー!?」

 驚愕したように声を上げるフェイトに、ダヤッカイザーは正解だとばかりに両手の親指を立てた。


473 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/05/02(金) 18:30:39 ID:JcdDu0j8
 唖然とする二人の横で、ダヤッカイザーの広げた空間の穴から更に新たな二つの影――トサカの生えた白いガンメンと、二つの顔を持つ紫色のガンメンが姿を現す。
 続々と現れるガンメン達を、空中のはやて達だけでなく、地上で小型ムガン相手に戦う教会騎士達も呆然と見上げていた。
 はやての言葉から一騎当千の魔導師部隊を想像していたが、しかし現れたのは謎の巨大ロボ軍団――予想の斜め上を突っ走る「援軍」の登場に、騎士達は言葉を失う。

『切なる叫びが扉を開き、熱き想いが道を拓く!』

 戦場全体に轟くような大音量で、ダヤッカイザーが声を張り上げた。

『縁の下の力持ち――』
『――床板ぶち抜き只今参上!』

 ダヤッカイザーに追従するように、双頭のガンメン――ツインボークンが言葉を引き継ぐ。
 あの声はオペレーターのアルト・クラエッタとルキノ・リリエだろう。

 これは、名乗りだ……シャリオ達の口上を聞くはやて達の脳裏に、二人の少女の顔が過る。
 鋼鉄の巨人を駆り、名乗りと共に敵に立ち向かう青い髪の少女。
 白銀の飛龍を従え、名乗りと共に立ち上がった桃色の髪の少女。
 偶然にも敵を前に似たような名乗りを上げた二人の少女は、その前後、二人とも奇跡を起こしてみせた。

『我々は補う者だ――足りぬ力があるならば、我々が追い風となり背中を押そう。
 我々は届ける者だ――届かぬ思いがあるならば、我々が橋となり繋ぎ留めよう。
 我々は創る者だ――見えぬ未来があるならば、我々がドリルとなり道を掘り進もう。
 そう、我々は……助ける者だ』

 音を失った――誰もが動きを止めた戦場で、グラパールが朗々と言葉を紡ぐ。
 戦士のような気高さと王者のような力強さを併せ持つロージェノムの語りに誰もが呑まれ、そして魅せられていた。

 順調に続く名乗りの口上、爆発的に戦場に広がる気合いの波に、しかし乗り切れない者もいた。

「これ、僕もやるの……?」

 白いトサカのガンメン――エンキドゥのコクピットで、グリフィスがげんなりとした顔で呻いた。
 元々率先して目立つような性格ではない上、自分達とは格の違うようなロージェノムの語りを聞かされた後――及び腰になるグリフィスの気持ちも当然である。
 何とか理由をつけて辞退しようと目論むグリフィスだが、そうは問屋が卸さなかった。

『当ったり前でしょ、グリフィス君。 仲間外れにはしないわよ』
『責任重大ですよ? しっかりお願いしますね』
『頑張って下さい! ロウラン補佐官』

 応援という形で逃げ道を塞ぐ女性陣に、グリフィスも腹を括った。

『機動六課後方支援部隊、ロングアーチ! 我々を誰だと思っている!!』

 エンキドゥの叫んだ締めの言葉と共に、戦士達の反撃が始まった。



天元突破リリカルなのはSpiral
 第9話『一緒に飛んでみませんか?』


474 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 18:33:08 ID:og4dsyuh
毎年一回は悪の組織と正義の戦隊が抗争を繰り広げ、謎の未確認生物が襲来すれば仮面の戦士が立ち向かう
たまに怪獣が生まれれば一直線に向かって来て上陸するし、異星人の来訪なんて日常茶飯事だから各地に科学研究所と巨大ロボを量産せざるを得ない
そんな奇跡の国…それがニッポン!!支援

475 :天元突破リリカルなのはSpiral:2008/05/02(金) 18:35:24 ID:JcdDu0j8
以上、投下完了です。
次回でベルカ領市街地も終了し、その次には本編の流れに戻る予定です。

前回GJコールをくれた方々、今回支援してくれた方、この場を借りてありがとうございます。

476 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 18:35:57 ID:29M5uG79
GJ!!です。
ロングアーチwなんだこの本編と月とすっぽんレベルの増援はwww
しかも、グリフィスがエンキドゥに乗ってるのかw

477 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 19:15:18 ID:Vq2LNun0
GJ!
しかしなんでよりによってエンキドゥなのか。
空中の敵を相手にするならビーム砲搭載してるエンキのほうが便利だろうし接近戦重視なら腕の多いエンキドゥドゥのほうが性能いいだろうに。

478 :一尉:2008/05/02(金) 19:36:37 ID:RV0lPg7L
これなら良い支援

479 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 19:49:15 ID:+aWqm9YK
限りないGJを
理論とか敵との相性なんて熱い螺旋力の前では些細な問題ww
かつてこれ程までに熱く輝いたロングアーチ部隊があっただろうかwww

480 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 19:49:54 ID:og4dsyuh
>>477
そういう屁理屈とは別の次元に強者は存在して以下略

考えたら負け!!

481 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 20:31:09 ID:+aWqm9YK
むしろ
パワーアップの機会が残っている=スーパーグリフィスタイムの可能性!
と考えるべきだね!w

482 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 21:30:27 ID:TZfpzA4C
キングキタンはヴァイスキボンヌ

483 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 22:48:43 ID:BlLDXR63
ロージェノムの宣誓カッケー!!
敵に人間がいないのが悔やまれる! 絶対 あっこりゃカテネーわ 役者が違いすぎ。って思うだろな!
「パ、パワーが違いすぎる!?」 スパロボ敵パイロットの伝家の宝刀


484 :反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/05/02(金) 22:52:51 ID:OrvZvt7d
GJ!

11時頃から、リリカル殺生丸を投下させていただきます。
ただ、今回30KB超という結構な量になってますので、支援をお願いしたいです。

485 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 22:59:16 ID:ii9uz9zC
待ってましたヤッホーイ!!!
ついに、遂に爆砕牙 降 臨!
全力で支援ですぜよ!!

486 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 23:04:19 ID:OrvZvt7d
スンマッセェェェン!
リアルの事情により、ちょっと遅れていますorz
投下は15〜20分頃になるかも……でもそれまでには間に合わせますんで!

487 :反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/05/02(金) 23:04:44 ID:OrvZvt7d
コテ忘れたOTL

488 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 23:07:13 ID:ii9uz9zC
シグナムVS殺生丸、はじまります支援

489 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/05/02(金) 23:13:16 ID:1xI9cUGw
んでは行きます。
36KB、あとがき含めて12レスです

490 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/05/02(金) 23:14:29 ID:1xI9cUGw
遠き戦国の世――
漆黒の胴鎧をことごとく破壊する、無数の魔手。
その高潔なる純白の衣すらも侵食する猛毒と、鋭利なる万妖の鎧殻が、殺生丸の身体を深々と貫き通す。
鮮血が口元へと逆流し、血肉は嫌な音と臭いを伴って爛れていった。
「殺生丸様っ!」
遥か下方から聞こえるのは、当時はまだ共に在った家臣の声。
緑色の肌を持ち、能面をあしらった不気味な杖を携えた小妖怪と、どこにでもいるような人間の少女。
「クククククク……」
眼前で下衆な笑い声を上げるのは、忌まわしき奈落の身体を借りた悪霊の姿。
四魂の玉より出でし、狡猾にして残忍なる妖魔――曲霊。
生気の感じられない、病的なまでに白い顔だけが宙に浮き、射抜くような邪悪な双眸が殺生丸を見据えていた。
「もう一度言おう」
無数の肉片が意思を持ったかのように躍動する。
曲霊の操りし奈落の身体の断片が、満身創痍の殺生丸の身体を包囲し、密着し、圧迫していく。
「お前は弱い」
最後の言葉と共に、殺生丸は完全に飲み込まれた。
虚ろな視界は遮られ、彼に見える世界は暗黒へと落ちていく。
犬妖怪の鋭敏な鼻を鋭く突き刺す、吐き気を催すほどの瘴気と腐臭。
――最早ここまでか。
殺生丸らしくもない、弱気な思考が脳裏に浮かんだ。
そもそも勝てるはずもなかったのだ。自らの力の全てを解放しても、奴の拘束を振り払うことは叶わなかった。
あの時点で既に、純粋な力で敗北を喫していたのだ。
「――殺生丸! 出てきやがれ! くたばりやがったら承知しねぇぞっ!」
奈落の肉塊越しに、あの鬱陶しい弟の声が聞こえてくる。がん、がん、がん、と、あの鉄砕牙で殴りつける音が聞こえる。
中途半端な半妖のくせに、父の愛を一身に受け止めた弟――犬夜叉。
完全な妖怪である自分ほどの力も持たぬくせに。毒も変化も使えぬくせに。すぐに頭に血が上る馬鹿のくせに。
それでも、偉大なる父は奴に己の全てを与えた。この殺生丸に与えた遺産さえも、全ては犬夜叉に奪わせるためのもの。
もうどうでもいい。力も意地も目的さえも、全てこの親子に奪われた。
こんな弟に助けられるくらいならば、こうして戦いを挑んで死んだ方が遥かにましだった。だからこそ、今殺生丸はこうしている。
そう、もうどうだっていいのだ。思い残すことも生きる意味も、何一つ残っていない。
強いて言うならば、己自身を恨んでいた。
この殺生丸に力があれば。父上からの借り物などでは断じてない、それでいて何者にも勝る、絶対的な力があれば。
己自身の“牙”さえあれば――

――どくん。

その時、“それ”は現れた。
失われた左腕が脈動する。
瞬間、奈落の肉塊によって造り出されたトンネルの中に、眩い閃光が炸裂する。
強烈な輝きは獰猛な破壊力を孕み、実体なき凶刃となって甲殻を切り裂いた。
暴力的なまでの力が、圧倒的な速さで駆け巡る。さながら新星の爆発のごとき威容と共に、絶大な力が暗黒の中で煌いた。
(この感触は……)
左腕から放たれる妖気の光を、殺生丸は驚愕と共に見やる。
雷光のごとき鋭さと、綺羅星のごとき眩さが、みるみるうちに頑強な鎧を――“爆砕”していく。
切り落とされたはずの左腕の、絶えて久しき感覚が急速に戻っていく。
手のひらの中に、感じるものがあった。
この莫大な妖力の中心にあるものの感覚。肌に触れるこの手触りは、剣の柄のようなもの。
(やはり……)
僅かな確信と共に、殺生丸はしかとその光輝を見届けた。

これぞ、殺生丸自身が、己が内に秘めた彼自身の刀。
偉大なる大妖怪の道を阻む、あらゆるものを爆砕する牙。

故に。

名を――爆砕牙と。

491 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/05/02(金) 23:15:42 ID:1xI9cUGw
魔法妖怪リリカル殺生丸

