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あの作品のキャラがルイズに召喚されました part123

1 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 21:52:15 ID:ap1wiPQ3
もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part122
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1205939004/


まとめwiki
http://www35.atwiki.jp/anozero/
避難所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/9616/

--------------------------------------------------------------------------------

    __              ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃  `ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /   ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)〜′   ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
              ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!

--------------------------------------------------------------------------------

     _        ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
     〃  ^ヽ      ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
    J{  ハ从{_,      本スレへの投下で問題ないわ。
    ノルノー゚ノjし      ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
   /く{ {丈} }つ       本スレではなく避難所への投下をお願いね?
   l く/_jlム! |      ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   レ-ヘじフ〜l       ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
               ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。

--------------------------------------------------------------------------------

   ,ィ =个=、       ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’      ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
                姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
               SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
               レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。



2 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 21:53:09 ID:FR6NO5Du
>>1

3 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 21:53:58 ID:x8S/lQjU
>>1


4 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 21:54:40 ID:/Jgmn9vS
>>1


5 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 21:54:53 ID:ntJsokPa
199 :言い出しっぺ@wikiの人 ◆pLTNYd6DxQ:2008/02/16(土) 23:47:21 ID:eAH94w6k


「ゼロのgrandma」及び、「夜天の使い魔」を、削除した。

6 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 22:04:59 ID:s8Twqvp1
>>1


7 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 22:05:58 ID:aCSNNlt8
>>1


8 :1:2008/03/22(土) 22:16:45 ID:ap1wiPQ3
・・・あれ?
なんか今回はずいぶん静かなスレ立ちだなぁw

9 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 22:17:36 ID:DL/f9Wiw
>>5
何が言いたいのか判断に苦しむが。
なのは厨って転載先を荒らすほど悪質じゃないだろ。

10 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 22:18:37 ID:3QS8szip
事務報告じゃね

11 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 22:23:25 ID:/7Zc3m93
何で消したの?

12 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 22:29:25 ID:btMXp6ez
●     「こっ、こっ、こっ、こっ、こっ、この…バカ犬っ!!!」
┠〜〜〜┐ちゃんとここにいてぇ、わたしのちかくでぇ
┃  ●  ∫ ずっとわたしをい〜んつもい〜んつもみ〜んつめてなぁさぁ〜い
┠〜〜〜┘  よそみしてたでしょ、ほかのおんなのこぉ〜
┃         おしおきするのふぅ〜らりふぅ〜らりふぅ〜らちなやつうは
┃          (ん、ちゃちゃちゃちゃちゃちゃ)
┃           どんたーちきかないからねいーいーわ〜けは
┃            たちみーつ〜んかれたかぁ〜ら
┃             ね・え・かたをっかしてよっ
┃              す〜き〜よ〜ンなんてうそ〜よっ
┃               き〜ら〜い〜ンこれもうそだわん
┃                ないないないぃだめよかんちがいぃ〜〜〜〜〜っ
┃                 だからすぅきぃよっなんていわない
┃                  のんのんのんどっこかへいったら
┃                   ぜえったいにっゆるさないからねぇ〜〜〜〜ん  ・・・だぁって
┃                    ほんと〜はだれ〜よ〜りそンばンにンいンたあ〜いの
┃                     あ〜い〜の〜く〜さ〜り〜でっさんっぽっしましょ
敬礼 (`・ω・´)ゞ

 やはり国歌がないとな

13 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 22:30:36 ID:KOFRIj5Y
ルールじゃないけどマナー上しておく方が良い事・システム上の注意事項
投下時はタイトルをコテハンとする、トリップ推奨
予告でクロス元他必ず説明する(一発ネタ等でばらすと面白くないならその旨明示)
※過去「投下してもいい?・投下します」等の予告から
  最低の荒らし投稿を強行した馬鹿者が居たため同類認定されるリスク極大
実例を見た事が無いなら「Z武」で過去ログ検索するよろし

1時間に一定量超える投下は「さるさん」規制に遭うので注意
連投規制には有効な支援レスもこれには何の役にも立たない
文章量(kB)と分割予定数の事前申告をしておけば、規制に伴う代理投下をしてもらいやすい
投稿量カウントも規制も正時(00分)にリセットと言われている
他スレでの実験により規制ボーダーは8.5kBらしいという未確認情報あり

14 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 22:31:53 ID:KOFRIj5Y
↓以下、専用スレの一覧です。

【アニキャラ総合】
【ジョジョ】ゼロの奇妙な使い魔【召喚79人目】
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1204895725/l50

ソードワールドのキャラがルイズに召還されました
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1199900690/l50

ダイの大冒険のキャラがルイズに召喚されました
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1204128590/l50

ハガレンのエドがルイズに召喚されたようです
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1181052298/l50

型月のキャラがルイズに召喚されましたpart4
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1203159002/l50

【カオス】ゼロのルイズが以下略【召喚70002人目】 SEED
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1204218994/

【漫画サロン】
HELLSINGのキャラがルイズに召喚されました part5
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1204297718/l50

【旧シャア専用】
もしルイズが召喚したのがトレーズ様だったら
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/x3/1179833984/l50

【エヴァ】
もしルイズが召喚したのがシンジだったら 第弐話
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/eva/1190887727/l50


15 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 22:36:41 ID:tg7YEcBL
>>1

16 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 22:39:20 ID:GLRtzuC+
>>13
それ後半だけで良いから

17 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 22:49:48 ID:wGzIppc/
>>11作者が削除依頼したから

18 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 22:53:36 ID:tg7YEcBL
>>8
嵐の前の静けさってヤツじゃないか?
この『嵐』が良作の嵐か荒らしかの嵐は知らんが…

19 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 22:56:54 ID:Z/TCz/M5
んじゃ良作の流星群が来る事を祈りましょう。

20 :いぬかみっな使い魔:2008/03/22(土) 23:01:29 ID:KOFRIj5Y
すいません、進路クリアでしょうか?
もしほかに予約が無ければ第9話(実質8話)の
前半を投下したいと思うのですが。

21 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 23:05:38 ID:Q84sl4ti
当方に支援の用意あり。存分に投下せい!

22 :いぬかみっな使い魔:2008/03/22(土) 23:07:22 ID:KOFRIj5Y
ありがとうございます、では、投下させていただきます。

23 :いぬかみっな使い魔:2008/03/22(土) 23:08:46 ID:KOFRIj5Y
第9話です。実質8話な第9話の前半です。


「わかったんです…僕。あの神様達の言っていた意味」
 啓太に何度も助けられ、啓太を何度も助けた猫又の留吉は言った。
「どんな困難な試練でもきっと。全ての力を使えば。仲間がいれば。
そう。いつだって仲間がいればその仲間たちの持ってる全ての力が
すなわちその人の力なんだ。ならば、僕だって。
どんなに微力でもきっと啓太さんの力だから。だから僕が!」

 人は一人ではない。社会を作るからこそ文明を維持でき、
だからこそ人間である以上人間は絶対に一人では無い。
必ず仲間がいる。助けてくれる、頼りになる、頼もしい仲間がいる。
霊能力を持ち、人以外の存在とも交渉のある犬神使いは。啓太は。
人以外の者たちをも仲間と、友人としていた。

 だから。

「そうさ。俺たちが力をそろえれば」

 啓太は、はっきりと晴れやかな顔で神に向かって言った。
神に向かって、直接、言い放った。

「俺たちと犬神が、人間とそうじゃない者が、違う種族の者同士が、
同じ心を持って戦えば。きっと神様の試練にだって打ち勝てる!」

 神や亜神クラスの妖怪、その妖怪を圧倒することすら可能な大魔道師。
無数の妖怪。彼らと対等な付き合いをしてきた啓太は、
史上最大の試練を乗り越えた。啓太は神の摂理すらをも捻じ曲げさせたのだ。

 だから。

 啓太は、友情を、人付き合いを大事にするようになった。

24 :眠りの地龍:2008/03/22(土) 23:08:59 ID:+PPcUa4R
大変大変態変態支援。

ついで投下予約。

25 :いぬかみっな使い魔:2008/03/22(土) 23:13:25 ID:KOFRIj5Y
 ともはねと啓太は、ミス・ロングビルの指導の下、補習授業を受けていた。
その内容は本当に基本的なものから始まっている。
例えば初日の最初の授業はこんな感じだ。

「「あーべーせーてー」」
「マリエーヌはハチミツのビンを持ってくるとくまさんにあげました。」
 アルファベットの読み書き、発音、聞き取り。
そして簡単な文章の読み聞かせである。だが、それはわずか半日で終わった。
とにかく啓太達の学習速度が異常に早いのだ。
アルファベットや簡単な読み書きという、それだけで数週間はかかりそうな
内容をその日の午前中の内に覚えたのである。

「このときに左手で帽子を取ると同時にお辞儀をします。姿勢は…」
「100サントで1メイル、1000メイルで1リーグ」
「1エキューが100スゥ、1スゥが100ドニエ。1エキューは1万ドニエ。」
簡単な単語の勉強をかねた礼儀作法や常識、単位系や政治制度。
「大公、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵、準男爵、シュヴァリエ(騎士)。」
「トリスティン、トリスタニア、ガリア、リュティス、ゲルマニア、
ヴィンドボナ、アルビオン、ロンディニウムアウソーニャ半島、ロマリア」
次の日からは単語の勉強を兼ねた地名+名物+簡単な風俗。
その学習法は絵本や子供用の旅行記、昔話やこっけい話、
と平易な文章であれば何でもいいとばかりに多岐にわたって勉強した。

ルーンの習得も午後の授業で覚え、つたないながらもルーンを唱えた。
杖が無かったので発動はしなかったが、次の日には借りた杖で発動しかけた。
二人とも、である。

26 :いぬかみっな使い魔:2008/03/22(土) 23:14:24 ID:KOFRIj5Y
「まったく、とんでもない生徒ですわね。」
「本当に自分でも信じられない学習速度だ。です。たった2日で
あらかたの文章は読めるようになっている。います。
魔法的な支援があるということですかね。」
「お心当たりはありまして?」
「外国なのに最初から話すことに支障は無かった。まるで猛省蘭土だ、
とはすぐに思いました。あの時の感じによく似ているぜ。似ていると思います。」
「メンシェンラーツ? なんです、それ?」
啓太の説明に、ミス・ロングビルが聞き返す。
「一年ほど啓太様が修行に行っていた仙界ですよ〜〜〜」
「センカイ?」
ともはねが説明するが、ミス・ロングビルには意味が通じない。
「え〜〜と、ハルケギニアでは(1巻P123)“かつて神々を味方につけた
始祖ブリミル”を信仰しているんだよな? ですよね?
俺たちの国では直接神様を信仰しています。その神様達の一部が
地上近くに下りてくる異界がいくつもあって、それが仙界です。」
「か、神を直接!? しかも神の世界で修行!?」
「上級の神様達の世界じゃないですけどね。神様は神様ですから言葉の違う人と
話すくらいは造作ないんですよ。その時と感じが似ているなと。」
ロングビルが、啓太の強さに納得したと同時に心配そうな顔で忠告する。
「…あの、そういうことはあまり言わないほうがいいわよ?」
「へ?」
「始祖ブリミルと同じことをしていると言うなんて不遜だ、冒涜だ、
とみなされて、異端審問にかけられるかもしれないわ。」
「なるほど。しかし、神との交渉が異端審問で有罪にされるねえ。
それこそ始祖ブリミルの行いを非難するという異端行為で有罪になりそうな。」
「そういう言葉遊びの問題じゃないのよ。」
ロングビルの、諦観と気遣いの入り混じった言葉に、啓太も考える。
「ふむ。こっちでもキリスト教徒の異端審問はえげつなかったしな。
とにかく坊主どもが権力振りかざす口実に無茶苦茶していただけだが
逆らうとまずかったのは確か、か。おし、以後そっち系統のことは
触れないことにします。出来れば今日のあれこれも内密にしてくださると
ありがたいです、ミス・ロングビル。」
「ええ、私はあなた方のかわいそうな状況を理解しているから、
硬いことは言わないつもりよ。」
「ありがとうございます。」
啓太は、深々と頭を下げた。

27 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 23:14:40 ID:Q84sl4ti
支援

28 :いぬかみっな使い魔:2008/03/22(土) 23:15:45 ID:KOFRIj5Y
「話を戻すけど、この学習速度に心当たりは?」
「話し言葉を自動的に翻訳するような魔法的な補助が最初からあった。
それが読み書きの習得にも補助をしてくれているんだと思います。」
「なるほどね。確かに、使い魔にするとたまに動物が人の言葉を
話すようになるという例があるわ。使い魔となることによって他にも
特殊な力が目覚める事は時々あるし。その一つなのかしらね。」
「特殊能力が、ね。」

啓太は、両手とも手袋をしていた。指を覆う部分の無い、
薄手で伸縮性に富んだ布地で作られた手袋だ。
その左手、手袋に隠れたルーンの位置に目をやる。
決闘騒ぎの時に武器を握ったら異常なほど体が良く動いた。
異常なほどに。左手のルーンが熱くなることにも気づいたので、
その後いろいろと実験もしていた。包丁や物干し用の棒では反応しなかった。
木剣でも反応しなかった。しかし、衛兵に借りた槍や短剣では反応し、
啓太の速度や筋力が向上した。精密な動きも出来るようになった。
そして、左手のルーンが光り、そこに霊力が吸われるのを確認した。
そこで物干し用の棒を1本貰い受け、六角棒に削り込んでみた。
そうしたら、ルーンが反応した。使い手の腕によっては岩をも砕く六角棒。
どうやら、このルーンは“武器として作られたもの”に反応するらしい。
思うに、身体強化系の魔力回路を焼きこまれた、といったところだろう。
これもまた使い魔の特殊能力ということだろうか。
主を守る事が重要な役目だそうだから、それを強化しているのかもしれない。

29 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 23:20:35 ID:ap1wiPQ3
サルさんかな?支援

30 :いぬかみっな使い魔:2008/03/22(土) 23:22:13 ID:KOFRIj5Y
 だが、それだけでは説明できない。
まるで、己の知能までもが上昇している気がする。
だとすれば、とんでもないメリットだぞ。ほかもそうなのだろうか?
啓太はそう考え、聞き込みを行った。
そして、使い魔が大抵普通の動物よりもはるかに難しく複雑な行動を取り、
主人の命令を高い知能を持って遂行しているらしい、と結論した。
召喚されてすぐにそれである。啓太は面白がって、いろいろなことに
首を突っ込んだのだ。そう、例えばルイズの能力開発にも。


 一見無駄と思えるものでも利用できないか考え、有効に活用する。
 それは、一発大逆転な成功の鍵である。

 接着用の糊を開発していたのに弱い接着力の糊しか出来ない、
と嘆いていた研究者は、「それは素晴らしい発明だ」と上司に言われて仰天した。 その糊は、付箋紙という、「短時間くっついていてすぐに汚さずはがせる」
ことが重要な商品作成の肝となった。

 石炭は内部に含まれた水分と硫黄分が製鉄時の質を落とし、
今ひとつ使えなかった。それゆえに膨大な量の木が切り倒され、
炭とされて製鉄に使われ環境破壊が起こった。しかし、19世紀に
石炭を焼成し、コークスに加工する技術が発明されて以来、状況は一変した。
石炭はコークス作成に無くてはならない原料として採掘され、
焼成のさいに硫黄と言う重要な副産物を得られる事により、
火薬作成の面からももてはやされた。

 これらを思い出した啓太は、ルイズの失敗魔法についてアドバイスを行った。
「爆発するなら充分成功さ。戦闘でどれだけ使えるか、考えたことあるか?」
それを聞いた時、ルイズは、ぽかんと啓太の顔を見つめたという。
「短い呪文でも爆発させられるか、短い呪文でも威力は同じか、
射程はどれだけか、試して見るといい。問題は、どれだけ制御できるかだ。
狙った場所に当てられなければ効果は無い。失敗と思わず、力を抜いて、
狙った場所に当てられるようにすることだけ考えて練習してみな。」
この瞬間から、ルイズには心の余裕と向上のための
明確なビジョンが見えるようになった。
「今までは失敗しないようにって魔力を出来るだけ込めていたわ。」
ルイズは、後にキュルケたち友人に向かって語ったという。
「でも、それからは制御を目標に回数をこなさなきゃ、
って思うようになって、込める魔力を出来るだけ抜いてみたの。」
満面の笑みを浮かべて、うれしそうに語る。
「そしたら、不思議と狙った場所で爆発できる確率が増えたの。」
火メイジならば、もう一歩制御できれば一人前のドットとして胸を晴れる。
同時に、武器戦闘の訓練も啓太から受けていた。
「素早さという長所を生かせ。」
啓太は、実際の戦闘で必要だからと、武器戦闘訓練を勧めたのだ。
「戦闘に慣れれば、攻撃魔法を巧みに使えるようになる。
素早い敵の動きを見切る目を養い、素早く照準を定める反射神経を高め、
体力をつけて消耗に耐える心身を作る。一つのことだけ訓練しても、
限界はすぐに来る。線的に力を伸ばすより面的に修行したほうがいい。」

ルイズは、わずかな助言で己を着実に磨いていた。

31 :いぬかみっな使い魔:2008/03/22(土) 23:23:00 ID:KOFRIj5Y
 その一方、コルベールもまた、着実な成果を上げていた。

 数日間コルベールは図書館で調べ物を続け、同時に魔法特性を
見極めようとルイズを呼んで様々な試験・実験を行った。
ルイズはその時、補習として通常の授業を休んでいる。
実験と調べ物が一段落すると、コルベールは
オールド・オスマンの部屋に啓太達毎ルイズを呼んで説明を行なった。

「ミス・ヴァリエールの得意系統は虚無である可能性が高い。」

と。
コルベールはガンダールヴのルーンから虚無と推測したくだりを説明した。
そこから、さらに推し進めた推測を語る。

「ミス・ヴァリエールの系統は虚無と推測されます。
ミスヴァリエールの魔法は、どんな系統魔法の呪文でも、
どんなコモンマジックの呪文でも結果はほぼ同じ、爆発です。
しかも普通の魔法ははじくはずの固定化がかけられた物質を、
いともあっさり破壊してしまう。4系統ではありえない。ならば虚無でしょう。
私は、最初、個性的な才能故に通常の呪文はもともと使えない、
齟齬が起きて呪文が暴走し、爆発するのではないかと考えました。
が、それは違うとすぐに気づきました。」
学長室に呼ばれた一同が、固唾をのんで聞いている。

「始祖ブリミルは4系統魔法を神々から与えられました。
その後さらなる力として虚無魔法を神々から与えられました。
始祖ブリミルは虚無だけでなく4系統魔法も使用できたわけです。
ならばミス・ヴァリエールも4系統魔法をも使えるようになる、はずなのです。」

「では、なぜ魔法が失敗してしまうのか?
どうすれば魔法を使えるようになるのか?
私は悩んだ末、基本に立ち返ろう、と考えました。この古代ルーンで
書かれた魔道書を見てください。昔のものなので洗練されておらず、
効果が低い上に消耗も激しく、長い詠唱が必要な呪文が多数記されています。
そう。始祖ブリミルが、4系統と虚無系統を同時に使っていた頃の呪文です。」

「これを読んで現代の魔法と比べてみた所、大変な発見をしました。
現代と始祖ブリミルの時代では基本となるルーンすら進歩しており、
呪文も改良が続けられて別物となっています。
現代のコモンマジックはそのほぼ全てが4系統魔法の簡易版です。
すなわち、4系統のいずれかに属している。効率的だからそう改良されたのです。
それに対し、昔のコモンマジックは4系統のいずれにも属さず、
純粋に精神力を元に魔法を発動させているのです。」

32 :いぬかみっな使い魔:2008/03/22(土) 23:24:01 ID:KOFRIj5Y
「どんな才能あるメイジでも、最初は簡単で得意な魔法から練習していきます。
まずコモンマジックを習得し、応用を広げていく。
普通の4系統の素質を持ったメイジが、4系統型のコモンマジックを、です。
これに対し、ミス・ヴァリエールは虚無系統の才能です。
つまり、これら4系統型コモンマジックは、
ミス・ヴァリエールの得意系統ではなかった。
いきなり不得意な系統呪文型コモンマジックでは失敗して当然であり、
“感覚をつかめない”まま“いびつな癖が”付いてしまって当然です。
それゆえに失敗ばかりしていた。
そう考えられます。
逆に言えば。
4系統を取り込む以前の、古代コモンルーンから習得していけば、
普通に魔法を使えるようになるのだと思われます。」

 ルイズは、感動していた。

「それじゃあ私は!」
「うむ、素晴らしい個性を持っていた可能性が高いわけじゃの。」
「まさしく啓太君の言うとおりだったわけです。あくまで、
可能性の段階ですけどね。これから実際に呪文の練習をしてみて、
習得できて初めて才能が証明されます。証明できます。」
ルイズの目から、涙があふれ出る。
「ありがとう・・・ありがとう、ございます。」
「良かったな。」「良かったですね。」「きょろきょろきゅ〜〜〜」
「ですがまだまだ可能性の段階です。特訓、受けますよね?」
「はい! ぜひにも!」
「では、一つ約束してください。」
「はい、私にできることなら何なりと!」
「では。」
コルベールは、厳かな声で粛々と諭した。」
「おごってはいけません。謙虚さを忘れないでください。」
ルイズは、きょとんとなった。なぜそのようなことを言うのだろう?

「始祖ブリミルは4系統全てに加え虚無系統の魔法をも使っていました。
すなわち、最低でもペンタゴンメイジであった事になります。
ミス・ヴァリエール。まだ推測でしかありませんが、
あなたは人としてほぼありえない、ペンタゴンメイジに成長しうる
可能性があるということになるのですよ。ですが。」

 その後を、オールド・オスマンが引き継いだ。
虚無の才能と伝説の使い魔ガンダールヴを得たと驕り、高ぶり、
戦争の口実にしかねない宮廷のえらいさん達の悪癖を。

「まだしばらくは秘密にしておくのじゃ。戦争の口実に使われ、
国中を不幸にしたくはあるまい? わしらは、国中を不幸にした生徒を
指導した、なんぞといわれとうは無い。お前さんも言われたくはあるまい?」
「はい。」
神妙な顔でうなずくルイズに、オールド・オスマンは好々爺然の笑顔で言った。
「まだまだ実力も足らんしの。精進するのじゃぞ!」
「はい!」
「では、ミス・ヴァリエール。これが、古代の魔道書です。」
コルベールが、分厚い本を何冊も渡す。
「呪文自体に危険性は無い。じゃから貸与してもかまわんじゃろ。
とはいえ貴重な魔道書じゃ、やる事はできん。書写するんじゃ。」
「はい!」

 ルイズは、簡単な…ごく簡単なコモンマジックを、次々と習得して行った。
それは同時に、ルイズに自信と基本的な魔法制御技術を身につけさせ、
失敗=爆発魔法の制御にも大きく寄与していくことになるのである。

33 :いぬかみっな使い魔:2008/03/22(土) 23:27:35 ID:KOFRIj5Y
 虚無の曜日。魔法学院から早馬で3時間、徒歩7〜8時間ほどの距離にある
トリスティン首都トリスタニアのポーション(薬草)屋にて。
集めた薬草の売却値交渉が終わると啓太はこう言い出した。
「ルイズ。今日はおもちゃ屋に寄るぞ。」
「おもちゃ? あなたその歳でおもちゃなんか欲しいの?」
ルイズは、随分と落ち着きいた態度で受け答えをするようになった。
自分はもう無能ではない。その自信が、ルイズの根本に余裕を生んだのだろう。
「ともはねにごほうびを買ってやりたくてな。」
ちらりと横目で見ると、ともはねもうれしそうに笑みを浮かべて
こちらを見ている。その後、すぐにまた薬草の物色と値切り交渉に戻る。
やはり近場で採取できる薬草では種類が足りないため、買い込む必要があるのだ。
そのかわり、いろいろなポーションを調合して売っているので
収支はすこぶる良い。啓太が仙術の一種…薬に霊力を上乗せして
効果を高める…をしているので“東方(の秘薬)シリーズ”として
プレミアも付いているらしい。

 コルベールの協力で発電機を作ってパソコンの充電が出来るようになってから、
作れるポーションの種類は飛躍的に増えている。
 
 代金を受け取り店を出ると、外には、薬草の搬入が終わって
一息ついていたギーシュとモンモランシーが乗った馬車が待っていた。
「ああん、待ってください!」
ともはねがいろいろな薬草を抱えて店を(文字通り)飛び出てくる。

 啓太とともはねの服装は魔法学院の制服に変わっていた。
ただ、ともはねはマントをつけていない。そこが違う。
通行人は耳と尻尾の出たともはねを見て、亜人の使い魔に
同じ服着せてるな、としか思わないため特に期気にすることも無い。

「あ、ダンナ! カウワーヒェラのダンナ! 忘れもんですぜ!」
マントをつけた店主の親父が木箱を持って出てきた。ルイズが顔をしかめる。
「ほら、器を返すのを忘れてました。次も頼みますぜ。」
木箱の中には、カエルの浮き彫りが施され、こちらでは見かけぬルーン
の書き込まれた壷がたくさん入っている。啓太が大地の霊力を
こめるのに都合がいいからとギーシュに頼んで作ってもらった石壷だ。
「何度見ても趣味最悪な壷ね! 何とかならないの!?」
初めて見た時は盛大に悲鳴を上げていたルイズである。
カエルが大の苦手なのだ。啓太のチェーンネックレスも気にくわない。
「しょうがないだろ。これが一番都合がいいんだ。」
「まあまあ、ルイズ。ほら、こうしてふたをしておけばいいだけだろう?」
ギーシュがフォローする。彼は上機嫌だ。
「モンモランシー、この後どこか服屋にでも寄っていかないかい?」
「なになれなれしくしてるのよ! 私は二股を許したわけじゃないのよ!」
「まあそういわずに。」
金、ともはね、薬草、覗き、戦闘訓練。薬草クラブに入る理由は
さまざまだが、ギーシュは女子部員が目的のようだ。
「おい、頼んでおいた服を受け取らないといかんから行く事になるぞ。
喧嘩しないでくれ。その後どっか酒場で食事にしよう。
午後からは俺たちおもちゃ屋に寄るつもりなんだ。付き合ってくれ。」
ギーシュが、ぐっと親指を立てる。用足しに名を借りたデートに大満足だった。
「だからケータ君に心酔して付いて行くという奴が後を絶たないんだよな。」
本当に必要なとき、必要な援助を与えてくれる。
本当に助けを必要としているとき、来てくれる。
啓太にはそんな不思議なところがあるのだ。

※特徴:都合のいい偶然 15CP/30CP
※特徴:不幸/厄介ごとに巻き込まれる−10CP

34 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 23:28:42 ID:KO5FFUao
遅いかもしれんがしえん

35 :sage:2008/03/22(土) 23:28:58 ID:hqacHMkc
支援

36 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 23:29:58 ID:x8S/lQjU
ガープス?
支援

37 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 23:30:12 ID:ap1wiPQ3
>※特徴:都合のいい偶然 15CP/30CP
>※特徴:不幸/厄介ごとに巻き込まれる−10CP


GARPS?支援

38 :いぬかみっな使い魔:2008/03/22(土) 23:30:17 ID:KOFRIj5Y
以上で前半部分の終了です。
後半は・・・長くなるのか、短くなるのか、ちょっとわから無いです。
中篇を挟むことは無いと思うのですけど。

39 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 23:31:51 ID:kBIEV9gc
>>37
GURPS

40 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 23:34:10 ID:ap1wiPQ3
>>39
ああ、間違えた。

あ、いぬかみの人、投下乙でした。

41 :いぬかみっな使い魔:2008/03/22(土) 23:35:34 ID:KOFRIj5Y
おっと忘れていた。
支援ありがとうございました!

特徴はマンマガープスです。
全部使えるわけじゃないので使える特徴だけの参考程度ですが。

あと、俺は雑談で先の展開読まれてもかえってうれしくなったり
SSに反映させるたちですので、そのあたりの遠慮はいらないですよ〜〜〜

42 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 23:37:21 ID:NO9fTNnO
ゼロの戦乙女が面白かった。


43 :眠りの地龍:2008/03/22(土) 23:37:38 ID:+PPcUa4R
乙でした。
そいじゃ50分に間が空きましたが第2話投下します。

44 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 23:41:50 ID:mhRvAP4N
万博怪獣と言えばガメラと戦ったジャイガーもいたな

45 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 23:42:10 ID:IH/L3Nxc
最近は豊作で嬉しい限り 支援

46 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 23:43:52 ID:qVR9XKjj
いぬかみの方乙です!
まったり展開良いでね しっかし少しづつ学院が近代化・・・・・エレオノールが乱入しそうな気がw

47 :眠りの地龍:2008/03/22(土) 23:51:01 ID:+PPcUa4R
風が心地良い月夜。

1人と1匹の使い魔が、丘でその2つの月を見ていた。

1人は、端整な顔立ちの青年だった。
オッドアイ、つまり左右非相称の色をした眼が、彼の外見的な魅力を際立たせている。
平らな1枚岩に座り、持参した赤ワインの瓶を片手に、
月見を楽しむその笑顔からは、純粋な自然鑑賞の感動と共に、何処か悲哀の感情も窺えなくは無い。

彼の隣には、小山が聳えていた。
それは文字通りの小山ではなく、1匹のあまりにも巨大な龍だった。
青年は、その龍に言った。

どうだい? 
こうやってただ、ぼぅっと酒でも飲みながら月を眺めるってのも、なかなかオツなものだろう、と。

龍は、唸った。
月の光に照らされたその龍は、客観的に見れば、邪悪な風貌であった。
大きさは、尻尾の先まで測って約50メイル程。
薄い茶色の大きな鱗が、1枚1枚と並べるように体中を覆っており、
頭部に生えた複数の角が、人間で言う処の髪型の如く、その龍に個性を与えていた。
この特徴に該当する生物は、現在ハルケギニア地上において地龍以外にありえない。
普段は、人の目から逃れる為に地底深くに潜伏し、
人気の無い夜に、この月見青年に呼ばれて地上に顔を出す。

龍が、爬虫類の多くに見られる長く突き出た顎を開き、青年に近付けた。
鋭い牙が生え揃う、生きた洞窟が、青年の眼の前に迫る。
青年は、味を覚えたのかい、と呟きながら、瓶を洞窟の中に掲げ、瓶が空になるまでワインを流し込んだ。
龍は、そのワインを時間をかけて飲み込むと、強風と間違える勢いの、大きなオクビをした。
要するにげっぷである。
青年は呆れ、もう少しマナーを弁えて欲しいんだがね、と思いつつ、龍の下顎をぽんぽんと叩き、言った。

まぁ、同じ使い魔同士、これからも仲良くやってこうぜ、と。

龍が、それに相槌を打ったのだろうか、歌うように低く鳴いた。



 眠りの地龍  第2話  「食うな! シルフィ」


48 :眠りの地龍:2008/03/22(土) 23:52:06 ID:+PPcUa4R
   
誰が呼んだかは知らないが、きゅいきゅいことシルフィードは憤慨していた。
タバサの使い魔である彼女(敢てそう言い表そう)の怒りのとばっちりを喰らっていたのは、
トリステイン魔法学院の料理長であるマルトーだ。

「まいったなぁ。だからよ、この肉はあのドデカドラゴンに用意したもんなんだ、食わせるわけにゃいかんのよ」

なにやら彼は、厨房前の広場で、3つの大掛かりな竈で何かしらを燻っている様だ。
その姿を見て、シルフィードは

きゅい! きゅきゅいきゅきゅい! きゅっきゅっきゅいっきゅいっ!
と喚いている。人語に訳すれば、
そんなケチなこと言ってないで、1つくらい食べさせやがれこんにゃろめなのね! と。
マルトーが何をしているのかと言えば、それは彼の言うドデカドラゴンに深く関係していた。

何時目覚めるか判らない、ドデカドラゴン基ゴモラに食糧を用意する場合、それが保存食である事が必然となる。
ゴモラが目を覚まし、そして空腹を訴えた際、差し出すのが腐った肉では、逆鱗に触れてしまうであろうから。
即席に用意しても僅かな量だとこれまた然り。見た目からして肉食であろう。
沢山あるからと野菜を出したら、喧嘩を売ってるのかと勘違いされるかもしれない。

そこで求められるのが、量を多く確保でき、且つ保存に長け、如何なる時でも提供可能な肉である。
これに該当するのは、マルトー曰く「錬金とやらで味を誤魔化し肉の風味を再現したなんかよくわからん物体」か、
「昔ながらの技法でこさえる燻製肉」だそうだ。
予算の面で、当初学院は前者を重視していたのだが、
職人気質のマルトーが、やっぱ魔法でなんやかんやした紛いもんなんかで、
あのドデカドラゴンの腹を満たせるってのもアレだろ、と大量の牛肉豚肉馬肉を用意し(自費)、
それらを全て、せっせと燻製にする作業を初めたのが今日から4日前。

燻製作業は先ず肉の塩漬けから始めるのだが、量が量である。
通常の鍋ではとても間に合わないし、普段の料理にまで支障をきたす訳にもいかない。
そこでマルトーは、先ずジャイアントモールのヴェルダンデに、使い主であるギーシュを通して、
学院厨房前広場の隅に穴掘りを要請した。その掘られた穴に、大釜を埋める。
そして、大釜に塩水と幾種かのスパイスを混ぜた液体を注ぎ、そこに肉を一杯に漬け込む。
それと同じモノを3つ作成。因みに、大釜は1つしか無かったので、もう2つは急遽購入した(自腹)。

味がよく染み込めば、続いては塩出しとなる。
先ず、一端大釜穴から肉とスパイス液を取り出し、今度は真水を穴に注いだ後、再び肉を入れ、長時間浸す。
これにより、肉から血や脂などの成分が抽出され、保存性がより一層良くなるのだ。


49 :眠りの地龍:2008/03/22(土) 23:53:13 ID:+PPcUa4R
   
頃合を見計り、今度は風乾、肉を乾かす作業へと移る。
風通しの心地良い日、アウストリの広場一面に布をひき、さらに簡易的な天幕を張り(他のコック達と割勘)、
布一面に肉を並べる。その肉だらけの光景は、ある種一見の価値すらある
(吊るして干す方がより効率が良いのだが、如何せん吊るせる場所となると、僅かに限られてしまう)。
天幕を張る理由は、外で干すとは言え、なるべく直射日光に中てないようにするためだ。
保存の為に干しているのに、日射で傷んでしまうのでは元も子も無い。

さて、無事に1晩干せれば、次は燻製作りの過程において、肝心要となる燻煙作業である。
先ず、塩漬けで使用した穴に埋った大釜を、また外に掘り出す。
その大釜で、今度は厨房前広場に3つの大きな竈を作った。
無論、竈のためのその他の材料費は自費である。ここで少々脱線するが、
トリステイン学院は貴族学校なので、料理への経費はかなり多く与えられるのだが、やはり限度はある。
特に使い魔への餌となれば、常時は魚の粗やら野菜の切れ端で済ます。
でなければ、いくら金があってもとても足りないからだ。
しかし今回、このゴモラのための燻製肉作りに、マルトーは燃えていた。

「本当に美味い食い物ってぇのは、高ぇ食材さえありゃ作れるってもんじゃねぇ」

とはマルトーのポリシーである。この学院に勤め始めてからというものの、
毎日貴族向けのちまちまとした高級料理ばかりを作り、いい加減ストレスを溜めていた彼にとって、
汗水垂らして豪快に作る燻製作業は、久しぶりに料理人としての熱き血が滾ったのだろう。
それに関する金は一切惜しまなかった
(場合によっては、ヴァリエール公爵家に代金を請求する選択肢もある。マルトー自身にはあまり意識は無いが)。

作業の続きに目を向けよう。
ナッツやサクラ亜属等の木材を大釜に入れ、その下の竈を炭火で摂氏90度までに焚き、煙を立たせる。
大釜から良い香りが漂う。この高音の煙で肉を燻す事で、煙に含まれる成分で殺菌を行い、さらに味に深みを出す。
これが、現段階の状態だ。香りに釣られ、シルフィードはこの場にふらふらやって来た次第なのである。
その香りは、喩え食いしん坊万歳のシルフィードでなくとも、大いに食欲を注ぐ匂いだ。
少々古い言い回しをすれば、匂いだけでご飯3杯はいけるだろう。
しかし、何度粘っても、マルトーは蒼い竜に肉を分ける気配は無かった。
彼の頑固な構えに諦めを感じたシルフィードは、しぶしぶと別の広場へ足を運んだ。


50 :眠りの地龍:2008/03/22(土) 23:53:57 ID:+PPcUa4R
   
学院の風景の一部と化している、鼾をかき熟睡中のゴモラは、
生徒達が授業時間の間は、使い魔達の憩いの場、というか棲家となっている。、
例えばサラマンダーのフレイムは、ゴモラの丸みを帯びて屈折している角の上で、
気持ちよさそうに日向ぼっこに勤しんでいる程で、
顎と胴体をぐでんと角の側面に乗せ、尻尾や手足をだらんと垂らし、気持ちよさそうに眠っている。
そんな彼の安眠を妨害したのは、ばっさばっさと翼を鳴らし、そこに飛来したシルフィードだ。

彼女は、着地しないで浮遊を続けながら、フレイムに文句を垂らした。
きゅい、地龍なんて野蛮で乱暴で残虐でこんちきしょうめな種族と仲良くなる必要なんてないのね、と。

目蓋を重そうに開いたフレイムは、大きな欠伸を1つすると、めんどくさそうに言った。

青いの、そう言うなよ。確かに地龍は嘗て、ぼく達火竜の一族にも被害を被ったそうだけど、
それももう大昔の話さ。そこまでして嫌う必要もないじゃないか、と。

それだけ言うと、もう起こさないでくれよ、と言い残し、再び目を閉じた。
ゴモラが地龍である事は、既に使い魔達の間では完全に認識されている。
地上最強の竜族と謳われる地龍を前に、当初は、本能的に平伏せていた使い魔が殆どだったのだが、
延々と眠るゴモラと毎日を共に過ごす内、しだいに服従心よりも安心感が芽生え、
今ではこうして、皆に慣れ親しまれている。
韻竜であるシルフィードを除いて。
シルフィードは溜息を漏らし、辺りを見渡す。
フレイムと同様、ゴモラと直に触れ合ってる使い魔ばかりが目に付く。
長い尻尾の上でころころ転がるバグベアー、鼾のリズムに合わせ喉を合唱の様に鳴らすバジリクスとカエル、
その他各々。蒼い韻竜は、もう1度深い溜息をつくと、そろそろ授業が終わったであろう主人の下へと向かった。

みんな地龍なんかの味方をしちゃってからに。シルフィは肩身が狭いのね。きゅいきゅいきゅいきゅい。


51 :眠りの地龍:2008/03/22(土) 23:55:43 ID:+PPcUa4R
   
午後の温かい日光が窓から差し込む学院長室で、オスマンが茶を啜り、何時もの様にコルベールと雑談をしている。
しかし、今日は少しばかり部屋が寂しい。
学院長室御馴染みのメンバー(と言うべきか)が1人欠けているのが、その起因となっている。

「ミス・ロングビルが有休を?」
「そうじゃよ。はて、聞いてなかったかね」

トリステインの首都トリスタニアに、演技力が高いと評判の、とある劇団が期間限定で訪れ、
トリスタニアの劇場にて、特別公演が催される事を知ったコルベールは、
学院教師としてのコネを駆使し、その切符をなんとか2枚入手したのは3日前の事。
予てから、異性として若干の興味を抱いていたロングビルを、
所謂デートに誘える切っ掛けを手に入れたコルベールは、歓喜したものだった。
そして彼は、これまで3日3晩と脳内シュミレーションを行っていた。


ここに、2枚の芝居の切符があります。私の親友が、急用で観に行けなくなったとの事で譲ってくれたんです。
私はこの切符を使用し、芝居を観に行くのですが、至極当然1枚切符が余る算段となります。
その残りの1枚を誰に託しましょう? 捨てるだなんて勿体無い。
オールド・オスマンは、最近疲労が溜まりやすくなったと聞きます。
さすれば、数時間もの間、劇場の狭い座席に留まらせるのも酷な話でしょう。
では、ミスタ・ギトーやミセス・シュヴルーズは?
ミスタ・ギトーは、我々貴族たるもの、庶民の道楽に一緒くたになって興じるべきでは無い、という思考の持ち主。
ミセス・シュヴルーズは、騒がしいのは好みでは無いとの事。残念ながら、この芝居は賑やかな喜劇です。
まさか、生徒達に切符が1枚あると公言する訳にもいかないでしょう。
たった1枚の切符を巡って、醜い争奪戦をおっぱじめる情景は、安易に脳内に浮びます。
私の友人、コック長のマルトーを誘う選択肢もあるのですが、彼は休日を寝て過ごします。
劇場の座席で夢の世界に旅立ってしまうようでは、芝居の切符の役目を果たした事にはなりません。
これらの点を照合し、相応しい人物を捜し求めた結果、貴女がそうだと確信したのです。
と言うことで、今度の休日に、私と芝居を観に行きませんか?


てな具合に、シュミレーションの結果は完璧だった。
後は、タイミングを見計らい、ロングビル本人に1対1で会話する機会さえあれば、念願の――
と思っていた矢先であった。

「あの、オールド・オスマン、彼女は何日間の休暇を?」
「あー、10日間と言っとったの。親戚の元へ帰るそうじゃ」

芝居の公演は、5日後である。
その晩コルベールは、自棄食いをした。


52 :眠りの地龍:2008/03/22(土) 23:57:59 ID:+PPcUa4R
   
ガリアに向け、主人を乗せて空高くを飛ぶシルフィード曰く。

韻竜が絶滅した原因が、かの天敵地龍にあるのは間違いないと言う。
お頭の悪い地龍が、聡明なる私達韻竜の存在を嫉み、
ついには暴虐の限りを尽したのね、と彼女は不満げに洩らす。
彼女の背中に跨り、それらの止め処も無く流し続けられる愚痴の数々を無言でスルー、基受け流すタバサだが、
韻竜と地龍の両種族が、同時期に絶滅したという考えには興味があった。

地龍の体長は平均数値でも40メイルはあったとされる。
現に、学院に召喚されたゴモラの大きさは、教員達が測った処、約42メイルの大きさであるらしい。
それ程の巨体を維持するためには、喰らう食糧とて結構な量が必要となるだろう。
ならば、その主な食糧となるのは何であろうか。
一応燻製肉等は用意しているそうだが、果たしてそれで正解なのだろうか。

地龍が何を主食にしていたのかには、実は諸説ある。
雑食と言う学者もいれば、実は草食ではないかと語る者もいる。
確かに、地龍は外見からすれば、肉を骨ごとばりばり貪ってそうなイメージはあるが、
あまりにも体が大きいので、逃げ回る動物を追って場合によっては逃してしまうよりも、
寧ろ植物を確実に食べる方が効率が良いのでは、という説が存在する。

しかし、それらの説を唱える学者達をあざ笑うかのように、
地龍は肉食であると断定できる、決定的なとある記録が存在した。
以前も記したが、地龍書物の殆どは、適当に書下ろされ、図鑑や資料としての利用価値がほぼ皆無な代物である。
が、それらの書物にも、ほぼ例外なく唯1つだけ、地龍の食性一連の重要な証拠となる、
とある真実の記録が残されているのだ。

「グドンはツインテールを喰らう」と。


53 :眠りの地龍:2008/03/22(土) 23:59:16 ID:+PPcUa4R
 
『地龍録』、つまり数少ない信頼できる文献によると、
かつて、ゲルマニアのある海沿いの地方にて、グドンという鞭の様な長い腕を持つ凶暴な地龍が、
何の因果なのか、頻繁に人里に出現し始め、人々が暮らす村を順に襲撃し廻っていたらしい。
人を捕食する気配は無かったのだが、地龍独特の習性なのか本能からなのか、家や建物を破壊し尽していたそうだ。
それによる被害は甚大なもので、過去最大の地龍災害だと記録されている。

村の住民達が眠れぬ夜を過ごしていた最中、ある日海岸で巨大な卵が発見された。
グドン騒ぎの影響で、漁や農作業が儘ならず、食べ物が不足していた中、
その卵は村人達にとって、喩えそれが不気味な大きさや色であったとしても、貴重な食糧となりえた。
しかし、卵をなんとか調理しようとした直前、突然卵が膨張、そして孵化し、中から不気味な怪物が現れた。
その芋虫に似た怪物は『地龍録』によればツインテール(髪型にあらず)という学名だそうだが、
それを当事者の村人達が判断できる理由もあらず、人々は怪物から逃げ回った。
割れた卵から這い出たその怪物は、当初百足の如く地を這いずり回っていたのだが、
唐突に尻尾の部分を上の方に仰け反り、頭部を人間で言う足元に、そして2本の尻尾を人間で言う頭の部分に、
言ってしまえば、手足の無い逆立ち形態へと体勢を変えた。
不気味を越えて不可思議な怪物は、村に侵入、避難が済んでいない村人達を次々に襲った。

その時、地底より突如グドンが出現し、求めていたかのようにツインテールに挑み掛かった。
決して村人達を救う為ではない。
それが目的なのであれば、その場から逃げ遅れた何人かの村人を、気にもせず踏み潰してしまう筈が無い。
その後数時間に渡って繰り広げられた、グドンとツインテールの死闘は、
戦場となった農村を、ほぼ廃墟へと変貌させてしまう程に凄まじかったと言う。

勝負はグドン優勢の運びとなり、ついにツインテール最期の時が訪れた。
体力を消耗させたツインテールは、その眼球を、グドンに無残にも足で潰され、悶え苦しんだ瞬間、
有無を言わせず胴体を噛み千切ぎられた。内臓を外部に露わにし、大量出血で、ツインテールは呆気なく絶命。
そして、ピクリとも動かなくなった対戦相手の屍を、グドンは喰らい始めた。
その死体を貪るグドンの姿は、目撃者達に吐き気を催したと『地龍録』に詳しく書かれている
(このグドン騒ぎ、『地龍録』の中でも、かなり具体的に事の場景が記録されているので、
 余程衝撃的な出来事だったのだろう。或いは、その場に『地龍録』の筆者が居合わせていたのかもしれない)。

結局、腹を満たしたグドンは、満足げに地底へと身を沈め、
以来、この地龍の出没はピタリと止んだそうだ。

静けさを取り戻した戦場に残ったのは、瓦礫や汚い木材と化した民家、
2体の激戦に巻き込まれた人々の死体、そして、グドンの食べ残し、詰まる所ツインテールの残骸であった。
勇気のある、というか普段からモノガワリと影で呼ばれる青年が、その肉片を食した処、
「海老の味に似ててそこそこ美味かった」と感想を漏らしたらしい。
この青年はその後、不謹慎の塊だと、他人から以前以上に煙たがられたそうだが、
青年の証言や、卵が海岸で発見された点から、このツインテールは海洋生物、
それも水陸両生の特殊体質な種族であると生物学術的に記録され、
そして、謎の多かった地龍学に1つの説が確立された。
地龍グドンは、海洋生物ツインテールを、食物連鎖の過程で敢て食していたのだ。
地龍は、他種の生物を喰らう肉食性動物である。


54 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/22(土) 23:59:57 ID:tg7YEcBL
ツインテール…じゅるり
支援

55 :眠りの地龍:2008/03/23(日) 00:01:09 ID:jtblbE1+
 
こうした過去を辿る限り、地龍は肉食だと断言できるが、新たな疑問も建立する。
ハルケギニア全ての地龍が、海洋生物であるツインテールを喰らえる筈が無いとも言える。
火山脈などに棲息した地龍は、一体何を食べていたのだろうか。
その体格差故、逆に捕まえ難い人間を数人捕食した処で、彼等の胃袋が納まるとは到底思えない。
また、意外な事に、地龍種族同士の共食いは、殆ど無かったらしい。
地龍同士の争い自体は頻繁にあったが、それはあくまで闘争本能や縄張り争いから起こるものであって、
パワーバランスの面を考えれば、食事の度に食うか食われるかの死闘を繰り広げるワケにもいかなかったのだろう。
種族の継続の為にも、共食いは彼等にとって不適切な行為であったと考えられる
(ツインテールは地龍と完全に別の生物だと捉える)。

すると、消去法で、餌の候補として予想されるのが、別種の竜や幻獣達である。
韻竜、風竜、また火竜の体長は、特に大きいもので6メイルを越える。
成長した韻竜達は、巨大な地龍達にとって絶好の獲物と言えよう。
なにせ彼等からすれば、6メイルサイズの肉の体積は、食うに関して少なくも無ければ多すぎもしないし、
さらに、韻竜や火竜なら、ただ受身となって無抵抗に突っ立っているのではなく、
風魔法や火炎ブレス等で、地龍に戦いを挑んでくるであろうから、スリルあるハンティングの趣すらある。
戦闘能力の高い地龍の事。抵抗する獲物を、その持ち前の豪腕で弄んだ挙句、腹を満たしていたに違いない。
地龍が残虐だと言い伝えられている所以は、そこから来ているのかもしれない。

やはり、シルフィードの先祖達は、ゴモラの先祖達に粗方喰い尽くされてしまったと言う可能性も否定できない。
そう考えれば、シルフィードの地龍に対しての態度も納得はいく。
が、だとしても、韻竜が絶滅したのはともかく、地龍までもが歴史上から消えた原因はなんなのだろうか。
韻竜の数が暴食の結果減少し、それによって地龍も食糧難に陥った、とは考え難い。
他に餌となる火竜やグリフォン等の幻獣達は、現代も数を残しているからだ
(因みに、『地龍録』においても、地龍絶滅については、
 何故か殆ど書かれてはいない。実は記する事さえ憚れる事柄なのか?)。

タバサは、独自に1つの仮説をたてた。
嘗て韻竜と地龍との間に、両種族の行く末を決定付けさせた、大規模な戦いがあったのではないだろうか。
三人寄れば文殊の知恵が如く、大勢が協力し頭脳戦に持ち込めば、韻竜にも勝算はあったのかもしれない。
両種族の大戦争は、甚大な傷み分けを結末として残し、そして韻竜も地龍も、朽ち果てた。
自身のシルフィードやルイズのゴモラのように、現在も韻竜と地龍が僅かながら生き延びている理由も、
大戦争の戦火を、両種族の内何匹か逃れたと考えれば、難解な話では無い。
そう考えたタバサは、早速、シルフィードにその事を問うた。
シルフィードの答えは、

「わかんないのね。
 おとうさまもおかあさまも、シルフィが物心付く前に死んじゃったから、何も聞いて無いのね」

だった。
あと、任務が終わったらお肉食べさせてなのねー、とおねだりもした。
却下した。


56 :眠りの地龍:2008/03/23(日) 00:02:27 ID:jtblbE1+
  
この日、プチ・トロワの宮殿は、何時に無く緊張感に包まれていた。

ガリア王の来訪、しかもアポ無しとくれば、慌てざるを得ない。
普段は誰が来ようと適当にあしらっている女王イザベラも、この時ばかりは比較的真剣な面構えで、
宮殿内の客間にて、ガリアを治める王であり実の父でもあるジョゼフに、来駕の言葉を送っていた。

「しかし父上、何分急だった故、歓待の用意が」

出来ていない、とイザベラが阿吽の呼吸で、椅子で寛ぐジョゼフに伝える。
ジョゼフの気まぐれ癖は、今に始まった事では無いが、
祝い事や緊急事態でもあるまいのに、城を離れ自らが娘の下へ赴くなど、誰もが予想だにもしていなかった。
王としての職務を、安易に怠業する辺り、無能王と呼ばれるには、いよいよ相応しくはあるのだが。

「なに、ほんの少し顔を覗きに来ただけだ。後ろの彼奴に、我が国を巡歴させてやっているんでな」

さすがの無能王も、イザベラの対応に気は咎めなかった様だ
(唐突にのこのこと現れ、満足に歓迎しろと言う方が、最早人間として問題がある)。
ジョゼフは、イザベラと眼を合わせたまま、自身の背後に佇む男を親指で差す。
どうも、その男にガリア王国の要所を直接出向いて紹介し回り、その一環でプチ・トロワにも訪れたらしい。
服装や、王と王女を目の前にしても、まったく遠慮さを感じさせない態度からして、護衛の兵には見えない。
ガリア王自らが国の巡歴、つまり案内をしていると言うのだから、それ相応の身分なのには違いないであろう。
イザベラは、男を見据えた。

年齢は、二十代の中頃。或いは、三十台を越えているのかもしれない。
老けて見えるのでは無く、その整った顔立ちから放たれる、
鋭い目付きが若年を感じさせず、往年の戦士であるかのような雰囲気を漂わせている。
そして、若くありながら、髪の随所から生えた幾つかの白髪の束が、
彼のミステリアスな雰囲気をさらに増幅させていた。
それ故あって、正確な年齢が窺う事が出来ない。
また、見慣れない服装で身を纏っている。
紺色をした長袖の上着は、貴族が着る衣装のような派手さや鮮麗さの要素は無い。
かと言って、庶民が着ている安い生地で縫われた服のような、貧乏臭さも感じられない。
貴族か庶民かの位すら判らない、謎に満ちた着物である。
イザベラは、ジョゼフに男の事を問うた。

「父上の旧友、ですの?」
「そんな処だ。さて、そろそろ御暇とさせてもらおうか」

極々短い返答、そして滞在だった。
ジョゼフと男が客間から出ようとした直前、イザベラは最後に、男に名を名乗らせた。
それは、聞いた事も無い、奇妙な響きの名であった。


57 :眠りの地龍:2008/03/23(日) 00:03:48 ID:+PPcUa4R
 
「可愛い娘さん、だな」

プチ・トロワの宮殿を後にし、門に停まらせている馬車へと歩む最中、若白髪の男がジョゼフに言った。
父親にヨイショする魂胆では無い。イザベラは間違いなく魅力的な美貌を備えている。
それでいて、その年齢に相応した幼さも秘めており、可愛いと言う男の発言に嘘は微塵も無い。
が、男はそれと同時に、イザベラの本性をも見抜いていた。
恐らく、今頃宮殿内では、なんで早く準備しなかったんだ馬鹿たれどもが、
と彼女が部下や侍女達にきつい罰を与えているであろう。
ジョゼフが無能王と呼ばれるなら、イザベラには鬼畜王女とでも名付けようか。
だが男は、決して彼女を批難しようなどとは思ってはいなかった。
人の所為にするな、なる言葉はあるが、あの年齢の少女の性格や心境を、不安定な状態にさせてしまったのは、
まず間違いなく、父親であるジョゼフにも原因があると言わざるを得ないからだ。
そのジョゼフが、得意そうな顔で男に言った。

「そうだろう? まぁ、親馬鹿発言とでも捉えておけ」
「いや、親とはそう然る可きだと思う」

ただ、馬鹿は結構だが、娘の招来を閉ざすような無能ぶりは改善したらどうだ、
と男は発言に付加えようとしたが、さすがに冗談交じりにしてもデリカシーに欠けるし、
何より今ジョゼフに挑発した処で、なんのメリットも得られないので、既の所で止めた。
そして、いい加減にこの悪い癖を治さねば、と内省する。

「なんだ、貴様も子供がいるのか?」

ジョゼフの問い掛けに、男は、微笑を洩らしながら頭を横に振った。
その仕草を横目で見たジョゼフも、そうか、と呟きながら鼻で笑った。
ふと、男が足を停め、西の空を見遣った。
男の足音が途切れた事に気付いたジョゼフは、男の方に振り返り、彼の視線が指す方向に眼をやった。
雲がいくつか、蒼い空を優雅に漂っている以外に、特に何も見えない。
男が足を停めた理由は、まさか雲を眺めるためだったのか。
そんな筈はあるまいと、今一度ジョゼフは双眸を細くして西を凝視したが、やはり変わった点は発見できない。
ジョゼフは、男に対し癪の感情を僅かに抱き、穏便でありつつ不機嫌さが伝わる程度の口調で言った。

「何を阿呆の様に突っ立っている? 戻るぞ」

男は、遥か西の彼方から、まっすぐこの宮殿に向かってくる、人を乗せた蒼い風竜の存在を捉えていたのだが、
ジョゼフの心境が芳しく無くなった事を悟り、再び歩き始めた。


58 :眠りの地龍:2008/03/23(日) 00:04:21 ID:jtblbE1+
以上で投下終了です。

59 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 00:08:04 ID:cweh0NTH
地龍の方、お疲れ様でした!