第八話「破壊の白刃、爆砕牙」


「……それがお前の剣か」
かの地より遠く離れた、ミッドチルダの夜天の空。
今まさに、シグナムはその爆砕牙の姿を、しかと見届けていた。
その白銀の刀身は、あまりにも細い。彼のような妖怪がわざわざ振るうにはあまりにも細すぎる、至って普通の日本刀だ。
しかし、刀の腹に刻まれた複雑な幾何学文様と、刃から滲み出る妖力の光が、それを普通の刀と大きく隔てていた。
漆黒の夜空に浮かぶ煌きは、荘厳なようでいて、どこか禍々しさを漂わせている。
それが――その輝きを禍々しいと思う感覚こそが、人間と妖怪を分かつ絶対的な差なのだろうか。
「この地で抜いたのは初めてだ」
言いながら、殺生丸はシグナムへとその切っ先を向ける。
烈火の将の頬を冷や汗が伝った。
見ただけで分かる。そして、肌で感じられる。あの爆砕牙は、恐ろしいまでの破壊力を秘めた危険な刀だ。
どうやら自分は、とんでもない代物を引きずり出してしまったらしい。
絶対的な力への畏怖と同時に、期待以上の力への好奇心が首をもたげるのを感じた。
あの美しき銀髪が揺れる。
合図すらもなしに、爆砕牙を構えた殺生丸が、猛烈な加速と共にシグナム目掛けて殺到した。
咄嗟に鞘を腰から抜き放ち、突き出す。
未だシュランゲフォルムの連結刃形態を取っていたレヴァンティンでは、つばぜり合いを演じるには心もとない。
相手の攻撃を防御しているうちにシュベルトフォルムへと戻し、反撃を繰り出そうとしたのだが――
「ッ!」
重い。
あまりにも重い剣圧。
半ば覚悟はしていたことだが、凄まじいまでの威力をもって、殺生丸がその凶刃を振り下ろす。
さながらSランク魔導師のそれに及ぶほどの、絶大な攻撃力だ。防御に回るのが手一杯で、とても他へ気を回すことなどできはしない。
ここまでの思考が一瞬のことで、
「ぐ……ぅっ!」
次の瞬間には、その思考の矛先は変わっていた。
(何だ、この感覚は……ッ!?)
鞘を通じて手のひらに伝わる、刺すような痛覚。
否、それだけには留まらない。痛みは手から腕へと伝わり、あっという間に全身を駆け巡る。
刀が鞘に触れただけだというのに、さながら高圧電流を直接身体に流し込まれたような感触。
(この剣のせいか……!?)
シグナムは瞬時に推測した。
見れば、斬撃を受けた鞘が爆砕牙と同様の輝きを放っている。そしてそれが、同時に鞘から自身の身体へと伝線していた。
先ほどの感電という表現も、あながち間違いではなかったらしい。
この剣の破壊エネルギーは、斬った対象へと残留する。そしてそれに触れたものをも傷付ける。
妖力という得体の知れない力による、帯電現象と感電現象。それを引き起こす剣――それが爆砕牙の正体だった。
百雷のごとき痛烈な衝撃が、シグナムの豊満な肢体を疾駆し、陵辱し、痛めつける。
「この……っ!」
このままではまずい。そう判断したシグナムは、全身から魔力を噴出させて、邪気の枷を振り払う。
おかげでかなりの魔力を消耗してしまった。どっと汗が噴き出す。
しかし、そのまま止まっているわけにもいかない。
瞬時にレヴァンティンを変形させ、カートリッジをロード。炎の魔剣が、その名の通り灼熱の業火を纏う。
炎熱のコーティングで刀身を保護し、剣ごと殺生丸を弾き飛ばす――!
「紫電……一閃ッ!」
真紅の剣閃が、暗黒の闇夜を彩った。
己が信頼する必殺技は、狙い通り僅かに殺生丸をひるませる。その隙をつき、シグナムは後方へと飛び退って距離を取った。

492 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/05/02(金) 23:16:50 ID:1xI9cUGw
それを易々と許す殺生丸ではない。再び爆砕牙を構えると、猛然と彼女に向かって肉迫する。
『Panzerschild.』
発光する、桜色の古代ベルカ式魔法陣。
パンツァーシルトの防御壁が、レヴァンティンの機械音声と共に展開された。
叩き込まれる爆砕牙。白と桃色の光が激突し、反発し合い、強烈なスパークを発生させる。薄明の夜空に、白昼のごとき明度が差した。
そして、AAランク魔導師のそんな薄壁1枚で十分なはずはない。
破られこそはしなかったものの、強烈な破壊力に押し負け、遥か斜め下へと叩き落される。
ヴォルケンリッターの驚異的な身体能力で、態勢を立て直して地面へと着地。
落雷のごとき勢いで降下する殺生丸の斬撃を横っ飛びで回避すると、シグナムはようやくレヴァンティンを突き出した。
さながら疾風の速度で繰り出された突き。しかし、殺生丸の爆砕牙がそれを弾く。
先端に伝わる破壊の力を振り払いながらも、反撃を身をよじって回避した。
この爆砕牙を相手に、シグナムは相当慎重な戦い方をしなければならなかった。
自身の筋力をダイレクトに防御力に変換できる分、リミッターのかかった現状では剣で相手の攻撃を防いだ方が楽に決まっている。
しかし、あの爆砕牙と直接触れ合えば、防御など無視した妖力が襲い掛かってくるのだ。
先ほどしたように、その気になれば魔力を放出して吹き飛ばすこともできるが、それはあまりに消耗が大きすぎる。
紫電一閃を常に発動させたまま戦うことなどは論外だ。
結果、シグナムはこの刀相手に、性能の大幅に落ちた防御魔法と回避行動のみで対応せねばならなくなった。
さっさと能力限定を解除しておけば、と後悔する。
雲霞のごとく畳み掛けてくる殺生丸の攻撃を前に、今ではそれを行う余裕などまるでなくなっていた。
ざん、と。
振り下ろされた爆砕牙が、地上本部の防壁をことごとく切り払う。
「つぅっ!」
次の瞬間、シグナムは開かれた風穴の中へと放り込まれていた。
先ほどと同じ。防御ごと強引に吹き飛ばされた。
侵入を許してしまったことに小さく歯噛みしながら、シグナムは横目で周囲を見回す。
明かりが落ち、薄暗くなったロビーにはガジェットの残骸しかない。負傷兵の撤退も完了している。
ギンガ達の奮闘のおかげで、ここから入ってきた侵入者は粗方片付いたようだ。
ならば、新たにこの地上本部へと踏み込んだ侵入者と戦うのは自分の役目だ。
攻撃を防ぐことができずとも、こいつを倒し、ギンガの前に引きずり出してやる。
常勝無敗と謳われし古代ベルカの守護騎士、その筆頭たる烈火の将の名にかけて。
故に、この絶対的に不利な状況にあっても、シグナムは退くことはしなかった。
怒涛の猛攻にさらされ、ぐいぐいと奥の方へと押し込まれつつも、敵前逃亡だけはすることなく戦い続ける。
煌く妖刀をかわし、防ぎ、攻撃の合間を突いては反撃を繰り返す。
ジリ貧もいいところかもしれない。しかし、屈するわけにはいかなかった。
「ちょこまかと……!」
業を煮やした殺生丸が、爆砕牙の凶刃を思いっきり振り抜いた。
強烈な剣風がコンクリートの床を盛大にえぐり、返す刀も相まって、2つの鋭い爪跡を穿つ。
そして、ちょうどそのV字の中心に立つ形となったシグナム目掛けて、3度目の斬撃を叩き落す。
その3度目にはさすがに回避運動が間に合わず、パンツァーシルトで防御。相殺しきれず足元に伝わる衝撃。
だが、考えてもみてほしい。爆砕牙は斬った対象へと、半永久的に破壊行動を繰り返す刀である。
そして先の2度の攻撃は、彼らの足場に深々と傷を刻んでいる。今こうしている間も、その傷を更に広げている最中だった。
加えてこの衝撃だ。となれば、結果は一目瞭然。
「なっ……!?」
「む……?」
みしみしみしみし。嫌な音を立てて、床に亀裂が走っていく。そしてある瞬間、ついに足場が鳴動し――
「――うわああぁぁぁぁぁぁぁーっ!」
轟音を立てて、両者を支えていた床が崩落した。

493 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/05/02(金) 23:17:59 ID:1xI9cUGw
時間は遡る。
動力ブロックから出現した敵に対処すべく、ギンガは地下ブロックを疾走していた。
周囲に聞こえる音は、ブリッツキャリバーの走行音のみ。故に、どこから敵が襲ってくるかも分からない。
全方位に注意を向けながら、両脚のデバイスを走らせる。
早くこちらの敵を撃破して、シグナムと殺生丸の元へ戻らなくては。
逸る気持ちを抑えながら、ギンガはあくまで冷静に、周囲の様子を伺っていた。
びゅん、と。
「ッ!?」
風を切る鋭い音が、無音の室内にこだまする。鼻先を掠めたのは、鈍色に輝く投擲ナイフ。
ほぼ条件反射にも等しき速度で、それが飛来した先へと視線を向けた。
暗闇の中からギンガを見据えていたのは、大きな金色の単眼だった。
右目はない。闇に溶け込むかのような黒い眼帯により、顔の右側はすっぽりと覆われている。
美しく輝く黄金の瞳は、その低身長の割には随分と落ち着いている。
幼い容姿をしながら、ナンバーズの中でも古参の部類に入る少女――ナンバーX・チンク。
「戦闘機人……!」
ギンガの緑の双眸が、チンクの姿をきっと睨みつけた。
スカリエッティの引き連れる下僕達。自分や妹のスバルと同じ、機械の身体を持った者達。
そして――自分の母の死のきっかけとなった奴ら。
母クイント・ナカジマは、戦闘機人に関する事件の末に命を落としたと言われている。
故に、彼女は追い続けていた。廃棄区画で姿を現して以来、この戦闘機人達を。
六課への合流を名乗り出たのは、無論殺生丸のこともあるが、それ以前に戦闘機人関連の捜査に当たるためという理由があった。
「タイプゼロ・ファースト……回収させてもらう」
「っ!」
冷ややかな声と共に、先ほどのナイフ――スティンガーを4つ、両手に掴んで投げ飛ばす。
猛烈な速度で襲来する殺意の刃を、身をよじってギリギリのところで回避。
その一瞬後、冷たい刃が高熱と共に炸裂した。
「なっ……」
背後の壁に突き立てられたナイフが、猛烈な音と熱量と共に爆発したのだ。
赤々と照らされる、薄暗い地下ブロック。
危ないところだった。あれをまともに食らっていては、最悪今の一撃でやられていたかもしれない。
頬にじわりと嫌な湿り気を感じつつ、ギンガは再びチンクの方へと視線を戻す。
「はっ!」
気合いと共に、必殺の爆発力の込められたスティンガーが投擲される。
タネは分かったのだ。もういちいち怯える必要はない。
ギンガがブリッツキャリバーの車輪をフル回転させ、スローイングダガーの雨の中を疾駆する。
ローラーブーツデバイスの猛烈な加速を、熟練の戦闘技術で制御して攻撃をかわし――
「たあぁぁぁーっ!」
シューティングアーツの痛烈な蹴撃をお見舞いした。
チンクの眼前での急速なブレーキングの勢いを利用し、加速のついた回し蹴りを叩き込む。
そして彼女もまた、その攻撃を許すほど愚鈍ではない。身に纏った灰色のコートから、輝く防御膜を展開。
炸裂するスパークの中、シェルコートの防壁が、白銀の具足のキックを弾き飛ばした。
空中で身体をひねり、着地。ブリッツキャリバーが床を削り、眩い火花を散らす。
そして今一度冷静な頭脳と共に、ギンガは標的を見定めた。
あの爆発するナイフの破壊力は相当なもの。加えて、魔導師のシールド並の防御力も有している。反応速度も速い。
ならばどうするか。決まっている。それ以上のスピードでかく乱し、一瞬の隙を狙って攻撃を叩き込むまでだ。
相手がいかに手慣れであろうと問題ではない。
ブリッツキャリバーとシューティングアーツの速力、片目で見切れるとは思わないことだ。

494 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/05/02(金) 23:20:39 ID:1xI9cUGw
黒と白のバリアジャケットが、深淵の中を駆け巡る。
浴びせられるランブルデトネイターの大空襲を、身をよじり、ひねり、回転させてかわしていく。
雷神の具足・ブリッツキャリバー――その名を体現するかのように、ギンガの身体が稲妻模様のごとき複雑な軌跡を描いた。
驚異的な速度を、持ち前のテクニックで完全制御。急加速と急停止を繰り返し、目にも止まらぬ速度で疾駆する。
自身の攻撃をことごとくかわすギンガの動きを、チンクの隻眼が追いかける。
そしてギンガもまた、チンクの視線を注意深く追いながら、自身のデバイスを走らせていた。
(……そこだっ!)
緑の瞳が細められる。
ここまでの動きで、自身が抱いていた推論は立証された。
失われたチンクの右目は、何か特殊な機能が用意されているわけでもなく、完全に視力を失っている。
そこに彼女の死角が生まれた。
自分が相手の右側に回った瞬間の反応が、それ以外の時よりも。
(僅かに遅い……っ!)
猛然と加速するブリッツキャリバー。
ここぞとばかりの俊敏性を発揮し、右側からチンク目掛けて一直線に特攻した。
鍛え上げられたしなやかな肢体が、必殺の肉弾となって殺到する。
「くっ!」
ハードシェルの展開が僅かに間に合わない。
歯噛みしつつ、チンクはその小さな身体を全力で突き動かし、ギンガの鉄拳を紙一重で回避した。
それだけで終わるはずはない。
ナックルダスターをフル回転させたリボルバーナックルが、再びチンクに向かって襲い掛かる。
今度は間一髪で防壁を展開し、防御行動に成功。それでもなお、戦闘機人のギンガのパワーは、じりじりとハードシェルを押し返していく。
接近戦型のシューティングアーツと、中距離型のチンクの戦闘スタイルの差が如実に現れた結果だった。
このままでは押し切られる。
先ほどの相手の回避運動の最中、ノーヴェ達へ応援を頼んだが、このままではギリギリ間に合わないうちにやられるかもしれない。
(……何としてでも引き剥がすっ!)
きっ、と。チンクの大きな瞳がギンガを睨んだ。同時に、ハードシェルの合間から中間に投げ込まれる、1本のスティンガー。
意味することはただ一つ。自爆覚悟で、相手を自分の間合いから強引に押し出すこと。
「ッ……トライシールド!」
ギリギリの反応で、ギンガもまた防御魔法を展開。
拳と壁のぶつかり合いは、近代ベルカ式魔法陣と光のシールドとの激突に変わる。紫と白の光が衝突し、反発し合った。
そしてその一瞬の光輝は、轟音と共に爆炎へと変異した。
ランブルデトネイターの大爆発が、ギンガとチンクの身体を後方へと弾き飛ばす。
互いにふんばりを利かせ、スライディングのように足元を滑らせながらも身体を停止させた。
(やりづらい相手だ……)
頬に冷や汗を伝わせながら、今一度チンクはターゲットを見定める。
かつてSランク魔導師を倒したことはあった。ランクも総合的な戦闘力も、ギンガの方がその男よりも明らかに低い。
しかし、彼女には決定的な武器があった。ブリッツキャリバーのもたらす驚異的な機動性だ。
パワー重視の戦闘スタイルで力押しをかけてきた当時の相手と異なり、向こうはかなりのスピードでこちらを翻弄し、的確に死角を突いてくる。
今や片目の身となったチンクには、それを目視で追いかけるのはかなりの重労働となっていた。
加えて、テクニックもある。単調に見えて、その実絶妙な力加減と狙いによって、自身のパワーを最大限に発揮する技術は――
「……やはり、クイントの面影がある」
「っ!」
思わず呟いた言葉を、ギンガは聞き逃さなかった。
故に、チンクはその先へと言葉を進める。
「8年前のあの事件の折、当時のゼスト隊と交戦したのは……」
正直なところ、すまなかったとは思っている。
せっかく戦闘機人ではなく、普通の人間として生きるきっかけを作ってくれた女性を、自分達が殺めてしまったのだから。
恨むのならばいくらでも恨んでくれて構わない。これは、平和を手にした姉妹の心に影を差してしまったものの、せめてものけじめ。
「――私達だ」
その一言を聞き届けたギンガの瞳が、驚愕に見開かれる。
しかし、それはほんの一瞬のこと。次の瞬間にその表情を彩ったのは――烈火のごとき凄絶な怒気。
ようやく見つけることができた。母の仇を。人でなしの身体に生まれた自分達を救い出してくれた、生涯最大の恩人の仇を。
――お前がお母さんの命を奪ったのかっ!
「き……さ、まああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

495 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 23:21:39 ID:ii9uz9zC
爆砕牙の力は部位を切り離しても継続す支援

496 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/05/02(金) 23:21:50 ID:1xI9cUGw
冷静な思考力は、あっという間に彼方へと消し飛んだ。
ナックルスピナーが、ブリッツキャリバーが、ギンガ・ナカジマが。三位一体となって咆哮し、チンクの元へと飛びかかった。
――どん。
「――――ッッッ!?」
背中を殴りつける痛烈な衝撃。
加速の勢いを乗せて跳躍していたギンガの身体が、もんどりうって正面に転がり落ちた。
己の背面に味わった痛覚は、明らかに爆発によるものではない。
一点に集束された熱量がそのまま衝突する感覚は、訓練・実戦問わず幾度となく味わった魔力ダメージに近いもの。
すなわち――レーザーなどによるエネルギー攻撃。
「チンク姉お助け隊、参上〜っ!」
場違いなまでに陽気な声が、暗い室内に響き渡る。
同時に伝わる、空気を滑るような鋭い音。反射的にギンガが振り向いた先には、ウェンディのエリアルレイヴと――
「だりゃぁぁーっ!」
同乗するノーヴェの姿があった。
フィットスーツに包まれた引き締まった肉体が、ギンガ目掛けて弾丸のように発射される。
ふらつきながらもようやく立ち上がったところへ、鋼の籠手の強烈なフックが叩き込まれた。
「か……ッ!」
ギンガの肢体が再び宙を舞う。ただし、今度は自分の意志ではなく、外的ダメージによって強制的に。
ガンナックルの一撃をもろに腹に食らった彼女は、ただ喉から苦しげな吐息を洩らすことしかできなかった。
冷たい壁に向かって放り出される身体。追撃するローラーブレード・ジェットエッジ。
ノーヴェの装備は、基本的にはギンガの――正確には、更にその原型となったスバルのだが――デバイスと酷似している。
ギンガら姉妹と同様、クイント・ナカジマの遺伝子モデルを一部に使用して生み出されたノーヴェにおいては、
彼女らの用いるシューティングアーツを再現することこそが、最も効果的な運用法だった。
ギンガの身体がコンクリートに叩きつけられる前に、右腕から今度はアッパーを繰り出して勢いを殺す。
そのまま自身もジャンプすると、しなやかな左脚を高々と虚空に掲げた。踵落としの姿勢だ。
リボルバーナックルとは異なり、脛部分に取り付けられたスピナーが、凶暴な雄たけびと共に回転。
「らああああぁぁぁぁぁぁぁーっ!」
気合いと共に、その一撃を、左腕に向かって叩き落とす。ギンガの利き腕を、冷たい回転刃が直撃した。
「く……あ、あぁぁぁぁぁっ!」
苦悶の表情と共に湧き上がる、絶叫。
殺傷設定で振り下ろされたジェットエッジのスピナーは、容赦なくギンガの皮と肉を引き裂いていく。
ぐちゃぐちゃとミキサーにかけられたように四散する筋肉。真っ赤な鮮血が、薄暗い空間に彩度をもたらした。
何度となく意識が吹き飛びかけ、その度に腕を引きちぎられる激痛が脳髄を揺り起こす。
「今だ、チンク姉っ!」
「分かった!」
チンクの返答を聞き終えるや否や、ノーヴェはもう片方の脚でギンガを蹴り飛ばした。
そしてそこへあやまたず投擲される、雲霞のごときスローイングダガー――全方位攻撃・オーバーデトネイション。
ぶすり、ぶすり、ぶすり、と。突き立てられていく冷ややかな凶刃。
腹部が、太腿が、両脚が。美しい曲線を描いたギンガの身体が、徐々に真紅に染められていく。
そして最後の1本が、ちぎれかけた左腕の傷口に突き立てられた瞬間、スティンガーが急速に高熱を発した。
刹那、大爆発。
身体中のあちこちが、衝撃と灼熱で粉々に吹き飛ばされる錯覚。畳みかけるように発生する爆発が、ギンガを徹底的に苛んだ。
獣の悲鳴が上がる。もはや人のものとは到底結びつかないような、とことん悲痛な絶叫が。
熱い。痛い。全身が熱くて痛くてたまらない。
喉が潰れんばかりの声を張り上げながらも、ギンガは必死にその左腕を爆炎の外へと伸ばす。
倒れてたまるか。お母さんの仇が目の前にいるのに。こいつらを倒して、殺生丸にも会わなければならないのに。
せめて、この左腕が届くまでは――
「――っ」
目の前に炸裂する、紅蓮の炎。ランブルデトネイターの直撃を受け、遂にフレームさえもへし折られた左腕が、虚しく床へと落下する。
燃え盛る炎。自身の身体を焦がす炎。戦う力を失って、無力な存在へとなり果てた自分。
揺らめく陽炎の中、不意に蘇ってくるのは、微力だった幼少期の頃の、あの空港火災。
また、繰り返している。
抵抗することも逃れることもできず、無力なままに、自分はだらしなく炎に焼かれている。
ぼんやりと浮かぶあの人も――救いの手さえも、ここには差し伸べられない。
(……せっ……しょう、ま……――)
最後の一文字が浮かぶ手前で、ギンガの意識は暗転した。