60 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 00:15:42 ID:qlaJ3DMg
変な質問で申し訳ないのですが
女の子のような男の子と言えば
バカとテストと召喚獣の秀吉
おと×まほの白姫彼方の他に、
自分は男だと言ってるのに
周りが女の子扱い、というようなキャラを
あと一人あげるとすればどんなのが思いつきますか?



61 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 00:19:44 ID:zYSTk2On
ブロッケンブラッドのノイシュヴァンシュタイン桜子こと守流津健一

62 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 00:20:03 ID:Ooycu8Pj
>>60
多重クロスをするつもりならやめておけ

63 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 00:20:09 ID:jrWfIKC8
地龍の方お疲れー

なんかビーフジャーキー喰いたくなった。焼き肉喰いまくって腹一杯なのに

64 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 00:27:37 ID:TmtLnezt
「イザベラ管理人」の使い魔、耕介の知人「相川真一郎」(とらいあんぐるハート1の主人公)

私服で駅前にいると男にナンパされる
小四の時の演劇発表で、クラスの女子をゴボウ抜きにしてお姫様(C)役をゲット
女性向けの雑誌の街頭アンケートで最後まで女の子だと勘違いされてた
女性の先輩と一緒にいると姉妹に間違われる

etc

65 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 00:29:59 ID:aYkrbQIP
ゴモラの方乙です
どうでも良いんでが、グトンが愚鈍に脳内変換されて「愚鈍がツインテールを食べた」と拡大発展な妄想をしそんなエロゲもあってたな〜としみじみしてしまった俺orz

66 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 00:41:38 ID:NAEwTQcv
原作含め
ゼロ魔のSSを読む時にはサガフロ2の曲がよく似合う…

誰かサガフロ2で書いてくれないものか

67 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 00:52:54 ID:8upI8y8m
>>66
世界観的に似てるな・・・

ギュスターブって死体出てなかったけ?
実はルイズに呼び出されて、魔法の世界を鋼の世界に変えてしまうことに・・・って感じか?

68 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 00:54:17 ID:aYkrbQIP
>>66
マイケルクエストが勝手に脳内再生されます

69 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 00:56:32 ID:aYkrbQIP
ロマサガorz

70 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 00:57:03 ID:kehDhtB4
>>60
おとぼくの瑞穂きゅんを忘れるな

71 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 00:57:04 ID:+Uiq+wrV
ゴモラ乙ー。
ジョゼフの隣に居た男はまさか……?

72 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 01:01:38 ID:3evCCy2e
>>60
女の子のような男の子と言えば、
広場まひるが思い浮かぶ。
昔も今もスカートが一番似合う天使だと信じている。

結構強いから使い魔としても優秀だ。
メシがマズイと離反しそうだが。

73 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 01:06:26 ID:9zrXEyKh
>>60
っポイ!の主人公(?)天野平

74 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 01:08:06 ID:NAEwTQcv
>>60

旋光の輪舞 のツィーラン
ギルティギアのブリジット

75 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 01:08:48 ID:pBe+Wz8U
エルクゥの人、場合によっては楓ちゃん込みでの召喚もありえたんだよなあ
そういえば男女番いでの召喚って無いなあ(真理阿と慎一、ジュンと真紅くらい?)

北斗と南とか猛と舞とか

合体技だ ダダッダー ガ・キーン アタック

76 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 01:10:41 ID:TmtLnezt
>>72
最後はルイズが降ってきた羽を追って部屋の窓から足を踏み出すんだな

77 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 01:11:56 ID:Q7EOJmVA
>>60
舞-乙HiMEのマシロかな違うかもしれん

78 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 01:14:10 ID:VuUtU0uG
特撮モノ…東光太郎(タロウ)召喚とか良さそうかも
身体能力高いからギーシュ程度なら楽勝だし
過去にオスマンとあったのは「ウルトラの母」と言う事にして、バッヂを預けていたとか
ルイズがギーシュが、シェスタがキュルケが「光太郎さん」と兄のように慕うとか
…悪くないかも

でも、ミョルなんとかが「ドルズ星人」だった為ドシリアスに
タバサがウェールズがフーケがワルドが怪獣に改造され泣く泣く倒す事に
そしてルイズの父と母も最終話で死亡して…タロウってやっぱ暗い時は暗いんだな

79 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 01:17:06 ID:d6KWl8vC
>>78
ゼロ魔スレかw

80 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 01:17:42 ID:d6KWl8vC
誤爆だと思ったら実は誤爆じゃなかった…
ああ恥ずかしい

81 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 01:39:17 ID:E+KMejnq
地竜のひと乙っす!
なんか夜中に読むと腹減るなあ…

>>60
有名なのならはぴねす!のあれとか…
最近アニメやってたH2Oのはまじとか…
あともやしもんの蛍。

82 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 01:53:36 ID:ZPSs0Ycw
ウィン・D可愛いよウィン・D
リリエムエロ可愛いよリリエム
声だけで萌えさせるフロムはやはり変態

83 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 01:54:40 ID:ZPSs0Ycw
騙して悪いが誤爆なんでな
見なかったことにしてもらおう

84 :アクマがこんにちわ:2008/03/23(日) 02:01:19 ID:vM2K01EE
とりあえず二話を投下しようと思います。

85 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 02:02:34 ID:E+KMejnq
角煮のACスレあたりの住人か?

小僧、生かして帰すわけにはいかんな…

86 :アクマがこんにちわ:2008/03/23(日) 02:06:04 ID:vM2K01EE
「わたしは二年生のルイズ・ド・ラ・ヴァリエール。今日からあんたのご主人様よ。覚えておきなさい!」

こんにちは人修羅です。
前回、やさしく掴んだはずの右手で思いっきりぶん殴られ、こんなことを言われました、人修羅です。
なんか俺、俺を呼び出した少女に思いっきり嫌われたみたいです、鬱です…。

「……なんで平民のあんたは、のこのこ召喚されたの?」
「学院長室でいろいろ話を聞いてたんだが……目の前に今のゲートが表れてね。コルベール先生が召喚のゲートだと教えてくれたんだ、誰が俺を呼んでるんだろうか見るつもりでくぐり抜けたんだけどね」

俺がそう言うと、ルイズさんは思いっきり落胆したようで、はぁ〜と長いため息をついた。
長い息の猫がいたら気が合ったかもしれない。

「このヴァリエール家の三女が……。由緒正しい旧い家柄を誇る貴族のわたしが、なんであんたみたいなのを使い魔にしなくちゃなんないの?」
「そんなこと言われてもなあ」
「……契約の方法が、キスなんて…」
「そんなこと言われても…って、何だって?」

聞き間違いでなければ、契約の方法がキスだとか言っていたはずだ。
俺は改めてルイズさんの顔を見た、すっっっっっごく不満そうな目でこっちを見ている。
対して俺は無表情になっていると思うが、内心は穏やかでなかった、だって心臓がバクバク鳴ってるんだもの。
シンジュク衛生病院で出会ったピクシー、彼女は甘えん坊で、よく俺にほおずりをしてきた。
でもキスはしてない。
他にもサッキュバスとかティターニアとか綺麗な女性(女神)の仲魔はいたけど、何て言うか、恥ずかしくて手を出したことはない、だって俺チェリーなんだもの…。

「……先ほど、オスマン先生は、今すぐに契約する必要はないと言っていた。俺もこの世界のことはよく分からないしな、時間をかけて理解してくれればいい」
「そう、そうなの」

何を納得したのかよく分からないが、ルイズさんはそう言って、悔しそうに歯をかみしめて俯いてしまった。
何か悪いことしただろうか。

コンコン、とノックの音が聞こえ、続いて男性の声がする。
「ミス・ヴァリエール。コルベールです。」
「…はい」
ルイズさんは頼りない声で返事をすると、部屋の扉を開けた。

「おお、やはり人修羅さんもこちらでしたか、今後のことについてミス・ヴァリエールを交えて話をしたいのです、学院長室に来て頂けますかな」
「ええ。かまいません」
「…はい」

ルイズさんはやはり元気が無さそうだ、大丈夫かな。

87 :アクマがこんにちわ:2008/03/23(日) 02:06:45 ID:vM2K01EE
■■■

わたしは、学院長の部屋で、呆然としていた。
今日だけでもいろいろな事が起こりすぎて、頭が疲れていたのかもしれない。

私が変な格好の平民だと思っていた男は、ハルケギニアとは違う世界で、学校に通っていた経験があるらしい。
だけど、何かの争いに巻き込まれて友達は皆死んでしまい、学校という物に未練を持ち続けていたそうだ。
彼が呼ばれたのはそのせいかもしれない、とコルベール先生が説明していた。

人修羅が持っていたマジックアイテムも不思議だった、人修羅の説明では、魔力を一瞬で回復させる秘薬や、使っても使っても無くならない不思議な治癒薬、どんな毒でも治せる解毒薬、魔法を封じ込めた石などがあった。

コルベール先生は、人修羅を『幾多の戦いを乗り越えた戦士』だと評していたが、私には人修羅が『頼りない』存在にしか見えなかった。

一通りの説明を受けた後、人修羅と契約を行うか否かは私の手にゆだねられる事になった。

私は『時間を下さい』としか言えなかった。


■■■


夜、ルイズは人修羅に、メイジとは何か、貴族とは何か、使い魔とは何かを説明していた。
「…つまり、使い魔は感覚を共有したり、秘薬の元を探したり、主人の身を守ったりするの」
「なるほどー。契約はしてないから感覚の共有はできない。この世界の秘薬を俺は知らないし。まあ、ある程度なら身を守ることはできるかもしれないな」
「はあ…さっきから『かもしれない』ばかりで、あんた本当に戦士なの? まあ、何度召喚しても貴方がゲートから出てくるから、今更あなたに帰れとは言えないけど」
「何年も戦ってたのは事実だけど、この世界のことはまだよく分からないから……。それに敵の実力を見誤って、仲魔を怪我させたこともあるんだ、大事な物を一つの怪我もなく守りきれるとは思ってないよ」
「…やっぱり頼りないわ」
「耳が痛いなあ」

人修羅はルイズとの会話の中で、仲間が傷ついた時のを思い出した。
ピクシーが万能属性の最大魔法『メギドラオン』でやられた時、人修羅は死者をも生き返らせる『反魂神珠』のことも忘れて狼狽えていた。
冷静に考えれば解ることなのに、感情に流されて狼狽えてしまう自分が止められない、それは人修羅の強さでもありながら弱さでもあった。
何が起こるか解らない、だからこそこの世界でも、誰かを守ると思ったら決して油断できない。

そんなことを考えている内に、ルイズが大きなため息をついた。
「はぁー…もう疲れたわ、今日はもう寝るわよ」
「じゃあ、俺は外で寝るよ」
「何言ってるの、あんたはちゃんと明日の朝私を起こすのよ。それと、脱いだ服は洗濯しておいてね」

あろうことはルイズはその場で服を脱ぎ始めた。

「…!? …!! ■○◇??+!!?」

「おやすみなさい、ああ、それと古くなった毛布を一枚あげるから、これを使っていいわよ」

ルイズはネグリジェに着替えると、脱ぎ捨てた服と下着、それとタンスの中に入っていた薄手の毛布を人修羅に投げた。
そのままベッドにはいると、指をぱちんと鳴らしてランプの明かりを消す、どうやらこの部屋を照らしていたランプはマジックアイテムらしい。

「………デカルチャー」
人修羅はそう呟くと、薄ぼんやりと光を発する身体を包み隠すように毛布を自分に巻き付けて、体育座りのようなポーズで部屋の隅に座った。

(うわあこの毛布、フローラルな香りがする、これって女の子の臭いなんだろうか、それとも香水の香りなんだろうか……まずいなあ俺実は臭いフェチ?これじゃ本当に変態じゃないか…)
人修羅は、ルイズに協力しようと思ったことを、ちょっとだけ後悔していた。

88 :アクマがこんにちわ:2008/03/23(日) 02:08:47 ID:vM2K01EE
■■■

翌朝、人修羅はいつの間にか眠っていたが、朝日が窓から部屋に差し込んだ瞬間にぱちりと目が覚めた。
瞬間的な覚醒は、人間の身体だったころとは大違いだった、遅刻ギリギリで通学路を走っていた人間は、周囲の環境の変化ですぐに目を覚ましてしまう悪魔になっていた。

「朝か」
窓から空を見ると、まだ朝日が昇って間もないのか、昨日と比べてずいぶん薄暗い気がした、とりあえず床に脱ぎ散らかされた下着や靴下などをひとまとめにして脇に抱え持った。
ドアノブに手をかけ、廊下に出ようと思ったところで、ふと考える。

自分は今半裸だ、上半身裸で、入れ墨にしか見えない模様が体中にある。
他人が俺を見たらどう思うか…ちょっと想像してみた。
『下着を持った前身入れ墨男』

どくん、どくんと、心臓が鳴る。
自分が動揺しているのが解る、体中の魔力が冷や汗と共に対外に漏れだしている感じがした。
ふと自分の腕を見ると、技を放つ時のように、体中の魔力が体表面に満ちて、肌色の部分までもが黒くなっていた。

「落ち着け、落ち着け俺。誰かに見られても、説明すれば変態じゃないって解ってくれるさ」
そう小声で呟いて扉を開け、廊下に出る。
ふと左を見ると、そこには杖を構えた褐色肌の女性がいて、俺をキッとにらみつけていた。

なんで?

■■■

「!!?」

朝、突然隣の部屋から何か得体の知れない力が流れ込んでくる気がした。
何が起こったのか解らなかったが、それが隣の部屋から突然流れ得てきたのには気付くことができた。
廊下に向かって右手側は、ヴァリエールの部屋、そしてその部屋には昨日召喚された男がいたはず。
昨日召喚された男は、途方もない力を持っていると、直感的に理解できた。
あのとき私が召喚した使い魔の、『フレイム』も、男から目を離すことができずにいた。
自分もそうだ、ただそこに存在しているだけで空間が歪むような、そんな力の本流がルイズの召喚ゲートから現れ、目が離せなかった。

ミスタ・コルベールがオールド・オスマンの元に、男を連れて行ったが…その時にはあの驚くべき熱風とも冷水ともつかない力の本流はなりを潜めていた。
それが今、突然あらわれたのだ、もしかしたらあの男がヴァリエールに何かをしたのではないか?

無謀だと思いつつも、キュルケは杖を手にして、ネグリジェ姿のまま廊下に飛び出した。
ほぼ同時にルイズの部屋の扉が開かれ、中から例の男が姿を現した、その手にはなぜかルイズの服…というか下着が抱えられていた。

89 :アクマがこんにちわ:2008/03/23(日) 02:09:44 ID:vM2K01EE
■■■

「…」
顔が赤くなっている、気がする。
昨日、あの草原で見た覚えのある、赤毛で褐色肌の大人なおねーさんが、スケスケなネッネッネッネッネグリジェ!を着てこっちに杖を向けている。
落ち着け俺。
落ち着け、サッキュバスがよく迫ってきたじゃないか、それに比べればなんて事はないはずだ、でも呼び出したサッキュバスはなぜかいつもレオタード姿で俺に迫ってきた。
それに比べて、どうよ、赤毛に褐色肌、放漫なおっぱいにくびれたウエスト、やばいよこれは直視するのは恥ずかしいよ!エッチ臭いよ!
「…服は着た方がいいと思うぞ」
かろうじてそれだけ声を出す、だが目の前の女性は、なおも俺に警戒心の強い視線を向け続けている。
「ひとつ、聞きたいんだが」
「……」
「下着を洗濯しろと言われたんだが、洗濯場所とかあったら教えてほしい」
「……洗濯?」
「そうだ、よく分からないんだが、これも使い魔の仕事らしいから」
「……はあ」

さっきとはうってかわって、呆れたような視線で俺を見る。
やめてくれよ、そんな目で見ないでクレヨ!
年頃の女の子の下着を洗うなんて、俺だって困ってるんだから!

「いいわ、教えてあげる。でも一つだけ聞かせて…さっきの力は何?」
「さっきの力?…ああ、そうか、もしかしたら寝てるのを邪魔してしまったかな」
「何をしたの?身体から勝手に火が出るかと思ったわよ」

俺は少しの間沈黙した、正直に言おうか迷ったからだ、だが、今ここで変な嘘をつくより、正直に言った方がきっと信じてくれる…そう思った。

「この格好で外に出て下着を洗ったら、俺はどんな目で見られるのかと思ったんだ、好きでこんな格好をしている訳じゃないのに、変態だとか言われたら、俺…」
「わ、わかったわ、わかったわよ、ヴァリエールにに危害を加えた訳じゃないのね」
「…むしろ危害を加えられてる気がする」

諦めたような口調でそう言うと、目の前の女性は杖を降ろして、大きなため息をついた。
「まあ仕方ないわね。私はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーよ。私を呼ぶ時はキュルケで良いわ。貴方は?」
「俺は人修羅だ。よろしく。…ところでいいかげん服を着た方が良いと思うんだが」
「あら、心配してくださるのかしら?ミスタ・ヒトシュラは意外と紳士なのね、すぐ案内してあげるからちょっと間っててくださるかしら」
「助かるよ、ありがとう。それと俺は呼び捨てで良いよ」

部屋に入ったキュルケさんは、ゆったりとした作りのワンピースを着て部屋から出てきた、ルイズさんの部屋のお隣さんは、いい人のようだ。
ううっ…人情が目にしみて涙が出そう。

90 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 02:09:54 ID:zYSTk2On
支援

91 :アクマがこんにちわ:2008/03/23(日) 02:11:15 ID:vM2K01EE
■■■

ここトリステイン魔法学院は、空から見ると五角形の形の塀に囲まれているらしい。
それぞれの頂点は塔になっており、それぞれが学生寮などに使われている。
中央の本塔は学院長室や宝物庫、そして食堂があるのだとか。

俺はキュルケさんに案内されて本塔の食堂にやってきた、ここなら朝早くからも人がいるので、話を聞いて貰うには丁度良いそうな。
キュルケさんが、ここで働いている平民の人に声をかけた、よく見るとその人はメイドさんで、黒髪の綺麗な女の子だった。
大和撫子がメイド服を着た感じで、俺は内心穏やかじゃなかった俺、女物の下着を抱えたままで顔を真っ赤にしてたらきっと変態だと思われるから冷静を装っていた、必死で。

俺に代わってキュルケさんが説明してくれたおかげで、変態だと思われることなく、魔法学院付きのメイドさんに洗濯場所を教えて貰うことができた。
俺は『悪い魔法使いの手でこんな姿にされた』らしい。
それを聞いたメイドさんは哀れむような視線で俺を見つめていた。

ところでお洗濯のことだが、メイドさんが言うには、素人にシルクの下着を洗わせたら下着が駄目になってしまうらしい、下着はデリケートなんだとか…
洗ってくれるというメイドさんの申し出が有り難かった、申し訳ないけど。
もしかしたら人生で一番幸福な瞬間ってこういう事を言うんじゃないだろうか。

「それじゃ、私は戻るわ。またね人修羅」
「ああ、ありがとう」

キュルケさんが手を振って部屋へと戻っていく、俺は同じように右手の平を見せて手を振った。

「それでは、洗濯物をお預かりします」
「あの、もし良かったら洗濯場所とか教えてくれないかな、水くみ場とかも教えてくれると嬉しいんだ。いつまでも頼ってたら怒られちゃうしね」
「わかりました、こちらです」
「ありがとう。えーと…」
「私はシエスタです、この学院で厨房付きのメイドをしています。そちらはミスタ・人修羅でよろしいですか?」
「ミスタはいらないよ、呼び捨てにして貰って構わない。よろしくねシエスタ」
「はい」


魔法学院の敷地は、正五角形の頂点に塔があり、塔と塔が塀で結ばれている。
ルイズさんとキュルケさんの住む『寮塔』と、『水の塔』の中間に門が作られており、そこが魔法学院の正門になっている。
使用人の宿舎は正門から向かって右側の『水の塔』とその奥にある『風の塔』の中間に建てられていた、魔法学院の外壁沿いにあるそれは、二階建ての大きな洋風建築であり、右手側に大きな煙突が伸びている。

俺は使用人の宿舎前で、朝日に照らされる本塔を見上げた。
ボルテクス界に変貌した東京とは違い、その建物の姿は清々しさと、ほんの少しのファンタジー臭いを併せ持っていた。

「お待たせ致しました」
「あ、荷物があったんだ。お礼に俺が運ぶよ」
使用人宿舎から出てきたシエスタは木箱を持っていた。
俺はそれをひょいと持ち上げる。
「あ、いけません、人修羅さんはミス・ヴァリエールの使い魔さんですから、そんなことをやらせるわけには…」
「いいって、困った時はお互い様さ」

シエスタは、ちょっとだけ困ったような顔をしたが、すぐに笑顔を見せてくれた。
「ありがとうございます。人修羅さんって、優しいんですね。噂とは大違いです」
「…そうでもないよ。て、ちょっと待ってくれ、噂って何?」
「あ」

シエスタは口を開けて、しまった、と言わんばかりの顔をした。
俺は歩きながら、なるべく優しい口調で、シエスタに噂というのがなんなのか聞いてみることにした。
「この格好は好きでなった訳じゃないんだ、変だと思われるのは解る。言いにくいかも知れないけど、できればその噂がどんなものか教えてくれないか? もし何か誤解されてたら困るからさ」
「はい…あの、夕食の時に貴族様が噂話をしていらしたんですが…東方の蛮族だとか、南方の怪しい部族だとか…」
「あー、まあ、そりゃしょうがないね。この格好じゃなあ」

正直、魔王とか化け物とか言われてたらショックで落ち込むところだった。
シエスタは俺に噂の内容を教えてくれたので、俺の正体を明かしたい…が、俺が悪魔と一体化した人間だと説明しても、怖がるか嘘だと思われるかのどちらかだろう。
俺は苦笑いしてから「気にしてないよ」と言うだけに留めておいた。

92 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 02:11:36 ID:E+KMejnq
支援

93 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 02:12:16 ID:kehDhtB4
ここまで頼りなさげな人修羅は初めてなキガス
支援

94 :アクマがこんにちわ:2008/03/23(日) 02:13:15 ID:vM2K01EE
■■■

「おーい、起きてくれー。 るいずさーん、目を覚ましてくれー。 八時だよ!全員集合!」

「うぅん…何よもう、うるさいわね…きゃああああ!?」
「あ、起きた」

目を覚ましたルイズが見たものは、前身に変な模様が描かれた、人間の男だった。
ベッドから転げ落ちそうになったルイズは、慌てて毛布を引っ張り、身体を隠す。
「ななな、何よあんた!」
「あんたとは失礼な!自分で召喚しておいてそれはないでしょうが!」
「召喚?……ああ、そっか、昨日あんたを召喚したのよね、驚いたわ…」

ルイズは気を取り直して起きあがると、欠伸をしてから人修羅に着替えを手伝うよう指示した。

「服」
人修羅は椅子にかけられたままの制服を、ルイズの脇に置くと、ルイズはだるそうにネグリジェを脱ぎ始めた。
「………」
人修羅は鼻の下を伸ばす暇もなく、呆れた。
「下着」
「し、下着ぐらい自分で取った方が…」
「口答えしないの! そこのクローゼットのー…、一番下の引き出しに入ってるから」

想像を絶する美しさの女神や、男を魅了して止まないサッキュバスに迫られた経験のある人修羅でも、同年代の着替えは狼狽える。
実際には何十年も戦い続け、既に人間の寿命を超えている人修羅だが、あくまでも感性の基準は高校生のままだった。

人修羅は同世代の女の子のクローゼットを開け、中に入る下着を手渡すという、背徳的なドキドキ感を楽しむ余裕もなく、無言で下着を手渡した。
ルイズは下着を身につけると、再びだるそうに咳いた。
「服」
「横に置いたよ」
「着せて」

おいおいマジかよ、と思いつつ振り向くと、下着姿のルイズが眠そうな眼をしてベッドに座っていた。
今朝廊下で会ったキュルケさんといい、この世界の貴族はこんなにも目のやり場に困る存在なんだろうか、それとも俺がおかしいんだろうか。

「平民のあんたは知らないだろうけど、貴族は下僕がいる時は自分で服なんて着ないのよ」
というルイズの言葉を聞き、これは文化の違いだから仕方がないと思って諦めたのか、人修羅は無言で着替えを手伝い始めた。
「男に着替えさせるなんてはしたないなあ」
「何よ、平民のくせに。そんな生意気な使い魔にはお仕置きよ。朝ごはんヌキね」
ルイズは指を立てて、勝ち誇ったように言った。

人修羅は悪魔であり、人間ではない、しかし人間の部分も保持している。
そのため腹が減る、腹が減っても生き続けられるし、空腹感を魔力で誤魔化すこともできるが、なるべくなら『食事』だけは人間に近い感性を残しておきたかった。
だから人修羅は腹が減る。

人修羅はため息をつきつつ、近くの森で食べられそうなものを探した方がいいかもしれない…と考えていた。

95 :アクマがこんにちわ:2008/03/23(日) 02:14:33 ID:vM2K01EE
■■■

ルイズと人修羅が部屋を出ると、向かい側にはこの部屋と同じような、木でできたドアが壁に三つ並んでいた。

今朝はキュルケさんに驚かされて、この塔がどんな作りだったのか調べていなかったなぁ…と思いつつあたりを見回すと、隣の部屋からキュルケさんが姿を現した。

ルイズさんと比べると、背が高くて色気もムンムン、窓から差し込む光は彫りが深い顔と突き出たバストを強調させていた。
ルイズと同じ制服のブラウスを着ているが 一番上と二番目のボタンを外し、胸元を覗かせている。

実は夜魔やサッキュバスの血を引いてるんじゃないだろうか、とまで思ってしまった。

彼女はルイズを見ると、にやっと笑った。
「おはよう。ルイズ」
「おはよう。キュルケ」
ルイズは顔をしかめ、嫌そうに挨拶を返した。
「ちゃんと用事は済んだ?人修羅」
「ああ、おかげで水くみ場とかも教えて貰ったよ、さっきはありがとう」

俺が今朝のお礼を言うと、ルイズは驚いた顔で俺とキュルケさんを見た。

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!なんであんたキュルケと喋ってるのよ!」
「あら、嫉妬?」
「違うわよ!」
癇癪を起こしたルイズさんをからかい、楽しそうに笑うキュルケさん。
喧嘩するほど仲が良いということわざが有るが、この二人もそんな関係なのだろうか。

「それにしても『サモン・サーヴァント』で、平民を召喚しちゃったなんて、あなたらしいわ。さすがはゼロのルイズ」
ルイズがぐっと歯を食いしばった。
「…うるさいわね」

あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。誰かさんと違って、一発で呪文成功よ。おいでフレイム!」
キュルケさんの言葉に続いて、部屋の中からのっそりと、真っ赤で巨大なトカゲが現れた。
ボルテクス界で共に戦った火の精霊『フレイミーズ』によく似た懐かしい熱気が感じられた。きっとこの子はサラマンダーだろう。
「へー、かわいいなあ。よしよし」

俺が手を伸ばすと、サラマンダーは首を持ち上げてこちらを見た。
そのまま猫のように顎を撫でると、嬉しそうに「きゅーん」と小さい声を出した。
「…フレイムが懐くなんて。やっぱり…」
「ん?」
やっぱりとは何だろう、俺がキュルケさんの方を向くと、慌てて顔を逸らしてしまった。
「これって、サラマンダー?」
ルイズが悔しそうに尋ねた。
「そうよ! 火トカゲよ! 見てよ、この尻尾。ここまで鮮やかで大きい炎の尻尾は、間違いなく火虫亀山脈のサラマンダーよ? ブランドものよー。好事家に見せたら値段なんかつかないわよ!」
「そりゃよかったわね」
苦々しい声でルイズが言った。

「素敵でしょ。あたしの属性ぴったりよ」
「あんた『火』属性だもんね」
「ええ。微熱のキュルケですもの」

そんなやりとりをした後、キュルケさんはフレイムの頭を軽く撫でた、おそらく『ついてこい』と命じたのだろう、何となくそんな気がする。
「それじゃ、お先に失礼」

そう言うと燃えるように鮮やかな赤髪をかきあげて、颯爽と去っていってしまう。
サラマンダーのフレイムくんは、大柄な体に似合わない可愛い動きで、ちょこちょことキュルケさんの後を追っていった。

昨日召喚されたばかりだというのに、既に信頼関係を結んでいる気がして、人修羅はキュルケとフレイムのコンビがちょっとだけ羨ましくなった。


96 :アクマがこんにちわ:2008/03/23(日) 02:15:29 ID:vM2K01EE
■■■

キュルケが二人の視界から消えると、ルイズは拳を握りしめ、悔しそうに叫んだ。
「くやしー! 何よ何よ何よあの女! 自分が火竜山脈のサラマンダーを召喚したからって! ああもう!」
「まあまぁ、そんなに怒らなくても」
「何よ!あんたまであの女の肩を持つの!?さっきだって」
「朝、廊下で出くわしてさ、洗濯場所を教えて貰ったんだ」
「何のほほんとしてるのよ!なんであいつがサラマンダーで、何でわたしがあんたなのよ!」
「まあまあ、ほら、サラマンダーじゃ洗濯とか着替えとかできないし」
「平民よりネズミの方がよっぽどましよ!」
ルイズはそう言い捨てると、機嫌を悪くしたままキュルケが消えた方へと歩いていった。
人修羅はルイズから三歩下がって、後をついて行く。
「……辛いだろうなあ」
ルイズに聞こえないよう、小声で呟いた。

■■■

トリステイン魔法学院の食堂は、本塔の一階部分にあった。
位置的には、正面玄関に入ってすぐの場所だと解っていたが、実際に百人以上の人間が座れる巨大な食堂を見ると、その荘厳な雰囲気に驚いてしまった。

二年生のルイズ達は、真ん中のテーブルに座るらしい、食堂の正面に向かって左隣はルイズ達より大人びている気がする、おそらく三年生だろう、彼らは皆紫色のマントを身につけている。
逆に右側では、茶色のマントを身につけた生徒さん達が着席している、おそらく一年生だろう。
人修羅の記憶の中にも似たような場面があった、体育祭で学年別に色分けされたジャージだ。
世界が違っても、学校は似たようなシステムなんだなぁと、またもや感心して「へー」と呟いた。

ルイズの話では、朝昼晩と、学院の中にいるすべてのメイジ達がここで食事を取るらしい。
正面玄関から見て一番奥はロフトになっており、そこには教師らしき年長者達が座って談笑している、何人かはこちらを…明らかに俺を見ている。
左右の階段からロフトに上がれるようだが、俺があそこに行くことは決して無いだろう。
って言うか、上からじろじろ見られるのが恥ずかしい、うう、服がほしいよう…。

気を取り直してテーブルを見ると、見たこともない豪華な飾り付けがされている、陶器に銀細工を施した燭台にはローソクが立てられ、その脇には花が飾られ、大きな籠にはフルーツが盛られ…漫画やテレビでみた貴族の屋敷そのものだった。

人修羅が食堂の蒙華絢燗さに驚き、口をぽかんとあけているのに気づいたルイズは、得意げに指を立て、こう言い聞かせた。
「トリステイン魔法学院で教えるのは、魔法だけじゃないのよ」
「はあ」
「メイジはほぼ全員が貴族なの。『貴族は魔法をもってしてその精神となす』のモットーのもと、貴族たるべき教育を存分に受けるのよ。だから食堂も、貴族の食卓にふさわしいものでなければならないのよ」
「はあ」
「どう?わかった? 本当ならあんたみたいな平民はこの『アルヴィーズの食堂』には一生入れないのよ。感謝してよね」
「へえ、アルヴィーズって言うのか、なんか聞き覚えがあるような…」
「小人の名前よ。ほら、壁際に小人の像がたくさん並んでいるでしょう」

ルイズの言葉につられて壁を見渡すと、確かに壁際にはいくつもの小人の彫像が並んでいる。
「へー、オートマータかぁ、すごい数だなあ…」
「よく知ってるわね」
「まあ、似たような物を見たこと有るって言うか…やっぱり踊るの?」
「そうよ。まあそれはいいわ。ほら椅子をひいてちょうだい。まったく気の利かない使い魔ね」
ルイズが腕を組み、人修羅を見上げた、桃色がかったブロンドの長い髪が揺れるその仕草を見た人修羅は『つんとした顔も可愛くね?可愛くね?』とか言いながら変なポーズを取りたくなったが、変態だと思われるのがイヤなので止めた。
とりあえず無言で椅子を引くと、ルイズは何も言わずに椅子に腰掛けた。

「それにしても、朝から凄い料理だなあ」
人修羅の呟きを聞いたルイズは、当然、と言いたげに顔を上げた。
「これぐらい当然よ、テーブルマナーは貴族の最低限のたしなみよ」

ううむ、と人修羅が唸る。
一時期、暇に任せてボルテクス界で本を拾いまくった、それこそ普段は読まないような雑学の本や哲学の本も読みあさった。
基本的な頭のつくりは一般高校生だったため、難しい本はよく解らなかったが、それでも面白い発見があった。
ある本には、イギリスの貴族はどんなできの悪い子供でもテーブルマナーだけは徹底的に仕込まれると書かれていたのを思い出した。
世界は違っても人間である以上、どこか似通った文化になるのかもしれない…そんな事を考えつつ、自分の座る場所を聞こうとして床を見た。

97 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 02:20:26 ID:cSNjaxqH
支援

98 :アクマがこんにちわ:2008/03/23(日) 02:21:55 ID:vM2K01EE
そこには、皿が一枚置いてあった。

人修羅の脳裏に、ものすごく嫌な予感がわき上がってくる。

「なんか、皿が置いてある」
「そうね」
「なんかスープらしきものが入ってる」
ルイズは頬杖をついて、数々の悪魔と神を従え、妖精や外道に尊敬されるまでになった人修羅に、こう言った。
「あのね? ほんとは使い魔は、外。あんたはわたしの特別な計らいで、床」

「オーマイゴッド」
人修羅はそう呟くと、顔を右手で覆い、ためいきをついた。
床に座って皿を手に取る、よく見るとスープには申し訳程度に小さな肉のかけらが浮いており、皿の端っこに硬そうなパンが二切れ、ぽつんと置いてある。

人修羅は考える。
アクマにとっての食料、霊的エネルギーとも言うべき『マガツヒ』が、今の人修羅には無尽蔵に在る。
だが、人間を捨てきれぬ人修羅は、腹が減るという感性をあえて残している。
しかしマガツヒがあるから死ぬことはない、けれども腹は減る。

人修羅はスープの入った皿を床に置いて、テーブルの上を見た。
あまりの差にちょっとだけ涙が出そうになった。
その上、周囲では学生達が目を閉じて祈りの声を唱和している。
「偉大なる始祖ブリミルと女王陛下よ。今朝もささやかな糧を我に与えたもうことを感謝致します」
というるいずの声が聞こえてくると、いよいよ人修羅も『ああ文化の違いってやつか異文化交流異文化交流…』と考えて、諦めがついたようだった。

とりあえず手を合わせ、呟いた。
「いただきます」

スープを少しずつ口に含み、唾液と混ぜてゆ〜〜〜〜〜っくりと味わう。
とても質素なスープに見えたが、意外にも素材が良いのか調理がよいのか、美味しいのがまた悲しかった。

ふとルイズを見る、フォークとナイフを扱うその手つきは淀みない、背筋も正しい、他の生徒を見ると、鶏肉についた皮に悪戦苦闘している者もいる。

人修羅は、昨日コルベール先生から教えて貰った、ルイズの話を思い出した。
コンプレックス、その一言で片づけるにはあまりにも過酷かも知れない。
ルイズの生まれは、トリステインでも有数、と言うよりは王家に一番近いとまで言われる大貴族らしい。
生まれだけでなく、家族は皆メイジとしての腕も凄いのだとか。
そんな中で産まれたルイズは、魔法がすべて失敗してしまう、サモン・サーヴァントは人修羅が呼び出されたので、一応『成功』扱いを受けているが、本人は納得していないと思える。
メイジは当たり前のように空を飛べる、当たり前のように魔法で扉に鍵をかけ、またそれを解錠できる。
メイジは超能力者のように、魔法で物を浮かせたり、自由自在に操ることもできる。

しかしルイズはそれらが一切できない。

ルイズの姉は昔、魔法学院に在籍しており、それこそトップを独走する程優秀な成績を残して卒業し、今はアカデミーという研究機関で魔法の研究をしていると、オスマン先生が言っていた。
それをふまえた上で人修羅は、自分が受けた扱いを冷静に受け止めた。
貴族と平民の差がこれ程までに絶対的で圧倒的だとしたら、魔法の使えないルイズはどれだけ苦しい思いをしてきたのだろうか。

ボルテクス界で、人修羅は人間だった友達を『殺した』。
弱肉強食を提唱し、弱い者を虐殺しようとする友達を説得できなかった、だから殺した。
すべての存在を引きこもりにして、誰とも干渉しない静かすぎる世界を作ろうとした友達を説得できなかった、だから殺した。

もし、ルイズがあの時、世界の命運を握るハメになったら、ルイズはどんな世界を作ろうと願うだろうか?

コルベール先生は、サモン・サーヴァントについて、こう言っていた。『お互いが必要としている存在が導かれる』と。
それが事実なのか、詭弁なのか解らない、しかし、今はそれを信じてみたかった。

「アー美味しくて涙が出そう」
そんなことを呟いた人修羅のお皿に、ルイズのフォークが伸び、鳥の皮と少しの肉が乗せられた。

ちょっと嬉しかった。

99 :アクマがこんにちわ:2008/03/23(日) 02:23:02 ID:vM2K01EE
二話目は以上です。

100 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 02:24:24 ID:U5J941Qp
乙です〜


101 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 02:39:56 ID:OVZJvjb2
GJ!この作品をきっかけに女転系再開されると良いな

102 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 02:40:46 ID:kehDhtB4

しかしなんだね
地獄のような世界を駆け抜けたうえでこの性格か
大物すぎだろ

103 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 02:42:25 ID:+9pV4RIv
乙です

>>102 同意
アレだけの世界でダチがアレだけの変貌遂げたら、
普通擦れるか少しなりとも性格変わる;
ナカマの存在、かな?

104 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 02:53:02 ID:illNse+m
むしろ、あんな世界に居たから逆にはっちゃけたいのだろ?
仲魔を召喚できたら面白いかもな・・・

小ネタでルイズがCOMPを召喚というネタがきた。
Talkで他人の使い魔を仲間にしたり・・・
ルイズ?もちろん歴代よろしく魔法は使えんぜ!

105 :松下:2008/03/23(日) 02:57:50 ID:paD+8Mss
人修羅乙でしたー。こりゃあ穏やかな悪魔だなあ。

で、つい勢いでタバサ・イザベラものを書いてみたんですが、
今よろしいですかね? 松下の外伝です。

召喚されたのは、鬼太郎なんですが。

106 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 02:58:04 ID:5TzLpSGm

逆に考えるんだ。この性格をキープできたからこそ、数々の悪魔を従えて
あの地獄を生き延びられたんだ。

107 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 02:59:50 ID:cSNjaxqH
パナソニック支援

108 :使い魔くん千年王国・外典 タバサ書 第一章 1/6:2008/03/23(日) 03:00:17 ID:paD+8Mss
投下開始。


始祖ブリミル降臨暦6242年、春の第四月フェオの月。
ガリア王国の三千メイル上空を、今日も一頭の青い竜が主を乗せて飛んでゆく。
竜の主は青い髪に小さな体、眼鏡をかけて本を読む、無表情な一人の少女だ。

私はタバサ、『雪風』のタバサ。本名はシャルロット・エレーヌ・オルレアン。
強大なるガリア王国の王族にして北花壇騎士、そしてトリステイン魔法学院の生徒。
得意な系統は風と水であり、実力はトライアングル級。使い魔はこのシルフィード。
少々肉体的成長は遅いし、性格的に人づきあいには向いていないが、メイジとしては一流だと自負している。

趣味は読書、得意なものはサイコロ博打、好きな食べ物は『はしばみ草』。
嫌いなものは…………『幽霊』。


   使い魔くん千年王国・外典 タバサ書
       第一章 タバサと幽霊


「ふんとにもう、人使いの荒い小娘なのね! タバサお姉さまは疲れてるのね! きゅいきゅい!」
「別に疲れてはいない」

私の使い魔シルフィードは、竜でありながら人語を解し、先住魔法さえも操る古代種族、『韻竜』の幼生だ。
200年ほど生きているそうだが、人間の年に直せばまだ10歳かそこら。精神年齢もそれに近く、騒がしい。
それでも知性は高いし、飛翔速度は通常の風竜より速く、ブレスも吐ける。15歳の少女の使い魔としては破格のものだ。
伝説的な韻竜だとばれたらいろいろと面倒なことになるので、彼女には人前で話さないように命じてある。
その分、こうして二人きりになると、物凄い勢いで喋り出すのだった。

「でも、あのマツシタって子供は大した奴なのね! ギーシュさまをあんなやり方で倒すとは、思わなかったのね!
 平民じゃなくて、普通のメイジでもないなら、きっとエルフか妖魔のたぐい!
 あんな先住の魔法、わたしだって見たことないの! お姉さまも気絶しちゃった! きゅいきゅい!」
「黙りなさい。うるさい」
「はい。しゅん」

マツシタとは、私の同級生ルイズ・フランソワーズが『東方』から召喚したと噂される、奇妙な使い魔だ。
8歳ぐらいの人間の子供に見えるが、見たこともない魔法を操り、一昨日ギーシュというメイジと決闘して勝った。
おぞましいことに、大量の蛙とネズミを呼び寄せて、だ。あまりのことに私の意識も飛んだ。
その後はルイズの身の回りの世話をしつつ、なにやら新興宗教らしきものを説き出したとか。興味深い。

ちなみに今読んでいる本は、シゲル・ド・ミズキ著『ねぼけ人生』。
うむ、なかなか哲学的だ。

109 :使い魔くん千年王国・外典 タバサ書 第一章 2/6:2008/03/23(日) 03:02:21 ID:paD+8Mss
それはさておき、まずはこちらの用事を片づけねば。
向かう先は、ガリア王国の首都リュティス。その東に築かれた壮大な王宮、ヴェルサルティル宮殿。
さらに言えば、その中のプチ・トロワという薄桃色の邸宅にいる、イザベラという少女がタバサを呼びつけたのだった。

「でも、いくらわたしが一時間に100リーグ以上は飛べるといっても、
 トリステイン国境からヴェルサルティルまでは1000リーグはあるのね! 半日がかりなのね、ふんとに!」
「だから、私は余計にこき使われることになった。もうすぐ夜になる、急いで」


ハルケギニア最大の国家・ガリア王国には、現在ジョゼフ一世が君臨している。
彼は『無能王』と呼ばれるほど魔法の才能が乏しく、性格も奇矯であり、王の器ではないと噂されてきた。
しかも彼の弟・オルレアン公シャルルは、兄の分の才能を全て奪い取ったのではないかと思われるほどの天才だったのだ。
彼は5歳で空を飛び、12歳でスクウェア級に達したという。

その上、性格も善良かつ高潔・温和であり、無能な兄をいつも励ましていた。
前の国王は臨終に際しジョゼフを次期国王にするよう命じたが、その時もシャルルは喜び、よき臣下になろうと言ったものだ。

だが、だからこそ兄は弟を深く恨み、妬み、羨望し、愛し、憎んだ。

侮蔑ではなく、同情だと? 憐憫ではなく、励ましだと?
よくも、よくもよくもよくも。お前に何が分かる、神童で天才のお前に、お前なんぞに!

兄は弟を狩猟に誘い、その途中で流れ矢がシャルルを襲った。
シャルルの妻は、娘に毒杯が与えられると知って、自らその杯を飲み干した。
そして心を失った彼女と、シャルルの娘・シャルロットは、ジョゼフの保護下に置かれた。
オルレアン公派の反乱を抑えるための、人質だ。

シャルロットは、それ以来本名と感情を捨てて『タバサ』と名乗り、騎士としてガリア王家に仕える身となった。
騎士と言っても、『北花壇騎士(シュヴァリエ・ド・ノールパルテル)』といえば、普通の騎士ではない。
いわば忍者、つまりは王家の裏の用事を執行する、汚れ役なのだ。
今タバサが向かっているのは、北花壇騎士の団長のいるところ。
その団長というのが、人もあろうに17歳の姫殿下、ジョゼフの娘にしてタバサの従姉、イザベラなのであった。


さて、こちらは夜のプチ・トロワ。
イザベラ姫殿下は、にやにやと厭な笑みを浮かべながらベッドに寝そべり、タバサの来るのを待っている。

肩まで伸ばされた青く柔らかな髪、細い目に青い瞳。ガリア王家は代々、この青い髪と瞳を持って生まれてくる。
大きく豪華な冠は前髪を持ち上げ、つやつやした額と、高貴で整った顔立ちを見せる。
生まれてこの方、苦労を知らない唇はぽってりと厚く、艶めかしい。黙っていれば立派な姫君だ。

さあ、しかしその性格ときたら……。

110 :使い魔くん千年王国・外典 タバサ書 第一章 3/6:2008/03/23(日) 03:03:35 ID:paD+8Mss
「姫殿下! に、人形七号さま、おいでになられました!」
「あいつに『さま』は余計だよ、人形七号で充分さ!
 そう、あれは姫君じゃあないんだ、鉄仮面だよ、ガーゴイル(魔法人形)だよ!」
ひん曲った性格のイザベラは、本日至極上機嫌だ。つまり彼女の性格にマッチした、悪だくみを思いついたのだ。

彼女は侍女を下がらせ、部屋の隅にうずくまる、黒い影たちに呼びかける。
「やあやあ待たせたね、お客さまがやっと来たようだよ!
 さあお前たち、たっぷりとあいつを『歓迎』してやんな! ケケケケケケケ」
イザベラは姫君らしからぬ、下品で粗野な笑い声をあげるのだった……。


タバサは前庭にシルフィードを下ろし、衛兵に杖と手綱を預け、彼女に食事を与えるよう命じた。
それからすたすたとプチ・トロワの建物へ入って行く。世が世なら、自分の住居だったかも知れない。

「……薄暗い」
中はやけに暗い。灯りが点いていないことはないのだが、夜の割に少なすぎる。
それに、人もいない。道は分かっているから、迷うようなこともないが……。
何だろう、この肌寒さは。むしろ、悪寒は。なにやら空気も生暖かく、生臭いような。

不意に向こうの廊下を、ふわりと光るものがよぎった。
「!」
……魔法。魔法の提灯だ、あれは。決して人魂とかそういったたぐいのものではない。
この魔法万能の世の中に、宮殿の中に、そんなあれだ、アンデッド的なものがうろつくなどということが。

ぬっ、と目の前に、壁が現れた。掌で触ると漆喰で塗ったようでも、何かのゼリーのようでもある。
おおおおお、おちくて。落ち着け。気の迷いだ、もしくは『護身完成』の証だ。
こういう時は、座って一服するといつの間にか消えているものだ。壁の下の方を棒で払うとか。

そう思って後じさりすると、どん、と誰かにぶつかった。

「あ、すいませぇん」

…………! !!! 髑髏、骸骨、ゆゆゆゆゆゆ、ゆう、霊。

ぞろぞろと私の後ろに湧いて出てくるのは、白いぼろぼろのローブを纏った、大きな頭の骸骨たち。
ひひひひ、人魂もふーわりふわり。……いやいや、これは幻だ、自分の心が見せている幻覚に過ぎない。
目を覚ませ、寝たら死ぬ。起きていても死ぬ。私は誰でここはどこだ。

111 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 03:04:31 ID:cSNjaxqH
支援


112 :使い魔くん千年王国・外典 タバサ書 第一章 4/6:2008/03/23(日) 03:06:18 ID:paD+8Mss
「さあみんな、『はひふへほ』を唱えよう!」

ゆゆゆゆ、幽霊どもは冒涜的にもざわざわと集まり、私の周りを呪わしくも取り囲み、そしてそして。

 「は」   「ひ」
     「ふ」  「へ」
  「「「ほーーーーーーーーーっ」」」

一斉に吐き出された「ほーーー」という冷たい息をまともに受け、私は気絶した。


やがて幽霊たちが立ち去ると、『塗り壁』の中からイザベラと、縞模様のチョッキを着た子供が出てくる。
「イヒヒヒヒッヒヒヒ、のびちまいやがった! ああ、なんていい気味なんだろうねえ!
 でかしたよ、あんたは立派な使い魔だよ、キタロー!!」
「うわぁ、お褒めにあずかり、光栄です。キッヒヒヒヒヒヒヒヒ」

イザベラはなんとも嬉しげに笑いながら、少年の頭をぐりぐりと撫でる。
キタローと呼ばれた片目の少年は、じつに不愉快な笑顔で不吉な笑い声をあげた。
気絶したタバサは、侍女によって別室に移されていった。

そう、彼こそは墓場鬼太郎。昭和某年2月30日生まれ。
数万年前、人類以前に繁栄した妖怪的種族、通称『幽霊族』の末裔。
様々な異能力を持ち、係わるものを不幸と死に陥れ、行く先々に怪奇と不吉をまく怪しい少年だ。
のちにゲゲゲの鬼太郎と名乗り正義の味方となるが、それはそれ。

その有名なる彼が、なぜ王宮なんぞという晴れがましい舞台にいるのであろうか?
―――もちろん、我らがイザベラ姫殿下に召喚されたからに決まっているじゃあ、アーリマセンか。


イザベラ・ド・ガリア姫殿下は、先日ものの試しで『サモン・サーヴァント』の儀式を行ってみた。

従姉妹のタバサがスクウェア級にも迫ろうかという天才的メイジなのに、自分はせいぜいドット。
やっぱり父親の才能の違いだろうか。いやいや、あたしだってガリア王家の直系じゃあないか。
無能な父親を飛び越して、ご先祖様達のような大魔法使いにだってなれる素質はあるんだ。
けっ、あの人形娘が風竜を呼んだってえんなら、あたしは悪魔でも召喚してやろうかい。てやんでいべらぼーめ。

「……くとぅるう、ふんぐるい、むぐるうなふ……!!
 このガリア王国王女たる、あたしにふさわしい強力な使い魔よ、今ここに現れ出でな!!」

113 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 03:07:31 ID:cSNjaxqH
しえn

ってそっちの鬼太郎ですかい!?