497 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/05/02(金) 23:22:57 ID:1xI9cUGw
ずたぼろになったブレストプレートの裏へと侵入する手が、左胸から伝わる微かな心音を確かめる。
「……よし、ギリギリ生きてるッス」
ウェンディの報告を受け、チンクはほっとしたように息をついた。
「チンク姉、大丈夫? けがとかしてない?」
普段のイラついた態度とは一変し、心底心配そうな声音と表情で、ノーヴェが問いかける。
彼女の教育はチンクの仕事だった。故に、ノーヴェもまた、厳しくも心優しい小さな姉を溺愛していた。
「ああ、大丈夫だ」
なだめるように穏やかな笑顔を浮かべて、チンクが返す。
調子に乗ってそのまま乳房を揉みしだき始めたウェンディが、「ん〜上物上物♪」と訳の分からないことを口走っていたが、これは無視した。
そして、その視線をギンガの顔へと向けた。
自分でやったこととはいえ、あまりに凄惨な暴力の跡に、微かに眉をしかめる。
バリアジャケットはずたずたに引き裂け、大部分がすすけて変色していた。
左腕は完全にちぎれているし、それ以外の部分からもおびだたしい量の血液が流れている。
完膚なきまでに叩きのめされた。その言葉が最もしっくりくる構図に追いやられたギンガが、死体のように力なく倒れ伏していた。
「馬鹿なことやってねぇで、さっさと回収するぞ」
歩み寄ったノーヴェが、ぼろぼろになったギンガの前髪を掴み、その頭を持ち上げる。
ジェットエッジのローラーに踏まれた左の手のひらが、ぐちゃり、と嫌な音を立てた。
チンクは想う。
許してくれと願うつもりは毛頭ない、と。
あの場で彼女の母を殺害したのは紛れもなくガジェット達であり、すなわち自分が指揮していた鋼鉄の兵士達だった。
しかし、それが戦闘の場であった以上、その行いに罪はない。法律だの何だの云々以前に、戦いは負けた方が悪いのだ。
彼女らは来た。殺し、打ち倒し、朽ち果てさせるために。殺されに、打ち倒されに、朽ち果たされるために。
それが闘争の契約だ、とは誰の言葉だったろうか。ともかくも、それこそが戦闘の形だった。
故に、自分が為したのは戦闘という範疇からすれば正道であり、それこそそれを謝罪するのはお門違いというもの。
だから、チンクは頭を垂れ、謝罪することはしなかった。ただ淡々と、事実のみをギンガに伝えた。
(その方が、何も知らないよりはよかったから)
やがてスカリエッティの元へと運ばれた彼女は、何らかの洗脳処置を受け、自分達と共に戦場へと送られるだろう。
ならばせめて、最期の瞬間には知っておいてほしかった。母クイントと、チンクの真実を。
どうせ母殺しの相手を恨むのならば、その正体は知っておいた方がいい。
誰とも知らぬあいまいな者を、暗闇の中で手探りするように憎むくらいなら、せめて相手が分かっていた方がいい。
それが、チンクなりのけじめ。
そして今、けじめはつけた。あとはギンガを連れ帰るために、ここから撤退すれば――
「っ!?」
鳴り響く車輪の滑走音。
それがチンクの思考を止め、ノーヴェとウェンディの手を止める。
背後に現れたのは、もう一人のターゲット――タイプゼロ・セカンド。
ギンガの妹、スバル・ナカジマ。
「あ……」
今、彼女の目には何が見える。
襤褸雑巾のように蹂躙された、最愛の姉の痛々しい姿だ。
今、その傍にいる自分達はどう見える。
大切な家族を叩きのめし、挙句どこかへと連れ去ろうとしている外道共だ。
今、そんな自分達に彼女は何を抱く。
「……うああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――ッ!!!」
鳴り響くのは、激情の咆哮だ。
膨大なエネルギーが渦を巻く。戦闘機人の動力と、リンカーコアの魔力が、同時にかつ一挙に解き放たれる。
底なしの力は暴走し、空気を歪ませ、突風を起こし、チンク達の身体を煽った。
「返せ……」
それでもまだ足りないと言わんばかりに、漆黒のリボルバーナックルがカートリッジをフルロード。
「ギン姉を……!」
凶暴な殺意を孕んだ金色の瞳が、突き刺すような眼光を燃やす。
「……返せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーっ!!!」

498 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/05/02(金) 23:24:03 ID:1xI9cUGw
憎悪の雄たけびと共に、純白のバリアジャケットが驀進した。
疾風だの旋風だのと、そんな表現すら大人しく聞こえる。今のスバルの突撃は、たとえるならば暴風雨だ。
トルネードのごとき衝撃波をぶちまけ、鋼鉄のマッハキャリバーに亀裂を走らせながら、猛烈な勢いで殺到する。
「コイツ……ッ!」
反射的に得物を構えたのはノーヴェだ。
ガンナックルの名が指す通り、右腕から弾丸を連射する。
ギンガならば、全てを避けるなり防ぐなりして対処するだろう。しかし、スバルは違った。
襲い来る魔弾のスコールを、全く回避しようとしない。
それらに身体を撃ち抜かれ、真紅のしぶきを散らそうとも、ものともせずに襲い掛かる。
故に、減速しない。姿勢を崩すこともしない。トップスピードで、しかも態勢も万全だ。
「うらあぁぁぁぁぁーっ!」
ナックルスピナーがフル回転。それどころか、限界以上に出力を上げた、リミットブレイクの鉄拳だ。
ギリギリのところで防御フィールドを展開したものの、そんなものにはお構いなし。
ギンガのそれよりも数段威力を高められたストレートは、防壁ごとノーヴェを吹っ飛ばす。
それでも即座に態勢を立て直し、ジェットエッジをフル加速。同じく向かってくるスバルと、真っ向から相対した。
「おおぉぉぉぉっ!」
「ああぁぁぁぁっ!」
共鳴する2つの怒号。
空中に跳躍した両者のハイキックが、轟音と火花をまき散らして激突する。
一瞬の拮抗。続く一瞬でローラーブレードが軋み、火を噴き、離れていく。
お互いにお互いを蹴撃で吹き飛ばし、吹き飛ばされた両者は、アスファルトの壁に猛烈な勢いで突っ込んだ。
巻き上がる粉塵の中、よろよろとノーヴェが立ち上がる。
「くそっ! アイツのIS、接触兵器か……!?」
吐き捨てる彼女の顔色に浮かんだ苦悶の色を、チンクは見逃さなかった。
先の衝突を見る限り、双方のキックは完全に互角。受けるダメージも平等なはずだった。
しかし、この結果はどうだ。
今彼方でこちらを睨むスバルには、未だ弾痕以外の新たな傷は存在しない。
一方で、ノーヴェは外傷こそないものの、その足取りは相当につらそうだ。
恐らく、タイプゼロ・セカンドには、何らかの方法で対象を内部から破壊する能力が備わっている。
となれば、ノーヴェをこれ以上戦わせるのは危険だ。そしてウェンディは、捕らえたギンガを運ばねばならない。
(残るとすれば、私か……)
逃げるにせよ、誰かがこの場に残って戦わなければならない。エリアルレイヴの速度では、マッハキャリバーには追い付かれる。
そして、それを為すのは、誰かに言われるまでもなく自分の役目だ。
大切な妹達を傷つけさせはしない。戦闘の結果というどうしようもないことで相手を恨むくらいなら、こっちから迎え撃ってやる。
懐のスティンガーへと手を伸ばし、指に挟んだ、その瞬間。

――爆音を立てて、天井が崩壊した。

「!?」
「な……何スか今度はぁ!?」
みしみしと盛大な音と共に亀裂が走り、猛烈な勢いでアスファルトの粉が降り注ぐ。
このままではまずい。両陣営の意識は光の速さでシンクロし、落下予定地から全速力で後ずさった。
遂に天井は崩れ、瓦礫は落ち、粉塵が視界を完全に遮断する。
うっかり塵を吸ってしまった妹達がせき込む中、チンクの隻眼は、その中に確かに来訪者を捉えていた。
晴れてきた煙の中に立つのは――衝撃で膝をついた烈火の将と、あの銀髪を揺らす妖怪の姿。

499 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/05/02(金) 23:25:14 ID:1xI9cUGw
薄明かりすらない暗がりの中、殺生丸はその鋭い視線をもって周囲を見回す。
確認できたのは、3人の戦闘機人と六課の若き魔導師の姿。どうやら今の今まで、この場で戦闘が行われていたらしい。
よくよく考えてもみれば、彼が爆砕牙を手にしたのは、元の世界から飛ばされるほんの数日前のことなのだ。
当然、室内で振ったことなどありはしない。床を斬った時に何が起こるかなど、分かるはずもなかった。
それはそれで過ぎたこととして、殺生丸は目の前の敵――スバルの姿を見定める。
湧き上がる強大なエネルギーは、この前あっさりとあしらった時とはまるで別物だ。
かつて弟の犬夜叉に起こった現象と同様に、魔力の暴走が起こっているのだろう。理性を捨てた獰猛な視線も、全く同質だった。
「下がれ」
背後のチンク達へと素っ気なく言葉を投げかける。
「なっ……」
「足手まといだ」
ノーヴェが反論するよりも早く、続く言葉をぴしゃりと発した。
戦闘機人の戦闘能力は、先ほどのフォワード陣との戦闘で大体把握した。
そして相手方には、怒りに燃えるスバルだけではなく、シグナムもいる。この状況では、3人は邪魔以外の何物でもなかった。
「……分かった。頼むぞ」
「チンク姉!」
「ノーヴェ……我々はドクターのためにも、ファーストを届けなければならん」
反論しようとするノーヴェをチンクが諌めた。彼女に止められると、さしもの聞かん坊も弱い。
結局この場は了承し、用意したケースの中へとギンガを詰め、殺生丸に後を任せて退散することとなった。
(あれは……!)
そして、それを見逃すシグナムではなかった。
ナンバーズの手によってせっせと箱詰めされているのは、見るも無残なギンガの姿。
冗談ではない。このまま連れ去られてしまっては、何のために殺生丸を引き受けたのか分からないではないか。
必ず引きずり出す、と大口を叩いたところで、その約束の相手がいなくなってはどうしようもないではないか。
ぎり、と。微かな歯ぎしりの音を立てた。
(シグナム副隊長!)
それに合わせるかのように、なのはの念話が頭の中に飛び込んでくる。
(高町隊長か!)
恐らく今の崩落の音を聞きつけて魔力サーチを行い、反応からシグナムの存在を特定したのだろう。
(状況は?)
(殺生丸がいる。それと、ギンガが捕獲された。戦闘機人3人が連れて撤退するところだ)
(分かりました。隊長は戦闘機人の追撃を! 殺生丸さんは私達で対処します!)
(了解。スバル1人では心配だ……できるだけ早く合流してくれよ!)
それを最後に、シグナムは念話を打ち切った。
そしてレヴァンティンを構え直すと、今まさに離脱を始めた戦闘機人を睨みつける。
ギンガのケースを運んでいるのは、ウェンディの乗るライディングボードだ。自分の速度に飛竜一閃の射程を合わせれば、追撃可能。
「殺生丸……この勝負、預けるぞ!」
多くは語らなかった。
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、典型的な捨て台詞のような言葉を残すと、シグナムは飛行魔法で飛び去っていく。
ほとんど敵前逃亡のようになってしまったこの格好は、ベルカ騎士にとっては屈辱の極みだ。
しかし、今は個人のわがままを押し通している場合ではない。誇り以上に、目先の仲間を守ることが優先だった。
それこそ、大切な仲間を救えずして、何が守護騎士ヴォルケンリッターか。
断腸の思いを抱きつつも、シグナムは逃亡者に向かってその身を加速させた。
(だが覚えていろ、殺生丸)
そして、横目で後方を振り返る。
(次に会う時があれば……その時こそが、この戦いの続きの時だ)

500 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 23:25:45 ID:ii9uz9zC
空気読まずに乱入支援

501 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/05/02(金) 23:26:24 ID:1xI9cUGw
「フン……」
そして、取り残される形となった殺生丸は、いつも通りの無表情で鼻を鳴らす。
結局逃げるような形で立ち去ったシグナムに対し、ほんの僅かな失望を抱きつつも、その目はスバルを捉えていた。
大粒の涙を拭おうともせずに、スバルは殺生丸にも苛烈な殺気を振りまいている。
ギン姉は、この男のことを命の恩人だと言っていた。
しかし、今この男はこうして、ギン姉を助けようとする自分の前に立ちふさがっている。
本当に命を助けたのだというのなら、そんな風に見過ごすなんてことは考えられない。
――認めない。
自分はこの男を認めない。
お前がギン姉の恩人だなんて、認めてたまるか!
「どぉけえええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーっ!」
灼熱の怒りを怒号へと変え、冷徹な憎悪を速力へと変え、遂にスバルが殺生丸へと襲い掛かった。
過剰なエネルギーを押し込まれ、大破寸前となった漆黒のリボルバーナックルが、悲鳴にも等しき駆動音を上げて肉迫する。
襲来する必殺の鉄拳を、爆砕牙の刀身を盾にして防御。
凄まじい圧力が、刃越しに殺生丸目がけて襲い掛かった。
パンチ力もさることながら、魔力と戦闘機人の動力のハイブリッドによって得られた、絶大なブースト力。
加えて、爆砕牙を震わせる極めて不自然な――振動。
(それがコイツのISとやらか)
一瞬にして理解した。
スバルの拳は、何らかの機能によって人為的に振動させられている。理論は知らないが、それが破壊力を更に高めるのだろう。
凄絶な怒気を振りまきながら、なおも彼女は猛攻を続ける。
確かに、今まで戦った新人達とはまるで別次元の破壊力だ。それこそあのシグナムやヴィータの域にさえ到達している。
しかし、その攻撃は粗い。
ただがむしゃらに力を絞り出し、その力に振り回され、狂ったように正面からの攻撃を重ねるだけ。
力だけの突撃馬鹿など、御することは造作もないこと。
その猛攻を受け続けていた爆砕牙の刃を逸らし、一瞬相手の攻撃を受け流す。
そして態勢が崩れたスバルの腹部へと、思いっきり拳骨を叩きこんだ。
「ぐぅぅっ!」
先ほどノーヴェがギンガを襲った時の焼き回しのように、小柄な身体が宙を舞う。
しかしスバルは、その上半身を強引に持ち上げると、そのまま空中でリボルバーシュートを発射した。
狙いも付けずがむしゃらに解き放った、空色の魔力で固められた弾丸。
高速で飛来するそれを、しかし殺生丸は難なくかわし、お返しと言わんばかりに左の爪から光の鞭を伸ばした。
緑色の閃光が、さながらペットに首輪をかけるように、スバルの首へと絡みつく。
そのまま殺生丸は、彼女の身体をアスファルトの床へと叩きつけた。
「がぁ……ッ!」
悲痛な声。思いっきり床に突っ込んだ額が裂け、出血し、はちまきもまた頭から落ちる。
更に光の鞭が手繰り寄せられ、そのままスバルは地面を引きずるようにして、殺生丸の元へと戻って来た。
既に彼の手に爆砕牙はない。腰の鞘へと預けられている。この程度の相手には、使うまでもない物だった。
故に、ガラ空きになった右腕が、引き寄せたスバルの首をひっつかむ。
妖気の鞭を消すと、そのまま首を高く持ち上げる。凄まじい握力が込められ、スバルの首がぎりぎりと絞められた。
「く……ぅ……っ!」
拘束から逃れようと、両手で腕を掴んで必死にもがくが、殺生丸は微動だにしない。
全ての抵抗は意味をなさず、スバルの金色の瞳だけが忌々しげに相手を睨みつけていた。
その様子を見ていた殺生丸の爪に、緑色の光が灯る。
スバルの鼻を突く、毒々しいまでの臭気。肌がちりちりと痛むような感触。
スカリエッティからは捕えろと言われていたが、殺生丸にはそんな気など毛頭なかった。
何故そこまで奴に便宜を図らなければならない。そこまで気を利かせるほど、自分は従順ではない。
可能ならば捕まえてくれ、というくらいのあいまいな要求でいいのなら。
――いっそ殺して、「駄目だった」とでも適当に言い訳してごまかしてやれ。
「!!!」
ぶすり、と。
五指に連なる毒華爪が、スバルの首筋に深々と突き立てられた。

502 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/05/02(金) 23:27:34 ID:1xI9cUGw
戦闘機人の身体を駆け巡る、おぞましき猛毒。
グラーフアイゼンの表面さえも易々と溶かしてみせた妖魔の所業が、スバルの全身を侵食する。
「う、がっ……あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
激痛。
身体が壊れる。
肉が削げ、血が沸騰し、フレームが腐食する。
「ひぎいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃ! うぁ……ああああああああああああああああああああ―――――っ!!」
声帯が潰れてしまったかのような、声にならない大絶叫。
鼓膜をつんざく悲鳴と共に、白目が剥かれ、身体はじたばたとのたうった。
口からは涎をまき散らし、やがて呼吸さえもままならなくなり、ぶくぶくと泡を吹き始める。
なのはから食らった魔力ダメージとも違う。それこそこの男の拳ともまた違う。
明確に自分を死へと叩き落とす必殺の毒が、猛スピードで身体中を凌辱して回るのを感じた。
そして、遂にその痛覚さえも完全に麻痺した瞬間、力なくスバルの身体は落下した。
殺生丸がその手を離した結果、支えを失った彼女は重力に屈し、そのまま床に倒れ伏したのだ。
(……今のでも死なんとはな)
惨劇の結果を、しかし殺生丸は意外そうな様子で受け止める。
彼の毒華爪を食らった場合、人の形をしたものは、毒に強い妖怪という例外を除いてはことごとく瞬時に昇華していた
しかし、未だスバルの身体は生命活動を止めず、意識さえないものの、びくんびくんと細かな痙攣を続けている。
戦闘機人の優れた脳回路が、身体強化魔法・ナックルダスターを応用し、侵入した毒素へのカウンターとして抵抗したのだ。
そしてもちろん、そんなことは殺生丸に分かるはずもない。
故に、ただ単に、この結果を優れた抵抗力とだけ認識することにした。
「面倒な奴だ」
呟きながら、鞘の爆砕牙へと手をかける。
今度こそ、この少女に確実な死を与えるために。
その磨き上げられた鏡のごとき刀身が、再び外気にさらされようとした瞬間――
「――止まりなさい」
女性の声が、その行動を遮った。
爆砕牙を引き抜く手を素直に止め、来訪者の方へと視線を飛ばす。
エース・オブ・エースの白きドレスのごときバリアジャケットが、金と桃色のインテリジェントデバイスを構えていた。
高町なのはは鋭い視線と共に、レイジングハートの矛先を殺生丸に向けている。
ロングスカートの防護服は、魔力限定を解除したエクシードモード。全力全開で戦うための、本気の鎧だ。
「それ以上、私の教え子を傷つけることは許しません」
隣に立ったティアナが、ぎょっとしたような表情でなのはを見やる。
世間一般において、なのはは心優しい人物として知られていた。
自己犠牲にさえ取れるほど、周囲の人々の平和のために日夜戦い続けている、善意の塊のような人間だと。
誰かに対して怒りを向ける時も、相手の更生を第一に思ってのことだった。
「もしまだやるのならば、私は私を抑えられないかもしれない……」
それが今はどうだ。
そんな優しさなどどこかに放り捨ててしまったかのように、凄絶な怒気をその瞳に宿している。
相手への思いやりなど忘却の彼方へと飛んでしまったかのように、冷たい言葉を紡いでいる。
ここまで明確な命令口調になることなど、今までにありはしなかった。
「……殺してしまうかもしれません」
やりかねなかった。今のなのはならば、デバイスを殺傷設定に切り替えて、そのまま殺意に身を任せてもおかしくなかった。
彼女は今、これ以上ないほどに怒っているのだ。
大事な教え子をほとんど死にかけの状態まで追い込んだこの男に対し。自分の意識全てを怒りに支配される寸前まで。
そして殺生丸は、そんななのはの姿を極めて冷ややかに見つめていた。
この女から滲み出る絶大なまでの魔力は、自分の妖気と互角か、あるいは僅かに凌いでいる可能性も考えられる。
加えて、シグナム並の技量を有している可能性を考えれば、まず間違いなく全力で相対しなければならない相手となる。
冗談ではない。これ以上の面倒を1日のうちに味わってたまるか。
「……フン」
鼻を鳴らし、素直に踵を返す。殺生丸も、今日はこれで退散だ。
刃のような鋭い空気が立ち消えた後には、涙ながらに親友の元へ駆け寄るティアナの絶叫だけが響いていた。

503 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/05/02(金) 23:28:43 ID:1xI9cUGw
投下終了。
……ゴメン、ちょっとエグいことになっちゃったorz
嗚呼、なんか自分誰かしらキャラをいじめなきゃ気がすまんのかもしれない……

タイトルの割に、あまり爆砕牙の出番がなかったのが残念無念。

504 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 23:29:31 ID:ii9uz9zC
なのは冥王化コワス支援

505 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 23:34:26 ID:ii9uz9zC
>>503
シグナム不完全燃焼で撤退、中島姉妹共に重傷。
そしてラストでなのはが魔王、いや、大魔王化!?
次回が無茶苦茶待ち遠し怖いyoガクガクブルブル
結論から言おう。GJです!!