114 :使い魔くん千年王国・外典 タバサ書 第一章 5/6:2008/03/23(日) 03:08:15 ID:paD+8Mss
それなりに気合いを入れて、イザベラは自分の広い部屋で召喚を行う。
すると、ぽあ〜っ、と気の抜けるような音がして、生暖かい風と共に何ものかが現れた。

床を見れば、貧相で小柄な少年が仰向けに倒れている。縞模様のチョッキと粗末な服を着て、片目が潰れた醜い子供。

………はい? え、なにこれ? 悪魔は、風竜はどこ? もしもーし。

「……おい、起きな。起きろよ、こら」
 「むにゃむにゃ、ねーこちゃーん、カロリーヌちゃーん。でへへへへへ……」

「………起きろっつってんだよ糞貧民!!!! こ、この×××の●○△!!!!」
ぶち切れたイザベラは、少年の大きな頭をボカッと蹴り飛ばした。
「うわぁあ、とてつもないことしやはるぅ」
少年はそう言うと、ふらふらばったりと今度はうつ伏せに倒れこんだ。

……あれですか? 始祖ブリミルのどぐされ野郎さま、こいつをぶち殺して新しい使い魔を召喚しろってか?

「おい、さっそくで悪いけど、死んでくれるね? こら、このガキ」
「わぁ、待ってくだされ! この鬼太郎が何か無礼でも致しましたかな」
ひょこっとクソガキの髪の間から、胴体と手足の生えた目玉が出てきてこんにちは。


   わ〜〜〜
     キャーーーーッ


イザベラは劇画風のタッチで驚愕した。こりゃあ、バグベアーの珍種か?
「な、ななななんだいあんた、目玉に胴体と手足がくっついて、何だってんだい!?」
「わしゃあ、この鬼太郎の父親ですじゃ。事情によりこんな姿になっちょります。
 あのう、貴女さまは、どうやらどこかの国のお姫さまとお見受けいたしますが」

こいつは、姿はともかく口ぶりはまともそうだ。どこに口があるのかよく分からないけど。
「そ、そうさ! あたしはね、ハルケギニア随一の大国、ガリア王国のイザベラ王女さまだよ!
 どうだいモノノケめ、聞いて驚いてくれたかい?」
「ガリア? ハルケギニアですと? ふーーむ……ふむ?」
「……う、うん。知らないのかい?」

こいつらモノノケには、人間の王国の権威は通用しないのだろうか。イザベラはちょっとしょんぼりした。

とにかくクソガキ、キタローの方は気絶してしまって起きないので、目玉に話を聞くことにした。
どうやらこいつらは遠い異世界から来た連中で、結構いろんな能力を持っているらしい。
ガリアのこと、ハルケギニアのことも、基礎的な情報はこいつの方に与えておこう。

115 :使い魔くん千年王国・外典 タバサ書 第一章 6/6:2008/03/23(日) 03:10:27 ID:paD+8Mss
「ふうーん、まぁ能力としてはそこそこなわけね」
「ええまあ、そうですなあ。我々幽霊族というものは、昔はそりゃー凄かったんですからのう。
 そんじょそこらの妖怪よりは、格が上ですわい」
「幽霊族ってさっきから言っているけど、要するにあんたら幽霊なの?」
「いやあ、幽霊と人間に思われているだけで、単なる幽霊とは違いますな。
 霊的な能力には非常に優れておりますが、病気や死というものもありますから」

幽霊、モノノケ、妖怪変化。まあ似たようなものだ、どっちにしろ面白いじゃあないか。
それに、あのクソ生意気なガーゴイル娘は、幽霊やお化けが大嫌いだって調べはついてるんだ。
となれば、やることは一つ。

「そんじゃあ、このキタローってガキは、あたしが召喚したんだから貰っとくよ。
 あんたも保護者なら、一緒にあたしの使い魔になりな。頭は良さそうじゃあないかい」
「つ、使い魔ですと!? そんな、誇り高い我々が、人間の召し使いなんかに」
「お金は山ほどあるし、衣食住の心配は全くないよ。安心しな、そんなにこき使いはしないから」
「し、しかしですな」
「ぐだぐだ言ってるとガラス瓶に詰めちまうよ。とにかくあたしは決めたんだ、有り難く使い魔になるんだね!
 『我が名はイザベラ・ド・ガリア。五つの力を司るペンタゴン、この者に祝福を与え、我が使い魔となせ』!」

気の短いイザベラはさっさと鬼太郎との契約を済ませ、使い魔にしてしまった。
こうなると、使い魔のルーンの効果で主人への好意が刷り込まれ、いいなりではないにせよ離れがたくなる。
そしてイザベラの、さっきの悪だくみが始まったというわけだ。

「とほほほ……まあ、姫さまなんちゅうもんは気まぐれじゃから、いつかはわしらを解放してくれるじゃろう。
 当分カネや衣食住に不自由はせんし。どこへ行っても自由さえあれば、住めば都なんじゃがなあ」


ガラガラガラと、大都市リュティスの大通りを、割と豪勢な馬車が駆けてゆく。
それに乗っているのは、煙草をくゆらせた貧相な子供だ。道をぶらついていた乞食が、彼を見て仰天した。

「アッ、鬼太公じゃねぇか!? きさまー、就職したなあ!?」
「なあんだ、ねずみ男くんじゃないか。イザベラ姫殿下に召喚されてね、はひふへほ!
 チョコレートのかけらぐらいなら、恵んでやってもいいぜ。それとも煙草がいいかい、ケケケケ」

鬼太郎は、煙草のけむりをふーーっとねずみ男に吹き付けて去って行った。

「けえーーっ、ばかにしやがってこん畜生! 成金のブルジョワ野郎!
 俺さまだってなあ、その気になりゃあいくつもの店舗を経営して実業家になれるんだからな!
 この国の姫様だかには税金納めてやんねえぞ! そこから転落したときに、ほえづらかくなよぉ!!」

どうも、彼も誰かに召喚されたらしい。あまりの不潔さに追い出されたのだろうか?
発奮したねずみ男は、間もなく地図と風竜を盗んで遥かトリスタニアへ向かい、
そこの武器屋と秘薬屋を乗っ取って商売を始めるのだが、それはまた別の話。

(つづく)

116 :松下:2008/03/23(日) 03:13:01 ID:paD+8Mss
投下終了、支援感謝。
先日アニメ放映終了の、墓場の鬼太郎です。…タバサの鬼太郎?
タバサには災難ですが、つづいたりしてコレ。

次回タイトル、「霧の中のタバサ」。ケケケ……。

117 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 03:14:06 ID:cSNjaxqH


ってなんかのぺっとした絵と点画で描かれたゼロ魔が浮かぶようです。

118 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 03:58:20 ID:VuUtU0uG
>>82
そうは行かない、「所詮はネタだ」
と言う事で「オールドキングルート」のFA主人公を召喚すると言うネタが
…でも「コジマ粒子」どうしよう、実は「ハルキゲニアの住人には遺伝的耐性が」とでもするべきだろうか

フーケのゴーレムにグレネード撃ち込んだり、VOBでアルビオン行ってみたいと思ったり
ついでにレキシントン以下レコンキスタ空中艦隊をグリントミサイルとハイレーザーで殲滅
…やっぱACはゼロ魔にあわないな、ACはマブラヴとクロスさせるべきなんだろうか

119 :ゼロのエルクゥ 0/6 ◆yxbMPy6fic :2008/03/23(日) 04:14:58 ID:l42nZGK7
準にゃんが俺の婿と聞いてやってきました。
5分後に投下したいと思いますー。

120 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 04:15:12 ID:xwvVx+jC


こいつらならどこに行ってもたくましく生きてくだろうなあw

121 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 04:19:02 ID:aYkrbQIP
支援!!!!!!!!!!!!

122 :ゼロのエルクゥ 1/6 ◆yxbMPy6fic :2008/03/23(日) 04:19:49 ID:l42nZGK7
 結論から言えば、間に合っても間に合わなくても同じだった。
 大学の講義室を思わせる、すりばち上の構造になっている教室に戻るなり、

「皆さんお疲れさまでした。本日の授業はこれでおしまいとしますので、皆さんは今日1日、使い魔との親睦を深めてください」

 と解散となってしまったのだから。
 コルベールは、解散宣言を出すや否や、何をするのも惜しい、といった様子で、教室を走り去っていく。
 彼と話をしてみようと考えていた耕一だったが、ルイズに合わせて一番後ろの席についていた耕一には、引きとめる間すらなかった。

「……あー」

 本来ならエルクゥ同士でしか感じられないはずの感情のシグナルすら、あのコルベールからは感じられたような気がした。
 混じりっ気なしの、『好奇心』という色が。

 ……どうしよう。
 考えていた行動計画が初っ端から頓挫して、耕一はぽりぽりと頭を掻いた。
 あの様子だと、追いかけてもまともに話を聞いてくれるかどうか危うそうだ。

「……ん?」

 やるかたなしに周囲を見渡すと、耕一とルイズを遠巻きに見つめ、ひそひそと声を潜めるグループが、ちらほら。
 それらの声や態度から読み取れる感情は―――困惑だとか、虚勢だとか、侮蔑だとか、嫌悪だとか。あまり良いお話ではなさそうだった。
 ま、大方、さっきの出来事を計りかねているんだろう、と、耕一はそれを意識から切った。

「何ぼーっとしてるのよ。行くわよ」

 そんな声に振り向くと、ルイズが既に席を立って、入り口に歩き出していた。

「行くって、どこへ?」
「部屋に帰るのよ。ついでに学院内の案内もしてあげるから、早くしなさい」
「ん……わかった」

 耕一は少し悩んだが、今さっきのコルベールを無理に追ってもしょうがなさそうだと思い直し、ルイズに従って席を立った。

123 :ゼロのエルクゥ 2/6 ◆yxbMPy6fic :2008/03/23(日) 04:21:22 ID:l42nZGK7
「今居るここが、2年生の教室塔よ。で、真ん中の一番大きな塔が本塔。本塔には、先生方の事務所、アルヴィーズの食堂、宝物庫、医務室、男子寮……。
 その他、この学院の主な施設が集まってるの。本塔の一番上が、学院長であるオールド・オスマンのお部屋」

 教室のある建物から出て、ルイズは指差しながらそんな説明をしてくれる。

「本塔を囲むように、5つの塔が、ペンタグラムを模して配置されているの。1年生、2年生、3年生の各教室がある塔に、ここで奉仕する平民たちの寮、そして女子寮の5つ。
 それぞれがアーチで区切られた広場を、それぞれ、ノルズリ、スズリ、アウストリ、ヴェストリ、ユミルの広場と呼んでいるわ」

 本塔と教室塔との間には、荘厳な石のアーチ建築で、通路が掛かっている。他の塔ともそうなのだろう。

「これは、始祖ブリミルと、5つの系統魔法を表しているの」
「しそぶり……なんだって?」
「始祖ブリミル。あんたってホントに何にも知らないのね」

 聞いた事のない固有名詞に首をひねる耕一に、ルイズは呆れたようにため息を一つついた。

「ブリミルっていうのは、今から6000年ぐらい前、このハルケギニアに降り立った伝説のメイジよ。神様から、"虚無"と呼ばれる今はもう失われてしまった系統の魔法を授かって、自分でも火、水、土、風の4つの系統魔法を生み出した。
 その力でもって、ブリミルと、ブリミルに魔法の力を授けられた貴族のご先祖様たちは、ハルケギニアに跋扈していた先住種族や亜人、魔獣たちを討伐し、人間の住めるところにしたの。
 そして、彼の4人の子供がそれぞれ、今このハルケギニアにある4つの王家の始祖となったのよ」

 だから、全てのメイジの始祖。始祖ブリミル。
 ハルケギニア(ここら一帯を表す地名らしい。話を聞く限り、文化圏、と言った方が正しいかもしれない)では、神と並んで崇拝される、伝説の偉人だという。

「キリストみたいなもんか」
「きりすと?」
「こっちの世界で、数々の奇跡を起こしたって言われて、神の子って呼ばれてる人だよ。2000年ぐらい前の人だったかな」
「ふーん……聞いた事ないわね」

 興味なさげに、ルイズは鼻を鳴らした。
 クリスチャンなら気分を害しただろうが、耕一は宗教的にはちゃらんぽらん甚だしい日本人であったので、苦笑を返すだけだった。

124 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 04:22:07 ID:aYkrbQIP
自重しろ俺 何だよpageってコルベールかよorz

125 :ゼロのエルクゥ 3/6 ◆yxbMPy6fic :2008/03/23(日) 04:23:13 ID:l42nZGK7
「一回りして、場所だけ確認しましょ」
「ああ」

 ぐるり、と、5つの塔を繋ぐ石の外壁に沿って回り、塔と広場の名前や、正面門のそばにある馬の厩舎などの説明を受ける。馬は、地球の馬となんら変わらないようだった。
 途中の広場には、ルイズと同じ2年生であろう、使い魔らしき様々な動物とじゃれあう少年少女たちが溢れていた。
 犬猫のような馴染みある動物から、見たこともないような動物、果たして動物なのやら疑問符がつくようなナマモノも多く、ここはファンタジー世界なんだなぁ、と否応無く実感させてくれた。

「しかし、結構広いな……」

 一周に20分はかかった気がするぞ、と腕時計を見る素振りをして、家に居るときには外していた事に気付いた。

「……そういや、今何を持ってたっけな?」

 思いついてポケットの中などを探ってみるが、文明の利器っぽいものは何も見つからず、あったのは丸まったコンビニのレシートだけだった。
 まあ、感熱紙も立派な文明の産物であり、コルベールあたりが聞いたら飛び上がって驚いた後に『"火"で文字が書けるなんて! なんという素晴らしい紙なんだ!』などと狂喜乱舞する事だろうが、残念ながら現状、単体で何かの役に立つとは言いがたい。

 ―――携帯電話とか財布とかも部屋に置きっぱなしだったっけなぁ。いくら楓ちゃんとのまったり時間だったとはいえ、身軽すぎだろ俺。

「何ゴソゴソしてんのよ」
「ああ、いや、今自分は何持ってたかなって、持ち物の確認をな」
「何かあったの?」
「役に立ちそうなものは何も」

 そう。とやっぱり興味なさげに言って、ルイズは、自分の部屋があるという女子寮に入っていく。

「って、俺も入るのか?」
「当たり前でしょ。使い魔がご主人様と一緒に居なくてどうするのよ」
「いや、だとしても、女子寮に男が入るのはまずくないか?」
「使い魔のオスなんか誰も気にしないわよ」
「……さいですか」

 無理をしている感がなくもなかったが、大人しく頷いておいた。
 外壁と同じ石作りの廊下を歩き、一つの部屋にたどりつく。
 鍵を差し込み、ドアを開ける。

126 :ゼロのエルクゥ 4/6 ◆yxbMPy6fic :2008/03/23(日) 04:24:45 ID:l42nZGK7
 ルイズの部屋は、寮部屋というにはちょっと広すぎる部屋だった。さすが貴族というところだろうか。

「……うーん、これが格差ってやつか……」

 所々に施された意匠や、華美な装飾の家具、天蓋付きのキングサイズベッドと……東京の自宅であるワンルームを思い出して、耕一はちょっと悲しくなった。
 柏木は名士の家。鶴来屋グループという有数の企業体を牛耳る一族なんてとんでもない金持ちであるし、召喚される直前までいた柏木の屋敷も、一般的な日本家屋とは比べるのも馬鹿らしいほど広い家だ。
 しかし、本家から長い事離れて暮らしていた耕一の金銭感覚は、庶民そのものであった。

「はぁ。なんだか疲れたわ」

 ルイズはぼふんとベッドに体を投げ出すと、そのまま仰向けに倒れ込んだ。

「おいおい、服が皺になるぞ」
「ならないわよ。学院の制服には『固定化』がかかってるんだもの』
「こていか?」
「物を保存する魔法よ。食べ物にかければ腐らないし、金属なら錆びなくなるし、服なら皺や汚れがつかなくなるわ」
「はー……便利なもんだな」
「普通は一着一着服になんかかけないけど、伝統あるこの学院の制服は特別ね」

 そう言うと、気だるげに上半身だけを起こす。

「そんなところに立ってないで、座りなさい。本当に何も知らないみたいだから、色々と教えてあげるわ」

 言われるままに、近くにあったテーブルについた。

「さて、まずは使い魔の役目からね。契約した使い魔は、主人の眼となり耳となる能力を与えられるの」
「眼? 耳?」
「使い魔が見たり聞いたりした事を、主人も知る事が出来るのよ」
「へえ。俺が見てるものが見えるのか?」

 言ってみると、ルイズは腕を組んでしばらくうーっとうなった後、口をへの字に曲げた。

127 :ゼロのエルクゥ 5/6 ◆yxbMPy6fic :2008/03/23(日) 04:26:30 ID:l42nZGK7
「……見えないわ。あんたじゃ無理みたいね」
「そっか」

 感覚の共有か。エルクゥの精神感応に似てるな。
 そんな事を思いついて、試しにルイズにシグナルを向けてみた。色は……そうだな、『外敵に気をつけろ』とでも―――。

「ひゃっ!? な、何今のっ!?」

 送った瞬間、ルイズがビクンと体を震わせて驚いた。

「お。通じるのか」
「な、何やったのっ!? なんか黄色くなってぞわって悪寒がしたんだけど!」
「俺の一族は、そんな風に意識を通じあわせる事が出来るんだ。もしかしたらと思ってやってみただけ。ちなみに今送ったのは、『外敵に気をつけろ』っていう警告の信号」
「……本当に亜人だったのね、あんた」
「なんだ、信じてなかったのか?」
「別の世界だとか妙ちきりんな事言われても、信じられるわけないじゃない」

 ま、それもそうだ、と耕一は何も言わなかった。
 耕一だって、あの事件が起こらなかったら、鬼だのエルクゥだの聞いても一笑に付すだけだっただろう。

「あんた、何か他に出来る事はあるの? というか、あんたの種族って何?」

 そう聞かれて、むっと腕を組んだ。

 エルクゥ。人を狩る鬼。人を狩る事に愉悦を覚える狩猟者。
 強靭な身体能力を持ち、人の命を感じ取る事ができ、同族と意識を通じあわせ、宇宙進出を果たせるまでの科学力を生み出す高度な知性を持つ。

「何よ。黙り込んじゃって」
「いや、どう説明したもんかなぁと」

 ……そんな事を言ったら、全力で討伐されそうだ。

「……むぅ」
「まぁ、何を悩んでるのか知らないけど、後でいいわ。こっちの話を続けるわね」

 こほん、と仕切りなおすように咳払いをした。

128 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 04:26:58 ID:aYkrbQIP
単騎支援!

129 :ゼロのエルクゥ 6/6 ◆yxbMPy6fic :2008/03/23(日) 04:27:55 ID:l42nZGK7
「使い魔の役目だけど、次に、主人の望むものを見つけてくる、っていうのがあるわ」
「望むもの?」
「例えば、秘薬の材料とか。硫黄とか、コケみたいな」
「へえ」

 そういう化学的な面もあるのか、とちょっと感心した後、硫黄なんて、元の世界と同じ物質があるのか、と驚いた。

「何か知ってるみたいだけど、何か取ってこれそうなの?」
「いや、無理かな……硫黄っていうのは俺の世界にも存在するけど、どうやって取るのかまでは知らない。ごめんな」
「ふーん。ま、期待はしてなかったからいいわ。本来、水の中とか、火山の火口とか、高い山の上とか、地中深くとか、そういう人間が行けないところから材料を取ってくるのが貴重って意味だもの」
「なるほど。高いところぐらいなら何とかなるけど、他は厳しいな」
「……そ、その時になったら頼むわ」

 先程の人間ジェットコースターを思い出したのか、ルイズはぶるりと一つ震えた。

「最後、これが一番重要なんだけど、使い魔は主人を護る存在であるのよ。その能力で、主人を敵から守護するのが一番の役目! あんな事が出来るんなら、もちろん簡単よね?」
「……そうだな。簡単かどうかはわからないけど、それならなんとかなりそうだ」

 人を狩る為に生み出されたエルクゥの力を、人を護る為に使う、か。
 元の世界に居る時もそうあろうとはしていたが、現代日本では、そうそう純粋な戦闘能力が発揮される事などない。
 実際にそれを揮う機会があるとなれば、それはなかなか魅力的な提案に思えた。

「さて、それじゃあ次は、あんたの事を教えてくれる? 使い魔の事を知らないメイジなんて、主人失格だもの」
「そうだなぁ。さて、何から話そうか―――」

 当り障りのないように、エルクゥの能力の事だけを吟味して話しているうちに、太陽はその身を休め―――ハルケギニアの双月が、夜を照らしだした。

130 :ゼロのエルクゥ ◆yxbMPy6fic :2008/03/23(日) 04:30:20 ID:l42nZGK7
説明垂れ流しっぽいですが、これにて終了です。支援ありがとうございました。

131 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 04:33:51 ID:KNnkMSM3
お疲れさまです。

132 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 04:34:12 ID:aYkrbQIP
乙です!
好きな作品が投下速いからウレシスギ

133 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 04:37:50 ID:xeD3Xz2Q
エルクゥの人乙です。
まぁ、世紀末にでもならない限り個人の戦闘能力は使われませんからね〜。


アクマさんも乙です。クオリティ高くて仕事も速い職人が多くて俺歓喜。

うん、本当にフランクな人修羅さまだ。
きっと、多くの悪魔に慕われてたんだろうね〜。
場合によってはダンテも仲魔になるんだよね。閣下ENDだし。

やっぱりティターニアとかサキュバスはつれて歩くよね!ね!?

134 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 05:01:25 ID:aYkrbQIP
他力本願だけどFF4からリディア呼ばれないかな〜
あと中の人つながりでパロム、ポロム
召喚されて「これで私もみんなとおなじだ」と少しズレたリディアなんてどう?

135 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 05:12:29 ID:2oiqb8kc
そういや話題だけ出て結局召還されてない奴ってどんなのがいる?

136 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 05:30:17 ID:+5t8VzxP
他の所でも人修羅の召喚もの読むけど
やっぱり喋ってしまうとオリキャラにみえてしまって
文章がうまくても、なんだか納得できなくなってしまうんだよなぁ。


137 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 06:20:52 ID:MLRXoEkt
ナイブズさんとか召還したら面白いと思うんだ
もちろん本編終了後の

138 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 06:53:46 ID:qaa2CI0P
>>135
「戦国ランス」の謙信ちゃん。
ノーマルor帝モードそれぞれで「俺が書くぜ!」ってレスはあったんだが・・・・。

139 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 07:37:06 ID:eIvSCr50
>>138
そいつは夢のある話しだ。

140 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 07:52:18 ID:wHU41bJ/
リーフネタなら「ゼロ魔ファイト’97」とか
ルイズがガディム召喚 色んな世界のルイズの使い魔達もハルケギニアに集合

141 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 08:53:53 ID:P8qhI0vG
>>136
一応、中の人がいる人修羅だと、TRPG版女神転生リプレイの人修羅がいるけど。
ドマイナーだからなぁ。ファンからでさえ、あんまり評判よくないし。

142 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 09:20:52 ID:SBLbf6nj
リーフネタなら
『雫』の瑠璃子ハッピーエンド後から、長瀬祐介召喚とか。

……ゼロ魔世界じゃ、生物限定で無敵だなコイツ。

143 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 09:30:45 ID:SBLbf6nj
『生物相手限定で』の間違いだった。それに祐介自身は一般人だから、隙突かれればヤバイし。

うーむ…瑠璃子トゥルーエンド後の場合は瑠璃子失った事でやけっぱちになってそうだし、戻る理由も無さそうな。
元の世界に戻る為に躍起になるだろうハッピーか、それとも残る事を選ぶかもしれないトゥルーか…悩み所。

トースターエンド後は一発ネタにしかなりそうに無いな。

144 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 09:54:47 ID:aXfzBZhO
みんなSEXし続けろ!の人ですか

145 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 09:59:09 ID:NAEwTQcv
ああぶっ壊れたカミーユね

146 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 10:09:32 ID:wDKK8WZU
工画堂の蒼い〜シリーズからナノカ召還とかどうだろう?
お気楽能天気な性格で飛び道具相手にも近接戦で勝ちを?ぎ取る娘だから戦闘も何とかなる・・・か?

まぁ、万能工具振り回せば何でも作れるから個体性能以外の面でかなりチートキャラだしなぁ。

147 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 10:19:42 ID:y5Hd/oWV
キラ召喚

ガリア王とガチンコ知略戦

148 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 10:50:26 ID:AFQN9XEa
え?キラって寝取りのキラじゃないの?

149 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 10:57:33 ID:aEkCIWZQ
HAHAHA
なにいってやがりますか、殺人鬼なら姉妹スレにいるじゃないか。

150 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 11:00:18 ID:vRYlioEW
>>147
いつも言われていることだが、登場人物より頭よくないと書けないぞ

151 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 11:02:12 ID:kU9RrOmO
吉良上野介だったらトリスティン建て直しそうだな

152 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 11:17:03 ID:TfzSI6NX
スーパーコーディなら
キラ「やめてよね…本気で喧嘩したらギーシュが僕にかなうはずないだろ?」

ライトなら
ビッチや無能王をデスノートで抹殺して新世界の神に

吉良上野介なら
腹を召させられたリッシュモンの家臣が討ち入りに

153 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 11:19:12 ID:Mo5pDeJb
ヤミ帽の葉月召喚。
過去にコゲ召喚があったので


154 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 11:19:25 ID:jDVzl+K7
もう一人キラがいたな
漫画「ロトの紋章」の剣王キラ
鎧込みで呼んだら、結構バランスブレイカーになりそうな

155 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 11:19:35 ID:eIF8r2mL
>152
討ち入りに入られたら立て直せねーじゃねーか
というか、>151は何で立て直せると思ったんだ?

156 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 11:21:26 ID:hUmO6EAs
ジョゼブが種のクルーゼとなのはのドクタースカリエッティを召喚とかな
いやーすげー楽しそうに謀略を張り巡らせるのが見えるわ
似たもんどうしだし


157 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 11:23:58 ID:TfzSI6NX
>>156
無能王も頃されそうだな

158 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 11:28:22 ID:hUmO6EAs
いやジョゼブ含めて似たもん同士って意味だから

159 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 11:31:03 ID:zT97RABE
>>155
吉良上野介は、藩建て直しに貢献した人物。
地元では今でもものすごく尊敬されてる。

トリステインを同じ様に立て直す過程で、リシュモンを排斥して、
奴をしたってた従僕(お稚児さん)辺りに討ち取られるんじゃないの?

まあ、史実の吉良はこのスレ的にはまずいから、フィクション版にすると、
逆にリシュモンと意気投合しそうだけど。

160 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 11:35:29 ID:D8sxPoXy
吉影「……」

161 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 11:52:00 ID:gV7ya/yu
>>154
だが彼は生粋のかませ属性だから…

162 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 11:53:50 ID:BfGv7h2X
ん〜、知ってる人居るか知らんが海皇紀のトゥバン・サノオ召喚とか。
純粋に強い剣士だしお目付役とかしてるからルイズを宥めるの得意そうだし、
世界観的な無理が無いというか召喚されたキャラの俺TUEEEはなさそうだし。

163 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 11:54:20 ID:XOZIZPq8
>>160
姉妹スレへ…
To Be Continued

164 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 12:01:14 ID:Cr/zPJSs
人修羅といえば小説版があるお
周囲からの機関銃一斉発射に対して身体を細かく揺らし、
生身部分より硬い斑模様の部分で全弾弾き飛ばして防御するような
化け物じみたことができるけどな!

165 :チキの人:2008/03/23(日) 12:18:19 ID:f34EHYsr
予約が無ければ投下しても宜しいでしょうか?
第九話です。

166 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 12:20:02 ID:Ooycu8Pj
アニメのゼロの使い魔二期の制作スタッフ全員を召喚
自ら改悪しまくった原作の世界を身をもって体験させて改心させる

167 :ゼロのルイズとマムクートプリンセス 第九話:2008/03/23(日) 12:20:50 ID:f34EHYsr
 朝方、誰にも告げずに出発すると心に決めていた。
 もちろんチキには昨日の宣言を聞かれてしまっているので、修行に行く、すぐに戻るからと言ってある。
 名残惜しそうな瞳で見つめられて決心が鈍る……ということを期待したら、チキはあっさりとそれを許した。
 他の生徒達はフリッグの舞踏会による疲れで誰も起きてこないはず。
 コソコソと隠れるようにして学院内を移動し、馬小屋へと向かう。
 馬車は昨日借りておいた。
 目的地であるラ・ロシェールに着いたら、城下町近辺に用がありそうな平民に売りつければ良い。
 あいにく、馬術は得意ですの。
 と、姿が見えないタバサとキュルケに胸を張って自慢してみる。
 しかし、全く誰も出てこないどころか使用人の姿も無いなんて、泥棒に入られて少しは意識も変わるかと思ったけど。
 まあ、あの出来事は99パーセント当たる賭けに外れたような物よね。
 貴族は悠然と胸を張って生活してれば良いのよ、うん。
 出だしは好調だった。
 本当に誰にも見つからないとは思わなかったけど、馬も調子が良さそうだから、今日一日で中間地点の宿場までいけるかも。
 いやー、もしかして私の操縦が上手いからかもーなんてー。
 当方、駄犬の調教には自信があります。
「んあ?」
 小一時間くらい経っただろうか、森を通る道の真ん中で平民が首を傾げている。
 馬の足を止めて、手綱を持ったまま睨みつけると。
「母が、母が病気でお金が必要なんです!」
 と、芝居が入ったような口調で叫びだした。
 ははーん、聞いた事があるぞ。
 いもしない母親を病気と語り、同情を誘ってお金をむしり取る。
 トリステインの詐欺師め、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが正義の鉄槌を下してくれるわ!
「ファイアーボール!」
 その言葉と爆発と共に詐欺師が吹っ飛んでいった。
 もちろん、本当にお金が必要だったのかもしれないけど。
「んー?」
 そろそろお腹も空いて食事を持ってこなかったことを後悔し始めた頃。
 道の真ん中にへし折られた木が山盛りにされていた。
 誰だよまったく、これだから平民は……ぶつぶつ。
 馬車を道の端に避けて、腰を屈めて木の掃除を始める。
 まったく、通り道を邪魔するように置いてあるな、と思ったその時。
 誰かに体当たりをされた。
 屈んでいたせいで簡単にバランスを崩し、転ぶ。
 何事かと思った私の前を矢が通過して、一瞬で状況を理解した。
 慌てて頭を下げて木陰に移動する、その間にも矢は何本も飛来したが私に当たる事は無かった。
 ――平民が使う弓というのが、これほど危険な物とは思わなかった。
 自分に一本も当たらなかったのが不思議なくらい、木の影に隠れられたのも幸運としか言いようが無かった。
 耳を欹てて辺りを確認する、心臓の音が煩いけど足音は聞こえなかった。
 貴族を狙う物取りなのか、それとも個人的に私を狙う……はないか。
 噂でしか聞いた事が無かったけど、平民の一団に貴族が襲われることがある。
 多くは夜間の奇襲、反撃をさせる機械を与えない。
 狙われたら最後、と言うわけではないが少なくても無傷では済まないはず。
 だけど今は昼、太陽が空高く照り輝く時間。
 それにいつまで経っても攻撃が来ない、私を殺しきれなかったから? 
 でも、このまま立ち上がって逃げるわけにもいかない、どこから狙われてるかわからないし。
 馬は……使い物にならない、何本も矢が刺さって長くは持たないのがわかる。
 途端、鼻がむずむずして来て視界がぼんやりと歪んだ。

168 :ゼロのルイズとマムクートプリンセス 第九話:2008/03/23(日) 12:22:50 ID:f34EHYsr
「う……ぐすっ……」
 何泣いてるのよルイズ、しばらく修行してスクウェアメイジになって帰ってくるんでしょう? 
 心の中でいくら自分を叱咤激励しても涙は止まない。
 すると唐突に辺りが暗くなった。
 驚いて空を見上げると、大きなゴールドの竜が優雅に舞っている。
 たぶん、この前見たゴーレムかそれと同じくらいの大きさ。
「きれい……」
 30メイルの巨体が空を飛んでるだけじゃない。
 その身体は職人が己の力の限りを尽くして作った彫刻みたい。 
 毛並みもゆらゆらと揺れて竜って感じがしない、もしも乗れたら絨毯みたいな感じかも。
 そっか、弓矢が急に飛んでこなかったのはそのせいか。
 大きな竜は、青空を旋回するように移動した後遠くの方へ飛んでいった。
 その姿を見送った私は、涙を拭って再び歩き出す。
 馬車もダメ、馬も無理となれば歩いていくしかない。
 距離は稼いだはずだから、夜に宿場までたどり着けるはずだ。
 ……お腹減った。
 どれくらい経ったのかな? 結構歩いた気がする。
 人の気配のしない道を歩きつつ、空を見上げる。
 陽は相変わらず最高潮に照っている、アレが沈む前に何とかして休める所まで行かなくちゃ。
 ふう、でもやっぱり休憩は必要よね。
 木に背中を預けて目を閉じる。
 朝早く出てきたし、それに歩き続けたし、平民には襲われるし。
 あーでも、こんな所で寝たら襲ってくださいと言ってるような物で……
「くぅ……」


夢……なのかな?
 大きな竜に乗ってどこまでも空を飛んでいる。
 どこか懐かしい感覚に包まれつつ、雲の上、空の果てまで。
 この先には何があるの?
 私が聞くと、何も無い空から返事が来た。
『アルビオンだよ』
『アルビオン? 行こうと思ってたからちょうど良いけど、何故?』
 答えが返ってこないので、首を捻る。
 浮遊大陸アルビオン、どこにも縛られない、誰にも止められない、白の国。
 彷徨うように移動する孤高の大陸。
 ここで、魔法の修行をする。
 誰一人知り合いの居ない場所で、自分の力で生きていく。
 トリステインだったら、貴族だって胸を張っていれば大抵の事は何とかなる。

169 :ゼロのルイズとマムクートプリンセス 第九話:2008/03/23(日) 12:23:38 ID:f34EHYsr
 それに、ゲルマニアやガリアには行きたくないし。
「……ったく、なんでわたしがガキのおもりなんか」
「喋らないで、ルイズのおねえちゃんが目を覚ましちゃう」
「眠りの瞳はかっぱらってあるから大丈夫よ」
 私が今乗っているのは、さっき見たゴールドの色をした竜。
 本当、触り心地が良い……むにむに……
「このお嬢様はあんたの上よりも、わたしの太腿がお気に入りのようだねえ」
「フーケ、わたしのブレスでゴーレムごと殺したって良かったんだよ」
「おうおう、怖い怖い」
 こんな竜がいるなら、ラ・ロシェールで船を借りずに済むかな?
 そうしたらだいぶお金も節約できるけど……。
 だけどその分、餌代は高くつきそうだなあ。タバサはどうしてるんだろう?
 風竜の巨体を維持するのに必要な食事量……一日で平民の平均所得をブッチしそうね。
「この真下がラ・ロシェールさ、その前にお前、もっと街から離れろ」
「メイジって言うのは無理を通せば道理が引っ込むんでしょ、デルフが愚痴ってたよ」
「この距離じゃ、フライが保てないんだ」
「魔法で下が見えるのに降りられないなんて……まあ、いいけど」
 それにしてもこの竜暖かい……ちいねえさまみたい。
 温かな風を感じながら、私は不意に落下するような感覚に陥る。
 そっか、アルビオンといっても地面はあるよね。
 私達だっていつまでも飛んではいられないんだから。


170 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/03/23(日) 12:26:04 ID:h+kJSSfv
支援

171 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2008/03/23(日) 12:26:54 ID:h+kJSSfv
支援

172 :チキの人:2008/03/23(日) 12:26:59 ID:f34EHYsr
投下終了です。
いつも支援感謝しています、それにしても、ボルガノンかずっと勘違いしてた。
思い込みと過信は情けないです。


173 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 12:39:06 ID:aYkrbQIP
チキの方投下乙です

174 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 12:57:11 ID:5GIHBiqA
予約無いようなので、一時から投下予告。
駄目といっても投下する。

一応、注意書き。
召喚するのは、おぞましき姿をした「魔王」。
当初の予定より、蹂躙や虐待してない。

175 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 12:58:22 ID:Ker3uz4a
チキの人、投下 乙であります。

>>169 4行目
眠りの瞳 となっておりますが、 眠りの鐘 の間違いでは?

176 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 13:00:18 ID:5GIHBiqA
春の使い魔召喚儀式によって呼び出されしは、異世界の魔王。
嗚呼、嗚呼、あらわれたるソレのなんとおぞましき事か、それは一方的な蹂躙。
強大な力の恐怖に弱者はただ絶望し、服従するのみ。
この日、ハルケギニアに魔王が降臨した。
だがその悲劇を語り継ぐものは誰一人としていない……。

        
           『使い魔王』……悲劇の幕が開ける。


ルイズは、人生で一番幸福だった。
本人すらあきらめ掛けていた春の使い魔召喚。
その晴れの舞台で、生まれて初めて魔法が成功したのだから。
煙が晴れていく中、段々とあらわになるシルエット。
それを見ていくうちに、ルイズが魔法を召喚させたことに驚いていた群集のざわめきが別のものに変化していく           
そして、ルイズの小さな体が震える。ついさっきまでの幸福は、絶望へと姿を変え、そのあまりのギャップはルイズの人間らしい心を完全に奪い去っていた。
その、なんとおぞましき姿であることか――

177 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 13:01:37 ID:yJplkds0
支援

178 :使い魔王2/5:2008/03/23(日) 13:01:40 ID:5GIHBiqA
角。これはいい、とてもいい。

長く尖った耳。エルフを思わせるそれは恐ろしいが、それがいい。

見たことも無い、本来の役目を果たせそうに無い、黒いレンズの眼鏡。これもまあ、いいだろう。

高級そうなマント。これだってマイナス要因ではない。

そう。問題は、「使い魔」という言葉から連想する幻獣や動物では無い、亜人であるということを飛び越えて……







マントと黒い眼鏡の他には、パンツしか纏っていない貧相な体つきのおっさん(ハゲ、角付き)ということだ!!


179 :使い魔王3/5:2008/03/23(日) 13:02:37 ID:5GIHBiqA
「ミ、ミスタ・コルベール……?」
辛い現実に打ちのめされたルイズは、最早叫ぶ気力すらなくかたわらの半ハゲに声を掛ける。
「なんだね? ミス・ヴァリエール」
「もう一回……もう一回、召喚させてください」
普段のルイズからは想像も付かないほど暗く、切実な願いのこもった声。しかし、そんなことがこの伝統ある使い魔召喚儀式で許されるのだろうか?
「駄目です」
駄目だった。ルイズは荷馬車に乗せて売られていく子牛のような表情で召喚したおっさんに近づいていく。
「どうした少女よ、サインでも」
ルイズは悟りを開いた修験者の表情で呪文を唱えると、呼び出したおっさんを無理やり屈めさせてキスをした。
(さよなら、綺麗だった私。お母様、お父様、エレオノール姉さま、ちいねえさま。ルイズは汚れてしまいます)
涙が小さな雫となって地面を濡らします。それを見ていた女子学生たちもルイズの体を張った行動に感動して涙を流しています。
「美少女がオレにキスしたよっ! しかも感きわまわって泣いてるよぉ! 良かった、こっちに来て本当に良かったぐぁ! ぐぁああああああ!」
痛みに転げまわるおっさんをルイズが冷たい目で眺めながら言葉を掛ける。
「すぐ終わるわよ。待ってなさいよ。『使い魔のルーン』が刻まれているだけよ」
「つっ、使い魔だと、魔王に向かって」
ルイズは自分でも驚くほど冷静にその言葉を聞くことが出来た。
「ふ〜ん、そう魔王なの。大丈夫……大丈夫、全然OKよ」
懐から取り出したのは、乗馬用のムチ。
「貴方の変態も、虚言壁も、私がきっちり調教して治してあげるわ。このご主人様の愛のムチでね!」
おっさんは、ほとんど裸です。つまりムチはとっても痛い。
(こ…この世界のガキはしつけがなっとらんな…、逃げてきたとはいえ魔王だぞ、コラ…。目にもの見せてくれるわ!!)
おっさんは左手に力を溜め、無防備に使い魔心得を説いているルイズに向けて解き放つ。

「ファントムクラッシャーー!!」

外野。気の毒すぎてとっても突っ込めねえよ状態になっていた中、コルベールただ一人が危険を察知して、それが間に合わないことに焦燥していた。
あの長い耳、格好は確かに変態だがエルフ、あるいは知られざる先住魔法の使い手かもしれない、と。
そして、生徒を目の前で失う恐怖にさらされたコルベールは見た。
魔王と名乗ったおっさんの左手から――

180 :使い魔王4/5:2008/03/23(日) 13:03:38 ID:5GIHBiqA
何も出てこなかったのを。
外野の特に男子は、腹を抑えて笑い死に寸前である。
「何ソレ!? 技!? 技の名前!?」
にこやかにルイズは、ムチを振り上げる。
「いや、ちょっと待って、出るんだよ? 本当はファントムクラッシャー出るんだよ。あっ、ほらツノ、ツノ生えてるだろ、引っ張っても取れないぞ、やってみるか?」
どこかの獄長じみたムチの一撃が命中して、おっさんのツノはどっか飛んでった。
「取れるじゃない、ねぇ?」
ルイズの顔は笑っている。顔は笑っているが目が笑ってない。所謂、殺ス目という奴だ。
「あっさり取れた…、知らんかった…あっさり取れるんだ…。イヤ、待ってよ。痛、痛いっ」
(くうぅ〜ツノが装飾品だったとは…。ファントムクラッシャーも出ないし…大気の違いだろうか…? このままでは殺されるっ!! ああ、証拠…証拠…)

ガタガタ、ガタゴト

「おんどりゃーーーー!! あるぞ証拠!!」
おっさんは魔界から持ってきて、すっかり存在を忘れていた手提げかばんをルイズに突きつける。
「何よ? くだらないものだったらその黒い眼鏡割るわよ」
「ダ、ダメだよ! 割るなよ、このグラサン高いんだよ!」
それを聞いたルイズは、再びムチを振り上げ――
「ごめんなさい、調子にのってました。この中に証拠が入っていますから、もうムチで叩くのはマジで勘弁してください」
おっさんは土下座しながらかばんを開いた。
「……何? このサルっぽい生き物……」
「魔界に生息する「サルッポイ」という動物で、オレのペットだ」
「まんまじゃない。そんなのでごまかされるとでも――」
かばんに入っていた。体長1メイルほどのサルっぽい生き物が突然、殴りかかった!


181 :使い魔王5/5:2008/03/23(日) 13:04:57 ID:5GIHBiqA
おっさんに。
「早く開けれや! ハゲ!!」
「喋った!」
驚くルイズを尻目にサルはおっさんに鉄拳制裁を加える。
「本当に使えねーヤツだな。このクソ魔王は!」
「ごめん」
おっさんボロボロです。
「でもコレで信じて貰えたかな? オレが魔界から来た魔王だって……」
ルイズはステキな笑みを浮かべている。
「さっさとこの子出してれば、あんたなんかと契約しないですんだのよね? てか、私が呼んだのはこの子じゃない? この子よね? 何、何であんたが使い魔になっているわけ? こうなったら死んで詫びなさいよ、契約やり直すから」
半分くらいは本気の目でおっさんに死を強要するルイズ。
おっさんは恐怖に震えて漏らしてます。
「っサ、サル助けてくれよ」
サルは、ふう、やれやれだぜ、と肩をすくめるとルイズに一言。
「姉ちゃん。オレ、おっぱいぼいんぼいんが好きなの。そのつるぺた洗濯板が奇跡的に成長したら出直してきな」



「うふ、うふふふふふふふ、うふふふふふふふ、ふふふふふ、うふふふふふふふ。ご主人様に暴言を吐くなんて……どこまでも楽しい使い魔ねっ!」



「えっ、オレじゃないよ。サ、サル〜てめえ何、言ってんだ〜〜!」
サルはもう居なかった。
外野の生徒たちに混じってこっちを見ている。
「うそ」
本当です。
「ちょっと、助け、だ、誰か助けて〜」
この後、ルイズの調教のおかげでおっさんは立派にマゾに目覚めて、それなりに幸せに暮らしたそうな。
ただ生涯、自分は魔王だと名乗るのはやめなかったらしい。
サル? サルは、キュルケのところに転がり込んでよろしくやった後、巨乳を求めて旅立っていきましたよ。
ルイズの実家でペットになったり、どこぞのハーフエルフの所でペットになったり、うまいことやってるだろう。きっと。

           『使い魔王』……完。

182 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 13:06:45 ID:5GIHBiqA
最初、名前欄に入れ忘れた。

今は亡き月間ジャンプ連載作品、「黒いラブレター」(第22通)から魔王召喚。
私が知る限り最弱にしてもっとも情けない魔王。これ書くためだけに古本屋回って立ち読みで済ませていた黒ラブを購入した。

183 :172:2008/03/23(日) 13:22:04 ID:t4YTBAmF
あれだけコメントで思い込みと過信がいけないと言っているのにこの体たらく。
眠りの鐘、ですね。
使い魔王さん、投下乙です

184 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 13:23:58 ID:U5QsIDKK
その努力と出費に心から乙

185 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 13:30:26 ID:GzUh/KWZ
おお、なんという蹂躙と虐待w

186 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 13:45:38 ID:P8qhI0vG
>>162
あのおっさんは剣で戦う事だけが生きがいだからな。
まともな剣士のいない世界に来たらがっくり来るんじゃなかろうか。

187 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 13:51:06 ID:Tm9RN4Yq
使い魔王さん乙です。

2時からから小ネタ投下してよろしいでしょうか?
元ネタは「ジャイアントロボ 地球の燃え尽きる日」で

188 :ゼロのおじさま:2008/03/23(日) 13:59:30 ID:Tm9RN4Yq
軍靴の音が草原に響く。
彼方から迫るは、アルビオン軍総勢7万
惨めな敗北者の群れに止めを刺さんと、無人の草原を突き進む。

その眼前に立ちはだかるは、幼さの残る少年少女。
取り残された少年兵か? 負け犬のよこした人身御供か?
獲物を見つけた狼の群れが、邪悪な笑みを浮かべる。

その場において、トリステイン軍の勝利を疑わないのは、二人の戦士だけであった・・・。

「ルイズ! 作戦通りだ 俺が時間を稼ぐ!」
「わかっているわ!」

少女の詠唱を確認しながら、少年が果敢にも突撃をかける。
滑稽を通り越して哀れですらある、しがない平民の特攻。
冷笑を交えつつ、前線の部隊が弓を構える。

―と、不意に少年が眼前から消え失せ、部隊が真後ろからなぎ払われる。
目にも留まらぬ少年の動きに、前線に混乱が生じる。
重装兵の槍衾は、一刀の下に切り返され、そのまま対手の喉を貫く。
銃隊の一斉射撃すら、少年の早さには及ばない。
死角無きメイジ隊の烈風の一撃は、少年の剣舞でそよ風の如く掻き消えた。
目の前を駆け抜けるは生ける伝説・・・ イーヴァルディの勇者そのものであった。

「その小僧はオトリだ! 女の方の方を狙え!」
アルビオン軍指揮官の指令は正しいものではあったが、伝説の前では無力であった。
そして・・・ 彼らはもう一つの伝説の証言者となる。

― ジェラ・イサ・ウンジュー・ハガル・ベオークン・イル ―。

少女の詠唱が完成し、周囲が光に包まれる。
少女が、少年が、草原が、7万の将兵が、真っ白な世界に飲み込まれていく。
抗うことの一切許されぬ、強烈な閃光と衝撃。
光が消えた後、その場に残っていたのは、地に伏した7万の敗北者だけであった・・・。





189 :ゼロのおじさまA:2008/03/23(日) 14:02:59 ID:Tm9RN4Yq
7万の兵士が光に飲まれる光景を、小高い丘の上から傍観していた者がある。
伝説の使い魔の一人、ミョズニトニルンのシェフィールドであった。
アルビオン、トリステイン、ゲルマニアの3国を手玉に取った『神の頭脳』が、眼前の異常事態を推し量る。

『虚無の担い手』の一人が、トリステイン軍の中にいる事は、前もって分かっていた。
タルブでの戦いにおいても、似たような爆発が起こったことも聞いている。
だが、これほどの威力の魔法を、短期間で連発できるはずがない。
さらにいえば、あれほどの爆発でありながら、周囲にはほとんど被害が出ていない。
兵士たちの中に死亡者はゼロ、というガーゴイルの報告も不自然だった。
最近虚無に目覚めたばかりの少女が、これほどまでに力をコントロール出来るものなのか・・・?

(幻影・・・? いや それならば兵が怪我を負うはずがない・・・)
「ようやく見つけたぜ 黒幕さんよお!」

背後からの呼び声に、シェフィールドの意識が現実へと引き戻される。
振り向いた先にいたのは、件のガンダールヴ。
戦場からありえない早さでここまでやってきた少年の姿を目の当たりにし、シェフィールドは全てを理解した。

「確かにここなら戦場が一望できるが ここ以外にはそれができる場所は無い
 負けた後もボサッと突っ立ってるとは 油断したな」

「・・・フン そういう事だったのね 
 まさか 伝説のガンダールヴに『化けて』いたとは
 7万の兵士を倒したのも貴様かッ!」

シェフィールドの叫びとともに、周囲のガーゴイル達が動き出し、少年の体を切り裂く。
蛇が脱皮するかのように、少年の皮がベリリと剥がれ、辺りがまばゆい光に包まれる。

キラキラと輝きを放ちながら現れたのは、細身で長身の男。
アラビア風のフードに真っ白なマント、さらに上等な純白のスーツ姿。
特徴的な2本のドジョウ髭に、ゴーグルの奥から除く自信に満ちた瞳。
東洋人とも西洋人とも分からぬ胡散臭い顔立ち。
それでいて、どこか一流の気品を漂わせる紳士がそこに居た。

「フフ なかなかに鋭いじゃないか・・・
 お初にお目にかかる
 私は BF団が十傑集の一人 『幻惑のセルバンテス』 と申す者
 以後 お見知りおきを」

「幻惑・・・? あの7万の兵士は そろって貴方の幻惑に斃れたとでもいうの!?」

「さて・・・ どう説明すれば良いのか・・・
 彼らが味わったのは 紛れも無い現実・・・ だが この世界の出来事ではない
 言うなれば 同じ道をたどる可能性のあった もうひとつの世界の物語」

「・・・ッ! 多重世界<パラレル・ワールド>!?」


190 :ゼロのおじさまB:2008/03/23(日) 14:07:05 ID:Tm9RN4Yq
「おお! 流石は神の頭脳 ふさわしい言葉を知っておられる
 先ほど君達が見たのは まさにそのパラレル・ワールド
 君も含め あの場にいた全員が 『虚無の担い手が覚醒した世界』 を体験したのだよ!