506 :リリカル殺生丸 ◆9L.gxDzakI :2008/05/02(金) 23:35:47 ID:1xI9cUGw
ぐへぇorz
容量大杉でWikiにまとめられなかった……この場合、どうすりゃいいんでしょう……

507 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/02(金) 23:45:50 ID:thrMpGrj
前篇、後編に分割なされては?

508 :反目のスバル ◆9L.gxDzakI :2008/05/02(金) 23:48:25 ID:OrvZvt7d
>>507
了解。既にPCの電源は落としてしまったので、明日やっておきます

509 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 00:27:54 ID:7wneNhaM
GJ!!です。
殺生丸は幼女以外には冷たいなぁw
リリカルキャラに毒物ぶち込んだのはあなたが初めてですwww

510 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 00:35:06 ID:6u+NcvAg
村枝先生の画風で絶叫するスバルが脳裏に浮かんだ

511 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 00:37:22 ID:Y+3Mt1v4
GJ
チンク姉が某吸血鬼の旦那化してるwww
かっこよすぎだろjk

512 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 00:38:14 ID:dbqKbHkS
たとえ、なのはが全力を出したとしても殺生丸
には絶対に勝てない

513 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 00:44:01 ID:PB/05ss2
>>512
ただ、殺生丸も風の傷でズタボロになったりしてるから、SLBとか直撃すると結構ヤバいかもしれんぞ。

……あ、スピードでよけるからいいのか

514 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 00:46:20 ID:O3Sg96mD
ブチ切れると本性だすしなぁ
トリプルブレイカー後に転送→アルカンシェルのコンボを決めないとキツイんじゃね?w

515 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 00:46:55 ID:7wneNhaM
私は殺生丸派だけど、絶対とは言い切れないだろうと思う。
というか、作者さんのさじ加減ですね。

516 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 00:50:27 ID:ceAv1qmy
零距離ならともかく、“遠距離砲撃”に当たる殺生丸が想像できない……

517 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 00:54:43 ID:C5yQMy93
守備範囲から外れたギン姉には冷たいなあw
…チンク姉ははたして彼の守備範囲に入るのだろうか?

518 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 00:57:52 ID:7wneNhaM
ギリセーフゾーンかも。一応、今回の話で撤退を勧めてたし。
少し、ツンデレ風味だったけどねw
これ以上はウロス向きだな。

519 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 01:08:48 ID:j11o3tGs
>>516
つまり、なのはが突貫するのか

520 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 01:28:58 ID:xgx8UgvO
なのは「エクシードモードには、こういう使い方もあるのよ!」

こうですかわかr(ry

521 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 01:30:56 ID:veanEJny
>>516
(0M0)ジー……(ゼロ距離射撃…)

522 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 01:36:12 ID:aMv1BaCl
>520
A.C.Sとかそのままだなぁ
あれって防壁で止まってたから良いけど、それも突撃で抜いてたら
相手の体内に直接…

523 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 01:37:27 ID:CmaPR+FQ
「な、なのはの熱いのが体の中に流れ込んでくるぅ…」

こうですか、よくわかりません

524 :テルミドール ◆Q8cqSo5Bg2 :2008/05/03(土) 01:46:49 ID:f5wbnaSI
マクシミリアン・テルミドールだ。

今現在、誰も予約を入れていないようなので、ここでひとつ投下させてもらおうと考えているが構わないだろうか?
なにか
問題ないようであれば順次、投下させて頂く。

ちなみに私はロマンチストで複雑で分裂した男であるため、なにか大きなミスを犯した場合、水没してしまうかもしれん。
だが、存外深く潜れるつもりなのでどうか見守っていただきたい。

525 :テルミドール ◆Q8cqSo5Bg2 :2008/05/03(土) 01:59:01 ID:f5wbnaSI
投下を開始する。

For the Answer (×アーマードコアFA)
plan1-1

「…カラードのリンクス。マクシミリアン・テルミドールだ。
 君がこれを聞いているのであれば、私は既に死亡している。おそらくは、アルテリア・クラニアムに倒れたのだろう
 メルツェルも、ビックボックスから生きては戻れまい。…ORCAは、君ひとりになったということだ。
 頼む、私に代わり、クラニアムを制圧してくれ。
 クラニアムが停止すれば、クレイドルは最後の支えを失い、すべての人は大地に還る。
 衛星軌道掃射砲は、クレイドルを支えたエネルギーを得てアサルト・セルを清算し、宇宙への道を切り拓くだろう。
 ……全てを君に託す……
 人類と、共に戦ったORCAの戦士達の為に……」

これは、万が一の時の為に、彼宛てに用意したビデオレターだ。無論、これを送ることになるつもりは毛頭なかった。
だが、現実はそうではなかった。私は敗れた。私の乗機「アンサング」の機能停止と同時に彼に送信されただろう。
…おかしい。そうであるならばなぜ私に意識があるのか?私は死ぬことになるはずだが…。

「あ、目ぇ覚ましたん?」

そこで、私の意識は覚醒した。

「…ここは…君は何者だ?」

私はつい思ったことをそのまま口にしてしまった。口にしてから改めてあたりを見回してみる。…医務室…か?
どうやら私はベッドに横たわっていたようだ。あたりは小奇麗に掃除されていて大型の機材も確認できる。
眼前には、幾人かの姿がある。

「ここは時空管理局古代遺失物管理部、通称機動六課の医務室や。んで、うちはそこの隊長・八神ハヤテや。よろしくな?」

「時空…管理局…機動六課…」

目の前の少女が何を言っているのか、皆目理解することはできなかった。だが、今こうして生きている以上、取り乱すわけにはいかない。
ORCAの旅団長として、相応の態度で臨まなくては…

「すまないが、君が何を言っているのか私には理解できない。詳しく話を聞かせてはもらえないだろうか?」

「まぁ、そうやろうなー。見たところあなたはこの世界の人やないみたいやしね。さて、まずはどこから話したらええものやろなぁ…」

…あいた口が塞がらないとはまさにこのことか。時空世界、管理局、魔法、デバイス、etc…ここは、私が闘ってきた世界とは全く異にする別世界だというのだ。
そして更に私を驚嘆させたのは、目の前の3人の少女の出身世界だった。
第97管理外世界・地球。だが、しかし、それは私の知る地球とは似ても似つかない、決して平穏とは言えないまでも。安定と繁栄を享受する姿。

「あの、よかったら貴方の住んでいた世界の呼称を教えていただけませんが?そこから貴方が元々いた世界が特定できるかもしれませんし…」

いままでハヤテという少女の後ろに控えていた長い金髪の少女が訪ねてきた。ハヤテの紹介によると彼女はフェイトという名前のようだ。
私は、素直に答えるべきか、幾分か悩んだが、ここでそれを伏せることに意味はあるまいと考え、答えることにした。

「私の出身世界は…「地球」、そうよばれている世界だ」

私の知る地球の姿を話したときの彼女らの表情は。なんとも形容しがたい、不安・恐怖・怒りといったものが混ざったとでも言うべきものであった・
コジマ技術・ネクスト・国家解体戦争・リンクス戦争・アームズフォート・コジマ汚染…
まぁ、当然か。誰しも自分の住んでいる世界が人の住めない世界に変わろうと・壊死へとむかおうとしている姿を想像すれば、程度の差はあれ何かしらの想いを
もつものだろう。尤も、彼女たちの地球とは、おそらくは別物なのであろうが。

その後、殺風景な医務室でいつまでも話をするのもどうかということで、場所を移して続きを話す運びとなった。どうやら隊長・八神ハヤテの執務室のようだ。
どうやら私は時空漂流者という扱いになり、しばらくはここで保護下に置かれる段取りのようだった。現状では私の住んでいた地球を特定することは極めて困難、
ということだ。…元の世界に送り返されたところで、困るのだがな…


526 :テルミドール ◆Q8cqSo5Bg2 :2008/05/03(土) 02:02:54 ID:f5wbnaSI
For the Answer plan1-2

執務室では初めに、追加で幾人かの人物を紹介された。副隊長・シグナム、フォワード・スバル・ナカジマ、メカニック・シャリオ・フィニーノ…面倒なので、以下は省略させてもらおう。
「実はですね。あなたに見て頂きたいものがあるんです」

シャーリーと呼ばれるメカニックの女性が私の前に差し出したものは、ピラピッドのミニチュアを半分削り取ってその空間に無数の支柱を突き刺したような形状のオブジェ。
回りくどい言い方はよそう。一言で言ってしまえば、私の古巣・レイレナード社の本社施設をそのまま縮小したものだった。
どうやらこれが私がこの世界に出現したときに所持していたデバイスらしい。私はデバイスなど所持した覚えはないと言ったが兎にも角にも見てくれとのことだった。

「これが管理AIを搭載したデバイスであることは分かっているんです。ですが問題は中身でして…
 デバイスの詳細なデータを確認しようと解析してみたのですが、
 このAIがとんでもなく強力なプロテクトをかけていて、全く手が出せない状態なんです。」

「そんなものを私に見せられたところでどうしろと「当然だ。かつてレイレナード本社の全システムを統括していた私の能力をなめてもらっては困るな」」

「え?…いま、初めて喋りましたよね?私たちがあんなに呼びかけても一切応答しなかったのに…」

「まぁ、最初の挨拶くらいはこれの持ち主の立ち会いのもとでしたいものだからな」

彼女たちは面食らったかのように驚いていたが、本当に驚いたのはむしろ私のほうだった。
なぜこいつがこんなオブジェの中にいるのか?こいつはビッグボックスへ単身赴いて破壊されたはずの…

「なぜ、おまえがそんなものに納まっているんだ、メルツェル?」

「やぁ、またおまえの下に戻ることができてうれしいよ、テルミドール」

plan1 終

527 :テルミドール ◆Q8cqSo5Bg2 :2008/05/03(土) 02:04:17 ID:f5wbnaSI
以上だ。

できる限り推敲をしたつもりですが、不備があったら申し訳ありませんorz

528 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 02:07:29 ID:EuwXSwVj

えっと、AC知らないから聞くが>>524はこういうキャラなのか?