 狙った人間の意識を狩り出し その空間でひとつの目的を持たせ
 本人達の思うがままに行動させる・・・ ただし 呼ばれた者が傷ついた場合 その『肉体』もタダでは済まない

 これぞ 我が能力 【 舞 台 演 劇 】 !!」

セルバンテスの説明に、身を震わせていたシェフィールドだったが、やがてクックッと笑いを漏らした。

「これで私を追い込んだつもりかい? タネの割れた手品師さん?」

シェフィールドが指を弾くと同時に、後方の森からボゴンと土ぼこりが舞い上がり、
大木が根こそぎ吹き飛ばされる。
現れたのは、20メイルを超える鋼の巨人 ― 【ヨルムンガント】

「ツメが甘かったようね さようなら 三流探偵さん」
シェフィールドの投げキッスを合図に、鋼の巨体が、山猫もかくやという俊敏さでセルバンテスに迫る。

「フム 確かに私は 肉体労働は苦手だが・・・
 ―だがね!」

ゴーグルの奥の瞳がキランと光る。
うなりを上げる鋼の拳を、ジャンプ一番、セルバンテスがかわす。
一っ跳びでヨルムンガントの遥か上空まで飛び上がり、マントをなびかせ稲妻の如き蹴りを放つ。

乾坤一擲。

純白の流星の一撃が、ゴーレムの頭部をブチ砕く。

「ハオッ!!」
頭を失いながら、なおももがく巨体に向けて、セルバンテスが右手をつきかざす。
見えない何かを握り潰すかのような右掌の動きに合わせ、鋼の巨体が宙に浮き、肉厚の胴部がギリギリとひしゃげていく。
やがて、バグン、という音を立て、その巨体が四散した。

「クッ」
思わず背を向け、その場を逃げ去ろうとしたシェフィールドの眼前に、後ろで闘っているはずのセルバンテスがいた。
驚く間もなく、水月への一撃で、『神の頭脳』が昏倒した。

「私とて十傑衆の端くれ
 振りかかる火の粉を払えぬようでは BF団は務まらぬのだよ・・・」

マントの埃を払いながら、誰に聞かせるでもなくセルバンテスが呟いた。





191 :ゼロのおじさまC:2008/03/23(日) 14:09:14 ID:Tm9RN4Yq
「バンテスおじさま!」
ようやくセルバンテスの姿を捉えたルイズが、息せき切って駆けつけてくる。

「その女が 今回の戦いの首謀者?」
「さて どうやら彼女も傀儡に過ぎぬようではあったが・・・」
「・・・それにしても」

先ほどの感覚を思い出し、ルイズが身震いする。
セルバンテスの『舞台演劇』により、虚無の力を解放した自分・・・。

「おじさまの能力は凄いのね 
 あんな・・・ 始祖ブリミルみたいな奇跡が起こせるなんて」

「何を言っているんだね ミス・ヴァリエール
 先の力は まさに君の持っている『可能性』 私はそれを間借りしたに過ぎないのだよ」

「でも・・・」

「さて・・・ ミス・ヴァリエール
 まことに残念だが そろそろ私は行かねばならない」

「えっ?」

使い魔からの突然の別離の言葉に、ルイズが動揺する。

「行くって・・・ 何を言っているの おじさま?
 知っているでしょう? 一度召喚された者を、元の世界へ帰す術は・・・」

「・・・今まで 君を欺いていた事を謝らねばならないな」

セルバンテスが左手の手袋を外す。
そこに瞬く契約の証が、徐々に輝きを失いながら小さくなり、やがて、単なるホクロに変貌した。

「使い魔のルーンが・・・ まさかッ! 幻術!?」

「実は私は サモン・サーヴァントで呼び出されたワケではない・・・
 とある目的のため いくつものパラレル・ワールドをさまよい歩くうちに 偶然この世界に辿り着いたのだ」

「そんな・・・ でも それならば なぜおじさま程のお方が
 私の使い魔なんかをして下さったの?」


192 :ゼロのおじさまD:2008/03/23(日) 14:11:55 ID:Tm9RN4Yq
「・・・私には 君達と同じくらいの年頃の友人がいてね
 始めて君と出会ったときの ― 召喚に成功した喜びに満ち溢れた 君の笑顔が心に滲みた
 そして 付き合いを重ねるうちに 君が並々ならぬ努力家であることを知った
 その内に 君のため 私に出来る事をしてあげたいなどと ガラにもなく考えてしまったのさ

 フフフ おかしな話だろう?
 世界征服を企み 世界を混乱に陥れるハズの私が だ」

「・・・・・・」

「君達との生活は本当に楽しかった・・・ 自らに課せられた使命を忘れてしまいたくなるくらいにね
 だが 残然ながら ここは私の捜し求める世界ではなかった
 私はもう 次の世界に行かねばならないのだよ」

セルバンテスの体が、フワリと宙に浮く。

「バンテスおじさま!」
「お別れの時間だ ミス・ヴァリエール 君の友人達にもよろしく!」

「おじさま! 私 約束するわ
 私は『十傑集・幻惑のセルバンテス』を使い魔にできた事を 胸を張って誇れるほどのメイジになる
 その時は 今度は私の力で あなたをこの世界に招待するわ ミスタ・セルバンテス」

「そいつは素晴らしい提案だ 楽しみにしているよ!
 フハハ また会おう さらばだ!」

セルバンテスがマントを翻す、次の瞬間には、その姿は中空から掻き消えていた。
頭上からひとひらの羽が舞い降りてくる。
ルイズが触れると、ポン、と 色とりどりの花束へと変貌した。

「私やるわ 見てて バンテスおじさま」
花束を抱えながら、ルイズが深く宣言した。




来るべき近未来ッ!!  人類は未曾有の戦乱の時代を迎えていた!!

その戦乱の中 人類の未来と可能性を信じ いくつもの世界を渡り歩く一人の男の姿があった



その名は――


193 :ゼロのおじさま:2008/03/23(日) 14:16:01 ID:Tm9RN4Yq
以上、投下終了です。
バンテスおじさんこと『幻惑のセルバンテス』を召喚です。

あくまで漫画版の子供好きなおじさんの方で。

194 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 14:19:43 ID:tBXcwqk9
乙!

横山作品はおっさん達が格好良すぎてまいるぜ!!

195 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 14:33:55 ID:4WrTqW0b

楽しませてもらったぜ、改めてGJ

196 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 14:40:14 ID:VhlpNoYr
おつー、小ネタが豊作だな♪

横山作品のバビル二世、敵ボスがとっても良いヤツで困った記憶がある

197 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 15:42:56 ID:q+EvPWGa
GJだぜ

ところで、ペルソナ4発表記念にキタロー召喚の続編来ないかな?
PVみてたら続きが見たくなったぜ・・・

198 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 16:00:47 ID:xLj3XZ/Q
>>162
あのおっさんはクソ分厚い土塁を一撃で吹き飛ばすようなレーザー砲の連射を避けきるバケモノだぞ。
しかも、その数年後である本編ではさらに強くなっているしな。

199 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 16:52:08 ID:wHU41bJ/
ああゼロのしもべの職人さん再降臨すてくれんかな…

200 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 17:13:26 ID:aXfzBZhO
ある程度続いてもみな飽きりゃ放置か・・・

201 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 17:21:22 ID:sfoV4CC5
>>200
しょうがないべ
金もらって書いてるわけでもないし

有名小説家だって続編放置の
作家は掃いて捨てるほどいる

202 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 17:27:48 ID:s3oQKBWL
栗本薫ファンとしては何年も待たされたり
先の見えない展開になったりしても慣れっこだぜ
いつ終わるかまったくわからんしなw

203 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 17:28:54 ID:MpZvPUq3
ゼロのしもべの人は一時期毒吐きで連日のように叩かれたからもう続き書かないでしょ
本人が書く気あってもスレ住人に否定されちゃ続けようが無い

204 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 17:36:18 ID:JM0+XV0b
アレ、孔明が出なければスーパー横山大戦にならずに済んだんじゃないかなあ。

205 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 17:40:09 ID:s3oQKBWL
>>203
毒吐きがスレ住人の総意ってわけじゃないと思うが気にする人は気にするからなぁ
まとめだけ読んでる人も多いはずだが、そういう人の期待は伝わらんしな

206 :30代前半男:2008/03/23(日) 17:44:57 ID:AFQN9XEa
金払っている訳でもないのに批判だけする奴ってサイテー!

しかし黄金バットとは……このスレ住人は何歳なんだ?

207 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 17:45:51 ID:JM0+XV0b
一番いいのは、読んだら感想スレに感想を必ず書いて
場違いの擁護や乱闘に走らない。ただ、それだけだろうな。

208 :ゼロウォーズ:2008/03/23(日) 18:01:02 ID:K7zdCAEB
予約が無ければ、18:05に投下OKですか?

209 :ゼロウォーズ:2008/03/23(日) 18:07:02 ID:K7zdCAEB
反応が無いので、投下します

210 :ゼロウォーズ @:2008/03/23(日) 18:07:33 ID:K7zdCAEB
     知らなかったんだ何もかもこの世界について……


       第4話  メイジVSナイツ    
   
    
トリステイン魔法学院・学院長室

今この場には、学院長オスマンと、学院長の秘書ミス・ロングビルと、コルベール先生が居る。
コルベールは訳あって訪ねたが、オスマンのセクハラを目撃したと言う方が良い。
「学院長、そいう事は、夜やって下さい」
この言葉にロングビルがすぐ反応した。
「夜でもイヤです!絶対に!!」
この言葉がオスマンのハートを傷つけたのは、言うまでも無い。
「そ、そんな……と、ところでミスタ・コルベール何か用かね?」
威厳を保とうと、コルベールに話を振る。
「はい。これを……」
書物を開いて、オスマンに見せる。
「ん? これは『始祖ブリミルの使い魔たち』ではないか」
「はい。そして……これを見てください」
コルベールは、兵真のルーンのスケッチを見せる。
「ミス・ロングビル。席を外しなさい」
ミス・ロングビルは出て行った。
「詳しく説明するんじゃ。ミスタ・コルベール」
コルベールが説明しようとしたその瞬間、生徒が入ってきた。
「た…大変です。決闘が始まります、止めてください」
コルベールがその生徒に言い寄る。
「誰だ?そんな事するのは!」
「はい。ギーシュ・ド・グラモンとルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔です」
オスマンは、生徒に言い放った。
「放っておきなさい」
「わかりました。失礼しました」
オスマンは、コルベールを見て、頷いた
「いい機会かもしれません」
オスマンは、杖を振り、大きな鏡に、ヴェストリの広場の様子が映し出された。

211 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 18:07:46 ID:0IJjNyFy
支援

212 :ゼロウォーズ A:2008/03/23(日) 18:08:11 ID:K7zdCAEB
「諸君、決闘だーー!!」
ギーシュは、薔薇を空に向かって掲げている。
観衆もまた、ギーシュを称えるかのように歓声が巻き起こる。
「ギーシュが決闘するぞ!相手は、ルイズの平民だ!」
兵真はズボンのポケットに手を突っ込んでいた。
(外野…うるせぇ……)
薔薇を兵真の方に向け言い放った。
「とりあえず、逃げずに来た事を褒めようじゃないか」
兵真は、軽く挑発してみた。
「ああ、バカの相手はもうなれたから、ちなみに順位をつけると、お前は今二位。戦いが終わると一位確定」
この挑発に簡単に乗った。
「貴様ーー!!」
「怒るのも良いんだけど、早く始めて良い?」
そう言うと兵真は、ギーシュに向かって走り始めた。
しかし、ギーシュは全く動じず薔薇の花を振り、
花びらの一枚が舞うとそれは甲冑を着た女戦士のゴーレムとなった。

213 :ゼロウォーズ B:2008/03/23(日) 18:08:46 ID:K7zdCAEB
「おいおい、これ……何だよ」
「僕はメイジだ、だから魔法で戦う。文句をあるまいね」
と、ギーシュが言う、が……兵真の知っている魔法にこんな物は無く、兵真も黙っていなかった。
「ギーシュ、魔法は別に良い。だが…これは、魔法とは違うだろう?」
ギーシュは、笑みを浮かべ言う。
「魔法は良いのだろう?これは僕の魔法だ。言い忘れたが僕の二つ名は“青銅”。
青銅のギーシュだ。従って、青銅のゴーレム、ワルキューレがお相手するよ」
「なっっこれが、魔法?アリかよ!」
ワルキューレがパンチを放つが、兵真はサイドステップでかわす。
(動きが速い、それに相手は金属だ。多分で一発KOだな。かなりヤバイ)
その後もワルキューレの猛攻が続いたが、兵真も何とか避け続けた。
周りは、兵真が攻撃を避けるたびにギーシュへの声援が高まっていった。
しかしこの二人?の動き(おもに兵真)を観察している者が、このヴェストリの広場に二人いた。
一人は、キュルケである。そしてもう一人は、キュルケの親友でもある、蒼い髪の少女タバサである。

214 :ゼロウォーズ C:2008/03/23(日) 18:09:24 ID:K7zdCAEB
「ねえタバサ、〈使い魔クン〉どう?」
「このままだと、負ける……」
「あら、どうして?良い動きしてると思わない?」
「攻撃手段が無い、キュルケは?」
「全く同じよ」
なんて、二人が話していると……兵真は、ワルキューレの一撃をもらってしまった。
「使い魔、もう終わりか?」
「く…ぁ…はぁ…」
兵真は立ち上がろうとしているが、ダメージが大きすぎて、思うように体が動かない。
「ギーシュ!いい加減にして、大体ねえ、決闘は禁止じゃない」
と叫んだのはルイズだった。
「悪いな君の使い魔をちょっとお借りしているよ。
それに禁止されてるのは貴族同士の決闘だ。平民と貴族の決闘は誰も、禁止なんかされていない」
ルイズは、言い返せなかった。次に口を開いたのは、兵真だった。
「ルイズ、はぁ…、俺は【ナイツ】だ。信用しろ」
「兵真……アンタまだそんなことを……」
ギーシュは、ルイズと兵真のやり取りを静観し、剣を兵真のすぐ側に刺した。
「まだ、戦うと言うのなら、その剣を取りたまえ」

215 :ゼロウォーズ D:2008/03/23(日) 18:10:19 ID:K7zdCAEB
兵真は迷わず剣を取った。すると、体中に力がみなぎる感覚を覚えた。
(なんだ?リアライズしていないのに、この感覚)
「そうか……戦うのだな。ワルキューレ!やれ!!」
ワルキューレは、兵真に向かっていった。しかし、兵真は一歩も動かなかった。
(落ちつけ…こんな物…一瞬の隙さえあれば…ここ)
「もらったーー!!虚空剣!!」 
その場に居た者は、目を疑った。なんせ、一瞬でゴーレムが崩れ去ったのだから。
「タバサ、見えた?」
「見えない……」
本気になったのか、ギーシュは六体のゴーレムを作り、五体で兵真を囲った。
「同じ奴が六体か……本気出すか。もう、手加減しねぇからなーー!!」
兵真は剣を振り下ろした。すると……刀身が、光の刃に変わった。
「なんだ?それは?」
「これか?これはな、可能性を具現化するための力だ」
「そ、そんなこけおとしに動じると思うな!やれ!」
一斉にゴーレム達が襲いかかる。
「よっと」
兵真は、後ろにジャンプした。そして……着地と同時に次のモーションに入った。
「くらえ!天翔流星爆!!」
五体のゴーレムは、炎に包まれた。しかし、兵真の猛攻はまだ止まらない。
兵真は、残りのゴーレムに接近し、剣を両手で持ち頭上に掲げ、刀身をゴーレムに向けた。
「終わりだ!ギルティーー!!」
この声に呼応するかのように、剣が大きくなり、やがて兵真の手を離れ、空中に浮いた。
「ブレーーーイク!!」
そして彼は、まるで大きな荷物を投げる仕草をすると、大きな剣がゴーレムに刺さり、
そして剣は、元の大きさに戻り、兵真の手元に戻った。
「ギーシュ、どうする?続けるか?やめるか?選べ!」
「参った」
兵真は剣を元に戻し、ギーシュの足元に刺し、人ごみに戻ろうとした時、意識が無くなった。


216 :ゼロウォーズ :2008/03/23(日) 18:11:08 ID:K7zdCAEB
以上です。ありがとうごだいました

217 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 18:17:18 ID:0IJjNyFy
投下乙です

218 :ゼロな提督10:2008/03/23(日) 18:39:08 ID:S8tlyMUf
ゼロウォーズの人、乙です


こちらも第十話投下していいでしょうか?よければ18:45くらいから


219 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 18:40:36 ID:8Oh9bQI/
しえん!!

220 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 18:42:31 ID:K7zdCAEB
しえん

221 :ゼロな提督10:2008/03/23(日) 18:46:10 ID:S8tlyMUf
 ヤンは、絶体絶命の危機にあった。

 アムリッツァ星域会戦(宇宙暦796年/帝国暦487年)では、倍以上の敵艦隊を前に撤退
戦を強いられた。同盟がバーミリオン星域会戦(宇宙暦799年/帝国暦490年)で帝国に破
れた後、同盟政府は国家延命のためにヤンを帝国への生贄とする謀殺を企てた(宇宙暦799
年/新帝国暦1年7月)。その他、ヤンはほとんどの戦いで、戦略的には敗北が決してた状
況での戦術的勝利を要求され続けた。
 だが、いかなるときにも彼には味方がいた。彼の部下達は常に彼の身を案じ、命がけで
彼に付き従った。彼の上司達は、彼を守ろうとあらゆる政治的軍事的支援を惜しまなかっ
た。彼等は上司部下という地位にはあったが、ヤンにとっては皆同じ、かけがえのない友
人達だ。

 だが今、ヤンは孤立無援だ。

 王女アンリエッタはルイズに、死地へ赴けと命じようとしている。
 上司のルイズは忠義だの友情だのに溺れ目がくらみ、玉砕をしようとしている。
 学院の平民や何人かの貴族子弟は、彼に同情はするだろう。だが、王女の命に逆らうな
ど、自らの破滅と死を意味する。彼等からの助けは期待出来ない。
 バーミリオン星域会戦ではハイネセンからの無条件停戦命令に従った。勝利を目前にし
た戦局だったが、民主主義という制度上、軍人は文民に従わなければならないからこそ、
あえて勝利を放棄し命令に従いもした。だが、トリステインは民主主義国家ではないし、
法治国家ですらない。

 絶対に王女のアルビオン潜入命令に従うわけにはいかない。だが逃亡先は無い。自らが
並べ立てた美辞麗句に酔いしれた少女二人に説得が通じるとは思えない。
 ならばヤンは自らの持てる全てをもって、自らを守らねばならない。第四の選択肢を選
び、実現せねばならないのだ。


 全ての記憶を検索する。
 思考を巡らす。
 現状を把握する。


 現状・・・?


 ヤンは改めて見直してみた。
 一人、夜の闇を駆けてきた王女を。目の前の『おともだち』を死地に追いやろうとして
いる女を。


 一人で…この闇の中を学院まで来た!?


 ヤンは窓の外を見る。双月に照らされた星空が見える。
 手を顎に当て、窓へ歩き始めた。


         第十話  第四の選択肢


 おほん、とヤンはわざとらしく咳払いをした。
 少女二人は、まだ手を取り合って互いを賛美し続けている。
 ぅおっほん!と、今度は大きく咳払いした。
 ようやく二人はヤンの存在を思い出し、視線を向けた。


222 :ゼロな提督10:2008/03/23(日) 18:48:20 ID:S8tlyMUf
「なるほど。姫殿下のお話は理解致しました。ですが、念のため確認させて頂いてよろし
いですか?任務遂行には詳細な情報が必要です」
「そ、そうですわね!私ったら、取り乱してしまいました。では、改めて任務について説
明致しますわ」

 そして王女は二人に語った。溢れる涙を拭きながら。
 アルビオンへ向かい、ニューカッスル城に潜入。王女の密書をウェールズ皇太子へ手渡
し、アンリエッタから送られた手紙を回収せよ。
 王女は語った。
 ルイズは頷いた。
 この二人の頭の中はどうなっているのか…ヤンは目まいがしてきた。だがそんな様子を
悟られてはならない。
 窓の外の闇を見渡した後、重々しく口を開いた。

「なるほど、命令の内容は承知致しました。そして、それを私に命じるという事は、私の
軍人としての力量にも期待している…と解釈して良いわけですね?」
「無論です。あなたは平民でありながら、軍人として立身出世を成し遂げた方。それも、
ハルケギニアより遙かに優れた技術を持つ国で。
 あなた方なら、きっと困難な任務をやり遂げてくれると思います」
「一命にかえても。急ぎの任務なのですか?」
 外を見るヤンの背後から、ルイズの真剣な声がする。
「アルビオンの貴族達は、王党派を国の隅っこにまで追いつめていると聞きます。敗北も
時間の問題でしょう」
「早速明日の朝にでも、ここを出発いたします」
 ルイズはヤンの言葉を待たず、出立を確約した。

 ヤンは王女に背を向けたまま、窓の外を見ている。ゆっくりと闇夜に浮かぶ双月の方を
見上げる。
「出立するのは良いのですが…その前に重要な事を確認せねばなりません」
 その言葉にルイズが気分を害したようだ。背後からすっくと立ち上がる音がする。
「ちょっとあんた!姫さまの命令に異を唱えようと言うわけ!?」
 ヤンは肩越しにチラリとルイズを振り向いた。
「いえ、そうではありません。ですが姫殿下ご自身がおっしゃられた通り、これは極めて
困難な任務です。故に最善を尽くして臨まねばなりません。これは、任務を成功に導くた
め必要な事なのです」
 ヤンの芝居がかったセリフに、アンリエッタも芝居がかった優雅さの頷きを返す。
「それは当然の事ですわ。あなた方の忠義に応えるためにも、わたくしに答えられる事で
あれば答えましょう」
「感謝致します」

 そう言って、再びヤンはわざとらしく窓の外を向いた。そして腕組みをする。

「まず…任務の性格上、事は秘密裏に運ばねばなりません。当然秘密を知る者は少ない方
が良いのです」
 少女二人は頷く。
「そこで伺いたいのですが、今宵はお一人で来られましたか?どこかに侍女なり護衛の騎
士なりを待機させていますか?」
「いいえ。もちろん一人で来ましたわ」

 王女が、一人で、夜中に、城からこっそり抜け出す…。本人は勇気を振り絞った英雄的
決死行のつもりだろう。だが、そのために城ではどれ程の騒ぎになっているか。警備責任
者がどんな責任を取らされるか。
 他人の心配をしている状況ではないと分かってはいる。それでも思わず城の人々に同情
してしまう。

「その手紙について、我々とウェールズ皇太子の他に知る人は?」
「無論、いませんわ」
「そうですか…」


223 :ゼロな提督10:2008/03/23(日) 18:50:36 ID:S8tlyMUf
 ヤンはゆっくりと天を仰ぐ。黙って窓の外の空を見上げている。
 ルイズとアンリエッタは、怪訝な顔で向き合った。

 そして、突然ヤンは振り向いた。扉の方を。
「扉に張り付いてる人!入ってきなさい!!」

 どったーん!

 ルイズの部屋の扉から、何かがひっくり返った音がした。
 アンリエッタもルイズも、驚きのあまり手で口を覆ってしまう。
 そして、扉が恐る恐る開かれた。そこにいたのは、薔薇の造花を手にしたギーシュだっ
た。同じくこわごわと扉を閉めながら入ってくる。
「ギーシュ!あんた!立ち聞きしてたの?今の話を!」
 ルイズに問いただされたギーシュは、詫びれるどころか胸を張り、夢中になってまくし
立てはじめた。
「薔薇のように見目麗しい姫さまのあとをつけてきてみればこの部屋へ、それでドアの鍵
穴からまるで盗賊のように様子を伺っていたのですが、姫殿下!その困難な任務、是非と
もこのギーシュ・ド・グラモンに仰せつけますよう!」
「ダメです」
 あっさりヤンは断った。
 ギーシュは、こけた。
 アンリエッタとルイズもあっけにとられた。

 立ち直ったギーシュが背を向けるヤンにくってかかる。
「きっ君!失礼じゃないか!話も聞かないで!」
 ようやくヤンはクルリと振り返る。
「ミスタ・グラモン。あなたは我々の話を聞いていましたよね?」
「もちろんだとも!姫殿下のお役に立つために」
「極秘任務と分かってますよね?」
「と、当然だろう!?」
「では、まずは声を小さくしてもらえませんか?」

 と言われて、ようやくギーシュは声をすぼめた。

「おほん…失礼したね。それで、どうして僕が任務に加わってはいけないんだい!?僕の
実力は先日のエルフの件で、君も知っているだろう?」
「確かに。あなたの使い魔は素晴らしい実力を持っています。あなたとヴェルダンデ君が
いれば、確かに心強い。
 ですが、一つ問題があるのです。」
 ヤンはゆっくりと、諭すように話す。
「それは、これが極秘任務だということです。実働隊は少数精鋭の方が隠密行動をしやす
いのです。特に、秘密を知る人間も、です」
「な、なんだ、そんな事かい。大丈夫!僕は由緒正しきグラモン家の者だ。貴族の名誉に
かけて秘密は守る。そして、姫殿下への忠義の心をもって!一命を賭して任務に当たるこ
とを約束しよう!」
「グラモン?あの、グラモン元帥の?」
 アンリエッタが、きょとんとした顔でギーシュを見つめた。
「息子でございます。姫殿下」
 ギーシュは恭しく一礼した。
「あなたも、わたくしの力になってくれるというの?」
「任務の一員にくわえてくださるなら、これはもう、望外の幸せにございます」
 熱っぽいギーシュの口調に、アンリエッタは微笑んだ。
「ありがとう。お父さまも」「無理です」
 姫の言葉を遮って、再びヤンはギーシュの申し出を拒絶した。再びギーシュはヤンへ噛
みつかんばかりに食ってかかる。
「きっ君ぃっ!一体僕の何が問題だと言うんだい!?まさか、僕が秘密を他人に漏らすと
でも!」
 ギーシュに詰め寄られるヤンは、残念そうに首を横に振った。
「問題は、ミスタ・グラモンじゃないんですよ…あなたが秘密を守るか否かに関係なく、
既に機密保持の上で重大な問題が生じているのです」

224 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 18:50:53 ID:8Oh9bQI/
支援

225 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 18:52:40 ID:zXdY0SYw
支援

226 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 18:52:44 ID:Z/GS838R
支援。マーマレードでもジャムでもなく蜂蜜で

227 :ゼロな提督10:2008/03/23(日) 18:53:07 ID:S8tlyMUf
 その言葉に、若者3人は首を傾げる。
 ヤンは少年少女を一人一人見渡す。だが彼等は顔を見合わせるばかりだ。
 彼は大きく息を吸い、アンリエッタに向かってハッキリと言った。

「姫、ここに来る姿を見られましたね?」

 その言葉に、ギーシュが慌ててヤンと姫の間に割ってはいる。
「な!何を言ってるんだ君は!?僕は、決して他言しないと言ってるじゃないか!」
 その言葉にヤンは頷いた。
「ええ、私もそう思います。ミスタ・グラモンは必ず、貴族の誇りに賭けて『姫殿下が過
去にウェールズ皇太子へ恋文を送った』という秘密を守ってくれるでしょう」
「分かってるじゃないか…君は何を言ってるんだ?」
 3人は更に首を傾げ、ヤンへ不審の目を向ける。
 そんな彼等に向けて、冷然と言葉を続けた。

「ですが、ミスタ・グラモン以外に見られませんでしたか?もし見られたなら、しかも秘
密を守れぬ人物であれば…最悪、出立前に、その者の口を封じねばなりませんが」

 その言葉を聞いた若者達の顔がこわばる。
「そ、それは…大丈夫です、恐らく見られていません」
 アンリエッタは視線を逸らす。ギーシュもルイズも、不安げに姫の顔を覗き込む。
「ですが、もし秘密を守れぬ者に見られていたなら、それが誰であろうと口封じに殺さね
ばならない事は、ご理解頂けますね?軍人として任務に私情は挟めませんので」
「そ、それは…その…」
 アンリエッタは言葉に詰まり、視線が泳ぐ。
 そんな姫を無視して、ヤンは再び窓の外を見る。
 そして顔を上げる。
 そのまま声を張り上げた。

「扉の二人!入ってきなさい!」

 どたたーんっ!
 扉の外から再び、さっきより盛大な音が響いた。
 そして、やっぱり再び扉が恐る恐る開かれた。そこにいたのは、キュルケとタバサだ。
キュルケは「おほほほほほ…」と笑って誤魔化しながら、タバサは平然と入ってきた。

「そ…そんな…」
 アンリエッタは青ざめ、小刻みに震え出す。
 ヤンは、さらに落ち着いた声で尋ねた。姫を落ち着かせぬ問を。

「口を封じますが、よろしいか?」

 ヤンは肩越しに振り返り、さらに冷淡に言い放つ。
「ちなみに、そこの方はミス・ツェルプストー。ゲルマニアからの留学生です」
 紹介されたキュルケは恭しく一礼し、居直るかのように堂々と名乗った。
「お初にお目にかかりますわ、アンリエッタ姫。
 私はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。私の
口封じをするならツェルプストー家が、ひいてはゲルマニアがお相手致しますわよ!」

 アンリエッタは、崩れ落ちた。
 膝をつき、わなわなと震え、何も答えられない。
 ヤンは絶望に打ちひしがれた姫を無視し、窓の外に目を向けた。
「よぉ、ヤンよ。さっきからやたら外みてっけど、外になんかあんのか?」
 ようやく口をきいたデルフリンガーを、ヤンは窓へ持って行く。その姿に、ようやくル
イズとギーシュも窓の外を見た。


228 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 18:54:48 ID:8upI8y8m
支援の歴史がまた1ページ

229 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 18:55:43 ID:8Oh9bQI/
ブランデー入りの支援

230 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 18:55:58 ID:AS9mEjpc
支援してもいいんだぜ

231 :ゼロな提督10:2008/03/23(日) 18:56:12 ID:S8tlyMUf
 窓の外には、沢山の人がいた。
 メイド達が寝間着のまま寮塔に向けて走ってくる。
 メイジ達が『フライ』で文字通りに飛んでくる。その中にはオスマンの姿も見える。
「あっらー、こりゃダメだ。秘密守るにゃ学院の貴族丸ごと皆殺しにしなきゃなぁ」
 長剣は呑気に物騒な事を言う。
 生徒二人は、開いた口が塞がらない。

 背後から、ドサッと音がした。花のごとく見目麗しい姫は、やはり優雅に美しく失神し
て床に倒れていた。
「ひっ!姫さま!」「姫殿下!お気を確かに!」
 ルイズとギーシュは慌てて姫を助け起こそうとする。

 そしてヤンは上を見上げ、ぎこちないウィンクをする。
 寮塔の外壁に垂直に立っていたロングビルが、真下の窓から見上げるヤンに小悪魔っぽ
くウィンクを返した。




 朝日がのぼる頃、学院近くの森の中に女性の爆笑が響いていた。
 森の奥には、腹を抱え転げ回って大笑いするロングビルと、木の根本にへたり込んでい
るヤンがいた。
「いやぁ〜、助かったよ。君が皆を呼んできてくれなかったら、僕はアルビオンで死んで
いたね」
 ロングビルは緑の長髪が乱れるのも構わず、涙を流しながら笑い続けていた。

 しばらくしてようやく、ヒィヒィ喘ぎながらも笑い転げるのを止めた。
「ま、まったく!あははははっ!…ほんと、窓から必死な顔で…いひひひっ!さ、散歩し
てたあたしを!ぎゃはっははははっ!!コッソリ手招きしてるから、何かと思って飛んで
行ってみれば!うひゃははひゃはひゃひゃひゃぁっ!!」
 それだけしゃべって、汗と朝露でしっとりと濡れる緑の髪を振り乱し、再び大爆笑を再
開してしまった。


 ヤンは、ロングビルが夜の散歩をしていたことを思い出した。だから、もしかしたら彼
女はアンリエッタが学院に来る姿を見つけ、部屋の様子を伺っているのではないかと外を
見たのだ。
 案の定、夜の散歩をしているロングビルの姿を発見した。残念ながら彼女はアンリエッ
タを見てはいなかった。が、ただならぬ雰囲気で外を、彼女を見つめるヤンの姿を見つけ
てくれたのだ。
 後は窓の外にとりついて、こっそりヤンとゼスチャーで連絡と指示を取り合っていた。
ロングビルがルイズの部屋に聞き耳を立て覗き見しているギーシュを見つけ、オスマンや
メイドを呼んだのだ。


「いやぁ、それにしてもキュルケさんにタバサさんまで呼んでくるなんて、気が利いてる
ねぇ」
「あはは!はぁはぁ・・・い、いや、呼んでないよ。あの二人はさ、外の騒ぎに気付いて
勝手に外に出てきただけさ!ひひひぃひひっひっ!」
 地面をバンバン叩きながら笑い転げ続ける美女を眺めていたヤンだが、不意に「よっこ
らせ」と立ち上がった。
「あは、あはは・・・はぁ、どぉ、どこいくのさ?」
 ようやく笑いが収まったロングビルが、今度はどんな面白い事をするのかと期待した目
でヤンを見つめる。
「医務室行ってくるよ」
 そのセリフにロングビルは目を見開いた。
「医務室って、ひっくり返ったお姫さんのとこかい!?」
「うん、そろそろ目を覚ました頃かと思うんだ」

232 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 18:57:28 ID:EVKn5Kk9
ならば支援だ!

233 :ゼロな提督10:2008/03/23(日) 18:58:47 ID:S8tlyMUf
 ロングビルは体中にひっついた草やら葉っぱやら土を落としながら立ち上がった。
「いいねぇ。トドメでも刺しに行くかい?付き合うぜ」
「はは、まさか。『第四の選択』を実行しようかと思ってね」
 ヤンの言葉に彼女は怪訝な顔をした。


 学院の門へ向かいながらヤンは自身の策『第四の選択』について語った。
 聞いてるロングビルは感心しきりだ。
「ほほ〜、さすがだねぇ。あたしに人を呼んでこさせた上に、さらにそんな事まで企んで
いたとはねぇ」
「いやいや、君がいたのは偶然だからね。たまたま上手く行ったから良いけど、運頼みの
策なんて信頼に値しないよ。ただ、この策を取る上では良い布石になるのも確かだね。恐
らく、これで上手く行くかな?」
 当然のように語るヤンだが、ロングビルには思いつきようのない策だ。一体この男の頭
の中には、どれ程の策略が詰まっているのか。彼女には恐怖すら覚えてしまう。

「それにしても、なんでそんな事をわざわざすんだい?あんなバカ共ほっときゃ良いじゃ
ないか」
 その言葉に、ヤンは残念そうに首を振った。
「そうもいかないよ。このままだと、あの姫さまは僕を逆恨みするかもしれない。王族に
恥を掻かせた身の程知らずの平民、とね」
 その言葉にロングビルは肩をすくめてしまう。
「そして、今となってはあの娘は、あんたの策に乗らざるをえない…か」
「そうだね、でも、僕としては・・・この策は取りたくなかったんだ」
 ヤンの言葉にロングビルは彼の顔を覗き込む。だが彼はそれ以上は語らなかった。

 二人は先ほどまでの地を隠し、無能な執事と有能な秘書の顔で門をくぐった。




 水の塔6階の医務室、一番奥のベッドでアンリエッタは目覚めていた。
 ベッドサイドにはヤンとオスマン、その後ろにルイズとロングビルとギーシュが立って
いる。

 ヤンはアンリエッタに彼の策を説明していた。
「ほ・・・本当なのですね?その通りにすれば、上手く行くのですね!?」
 憔悴が滲み出た姫に、ヤンはノンビリと答える。
「はい。もはや、姫殿下がウェールズ皇太子へ送った手紙の件を秘匿する事は不可能とな
りました」
 もちろん、自分が王女来訪を周囲にしらしめた、なんて教えない。『ロングビルが寮塔
へ向かう姫を見つけ、慌ててオスマンへ報告し、メイド達を呼び寄せた』と口裏も合わせ
てある。
「ならば、この現状を逆手に取るしかありません。いえ、むしろミス・ヴァリエールやミ
スタ・グラモンがアルビオンへ潜入するより、遙かに成功確率は高いことでしょう」
 一縷の望みにすがるように、アンリエッタはヤンを見上げる。だが、すぐに顔を伏せて
しまう。

「で、ですが…この手紙の件を知れば、母さまも、マザリーニにも・・・私は・・・」

 後ろで黙って聞いていたロングビルは、いやオスマンもヤンも「自分が怒られるより、
自分に忠誠を誓う『おともだち』を戦場へ特攻させた方がましなのか!?」と怒鳴りつけ
たいのを必死で我慢した。こんな所で王女に説教をしても、何の得も意味もありはしない
のだから。

234 :ゼロな提督10:2008/03/23(日) 19:01:35 ID:S8tlyMUf
 ヤンは引きつりそうな顔面の筋肉を強引に押さえ込み、どうにか微笑む事に成功した。
「大丈夫です!姫殿下は決して一人ではありません。姫のお側には、姫のためにアルビオ
ンへの決死行すら厭わぬ友人達がいるではありませんか!」
 そして大袈裟に腕を広げ、後ろのルイズとギーシュを指し示した。二人はヤンの言葉に
力強く応えた。
「そうですわ!このルイズ、姫さまのおともだちとして、姫さまだけにお叱りをうけさせ
ようなど思いませんわ!」
「僕とて同じです!ともに王宮へ行き、素直に事情を話しましょう!そうすれば枢機卿も
女王陛下も、きっと姫さまを咎めようとはしません!」
 そして彼等は王女へ駆け寄り、その手を取って涙した。王女も二人の言葉に涙を溢れさ
せる。
「おお…ありがとう。二人とも、その友情と忠誠を、一生忘れません…」

 手を取り合って涙する3人に、ヤンとロングビルは背を向けて医務室を後にした。出て
行く彼等の背に「ウェールズ様…お許しを…」というアンリエッタの言葉が届いた気がす
る。
 だが二人とも、もはや涙する王女達に目もくれなかった。
 オスマンは離れ行く彼等と涙する王侯貴族達の間で視線を彷徨わせ、最後に肩を落とし
て大きな溜め息をついた。




 三日後、アルビオン王家は潰えた。
 ニューカッスル城に立て籠もった王党派三百人は、レコン・キスタ軍五万の前に瞬く間
に全滅させられた。王軍は最後の一人まで果敢に戦い、レコン・キスタ軍に自軍の十倍以
上、四千人の死傷者を与えた。この戦いはアルビオン王家の栄光ある敗北を示し、伝説と
なった。

 さらにその三日後、アンリエッタとアルブレヒト三世の婚約が公式に発表された。式は
一ヶ月後を予定している。それを受けゲルマニア首都ヴィンドボナにてトリスティン−ゲ
ルマニア軍事同盟締結が発表された。条約文の署名にはマザリーニ枢機卿が出席した。
 そして条約締結に併せ、両国の共同声明文が公表された。その声明文には、以下の下り
があった。

「…しかるに、両王家は手を取り合い、始祖ブリミルより授けられし王権を守護するもの
である。
 なお、レコン・キスタなる背教徒共は、王権の権威を失墜させ両王家の絆を断たんがた
めに、ウェールズ皇太子の名を騙り下劣なる怪文書を偽造し、卑しくもゲルマニア王アル
ブレヒト三世の御心をかき乱さんと愚策を弄したものである。あまつさえ始祖ブリミルの
神聖すら穢す文面すら書き連ねる恥知らずぶりに、憐憫の情すら禁じ得ない。かような貴
族の名誉をもたぬ下衆共の戯れ言など、王家二人が育む尊き愛の前に、いかほどのことも
あろうか。
 両王家は始祖ブリミルの加護の下、共にさらなる発展を…」


 ヤンの『第四の選択肢』、それは『手紙の存在をばらす』。
 ただし、手紙をばらす相手は学院の人々でも、マザリーニでもマリアンヌでもない。ゲ
ルマニア王アルブレヒト三世その人だ。

 ヤンは学院の各種書籍、なによりキュルケのゲルマニア講座からアルブレヒト三世の人
となりを知った。
 キュルケの祖国である帝政ゲルマニアは、トリステインの10倍の面積を持つ国。もと
は一都市国家だったが、周辺地域を併呑して版図を広げた。貴族同士が利害関係の上で寄
り集まって出来た国で、皇帝への忠誠心は高くはない。
 その皇帝アルブレヒト三世は、権力争いの末に親族や政敵をことごとく塔に幽閉し皇帝
の座をもぎとった。だが始祖の血を引いておらず、新国の皇帝であるため、他国の王から
軽んじられている。

235 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:02:32 ID:HObRraN2
酷いなw支援

236 :ゼロな提督10:2008/03/23(日) 19:04:50 ID:S8tlyMUf
 ここから読み取られるのは、野心の塊な男。冷徹で合理主義者。始祖の血を引かず、そ
の血を引く王家から軽んじられているため、始祖への信仰心は低い。
 だが同時に、幽閉した親族と政敵を殺そうとはしない事から、人並みの良識も持ち合わ
せている。巧みなバランス感覚で貴族間の利害調整に日々奔走し、広大な版図をまとめ上
げる政治的才覚の持ち主。冷徹なだけでは人心をまとめ上げる事は出来ない。成り上がり
なら、それはなおのこと。

 即ち、子供の頃に書いた恋文一枚のために婚約を破棄したり、国家の命運を決する軍事
同盟を諦める人物ではない、ということだ。始祖ブリミルに永遠の愛を誓っていようが何
だろうが、皇帝にとっては軍事同盟を成立させる方が重要だと認識しているだろう、とヤ
ンは見ていた。
 そして、そんな皇帝であれば後宮やら愛人やら、いくらでもいるだろう。だから、政略
結婚の相手が誰に愛を誓った事があろうと、気にもとめないだろう、と。始祖の血に連な
る後継者さえ手に入ればそれでいい、とすら考えているだろうと。

 ゆえに、『予めトリステイン王家より手紙の存在を知らされていればいい。レコン・キ
スタから手紙の内容を伝えられたところで、それを黙殺するなり偽造文書と逆に咎め立て
るなり、いくらでも機転を利かしてくれるだろう』と、ヤンはアンリエッタに進言したの
だ。
 無論ヤンはアンリエッタには、皇帝が王女の愛など求めていないとか始祖に愛を誓った
かどうかなんてどうでもいいとか、そういうほの暗い現実は口にしない。ひたすら美辞麗
句で飾り立てた皇帝像を示し、姫が自らの過ちをアルブレヒト三世へ告白すれば、必ずや
姫殿下を寛容に許してくれる、と語った。歯が浮きそうになるのを我慢しながら。
 そしてアンリエッタには、もはやヤンの策にのるしか道は無かった。

 手紙の物理的消去ではなく、政治的消去。それがヤンの策だ。


 アンリエッタは、学院からの報せで飛んできた魔法衛士隊に守られて城へ戻った。共に
枢機卿と女王陛下のお叱りを受けてくれるルイズとギーシュを引き連れて。
 後の政治的処理については、学院に留まったヤンの知る事ではない。王宮間で密使がや
りとりされたことだろう。アンリエッタとルイズは献策したヤン本人も王宮へ連れて行こ
うとしたが、「私の策に基づくというより、王女自らの考えと示した方が、女王陛下や枢
機卿、ひいては皇帝陛下への印象は良くなる」として拒んだ。




 ギーシュは次の日には学院に戻ったが、ルイズは婚約発表までトリスタニアに滞在して
いた。恐らくアンリエッタとの友好でも深めているのだろう、と厨房でヤンは午後のお茶
を飲みながら想像していた。
 どうして僕の煎れたお茶は、毎回こんなに不味いんだろう、という解けぬ謎に取り組み
ながら。

「そりゃ、おめーにゃ肉体労働はむいてねーってことじゃねーか?」
「で、デル君。それを言わないでくれよ」
 と、テーブルに立てかけられたデルフリンガーが身も蓋もない事を言い、ヤンは少々傷
ついてしまう。
「そうですよ!ヤンさんがお茶を入れる必要なんか無いですよ。そういうことは、私がす
るから安心して下さい」
 とニッコリ微笑んで言うのは、ヤンの左隣でお茶を味見しているシエスタ。
「なーんであんたがするんだい?あんたは学院のメイドでしょーが!あんたの下心なんか
見え見えなんだよ!」
 と、ヤンの反対側から食ってかかるのは、同じく味見していたロングビル。


237 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:05:37 ID:lkLOqX7Y
その発想は無かった支援

238 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:07:40 ID:+qJ5plrU
抹消ではなく提示、か。これはうまい。支援。

239 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:07:59 ID:AFQN9XEa
見抜けなかった、このリハクの目を以てしても!
支援

240 :ゼロな提督10:2008/03/23(日) 19:08:50 ID:S8tlyMUf
 まぁまぁ二人とも…と間に割って入ろうとするヤンに構わず、ロングビルは地まで晒し
て睨み合っている。
「あら、下心って何ですか?同じ平民同士、助け合うのは当然じゃないですか」
 やり返すシエスタは、メイジ相手にも一歩も引く様子はない。
「はっ!何言ってンだい!?ヤンが大金を手に入れたとたんにコビ売りはじめたクセに」
 かなりエゲツナイ指摘に、シエスタも真っ赤になってしまう。
「そっちこそ何を言ってるんですかっ!私はヤンさんが来た時から、その、凄い人だなっ
て思ってましたよ!
 食堂でミス・ヴァリエールを庇った時の勇気、貴族相手に一歩も引かない度胸、穏やか
で知的な人柄!まさに年上の男性の魅力に満ちてるじゃ」
 というところまで叫んだシエスタは、すぐ隣に当の本人がいる事を思い出した。
 恐る恐る視線をずらすと、そこには、可愛い少女に自分の魅力を力説された中年男が赤
くなってモジモジしている。
「何を赤くなってんだいっ!?」
  どごっ!
 ヤンはロングビルにグーで殴られた。

「それにしても…ヤンの所にいる限り、俺の出番はねえのかなぁ」
 美人二人に挟まれて、この世の天国と地獄を同時に味わう剣の主を眺めながら、デルフ
リンガーは自分の存在理由に思いをはせるのだった。


 そんな喜劇が演じられる厨房の扉が開けられた。
「ヤンさーん、ヴァリエール家から馬車が迎えに来てますよ・・・って、あんたら何して
るのよ」
 扉を開けたローラは、女性二人の引っ張り合いで見るも無惨に引き裂かれつつあるヤン
を発見した。




 夕方、ヤンはヴァリエール家の別邸に到着した。
 背中に「たまには俺も連れてけー!」とうるさいデルフリンガーを背負っている。
 執務室へ通されたヤンは、ソファーに座る公爵と、しょげかえって部屋の隅に立たされ
ているルイズを発見した。
 まずは室内の貴族達へ向けて、深々と礼をする。
「ヤン・ウェンリー、参上致しました」
「よく来たな、ウェンリーよ。まずは座られよ」
 そういって公爵はヤンを、机を挟んで真正面に座らせた。だが彼の雇い主は未だに立っ
たままだ。デルフリンガーを横に置きながら、怪訝な顔でルイズと公爵の間で視線を往復
させる。

「まずは娘の命を、そしてヴァリエール家を、そしてトリステインを救ってくれた事に感
謝する」
 そう言って公爵はヤンに向かって頭を下げた。その様にヤンも仰天してしまう。長剣も
鞘から飛び出してしまう。
「おいおい、いきなりだな。こりゃいってーどーしたこった?」
「デル君!失礼だよ、ちょっと黙っててくれないか」
「へーい」
 デルフリンガーは、鞘に引っ込んで動かなくなった。

 ヤンは一つ小さな咳払いをして公爵に尋ねる。
「えっと、よくわかりませんが、顔をお上げ下さい。そして、ヴァリエール家を救ったと
は、どういう事でしょうか?」

 ゆっくりと頭を上げた公爵は、苦々しげに語りはじめた。


241 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:10:35 ID:DCmsxlfY
おでれーた!支援

242 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:11:30 ID:+3y+3WqG
なんか最終回っぽい?私怨

243 :ゼロな提督10:2008/03/23(日) 19:12:28 ID:S8tlyMUf
「王女が学院へ忍び込んだ云々の話は聞いた。
 もしルイズがアルビオンへ行っていれば、間違いなく戦火に巻き込まれ、命を落とした
事だろう」
「そ!それは姫さまの」
 反論しようとしたルイズだったが、ギロッと公爵に睨まれて再び縮こまってしまう。
 ヤンは、あ〜学院に帰ってこなかったのは、ずっと公爵に叱られてたのか〜、とぼんや
り考えた。
「王家への忠義、それは結構な事だ。だが、己の力量をわきまえず、勢いだけで危険極ま
りない任務を引き受けるなど、愚の骨頂だ!」
 小さな少女は威厳ある父の怒声に、ますます顔を伏せて小さくなる。
「敵に後ろを見せない者を貴族と呼ぶ、か。…ふん、わざわざ敵のど真ん中に突っ込んで
おいて、後ろも前もあるものか」

 公爵は瞳を潤ませた娘から、冷や汗をかく執事へ視線を戻す。

「そして、もし娘がアルビオンで命を散らせば、わしは間違いなく姫を、王家を憎んだろ
う。叛旗を翻す事すら厭わなかったやもしれぬ」
「アルビオンのレコン・キスタを前にして、王家と重臣が杖を交えるなど、敵を利する以
外なく、トリステインもアルビオン王家と同じく滅んでいただろう…ということですか」
 公爵の言葉をヤンは引き継ぐ。淀みなく語られるヤンの推理に、公爵も感心しきりだ。
「うむ、その通りだ。やはりお主は聡明だな。故郷では、さぞや名のある将か参謀だった
ことだろう」
「いえ、とんでもありません。なにしろ私の二つ名は『2秒スピーチのヤン』でした」
「2秒スピーチ?」
「私の挨拶や演説は2秒で終わるんです。新年パーティーの挨拶なら『みなさん、楽しく
やってください』。国家の式典では『ヤン・ウェンリーです。よろしくお願いします』と
言った感じです」

 冗談のつもりで言ったヤンだったが、公爵は真剣に答えようか笑おうかかと迷っている
ようだ。これはヤンのジョークのセンスが原因か、ハルケギニアと笑いのポイントが違う
せいか、公爵のユーモア感覚が十分に開発されていなかったのか。二人はあえて探求しよ
うとはしなかった。

「ともかく、だ」
 公爵は、妙に抜けた空気を強引に振り払って話を続けた。
「平民ながらにトリステインの危機を救う、お主の知略には感服した。マザリーニもお主
に興味を持っている。遠からず城への招待状が届くであろう」
 その言葉に、ヤンは露骨に顔をしかめた。
 公爵はヤンが嫌悪感を露わにしたことを咎めなかった。
「あのような事があったのだ、お主が城を毛嫌いする気持ちは分かる。ならば、どうか、
これからはヴァリエール家のために手腕をふるって欲しい」
「えっと…いえ、私は、その…」
 頼まれたヤンが回答に困っていると、公爵は再び頭を下げた。
「異国で軍人として名をなさんとしていたお主が、いきなりルイズに召喚され、使い魔と
いう名の奴隷にされてしまった事。ルイズと共に城へ行かなかった気持ちも分かる。父と
して娘に代わって謝罪する。
 だが、娘にも事情がある事、お主も承知している事と思う。それに、聞けばお主の故郷
は、自力で帰還出来ぬほど遠方とか。
 ならば、ここは伏して請う!この国で暮らす上での地位、安全、財産は保証する。だか
らどうか、娘を見捨てないで欲しい!」

 威厳も何もかもかなぐり捨てて、流れ者の平民に頭を下げる公爵に、ヤンは頷かざるを
えなかった。そしてルイズは、唇を噛みながら涙を流していた。





244 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:16:27 ID:ZtSN+TnY
支援!
ルイズパパは現実を知っている! 支援

245 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:16:50 ID:g16YvsQf
なんというショートカット

そしてルイズパパのフラグゲット

246 :ゼロな提督10:2008/03/23(日) 19:17:33 ID:S8tlyMUf
 双月が照らす夜道を、学院へ向けて馬車が進む。
 中にいるのはヤンとルイズとデルフリンガー。長剣は二人を隔てる柵のように、左右の
扉に分かれて座る二人の間に立てかけられていた。
 二人とも、何もしゃべらない。重苦しい沈黙を乗せて、馬車は帰路を進む。

「なぁ、ヤンよ。もう許してやんなよ」
「ダメ」
 沈黙に堪えられなくなったデルフリンガーの提案は、いつにないヤンの冷たい言葉に却
下された。
「で、でもよぉ、いいじゃねぇか。結局全て上手く行ったじゃねえかよ」
「とんでもない!僕にとっては、最悪の選択肢だったんだよ!?」
「最悪って、なんでだよ?」
 デルフリンガーの質問に、ヤンはめんどくさそうに答えた。


 あの策を使えば、確かに婚姻は無事成立し、両国は軍事同盟を結ぶ事が出来る。
 だがヤンは、専制国家を打倒するため、民主共和制を守るために戦い続けた。その自分
が、王政維持のために力を貸す。貴族限定かつ利権争いの舞台でしかないとはいえ、民主
共和制の萌芽であるレコン・キスタを害しようとする。
 自分の身を守るためでも、それは彼の過去を完全否定する行為だ。例え自分の身を守る
ためでも、この世界では市民革命が期待出来ないとしても、自らの信条に反する事、甚だ
しい。
 おまけにそれは同時にヤンの存在を、知謀を王宮へ知らしめる事になる。今後もことあ
る毎に王宮や公爵はヤンへ厄介事を持ち込むだろう。そして権力をたてにして、協力を拒
む事を許さない。


「…枢機卿は、僕を城へ招待したいそうだよ」
「そうらしいなぁ、公爵にも頭下げられて、ホントお前は凄いヤツだな」
「とんでもない!君は分からないのかい?なんで、あの程度の策を示しただけで、公爵が
頭を下げたのか。枢機卿が招待状を送るのか!?」
「あ、あの程度の策って…」
「あんなの、策でも何でもないよ!枢機卿も公爵も普通に考えつく事さ!なのに、なんで
公爵があんなに大袈裟に感謝したと思うんだい!?」
「え、いや、さぁ」
「僕を利用するためさ!
 流れ者の平民、捨て駒には最適だろうね。せいぜい金貨や権力をちらつかせて、無理難
題を押しつけて、用が無くなればポイッてわけだ!
 これで、僕の学院での穏やかな生活は終わりだ。再び権謀術数渦巻く政治劇に巻き込ま
れるわけだよ!バカバカしい、なんでこんな異世界に来てまで!」
 ヤンは忌々しげに、本当に心から忌々しげに吐き捨てた。

  ドゴンッ!