529 :テルミドール ◆Q8cqSo5Bg2 :2008/05/03(土) 02:12:50 ID:f5wbnaSI
出来る限り原作から彼の性格を読み取り再現する努力をしています。
それなりにはテルミドールっぽくなっているはず・・・たぶん・・・

なお、本作では独自設定として、メルツェルは元から人では無く、AIであったということにしています。

独自設定その2として別人格であるオッツダルヴァをどうストーリーに絡ませるかを思案中です。

530 :sage:2008/05/03(土) 02:13:26 ID:upTlX9eM
まだ、なんとも判断できないけど
作者のキャラが中二病w

531 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 02:17:01 ID:EBNzTi9s
水没王子だからしかたないw

532 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 02:17:56 ID:upTlX9eM
>>530
sageを名前の所に入れてたorz


533 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 02:22:13 ID:/LIbKrmv
>529
ネタと作者の人格は分けた方がいいと思いますよ。
素で痛い人だと思われるかもしれないから。

534 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 09:02:42 ID:PqZnsutQ
>>503
反目氏GJ!
殺傷設定にし、今までこんなに怒るなのはがあったでしょうか。
続きが楽しみです。彼女の活躍を期待しています。


535 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 09:07:59 ID:rRIkTPUZ
>リリカル殺生丸
さすが僕らの殺生丸! 発育のいいスバルには情け容赦なし! そこに痺れる憧れるゥ!
嘘ですがね。
いや、もう毒華爪くらうシーンの描写が生々しすぎて目を覆いたくなりましたよ。でも、何故かちょっとだけ興奮しましたよ(ぉ
少女が痛めつけられるシーンは何故かエロイですね。まあ、これで相手がブサイクだったら逆に殺意沸くんですけどw
殺生丸が危険な美形のせいか、何か危ない魅力を感じます。
しかし、客観的に見ればギン姉攫って、これは原作どおりとしてもスバルまで打ちのめして、これはもうまさに外道!
妖怪の名に恥じないヒールぶりでした。
味方とのなれあいもありながら、この辺の悪っぷりを忘れないメリハリの良さが殺生丸のキャラを損ねず魅力的にしていると思います。いいぞ、胃が痛くなるけどもっとやれw
ギンガが敵の手に渡ってしまいましたが、逆に言えばこれは殺生丸に接触するチャンス。これからどう展開していくのか楽しみです。

536 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 09:37:48 ID:+nAnUN+O
投下乙!自分の言いたいことは他の方々が述べてくださったので一つだけ。
チンク姉、どこの不死王の言葉ですかそれwww

537 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 11:19:05 ID:BKRA0TUf
反目氏GJ!
殺生丸相変わらず容赦ねぇww

ところでまとめWikiの作品のまとめってどうすりゃいいんでしょう。やり方がよく分かりません。

538 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 13:33:11 ID:wZS+JVSI
>>525>>526
ちなみに八神はやてのはやてはカタカナじゃなくてひらがなだよな。

539 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 13:38:04 ID:oGiKpRO3
新スレ建て完了
さあ埋めろ

http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1209789426/

540 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 14:01:31 ID:/LIbKrmv
梅で埋め

541 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 14:03:42 ID:yiYc5kxY
埋め尽くしてくれる
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542 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 14:05:49 ID:/LIbKrmv
これぐらいやれw

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543 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 14:07:30 ID:/LIbKrmv
これで容量どれぐらいかな

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544 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 14:08:55 ID:/LIbKrmv
3kしか増えないorz

文字じゃダメか…

545 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 14:38:14 ID:NDlujCrP
じゃあ、シューティング・アーツとCQC、魔力なしでどっちが強いか議論だな。

546 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 14:54:35 ID:686wz6z2
まだ10KB以上残ってるから、
だれか軽い短編とかでも投下してくれれば・・・

547 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 15:05:03 ID:NQgJLx5y
>>545
シューティング・アーツって魔力の使用前提だろ?
どっちみち無駄の多いシューティング・アーツじゃCQCには敵わないと思うが

548 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 15:10:04 ID:5rOAQq9L
塩田先生には誰も勝てません

549 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 15:10:54 ID:CmaPR+FQ
【えじぷと】
           /\
         /┴┬\
,,,,,,.......,,,,....,,,,,,,/┴┬┴┬\ ../\....▲...,,,,,,,,,,,,,,,,,,
   ___  ::::::;;;: :: ::::::. :::::;;;;;;;; ::::::::::;;;;;;;;;; :::;;; :::
  /i_¶____il\__:::: :; ;:::: :; ;:::: :; ;:::: :; ;:::: :; ;;;; :::;;;
  //Φ Φi_|   ヽ:::: :; ;::::;;;;:::::: :::: :::::;;;;;;:::: ::::;
 /人 三 /,,_|.    :: :; 。::::;;;;;;;::::;;;;;:::::::: ::::::;;
  て,,,Шて,,_ノて_人:: :; ;::::;;;;;::::;;;;;;;;;:::;;;;::::;;;;;;::::
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:::::: :::::::;;;;;;;;;:::::::::,'`》⌒`彡 : :::: :::.: ::::::;;;::
:::::: ::::;;;:::: : ::::: :ノ,ィ∝ノノ))): ::::::;;;;;;:::::::::;;;;;;::::
:::: ::::::;;; :::: :::::;( ( ゞッ(l!ノ】 パシャッ!;;;;
:::: :::: ::::::;;:::;;;;;;ノ);;::〉 ヽア:: ::::::;;:::;;::;;;;;;;;::::
;;;;:::: :::: ::::::;;;;;;'´;;;::(_ノ^ヽ_):;;;;;;;;;::::;::;;;;;;::::
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550 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 15:11:16 ID:CmaPR+FQ
【ぱりさんさくちゅう】
  ゞ:;ヾソゞ____|       ヾヽ::ヾソ;;;:;ヾ ゞゞ:;::;;;;ゞゞ:;ゞ ;;;;;ヾヾヾゞ:;
 _;;;ヾゞ/    ;;;;;;;;| |[][]|  |[][ゞ:;ヾソ   ゞ:; :;ヾ ゞゞ:; ゞゞ:; ::: ;;;;;
 | ヾ;ヾ/       ;| |[][]|  |[][]|ゞ:;ヾ  ゞゞ:;ヾ ソゞ   :::ゞ:;ヾ ゞ
 |__:::ヾ;''=====|______ヾゞ:;ヾ :::ソゞ :ゞゞ:;;:;ヾ ゞ ゞ:;ヾ ゞゞ:;
エエエエヾゞ;. _,__.___.| |\  _ _ _  ゞヾヽ :;ヾ ゞゞ: ;:::ゞ:;ヾ ゞ ゞ:;
   ); ,(;;| |≡|  |≡| |iiiii| ̄|iiiii||iiiii|iiiii| |ヾ;;; ;;ゞゞ:;ヾソ  ゞゞ :;ヾ ソ/ゞゞ:;
  __ヾ| |≡|,,_.._|≡| |iiiii|  |iiiii||iiiii|iiiii| ||≡|  |≡||:;ヾ ゞゞ:;  |li/ ゞゞ:;
 |≡≡|;;;| |≡|γ,,|≡| |iiiii|  |iiiii||iiiii|iiiii| ||≡|  |≡|| ゞゞ:;ヾソ:;ヾ ゞゞ:;ゞゞ:;
 |≡≡|;;;ll,|≡|iニi;;|≡| |iiiii|_|iiiii||iiiii|iiiii| ||≡|  |≡||__|__ :;;;ゞゝ:::ヾヽ
iiiiIIIiiiiIIIiiiil ' ̄ ̄ ̄ ̄| |/   ̄  ̄  ̄ !|  ̄  ̄  ̄'||/;;;;;ヽ  ヾ;li/:::ゞ:;ヾ ゞ
_______.|       |________,|__, Cafe..__||_    \ 'li|ヾ:li|
____________|       | VINS desutoroi ,| = = = |\    / |li| li|
;naname | , ' ⌒ ヽ |  ̄ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ      |  \/   ヽli//
 ̄ |/\l| |   ::l | |   ~|"~"~"||~"~~''|"'|:|口口| | / ||     | ;il|
 ̄ | ̄ ̄l| |   ::l | | ) ヾ;;ソゞ || ヾ;ゞ;;ミ|:|口口| ||  ||;;\   | ;il|
// | // l| |   ,'`》'´⌒`彡;ヾ   ||  ヾノ;;; |:|口口| ||  || ; ';,\ | ;il|
// | // l| |;;:: ..ノ,ィ∝ノノ)))))../ / ||   liイ .|:|口口| ||  /; ';";; 'ヽ::;ilヽ
__|__l|_,,|/( ( ゝ(l!・ωノ|liil___||__liil_i!y||llllllll|_,,||/; ';";; ';";; ';)
;" ' ";" ' ";" ';" ノ);"(っ【◎】' ";"";" ;" ';"|ロl_|;" ' ";" ' ";" ';" ' ";, ,/
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=============================''"

551 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 15:11:38 ID:CmaPR+FQ
【かねはいつなるのだろう?】.                   i
                                       |
                                       ∧
                                      ノ..λ
                                      /…λ
                                         ====、、
                                      |.|IIII|.|l
                                      /∴∴ヾ、
                                         l,i,i,i,i,i,i,i,i,i,iili;,
                                    _|I I I I I I_|;}、
                                            | |γ⌒ヽ| |ll|
                                            | |,.!、,__,ノ.| |ll|
                                            i''i;;:::;;:::;;:::;i'il|'
                                    =========、
                                        | |'i'i'i'i'i'i'i'| |ll|
           i     i       i      i           | |;|,|,|,|,|,|,| |ll|
          ムi   ムi      ムi    ムi        iBBBBill|
          I.Iム,__,I.Iム     I.Iム,__.I.I ム          | |'i'i'i'i'i'i'i'| |ll|
          |l,|I/ i^i |l,|I|     |l,|I/ i^i |l,|I;|         | |;|,|,|,|,|,|,| |ll|
          |_,!__i山i.!_|l.| _ _ _|_,!__i山i.!_|l;|    ム    iBBBBill|
i   .i    i   | i"゙∩゙" i |/;;||;;||;;;| i"゙∩゙"i |ll|.l l.i;;:_l_l_!______| |'i'i'i'i'i'i'i'| |ll|
|ー―||ー―||ー―|| i__:;l」;:_,!.|凸凸凸| i__;l」;:_,! |;;,|)))))|;||;;;;;;;;;;;;| |;|,|,|,|,|,|,| |ll|
|=ヘ=||=ヘ=||=ヘ=|IB:冊:_B|BBBIB:冊:_B|-]]]]]];||=∧=.ロVVVロ|i
| ∩ || ∩ || ∩ ||  iVi : | iii iii iii..|  iVi : | .|:|:|:|:|;||'~|;;| | | | | | :| |ll|
|,.l」,,;||,.l」,,;||,.l」,,;||_|V|__:_| lll lll lll..|_|V|__:_| .|:|:|:|:|;||l_.l」;__|_| | | |_;| |ll|
I.[iii].,II.[iii],II[iii]_IB._冊_.B|BBB.IB:冊:_BIIIllliiiiiii||iニニ[.二二二二]:|;./
| U || ∩ || U ||  iVi : | iii iii iii..|  iVi : | |:|:l:l:i_.!_iii_ .| | | | | :|(|/
|_U_||_U_||_U_||_|V|__:_| lll lll lll..|_|V|__:_|_|,|,l,l,i_,l|   l ̄i__| | |.ミ⌒《ヽ
|_門_l|_門_l|_門_l|__!_而___!_|ΠΠΠ|__!_而___!_|__,;:--ー--------- /(((ハc八
 ̄ ̄ ̄i,i ̄ ̄ ̄ ̄;;; ̄ ̄ ̄:; ̄ ̄ ̄:; ̄ ̄:´|;;'i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;//(l!)ソ ) )
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  ゙゙   ;:'  . ::     :  ..  ;::  ... . .'''     ,:':; .//i|/

552 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 15:12:04 ID:CmaPR+FQ
【なぜかちがさわぐ】
               __,,.. -‐¬ニ三 ̄l__
           _,,.-‐=ニ´‐¬⌒´ ̄l    |、ハ
      __,,.イ´-‐'i"´ ! __,,..!-‐_ニ"l´ ̄┘! }Λ
      }ニイ´! __, -rァi´   ! l__| |    | ヽΛ
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   /ヲ1 l´ |└' _,,.l-‐''T二斗ェェァ7圷己己己己刊
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   }j/イ下匕f弌「ハ. l⌒l.l l´ ゙!.! !  | |   | | |ハ
   j.イn'゙ハ、Π.| 「゙|::||  |.| |   |.| |____」 |__|_|_|ハ______ ┌r‐--=....,,,__
   〈1「!:|'|::| |::| L..!└┘_二_j_`二] !_二二j_二二エニニニニ辷^┴‐┐lコ : : : ̄`>、
    |j」l‐'_¨ 三ェ七托己下己!下己'斤己己下二工二二下r┐ーー‐|: : Π┬i: n: :_:|
   必斥f斤Π i'゙`l l⌒l f⌒l」 l⌒゙l」 l´:::`l l.「:::`l | 「:::::`l|Y/⌒! Y┘Lj└' '='」|
.  'l|「lΠ|::| |::| | :::| |:::::| | : :|.| | :::::|.l |::::::::| |」::::: | | |::::::: || Y::::::| Y} l^lΠn┐!|
   jj」,!L!'=' '-'└‐'_'ニ´_二´i_`二].j_¨二´_l,,¨二工¨二¨T二二刀ー亠‐┐|_||_!_!_||
  幺赱/(赱赱云冗己子己l子己冗己己刀二.工二二工二二Y〔ニニニ}.ニ ニ゙ニ`!
  ∧/  `丿).l´`Ll⌒l f⌒l.i l⌒゙i l l´:::`l l.f⌒゙l l l/⌒',.」_/⌒l_||Yl⌒l 〈!Π「!「!「|
  ) ,.)`、   \ノ!|:::::| | : :|.l | : ::| l |::::::::| |.|::::: | l |::::::: | | |::::: | || Y::: | |.|:j !j.lЦ!
 \( (    )  ~(.辷,j_辷_|」_!::::::| l |::::::::| |」::::: | l |::::::: | | |::::: | llーヘ二l一'¨¨ ̄
  )ヽ`》'´⌒`彡 ノ         ̄´ ̄ ̄ ̄` ̄ ̄ ̄`ー‐'‐'‐'ー‐''´ ̄´
. ミ  lミcメノ))))) フ
  ヘ ゞ(l!・ωノ|l=っ=っ
 \)  (っ =っ=っ //
 \\ (_/-u'シュバババ/


553 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 15:12:26 ID:CmaPR+FQ
【こすもをかんじる…】
                  _.,/|゙゙゙゙ミ工~~ ̄ ̄◎\
                ._ノ'″  |@|  ̄''ー-、,,_    \
              ,,ノ'″ _,,,r'''^''y、,,__     '''ー-、 \_
           _,ノ'″ _,,,ノ''|:::::|  |:::|  |-、、,,,__   `~~゙゙''''\_
         ._,ノ'″_,ノ''|;;;.|  |:::::|  |:::|  |:::::|  |::::| ̄|''ー--、,,|@}
       _ノ'″_,ノ'|;;;| .|;;;.|  |:::::|  |:::|  |:::::|  |::::|  |::::| |::::|゙゙゙||
    _,ノ'゙゙_,ノ'|;;;|  |;;;| .|;;;.|  |:::::|  |:::|  |:::::|  |::::|  |::::| |::::| ||
   ノ'゙ ノ''|;;;| |;;;|  |;;;| .|;;;.|  |:::::|  |::::| .|:::::|  |::::|  |::::| |::::| ||
   ||;;;;|  |;;;| |;;;|  |;;;| .|;;;.|  |:::::|  |::::| .|:::::|  |::::|  |::::| |::::| ||
   ||;;;;|  |;;;| |;;;|  |;;;|___、┴-冖'''^| ̄^冖┴-┴--、、、..|;;;;|,,_|;;;;| ||
   ||;;;;|__,,|;;;|、-ー─''~~       |              ___工ニ>      .. . .
 ー-干二,,,,___ ---------------.|--──)─'''''''~~~~ ̄ ̄    \__.:,:.:.、、; 、;:.@..:,:
         ゙゙゙̄^'─ー--、、__.    ,'`》'´⌒`彡     __,,,、--ー''゙゙゙ ̄.:,:.:.、、;:...:,:.:,:.ψ、、;:. ..:,:
                  ̄~ ノ,ィ∝ノノ)))))、-─''゙゙゙  .:,:.:.、、;:...:,:.:,:.:.、、@;:...:,:.:,:.:.、、 ;:...:,:
                   ( ( ゝ(l!・ωノ|l  ̄~~ー--、___.:,:.:.、、;: ..:,:.:γ:.、、;:...:,:.:,:.:.、、;:...:,:
  ̄~~ー--、__           ノ)◎(`O┬O         \.:,:.:.、、; :...:,: .:,:.:.、、;:...:...:,:
 、;: ...:,、;: ...:, ̄ ̄\ .     '´.   ヾ)◎) キコキコ        ̄ ̄\ .:,:.:.、、;:...:,:


554 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 15:12:47 ID:CmaPR+FQ
【ばんび〜のちょうじょう】
..... .  .  .  _ ,,ii、__                     r-ャ
__ ''''''---、,,, -''"::::::::::::::::::::::::::`''ー-、,ii;;;..        ト、 .   ィfTl''レ'イ`iiァァ-、
  '''''---、_''一-ャl  ::::::::::::::::::::::::`''ーir-r-tr-tr-tr| >-''"i||||||`ヽy-''-, -''"iiill`ヽ、
'''''一一-、,,,,|,_ └|||L__   ::::::::::::|;;;;;;;;;;;;;;;;;;  |ヘへ.:  , -''", -'7''": ̄ ::::::::: ヽ
  |    |    I ̄''''|||||||l   '''''ー iiiii一-t-v、 _,,,.t┴'''" , -'::::/::::::::;;;;:::::::::::::  イ
 ̄""""'''''''一一---,,||||||||',`''''''''一一||||`''ー|||ニii`='i,'-< ̄::::.:/|>;:;:;;;;;;;;;;;;;j|::: ノ|
___|____|__|_}|||||||l`''''''''一一 ||||`''‐-|||ニiiΞ|`'ー、 `'ー-=,,, |  :::::  ノ.|:: ゝ、,|
 |    |   I   }||||||||_`''''''''一一||||----|||ニiiシ|爾爾;`'':: 、, `'')一--く....!,,,_ :: |
--―,一一'''i'"" ̄ ̄||||||||----'''''''' ||||,,,.-―'= -'', l拜拜キ,'`》'´⌒`彡'::::::::::::::: `'一ト
  _|,,,,,,......!---t''''~||||||||_,,,.-―'''' ,,. - ''", -'' ,.‐'/圭圭ノ,ィ∝ノノ)))))エt::::::::::::::::::::
'' ̄   |    l_,,. t―''''"  ,,.-''"  , -''" ,.‐'' /圭圭( ( ゝ(l!・ωノ|l 圭圭井、::::::
   __,,,.-┬''''"  l ,,.- ''''"  , -''"  ,,.‐'  /圭圭圭ノ)=(っ【◎】圭圭圭圭圭弐
''''"l     .l ,,.- ''''" l  , -''"  ., -'''~  /王王王王'´王 し-J王王王王王王王
  l_,,,.-―''''"  l  , -''"  , -''"    /王王王王王王王王王王王王王王王王


555 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 15:13:07 ID:CmaPR+FQ
【はわいでえんじょい】
             )
        ,'`》'´⌒`彡
       ノ,ィ∝ノメ))))) /⌒ヽ
      ( ( ゝ(l!・ωノ|l/   |゚:: ゚;゚ ゚  ザッバアアアアアアア
     【◎】⊂     / ゚.;゚ /; :;;
     ヽ ノ  \  / 。゚ /.;.;:::
      ゝ'    ( //⌒ ̄⌒`´ ̄`〜ヽ'ー--、
           _/      ιυっ ̄~つyへつ
         /    フっιつ人´ / /つυ^っへ  っっ
       /   /つつ。o/ / / /  ^つっへυっつ
      _/     〉o°o。   。 / /  /°>つっっっつっっ
     /      \γ、。 o 。 /o。/ /つっっつっつ
__/           `⌒ヽっ/ 。/  / っつ) っつっつ
=/     っっ       τ-っつつっ、。|    つ  っつつつ


556 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/05/03(土) 15:13:28 ID:CmaPR+FQ
【おーろらたいきちゅう】
                -――――――-、
              /____|_____|_____|_____|___\
          -―――――-、____|_____|_____|____ヽ
        /____|_____|_____|______\____|_____|_____|____ヽ
       /____|_____|___|_____|_____|__ヽ___|_____|_____|_____|ヽ
      /____|_____|__/::::::::::ヽ_____|_____|__ヽ___|_____|_____|____|
      |__|_____|_____|:::::::::::::::|__|_____|_____┃____|_____|_____|__.|
      |_____|_____|__|:::::::::::::::|_____|_____|__┃__|_____|_____|____.|
      |__|_____|_____|:::::::::::::::|__|_____|_____┃____|____|_____|___.|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          ,..:-一;:、
.          ミ;;:;,. _,.;:゙彡
          l ノノ)))))
           ,r(l!・ωノ|l
           ツィ=ニ彡' ワクワク
          〜'lし-J



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