 ヤンの言葉に対する返答は、デルフリンガーの言葉ではなく、馬車の扉を吹き飛ばすル
イズの爆発魔法。彼女は震える手でヤンに杖を向けていた。
 御者も慌てて停車し、車内を覗き込む。
「何よ…何よ何よ何よ!なんなのよそれは!?
 貴族でメイジのあたしが、逆立ちしたって王宮に頼られる事なんか、鳥の骨に招待され
る事なんかないのに!
 平民のあんたが!城に行きたくない!?政治に関わりたくないですってぇ!??
 なんなのよそれは!あんたいったい何様のつもりよぉっ!!」
「ま、待って、ルイズ、落ち着いて」

 顔を真っ赤にして涙を流すルイズの杖に、じわじわと後ずさるヤン。


247 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:21:17 ID:xeD3Xz2Q
ルイズのコンプレックスを忘れていたアッー! 支援

248 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:21:29 ID:jRJd+0aQ
しえんしてみる

249 :ゼロな提督10:2008/03/23(日) 19:21:43 ID:S8tlyMUf
「うるさいうるさいうっさーい!
 どいつもこいつも、あたしをバカにするのよ!平民すらも!しまいには、あたしが召喚
した使い魔まで!あたしを差し置いて!」
「うわー!待て、落ち着けぇ!」
 叫んだのはデルフリンガーだったが、ルイズは構わず手に持つ杖をヤンに振り下ろさん
としていた。
 ヤンは慌てて杖を持つ手を掴み、杖を奪おうとする。二人のが狭い車内でもみあう。
  ドサッ
 散々もみ合ったあげく、吹き飛んだ扉の穴から外へ落ちてしまった。


 ヤンは背中から地面に落ちた。
 体の上にはルイズを抱きしめている。怪我をしないよう、慌てて抱き留めたのだ。
 二人は呼吸を荒くしながら、闇の中でしばし動かない。


「・・・あたしだって、何かしたいのよ」
「・・・分かってる」

 呼吸を整えた二人は、そのままボソリと言葉を吐く。

「姫さまに頼ってもらえて、嬉しかったの」
「だろうね」

 ルイズはヤンに抱きしめられたまま、ポツポツと語る。

「姫さまは私を、おともだちって、言ってくれた。今まで誰もそんな事言ってくれなかっ
た」
「友達なら、これからだって作れるよ」

 ヤンは星空を見上げたまま答える。

「魔法を使えないあたしに、何が出来るの?」
「僕も魔法は使えない。でも、君の命を守り、軍事同盟は成立させたよ」

 ルイズは顔を上げ、ヤンを見る。


250 :ゼロな提督10:2008/03/23(日) 19:22:58 ID:S8tlyMUf
「あたしにも、出来る?」
「出来るさ。なにしろ、僕にすら出来たんだから」

 ルイズはようやく体を起こし、ヤンの腹の上に乗ったままクスクス笑い出した。
「そーね。あんたみたいな冴えないオッサンに出来るんだもの!このルイズ様に出来ない
はずがないわ!」
「お…オッサンは、無いとおもうよ」
 ヤンも苦笑してしまう。

 ようやく少女は男の体の上から降り、手を差し伸べた。
「ほら!さっさと立ちなさいよ!学院に戻ったら、すぐに勉強はじめるからね!」
「そうだね、じゃ、まずは何をする?」
 ルイズの手を取り、ヤンも体を起こす。
「まずは、あんたの事を教えなさい。どんな国にいたのか、どんな戦争をやっててきたの
か、全部聞かせてもらうわ」
「う〜む、聞いても想像出来ないというか、そもそも信じてはもらえないな」
 ヤンは首を捻りまくる。宇宙やら科学やら、どこまで話したらいいものやら悩んでしま
う。

「おーい、ヤンもルイズもよぉ。そういう話は帰りながらしろや。御者さんがヒマしなが
ら待ってるぜ」
 車内に忘れられたデルフリンガーが言うとおり、御者が二人を見下ろしていた。よく見
たら、それは先日ヤンとルイズの買い物に付き合わされた御者だ。
「よぉ〜、ホントにヤンって見てて飽きねぇぜ。お嬢様も、早く学院に帰りましょう」

 御者の言葉に二人とも頬を染め、そんなお互いを見て笑いながら馬車に戻っていった。


         第十話  第四の選択肢   END

251 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:25:00 ID:AFQN9XEa
乙。
大した魔法使いだよ、ヤン・ウェンリー。

252 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:25:30 ID:ZtSN+TnY
ヤバイ。
ルイズの知将化フラグかw
魔法が使えない分、頭脳で補うのはありだな!
支援!!

253 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:25:36 ID:yJplkds0
しかしアルビオン王家とウェールズ王子が出番も無く
こんなにあっさりと滅んだ話は始めてじゃないかw
あとワルド出番なしwww

254 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:25:50 ID:AS9mEjpc
乙なんて言葉すら生温い乙
これは原作を揃えざるを得ない

255 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:26:35 ID:aDLPLwjY
>>251
それを言うなら「魔術師」だ

256 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:27:19 ID:lkLOqX7Y
乙!
手紙の事をばらす発想はなかったわ・・・さすがすぐる

257 :ゼロな提督10:2008/03/23(日) 19:27:34 ID:S8tlyMUf
第十話、投下終了です


いやはや、あのね、マジね
「手紙の抹消でなく開示」
このネタを先に書かれちゃったらどうしようかと、ホント冷や冷やでした・・・


ある意味、読者達との頭脳戦ですねぇ

258 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:29:13 ID:okjF3y/A
 提督の人乙!
この流れはいいなあ。
ゼロ魔世界で政治的に戦うってのはレアだから、この先がますますwktk。

259 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:30:59 ID:3qXNXL03
ルイズは「公明の罠」を手に入れた!
ルイズの知力は 3 増えた

260 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:32:01 ID:xeD3Xz2Q
乙乙!!

いやぁ、なんという頭脳の魔術師。
でも2秒スピーチは笑ったぜw
そんだけ短かったら式典とか楽だろうな〜w

261 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:32:10 ID:Z/GS838R

しかしアンリエッタ様は成長する芽を摘まれてしまったんだなあ

262 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:33:12 ID:hE6/1EwY
ゼロな提督のお方、GJ!

Yang the magician!! Miracle Yang!!

263 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:33:12 ID:uu54/qkq
そのぶんルイズがユリアンになるさ、きっと

264 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:35:24 ID:4PYFwdPz
変に歪んだ成長をされるよりはいっそ育たない方が良いという見方もあるw

265 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:36:33 ID:aEkCIWZQ
乙かれー
しかし、ヤンはこの後アン王女の
「いいのかい?あたしはゾンビだろうと食っちまうんだぜ」
に耐えられるんだろうか?

266 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:42:59 ID:pBe+Wz8U
いや開示ですか、確かに隠されていたら怒って婚約破棄もありえますが、最初から正直に話していたらゲルマニア皇帝も大人ですから許したでしょうねえ
そういや本当にアンがゲルマニアに輿入れする話って無いなあ

267 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:44:28 ID:QILfBxgL
そしてアンリエッタは新しい恋に生きるのか

268 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:47:59 ID:8Oh9bQI/
>>265
むしろ、裏切るタイミングを逃したワルドがどう動くかが心配。
何気なくアンリエッタに近づいて、突然人質に取ったりしたら目も当てられない。

269 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:48:15 ID:HObRraN2
GJ!
それはそうと、やっぱりこっちに来ても面倒事に巻き込まれるヤンカワイソス。

270 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:49:36 ID:U5QsIDKK
提督の人グッジョブ

271 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:52:50 ID:GYdmdHE1
>>266
許すというか、足元見て有利な交渉できるカードを向こうからくれた形になるから感謝するんじゃね
トリステインにとってはババ引く形になるだけだが

272 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:55:41 ID:xeD3Xz2Q
面倒事に巻き込まれつつフラグが立ってるな〜
それも2人ぐらいw

273 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:57:28 ID:kU9RrOmO
>提示
ガンパレードでたしか案としてあがってたな

しかし、政治的視野の全くない姫って悪夢だな
そりゃ国土削られるわw

274 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:57:55 ID:QILfBxgL
アンリエッタとの間に子供作っちまえば「始祖の血を受け継ぐ後継者」ができるわけで。
アルブレヒトに堕とされるアンアン希望

275 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 19:58:33 ID:pBe+Wz8U
考えてみたら提督の人のエルフ(少なくともビタ卿は)人族も聖地の危機的情報を知って欲しいと思っているんだし…
「エルフオールスターズ主催聖地見学ツアー、胸部を強調した制服の美少女エルフ馬車ガイドさん付き」
とかいう企画を出せば喜んでワルドあたりツアーに参加すると思うが…

276 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:01:03 ID:QILfBxgL
俺はふとももを強調してほしい

277 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:02:09 ID:F2U9Jv4o
>>275
なんだその羨ましいツアーはw

278 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:06:37 ID:xLj3XZ/Q
ミラクル・ヤンGJ!

>>261
成長するのに必要な経験値(膨大なる犠牲)を考えたら……

279 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:09:44 ID:aYkrbQIP
提督乙です!!
鳥の骨とガチ問答で凹ませるヤンが楽しみだ


280 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:11:08 ID:uu54/qkq
鳥の骨だったら、相応の敬意は示すかもしれんね、ヤンも。
ほとんど唯一の、まともな政治家だし。

281 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:11:24 ID:GzUh/KWZ
>>269
そりゃなんだ、英雄の宿命ってやつだな。

>>273
そりゃ酷ってもんだ。
この時点での姫は王国にしてみれば政略結婚の道具で、
変に政治的視野とか持ってもらっても困る、みたいな感じだったんじゃね?

282 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:16:48 ID:pZQa+pGe
提督の方、乙。最近長編SS読んでないなと、銀河英雄伝説未読ながら
氏のSSを読ませて頂きましたが、かなり引き込まれてしまいました。
これからも頑張って下さい。

しかし
>三日後、アルビオン王家は潰えた。
あまりのあっけなさにコーヒー吹いたw

283 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:17:07 ID:eIF8r2mL
情勢の変化で役割が一気に変わったってのはあるよな

284 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:23:05 ID:x1bq1rXS
ゼロな提督の作者の空気の読めなさは異常
ゼロウォーズの感想が書けないじゃないか

285 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:24:41 ID:82Hv/Q3u
別に書いたらいいだろうがw

286 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:25:21 ID:VWfPKSGs
投下終了から何分経ってると思ってるんだ?

287 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:26:23 ID:6k266NHX
KITTの話でもあったな
国が決定した皇帝との結婚はラブレター一枚でどうにかなるもんじゃなくて
婚約破棄がどうのって心配してたのは結局アンリエッタだけだったとか

アンリエッタにはこれからも騒動を巻き起こすキャラとして活躍して欲しい

288 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:28:40 ID:x1bq1rXS
>>285
今から書くと作者自演乙と言われかねないので書かない

>>286
最低投下終了から1時間は待ってもらわないとな

289 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:29:37 ID:8Oh9bQI/
問題は、後継者を育てていなかったという点かなぁ。
アンリエッタと結婚した人に任せるつもりだったのか?
アンリエッタの父親が逆算して50前後ぐらい。
まぁ、あと20年ぐらいは現役で頑張るつもりだったろうが―――

側室でもなんでもかまわないから、最低限後継者候補をつくるのは王の義務なんだがねぇ。

290 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:30:33 ID:8Oh9bQI/
>>288
意訳した
「自分が感想かくまで次の作品を投下するな」

291 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:30:47 ID:t4/5/C0T
>>288
30分ルールがある場所で俺ルール乙。

292 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:32:17 ID:3qXNXL03
恋、宗教ときたらアンアン殿下は次はマルチ商法あたりに引っかかってほしい

293 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:33:00 ID:ZtSN+TnY
>>291-291
構っちゃダメよ。
あの子はスルーの魔法も使えない初期時点のルイズなんだから。


294 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:39:11 ID:6mX2Xts8
提督の人乙

なんと でばんをうしなった ウェールズとワルドが さびしそうにこっちをみている

295 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:39:16 ID:aEkCIWZQ
>>289
オスマンはのけとくとして、平均寿命は60ぐらいじゃないかな?中世ぐらいなんだし。
あと後継者は大公とか候爵とかがのきなみ女子しかいなかったとかさ。
ノボル神的にあり得なくはないだろう。

296 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:41:13 ID:x1bq1rXS
>>291
お前は始業時間が9時として9時きっちりに職場に現れるのか?
しかもゼロの提督の作者は新参だろ
新参なら投下後1時間でも破格の扱いだぞ

297 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:42:21 ID:R/Ew277G
スルー

298 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:43:05 ID:I7l94uCJ
何様なんだよwww

299 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:43:26 ID:t4/5/C0T
>>296
始業時間9時なら7時出勤は常識だろJK
おっとぉ仕事したことないゆとりニート乙、だったな。

300 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:43:32 ID:arzGU3eI
下手したらミスロングビルと駆け落ちでもするんじゃないかと思ってたらナイス解決でした


301 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:46:16 ID:s3oQKBWL
世の中には感想スレという存在があってだな
活用してくれないと泣いてるぞ

302 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:46:33 ID:AS9mEjpc
ノシ スルーの魔法

303 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:46:49 ID:5GIHBiqA
魔法がある世界で、そのトップが魔法恩恵を受けてないとかありえないだろ。
貴族の平均寿命は高いと思われる。

つーか、オスマンこそ長寿の秘密を望む王侯貴族の支援を受けたアカデミーに解剖されそう。

304 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:47:37 ID:8Oh9bQI/
>>295
それなら、子供のうちにウェールズとの婚約を発表しておくなりしておくべきでしょう。

それに、17とかで子ども扱いされているところを見ると、そんなに平均寿命が短いとは思えない―――
栄養状態が良くて、いい暮らしをしていた人は、昔でも60〜70ぐらいは生きていたようですし。

305 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:50:50 ID:8Oh9bQI/
>>296
今はそうでもないが、昔は投下作品数が多くてな。
順番待ち8個とかいう状態が常だったんだよ。
そんな経歴のあるスレで、投下の間隔を一時間も開けられるわけねーだろ。

まぁ、最近はそんなこともなくなってきたし、
もうちょっとのんびりと運営したいというのであれば、
避難所の運営スレに提案してみるこった。


ついでに言うと、新参も古参も差別するべきじゃないな

306 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:52:46 ID:QILfBxgL
俺的には長期更新停止中の古参より、今投下してくれる新参のほうが100倍ありがたい

307 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:57:38 ID:kcArpLBB
古参も新参も関係ない。

面白いSSが正義だ!

308 :もう一人の『左手』(その21) ◆utAARsQ0ec :2008/03/23(日) 20:58:03 ID:g/UibAXf
十分後から投下したいのですが、
もう少し待った方がいいですか?

309 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:58:50 ID:kcArpLBB
待つ必要はないです。わがままなのが紛れ込んでるだけですから。
投下支援します。


310 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:59:17 ID:Z7sGs//9
文もろくに書けない荒らしは無視するべきじゃないか?
今はみんな大人の人が多いみたいだから問題ないとは思うが、
ただ俺は、策略に乗っては行けないと思うのですよ!
太史慈の空を飛ぶことが当然のように!
いいから嫁! そして次回をwktkしていれば解決するんだ!

311 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:59:18 ID:cdJ04NoE
>>308
全然おっけーです

312 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:59:19 ID:8Oh9bQI/
赤い仮面を支援

313 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:59:24 ID:GzUh/KWZ
>>308
充分です。むしろ流れを変えてください。
というか早く続きを読ませろ。

314 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 20:59:30 ID:aEkCIWZQ
>>304
それだとアルビオンに取り込まれてトリスティン消滅なんだが…
>>303
秘薬の買えない貧乏貴族がたくさんいるし、病気に対して魔法って効果薄いとしか思えなかったから60ぐらいにしたんだ。

315 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:00:21 ID:AS9mEjpc
待ち焦がれていました支援

316 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:04:32 ID:/SC3qbDz
V3来た!

317 :もう一人の『左手』(その21) ◆utAARsQ0ec :2008/03/23(日) 21:10:58 ID:g/UibAXf
.
「てめえら、こいつらも運びな。身代金がたんまり貰えるだろうぜ」

 派手な格好の空賊の頭が、ルイズとワルドを指して言い、去って行く。
 それに合わせて、周囲の賊たちも、下卑た笑い声を上げるが、――ワルドは妙な違和感を覚えた。
 賊たちの立居振舞いから、何と言うか、――演技のような、わざとらしさを感じるのだ。
 
 魔法衛士隊の束ねとしてワルドが知る、本物の『賊』たちは、こんなに無駄なバカ騒ぎ――油断と言い換えてもいいだろう――を獲物の前では決してしないからだ。
 なぜなら賊たちにとって、“略奪行為”という時間は、少なくとも傭兵たちにとっての戦闘と同じく、命を賭けた『職業的戦場』なのだから。
 彼らのやり方はもっと酷薄だ。要求だけをシンプルに突きつけ、逆らうような素振りを見せれば、人質の一人や二人は、躊躇せずに殺す。人質の前で調子に乗って、特徴のある自分の顔を晒すような短慮な真似は決してしない。

 そう考えれば、こいつらはアマチュアの空賊ということになるが……さっき見た操船技術からしても、素人とはとても思えない。ということは、歴とした正規軍の連中が、賊に偽装していると考えるのが妥当だが、
(戦況的に圧倒的有利な貴族派の空軍が、空賊に偽装する必要があるだろうか?)
――ない。
 ということは、導かれる解答は一つだ。

 ワルドは、自分とルイズを取り囲むようにして、空賊船に連行しようとする賊たちを見回し、おもむろに口を開いた。
「さがれ下郎、頭領の部屋に案内せよ」
「なっ、なにぃ!?」
「――我が名は、トリステイン王国魔法衛士隊グリフォン隊隊長ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド子爵。アルビオン王国王党派への接触を命じられている。大使としての扱いを要求する」



 その場にいた全ての空賊が、ぽかんと口をあけた。例外があるとすれば、真っ青になっているルイズだけだ。



「――しっ、子爵さまっ!? ……そんな……いきなり……いくら何でも、もう少し……!!」
 あわを食うルイズを差し置き、表情を硬くした賊の一人が、ずいと一歩前に出る。
「おいおい、お前――自分の立場が分かってるのか? 俺たちは、アルビオンの貴族派から、王党派へ味方する酔狂な奴らを、とっ捕まえる密名を帯びてるんだぜぇ?」
 しかし、ワルドは一向に怯まない。
「今一度言う。頭領の部屋に案内せよ。我が名はワルド子爵。トリステイン王国王女アンリエッタ姫殿下の密命を帯び、行動する者だ。――とっとと頭の指示を仰げいっ!!」

 最後の裂帛の一声が効いたのか、賊たちが“どうする?”と言わんばかりに、ちらちらと顔を見合わせ、――やがて、そのうちの一人が空賊船に走り去って行った。
 
(我ながら、分の悪い賭けだ)
 心中、ワルドは苦笑する。
 しかし、もし自分の予想通り、この連中が、王党派の残党の偽装空賊だったら、こういう態度に出ない限り、自分たちはおしまいなのだ。何故なら――ルイズは知らないが――自分の懐には、クロムウェル直筆の書付があるのだから。
 連中に身体検査をされないようにするためには、最初から毅然とした態度で、それなりの扱いを要求する必要がある。奴らが王党派である疑いがあるならば、それは尚更だ。
(しかし……俺は強運なはずだ)
 ワルドは、自分にそう言い聞かせた。


318 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:12:56 ID:k5VOL3Qz
支援じゃっ

319 :もう一人の『左手』(その21) ◆utAARsQ0ec :2008/03/23(日) 21:13:44 ID:g/UibAXf
.
「これが……アルビオン……!!」
 才人は、眼前に展開される、圧倒的なパノラマに、しばし言葉を失ったようだった。

――確かに、この絶景は、初めて見る者には、いささか刺激が強すぎるなと、才人の後ろで震えていたギーシュも思った。
 無論、ギーシュが震えていたのは、才人と違って、その浮遊大陸の景勝のためではない。
 まる一晩、シルフィードの背で夜風に吹かれながら、アルビオンまでの飛行を強制されたためだ。まるで凍りついたように、自分の体が芯から冷え切っているのが分かる。
 この寒気の前ではハッキリ言って、どんな感動も無意味だ。魔法学院からラ・ロシェールまでの空中移動の寒さも、かなりのものだったが、昨夜から引き続く夜間飛行の寒さに比べれば――文字通り、木枯らしとブリザードほどの差があったと言えるだろう。

 口を利く元気がないのは、当然ギーシュだけではない。
 キュルケも唇を紫色に染め、手元に作り出した小さな――しかし高熱の――火球で、懸命に暖を取りつつ、厳しい眼で周囲を警戒している。
 タバサは……まあ、あの子の事はギーシュにはよく分からない。この寒さの中、いまも表情一つ変えずに、分厚い本を熟読している。そんなタバサに、彼は何か言おうと思ったが、寒すぎて口を開くのが億劫だったため、やめておいた。

 だが、その一方で、眼前のアルビオンに呆然と眼を奪われている才人の気持ちも、理解は出来る。-かつて両親と共に行ったアルビオンへの家族旅行の際、当時の幼かったギーシュは、間違いなく、いまの才人と同じ表情をしていたはずだからだ。
 夜明けと同時に払拭された分厚い暗闇――そして、彼らの視界に、まさに忽然と(としか言いようのない唐突さで)浮遊大陸が現れたのだ。それも圧倒的な迫力と美しさを併せ持つ景観として。……才人ならずとも、度肝を抜かれるのは仕方ないだろう。

 しかし、ギーシュが肝を奪われたのは、別のことだった。
 つまり星明りが頼りの闇の中で、彼らはアルビオンの、ほんの間近まで接近を果たしていたという、その事実。
 払暁までの暗闇の中を、羅針盤も持たず、ここまでアルビオンに接近していたなんて、……シルフィードを先導する形で飛行する風見の誘導の正確さに、さすがのギーシュも舌を巻く思いだった。
 まあ、正確には、風見の視力や勘というよりは、例の『V3ほっぱー』とかいう円筒の魔力らしいが、風見は詳細を説明しようとはしなかった。

 だが、ここが危険な空域である事も間違いはない。
 今のところ、周囲に敵影はないが、それでも、アルビオンを一手に眺め得るこの位置は、逆に言えば、アルビオンから――いや、すでに夜が明けてしまった以上、360度全方位から丸見えである事も明白なのだ。
 まあ、危険な空域ではあるが、航路上、この現在位置を一行が飛翔しているのは、ミスではない。
 この現在位置は、少年少女四人分とジャイアントモール一匹分の過重を背負って羽ばたくシルフィードに、極力負担をかけないための、ぎりぎりの上昇角度を計算した結果なのだ。


320 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:15:37 ID:kcArpLBB
流石風見支援

321 :もう一人の『左手』(その21) ◆utAARsQ0ec :2008/03/23(日) 21:16:23 ID:g/UibAXf
.
 風見はいまも独りで黙々と飛び続ける。
 飛行進入角を変更し、大陸の下部……雲と霧と瀑布に包まれた、『白』の部分に航路を修正する。
 無論――メイジでない彼が『フライ』を知るわけはない。
 正確には、彼が跨った『はりけーん』とかいう名の、鉄の馬が、ペガサスよろしく飛んでいるわけだが、羽ばたくわけでも魔法を使うわけでもない鉄の馬が、夜明けの空を飛ぶ光景は、ギーシュにはむしろ無気味に見えた。
 もっとも――ハリケーンのカウルから生えた一対の翼と、その翼に付随するジェット・ノズルが、この飛行バイクの推進力になっている――と、説明されたところで、彼には理解しようもないのだが。

 取りあえずギーシュは、いまだに呆然とアルビオンを眺めつづける才人を尻目に、キュルケが暖を取っている火球に、同じく手をかざした。無論、周囲に目を配りながらだ。
 彼の使い魔ヴェルダンデは、いまシルフィードの背にはいない。もし傍にいたら、ともに抱きしめあって温めあいたいところだが、あいにく今、ヴェルダンデは風竜に抱えられる格好で、シルフィードの懐にいる。
 タバサが言うには、シルフィードも互いに温め合う『抱き枕』が有った方がいい、との事だった。風竜が、人間のように夜風に凍えるものなのかどうか、本当のところギーシュには分からないが。



 ハルケギニアの二つの月が重なる『スヴェル』の月夜――アルビオンがラ・ロシェールに最も接近する夜。
 それは、一行が、ラ・ロシェールに到着した次の晩だった。

 アルビオン行きの便が欠航している以上、何とか自力で、浮遊大陸まで飛行するしかないのだが、それでも彼らは、まだしも幸運だった。シルフィードという移動手段が、彼らにはあったからだ。
 それに、風見が考案したアルビオン上陸作戦にとっても、実際問題、フネによりも風竜による移動の方が都合良かったという事実もあった。
 だが、風見が全員に打ち明けた策が、その場にいた者全員を唖然とさせた、無謀極まりないものだった事には変わりはない。
 それは、アンリエッタの名に釣られて参加したギーシュが、ハッキリ言って、その案を聞いた瞬間に、学院に帰りたくなったほどの、ムチャなプランであった。

「ニューカッスルの城に、地下から潜入するぅっ!!?」

 素っ頓狂な声を上げるキュルケに、風見は涼しい顔で答える。
「そうだ。――そのために、グラモンとその使い魔にも来て貰ったんだ」
 だが、その一言は、ギーシュからすれば聞き捨てにしていい台詞ではない。
「ちょっ、ちょっと待ちたまえ君ぃっ!! 僕はアンリエッタ姫殿下直々の御指名で、ここに呼ばれたんじゃなかったのかねぇっ!?」
「お前がここにいるのは、お前と、お前の使い魔の力が必要だからだ。――それとも手柄を立てる機会を、みすみす棒に振る気か?」

 ギーシュが吹き出す泡状の唾液を躱しもしない風見志郎。しかし、風見が吐いた言葉に、たちまちギーシュは返答に困ってしまう。


322 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:16:44 ID:/SC3qbDz
ダブルタイフーン支援

323 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:18:32 ID:jtblbE1+
支援

324 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:18:48 ID:ZtSN+TnY
支援


325 :もう一人の『左手』(その21) ◆utAARsQ0ec :2008/03/23(日) 21:18:56 ID:g/UibAXf
.
 手柄を立てる機会を棒には振れない。……確かにそうだ。国軍の元帥さえ輩出する名門の出自とはいえ、ギーシュは嫡男でもない三男坊。いずれ他家に養子に出される時に備えて、功を立てておくに越した事はない。
 それに、……たしかに彼の使い魔・ジャイアントモールのヴェルダンデなら、浮遊大陸の真下から掘り進んでも、直上の城塞まで坑道を築くことも、あるいは可能であろう。

 しかし、問題点は多々ある。
 陽光さえ差さない浮遊大陸の“裏側”を、座礁しないように移動するだけでも一苦労だろうし、ニューカッスルの正確な座標が分からなければ、とても実行できる案ではない。闇雲に掘り進んで、顔を出した地上が、貴族派の本陣だったら目も当てられないのだ。
 何より、制空権を握るという、貴族派の艦隊がどれだけうろついているかも知れないのだ。質・量ともに、世界一とも言われる竜騎士団を擁するアルビオンの空軍力は、決して侮れるものではない。
 だが、――にもかかわらず、風見は言い切る。

「問題ない」

「V3ホッパー……ですか……?」
 才人が尋ねると、風見は力強く頷き、腰から15サントほどの円筒形の物体を取り出し、
「こいつを使えば、移動中の俺たちの現在位置や、ニューカッスルの座標を知ることが出来るし、周囲の索敵や偵察を同時に行うことも出来る。――タバサ?」
 風見は、突然話を打ち切ると、タバサに向き直った。
「なに」
「アルビオンの貴族派とやらの航空戦力は、予想できるか?」

 その円筒形の物体で、何が出来るかはともかく、そもそも、その“ほっぱー”なる物体が一体何なのかは、この長身の男は説明する気は無いようだな、とギーシュは思ったが、無論、風見の話の腰を折る度胸は、彼にはない。

 タバサは、……しかし、その風見の問いに深く考え込んでいた。
「分からない……でも……」
 ギーシュには、なぜ風見が、そんな質問をタバサにするのかも想像つかなかったが、雰囲気的に、やはり黙っている方がよさそうだと判断する。
 しかし、いつもは目立たない、この眼鏡っ子が答えた数字は、この場にいる少年少女たちを慄然とさせるには充分だった。

「貴族派たちが、空賊たちまで手なずけているなら……少なくとも、二個艦隊から三個艦隊が、常時アルビオン周辺を哨戒していると考えていい」


「……二個……艦隊……!?」


 キュルケが呻き声を上げた。
「あくまで可能性の話」
 タバサは、フォローのようにそう言ったが、その眼鏡の奥の怜悧な瞳は、全く笑っていない。


326 :もう一人の『左手』(その21) ◆utAARsQ0ec :2008/03/23(日) 21:22:08 ID:g/UibAXf
.
 無理もない。
 艦隊の規模は、それぞれ家門や軍閥によって違うが、一個艦隊で大体5隻から20隻。搭載している砲門は、小型艦なら20〜30門程度だが、大型艦なら100門以上の大火力を有する場合もある。
 いや、この場合、問題はフネの数や、火力ではない。
 艦隊を拠点として、広範囲の索敵を行っているはずの、おびただしい竜騎兵がいる。これが厄介なのだ。竜騎兵一匹に見つかれば、あっという間に仲間を呼ばれ、最後には艦隊が丸ごとお出ましになるだろう。
 そうなったら、絶対に助からない。艦砲射撃で、無数の砲弾を撃ち込まれて、何も出来ないままに即死だ。

 だが、風見は静かに呟いた。
「ザルだな。――制空権が、聞いて呆れる」
 ギーシュは唖然とした。
 無論、風見のくそ度胸に、だ。

――確かに、国土面積的に言えば、トリステインほどもある浮遊大陸を、たった二個や三個の艦隊程度で、哨戒し切れるものではない。だが……しかし、決して楽観視できる数ではないはずだ。この男は、艦隊が持つ戦力というものを甘く見ているのではないか?
 そうギーシュが思った瞬間、キュルケが口を開いた。

「カザミ、取りあえず、あなたの立てた予定は聞かせてもらったわ。それによると、貴方は何故か、アルビオン空軍に見つからないと踏んでいるようだけど、……もし見つかったら、どう責任を取るの?」
「責任?」
「そう、責任。だって今回も作戦指揮を取るのは貴方自身なのよ? 見つかるかどうかじゃない。見つかったらどうするのか、そこを聞かせてもらえない限り、こんな作戦、怖くて乗れないわ」
 そう言ったキュルケの眼差しは、男に媚びを囁く、彼女の普段の潤んだ瞳とはまるで違う鋭さを放っている。
「ルイズには悪いけど、あたしだって、まだ死にたくはないのよ」

 キュルケの舌鋒は鋭い。しかし、ただの難癖ではない。彼女の言い分に一理あるのも事実だからだ。タバサも才人も、無論キュルケの側からの目線で、風見の解答を待っている。
 どう答える気だ?
 ギーシュは、むしろ興味津々といった態で風見を見た。

「策は、闇だ」
(やみ?)
 しかし、風見のその言葉は、ギーシュの解釈通りの『お先真っ暗な闇雲プラン』という意味ではなかったらしい。彼は説明を続ける。

「明日、日が暮れると同時に出立する。夜の闇にまぎれ、海面スレスレを移動し、アルビオンの真下から、ほぼ垂直に等しい深い角度で上昇する。貴族派は、座礁を恐れて浮遊大陸の真下はうろつかないという話だから、この航路を取る限り、大丈夫なはずだ」


327 :もう一人の『左手』(その21) ◆utAARsQ0ec :2008/03/23(日) 21:24:45 ID:g/UibAXf
.
 いつの間にか話柄が変わっている、という事はギーシュにも分かった。
 キュルケが聞きたいと言ったのは、発見されたらどうするかであって、発見されないための方法ではない。……まあ、真下からの航路を取るというのは、それはそれで、有効な案ではあるだろうが。
 だが、風見も、自分のミスに気付いたのだろう。
 最後に一言付け加えるのを忘れなかった。

「それでも見つかったら、俺が全力を以って、お前らの盾になる。……それだけだ」

「頼りにしていいのね……!?」
 睨み付けるように確認するキュルケを見て、ギーシュは思い出していた。
 ツェルプストー家が、ゲルマニアでも有数の軍人の家系であることを。
 そして、確かに無謀極まりない腹案ではあるが、今となっては、風見の提示したプラン以外に、もはや他の策も無いであろうことも。
 


 だが、……やはり予定は予定でしかないというのが、世の常、というものだった。

「いけない……!!」
 さっきまで一心不乱に読書に勤しんでいたはずのタバサが、そう呟いた。
 何が? と訊き返す暇さえ、ギーシュにはなかった。
 タバサの目が指し示す方角――太陽の中に、確かにそれは見えたからだ。
(艦影……!?)
 次の瞬間には、轟音が大気を震わせ、数十発の砲弾が空を切り裂き飛来する。
 
――死ぬっっ!?

 走馬灯は見えなかった。
 見開いたままのギーシュの目には、全く違うものが見えたからだ。
 すなわち、襲い掛かる一斉砲射の中から、着実に自分たちを貫くと思われた一発の凶弾。それを、自らの身体を張って防ぎ止めた、一人の男の影。

「かっ、風見さん……!!」
 才人がうめくように、つぶやく。
(カザミ……あれが……?)
 しかし、ギーシュの目には、そこに風見を見つけることは出来なかった。
 直撃弾の砲煙の中に“人馬一体”の人影はあった。だが、ギーシュには、それが風見には全く見えなかったのだ。何故ならそこに、彼が知る男の姿はなかったから。
 そこにいたのは、自分たちが乗るシルフィードの、遥か前方にいたはずのハリケーンであり、そのシートに屹立する、昆虫のような顔をした一人の亜人……仮面ライダーV3だったからだ。
 しかし、タバサにしろキュルケにしろ、そして才人にしろ、彼らは、突然出現した謎の亜人に、まったく驚いてはいない。むしろ、彼の身を気遣うような視線さえ向けている……ということは、やはり……!?

「あれが……カザミ……なのか……!?」


328 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:26:36 ID:PauN185S
嵐とともにやってくる青いマシンはハリケーン支援

329 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:26:48 ID:RqS01pgQ
しえん

330 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:27:07 ID:8upI8y8m
父よ母よ妹よ、支援する

331 :もう一人の『左手』(その21) ◆utAARsQ0ec :2008/03/23(日) 21:27:08 ID:g/UibAXf
.
 砲音が再び轟く。
 こちらに向けて、艦砲射撃の第二波が放たれたのだ。

 それら全弾の軌道計算を瞬時に行えるほど、V3の大脳に内蔵された補助AIの機能は高くない。だが、彼にはそれを補って余りある他の能力を持ち合わせていた。
 死角に満ちた人間の肉眼に比べ、ほぼ全天の視界をカバーできる巨大な複眼。
 それらの視覚を、100%活かすことの出来る、強化された動体視力、そして反射神経。
 なにより、歴戦の過去によって培われた“勘”。
 それらが、シルフィードに直撃を与えるであろう砲弾を、的確に選別し、選別した瞬間には、V3の跳躍は終了している。……あとは、その砲弾を身体を張ってガードするだけだ。

……カメバズーカの時もそうだったが、この世界での俺は、どうやら大砲に縁があるみたいだな……。

 全身に走る衝撃と激痛をこらえながら、V3は心中、苦笑を禁じえなかった。


「風見さん!! 風見さん!!」

 才人の悲鳴が、美しい夜明け空に響く。
 だが、いまのV3に、彼の叫びに応えてやれる余裕はない。
 出来る事は、こう、怒鳴り返す事だけだ。

「バカ野郎!! 俺の事はいいから雲の中に飛び込めっ!! 早くしろっ!!」



332 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:27:14 ID:kcArpLBB
シ・エ・ン

333 :もう一人の『左手』(その21) ◆utAARsQ0ec :2008/03/23(日) 21:28:06 ID:g/UibAXf
今回はここまでです。

334 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:28:56 ID:RqS01pgQ
GJ!

335 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:29:18 ID:kcArpLBB
乙でしたー。


336 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:30:55 ID:k5VOL3Qz
GJですたい

337 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:30:58 ID:aYkrbQIP
Wタイフーン乙です!


338 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:32:42 ID:gV7ya/yu
GJ!
かっこいいよV3!

339 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:32:50 ID:/SC3qbDz
相変わらずスゲー所で切るなぁ…
乙です!

340 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:35:25 ID:x1bq1rXS
>>299
7時なんて迷惑以外のなにものでもないよ

まぁ新人であるゼロの提督の作者はまずゼロウォーズをまとめwikiに載せて
乙一言ではなくちゃんと感想を書くとこから始めないとな

>>305
俺はトラディションとリコグニションをバランス配分出来る男だから
素直に俺の提言に従ったほうがいいよ

341 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:36:33 ID:9zrXEyKh
そういった類はもう飽きた

342 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:39:03 ID:3FnRs9zg
というより、避難所でやってくれ。
空気が悪くなる。

343 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:39:07 ID:xK5DGDfm
おお…楽しみにしていたヤンのお話の続きが…!!
どうもわざと職人の方が傷つく様な事を書いてスレをかく乱しようとする
政治的工作を仕掛けている人がいるみたいですが、どうか気にしないで…。
提督の職人さんもV3のも職人さんも乙でした!

344 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:39:43 ID:HObRraN2
>もう一人の『左手』氏
投下乙です。

抱き枕扱いのヴェルダンデか……
きゅいきゅい、俺と代われ!

345 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:40:18 ID:AFQN9XEa
ラスボス「お前は一体何者だ!」
才人「ただの、人間だ!」

346 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:40:20 ID:aYkrbQIP
スルー


347 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:40:20 ID:uPrF2XIQ
提督の人GJ。
苦労人気質ってレベルじゃないねヤン。

風見の人GJ。
此処できられると正に生殺し。

348 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:45:30 ID:s3oQKBWL
よくわからんが感想スレにはレスが追加されていないな
情熱あふれる感想が書かれたかと思ったんだが残念だ

349 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 21:50:08 ID:L041tfv8
だから軍ヲタは軍板に帰れってw
それか新シャアだけ我慢しろ。

350 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 22:04:25 ID:Ooycu8Pj
何か流れ早いと思ったら軍ヲタが来てたのか
わざわざこんなところに来ずに巣に帰れよ

351 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 22:09:20 ID:bx8+EQIV
今来た。提督氏&左手氏にGJと乙を捧げたい。他の職人さん達ともども期待してますんで頑張れ蝶頑張れ。
んでこーすりゃいーんじゃねって意見がある御仁は上から目線はよそうぜ&避難所で話そうよ。もし荒らしなら去ね。

352 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 22:10:27 ID:8Oh9bQI/
軍オタとは限らないと思うがね。

俺も、ちと設定について語りすぎたとは思っているが、
軍事関係の話題は特になかったし。

353 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 22:11:20 ID:A1jtlmzH
ヤン提督苦労性乙
うんざりする姿がよく似合うぜ
もっと苦悩してくれww

354 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 22:12:36 ID:FrmEO8cr
やりすぎたと思っても謝らない
つけるレスは軍オタじゃないという主張

355 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 22:16:19 ID:aEkCIWZQ
自分のことかな?
無粋なことしてすまない。
けど、ガノタだけど軍オタじゃないですから

356 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 22:16:55 ID:Ooycu8Pj
正直軍ヲタが何でこんなスレに来るかがわからない
殆どのファンタジー世界に軍事的な考察をしたって魔法やら幻獣やらがあるから無理だろ
現実と空想を混ぜるなよ

357 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 22:20:48 ID:f5GqGHeJ
このスレ123もやってんのか。よく続くな

358 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 22:24:24 ID:82Hv/Q3u
スルー力足りてないんだな。
乳酸菌取ってるぅ?

359 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 22:25:42 ID:k5VOL3Qz
ここで徐庶召喚

360 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 22:27:06 ID:8Oh9bQI/
>>359
微妙なキャラを―――
というか、どの「徐庶」だよ。

361 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 22:28:13 ID:CDbZwpOz
そうはい甘寧

362 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 22:30:10 ID:mnAoH4Xr
最強ライダーのギャレンをだな

363 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 22:31:24 ID:6mX2Xts8
最強ライダーなんていうと太陽の王子が現れますよ

364 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 22:34:26 ID:s3oQKBWL
蒼天航路の趙雲子龍召喚
七万相手にルイズを胸に抱え一騎駆けとか

365 :いぬかみっな使い魔。:2008/03/23(日) 22:49:00 ID:YGZGvw+m
すいません、9話の後半投下して良いでしょうか?
なんかあまりにも長くなりすぎなので、中篇あらため後編にしますorz

落ちまで、落ちまでどうしてもたどり着けない!

366 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 22:51:48 ID:aYkrbQIP
待ってました!
支援

367 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 22:51:59 ID:/GVhxwN5
かもーん

368 :いぬかみっな使い魔。:2008/03/23(日) 22:54:18 ID:YGZGvw+m
支援ありがとうございます! では、投下させてもらいます。
第9話です。実質8話な9話です。
テーマは全て一石二鳥です。



「むう、これが服屋だって? ムードのへったくれも無いね。」
汚くは無いが実用一点張りのそっけない店。ギーシュが不満を漏らした。
「ふ〜〜ん、こんな服屋で私にどんな服をプレゼントしてくれるの?」
モンモランシーが、冷ややかな目でギーシュを見ている。
「二股、平民に気絶させられた上に甲斐性なし。ダメね。」
「い、いや、それはだね!?」
ギーシュが、すがるような目を啓太に向け…
ようとして絶望のうめきを上げた。すでに啓太達が店に入っていたのである。
「馬車番なら私がしてますからお二人とも買い物楽しんできてください。」
髪をツインテールにまとめ、犬耳と二股の犬尻尾な美少(幼)女の
ともはねが、屈託の無い笑顔で勧める。
「う、うむ、ここで待っているのもつまらないし、見聞を広めるつもりで
入ってみようじゃないか、我が愛しのモンモランシー!」
ギーシュは強引に誘って店に入った。
所狭しと置かれた棚にうずたかく積まれた多数の布地、多数の服。
そのどれもがとても貴族の着る服ではなく、木綿や麻、毛糸で織られている。
色もくすんだような地味な色ばかりで、鮮烈な赤や強い青などの
原色系はほとんどない。
 
 その店の奥で啓太達は大量の服を検品していた。
「おう、ギーシュ、モンモランシー、お前達も手伝ってくれ。」
「あ、ああ。しかし、こんな大量に何の服を頼んだんだい?」
「作業着兼練習時の服さ。お前ら、武芸の鍛錬のときも風呂場工事のときも
学校の制服だったろう? けど、あれじゃあ布地が弱くてすぐ破けるし
汚れにも弱いから思い切った事が出来ない。棒術教えていて
投げ出したくなったぜ。だからサイズ聞いて注文したのさ。」
「なるほど、藍色にそめられたこの布地、随分頑丈そうだね。」
「見たことの無い布地ね?」
「カンバス布さ。」
「カンバス布!?」
「おう、ニーム製のセルジュを藍で染めたんだ。すごく丈夫で
ちょっとした鞭程度ならこれで防げる。少しだが防虫効果もある。
縫製がしっかりしてるか、サイズが合っているか、確かめるの手伝ってくれ。」
「ウィ。」「わかったわ。」
最上級生よりも年上で、一説によればスクウェアクラスの魔力を持つとされる
啓太の頼みは、とりあえずは聞くのが薬草クラブの不文律だ。
リベット補強がされていないものの、地球のデニムのジーパンとジージャンに
酷似したこれらの服は、後に水霊騎士団の普段着となる。

※セルジュ(サージ)・ドゥ・ニーム→ドゥ・ニーム→デニム らしい。

 その後、小洒落た服屋にも寄ると、ギーシュがモンモランシーに
服をプレゼントすると言ってあれこれ品定めしている間に、
啓太とともはねは既製服をいくつか買い込んだ。制服以外の着替えである。
ギーシュは服でモンモランシーの機嫌を直せたと大喜びだ。
 落 胆 の 後 の 喜 び は 大 き い。
啓太がこの順番で二つの服屋を回った理由に、ギーシュはついに気付かなかった。


369 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 22:56:41 ID:C/LqteXm
カエルの神様支援

370 :いぬかみっな使い魔。:2008/03/23(日) 22:57:05 ID:YGZGvw+m
「さて、次は酒場で昼飯だが、ちょっと寄るぜ?」
 そう言って、啓太はとある建設現場に馬車を寄らせた。
見ると、何人もの学院生が働いている。
この世界では江戸時代の日本よりも武士階級(≒貴族階級)の比率が高い。
7%に対して1割弱である。その代わりに農作業の一部、建設、医師、
薬剤師、製鉄や金属加工等の仕事がメイジの職業として門戸が開かれており、
特に驚く光景ではない。問題なのは、名門貴族の子弟が、
場末の建築現場で絹の服を着て働いている点にある。

「おうい! 服を持ってきたぞ!」
 啓太が一声かけると、指導していた現場監督(≒大工の棟梁)がうなずいて
休憩を許可した。生徒達が一斉に駆け寄り、自分の服を探し出す。
「おいおい、お前らこんなとこでバイトしてたのか?」
ギーシュがあきれて突っ込んだ。
 「バイトというより修行さ。学校に許可も取っている。」
 「この前の風呂工事で未熟を痛感したからな。」「習うより慣れろさ。」
 「現場の感覚を覚えたいのさ。」「実際の技術を学びたくてね。」
 「賃金も目当てだけどな!」「ああ、それもある!」
 「放課後の短時間に魔力使い切ってかまわないからな。」「重宝されてる。」
「へえ、そんないろいろな目的が工事のバイトにあるのか。」
口々に説明する学院生たちに、ギーシュは感心した。
「あれ? でもこの一石二鳥なやりかたって。」
啓太を見る。
「そう。この間の風呂場工事は、こうやって現実の仕事に興味を持たせて、
授業に身を入れさせるのも目的だったのさ。工事の修行と技術の習得、
魔法を使うペース配分習得。使用人に感謝されるのは3番目以下の目的さ。」 

 啓太は、何度も彼らに対して教えていた。
持ちうるリソースは常に足りない。上に立つものは、あるリソースを
有効に使うために常に一石二鳥も三鳥も狙わなければ大成できない、と。
それは軍事でも統治でも同じで、若いときから癖をつけたほうがいいのだと。

「へえ。この道を通ったのは酒場への移動、現場の様子を見る、
服を届ける、ギーシュにも建設への興味を持たせる、の4目的、というとこ?」
ルイズが、感心したような声で言う。
「ルイズは賢いな。80点をやるよ。」
啓太が、ルイズの頭をなでる。ルイズが、目を細める。最近素直なルイズだ。
ともはねがうらやましそうに見ている。
啓太は現場監督と少し話すと、今度こそ酒場に向けて移動した。
現場で働く生徒達には、ともはねが弁当を配っていた。


371 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 22:59:47 ID:kcArpLBB
学院の教師より教師らしい支援

372 :いぬかみっな使い魔。:2008/03/23(日) 23:00:21 ID:YGZGvw+m
「そういえば。」
 ルイズが、酒場まであと少し、というところで質問してきた。
「あの男子達、どうやって放課後に建設現場に通ってるの?
学校からトリスタニアまで馬で3時間よ? 無理じゃない。」
「その理由は今わかる。」
啓太は上を指差した。さっと上空を大きな影がよぎる。
ついで、雑踏のざわめきにかき消されてはいたが呪文詠唱の声が複数。
見上げると、タバサの使い魔、風竜のシルフィードから、6人ほどの
メイジが飛び降りたところだった。
酒場、ゼルマンの前に飛び降りる。丁度その時間に啓太達は酒場についた。
「よ、タイミングぴったりだったな、幸先いいぜ、お前ら!」
「「「サー・イエス・サー!」」」
「注文されたものは出来たのか?」
「サー・イエス・サー!」
そういって、各々手に持った物を掲げる。装飾された板やら建築工事で必要な
秘薬やら各種金具やら。これらを作るために到着が昼になったようだ。
「よし、上出来だ。よくやった! ほれ、これが例の着替えだ。」
「「「サー・イエス・サー!」」」
啓太が馬車の荷台を指差す。彼らはすぐに服に群がり、各々数着を取ると
先ほどの建設現場とは別の方向に駆けていった。
「あきれるほど感心するわね。昼ごはんすら複数の目的があったの!?」
「当然。とにかく時間も金も足りないんだ。」
啓太はにっと笑うと、降下してきた中一人残ったタバサに笑いかける。
風竜のシルフィードは飛び去った。
「いつもありがとうな。タクシー代は全部でいくらになってる?」
「今日が1エキューと62ドニエ。他に16エキューと52スウ。」
タバサが、無表情に答える。啓太は、エキュー金貨を20枚渡した。
「つりはいらないよ。タバサのおかげでいつも助かってるから端数はチップだ。
ありがとな。それと、昼ごはんを一緒に食べないか? おごるぜ。」
啓太がタバサの頭をなでながら食事に誘う。わずかに目を細めたタバサは、
コクリとうなずいた。
それを見て、ルイズはなぜかいらつく自分に戸惑った。
最近小さめだがベッドを購入し、薬草棚で仕切られた一角に
自分のスペースを作ったが啓太は何も言わない。黙認している。
もう屈辱がどうのは気にする事がなくなってきているあたりからこんな
気分に頻繁になるようになってきている。ルイズは、理由がわからなくて困った。


373 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 23:02:16 ID:aYkrbQIP
ともはねに完敗支援

374 :いぬかみっな使い魔。:2008/03/23(日) 23:02:28 ID:YGZGvw+m
「う〜〜ん、ケータ。私、トリスタニアに一緒に来るの初めてだけど、
一体いくつの事に手を出してるの?」
「いくつ手を出す?」
啓太は、ともはねの頬についたソースをハンカチで
拭いてやりながらルイズに聞き返した。
「だって、午前中だけで工事に男子生徒の授業態度の向上、薬草。
通りの名前を聞いて地形を覚える、ギーシュ達の仲を取り持つ。
日用品の相場を調べる。風竜タクシーだってあなたが思いついたんでしょ? 
さらに学院じゃ変な機械を作ってるし魔法の修行に社会の勉強に
戦闘訓練と指導。戦術授業に秘薬の開発までしてるそうじゃない? 
とても一人でやってる仕事の量じゃないわ。何者なのよ?」
「啓太様はとにかくすごいんです! 当然です!」
ともはねが、ツインテールを揺らして小さな胸を張り、むふ〜〜と息を吐く。
実に誇らしげに、と言いたいところだが容姿のせいでかわいいポーズ、である。

知らぬ間に仲を取りもたれていたと聞いたモンモランシーが拗ね、
ギーシュは必死になだめている。一瞬ルイズを恨めしそうな目で見た。
だが余所見をしている場合ではないので突っ込みはしない。

「シティーボーイの俺には不満だらけのこの世界。なら楽しめる世界に
“すれば”いいんだ。当分こっちにいるしかない以上、やってみるか、
ってだけさ。そうすると時間は絶対足りない。だからやりくりしていただけさ。」
 そう。この世界と啓太の世界の時間軸が違うのでも無い限り、
もはや啓太に獣医大現役合格現役卒業の可能性は無いも同然だ。
ならば、帰るまでの年月を無駄と後悔しないように過ごすしかない。
「??? どういうこと?」「きょろきょろきゅ〜〜?」
「啓太様、かっこいいです!」「もぐもぐ。」
「モンモランシー、つれないことを言わないで!」「いやよ!」

「無駄なもの、いらないと思えるもの、劣ったもの。役に立たないもの。
でも、別の面から見れば役に立つ優秀なものかもしれない。
あるいは、磨けば光る宝石の原石かもしれない。」
啓太は、ルイズを見据える。ルイズもまた、啓太が見いだした宝石だ。
ルイズは、傍若無人ながらも味方をし、かばい、才能を見出してくれた
啓太に見つめられ、ほんのりと胸が熱くなるのを感じる。

「俺の従兄弟の光は、そうやって10人の女の子の個性を花開かせた。
それを(世界に対して)やってみようってだけの話さ。」
そういって、どこか遠くを見つめる啓太。
啓太は、少しだけ、赤道斎の気持ちがわかった気がした。
己の理想とするもの、欲しいと思うものが無い世界。
世界を変えようとする傲慢と、それが出来る根拠。実に面白い。

そんな、遠い未来の理想を見据えた啓太の目は、実にりりしくかっこよかった。
ルイズの心臓が、また一つ、トクンと鳴る。
ともはねが、キャイキャイ啓太をほめているが気にはならない。
これは害にならないモノだ。ふと横を見ると、ひたすら食べていたタバサが、
手を止めて啓太を見ている。無表情な目。これも害にはならないだろう。
そう考えて、ルイズは、はたと困った。一体ナニが?


375 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 23:03:15 ID:C/LqteXm
支援

376 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 23:04:41 ID:gV7ya/yu
支援

377 :いぬかみっな使い魔。:2008/03/23(日) 23:06:12 ID:YGZGvw+m
啓太は、先ほどから隣のテーブルで声高に話している商人達の話を聞いていた。

 「また土くれのフーケが出たそうだぜ!」「今度はどこの貴族だ?」
 「ローレシア男爵の水の羽衣だそうだ。」「金庫が土くれになってたそうだ。」
 「その前はサマルトリア侯爵の力の盾だったか。」
 「巨大ゴーレムで別荘ごと破壊して持ち去ったそうだ。」
 「隼の剣は誰から取られたんだっけ?」「ルブカナ伯爵の城さ。」
 「聖なるナイフはテバ侯爵の地下通路からトンネル掘って盗んだそうだ。」
 「宝を持ってる貴族は皆震え上がって護衛に高い剣持たせてるってよ。」
 「だから最近固定化のかかった武器がやたら高いのか。」
 「土メイジ相手じゃ、安いただの剣は粘土と同じで役に立たんからな。」
 「けど、なまじな武器で意味あるのか?」「気休めにはなるんじゃ?」
 「フーケの巨大ゴーレムは見ただけでメイジも逃げ出す恐ろしさだというぜ。」
 「誰も襲われたときの事を話したがらないそうだ。」「それほど怖いのかよ?」
 「トラウマになって引きこもル奴。」「立たなくなっちまう奴。」
 「対人恐怖症になっちまった奴。」「いろいろいるらしいぜ。」
 「なんかほんとに恐ろしそうだな。」「手を出さなきゃ大丈夫らしいぜ。」
 「一発当てると手加減やめて恐怖のゴーレムにバージョンアップするそうだ。」
 「どんなゲームだ?」「なんだそれ?」「いや、気にするな。」

「ふ〜〜ん。」
 啓太は、少し考える。物騒な怪盗が出没しているらしい。
パソコンというこの世界ではとんでもないお宝を持っている以上、
武器を手に入れることを考えたほうがいいのかもしれない。
武器を握れば強くなる、という特殊能力を得たのだ。使わない手は無い。
もっとも、ガンダールヴの力を発動中は霊力を呪符にこめるのに支障がでる。
霊力の流れが分散され、威力が多少落ちるし時間もかかる。
そのデメリットを上回るメリットがあるのだし。
「予定がずれるが、余裕があれば武器屋によって見るか。」
啓太が唐突につぶやいた。
「啓太様、おもちゃ屋より先にですか?」
「武器屋って、あんなに強いのに必要なの?」
ともはねとルイズが聞き返す。
「まずはおもちゃ屋さ。そのあと、時間があれば武器屋にも寄るだけさ。」


378 :いぬかみっな使い魔。:2008/03/23(日) 23:08:23 ID:YGZGvw+m
 さて、それから啓太達はおもちゃ屋で品定めをしていた。
「ケータ様、これ! これ買ってください!」
ともはねが、ラメ入りゴムボールを啓太にねだるので快諾する啓太。
「う〜〜ん、プリキョ了変身グッズにセラムソ人形にハノレヒ学園キット。
どれも子供っぽいわね。やっぱり私にふさわしいのはもっと大人びた
ビスクドールね。口ーゼソメイデソ工房のがいいなあ。」
そういってちらりと啓太に目をやるルイズ。プレゼントして欲しい…
ってなぜ?ルイズは首をかしげる。
「今日は時間ないしな。今度来たときに寄るからその時買ってくれ。」
空振りである。
「………」
タバサが、無言でじっと人形を見ている。
「欲しいのか? ならプレゼントするよ。店主! これも頼む!」
なぜだかいらついてしまうルイズは、なんとなく店の一角にまとめて
積まれているおもちゃの剣の一つを手に取った。
「どうした、ルイズ。訓練用に買っていくか?」
「う、ううん、そんなんじゃないの。」
あわてて棚に戻すルイズ。その時。

「おい、そこのあんちゃん。」
「ん?」
 自分と店主以外誰も男はいないのに聞こえる男の声。
「俺だよ俺。」
「幻聴じゃないよな、幽霊か?」
タバサが、ギクリとこわばって包んでもらった人形を取り落とす。
一方啓太は目を凝らした。大抵の幽霊は普通にしていても見えるが、
中には穏身の得意な幽霊もいるからだ。が、幽霊は見えない。
かわりに、見慣れすぎていて気にも留めなくなっていたもの、
すなわち目の前のおもちゃの剣の山の一本に気付いた。

「気付いたか、俺だよ俺。おめえ、ここによく来る太った貴族や
がきに甘いおばさんどもとは毛色違うな? なんでいめみたいなのが来た?」
「おもちゃにもかかわらず、なぜか強い霊力を放っているな。
おもちゃの剣に幽霊が取り付いてるのか?」
またタバサが人形の包みを取り落とした。
「怖いのか? 安心しろ、邪霊ならすぐに俺が昇天させてやるから。」
そういって、そっと抱きしめてやる。優しく、子供をあやすように。
「むむ!」「うう!」
ともはねとルイズが同時にうなった。ともはねは遠慮なく啓太に飛びつく。
「啓太様〜〜〜私も怖いです〜〜〜♪」
飛びつけないルイズは、なぜか負けたような気分になっていらついた。


379 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 23:14:30 ID:aYkrbQIP
規制かな? 支援

380 :いぬかみっな使い魔。:2008/03/23(日) 23:14:54 ID:YGZGvw+m
さておき。

「うっうっうっ! なんてえひでぇいいぐさだぁ! 俺様を捕まえて幽霊だ
なんてよおぉ! 俺様はこれでも強えインテリジェンスソードなんだぜえ!」
なぜかおもちゃの剣が泣いている。
「おもちゃの剣をインテリジェンスソードにするなんて何考えてんだ?」
啓太は、じっと目を凝らして見た。悪い気はないようだ。
呪いの剣ではないようである。山から掘り出してみる。左手のルーンが反応する。
「おでれーた。おめえ、使い手か!」
「使い手?」
啓太は鸚鵡返しに聞いた。ガンダールヴの事だろうか。
「おう、使い手だ。おめえ俺を買え。損はさせねえ。」
「ふむ。しかしおもちゃを買ってもな。」「おもちゃじゃねーよ!」
錆びた剣がわめく。左手のルーンが発動するということは、
実際に戦うために作られたものなのだろう。悪くない。しかし。
「いや、だっておもちゃだろう? でなきゃなんでこんなとこに真剣が
あるんだよ。だよな、店主?」「真剣だ! デルフリンガー様だ!」
「まあ、おもちゃ以下といいますか。」「てめ、なにいってやがる!!」
「武器屋で口の悪さから店の売り上げを大幅に落としましてね。」「黙れこら」
「こりゃたまらんと二束三文で譲ってくれたのですよ。」「おきやがれ、殺すぞ!」
「子供の練習用木剣の山と一緒にね。木剣はどっちでも扱いますからその縁で。」
「ふうん、一応本物の剣なのか。しかしこんな錆びついた口の悪い剣か。
安かったら買ってもいいが…」「うおおお!おもちゃ扱いはもういやだ!」
魔法のかかった剣はとても高い。今の予算ではとても手が出ない。
「それなら新金貨で15枚でいいですよ。うちの売り上げも落ちてましてね。」
「う〜〜ん、しかしな、戦場で隠密行動取ってるときにわめかれたりしたら…」
啓太と店主の、値切り合戦が始まった。
結局啓太は、5エキュで“自称デルフリンガー”を購入した。
人形とゴムボール他のおもちゃ数個よりも安価に魔剣を手に入れたのである。
「うっうっうっ、ひでえぜ相棒。この俺様をあんなに買い叩きやがって!」
「安物。」
ボソッとタバサが一言言う。
「安もんじゃねえぇぇぇぇぇぇ!!!」
デルフリンガーが絶叫する。
「いや、事実だろ。欠点が酷けりゃ安くもなるさ。」
「欠点じゃねぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「じゃ、欠陥。」
またタバサがぼそっとつぶやく。
「欠陥でもねぇぇぇぇぇl!!!」
「うるさいわね、ほんとに」
ルイズも辟易してきたようだ。
「やっぱ返品したほうが「おねがい、それだけはやめて」いいんじゃねえか。」

おもちゃの同類扱いという屈辱だけには、
もううんざりなデルフリンガーであった。


381 :いぬかみっな使い魔。:2008/03/23(日) 23:17:15 ID:YGZGvw+m
以上で投下終了です。支援ありがとうございました。

すいません、途中で投下遅くなって。
なんか長文を連続で投下していると途中で調子悪くなるんですよね。
だから、ちょっと臆病になって魔を開けてしまうのです。

382 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 23:17:47 ID:u4nKlL21
遅くなりましたが、提督の人GJ!!

「手紙の抹消でなく開示」

銀英伝ではなく、アルスラーン戦記の方を、思い出してました。
秘密を開示して、秘密でなくしてしまう、どっちかと云うとナルサス的だなあ、と。

383 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 23:20:51 ID:6DSRKU1g
提督の人乙!
しかしこの提督、歴史知識はかなりあるもんだから内政に軍事に八面六臂の大活躍しそうですが、
やっぱり敵は貴族なんだろうなあと、仮想戦記好きの自分が言ってみる

いぬかみの人乙!
うむ、ルイズに順調にフラグがたっているようで。
でも、啓太の性格的にここまで嫉妬深い子はマイナス要因かな?


384 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 23:21:11 ID:aYkrbQIP
いぬかみの方乙です
ともはねの可愛いさは堪らんです

385 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 23:23:51 ID:Ur3OV2/1
いぬかみの方、おつかれさまです。
後編も頑張ってください、です。

386 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 23:29:27 ID:RqS01pgQ
ドラクエw

387 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 23:30:33 ID:V7rLnG4G
デルフおもちゃ扱いとか何で相場がわかるの?
売らないと言う選択肢もあるだろ。売ること優先で利益を考えない商売人なんている?それ商人失格。
素人がバザーやってるんじゃないんだよ。
値切り描写になってない。交渉になってない。一方的に都合のいい展開はありえない。
作者都合でしか話をかけないキャラクターのシミュレートができない。
こういった場面で人物を書けるかかけないかで上手い下手が如実に出るね。

388 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 23:32:14 ID:U5J941Qp
>>387
ここは批評する場じゃねぇんだ,他所へ行きな坊主

389 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 23:32:49 ID:UrEacazl
>>387 落ち着け

390 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 23:34:25 ID:BcuzVkoE
>>387
帰れ

391 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 23:38:50 ID:FzYVYcnc
>>387
「じゃあどうしたらいいのか」が欠けている。出直せ


392 :いぬかみっな使い魔。:2008/03/23(日) 23:39:53 ID:YGZGvw+m
作中で口が悪いせいで売り上げ落ちてるとちゃんとかいてますよね?
厄介払いでとにかく売れればいいってのをそんなに言われても。
それに商品の相場を覚えることもやってると書いてますが。

393 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 23:42:24 ID:QILfBxgL
>387
これからは送信ボタン押す前に深呼吸を3回しようぜ

394 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 23:43:29 ID:qaa2CI0P
>>392
相手にしない方がよいよ

395 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 23:43:45 ID:U5J941Qp
>>392
相手にする必要は無いとおもうぜ
自分が気に食わなかったら貶すことしか頭になくなる連中だから。
 
とまぁ次も楽しみにしてますよ

396 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 23:43:52 ID:aYkrbQIP
俺のターン!ドローッ!永続魔法《スルー》の効果発動!このカードがスレに存在する限り誹謗、中傷はスルーしなければ為らない! カードを一枚伏せてターンend

397 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/23(日) 23:49:35 ID:YGZGvw+m
>>396
遊戯王か(w


398 :偽ブレナン:2008/03/23(日) 23:55:30 ID:AFQN9XEa
他人の作の穴が指摘できるからといって、それが己の優越を証明することにはならんよ。

批判が大好きなら日刊ゲンダイにでも行って存分にやりたまえ。さもなくば14に進んで頭を冷やすことじゃな。

399 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:00:08 ID:rDcPq/2Z
>396
タバサがオシリスの天空竜を召喚

ルイズの召喚を召雷弾で邪魔しまくる
魂を削る死霊のハンデス効果をくらいまくってお化け嫌い
ジョゼフのデッキはデメリットアタッカー。キーカードのスキルドレインでオシリスの攻撃力0

まで考えた

400 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:01:38 ID:getW1mS1
グリッドマン呼ぼうぜ

401 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:01:42 ID:FGEL9bQ2
黄昏よりも暗きもの
血の流れより紅きもの
時の流れに埋もれし偉大なる汝の名に於いて
我ここに闇に誓う
我らがスレに立ち塞がりし全ての愚かなるものに
我と汝が魔力(ちから)もて、等しく無視を与えんことを!

402 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:01:46 ID:ccjXBzcy
スルーの魔法は高度な古代遺失魔法になってしまったのか?

403 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:02:03 ID:H1focxB5
ギャンブルフィッシュから阿鼻谷召喚

ルイズが弱肉強食の精神を叩き込まれていろんな意味で邪悪化しそうだ

404 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:02:21 ID:z9OmVRts
最近やっとOG外伝をやったんだが、リシュウ先生召喚という電波がきた。
地味に強いし年の功あるし。


405 :アクマがこんにちわ:2008/03/24(月) 00:03:24 ID:vM2K01EE
とりあえず十分になったら投下しようと思います。

406 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:04:12 ID:CQ9NHubn
提督見てると、フレーゲル男爵みたいのにからまれるヤンが目に浮かぶ

そして、いつのまにやら簒奪を目論むルイズ


ルイズ「あたしはハルケギニアを手に入れられると思う?」
ヤン「ん〜、出来るんじゃないかな?」

407 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:05:02 ID:CQ9NHubn
人修羅いらっしゃいませー

408 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:06:25 ID:pdyqyO6Z
しえーん

409 :アクマがこんにちわ:2008/03/24(月) 00:08:24 ID:xrVVA2ZA
■■■

朝食を終えた生徒達が、ばらばらに教室へと移動していく。

魔法学院の教室は、半円形のホール状になっており、円の中心に教壇が設置されている。
それを囲うようにして机が配列されており、外周に行くほど足場が高くなっている、最後列まで昇って教壇を見下ろすと、机の上がよく見える。
それはテレビで見た、どこか大きな大学の講義室のようであり、人修羅は大学という環境に憧れを持っていたので、ちょっとだけ得した気分になった。
その上、石で作られた建物なので、教室の雰囲気はどこか中世ヨーロッパの臭いが漂っている気もする。
ヨーロッパになど行ったことはない、想像上のヨーロッパに思いを馳せているだけだが、人修羅にとってはそれも新鮮で喜ばしいことだった。

人修羅とルイズが中に入っていくと、先に教室にやってきていた生徒たちが一斉に振り向き、じろじろと二人の姿を見た。
そして周囲からくすくすと笑い声が聞こえてくる、先ほど会ったキュルケはこちらにウインクを見せ、青い髪の毛の少女は他の生徒とは違いこちらを見向きもしない。

キュルケの周囲は、男子生徒が固めている、男がイチコロになるのも無理はないなと思い、人修羅は一瞬だけはにかみを見せた。
もちろん素早く視線を巡らし、キュルケが室一のバストを誇っているのは確認済みである。

階段のような段差を昇っていき、最後列の席に近づくと、人修羅は食堂と同じように椅子を引いた。
ルイズは無言でそれに座る、人修羅は立ったまま教室内の『使い魔』らしき生き物を見回し、どんな生き物が使い魔になっているのかを確認しようとしていた。

キュルケのサラマンダーは、椅子の下で眠り込んでいるようだ。
肩にフクロウを乗せている生徒もいるし、教室の窓からは大きなヘビが中をのぞき込んでいる、空には昨日も見かけたドラゴンがいて、蛇の後ろから教室内をちらちらとのぞき込んでいるのが解った。
昨日は、あの青い髪の毛の少女がドラゴンに乗っていた、おそらくあの少女の使い魔だろうと予測して、人修羅は目を閉じた。

肌の感覚を少しずつ敏感にしていく、感じるのは温度でも風の流れでもなく、純粋なエネルギー。
以前、古くから人間と関わり、何度も召喚されたことがあるピクシーが、こんなことを言っていた。
マガツヒ、魔力、精神力、マグネタイト、気、霊力…それらは同じものかもしれないし、違うものかもしれない、と。

誰からそんなことを聞いたのか解らないが、人修羅にとってそれは大きなヒントだった。
自分の身体の中を流れる混沌としたエネルギーを、より効率よく、的確に操るための、糸口になったのだ。

今感じようとしているのもそれだ、教室内の人間、使い魔達のエネルギーを肌で感じようとしていた。


いくつもの小さな粒、その中でひときわ大きな力の塊が二つ、そしてそれとは別に濃密な力が一つ存在している。
人修羅が目を開け、力を感じた場所を一つ筒確認していくと、二つの大きな粒はキュルケと青髪の少女。
そして濃密な力は…不思議なことに、ルイズから発せられていた。

410 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:08:24 ID:XoTiF7ju
>>404
爆散したはずの閃光のアルティス召喚とか
ワルド勝てねぇww

411 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:08:31 ID:ITK55xdc
大歓迎〜


412 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:09:03 ID:r4x6BAY5
この瞬間伏せていたトラップカードの効果発動! 永続トラップカード《避難所》! このカードが発動した場合厨レベル4以上の厨をスレより除外しなければならない!

413 :アクマがこんにちわ:2008/03/24(月) 00:09:03 ID:xrVVA2ZA
■■■

「皆さん。春の使い魔召喚は大成功のようですわね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」
いつの間にか教壇には教師らしき人物が立ち、教室内を見渡していた。
人修羅がふとルイズを見ると、俯いて肩を縮めていた。

教壇の方から視線を感じ、人修羅がさりげなく視線の元を見る、そこにはシュヴルーズと名乗った、中年女性のメイジがいた。
「…ミス・ヴァリエールもよく召喚を成功させましたね」
シュヴルーズが人修羅を見てそう言うと、教室中がどっと笑いに包まれた。
「ゼロのルイズ! 召喚できないからって、変な格好の平民なんか連れてくるなよ!」

その言葉に怒りを覚えたのか、ルイズは勢いよく立ち上がった。
ピンク色の髪を揺らしたまま、可愛いらしい声に必死の怒りを乗せて怒鳴る。
「違うわ! きちんと召喚したわよ! こいつが来ちゃっただけよ!」

別のメイジがルイズの方を向いて、こう大声を上げた。
「嘘つくな!『サモン・サーヴァント』ができなかったんだムガッ」

「お友達を侮辱してはいけませんよ」

ゲラゲラと笑い声が上がりかけたところで、シュヴルーズが杖を振って魔法を使い、笑い声を注意した。
シュヴルーズのこめかみにはうっすらと冷や汗が浮かんでいる、人修羅にはそれが解った、昨日のうちに人修羅の存在が通達されたのだろう、明らかにルイズと、人修羅に注意が向けられている。

先ほどルイズを侮辱した生徒は、シュヴルーズが杖を振ると同時に出現した粘土で、口を覆われていた。
窒息させるまでの効果は無く、ただ張り付いているだけだが、生徒を黙らせるにはそれで十分らしい。

ルイズもそれを見て、ふん、と鼻を鳴らし着席した。


■■■

「では、授業を始めますよ」
コホンと咳をして気を取り直したシュヴルーズが、右手に持った杖を軽く振った。
すると机の上に、直径三センチから四センチほどの石ころがいくつか出現した。
人修羅はそれを見て「へー」と呟き、感心していた。

「私の二つ名は赤土。赤土のシュヴルーズです。これから一年皆さんに『土』系統の魔法を抗議します。魔法の四大系統はご存知ですね? ミスタ・マリコルヌ」
ぽすん、と音を立てて、マリコルヌと呼ばれた少年の口から粘土が消える。

「は、はい。ミセス・シュヴルーズ。『火』『水』『土』『風』の四つです!」
マリコルヌの回答が満足のいくものだったのだろう、シユヴルーズは口元にわずかな笑みを浮かべて頷いた。

「今は失われた系統魔法である『虚無』を合わせて、全部で五つの系統があることは、皆さんも知ってのとおりです。その五つの系統の中で『土』はもっとも重要なポジションを占めていると私は考えます……」

シュヴルーズによる土系統の抗議は、去年一年間のおさらいを兼ねており、人修羅にとってはこの世界の魔法を知る上で大いに役立った。

万物の組成を司る重要な魔法、金属や石を作り出し、加工し、建築物を造り出し、農作物の収穫にも役立つという、生活に密着した重要な系統…それが土系統らしい。

人修羅はなるほど、と思いつつ、天地創造の神話に登場するような、神様や魔神などの仲魔を思い出していた。

彼らは、人間が呼吸をするのと同じぐらい簡単に、天地を作り出すこともできたはずだ。
しかしボルテクス界では、彼らの邪魔をする存在もまた同格の神々だった、そのため天地創造の力は完全に発揮されることはなく、彼らの力は戦いでのみ発揮されていた。

シュヴルーズの行った『練金』は、魔法を戦いの手段として使っていた人修羅にとって、とても興味深く、そして面白いものだった。

414 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:10:25 ID:MB/wYTFn
支援

415 :アクマがこんにちわ:2008/03/24(月) 00:10:32 ID:xrVVA2ZA
■■■

俺は最後列に座るルイズの後ろで、壁を背にして立ったまま、授業風景を見ていた。

授業は滞りなく進み、何名かの生徒が指名され、練金の実演を行っている。

シュヴルーズ先生が練金した石ころを、真鍮に変える者もいれは、鉄や青銅に変える者もいた。
中には失敗して、中身が石ころのままだった生徒もいるが、ほとんどの生徒は練金に成功していた。

「それでは最後に、ミス・ヴァリエールにやって頂きましょうか」
「え? わたし?」

目の前でルイズさんが指名された。
…おいおい、危険だろう、規模は小さいとはいえ爆発を実演させるなんて、危ないんじゃないだろうか。
俺はコルベール先生から、ルイズさんの魔法が爆発すると聞いていたので、危険だと思ったが…シュヴルーズ先生は自信満々にこう続けた。

「そうです。ここにある石ころを、あなたの望む金属に変えてごらんなさい」

なるほど、この先生は自分の『練金』によほど自信があるのだろう、先ほども粘土を生徒の口に貼り付けたあの手腕は見事だった。
きっと、多少の爆風なら簡単に封じ込めてしまうに違いない。

しかしルイズさんは立ち上がらない、背後からでも困ったようにもじもじしているのが解る。
よほど緊張しているのだろうか。

「ミス・ヴァリエール! どうしたのですか?」
シュヴルーズ先生が再度ルイズさんに呼びかける、するとキュルケさんが困ったような声でこんな事を言い出した。

「先生」
「なんです?」
「やめといた方がいいと思います……」
「おや、どうしてですか?」
「危険です」

キュルケさんがきっぱりと言い放つ、あまりの言い分に俺は呆気にとられたが、教室のほとんど全員が頷いていたので、思わず「え?」と口から声が漏れてしまった。

「危険? どうしてですか?」
「先生はルイズを教えるのは初めてですよね?」
シュヴルーズ先生がキュルケさんに疑問を投げかけると、キュルケさんはそれを質問で返した。
キュルケさんの言葉を信用するなら、この先生はルイズさんが魔法を失敗して爆発するのを知らない。

「ええ。ですが彼女が努力家ということは聞いていますよ。それに……」
ちらりと俺の方を見る、どうやら俺という存在を呼び出したことで、よく分からないけどルイズさんは期待されてるらしい。
「…さぁ、ミス・ヴァリエール。気にしないでやってごらんなさい。魔法の得手不得手は誰に出もあるのです、失敗を恐れていては、何もできないのですよ?」

にっこりと微笑むシュヴルーズ先生とは対照的に、キュルケさんは顔面蒼白でこう言った。
「ルイズ。やめて」

おいおい、キュルケさんはこの教室の中じゃそれなりに実力があると思ったのに、そんな人がルイズの魔法を恐れるのか?もしかして俺、ルイズさんを止めた方が良いのか…?

……しかし、俺が止める間もなくルイズさんが立ち上がった。
「やります」

ルイズさんはつかつかと教室の前に歩いていき、黒板を背にして教壇の前に立った。
緊張した顔で教壇を見ると、右手で杖を握りしめ、肩の高さに掲げる。

隣に立っているシュヴルーズ先生が、緊張を解きほぐそうとしてルイズさんに笑いかけた。

「ミス・ヴァリエール。この石をどのような金属に錬金したいのか、強く心に思い浮かべるのですよ」

ルイズさんは真剣な表情で頷いた、その仕草がどこか可愛らしいので、俺は心の中でガッツポーズを取ろうとした。

416 :アクマがこんにちわ:2008/03/24(月) 00:11:30 ID:xrVVA2ZA
そう、顔も仕草もとても可愛らしい、しかし……。
ルイズさんが呪文を唱えようとした瞬間から、杖を介して収束していくエネルギーは、方向性を持たない暴風のようなもので、どこに飛んでいくか解らない危うさに満ちていた。
前の列に座る生徒達は、既に机の下に隠れており、キュルケさんは机の影から心配するように俺を見ていた。

……やっぱりルイズさんを止めるべきだったかもしれない。

そんなことを考えている内に、ルイズさんは呪文を唱え終わり、杖を振り下ろした。
俺の目には、石ころが琥珀のような濃密な黄色と紫の輝きに包まれたように見えた、それはあらゆる耐性を破壊させる『万能属性』に酷似している。
しかもルイズさんは、自分の目の前、それこそ目と鼻の先で『万能属性』のエネルギーを爆発させようとしている。

「やばっ」
俺は教壇めがけて跳躍した。

ルイズさんの隣に着地し、すかさず右手で石ころを握りしめる
熱い、今からじゃ投げるのも間に合わない
片手じゃ押さえきれない、左手を重ねる、石ころが意外と大きい、手に隙間ができる
腹に手を押しつけて、もっと強く押さえ込む
マサカドゥスによって得た魔法反射能力が、勝手に発動しそうになる
万能属性じゃない? 複数属性の魔法?
反射するな、反射したらどこに飛ぶか解らない

まずい、押さえろ、押さえ込め! 押さえ込め!!!

押さ

■■■

使い魔のフレイムに覆い被さる形で、私は床に伏せた。
ヴァリエールの魔法は、気合いを入れるといつも爆発する。
去年、『ロック』を唱えようとして鍵穴を吹き飛ばした事件は、ヴァリエールが『魔法の成功しないメイジ』として有名になるきっかけだった。

ランプに火を灯そうとして、着火のルーンを詠唱したヴァリエールが、ランプを爆発させたこともある、あの時は破片で自分の手を怪我していた、その時はバカにする気も起きず、むしろ哀れだとも思えた。

練金の授業で、ヴァリエールはいつになく真剣な面持ちで杖を握りしめていた、気合いを入れれば入れるほどヴァリエールの魔法は大きな爆発を産む、それを知っていた私はフレイムの上で頭を抱え、鳴り響くであろう爆音に備えていた…


ボシュッ


………?
いつものような、ドカン!とか、ズドン!という盛大な爆発音が聞こえない、代わりに聞こえてきたのは気の抜けるような音だった。

同じく机の下に隠れている、隣の男子生徒(なんて名前だっけ?)がおそるおそる顔を上げていた。

男子生徒は、口を半開きにして、ぽかんと教壇の方を見ていた。

私も机から顔を出して教壇を見た……いつの間にか教壇の脇に立っている人修羅が、両手から煙を立ち上らせている。
シュゥシュウと音を立て、煙が出ているその手には、何か服の切れ端のようなものが少し垂れ下がっていた。

違う、人修羅の上半身は裸だ、ということは…あれは、掌の皮膚!?

417 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:13:24 ID:HPNvyhoV
支援

418 :アクマがこんにちわ:2008/03/24(月) 00:13:30 ID:xrVVA2ZA
■■■

「いてー、ルイズさん大丈夫?怪我とかない?」
俺はなるべく軽いノリでルイズさんに話しかけた。
手の怪我は大したこともない、これぐらいなら一分ほどで再生できる。

「ひと、しゅら…」
ルイズさんは呆然と俺の手を見ていた、その瞳は困惑に彩られ、心の内は解らない。
もしかして魔法を邪魔されたので、怒っているのだろうか?

「ちょっと!その手!」
「あ、ああ、ごめん。見たこと無い魔法難で、ちょっと驚いて咄嗟に掴んでさ、投げようとしたんだけど」
「そうじゃないわよ!そうじゃ…ミ、ミセスシュヴルーズ!水のメイジに、治癒を」
「大丈夫だって!ほら」
俺は狼狽えるルイズさんに掌を見せた、破れて垂れ下がった皮膚は既に風化を初めており、黒く焦げた部分もピンク色になっている。

「え? あ、あれ、さっきのは? 酷い火傷で…」
「見間違いだよ見間違い」

迷ったけど、俺は嘘をつくことにした。
このアクマの身体に秘められた再生能力を自慢するのも、ルイズさんに変な引け目を感じさせるのも、いいことでは無いと思ったからだ。

「あ、何よ、でも腫れてるじゃない…ミセス・シュヴルーズ。私は使い魔の治癒を頼んできます」
「え?ええ」
ルイズさんは、なぜか早口で喋っている、シュヴルーズ先生は一瞬だけ呆気にとられたようだが、すぐに気を取り直して返事をしてくれた。
そして俺はルイズさんに腕を捕まれ、まるで連れ去られるような勢いで教室から出て行くハメになった。

■■■

俺はルイズさんに引っ張られ、廊下を早歩きで移動している。
ここまで俺のことを気にしてくれるのだから、『大丈夫だよ!』と言って手を振りほどくのはかえって失礼だろう。
魔法学院の建物から外に出ると、朝とは別の水くみ場にたどり着いた。

「そこで手を冷やしなさい」

ルイズさんはそう言い放つと、教室に戻るつもりなのか、ずいぶん急いで建物の中へと戻っていった。
…そのとき、俺の耳は、ルイズさんが教室とは別の方向に歩いているのを察知してしまった。

そろり、そろりと足音を殺し、気配を消して、ルイズさんが走り去った方へ近づいていく。
周囲の音や気配を拾いつつ歩くと、使い魔らしき魔力を含んだ動物の気配がいくつも感じられた。
その中に一つだけ、小さく、頼りなく輝くような気配があった。場所は魔法学院本塔の裏側…ヴェストリの広場だ。

本塔の作る日陰で薄暗いその広場は、今の時間なんの授業にも使われていないのか、人の気配は一つしか存在しない。
唯一の気配は、扉から広場に出たところで立ちつくし、右手に杖を握りしめたまま肩をふるわせて、嗚咽を漏らしていた。

「…うっ……ぐすっ…あ゛うううっ…」

ルイズさんが、泣いている。
ぽたり、ぽたりと地面に水滴が落ちる。

俺の胸が、ずきりと痛み出した。
…痛み、心の苦しみ、俺がずっと忘れていた感情が、アクマとなったあの日から消えていたはずの感覚が、なぜか今感じられる。
俺は二人の友達を殺した、弱肉強食の世界を作ろうとした友達を殺し、閉じられた停滞の世界を作ろうとした友達を殺した。
でも胸は痛まなかった、あのとき俺は何も感じていなかった。
オスマン先生とコルベール先生に『俺は人間を捨てきれない』と言ったが、あれは嘘だ。
俺はアクマとなったあの日から悪魔になった、だから俺は人間らしさにこだわり、馬鹿なことをして、進んで笑いを取って、自分が人間だったのを忘れないようにしていた。

俺は…『人間を捨てられない悪魔』じゃなくて『人間に憧れる悪魔』になってしまったんだ……。
そんな俺の胸に、今、人間の時に感じていた、ココロの苦しみが湧き出している!
俺は後ろから、できるだけ優しくルイズさんを抱きしめた。

419 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:13:35 ID:9b42/W0Y
 

420 :アクマがこんにちわ:2008/03/24(月) 00:14:36 ID:xrVVA2ZA
■■■

私は、自分が情けない。
教師に練金の実技を指名された時、私は怖じ気づいていた。
ツェルプストーが私に「やめて」と言った時、私は止めるべきだった。
練金の実技は、使い魔にメイジとしての姿を見せる、チャンスだと思いこんで、私は必死の思いで魔法を成功させようとした。

…けれども、結果は失敗だった。
それどころか使い魔は、人修羅は、私の目の前に飛び込んで、爆発を起こす魔法を両手で押さえ込み、爆発を防いでくれた。

だけどその代償として、私は使い魔を怪我させてしまった……。
酷く手を腫らせた人修羅は「大丈夫?」と言って、私の身を心配してくれた。

それなのに私は『悔しい!』と思ってしまった。
そう考えた自分が許せない、人修羅は私を助けようとしてくれたのに、私は人修羅に敵意を向けてしまった。
そんな自分が情けなくて、私は人修羅の手を引いて教室を抜け出し、誰もいない場所を探した。

廊下を走る間、私は、あふれ出る涙が止まらなかった。
ヴェストリの広場に足を踏み入れ、そこに誰もいないと解ると、ついに私は声を我慢できなくなってしまった。

「うぇっ……う゛ぅ…うああああ……っ」

どうすればいいか解らない。

何をして良いのか解らない。

私が何でここにいるのか、わからない…

421 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:15:49 ID:9b42/W0Y


422 :アクマがこんにちわ:2008/03/24(月) 00:16:23 ID:xrVVA2ZA
■■■

「ルイズさん」
「!」
不意に、肩が温かいものに包まれる。
背後から回された、模様の描かれた腕が、私を抱きしめていた。
…人修羅?

「俺は、ここに召喚される前、地獄のような場所にいたんだ。家族も同級生もみんな死んで、生き残っていた友達も、最後には誰もいなくなった、みんな、死んだんだ」

「………」

「だから形はどうあれ、また人間と会うことができて、俺は嬉しいんだ。ルイズさんが召喚してくれたから、俺はまた人とふれあうことが出来た、俺はそれが何より嬉しいんだ」
「………」

「だから、気を落とさないでくれ、俺はルイズさんに助けて貰ったんだ、だから……」

「……ふんっ」

わたしは、人修羅の腕を振りほどいた。
はしたないことだと解っているけど、袖で顔を拭い、人修羅の方を振り向く。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・プラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」

人修羅の額に、右手に持った杖を向けてから、左手で人修羅の首を掴む。

わたしの唇が人修羅の唇と重なった。



「………え、えっと」

驚いたのか、人修羅は呆気にとられて目を泳がせていた、恥ずかしさもあるのか頬を少し赤く染めている。

それを見た私は、ちょっとだけ恥ずかしくなった。

「かっ、勘違いしないでよ!使い魔の契約よ!」
「え、あ、そうなの? あ、あはは、ビックリしちゃった、あははは」

照れ隠しなのか、後頭部をぽりぽりとかき始める人修羅を見て、私はちょっとだけむかついた。

「……キスだったんだから…」

「え?」

「……ファーストキスだったんだからね!」

私の怒鳴り声が、昼前の魔法学院に響く。
どうして怒鳴ってしまったのか、自分でもよく分からない。


だけど、私のココロは、ヴェストリの広場から見上げた空のように、とても青く透き通っている気がした。



〜〜〜〜〜
第三話おわりです

423 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:17:42 ID:MB/wYTFn
乙です!
爆発を防いだのってこれが最初?

424 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:21:48 ID:XgZZWy35
>>423
確か違う・・・・ハズ。

425 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:22:05 ID:r4x6BAY5
乙です


426 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:22:58 ID:zA97UuYw
乙! こういう人修羅はいいなあ。
言われてみれば、爆発防いだのは見たことなかったかも。
できそうな人は結構いるのに。偽テンプレじゃないけど、固定観念って怖いですね。

427 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:23:34 ID:ITK55xdc
GJ!!
仲魔、特に病院ピクシーの出番が気になる・・・。

428 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:27:40 ID:rO1NO55x
>>406
さすがにわがままな貴族のおこさまの駄々には付き合えないだろ。

>>426
爆発を防ぐって簡単に言うけど、鉄砲の弾が発射されるのを見てそれを止める位難しいかと。

429 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:29:49 ID:L84YxoOd
ここでガルバトロンを召還したら…基地外だから危ないな

430 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:32:21 ID:r4x6BAY5
>>482
発射された弾丸程度なら掴めそうなヤツ結構いそうですが

431 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:32:26 ID:PMG/tfIG
GJであります

432 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:34:08 ID:RsVEDZcC
アクマの人乙です。なるほどそれでか〜。

そうなると、やっぱり仲魔達がどうしてるか気になるな〜

433 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:37:51 ID:PMG/tfIG
フランクマ召喚

マルトー厨房の皿手裏剣でメンヌヴィルを倒し
キングサーモンでワルドをしばく

434 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:38:21 ID:RtHWBfEE
>>412
このスレにレベル4以上の房が居る訳が・・・・・



435 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:38:53 ID:EXgRvNQN
なのはクロススレで盗作した馬鹿が出た。というか馬鹿が盗作までやらかしたと言うべきか。
そして、そんな馬鹿をこっちに押し付けようとする真性馬鹿も出現。

297 :魔法少女リリカル名無し:2008/03/24(月) 00:00:48 ID:tJ4s8bnQ
>スパロボX氏

もうなのはクロスSSスレでは投稿は無理でしょうよ。
システム的に投稿は自由だけれど、もう誰も読んではくれないかと。
もしまだSSをやり続けるなら、修業の意味で他のクロスSSスレで
再起してみるのもひとつの手では?
なのはクロススレの次に今活発と言えば、
ナイトウィザードクロススレかゼロの使い魔クロススレかな?
けど、両方ともスレ住人もスレ雰囲気も
なのはクロススレ以上に特殊だから、果たして馴染めるかなぁ……?




436 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:42:58 ID:DlunpKcM
>>429
ビーストUのガル様なら基地外じゃないぞ、意外と情もある
またはマイクロンのメガ様やカーロボのギガトロンも意外とルイズ達の力になってくれそう


それとギャラクシーのマスターメガトロンやスタスクは…「確かに強い」けど協力なんて言葉無さそうなんだよな

437 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:47:15 ID:L84YxoOd
>>436
いや俺が言っているのは初代のガルバトロンだよ、あの基地外差には笑ったわ
ワルドとギーシュは瞬殺だな

438 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:49:23 ID:hIKhVEBP
……そうだ、ボンバーマンを呼べばいいんじゃね?

ルイズの爆破の手並みに感服したボンバーマンと
己の失敗魔法の爆発の価値を認めてくれる相棒を見つけたルイズは
最高のコンビとしてギーシュやらワルドやらアンリエッタやらを
片っ端から爆破爆破爆破!

439 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:49:35 ID:MjIHLKil
さて戦乙女の人が戻ってくるのを期待するか

440 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:50:00 ID:WlyeS5xB
劇場版の(まだ多少マトモだった)ガルバトロンなら…

441 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:53:16 ID:0w8mSGUS
まさかのボマー召喚と聞いて

442 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:53:59 ID:duPM86Bw
シャーロック・ホームズとかの探偵系のキャラの召喚は無いのかね。


443 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:55:41 ID:Jvkvz8gH
時計型麻酔銃はかなり反則だな

444 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:57:35 ID:DlunpKcM
>>438
でも「どのボンバーマン喚ぶか?」が問題ですよね
「アニメ版」が一番出しやすいですけど個人的には「漫画版」が好き
…でも「むさボン(昔のコロコロ読者しか知らないだろうけど)」が出て来ても困るか

>>442
一応「金田一(じっちゃんの方)」と「コナン(おっちゃんの代わりがコッパゲ)」
が召喚されてる

445 :モノノ怪「枕返し」:2008/03/24(月) 00:57:56 ID:f9foGTad
以前スレで言われていたネタで思いついたのがあるので一時から小ネタで投下させて頂きます

446 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:59:29 ID:CQ9NHubn
小ネタなら喚ばれたな

提督の前例が出来たし、頭脳派キャラもジャンジャン喚んで欲しい所だ

ただし、文才だけでなく頭脳にも自信があれば、だ



「自分より頭の良いキャラは書けない」というなら、ゼロな提督の作者はどうなんだ?

447 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:59:31 ID:aWPLaE+m
薬売りさんktkr

448 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 00:59:40 ID:r4x6BAY5
支援〜

449 :モノノ怪「枕返し」:2008/03/24(月) 01:00:16 ID:f9foGTad
「モノノ怪の形と真と理、お聞かせ願いたく候」
 ただの薬売りを名乗った相手から放たれたその言葉に、無能と呼ばれた王は笑った。

 モノノ怪 枕返し 一の幕

 ――ペルスランはかくの如く語る。
 全てのことの始まりはガリアに二人の王子が生まれたことでございます。
 ジョゼフとシャルル。そう名付けられた兄弟は大層仲良く育ちました。
 兄であるジョゼフが物心つくまでは……
「そう、王族でありながら弟と違って兄は全く魔法の才能に恵まれなかった!」
 ですが弟にはそんなこと関係なかったのです。周囲がなんと言おうと、シャルル様にとってジョゼフが最愛の兄であることになんら違いはなかったのですから、ですがジョゼフは別でした。
 自分より優れた、己の理想とも言える弟に優しくされることに耐えられなかったのです。
 ジョゼフは荒れていきました、日ごと部屋に籠もり酒と女と遊戯に溺れーーしかし一日中たりとも魔法の修練を欠かさなかったのは自らと弟君への凄まじい執念からでございましょう。
 そんな折り、この国を揺るがす事件が起きたのです……

「父は死の床で余を己が後継者に指名したのだ!世の民草、リュテュスの乞食どもにまで無能と知られた余がガリアの王だと!?」

 それはこれまでなにも持たなかった彼にとって唯一弟に勝てる部分でありました。だからこそ零れものの玉座であると知りつつも言ってしまったのです。

「どうだシャルルよ、余こそがガリアの王だ!」

(おめでとう、兄さん)

 その一言を聞いた瞬間ジョゼフの心は砕け散ったのでしょう。最愛の弟を手に掛けしまった哀れな王はもはやもはやひきかえせない道へと足を踏み出してしまったのです。


「そうだ、余は弟殺しの狂王である。して薬売りよ、これを聞いても尚モノノ怪などと言う世迷い言をのたまうか?」

「まだモノノ怪の真をお聞かせ頂いておりませぬ故」

「真、だと?」

 まさか、本当にお忘れになられたので御座いますか!? ならば仕方ありますまい、この老骨が墓の下まで持っていくつもりでございましたが全てお話したしましょう。シャルル様が残した真を……

 あの日はやけに朝焼けが目に痛い朝でございました、いつも通りシャルル様を起こそうとシャルル様の部屋に向かった私めはそこで信じられないものを見たのでございます。

「さて、一体何をご覧になったので?」

 涙ながらに抱き合うシャルル様とジョセフ殿下のお姿でございます。

「な、何を申すか!」

「これは異な事を。所詮戯言と笑ったのは貴方の筈、それよりもお気を強くお持ちください、さもないと……」

ーー返されますよ?





450 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 01:00:42 ID:EM4WJSf8
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1102308.html
お前ら電突頼む
このままじゃ2次元が規制されるぞ


451 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 01:02:13 ID:V9eEp2DJ
ちなみに爆発は密閉空間でおきると威力が跳ね上がる。
爆竹が手のひらで爆発してもやけどするぐらいだが手のひらで
完全に覆った状態で爆発させると指とかが吹き飛ぶらしい(うおおぼえ

452 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 01:03:52 ID:RsVEDZcC
>>433
よりにもよってフラン「クマ」のコスチュームかよw
クマっぽい亜人かと思って歓喜したルイズが泣くぞw

453 :モノノ怪「枕返し」:2008/03/24(月) 01:04:15 ID:f9foGTad
モノノ怪 枕返し 二の幕

(ニハッ、ニハ、ニハハニニニニハハハッハ)


「な、なんだ今の笑い声は!?」
「どうなされました?話の途中に、急に立ち上がるとは」
「お前たち何を企んでいる!?」
「これは異なことを私たちは何も企んでなどおりませんし、それにーー企むのはあなたの十八番じゃありませんか」

 失礼、どうやらほんとうに殿下はおぼえておられない様子、ならば続きを話させいただきましょう。あの日、あの時私めが見た光景のことを。

(悲しまないで兄さん、ガリアの為にはこれが一番いいんだから)
 ――ペルスランの語りと共にジョゼフの脳裏に記憶にない光景がいくつも閃いた。

「なんだ、なんだこれは」
 そう、私めが見たのでは互いにに抱き合い、涙を流すシャルル様とジョゼフ殿下の姿なのです。
(これ以上オルレアン公派を押し留めることはできないんだ、僕が頭にならなければ間違いなく計画もなにもなく自分たちだけで蜂起する。そうならばこのガリアを真っ二つに割る内戦が起きる)
 そしてお二人が語る内容は、シャルル様暗殺の筋書きでございました。

「うっ、嘘を、嘘を申すな!」

 誓って嘘では御座いません。
(頼んだよ兄さん、僕には政の才能はなかった。だからこの命兄さんに捧げよう、だからお願いだ僕が愛するこの美しいガリアが二つに分かれて争うハメにだけはならないようにして欲しい)
シャルル様は自ら進んで死にに行ったのです。


 刺客の正体が分からなかったのも当たり前の話で御座います、凶弾に倒れたシャルル様ご自身が魔弾の射手であろうとは誰も想像だにしますまい。


(ニハッ、ニハハ、ニハハ!)
「五月蝿い、やめろ!もうその笑い声をやめろ、やめろっ!」
(ニハッ、ニハン、ニイハ――ニイハン)



454 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 01:05:22 ID:aWPLaE+m
支援

455 :モノノ怪「枕返し」:2008/03/24(月) 01:05:34 ID:f9foGTad
「やめろ、やめ、やめめめめ」

 ――くるりとジョゼフの頭の裏返る、そこに張り付いていたのは人の顔の胴体を持つ小鬼であった。

(ニイサン、にいさん、兄さん、兄さん!兄さん!)

 ――最愛の弟の顔をした小鬼が、くるりと首をねじ回す。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 しかしそれは所詮幻覚。
 自身が生み出した夢、幻。
 だが今ので分かってしまった、そうだ――余は……いや俺は……

「そしてあなたは弟君の願いに従い、王としてこの国を導いた」

 そうだ、無能と言われても気にならなかった。どんな汚いことも進んでやった。すべては、全ては……

「けれどやがて耐えられなくなった」
「なん、だと……」
「呷ったのでしょう?エルフの毒薬を」

そうだ、俺は耐えきれなくなって呷ったのだ。心を狂わせるエルフの猛毒を、だが……

「だがそれでもあなたは狂えなかった」


 カチン


456 :モノノ怪「枕返し」:2008/03/24(月) 01:06:57 ID:f9foGTad
モノノ怪 枕返し 大詰め


「それでも、あなたは狂えなかった」

 そうだ、それでも俺は狂えなかった。
 シャルルへ向けた親愛の情をどうしても捨て去ることが出来なかったのだ。

「その結果貴方は」

 最愛の弟を一方的に謀殺したと言う偽りの記憶をでっち上げ。

「心に満ちる愛情を、憎しみだと誤魔化して」

 大切なものを失った傷を見ないようにして

「狂ったふりで」

 非道なふりで

「孤独なまま、王として君臨し続けてきたのですね」

 そうだ、それこそが俺の"虚無"

「それこそが枕返し」

 心に蟠る、石の如く固まった妄念の結晶

「貴方はそれを裏返された」

 愛おしい愛おしいシャルル、お前を殺したままおめおめと生き続けることなど出来ようか。

「だから貴方は」

 だから俺は

「「毒の力を借りて、己が心を捻じ曲げた」」


 カチン

457 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 01:08:05 ID:FB6nAUNW
魅入ってた 支援

458 :モノノ怪「枕返し」:2008/03/24(月) 01:08:35 ID:f9foGTad
 ――その言葉を呟いた瞬間、ジョゼフの首が真横に折れた。
 ――べきべきと音を立てながら曲がる曲がる

「こ、これは一体な、何が!?」


 ――ぐるんぐるんと首が回る、ジョゼフの頭が裏返る。


「毒の沼の底に沈めた弟への愛、腐り果て、虚無の石で封じて尚沸きあがろうとするその思い」

 気づいてしまえば立ち行かぬその思いを裏返す欺瞞こそこのモノノ怪の正体。
 
 ――やがてジョゼフの首の回転は止まった、そこの後頭部に四本の腕と四本の足でへばりついているのはシャルルの顔。
 ――聖人の如く笑みを浮かべたシャルルの生首が、ジョゼフの頭と溶け合っていた。

「二人で決めていた弟の死に耐え切れず貴方はエルフより授かった毒を煽った」
 ――それが真

「毒によって凍り付いた心をごまかす為に、あなたは弟への愛情を憎悪と偽った。その欺瞞に挟まれた貴方の心に妖が取り付いた」
 ――それが理


 シャルル! シャルル!シャルルゥゥ!
 ニハ、ニハニハニニニハハハ、ニィィハァァァーン!


「そして、その最愛の弟を裏切り毒へと逃げたことこそが」

 シャルルよ、シャルルよ、愛しい我が弟よ。

――モノノ怪の形  

 愚かな兄を、許せ



 カチン

459 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 01:09:56 ID:FB6nAUNW
支援

460 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 01:10:33 ID:cRPLwS1p
sienn

461 :モノノ怪「枕返し」:2008/03/24(月) 01:13:55 ID:f9foGTad
「(うぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお!)」



「枕とはすなわち貴方の想い、それを返すとは己のすべてを裏返すことに他ならない」

「これは一体!? ジョゼフ殿下が捲れて……」

「肉体も、魂も、心さえも」

「ひぃぃぃぃぃぃ」

「すべてが裏返り、愛憎さえ一つになるその間隙に、枕返しは枕を返す」

(ニハァァァアアアアアアアアアアアアアアア!)

「もう一度返されますか?」

「否」
「本当に?」
「否否否否否、断じて否!」

「ほう……」
「この思い気づいてしまえば立ち行かぬ! 俺は間違っていた、間違っていたのだ。シャルルは――聖人でもなければ君子でもなかった。ただの俺の愛しい弟だった」

「俺の心だけならばいい、だがシャルルの本当の姿まで穢すのならばこんな毒などいらぬ! この俺の手で枕返しなど八つ裂きにしてくれるわ!」



「ならば解き――」


(――兄さん)

 
「……放つ!」
『解き放ぁぁぁぁぁぁぁつ』

462 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 01:15:13 ID:MjIHLKil
ダイノガイスト様(勇者エクスカイザー)なら...従う以前の問題だな..

463 :モノノ怪「枕返し」:2008/03/24(月) 01:15:23 ID:f9foGTad
モノノ怪 枕返し 終幕

 すべてが終わった後、そこには膝の上に眠る姪を乗せたまま玉座に腰掛けるガリアの王の姿があった。
 眠るとも死んでいるともつかないその顔は、これまでペルスランが見たことないほど穏やかで優しげだった。

「やれやれ、面倒臭い」

 そう言うと薬売りが商売道具の入った行李を担ぎ上げた。

「さて帰りますか……」

 その時行李の引き出しから天秤が地面に音を立てて落ち、そしてジョゼフの時とは比較にならないほど大きく傾いた。
 その様子に薬売りは若干驚いたような表情を見せると、ゆっくりと口元を緩めた。

「成程、毒を垂らした杯は二つ。どうやらこのもう一匹、厄介なモノノ怪がいるようですね」



 ――次回、女郎蜘蛛 



続――かない!

464 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 01:17:12 ID:cRPLwS1p
GJ!
モノノ怪しらんが面白かったぜ

タバサママ編も是非!

465 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 01:17:22 ID:r4x6BAY5
何故か無性にブラックが飲みたくなる
支援

466 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 01:17:34 ID:cpatXRLu
続けよ!
つ、つづいて下さい!

467 :モノノ怪「枕返し」:2008/03/24(月) 01:18:29 ID:f9foGTad
以上、元ネタは「モノノ怪」より薬売り
本当はタバサママンの狂気に満ちた愛憎に続くはずだったのですが、俺の筆力では無理でした。

468 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 01:25:07 ID:4j61NBN6
>>435
なのはクロスSSスレ読んでる人間として、非常に耳が痛い;

469 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 01:26:51 ID:r4x6BAY5
モノノ怪乙です
小ネタですが自分の中ランキング上位です
是非続きを・・・・・・・・・寸止めなんてヒドイですw

470 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 01:41:15 ID:EiOqmWzB
>>463
続き書け〜(こーん、続き書け〜(こーん
アパ、お百度参りよ、
藁人形を釘で神社の木に固定して釘を百回叩くと願い叶うっておとさんからきいたよ

471 :チキの人:2008/03/24(月) 01:43:24 ID:CUH0/cnX
予約がなければ投下しても宜しいでしょうか? 

472 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 01:44:11 ID:qN6c74Se
何故、裏ムエタイ界の死神が…w

473 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 01:45:48 ID:8164MFcr
どうか支援して下さい!母が病気なんです!

474 :ゼロのルイズとマムクートプリンセス 第十話:2008/03/24(月) 01:46:36 ID:CUH0/cnX
 目を開けると、そこはベッドの上だった。
 一度開いたら元に戻ることの無さそうな窓に、薄い安物の敷布。
 さすがに埃が舞うほど汚いと言うことはないが、長くいたら病気になりそうな部屋だ。
 もしかしたら平民が泊まる宿はこんな感じじゃないかなー? と、想定はしていたがまさかここまで酷いとは。
 いや、どこぞの貴族の屋根裏かもしれないし、一概に決め付けられないんだけど。
 それにしても迂闊だ、森の中でつい眠ってしまうなんて。
 おかしいな、眠気に打ち勝つのは得意なんだけど魔法にかけられたみたいに眠ってしまった。
 身の回りの物をチェックしてみる、とりあえず杖はあるし、馬車に置いて行った荷物も何故か傍らに鎮座している。
 ここまで来ると誰かに仕組まれたんじゃないかと思えるけど、とりあえず感謝。
「あー! 生きてるって素晴しっ……げほっげほっ!」
 口を開いて大声を上げた瞬間、喉に汚れた空気が張り付き咳き込む。
 ダメだこの場所……早く脱出しないと。
 すると、唐突に控えめなノックの音が聞こえた。
 杖を持って身構えると同時に、許可もせずに人が入ってくる。
「ミス・ロングビル!」
 まったく予想外の人物が入ってきて驚いた。
 すると何か、ここはもしかして学園の一室? 独房か?
 慌てる私を尻目に、眼鏡の奥の瞳をきりりと光らせるミス・ロングビル。
 もしかして学院を勝手に抜け出した罪で、罰せられてしまうの?
「うぅ……! ミス・ヴァリエール、無事でよかった!」
 光ったのは水滴だったみたい……てか、このパターン何となくデジャブ?
 しかし、生憎と抱きつかれてしまうと生暖かいと言うか、暑い。
 いやいやをするように首を振ると、やがて自分が力を入れすぎた事に、もとい胸を押し付けていることによって、コンプレックスを刺激たことに気付いたのか。
 ミス・ロングビルは恥ずかしそうに頬を指で掻いた。
「森の中で倒れているのを見つけた時は驚きましたよ、私もオールド・オスマンの指令でラ・ロシェールに向かう途中でしたから見つけられたものの」
 無用心ですよ、ミス・ヴァリエール。と。
 今の言葉ではっと気が付く、ということはここはラ・ロシェール? 
 私が聞いてみると、肯定するように頷いてくれる。
 なんて幸運なんだろう、平民の賊に襲われれば竜が助けに来て。
 途中に不覚にも眠ってしまえばミス・ロングビルが運んできてくれる。
 いや、都合が良すぎる。仕組まれてるといっても良い。
 ただ、見つからないのだ。
 私をこの場所に移動させて、かつミス・ロングビルに預けて利益を得る人物が。
「ミス・ヴァリエール、どうしました?」
「ごめんなさい、ちょっと考え事を」
 もう少しで見つかりそう、この、茶番にも似た空間を覆す事実が。
 私はいつからこんな状況に陥った? 
 全てにおいて私に都合がよく、労せずとも平穏を手に入れた原因は?
 ゴーレムに踏み潰されそうになった際も、見たことのない竜の介入で助かった。
 宝物庫の宝も自分が寝てる間に全てが終わっていた。
 昼に賊に襲われた際も難を逃れた。
 その一因は、どこからともなくぶつかってきた何かのおかげだ。
 たぶん、ミス・ロングビルはその誰かに利用されている。
 第一目覚めた瞬間、都合の良い様に駆けつける時点でおかしいのだ。
 恐らくどこかで私の様子を見ていたに違いない。
 ……きっとその人、いや、子は。
 私の旅立ちを知っていてかつ、ミス・ロングビルを自由にできる。
 経緯は分からないけどオールドオスマンが、その子を守るようにミス・ロングビルに伝えた。
 だから昼休みに、キュルケと一緒に彼女が居た。
 これで、無理矢理だけどここにミス・ロングビルがいる理由が分かる。
「……あの、ミス・ロングビル。何でここにいるんですか?」


475 :ゼロのルイズとマムクートプリンセス 第十話:2008/03/24(月) 01:47:17 ID:CUH0/cnX
「え? ですから、オールドオスマンの指示で」
「それは聞きました、ですから、どのような指示で?」
「それは、いろいろと都合もあるので言えませんよ」
 顔色一つ変えずに言いきる。
 さすがオールド・オスマンの名秘書、こういう演技には長けている。
「チキですよね、チキを守るために来たんですよね?」
「どういう事です?」
「明らかにオールド・オスマンは、チキの何かを知っているようでしたし。それに一度だけでしたけど、昼休みにチキと一緒にいましたよね? それは、チキを守るように指示されたからではないですか?」
 チキが襲われたのは、あの一度だけだった。
 私もできるだけ目を離さないようにしていたし、キュルケもタバサも近くにいてくれたからだと思っていたけど。
 恐らく、教師の間でも不審な生徒に目をかけるよう指示があったのだ。
 さすがに生徒達だけ、しかも周りから見張られていては彼らも動けないだろう。
「ミス・ヴァリエールは随分と空想がお好きなのですね、著述家が向いているのではないですか」
「失礼なことを、それがミスロングビルの地ですか?」
 当たっているのか外れているのか。
 少なくとも答えるまでは、私が折れないと気付いてしまったのか。
 呆れたように首を振り、ちょっと待っていて下さいと部屋を出る。
 一人になった私は、悲しくて涙が出そうになった。
 チキのちいねえさまになると良いながら、最初から苦労をかけっ放しで。 
 どのように立ち回ったのかは分からないけど、キュルケもタバサもいつの間にか味方につけちゃってさ。
 少なくても、私なんかよりもよーっぽど大人じゃないの。
 よし、今度会った時にはお姉ちゃんって呼ばせてあげないんだから。
「はい、どうぞー」
 こんこんと控えめなノックの後、静かにドアが開き入ってきたのは。
 やっぱりというか予想通りチキだった。
「ルイズの……」
「ちょっと待って、お姉ちゃんって言うの禁止、最初みたいにルイズで良いから」
 チキの言葉を邪魔する形になってちょっとショックだった。
 加えてどう私の言葉を捉えたのかわからないけど、悲しそうに歪んだ表情から、少なくとも良い方向ではないのは分かった。
「ごめん、私自身がお姉ちゃんって呼ばれるのを禁止って事」
 自分で言ってる意味がよく分からない。
 悲しませるのは本位ではないとだけは伝わったみたいだけど。
「うーんと、ルイズに何から話せば良いのかな?」
 私がちょっと慌ててから口を噤んだので、チキが会話を促すように聞く。
 確かに、ミス・ロングビルがどう話して連れてきたのか分からないからなあ。
 まずは簡単な事から聞いてみようか。
「そうね、まずはチキが何者なのかからかな?」


476 :ゼロのルイズとマムクートプリンセス 第十話:2008/03/24(月) 01:47:59 ID:CUH0/cnX
背中に生えた羽、長い耳。
 一見しただけで私とは違う種族だと分かる特徴。
 チキもあまり語ろうとしなかったし、興味無かったから聞かなかったけど。
 ただ、私の言葉にチキが困ったように上を向く。
 つられて上を向いてみると、横を見ろと書いてあった。
「……そうだね、ルイズにはきちんと説明するよ。全部お話しするね」
 えと、横を見たら……バカ、バカですってぇ! 
 私をルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、ヴァリエール家の三女と知っての狼藉かこん畜生!
「私は元々この世界の住人じゃない、別の場所から来たの」
「はへ?」
 世界? 場所? ……つまり、ハルケギニアではない場所から来たって事?
「ルイズには信じられないかもしれないけど、ハルケギニアみたいな大陸が、誰にも越えられないお空の上にあると考えて」
 誰にも越えられないということは、少なくとも見えない。
 いや、そんなことはどうでもいい。
 空の上の大陸には私やチキと同じような生活をした種族がいるが、お互いに越えることはできない……つまり、東国みたいなものか。
「私はその世界の、マムクート……これは蔑称だから好きじゃないんだけど、竜の一族って考えて」
 竜……? タバサの使い魔みたいな? 
「チキは、韻竜って事?」
 確か絶滅したって言われてるけど?
 疑問に答えるようにチキが口を開いた。
「ハルケギニアにはそういう存在もいるみたいだけど、ちょっと違う。私は魔法は使えないから」
 つまりは、韻竜とはまた違った、何かによって竜になれるし、人の姿にもなれる一族って事か。
 確かにハルケギニアではそのような種族は珍しいけど……。 
 と考えた所で、唐突にエレオノール姉様が頭に浮かんだ。
『ルイズには申し訳ないけど、これも研究の為……おーっほっほっほ!』
 と、微塵も申し訳無さそうな態度で、チキの事を……だめ、だめよ!
 ちなみにエレオノール姉様は高笑いなんかしない。けど、珍しい物を見つければ見つけるほど、その仕草をしそうな気がする。
「そうだね、確かに隠しておくべき事柄かもね」
 とりあえずチキは、別の世界の竜族と。
「それでどうして? 私の事を守るようにしてくれたり……いや、その前に襲われたのは何で?」
 あの夜、仮に襲われたのなら竜に変身してしまえば良かったのだ。
 タバサの言動からして、変身せずに身を守ったのだから……。
「ごめん、もしかしてさ、タバサとキュルケにはあの夜から正体ばれちゃった?」
 質問しつつ、思考を繰り返していると聞くまでもない事のように感じる。
 それも何も、チキというピースが頭に見事にはまっているせいかもしれない。
 私の言葉にチキが申し訳なさそうに頷く、そりゃそうだ。私に正体を隠していたのに、近くにいた二人にはばれてしまってるんだから。
「ちょっと待ってチキ、質問する内容を考えるから」 
「うん」

477 :ゼロのルイズとマムクートプリンセス 第十話:2008/03/24(月) 01:48:44 ID:CUH0/cnX
 まずはゴーレムのときに助けてくれたのは、恐らくチキの変身した姿。
 てことは何か、あの筋肉痛で固まる私を見られてたって事で。
 そのために吐いた嘘もすべて筒抜けになっていたと……よし、これは穿り返さないように。
 賊の攻撃から守ってくれたのも恐らくチキ、あの茶色のドラゴンのまま突撃されたの……? 怖いから聞くのはやめよう。
 後は宝を取り戻したことと、チキの事情を知っていそうなオールド・オスマンのことだ。
「オールド・オスマンとは知り合いなの?」
 とりあえず、ミス・ロングビルと兼ね合わせてこの状況が分かるであろう質問をしてみる。
「ううん、直接は知らない。でも、同じ種族だって事はわかる」
「ん? って事は、オールドオスマンの背中にも羽が?」
「竜族はね、竜石を使って変身したりするんだけど。その石を捨てると、代わりにすごい能力を得るの。変身できたり、魔法をいっぱい使えるようになったり、石を捨てれば竜の力を捨てるって事だから、竜にはなれないけどね」
 竜になるか、その代わりを得るか二者択一か……。
「じゃあチキは? 竜石を捨てることはできなかったの?」
「飲んじゃったし……って言うのは冗談だけど、私はちょっと特殊だったから」
 答え辛そうに口を噤んだので、私もそれ以上は聞かないことにした。
 少なくても、今必要な情報でないのは確かだから。
「じゃあ次、宝はどうやって取り戻したの?」
 どんな物かは知らないけど、学院の宝物庫にあるくらいだから重要な物だ。
 それが盗まれて……ああ、もしかしてあの時キュルケがゴーレムの近くに飛ばしたのって、チキの正体を私に知らせるため? そういえば妙な事言ってたし。
「うん、タバサとキュルケと一緒に取り返しに行ったんだよ」
 私が眠っている間にそんな事が……ああ、だからミセス・シュヴルーズはキュルケとタバサを褒めちぎっていたのか。
 確かに巨大なゴーレム操るメイジを二人で倒したら誰だって驚くし。
「ん……? ねえ、でも、ゴーレムはいなかったの?」
 泥棒だって追い込まれればゴーレムを使うはずだ。
 よほど知略を凝らして、その状況に陥らせなかったのならともかく。
 だけどチキは、私の言葉ににべもなく答えた。
「あれくらい大したことないよ」
 私の顔がアルヴィーみたいになった……風に感じた。
 え、だってあれ。30メイルはあったよ? 横に寝かせたら、私達が寝泊りしてる宿舎と同じくらいの大きさよ?
「相手にならないから大丈夫だよ、ちゃんと守ってあげるし」
 ううん、私はそんな事を一言も言うつもりはないのよ。
 そんな巨体をまるで、ずれた眼鏡を直すみたいに倒せるなんて。
 ……こほん、って事はゴーレムを封じられた泥棒は見事に捕まって、宝も簡単に取り戻せたと。
「うーん? じゃあ何でミス・ロングビルがこんな所に?」
 

478 :ゼロのルイズとマムクートプリンセス 第十話:2008/03/24(月) 01:50:15 ID:CUH0/cnX
 宝を取り戻したことによって、チキの強さを知っているはずのオールドオスマンが、どうしてミス・ロングビルを護衛に?
 それに第一、私を追っかけてくるだけならあの茶色の竜になればいいんだし。
「あの、泥棒の正体がミスロングビル……フーケだったからだよ」
「んあ!?」
 てことは何? オールド・オスマンは泥棒……しかも、街で噂になってる土くれのフーケを秘書にしたって事? 
 それがもしも故意的だったとしたら……竜族って、やっぱり只者じゃない。
「って、事はもしかして」
「今回の事はオールドオスマンとは無関係、私が使ってるの」 
 ……え? わたしがつかってるの? 使う? 顎で?
 その言葉からしたくない想像をすると、ゴーレムを倒したと同時に正体という弱みも握った。
 ああ、でも、捕まれば極刑は免れないのだから、随分寛大な処置をしてるんだ。
 なんかもうそう思わないとチキへのイメージが崩れる。
「じゃあ最後の質問。どうして私をそんなに争いから避けるようにしてるの?」
 チキたちがフーケから、宝を取り返してる間。
 つまり、タバサに殴られてから一日中眠っていたのだ。
 私が起きれば、目撃者ということで何かを聞かれるのは間違いないし、フーケを捕らえるという事になれば、チキのお姉ちゃんとして喜んで手を上げた。
 その全てのリスクを防ぐ為に私を眠らせたんだろう。
 シエスタがギーシュに言いがかりをつけられた時も、もし仮にチキが強い使い魔だと知っていたら、無茶をしたかもしれない。
 メイジの実力を見るときは使い魔を見よ、己の実力を過信しても仕方ない。
 チキが弱い、つまり私に実力がないと考えさせる。
 そうすれば、私はできるだけ物騒な事を避けるし、頭を使ってできるだけ回避する。あいにく勉強はできるから。
「私ね、利用されてたんだよ」
 チキのぽつりと出てきた言葉に思考の波が止まる。
 気がつくと、表情をゆがめて泣きそうになってるチキの姿が見えた。
「優しい人もいたけど、私は、マムクートの私でしか……なかったから」
「いいよ、チキ。言わなくて、辛い事なら言わなくて良いから」
 私がそう言っても、チキは否定するかのように首を振る。
 どうしても言わなきゃいけないことだからと繰り返し、やがて決心がついたのか涙を拭った。 
「大きすぎる力は利用される、ルイズのおねえちゃんはそんな力を持っているの。私には分かる……だから、私みたいに誰にも利用されたくなかったの」
 だけど、魔法を使えば爆発を起こしてばかりで。
 初めて成功した魔法がサモン・サーヴァントって、チキは知ってるのかな?
 すごい力どころか、魔法の才能がまるで無い私の事を知ってるの?
 ……知ってるはずだ、私にも分かる。
 だってチキは必死になって、その事実から私を遠ざけていたんだもん。
 パートナーがそういうんだから、きっとそうなんだろう。
 だから今は、泣いているチキのことをゆっくりと抱きしめた。
「ありがとう、私を守ってくれてありがとう……もう、無茶しないから」
「帰る? トリステインに帰ってくれる?」
「うん、学院にも帰らない。チキが言う力は分からないけど、魔法に関連することなんだよね、だから学院にはもう行かない」
 ぐすぐすと、泣き崩れるチキの事を抱きしめながら。
 やっぱり胸なんていう脂肪の塊はいらないわよね、と。

479 :チキの人:2008/03/24(月) 01:51:42 ID:CUH0/cnX
投下終了です。
最終話まであと少し、次回はやっとアンリエッタ王女様……が出る、はずです。
支援と感想、いつもありがとうございます。

480 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 01:52:16 ID:qN6c74Se
支援

481 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 01:53:25 ID:qN6c74Se
なんというタイミングの悪さ…
支援なしでも大丈夫だったか、投下乙

482 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 02:10:45 ID:EiOqmWzB
>>481
ま、そんな落ち込むな、オイラと一緒にお百度参りするよ
続き書け〜(こーん、続き書け〜(こーん

483 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 02:11:47 ID:EiOqmWzB
アパ、忘れてた
投下乙

484 :モノノ怪「枕返し」:2008/03/24(月) 02:14:07 ID:f9foGTad
>479
乙です。
しかし毎度毎度竜化させた後ワープの杖で敵陣に放り込んで無双させてた俺には響くお言葉……

485 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 02:14:17 ID:8164MFcr
乙です。
どうしてもエロい事しか頭に浮かばないのは、俺の心が汚れているだけですね。

逆にFE世界にルイズが居たら、何気にかなり強そうな気が…


486 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 02:15:32 ID:f9foGTad
失礼、名無しに戻ります。

487 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 02:15:45 ID:1BjmluQu
なのはクロスの書き手はコテのまま雑談するアホばっかりだから来んなよ

488 :479:2008/03/24(月) 02:27:35 ID:CUH0/cnX
>>484
神竜どころか、遊びで色んな竜に変身させていた私はルイズに殺されます。
>>485
はやさ20のボルガノン使いとして活躍するルイズの姿が。
でも当たらない。

489 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 02:52:31 ID:oULFUwzb
しかし提督を読んで、自分自身の浅はかさにあらためて自嘲ぎみになるな。
てっきり、ルイズや自分の代わりに、ローゼンリッター並の陸戦隊員を近衛隊から選抜し、
レコンキスタ側に志願兵として売り込ませ、その最高指導者であるクロムウェルの暗殺
でもさせるのかと思ってたよ(イゼルローン奪取作戦の応用で)。

490 :↑追記:2008/03/24(月) 03:12:20 ID:oULFUwzb
結論:ワシ自身には、他人に読んで納得させられるようなゼロ魔SSを書ける才能はない、
と再認識。もっぱら他人の書くものを消費するだけ・・・

文才がほしい。

491 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 03:24:30 ID:8164MFcr
>>490
二週間前にメモ帳に書いた自分のSSを読み直し――
自信を失う事から全てが始まる。 SS道はシグルイなり。

492 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 04:15:06 ID:axVgb0t+
>>426
爆発を防げそうな奴と言うと
爆発を予測できてなおかつ押さえ込んだりできる能力が有る奴

サイヤ人…爆発を予測できないから無理

東方先生…クロスで包んで無力化できるか?
マスターテリオン…最高位の魔道師なら或いは?

かなり難しそう。

>>430
鉄砲玉どころか戦車砲以上に防ぐのは難しそう。

493 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 05:52:29 ID:Uiz95a4+
>>140
>ルイズファイト'08
多重クロスものなら色んな世界の特殊系ルイズと特殊計シエスタが集合する話が見たいな
リリカルイズ、夜天ルイズ、ボムボムルイズ、アルテマルイズ、アンパンルイズ、姉妹スレより石仮面ルイズ
剣聖シエスタ、鉄人シエスタ、大豪院シエスタ、姉妹スレよりリサリサシエスタ…


494 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 06:14:39 ID:DlunpKcM
「ギーシュさん」と「おっぱい子爵」も出すべきかと、彼らは最高です
後、「悪魔の水のモット」も

フーケは戦闘能力向上は「スナスナフーケ」はともかく「デルタフーケ」は暴走して死亡なので
そう言えば「闇フーケ(千年輪装備)」もいたよな、「アヌビスフーケ」は立場変わっただけで能力変わらず
「ゾイド乗りフーケ」もいたか

495 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 06:42:55 ID:oNZwaa4f
>494
魔獣の「螺旋フーケ」がいる

496 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 07:37:14 ID:4ztK8W0b
石仮面ルイズは人間のまま魔法を使いこなせるようになってかつ学園生活を
エンジョイしてる原作寄りルイズを見たら某正義の味方のように
殺しにかかりそうだ

497 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 07:42:30 ID:zA97UuYw
>>492
予測できるなら、爆発する前に杖弾き飛ばしたらいいだけだと思うんですが。

498 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 08:13:35 ID:FHLu0GCQ
>>492
『バジリスク〜甲賀忍法帖〜』の朧の「破幻の瞳」(あらゆる忍法を無効化する視線)が
ゼロ魔世界の魔法にも有効ならあるいは…

弦之介の瞳術はルイズがシャレにならなくなる(失敗魔法で自爆的な意味で)ので止めとくか

499 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 10:12:33 ID:TZsVy/QQ
>>498
破幻の瞳は厳密には忍法とは呼べない怨念の塊みたいなもんまで無効化してたから、魔法にも利きそうな気がするね。
つかあの世界の忍術は魔法みたいなもんだし。
ま、その辺の解釈は作者さん次第なんだけどさ。

無効化でいけばとある魔術の使い魔上条さんなんかもそれ専門だな。
右手で触れる必要があるけど、ルイズにも詠唱が必要だし押さえ込むのは不可能じゃないな。

500 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 10:20:09 ID:OgXp+/M7
>>490
気にしちゃ駄目。しょせん読む側からお金をもらう訳じゃないんだし、自己満足を押し通していいじゃない!

まとめサイトに載っている自作があまりにも穴だらけで恥ずかしい……。

501 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 10:32:11 ID:u6dhTN2Q
>>499

破幻の瞳は最悪見ただけで固定化は解けるデルフは消える飛空船は落ちる精霊は死ぬと
魔法文明においては月光蝶ばりの埋葬兵器になりかねんな

502 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 10:44:06 ID:p4BrLwDK
>>破幻の瞳
ル「よ、読める!読めるわ!私に始祖の祈祷書が読めるわ!ほら、文字が浮かんできた!」
朧「え、本当?どこに………」

ぼちゅん(祈祷書とルビー消滅)

「「…………」」

503 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 10:44:47 ID:w8JjByNK
原作でも破幻の瞳は無敵だしなあw

504 :ゼロのTrickster:2008/03/24(月) 10:44:55 ID:zy2S9rJC
誰も投下する予定がなさそうだから投下します

505 :ゼロのTrickster:2008/03/24(月) 10:45:25 ID:zy2S9rJC
chapter3 契約


 キュルケに連れられ部屋に戻っていたルイズは、すぐにベッドの中へと潜り込んでしまった。
 これは悪い夢だ。今まで見てきた夢よりもずっとタチの悪い夢。そう願いながら意識を落としたのだが、目が覚めて愕然となる。
 すでに日は沈んでいた。明かりのない薄暗い部屋が、それを告げている。
 上体をベッドから起こし、ふと隣を見ると呼び出した使い魔が、その部屋の中で椅子に座っていたのだ。しかも黙ってこちらを見ている。

「あ、おはようございます」

 呑気に返事を返したドラコは、次の瞬間ルイズの怒声に耳を塞いだ。

「なんでアンタがここにいるのよ!!」
「えええ!?」

 意外に元気そうなルイズの様子を見て、ドラコは驚きながらも内心で安堵した。
 コルベールと共に廊下を歩いていたときに、ふと思い立ってルイズの部屋を教えてもらい向かったのだが。

「えっと……その、謝ろうと思って。びっくりして叩いちゃったこと」

 突然顔を近付けられて、驚いてルイズの頬を引っ叩いてしまったことに後悔していた。
 聞くところによれば、使い魔召喚の儀式の次に行うコントラクトサーヴァントなる契約だったのだ。これではルイズの邪魔をしたとしか言えないだろう。

「ふ、ふん! いまさら謝ったって……」

 と、ここでルイズの思考が急速に脳内を巡った。
 使い魔に叩かれたということに関しては、まあ百歩譲って許してやらないこともない。こちらだってファーストキスだったのだ。
 そして、自分の部屋に使い魔がいること。使い魔の本能でも働いて、主人に許しを乞いに来ているのを見ると、やはり召喚には成功しているのだろう。
 瞬く間に冷静さを取り戻した。つまりはこれから改めて契約をすれば、目の前にいる人間は正式に自分の使い魔になるということだ。

「まあいいわ。それよりアンタ、私と契約しなさい」

 ――契約。その言葉にドラコは良い印象を受けてはいない。
 それがどのようなものなのか、言葉の意味をそのまま受け取ったとして、自分はどうなるのだろうか。

「契約って、したらどうなるんですか?」
「召喚された使い魔は契約して、一生主人の命令に従って生きていくのよ」

 聞いてからドラコは愕然とした。もちろん、表には出さないようにしている。
 こんなバカな話が、果たして許される世界なのだろうか? そこら辺にいる生き物を勝手に呼び出して、契約して奴隷のように扱うなど、ドラコには理解できない話だった。

「そんなこと、したくありません。いきなり見ず知らずの人に死ぬまで仕えるなんで、おかしいと思います」

 今度は逆に、ルイズが驚愕してしまった。こちらは正直に表情に表れている。
 だが、ルイズにとってはここで退くわけにはいかない。ここで使い魔と契約できなかったら、これからも他の生徒たちにバカにされ続けるだろう。
 落ち着いて、落ち着くのよルイズ、心の中で何度も繰り返しながら、一度深く息を吐いた。

「……そう、だったら好きにしなさい。着の身着のままで一人孤独にさ迷ってるといいわ」
「いいんですか!? ありがとうございます!」

 言われたドラコは表情を輝かせた。
 ギョッとしてルイズは再度ドラコに言う。

「ア、アンタ分かってんの? どこから来たのか知らないけど、お金も持ってなさそうじゃないの。どうやって生活するのよ?」
「はい! 料理に掃除に洗濯に裁縫、知識もそれなりにあります。長く一人で生活してましたから出来る範囲でお仕事を探そうと思います」
「へ、平民が簡単に働けると思ってるの!?」

 ここで明かされる使い魔の万能さにルイズは舌を巻いた。おかげで返す言葉が滅茶苦茶なものになってしまった。主に働いているのは平民だというのに。
 柔らかい表情で言うドラコを見て、言葉が詰まる。

506 :ゼロのTrickster:2008/03/24(月) 10:46:05 ID:zy2S9rJC
「契約してくれなかったら私が困るのよ! そ、それに……」

 ルイズの表情が曇る。もはや何て言い返せばいいのか、むしろ何を言ってもドラコが受け流してしまいそうに思えてくる。
 片やドラコは、ルイズの表情を見て眉を顰めた。そこまで契約が重要なものなのだろうか? この世界で魔法を使える貴族にとって、どれ程契約が大切なものなのだろうか。
 事実この異世界で、自分はどうやって蜃気楼の島に戻ればいいのだろうか。

「そういえば、召喚したっていうことは、元の場所にも戻せるんですか?」
「無理よ。一度召喚された使い魔を戻すなんて、聞いたことがないわ」

 それが本当のことならば、帰ることは容易ではないということになる。あまりにも理不尽な現実にドラコは頭を悩ませた。
 と、そこでドラコの中で閃くものがあった。
 帰る方法が無いなら、探せばいい。もしくは自分で作ったほうが早いのかもしれない。
 この世界――ハルゲニアでは貴族が魔法を使えるのならば、貴族と接点のある位置にいなければ、その機会も減るのは間違いないだろう。
 もしかしたら、召喚されたときから自分の運命は決まっていたのかもしれない。

「わかりました。それなら、しばらくの間はルイズさんの使い魔になります」
「ホ、ホント? って、しばらくってどういうことよ!!」

 一瞬だがルイズの表情に明るさが戻ったが、すぐにそれが歪んだ。
 しばらく使い魔になる? そんな中途半端な契約こそ聞いたことがない。

「あ、ちょっと違うかな? 契約はしないけど、使い魔みたいにルイズさんのお世話をしますね」
「契約しないって、アンタ意味分かんないわよ! おとなしく私と契約しなさい!!」
「いーやーでーす! どうして一生命令されて生きていかなきゃならないんですか?」
「だあああああ!!!! アンタ貴族に逆らう気!? いい加減にしなさいよ!」

 ピクリとドラコの眉が動いた。貴族を前面に押し出したルイズを怪訝な表情で見て、彼女に訊く。

「貴族だからって、逆らってはいけないんですか?」
「当たり前よ、平民は貴族に従うものなの! そんなことも知らないの?」
「どうしてですか?」
「貴族は魔法を使えるからよ」

 ならば自分が魔法を使っているところを見せたら、貴族の仲間入りなのだろうか?
 そんな疑問がドラコの頭を過ぎったが、そんなこと出来るはずもない。何せこの世界では自分は平民なのだし、安易に魔法を使うわけにもいかない。
 それに契約の内容自体が、ドラコにとっては吐き気がするものなのだ。ルイズは契約のことをまともに考えているのだろうか。

「ねえ、ルイズさん。もし契約したら、ボクはずっと家族と離ればなれにならなきゃいけないんですか?」
「そ、そうよ、仕方ないじゃないの! 召喚されたアンタが悪いんだから!」
「それじゃあもし、ルイズさんがどこかの誰かに召喚されたら、仕方なく契約するんですか?」
「――っ! それは……」

 もし、自分が召喚される側だったら。
 確かに家族に会えなくなる。ちい姉さまも、エレオノール姉さまにも、二度と会えなくなるのかもしれない。
 けれども自分は貴族なのだ。だからと言って、はいそうですかと、平民を見逃して帰すわけにはいかない。

「……いいわ、それならしばらくの間、アンタのこと使い魔にしてあげる」

 口惜しいが、ここは折れるしかない。これではドラコ相手には何を言っても会話が進む気配がない。
 嬉しそうに喜んでいるドラコを見ると、正直かなりムカつくのだが。ルイズは自分の理性を限界まで押さえていた。

「ありがとうございます。それじゃあ、使い魔はどんなことをすればいいんですか?」


507 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 10:47:33 ID:w8JjByNK
支援

508 :ゼロのTrickster:2008/03/24(月) 10:51:13 ID:zy2S9rJC
 こちらが妥協するや否や、ドラコが早速本題に入ってきた。どうもよく分からない性格である。しかしドラコがその気なら、まあいいだろうとルイズは説明に入る。
 使い魔は主人の目となり耳となる――が、ドラコは人間なのでどうにも無理だった。
 次に秘薬の材料を集める――これはきっぱりとドラコが断った。知らない世界の植物に取りにいくのは無理らしい。

「って、別の世界って何よ?」
「えっと、カバリア島っていうところで……なんて説明すればいいのかなあ? ――あっ!」

 答えあぐねていたドラコは、ふと窓の外を見た。
 驚くことに月が二つ映っていた。いや、すでに異世界だということは理解しているので、それほど驚くことでもないのだが。

「月が一つしかない別次元の世界です。コルベール先生からある程度の話は聞きましたけど、この世界の地名や国名はボクの知ってる世界では聞いたことがありませんし」
「ふうん……信じられないけど、まあそれは別にいいわ。とりあえずアンタが使い魔になるってことは間違いないし」

 訊いてきたルイズが、あっさりと話を変える。どうも彼女の性格やら言動には慣れるのが難しいな、と思いながらドラコは苦笑した。

「あとは主人を危険から守ることね。って、アンタじゃ無理か」
「え? ボクとしては、そっちのほうも得意ですけど」

 これでもカバリア島では魔法型ドラゴンの中でも、ある程度戦えるほうだと自負している。少なくとも自身と周りの仲間を守るくらいには。

「持ってきた道具の中に役立つ武器がありますから大丈夫です」

 笑顔で言うドラコにいささか不安を覚えるが、本人が言うのだし、嘘を付いているようには見えないのでひとまず納得する。

「分かったわ。それじゃあ最後に聞くんだけれども……」

 と、ここでルイズは改まってドラコを見た。何だろう? とドラコは思いながら見ていると、ルイズは自分の頭を指差して声を上げた。

「あ、アンタのその頭に付いてるのって……何?」
「ドラゴンの耳ですよ」

 ルイズは椅子からひっくり返って床に落ちてしまった。慌ててドラコは彼女を抱き起こす。
 だが接近したのが悪かったか、ルイズはドラコに詰め寄って頭を鷲掴みにした。
 そして思い切り前後に揺さぶられた。脳が頭の中でシェイクされる感覚が堪ったものではない。

「おおおおおおかしいじゃないの龍の耳とおまけに尻尾も付いてるなんて!!!! アンタもしかして韻龍なわけ!?」
「これ飾りですよ? ホントに付いてるわけないじゃないですか」
「……は? 飾り?」
「そうです、カバリア島の住人は一部を除いて、身体に生き物の耳と尻尾を付けて生活しないといけないんです」

 なんとも馬鹿げてる島に住んでたのか。まず頭に生き物の耳を付ける意味があるのだろうか?
 しかし、とりわけ考えても無駄なことなので、ドラコの頭を掴んでいる手を離して、自身の額を押さえながら、とにかくと切り出した。

「ま、まあアンタの身に着けてるものは、この際どうでもいいわ。明日からは使い魔としてしっかり働くのよ」
「はーい、わかりました」

 にこやかに返事を返すドラコを一瞥して、ルイズは立ち上がる。
 それとほぼ同時に欠伸を漏らしたのが見えた。それも仕方ないだろう、すでに会話を始めてからかなりの時間が過ぎているのだ。外を見ると薄らと明るみを帯びていた。

「それじゃあ私は寝るから、朝はちゃんと起こしなさいよ」

 言いながらルイズはベッドへと身を投げた。もぞもぞと身を捩りながら、やがて静かな寝息を立てて大人しくなる。
 それを確認したドラコは、ふと自分はどこで寝ればいいのか考える。部屋にはベッドは二つも置いてない。
 とすると、椅子か床だろう。しかしルイズのことを考えると、勝手に椅子に座ってもいいのだろうか? と思ってしまう。

「……文句言われると嫌だし、床で寝よう」

 別段、カバリア島にいた頃は野宿も何度か経験したことがある。ドラコ壁を背にして床に座った。
 カバリア島にいる仲間たちと、何より蜃気楼の島に置いていった二人を想いながら、ドラコは朝が来るのをひたすら待ち続けた。

509 :ゼロのTrickster:2008/03/24(月) 10:52:36 ID:zy2S9rJC
以上です。支援してくださった方、ありがとうございます。

510 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 11:01:43 ID:PavgekmE
乙です。
同じように知能の高いきゅいきゅいは契約の時に文句はなかったのか疑問に思ったり。

511 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 11:03:51 ID:w8JjByNK
乙!

512 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 12:00:56 ID:YhEV+Gkd
乙!!

>>510
きゅいきゅいとか他の奴らは承知した上でゲートに入ってるんじゃない?
ルイズ達から見ればあらわれた奴が
使い魔になる事を拒否する方が考えられないのかもしれないな・・・。

513 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 12:20:34 ID:2WxXla+w
とにかく悪逆非道な魔法だと確定させたがってる奴が定期的に湧くけど
サモンサーヴァントとコントラクトサーヴァントにはまだ謎が多いからな。
使い魔が主を好きになるのはルーンの効果だと仮定しても
今の所出てきたメイジは皆使い魔を好きなってるし
「お互いがお互いを必要とするものが呼ばれる」というのは強ち嘘ではないのかもしれない。

514 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 12:31:22 ID:getW1mS1
>>513
つまり麻酔みたいなものか
「なんで効くかわからないけど便利だから使うか」みたいな

515 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 12:36:56 ID:ebkcWJv6
見るからに怪しいゲートにうかつに手を突っ込むのはどーかとか思わなくはないが、
まあこのスレではゲートをくぐったとかいう描写がなくて、いきなり召喚されている
ということが多いからな……。
読んでる方もそういうもんだと刷り込まれる可能性はあるよな。
別の二次では、ちゃんと本編みていたはずなのに、いつの間にかSSデフォルトを信じ込んでた
なんてよくあることだった。俺自身からしてSS書くのに見直して衝撃を受けたりした。
きっと、何処のジャンルでも繰り返し起こっていることなんだろうさ。

しかしそんなことかいときながらもゼロのTricksterの人、乙でした。

「面白いは正義」だぜ。


516 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 12:40:21 ID:RJEQKP9w
>>513
野生の生き物が人間の主人なりパートナーなりを必要とするとは、どうしても思えんのだが

517 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 12:42:17 ID:JmGlONis
きゅいきゅいはお姉さん欲しがってたらしいし
フレイムも火竜山脈から出れて満足してるみたいだぞ

518 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 12:45:36 ID:ebkcWJv6
野生の生活は餌をどうするか大変だから、そこらでどうにかしてくれってのも結構いるかもね。

519 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 12:49:10 ID:PavgekmE
実際目の前に突然ゲートが現れたら猫なら逃げ出すだろうな。

520 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 12:55:32 ID:OgXp+/M7
分かっていて召喚に応じたのって、ミカヤの他にいた?

521 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 13:11:13 ID:L84YxoOd
んじゃあゴリラコンボイも召還したらどうかな?。
だめだ、あいつ確かバナナが無いと切れるんだっけ…なら千葉トロンを召還だな

522 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 13:29:47 ID:iCK4wBwB
>>521
千葉トロン「ルイズ〜何か面白いことを言ってみろ!」
こうですかわかりません

523 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 14:02:38 ID:XoTiF7ju
野原ヒロシボットならいいつっこみ役になれそうだ

524 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 14:07:27 ID:tvG3PP6h
クラーク・ケント召喚というのはどうだろう

彼は抗魔法能力が常人を遥かに下回るという弱点があるから
以外に面白くなるやもしれん

525 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 14:37:16 ID:OgXp+/M7
弾丸は眼球に撃たれても効かないくせに魔力を持った子供にリンチされたら瀕死になったからねぇ>スーパーマン

526 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 14:40:39 ID:qJb6ZIlG
ギーシュやフーケ相手なら強いけど
ワルド相手だと辛いってことか。

527 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 14:44:47 ID:AEP+x48Y
なんか毎日必死になって餌を探し回る必要も
敵から命がけで身を守る必要もなくなるわけだから
条件としては決して悪くないよ的な描写を読んだ記憶が・・・

ここのSSだったっけ?

528 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 14:49:56 ID:lkLq2BKY
タバサの冒険2でそういうのがあった

529 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 14:55:07 ID:kh7bo2qD
世界丸見えとかで動物園の動物を自然に帰す系の番組を見るたびに何で安全な場所から食うか
食われるかの自然に帰すんだろうと思う自分はたぶん奴隷根性の持ち主。
たいてい緊急避難的に預かることになった動物なので、動物園側に余裕がない所為かと思うんだけど……。
絶滅危惧種(確かレッサーパンダだった)を動物園で増やして生息地に放し、
その後の経過を調査した番組で発信機つけた固体が死体で見つかった時はマジ凹んだ。
ようするにハルケギニアの動物が使い魔を非常食や捨て駒扱いしないメイジと出会うといいなってことだが。

530 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 14:56:57 ID:GAAlO9oa
非常食って言えば、エクセルサーガからメンチ召喚されたら・・・

531 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 15:01:35 ID:rQLrhqfZ
>>530
人間以外だから普通に喜ばない?

532 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 15:02:55 ID:MqpJicL2
>530
喜ぶんでない?メンチは。非常食扱いはされないだろうし。
ルイズにしても、読んだのが動物なら普通に世話するんでないかな?

原作でサイトに理不尽としか思えない態度を取ったのだって、
「平民の人間が、使い魔のくせに自分の言うことを聞かない」=「自分がゼロだから?」という、コンプレックスの裏返しなんだと思うし。

533 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 15:04:55 ID:pQcIHri/
メンチと聞いてコロッケ!を思い出した

534 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 15:06:47 ID:gXJokjG9
メンチと聞いて「殺ンのかゴラァッ!」と思い出した

535 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 15:07:54 ID:iCK4wBwB
>>533
ウスター召喚ですね
わかります

536 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 15:08:34 ID:76+VZVpO
メンチビィィィィィム!!

537 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 15:19:16 ID:XgZZWy35
>>536
男の勲章と申したか。

538 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 15:33:49 ID:qJb6ZIlG
>>529
生態系のことを考えれば
最終的には自然下で繁殖できるようになってくれないと意味がないわけで、
飼育下で殖やすのも大事だけどあくまでも目標とするのは自然に帰すことなんだろう。
日本でもコウノトリでいろいろ試行錯誤してるみたいね。

>>530-532
いかにもお互いに呼び合いそうだしな。
メンチとしては命の危険のない飼い主を、ルイズはまともな使い魔を、
それぞれ欲しがってるだろうし。

539 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 15:58:29 ID:axVgb0t+
>>530
ルイズ側の視点「まともな犬だ!しかも賢い!」…大当たり
メンチ側の視点「非常食扱いしない飼い主だ!しかもお金持ちで飢える心配も無い!」…大当たり



540 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 16:03:19 ID:zK8nNd3/
>>522
ビーストウォーズのメガトロンかぁ、いいなそれw
千葉さんの「あらまコンちゃぁぁん!!」が未だに耳から離れないよw
従順な使い魔が欲しいルイズからすると、アリさんごっつんこの彼が一番適任かもしれんがw

541 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 16:16:52 ID:5WPCFHUA
バイド召喚しようぜ。

542 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 16:33:25 ID:HFW1pfkZ
悪魔城ドラキュラ黙示録の覚醒前のマルスとか召喚したらどうなるかな

543 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 16:49:07 ID:7YgkUE/K
ルイズのプライドが満たされる程度の強さがあり、外見が使い魔らしくあり、スレ住人が満足できるユニークさを兼ね備える使い魔。
強く、馬鹿で、ノリもいい、そんな使い魔に……天外魔境シリーズよりマントーを召喚はどうでしょう?

544 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 16:57:43 ID:MqpJicL2
>>543
>ルイズのプライドが満たされる程度の強さがあり、外見が使い魔らしくあり、スレ住人が満足できるユニークさを兼ね備える使い魔。

・・・・・・・・・・・・タイガージョー?

545 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 16:58:53 ID:460+rSmJ
>>518
ヴェルダンデは衣食住を全くギーシュに依存してないぞ。
逆に安全な地中から引っ張り出されてデメリットの方が多い。

546 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:01:08 ID:LeBQaHK4
>>544
最期はダイナマイトを手にしてラスボスを道連れに自爆か


……いや、そっちの方じゃないって事は予想がつくけどさ


547 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:02:56 ID:Pw0mtyWk
一瞬ジョー東?とか思ってしまった。


548 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:04:47 ID:x5iBHJvL
美味しい餌を与えてやって、
快適な小屋に住まわせてやって、

「お前ら、有り難いだろ」って考えること自体が人間の傲慢だよな。

549 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:09:42 ID:axVgb0t+
>>545
あの巨体を蚯蚓で賄えるのかな?
餌は別に貰ってて蚯蚓はおやつじゃね?

モグラは穴を掘る重労働相応に大食いで一日に自分の体重ぐらいの餌を食べる
それが巨大化したような生物が定住したら周囲数キロから蚯蚓がいなくなってしまう


ジャイアントモールや竜やサラマンダーって野生化ではエネルギー収支を黒字にするのが大変だと思う。


550 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:10:15 ID:zK8nNd3/
>>545
ヴェルダンデ自身はともかく、ギーシュ的には
自分の美的感覚から見て望み通りの理想の使い魔を召喚出来たと思っているんじゃないかと思うんだ。
となるとヴェルダンデの場合はギーシュみたくああやってけむくじゃらの自分を溺愛してくれる相手を
欲しがっていたんじゃないかと推測しているんだが…。

551 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:10:53 ID:LoeAbHqM
じゃあ、ここは逆に思考を展開して。
ルイズが駄犬を召喚して、名ブリーダーになる物語をドキュメンタリー形式で書いたら面白いかな?

ごめん、面白くないね。

552 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:11:49 ID:TceWutjF
>>549
なるほど、つまり野生種のジャイアントモールは存在しない、
仮に存在したとしても数キロに一頭程度の広いテリトリが必要だと。

553 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:12:31 ID:axVgb0t+
>>548
「燃えるお兄さん」で自然の中で育った野生児が
動物園で「今出してやる!」と檻を壊したら
「余計な事するんじゃねー! ここなら餌が貰えて怪我や病気の心配もねーんだ!」
と動物たちにリンチされ
その後檻に入れられて「あはは ここはいーぞ…」と感化される話が…


554 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:14:26 ID:9tG/imb2
それを考えると、ヤン召喚もちょっと納得出来そうだ

ヤン:命を助けてくれる、学院でノンビリお茶を飲ませてくれる
ルイズ:魔法無しでも生きていける術を教えてもらう

555 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:14:41 ID:FQooVUuw
>>550
>けむくじゃらの自分を溺愛してくれる相手を

モグラが毛むくじゃらの自分の姿にコンプレックスを持ってるとでも?


556 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:19:28 ID:axVgb0t+
>>552
或いはテリトリーを持たずに放浪性

サラマンダーや竜は有る意味もっと大変
巨体とか体温の為隠れるには向かないし
空を飛んだり火を吐くから必要カロリーもやたら高そう

虎は3〜7日に1頭の鹿で生きていけるらしいが
サラマンダーは下手したら毎日一頭食べる必要が出て来そう
となると虎の数倍の縄張りが必要

天敵もいなさそうだから縄張り争いは熾烈を極めて
負ければ即食われたり餓死


これから考えればタップリ餌を出してくれて
「一杯食べて立派になりなさい」と言ってくれるご主人は神さま状態

557 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:21:20 ID:r4x6BAY5
DQ 5 からはぐれメタル召喚 対7万戦までにLV8になって い*お*な*ず〜ん

変なテンションになってきた

558 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:24:51 ID:HOk9kFw/
>>549
逆に考えるんだ。

体長数メートルのモグラが棲息しているハルケギニアには、
体長数メートルのミミズも棲息してると。

559 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:25:18 ID:hav3uvlz
これ召喚とかどう?

その1 http://www.youtube.com/watch?v=NWBKSO4DvWk
その2 http://www.youtube.com/watch?v=3wfSHV4zYMw

560 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:26:31 ID:UwRvSYv7
>558>
つまりDQからおおみみず召喚ですね?

561 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:29:03 ID:f9foGTad
ヴェルダンデの穴掘りスペックから考えるとひょっとしたら一食ごとにFFの砂漠で出てくるような巨大ミミズと格闘していたかも知れず。
そして書いててふと思いついたんだが、ヴェルダンデは見つけてきた原石を加工して宝石にしてくれる相手を求めていたんじゃね?
ギーシュは錬金だけは得意だし、モンモンに手製のミスリルの首飾りとかプレゼントしたりしてるし。

562 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:31:51 ID:lkLq2BKY
>551
南極越冬中のタロとジロを召喚

すまん、全然駄犬でない上に駄犬の意味がわかってない

563 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:33:22 ID:axVgb0t+
>>558
その蚯蚓の餌に大量の落ち葉や腐葉土が要るから
やっぱり数は少なくなる。

兎が何十羽と住める土地でもサイが住んだら1頭でも草を食べつくしてしまう…


でも「グラボイス」みたいな化け物蚯蚓がいて
それを狩るジャイアントモールの戦闘能力は
ハルケギニア随一

とかの設定があっても面白そう…

硬い岩盤すらプリンのように掘りぬく腕力と爪で蚯蚓食べています
と言うのも宝の持ち腐れだし…

564 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:40:24 ID:zK8nNd3/
>>551
いやいや、それは真面目に面白そうだよ。
駄犬というと…平成犬物語のバウあたりかな
逆にフランダースのパトラッシュ辺りの名犬が召喚されてもそれはそれで面白そうな…。

565 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:42:15 ID:DSm45qEJ
>>563
ハルケギニアなら巨大ミミズを賄えるの大森林くらいありそうじゃないか?
ジャイアントモールの生態や生息地ってわかってたっけ?

566 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:42:26 ID:p8ceQWpF
>>557
召喚しても契約できなくね?

567 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:45:53 ID:DdYIXSeS
ジャイアントモールは元からある程度知能が高く、しかも温厚でだとしたら、自分を溺愛してくれるギーシュは理想的なご主人かもしれないな。
パーフェクトブックだと、マリコルヌの使い魔クウ゛ァーシルはそれなりに優秀っぽい。
ただし梟だから昼間は寝てるとか…
ウ゛ェルダンデに戦闘向きの能力があっても、それを戦いに使おうとしないギーシュのおかげで平和に過ごせているとしたら、ギーシュはかなり美味しいポジションのキャラだなぁ。

568 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:47:30 ID:vN2Yemp+ ?2BP(30)
>>566
たしか小ネタでそれのメタスラバージョンがあった気がする。
結末は……めちゃめちゃ悲惨だったような……

569 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:51:05 ID:TIBr3sY8
ヴェルダンディが宝石が好物とかあったような覚えがあるけど、
これって二次創作?

そこらへんから幻獣(妖怪とか妖精)の一種かと思っていた。


570 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:53:05 ID:zK8nNd3/
>>561
SO RE DA!正に互いに望む者同士の召喚なんだなぁ。
なにげない組み合わせに見えて、深く推理してみるとちゃんと繋がりがある辺り、
原作者の人も実はこの辺をちゃんと考えて書いてたんだろうね。

571 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:53:29 ID:OnAbEg/T
メタスラと聞いてふと思ったが
誰かメタルスラッグでなんか書いてくれよ
破壊の杖がロケットランチャーってメタスラ的にはあまり大したことないな

572 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 17:59:35 ID:axVgb0t+
>>571
破壊の杖=初期装備の無限に撃てるピストル

フーケゴーレムと言えども撃ち続ければいつかは魔力切れで倒せます。


召喚するのはラルフやクラークだと
召喚慣れしている
1対1の試合にも慣れている
必殺技持ち
剣を使った事も有る

と良い感じ

573 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 18:01:57 ID:Pw0mtyWk
ラルフとクラークと聞いてKOFの怒チームを思い出しました。
まあ、軍人だしKOFでよくわかんないのと戦ってるしでそんなハズレじゃなさそうだが。

574 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 18:06:04 ID:LeBQaHK4
>>573
そいつらの事だよ
メタスラにも出てる


575 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 18:11:26 ID:axVgb0t+
>>573
元々はアクションやシューティング「怒」シリーズの主人公
異世界への召喚経験あり
剣を使った事も有る

そしてKOF参戦
メタスラにも参戦

地味に複数の世界観を繋いでいる人物

576 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 18:13:26 ID:L84YxoOd
>>540
まぁお買い物モードとかあるからなw

メガトロン「ルイちゃ〜ん、何か面白いこと言ってみろ」
ルイズ「何でちゃん付けなのよ!?」
メガトロン「あたーっ!(鞭でぶたれる)」

577 :573:2008/03/24(月) 18:20:55 ID:Pw0mtyWk
メタスラにも出てたのかあいつらw
元々『怒』シリーズの主役というのは知ってたんですが。

578 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 18:45:52 ID:mlyCFR1v
駄犬と言えばバウ… もうでてるか。あとはタッチのパンチとか…
クサナギ八犬士も強いけど駄犬っぽいと思うな。

駄犬じゃないけどヘタレ属性持ちならスミスとかハイエナとかオキクルミとか。
あと性格悪いのならスナイパーとかな。

579 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 18:59:11 ID:RsVEDZcC
ヨッシーアイランドにいなかったっけ。
「このバカ犬といわないで」のステージで何回死んだことか……

580 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 19:01:39 ID:qbgf5Xdy
>>540
ビーストのメガトロンは表面上はひょうきんだけど本質は狡猾かつ冷酷だぞ。
初期ルイズだと利用されてポイの気がする。

581 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 19:08:21 ID:tvG3PP6h
獅子丸は駄犬に入るのだろうか

ハルケギニアにちくわはないんだろうな・・・・・・・

582 :ゼロの軌跡:2008/03/24(月) 19:12:35 ID:Ek3Mv5W2
どうも、投下してよろしいでしょうか。

三話合計で間違いなく猿さんに引っかかる量なので、
全部まとめて避難所に投下していいですかね?

583 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 19:17:55 ID:XoTiF7ju
>>551
山田太郎物語の犬ってなんて名前だっけ・・・
あの犬こそ召喚されるのを望みそうだ

584 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 19:19:13 ID:zK8nNd3/
>>582
ドゾ!

585 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 19:19:22 ID:TagP2ehK
>>582
どうぞ

586 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 19:19:27 ID:LeBQaHK4
>>582
まさか一度に全部投下しようとか考えてる訳じゃないよな?
その書き方だと、そう言う風に受け取れない事も無いんだが
流石に避難所であっても、それはちょっと困り物だと思う
ぶっちゃけ、投下中は実質スレを独占しているのと変わらないし
つーか三話分分かれてるのなら、素直に投下自体を何回かに分けた方がいいと思うぞ


587 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 19:19:56 ID:tvG3PP6h
>>582 かむひぁー!


588 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 19:20:25 ID:vN2Yemp+ ?2BP(30)
>>580
その前にあの千葉キャラを書ききれる腕を持った作者がいるのだろうか・・・・



589 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 19:20:47 ID:xzO1z4CL
と言うか一日一話の投下で良いような希ガス支援

590 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 19:21:37 ID:Ex/EWvgl
猫キャラだとどんなのが面白いかな?
むかーしの漫画で困ると踊ってごまかす猫がいたよね

591 :ゼロの軌跡:2008/03/24(月) 19:26:37 ID:Ek3Mv5W2
>>586
>>589
いや、数日に一回一、二時間程しかネットにつなげない環境にいるんで…。どうしてもまとめての投稿になってしまうんだ。
駄目なようなら、考える。


とりあえず一話分ここに投下します。あとはみんなの反応しだいで決めます。よろしく頼みます。



592 :ゼロの軌跡:2008/03/24(月) 19:28:29 ID:Ek3Mv5W2
ゼロの軌跡

第十二話 貴族と平民


「なんですって!?レコン・キスタが?」
「なんでも、和平条約の締結のために派遣された軍使節が攻撃を仕掛けてきたらしくて、そのままこっちに向かってるそうです」

 ルイズとレンもレコン・キスタの話は各地で耳にしていた。
 聖地回復を目指すという、なんとも胡散臭い連中だと思ったがまさかトリステインにまで攻めて来るとは思わなかった。アルビオン王家が滅んだと聞いたときはただの内乱のようだったのだが。

「軍の到着は何時ぐらいになるの?レコン・キスタの勢力はどれくらい?攻めてくるまでの時間の余裕は?」
「え、えっと、軍は早くてもあとは半日はかかるそうです。敵の兵力は大体五千とか。もう数時間ほどでレコン・キスタはこのタルブ村までやってくるって」

 どうしましょう、と震えるシエスタをなだめ、ルイズは急いで村の人間を集めるように指示する。
 それを受けてシエスタが出て行ったのを確かめるとレンはルイズに問いかけた。



「どうするつもり?」
「戦えない女性と子供はすぐに村から脱出させるわ。レンと<パテル=マテル>はその人達を守るためについていって欲しいの」
「ルイズはどうするのかって聞いてるのよ!」

 苛立ちを隠そうともせずに、レンは声を荒げた。彼女がここまで怒りを見せるのはサモンサーヴァント以来の事だった。

「タルブを抜かれたら王都までレコン・キスタを防ぐことは出来ないのよ。ここで少しでも時間を稼ぐわ」
「正気!?防ぐ為の兵力は?体制を整える時間は?篭って戦えるような要害は?
 この状況でルイズ一人で何が出来るっていうのよ」
「一人じゃないわ。タルブと近くの村から義勇兵を募る。二百くらいは集まるでしょう」
「空からの精鋭五千と地上の民兵数百。勝負になるはずがないじゃない」

 レンは近くにあった机を力任せに殴りつけた。木で簡易に組まれただけのそれは容易にひしゃげて床に転がった。折れて跳ねた二本の足がルイズとレンの足にぶつかって止まる。
 レンには始めから分かっていたのだ。ルイズがここに踏みとどまるであろう事が。そして、ルイズが決して意志を曲げようとしない事も。
 それでも、無駄と知りながらレンは説得を放棄することが出来なかったのだ。

「少し時間を稼げばアンリエッタ様が軍を派遣してくださるわ。それまで持ちこたえればいいの」
「最低でも半日かかるのに、このままじゃ一時間耐え切れればいい方よ。それに王国軍が来たところで勝てる保証は何もないわ」
「レコン・キスタの進軍が少し遅れるかもしれないし、増援が早く来るかもしれない。その増援は空軍に対抗できるような戦力を保持しているのかも。
 そうやって要素が積み重なれば、まだ賽の目はどちらに転ぶか分からない。でも私がここで退けば万に一つの勝ち目も失う。
 私はトリステインの貴族なの。民と国を見捨てるような真似は絶対に出来ない。命を天秤に掛けるようなら、私は貴族としての道を永遠に失ってしまう。それは死ぬことより辛いことだわ。

 私を怒ってくれてとても嬉しかった。でも…ごめんなさい。レン」





593 :ゼロの軌跡:2008/03/24(月) 19:28:56 ID:Ek3Mv5W2
 レンはそれ以上反駁できなかった。ルイズもレンもお互いにどうしようもなく正しかったからだ。

 ルイズは自国とその民を守らんとした貴族であろうとしたのだし、レンもまたそれを是としていた。
 自己の保身でなく、国と民の為に己を捧げる。それが真に正しい貴族の道だとルイズは信じて行動しているし、その信念を認めたからこそレンも今までルイズと行動を共にしてきた。

 だがその決意は今ルイズの、文字通り必死の反抗作戦という形で顕れて、レンにはそれを認めることが出来なかった。それしか方法がないことを理解しながら、感情はそれを頑なに拒んだ。
 きっとそれはレンにとってルイズの存在が欠けてはならないものになったからで、だからルイズはレンに感謝したのだ。
 
 本来レンにとってルイズは憎んで然るべき存在のはずだった。レンを元の世界から引き剥がすように召喚し、親のように慕っている<パテル=マテル>と契約した。
 ルイズが衣食住を提供しているといっても、レンほどの異能があればこの世界で不自由することはあるはずもない。ルイズが成し得て、レンに成し得ない事は何一つない。
 畢竟、互いの存在を必要としていたのはルイズであって、レンではないはずだった。

 それでも今こうしてレンはルイズを求めてくれている。死地に向かうルイズを引き止め、翻意させようとしてくれている。日頃は決して見せない激情を露にして。
 それがルイズには堪らなく嬉しくて、そしてもうレンに応える事が出来ないのが悲しくも申し訳なかった。


 ルイズが窓に視線をやると、心配そうに顔を覗かせる<パテル=マテル>がそこにいた。 
 私が死ねば、本当に<パテル=マテル>をレンに返すことが出来る。きっと胸のルーンも消えるだろう。
 そう思うと沈みがちな気分も少しだけ楽になったように、ルイズには感じられた。

「ルイズの大馬鹿…」

 長い沈黙の後、硬く握った拳を力なく下ろして、レンはただそれだけをつぶやく。
 それすらも親愛の情であるようにルイズには思えた。
 レンはそのまま走って部屋を出て行く。その後姿を追いかけて抱きとめたい衝動に駆られたが、それは許されることではなかった。

 顔に疑問符を貼り付けたシエスタが呼びに来るまで、ルイズは杖を握り締めて立ち尽くしていた。



「本当にここに残るんですか?」
「そうよ、危ないからシエスタも早く避難しなさい」
「駄目です!敵いっこありません!」

 持てるだけの金品と多少の食料を積み、ありったけの台車を数珠に繋いで<パテル=マテル>に括り付ければ女子供の避難はすぐにも始まるはずだった。

 が、ルイズが残ることを聞いたシエスタが、ルイズも連れて行こうと必死にわめき散らした。
 説得しても埒が開かない、今は一秒でも時間が惜しいと説得を諦めてルイズは男達に声をかける。

「ルイズ様を置いて行けな、ちょっとどこ触ってるんですか!離して、はーなーしーてー!」
「ミス・レン、おまたせしやした。出発してください。こいつらをよろしく頼んます」

 シエスタを出来るだけ優しく荷台に投げ込む。なおも這い出ようとするシエスタの頭を押さえつけて、男達は発進許可を出した。
 レンは一つ首肯し、<パテル=マテル>は轟音を上げて動き出した。
 猛スピードで引き摺られ激しく揺れる台車。乗り心地は最悪だろうが、しばらくは我慢してもらう他ない。
 多少の吐き気で命が買えるなら安いもの。あの様子なら戦闘が始まる前に十分安全な場所まで逃げることだろう。

「本当によかったんですかい?ヴァリエールさま。今ならまだ間に合いますぜ」
「…いいのよ。私が選んだ道だもの。今更違えることなんて出来ない。

 さあ、忙しくなるわよ。隣の村から人が来たら、村の入り口と広場にバリを組んで。ありったけの武器と弾薬をかき集めるのも忘れないように」

  最後まで、ルイズとレンは言葉を交わさなかった。
 




594 :ゼロの軌跡:2008/03/24(月) 19:30:25 ID:Ek3Mv5W2
「いてて…あの親父、乙女の柔肌に傷が残ったらどうするつもりよ。次会ったらハシバミ草のサラダ山盛りにして出してやるんだから」

 痛むお尻をさすってシエスタがやっと起き上がる。しかし、疾走する台車の上でバランスを失って彼女は再び倒れこんだ。心配する声が周りから上がったが、今はそんなことを気にしてはいられない。
 台車から台車へ、危なっかしい足取りながらも跳んで渡り、<パテル=マテル>のすぐ後ろ、先頭の車のそのへりに片足を掛けて立ち上がった。

「ちょっと、シエスタ、何をやってるの。危ないから座ってなさい!」
「座りません!ここで私を下ろしてください!」

 慌てたレンから叱責が飛ぶが、シエスタは怖じずに叫び返した。
 その様子に少しだけ速度が落ちる。

「車から落ちたらどうするのよ。そのまま挽き肉になりたいの!?」
「だったら止めてください。私は戻ります。ルイズ様を残したまま逃げるなんて私には出来ません!」
「意地を張らないで、シエスタ。あなたを帰すわけにはいかないの。わかるでしょう」

「わかりません!わかりたくもありません!レンちゃん。

いえ、レン!」

 出会ってから初めて、シエスタが敬語を崩した。怒りに震えて、彼女は叫ぶ。


「ルイズ様は貴族として、命を懸けて守ろうとして下さっています。タルブ村を。あの人には縁もゆかりもない、私達の故郷を。
 あの状況下ではたとえ逃げ出したところで、それは罪にもならなければ恥に値することでもないはずです。なのに、国と民を守る貴族であるという、ただその一つの理由で、ルイズ様は残ったんです。
 おそらく戦闘と呼べるようなものにさえならないでしょう。それでも、ルイズ様は己の使命から目をそらすようなことはしませんでした」

 慟哭にも似たその言葉。いや、確かにシエスタは涙を流していた。
 
 レンは指一本動かそうとしない。動かせないのかもしれなかった。
 まばたきもせずにいるレンを睨みつけてシエスタは続けた。

「平民とは何ですか?ただ貴族に管理されるだけの存在ですか?
 常日頃は貴族にその実りを貢ぎ、危機が迫れば目を閉じて耳を塞いで貴族の保護を待つ、飼い犬のようにあればいいのですか?
 そうやって思考を放棄して、精神を依存し、肉体だけをいうままに行使していれば、平民は幸せになれるのですか?
 
 違います!それは絶対に違います!
 この国にあって貴族と平民は不可分の存在のはずです。平民は大地を閨としてその恵みを国中に分け与え、貴族は法と権を持って内憂と外患から国と民を守る。それがあるべき姿なのではないですか?

 私達がタルブ村とルイズ様を見捨てて逃げ出すということがどういうことか。
 このまま逃げ出せば、私達は一生、国にも、貴族にも、他の民にも顔向けが出来ません。
 二度とこのトリステインを母国と呼ぶことは出来ません。タルブ村を故郷だと想うことも出来ず、私達の心は彷徨うだけです。
 罪を犯しても真に私たちが罰されることはなく、災厄にあって手を差し出されても決して救われることはありません。

 私達はトリステインの民です。それは誰にも捻じ曲げることの出来ない絶対の条理です。たとえ、女王であっても、始祖ブリミルであっても。

 だから、私を下ろしなさい。レン」



595 :ゼロの軌跡:2008/03/24(月) 19:31:07 ID:Ek3Mv5W2
 その言葉に、座って聞いていた他の女性達も一斉に立ち上がった。
 目にシエスタと同じ決意をたたえていない者は一人としていなかった。

「…どうしてシエスタもルイズと同じ事を言うのよ」
「そんなの決まってます。ルイズ様はトリステインの貴族で、私はトリステインの民だからです。
 それ以外に一体どんな理由がありますか」

 泣きはらした、それでも満面の笑みでシエスタは言った。


 しばしの沈黙。たっぷり三百メイルは走った後にレンはようやく口を開いた。

「ここで止めることはできないわ。速度を上げるわよ」
「レン!」
「そうでもしないと、この後村に戻れないでしょう」

 前を向き、表情を隠してレンは言った。

「台車一台に乗る人数だけよ。それ以上はなんと言われてもお断りだから」



 その頃トリステイン魔法学院では、コルベールが雑談を交えてオスマンに研究の報告を終え、部屋に戻ろうとしていた。
 研究費の増額がうやむやにされ、生活費を切り詰める算段をしながらも、先ほどのオスマンとの会話を反芻していた。

「…らしく、ミス・ヴァリエールとミス・レンは上手くやっているようです」
「ふむ、とりあえずは一安心といったところじゃな。あれがガリアなんぞの手に渡ったらどうなることかと肝を冷やしておったが」
「ミス・レンは正義の徒ではありませんが、醜い振る舞いを、特に貴族のそれを嫌っているようです。ミス・ヴァリエールの人となりであれば問題はないかと」
「ミス・ヴァリエールか…。魔法など、貴族として生きるには必要がないということかの」

 ついたため息は安堵かそれとも別の何かか、オスマンは話を変える。

「ところでコルベール君、これは座興なのじゃが、もし彼女らと敵対したら、君ならどうやってあの<パテル=マテル>を打倒するかね?」
「いきなり何をおっしゃるのですか、オールド・オスマン」

 そう笑おうとしたコルベールだったが、口調とは正反対にオスマンの目は笑ってはいなかった。
 それを受けてコルベールは差し込む光にその頭を輝かせて考え込む。

「…これは非常に不愉快な答えではありますが。ミス・レンを人質にとるというのは」
「大鎌を自在に操り、見知らぬ魔法を行使する彼女をかね?ほんの少しでも手間取れば<パテル=マテル>が文字通り飛んでくるのじゃぞ。
 しかも、もしミス・レンが死んだとしてもあれが行動不能になる保証はどこにもない」
「では手詰まりです。正直に言って、あれに対抗できるような手段が思いつきません」
「わしも同感じゃ。それはつまり裏を返せば」

 オスマンは手元の砂時計をひっくり返す。砂代わりの秘薬がさらさらと下に零れていく。
 時計の中には大粒のガラス球が上下に一つずつ入っている。やがて数分が経ち、ガラス球は完全に白い顆粒に覆われて見えなくなった。
 
「ミス・レンと<パテル=マテル>を打倒するものがあるとするならば、それはただ一つ。圧倒的な物量しかあるまい」


 気分を変えようと、コルベールは部屋に戻る前にヴェストリの広場へと足を向けた。
 ここで決闘があったのも随分と前のことであったから、広場は既に美しい景観を取り戻していた。和みながらも一抹の寂しさを覚える彼の視界に、ロングビルと三人の生徒が話しているのが見える。

 そのうちにコルベールの姿を認めたのか、彼らはコルベールの元に駆け寄ってきた。
 あの夜、ルイズとレンを見送ったキュルケ、タバサ、ギーシュの三人だった。


596 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 19:31:15 ID:+rH6bXG6
レンタルマギカの、いつき召喚。チェンジリングの彼にとって
異世界に飛ばされるのは初めてではないので、あまり慌てていない。

597 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 19:31:31 ID:zK8nNd3/
支援しまうま

>>590
もしかしてホワッツマイケルかな?マイケル音頭でにゃんとにゃんw

598 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 19:32:09 ID:w6knmKYJ
だから提督の人は銀英伝には愛を持ってるが
ゼロ魔には素材としての興味しか持ってないんだって。

文章構成も内容も展開も銀英風になって来ただろ?
よくあるパターンの逆クロスだよ。

ゼロ魔世界に来たヤンを描いてるんじゃなく
銀英伝の世界観の中にゼロ魔を組み込んで舞台はゼロ魔ってだけだから
ゼロ魔X銀英じゃなく銀英Xゼロ魔というバランスになってる。

『ゼロ魔世界にヤンが召喚されて活躍する話し』 じゃなく
『ヤンがゼロ魔の舞台で活躍する銀英伝な話し』 だ。

ヤンやヤンの記憶で出てくる銀英キャラには改変は無いが
ゼロ魔のキャラは素材だから料理し易いように弄られてるだろ?

599 :ゼロの軌跡:2008/03/24(月) 19:34:09 ID:Ek3Mv5W2
第12話投下終了です。

もし構わないなら後二話避難所に投下するし、駄目なようなら今日は去ります。

あと三十分くらいスレの雰囲気見て決めたいと思う。よろしく頼む。

600 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 19:36:32 ID:mlyCFR1v
平日だし、何やら事情も事情だ。おれは、いいと思う。
他の人はどうかね?

601 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 19:38:35 ID:zK8nNd3/
個人的には全然良いんじゃないかと思うよ。
作品が投下されてこそスレの役目も果たせるってなもんだし。

602 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 19:39:16 ID:xzO1z4CL
まあ、投下されて困るもんでもないしな。

603 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 19:42:27 ID:h9Nhov6T
反対する理由は何もない。存分にやりたまえ。

604 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 19:44:28 ID:UD0vB4f0
ゼロの軌跡氏、支援する決まってるじゃないか!
平日の誰もいない歩道を行くのを咎めだてする者はいないさ。


>>586
何でそんなに居丈高なの?(´・ω・`)ショボーン
何でそんなに攻撃的なの?(´・ω・`)ショボーン
何で(ry

605 :ゼロの軌跡:2008/03/24(月) 19:48:32 ID:Ek3Mv5W2
ありがとう。じゃあ避難所のほうに投下する。

>>586 のいうこともわかるが、出来るだけスレの暇そうな時間に来るので許してほしい。
何よりこのスレにはもっと伸びてほしい。

みんなの温かい心に深く感謝。

606 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 19:50:22 ID:KApOfW5P
ここで良いじゃない、投下予約ほかに無いんだから。

607 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 19:51:41 ID:mlyCFR1v
そいじゃあ支援を開始するとするか。

608 :ゼロの軌跡:2008/03/24(月) 19:52:05 ID:Ek3Mv5W2
>>606 さるさんに引っかかるんだ。

【代理用】投下スレ【練習用】2

に投下する。誰か代理頼みます。

609 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 19:52:32 ID:RsVEDZcC
規制は機械的だけに厄介だからな〜。

610 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 20:00:01 ID:OgXp+/M7
>>598
それが何か問題かね?
白い猫でも黒い猫でも、ネズミをよく捕る猫が良い猫ではないのか?

611 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 20:05:56 ID:HPNvyhoV
ヌコはネズミを捕ろうが捕るまいが 良いものだ

612 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 20:07:06 ID:AGC5Pfwo
>610
しっ、目をあわせちゃいけません。

613 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 20:07:08 ID:LwEZbDVg
>>541

遠征先で使い魔の影響を受けてバイド化したルイズが
数々のバイド討伐隊を駆逐しトリステインに帰郷するも
アンリエッタ率いるかつての仲間達に総攻撃を受け
寂しげにトリステインを去っていくお話ですね

わかります

614 :ゼロの軌跡:2008/03/24(月) 20:08:09 ID:Ek3Mv5W2
避難所に投下終了です。支援感謝します。また何話か抱えて来るだろうが温かく見守ってほしい。

では、失礼します。

615 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 20:14:13 ID:7Y+aVPwD
>>556 或いはテリトリーを持たずに放浪性
2百キロを40時間で掘りぬくジャアントモールならば当然だな。

>>569 ヴェルダンディが宝石が好物とかあったような覚えがあるけど、
ルイズの水のルビーラブでルイズを襲い、同じくラ・ローシュまで掘りぬきました。
アルビオン行ってからは水のルビーラブでニューカッスル地下まで掘りぬきました。

というか、ヴェルダンデは使い魔になった特殊能力で高速掘削能力を得たのでは。

616 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 20:15:18 ID:47s7wCzW
>>550
モンモンもハミ毛が出てるしな

617 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 20:23:59 ID:7Y+aVPwD
>>556
>サラマンダーや竜は有る意味もっと大変 巨体とか体温の為隠れるには向かないし
>空を飛んだり火を吐くから必要カロリーもやたら高そう

爬虫類は基本的に変温動物。変温動物の基礎代謝はとても低く、
同程度の変温動物と比べて必要な食料がすごく少ない。
魚なんかだと1ヶ月食べなくても平気だったりする。

また、体が大きくなると、必要な食料が少なくなる。
体表から逃げる体温は面積に比例し、体内で精製される熱は体の体積で決まるから。
つまり、あまり動かず日向ぼっこだけしてる限り、食料はろくに必要ない。
逆にシルフィードみたいに長距離飛びまくればおなかがすく。

炎のブレスは油を燃やしているようだ。
尻尾の炎は、これがとても問題なんだよな。どうなってんだ?

618 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 20:30:10 ID:oNZwaa4f
では代理投下させていただきます。

619 :ゼロの軌跡(代理):2008/03/24(月) 20:31:55 ID:oNZwaa4f
ゼロの軌跡

第十三話 タルブ動乱


「ヴァリエール様、見えました。レコン・キスタの船です」
「早かったわね…各員、所定の場所について!危なくなったら無理せずに退却すること」

 突貫で柵を植え堀を穿ってどうにか篭城の形だけ整えたものの、稼ぎ出さなくてはならない時間はあまりにも長く、戦力差は絶望的なまでに開いていた。
 
 恐らくは先遣隊か、未だ米粒ほどにしか見えない本隊から遠く進んで二隻の船が先行し、タルブ村をその射程に収めようとしていた。

 ルイズは臍を噛む。
 この部隊に足りないものは、多くのものが欠けてはいるが、何よりも空への攻撃手段が全く存在しないのだった。
 まず空からの射撃、体勢が崩れたところに上空と地上から一斉に攻めかかる。このような戦法はルイズのような戦の素人でも容易に想像がつく。
 
 これは本当に一時間ともたないかも知れない。そんな弱音を抑えることは出来ても、砲弾の雨を防ぐ術は何ら持ち合わせてはいなかった。
 重い音が空から響く。遂に砲撃が始まったようで、数発の黒球が船から零れてきている。

「全員隠れてッ!」

 数秒後、放たれた砲弾の一発が広場に着弾して折角組み上げたバリケードを粉々に吹き飛ばした。幸い、死人は出なかったようだが。最初の一撃でこれでは先が思いやられる。
 さて、次はどうすべきか。ルイズが考え込もうとした時、敵の進軍を告げる声が上がった。逡巡する間も、局面を左右する権限も彼女には与えられていないようだった。

「グリフォンと竜に乗った敵が十五前後、こちらに突っ込んできます!」

 顔を上げると、幾つかの黒点が急速に姿を大きくしながら近付いて来るのが見える。
 司令部を真っ先に潰そうということか。その意図に気づいても打開策はなく、ルイズは立ちすくむばかりだった。

 ルイズの姿を彼らも認めたか、空高くに三つの火球が浮かび、それは狙い過たずルイズを目掛けて落ちてくる。避けなければと頭では考えても、ルイズの足は動いてはくれなかった。

 その火球の熱に浮かされたように、ルイズは目を閉じる。
 


 しかし、いつまでたっても炎がルイズの身を焦がすことはなく、周囲から喜びを含んだどよめきが湧き上がる。
 
 おそるおそる目を開ければ、炎の代わりに蒸気がルイズの顔に襲い掛かった。水が目に入って、慌てて顔を手で拭く。その姿を見ることは出来なかったが、もう何が起こったかはっきりと分かっていた。
 激しい蒸気と駆動音。一歩ごと踏みしめる大地はその振動で確かな存在を伝えていた。

「レン!<パテル=マテル>!」
「そんなところで突っ立ってたら鴨射ちよ、ルイズ」

 会話している間にも、ルイズをかばう<パテル=マテル>に魔法が放たれる。氷が砕ける音、岩がぶつかる音、炎が燃える音、風が空気を切り裂く音が二人の会話を邪魔するにいたって、レンは標的を認識する。

「煩い蝿を黙らせてやりなさい。ダブルバスターキャノン!」

 <パテル=マテル>が振り向いて、照準を空に浮かぶ船に合わせる。メイジの魔法をものともせずに、二つの光線は船の中心を貫いて空に吸い込まれていった。
 船は真ん中から折れて砕け、紙細工のようにゆっくりと大地に向かって落下していった。
 見たこともない異形のゴーレムから放たれた二条の光。それが母艦を撃墜したのを見て、十数機の敵兵はしばらく動けずにいたが、<パテル=マテル>が再び構えたのを見て、我先にと逃げ出していった。


620 :ゼロの軌跡(代理):2008/03/24(月) 20:33:15 ID:oNZwaa4f
 敵が去った後、皆が広場に集まって輪をなし、幾度も幾度も歓声を上げた。
 未だ亜然と呆けたままのルイズに、レンは声をかける。

「危ないところだったわね、間に合ってよかった。そうそう、もっと早く戻ってくるはずだったんだけど、遅れたのはシエスタの責任だから」

 そんな、レンちゃんひどいですよ〜。と、シエスタも人垣をかき分けてルイズに駆け寄ってくる。
 いつの間にか、逃げたはずの女性たちも二十人ほど、ルイズを囲む輪の中に混じっていた。

「あなた達、どうして…?」
「そりゃあ、私はタルブ村の人間ですから。故郷は自分の手で守るものです」
「レン!なんで連れ帰ってきたのよ?」
「シエスタに言いくるめられちゃったの。まあ八割方は避難させたから合格点じゃないかしら」

 レンは悪びれもせずに飄々と答えを返す。話にならないと踏んで、ルイズはシエスタに突っかかった。

「ここはもう戦場なの。ただの平民のシエスタに何が出来るのよ!」
「そういうルイズ様には何が出来るのですか?ゼロであるルイズ様が、無数の敵兵に立ち向かえるのですか?」

 今だけは失礼な申し様をお許しください。そう前置きしてシエスタはルイズに諭した。それは、本当はルイズも理解していて、今現在もルイズが歩んでいる道だったからだ。


「無力であれば何もなさらないのですか?それは無力であることを理由に逃げているだけのことです。
 無力であっても尚、生きるために足掻くのが人ではないでしょうか。そうやって努力しない者が、どうして他人の助けを求めることが出来ましょう。
 自らの無力と世界の不条理に甘えて何もしない者に差し出される手などありません。常日頃から、そして苦難の時に立ち向かう者にこそ救いはあるはずです。先ほど、レンちゃんがルイズ様を助けたように」
「シエスタ…」
「私はルイズ様の心を読むことなんて出来ません。でも、私や他の人に接する態度や言動、各地での評判を聞けば、ルイズ様が私達と意思を同じくする素晴らしい貴族だってわかります。
 だから、こんな無力な私ですらルイズ様を助けようと戻ってくるんです。なら、私も出来るだけのことをするだけです。
 それに無力ですが何も出来ないわけではありません。手当てと伝令くらいならこなしてみせます」

 反論の余地もなくルイズが困ってレンを見ると、レンは意地悪く笑っていた。
 レンもこうやってシエスタに論破されて彼女らを連れ帰らざるを得なかったのだ。それを理解して、ルイズも根負けしてシエスタらを認めることになった。



「さあ、敵はまた来るわよ。油売ってないで準備しなさい」
「二隻落とされて、まだ攻めて来るっていうの?」
「そうね、五千の軍で人数二百ばかりの村を攻めたら鉄のゴーレムの放った光で船が落ちたので退却します。って上官に報告出来るような軍人だったら逃げてくれると思うけど」

 そんな報告が出来るはずもない。そんなことをすれば間違いなく背信を問われて営倉行きだろう。
 
 広場に集まっていた者はわらわらと持ち場へ戻り、ルイズとレンが残された。

「さあ、私達も急ぐわよ、ルイズ」
「待って、レン。あなたは何故ここにいるの?」

 何を今更、と表情で応えるレン。しかし、ルイズは問いかけなければならなかった。

「シエスタがここに残るのはわかったわ。彼女はこのタルブ村の人間だもの。
 でも、あなたは?レン。タルブ村はおろか、このトリステインの人間ですらない。遥か異世界ゼムリアの人間でしょう。あなたが肩入れしなければならない理由はないわ」
「…」
「だから、レン、あなたを巻き込むわけにはいかない。早く逃げなさい」
「冗談じゃないわ!」

 その言葉はルイズの紛れもない本心であり、だからこそレンをいたく傷つけた。

「ふざけないで!何が今更逃げなさいよ!こんな世界に呼びつけて、今まで散々レンを連れまわして。それでいて少し危なくなったら一人でどっか行けなんて言うのね。
 さっきルイズがしてくれた約束は何だったの。一緒に元の世界の手がかりを探してくれるんでしょう。世界を旅して周るんでしょう。
 理由がないですって?そんなものいくらでも作れるわ。でも本当に必要なの?」

 言ってレンは俯いた。

621 :ゼロの軌跡(代理):2008/03/24(月) 20:34:26 ID:oNZwaa4f
 前はシエスタ達を逃がすという役目があればこそ、渋々タルブ村を離れたのだ。だが、シエスタはこの村へと戻った。ならば、もう村を離れる気はレンにはない。
 ルイズなりに自分のことを心配しての発言だとレンは勿論理解はしている。それでも、諾々と承服出来るものではなかった。わかっていたからだ。ここで自分が逃げれば、ルイズ達に二度と会えなくなるであろう事が。

 そんなレンに、ルイズは尚も言葉を重ねようとしたが、口からは吐息しか出ては来なかった。
 それよりも、零れそうになる涙を堪えるのに精一杯で、慌てて後ろを向く。

 レンは明言こそしなかったものの、ルイズの身を案じてこの戦いに参加することを決意してくれた。身を危険に晒してでも、ここに残ると言ってくれた。
 そして、この後も一緒に旅をすることも。
 
「ありがとう、レン…」

 幾つもの意味を込めて感謝の言葉を送る。涙に震える言葉は誤魔化せていないだろうが、それでも構わなかった。




「敵が来ました!二百ほど。馬に乗ってます!」

 やはり来たか。その知らせにルイズとレンは村の入り口まで走る。
 いきなり二百とは。相手にしてみればわずか数%に過ぎないのだろうが、それはこちらの戦力のおよそ八割もの数だ。
 周囲が浮き足立つが、レンの落ち着いた声がそれを静める。

「まずは出鼻を挫くわ。力の差を見せ付けないことにはわずかな時間も稼げないから。レンが魔法を唱えた後、混乱している敵陣に突撃しなさい」

 馬の足は速く、数列に並んで隊伍を組んだ騎士がもう数十メイルの位置にまで迫っていた。
 レンは悠々たる仕草で組まれたバリケードの前に出て呪を紡いだ。

「青き氷晶の輝き!恐怖にその身を凍らせぬ者は無いと知れ!コキュートス!」


 草が青々と茂っていた道、それが瞬く間に分厚い氷で覆われていく。運悪く魔方陣の中心部にいた数騎は悲鳴をあげる間もなく見事な氷のオブジェと化した。
 少し外れにいた者も足を凍りつかせた馬を統御できずに、例外なく地面に投げだされる。
 直接的に被害を被ったのは僅かに三十騎程だったが、先頭集団の潰乱に対応できない後続が更に被害を拡大した。
暴れる馬の蹄に足を踏み砕かれるもの、鋭い氷で腕を傷つけるもの、倒れた味方を避けようしたばかりに落馬してバリケードに突っ込むもの。

622 :ゼロの軌跡(代理):2008/03/24(月) 20:35:37 ID:oNZwaa4f
 あまりの惨状に堪りかねて指揮官が隊列を整えようとした時、武装した平民がバリケードから出て突撃してきた。舌打ちしながら見やると、先頭を走ってくる鎌を持った少女が彼の視界に入る。
 あの年でまさか敵対しようというのではあるまいが、ならば手にしている武器は何だ。大の男でも持て余しそうな金色の大鎌は。
 一瞬躊躇ったために彼の回避行動は少し遅れた。飛び上がった少女を追いきれずに無我夢中で体を捻ったが、右腕の肘から先を綺麗に落とされる。それとも、その程度で済んだというべきか。


 ただの平民しかいないだと。スクウェアクラス以上の魔法を行使する手練が混じってるじゃないか。しかも何だ、あの餓鬼は。亜人か化け物か。
 落馬した味方を救うことはもはや出来ず、彼は撤退を宣言。出鱈目の情報と無茶な命令を与えた上官に向かって思いつく限りの悪罵を心中でつく。

 離脱できたのは百騎ほど。この被害をどう報告したらいいだろうと馬を走らせながら頭を悩ませる。しかし、背後から聞こえてきた轟音がそれを遮った。一体何事かと振り向けば。

「空を飛ぶ鉄のゴーレムだとぉ!?」

 体当たりだけで鞠のように吹き飛ばされていく部下を見ながらも、片腕を失った彼に何が出来るわけでもなかった。いや、五体満足であったとしても無理な話だったろう。
 彼に許されたのは、逃げながら部下の無事を祈ることだけだった。だから彼はそうした。



「大勝利じゃねえか。すげぇぜ、嬢ちゃんの魔法があれば怖いもの無しだな」
「あんなアーツ撃ち続けたら五、六発で打ち止めよ。そうそう使えるものじゃないわ。それより怪我人の手当てを」

 完全に圧倒したとはいえ、村側の被害もゼロでは済まなかった。騎兵と歩兵で殴りあったのだから、奇跡的な被害の少なさといっても過言ではないだろう。
 
 それでも、戦力比を考えればいずれジリ貧となるに違いない。
 多方面に展開されて波状攻撃を掛けられれば、レンと<パテル=マテル>の獅子奮迅の活躍があったとて一時間も耐え切れるとは思えなかった。
 それまでにどのくらい時間を稼げるか。日が完全に落ちるまで持ってくれれば勝算が出てくる。
 今だ中天にある太陽を睨みつけて、レンは考え込む。

 次に取るべき手を実行に移すために、レンはルイズと<パテル=マテル>を呼んだ。

623 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 20:35:47 ID:+znpnZzG
しえーん

624 :ゼロの軌跡(代理):2008/03/24(月) 20:37:13 ID:oNZwaa4f
十三話代理投下終了です。引き続き第十四話を代理投下します。

625 :ゼロの軌跡(代理):2008/03/24(月) 20:38:52 ID:oNZwaa4f
第十四話 銃火のマドリガル


「ルイズ、あなたは<パテル=マテル>と行動して」
「何言い出すのよ!どうしてレンが<パテル=マテル>と離れなければいけないの」

 レンがルイズに告げた内容は驚くべきものだった。
 <パテル=マテル>はルイズと行動を共にし、レンは単独で戦場に出るというのである。

「レンは前線に出なければならないわ。いくら士気が高くて地の利がこちらにあるとはいえ、訓練を受けた軍人相手に戦争の素人である平民が立ち向かうのは無理だから。
 でもそれだとレンが積極的に動くことは出来なくなる。
 後方で指揮を取りつつ援護、前線が崩壊しそうになったら救援に向かう役が必要。それが可能なのはルイズと<パテル=マテル>だけなのよ」
「でも…。私、そんなこと出来ないわ」

 戦で指揮を取った経験もなければ、<パテル=マテル>を上手く動かせる自信もルイズにはない。
 それでも、ルイズ以外にその役を肩代わり出来る者はいないのもまた確かだった。

「ルイズにやってもらうしかないの。私達には後なんてないのだから。
 …早速来たわよ。覚悟を決めなさい」



 姿を現したのは歩兵。ちらほらと杖を持ったメイジも散見される。進軍速度がゆっくりなのは先の騎馬隊の轍を踏まないためか。その陣は重厚で容易には崩せそうになかった。

「銃隊前に、構え!」

 レンの号令に銃を持った男たちが応える。一糸乱れずとは言えないが、寄せ集めの民兵にこれ以上を望むのは酷というものだろう。
 敵の目鼻が見える距離まで引き付ける。彼らが突撃の姿勢を見せた瞬間、矢の様に引き絞られた声が飛んだ。

「今よ!撃て!」

 さして広くもない街道に密集した集団に向けて放たれた弾丸は狙いを外しようもなく、その全ては標的へと吸い込まれていく。前面の幾人かは腹や足を押さえ、また幾人かは腕を動かすことなくその場に倒れ伏した。
 後の先を見事に取られたレコン・キスタ兵は一瞬怯みを見せたが、自分達が敵兵より遥かに多いことを思い出し、再び喊声を挙げて走り出した。

 このままでは不利とみて、レンはオーブメントに手をかざす。このペースで強力なアーツを使い続けては近いうちにクォーツのエネルギーも空になるだろうことは分かっていたが、
かといって今ここで退けばその『近いうち』さえレン達には訪れはしないだろう。


 <パテル=マテル>の存在が恋しかったが、その助力は得られない。おそらくはこの部隊のほかに別働隊がいるはずだ。それもグリフォンなどを連れたメイジが。
 
 レンは騎馬隊を退けた後、次にレコン・キスタが打つであろう手を予測した。
 もしレコン・キスタが正面からタルブ村を攻め落とそうとすれば、たとえそれが出来たとしてもレコン・キスタ軍に無視できない被害が出るだろう。
 ならば空中機動力のある部隊でタルブ村の内部に侵入し、お互いを孤立させて各個撃破すればいい。

 敵将が馬鹿でなかったらその位は策を弄するだろう。そうなってから対策を講じては遅い。
 だから、<パテル=マテル>をルイズに託したのだ。
 ここは何があってもレンとその指揮下の百五十人で防ぎきらなくてはならなかった。


 オーブメントの回路が駆動する感触を得て、レンは呪文とともに鎌を振り下ろす。

「滾り吹き上げる大地の血、骸を糧とし触れる総てを朱に染めよ!ナパームブレス!」

 融けずにあった氷に覆われていた道は赤く燃え盛る火炎に飲み込まれ、舞い上がった氷の結晶は吹き荒れる火の粉に取って代わられた。
 火に巻かれのたうち転がりまわる者の悲鳴が響く中、獣の嘶きと共に遠くの森から飛び上がる姿があった。

 やはり別働隊がいたか、とレンは舌打ちしたが眼前の敵を放置することは出来ず、後ろを振り向かずに敵中へとその身を踊らせた。

「頼むわよ、ルイズ。<パテル=マテル>を立派に操ってみなさい」

626 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 20:39:51 ID:Y3X1hViw
しえん

627 :ゼロの軌跡(代理):2008/03/24(月) 20:40:36 ID:oNZwaa4f
 ルイズは民家の屋根に登り戦局を見守っていた。
 向かってくる歩兵の数はレンが指揮する部隊よりずっと多い。そうそうに出番があるかもしれないと考え、いつでも援護に出れるように準備していた。
 
 しかし、レンの放ったアーツで炎が地面を裂いて溢れた瞬間、森の上に現れた人影にそれを断念する。十数の空行騎が一直線にルイズのほうに飛んでくるのが見えたからだ。

「<パテル=マテル>、少しだけ力を貸して」

 ルイズの請願に応え、<パテル=マテル>からミサイルが発射される。空中に放り出されたそれは一瞬頭上で回転していたが、点火されると敵兵目掛けて雲を引きながら飛んでいく。
 命中したのは数発だったが、爆風と熱波は周りを巻き込む。悲鳴を上げて墜落したのはおよそ十騎。

 あとは肉弾戦で仕留める他ない。
 ルイズが大きな手のひらに飛び乗ると、<パテル=マテル>は青白い炎を噴出し空中へと飛び上がった。

 敵兵は散開してルイズを囲むように飛び回る。そのうちの一騎に狙いを定め、接近して鉄の拳を叩き込んだ。真上から振り下ろされたそれを受け流すことは出来ずに、一人と一匹は真下の民家の屋根を抜いた。

 その間に敵が手を拱いているはずもなく、魔法が続けざまに<パテル=マテル>に襲い掛かる。土で作られたゴーレムがその手を伸ばす。それをどうにかすり抜けたところにファイヤーボールが直撃した。
 <パテル=マテル>の手がルイズを包んで守ってくれたが、熱までは防ぎようがなく彼女の白い足に水泡が膨れ上がる。
 
 回避に専念しようかとも考えたが、この巨体では敵の魔法をかわすことは困難だと判断し、ルイズは再び攻勢に出る。
 鉄の軋む音を聞き竜が怯え竦んだのを見て取り、<パテル=マテル>は杖を構えて呪文を唱えていたメイジを乗騎もろとも吹き飛ばした。





628 :ゼロの軌跡(代理):2008/03/24(月) 20:41:51 ID:oNZwaa4f
「まさに化け物だな、あのゴーレムは…」

 ワルドはグリフォンの手綱を操り、必死に逃げ回っていた。
 既に五騎が落とされ、戦場を飛んでいるのは<パテル=マテル>と彼の操るグリフォンのみ。
 未だ目の前に立ちはだかる鉄のゴーレムを打倒する方法が浮かばないでいた。
 
 エア・ハンマーは既に何発も放っている。うち一発は関節部に命中し、数本のパイプをもぎ取ってはいたが、決定打には程遠かった。
 <パテル=マテル>を行動不能にするまでエア・ハンマーを撃ち続けようとしたが、残りの精神力も囮になってくれる味方もワルドは持ち合わせていなかった。
 
 このまま引き下がっては貴重な空戦力の浪費にしかならない、せめて倒すための糸口を見つけられないかと逃げながら観察していると、<パテル=マテル>の左手に立つ人影を見出した。
 おそらくはあれがこのゴーレムを操っている術者だろうとあたりを付け、彼は戦局を変えるべく賭けに出た。

 身の危険も顧みず、ワルドは剣を抜き<パテル=マテル>に向かって直進する。
 振り下ろされる右手を紙一重で避け、手のひらの上で身動きの取れないメイジにそのまま剣を突き出そうとする。しかし、そのメイジはワルドがよく見知った、意外な人物だった。

「ルイズ!」
「ワルド様!」

 思わず剣を引いたワルドに、彼の婚約者から声が掛かった。

「何故ワルド様がレコン・キスタの軍に身を投じているのですか?」
「ああ、僕の可愛いルイズ。どうして婚約者同士が争わなければならないのだい。さあ、こっちへおいで」

 ワルドの頭の中では、ルイズは小さくか弱い少女でしかなかった。甘言を弄せば自分に従うだろうと予想し、彼は昔のようにルイズに囁く。
 しかし、ルイズは以前のような世間知らずの令嬢ではなかった。既に彼女は一人のトリステイン貴族として己のなすべきことを見据えていた。

「ワルド様、もう一度お聞きします。どうして魔法衛士隊隊長のあなたがレコン・キスタに参加しているのですか?返答次第では、私はあなたを倒さねばなりません」

 その言葉が本当か否か、それが読み取れないほどワルドは愚かではなかった。
 一つ息を吐き、彼女に別れの言葉を告げる。

「大人になったのだね、ルイズ」
「ワルド様、一体何を…?」
「僕は僕の目的のためにレコン・キスタの旗の下に居る。国と民を捨てて自分のためだけに行動している。君に罵られても、軽蔑されても、杖を向けられてもなさなければならないことがある。
 だから、お別れだ。ルイズ。

 君が僕の前に立つのなら、僕はまた君に剣を向けるだろう。その時は容赦はしない」
「私もです。ワルド様」
「ここは一旦退こう。…さようなら、もう僕のものではない、可愛いルイズ」

629 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 20:42:39 ID:Y3X1hViw
支援

630 :ゼロの軌跡(代理):2008/03/24(月) 20:43:02 ID:oNZwaa4f
 それから三度の侵攻があった。ルイズ達は辛くもそれを退けて村を守ったが、一戦するごとに被害は幾何級数的に増大した。負傷者が増え、戦闘要員が減り、更に負傷者が増える悪循環。
 敗北はもう目の前にまで迫っていた。


「戦闘が可能な人数は何人?」
「七十三人です。そのうち軽症を負っている者が二十八人」
「重傷者の搬送も追いついていません。手当てするにも人手が足りない有様です」

 既に村の入り口は抜かれ、防衛線は広場まで後退している。砲弾で吹き飛ばされたバリケードをかき集め、民家の家具をありったけ積み上げてなんとか防いでいるという状態だった。

「<パテル=マテル>も右足が動かないわ。常に飛んで移動しなくちゃならないから出力もだいぶ落ちてるみたい」
「困ったわね、レンのアーツもあと二、三発ってところかしら」

 レンがオーブメントにカプセルを差し込むと、クォーツにわずかだが光が戻る。これでEPチャージも最後の一本を使い果たした。
 空になったそれを投げ捨ててレンは立ち上がる。その拍子に腕に巻いた白い包帯が取れそうになったが、生憎と頓着している暇はなかった。

「もう限界よ、ルイズ。撤退するしかないわ」
「まだアンリエッタ様の軍が到着するまで四、五時間は掛かるのよ!」
「次の侵攻を防げるかどうかすら分からないわ。もし防げたとしても、その時には撤退出来るような余力は残されてないの。負傷者を見捨てていくわけにはいかないでしょう」
「でもこのままじゃ「敵襲です!歩兵、騎馬合わせておよそ八百!」」

 二人の会話を敵襲の知らせが遮った。全ての選択肢は消えて失せ、絶望が村を覆った。
 決まりね。と、レンは言って鎌を持ち直す。


「村人は全員、即刻退去しなさい。レンと<パテル=マテル>で逃げるだけの時間は稼ぐわ」
「レンちゃん!そんなの危険すぎます!」
「シエスタ。あなたはまだ動けるでしょう。怪我人に肩を貸して早く避難しなさい」
 
 なおも言い募るシエスタだったが、それを切って捨てたのはレンではなくルイズだった。

「あなたが残ったら私もレンも逃げることが出来なくなるの。あなたがここで出来ることはもうないわ。わかったら、早くなさい」
「でも、でも、そんなことって」
「レンと私を殺したいの?シエスタ?」

 シエスタはしばらく俯いて拳を震わせていたが、ルイズとレンが翻意することのないのを悟ると、彼女に出来ることをなすために重傷者の中へと走っていった。 


 広場に残ったのはルイズとレンの二人。そして傍らには<パテル=マテル>。

「私は止めないのね。レン」
「あなたには言っても無駄だからよ。頑固者のルイズ」

 これから二人が始めるのは死に向かう進軍だった。懸絶した戦力の差を前にして、それでも二人は並んで立っていた。
 数百メイル離れた所には死神が列を成して歩いていた。それでも二人は笑っていた。

「死ぬんじゃないわよ」
「あなたこそ」

 ルイズは右手を、レンは左手を、それぞれ固めた。そして一度だけ、互いの手を打ち付ける。


 オーブメントを起動させ、<パテル=マテル>の手に飛び乗り、二人は敵陣に向かって疾走する。

631 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 20:44:04 ID:zK8nNd3/
しーましェーン

632 :ゼロの軌跡(代理):2008/03/24(月) 20:44:17 ID:oNZwaa4f
618 名前: ゼロの軌跡 [sage] 投稿日: 2008/03/24(月) 20:07:42 .Xd7DU36
投下終了です。支援感謝します。また何話か抱えて来るだろうが温かく見守ってほしい。

では、失礼します。

------

以上、代理投下終了です。
一部改行大杉になったので勝手ながら分割しました。


633 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 20:45:16 ID:mlyCFR1v
軌跡の人、代理の人乙でした!

634 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 20:47:54 ID:LqpvxPoc
ゼロの軌跡 乙!

何という神展開
胸が熱くなるぜ!!

635 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 20:55:40 ID:XcPn58vI
軌跡氏に乙とGJを。次回も期待してます。
そして代理投下してくれた人に乙と感謝を捧げたい。

636 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 20:58:29 ID:OgXp+/M7
そこで問題だ!どうやってこの圧倒的に不利な状況を打開する?

1:キュートなルイズとレンはいいアイデアを思いつく。
2:仲間が来て助けてくれる。
3:助からない。現実は非情である。

637 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 21:05:44 ID:LqpvxPoc
4:八百人素でぶちのめして  I’am Sparta!!

638 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 21:18:18 ID:h9Nhov6T
よくわからないけど
もしかしてこれ投下されてなくね?
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9616/1197242872/37-41

639 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 21:34:44 ID:xHOKYhnv
スルー

640 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 21:39:32 ID:N10P9mMG
今投稿しても大丈夫ですか?

641 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 21:42:13 ID:UD0vB4f0
>>639
何でスルー?

>>640
進路クリアです。

642 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 21:42:23 ID:DM24M6HX
タイトルをどうぞー

643 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 21:43:00 ID:mlyCFR1v
すでに連載されている方ですか?新参の方ですか?
後者ならテンプレをよく読んで作品のリロードはなさいましたか?
差し支えなければ元ネタの表記があるとありがたいです。

644 :雇われた使い魔:2008/03/24(月) 21:50:06 ID:N10P9mMG
すみません、タイトルが抜けていました。
新規なので、元ネタの表記からさせていただきますね。

タイトル:雇われた使い魔

元ネタ:スターフォックス64

差し支えなければ投下させてきただきます。

645 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:00:52 ID:RsVEDZcC
お、普通の狐のほうのフォックスか。カモン!

646 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:01:33 ID:Jvkvz8gH
ついに狐が来たか・・・支援!

647 :雇われた使い魔:2008/03/24(月) 22:05:03 ID:N10P9mMG
では投下させていただきます。



大きな爆音と共に現れた奇妙な生物。
その生物を召喚したルイズといわれている少女は目をぱちくりさせていた。
後ろでルイズを煽っていたギャラリー達もルイズと同じような反応をしている。
『サモン・サーヴァント』という召喚の儀式でルイズが呼び出した生物は、
狐と人間が合体したような、なんとも奇妙な動物であった。

「……何これ」

ルイズは、自分が召喚した奇妙な動物におそるおそる近寄る。
爆風によって舞い上がった砂埃が晴れ、今はその謎の動物の容姿が手に取るように分かる。
顔は狐。よく見ると尻尾も生えている。しかし体は人間のような骨格をしている。
おまけに服も着ており、彼の顔にはよくわからないアクセサリーのようなものがついていた。

「おいおい、なんだよアレ? 狐じゃあ……ねえよな?」
「ルイズが召喚したから骨格がおかしくなっちまったんじゃねーの?」
「でも服を着ているしな……」

ギャラリーが騒然となる中、ルイズは自分の使い魔となるその動物をじっと見つめていた。
気絶しているのか、はたまた眠っているのか、その動物は目を閉じたまま動かない。
まさか死んでいるのではないだろうかと、ルイズの頭に嫌な予感が過ぎる。
何回、何十回と失敗をし、やっと召喚できた動物なのだ、死んでしまっていたらたまったものではない。
ルイズは生死の確認をするため、恐る恐る手を伸ばし触れてみた。……暖かい。
どうやら死んでいるということはなさそうだった。


648 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:06:05 ID:+znpnZzG
支援させて頂く

649 :雇われた使い魔:2008/03/24(月) 22:08:10 ID:N10P9mMG
ルイズがほっと胸をなでおろし、ため息をついた瞬間、その動物がムクリと起き上がった。

「うう……」

ルイズはビクッと体を反応させ、思わず後ずさりする。
起き上がった動物は、自分の身に何が起こったのか理解出来てない様子で、辺りをキョロキョロと見回している。

「や、やったわ…… 成功よ! ついに成功した! ついにやりました、ミスタ・コルベール!」

ルイズはあまりの嬉しさにカエルのようにピョンピョンと飛び跳ねた。
召喚したのは、人間のような謎の狐だが、自分の使い魔であることには変わりない。
いや、"人間のような謎の狐"なんてそうそう出会えるものではない。
もしかしたら自分は物凄い才能の持ち主なんじゃないかと思えるほどだ。

「なあ……あれって成功なのか?」
「絶対変だよな……あれ」

あれと言われた動物は、辺りをキョロキョロと見回したり、
自分の頬を抓ったり、自分の顔についてる奇妙なアクセサリをいじったりしていた。
そんな奇妙な動物の様子を興味深そうに見ながら、ミスタ・コルベールと呼ばれた男が呟いた。

「ふむ……これは珍しい。人間のような格好をした狐とは実に興味深い……」
「は、はい! きっと凄い使い魔となるに違いありません!」

すっかり興奮しきった様子でルイズが答える。

650 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:09:05 ID:51uK+ZKu
64でのスターウルフ戦のBGMはかっこよすぎる支援

651 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:09:21 ID:Ex/EWvgl
支援

652 :雇われた使い魔:2008/03/24(月) 22:10:52 ID:N10P9mMG
そんなルイズに、多少気圧されながらも、コルベールは話を続けた。

「ミス・ヴァリエール、興奮するのは後にして、早く契約をしたまえ。次の授業まで時間がないんだ」
「あ……。す、すみません……」

ルイズは狐人間に近づき、スッと顔を近づける。

「悪いけど、ちょっとの間だけじっとしててね」
「……!?」

狐人間はルイズに顔を掴まれ驚いたような表情をしている。


「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。
 この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」

すっと杖を狐人間の額に置き、そのまま唇を重ねた。

「終わりました」

ルイズにキスをされた狐人間はしばらく放心しているらしく、ピクリとも動かなくなった。
自分の体が妙に熱くなっているのを感じていたが、そんなものが気にならないくらい意識が飛んでいた。
なぜなら、この狐人間は宇宙空間に漂い、強大な敵に向かって戦闘機を走らせているからだ。無論妄想であるが。

「ふむ……珍しいルーンだな」

コルベールは魂が抜けている狐人間の左手の甲を見ながら呟いた。


653 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:14:15 ID:Ex/EWvgl
支援

654 :雇われた使い魔:2008/03/24(月) 22:14:26 ID:N10P9mMG
「さてと、じゃあ皆教室に戻るぞ」

コルベールはきびすを返すと、中に浮いた。
他の生徒達も中に浮き、それぞれ教室に向かって飛んでいく。

「ルイズ、お前は歩いて来いよ!」
「『レビテーション』がまともに使えないんだからな!」
「使い魔もまともじゃねえしな!はーっはっは!」

いつもなら罵倒を浴びせてくる生徒達を睨み付けるルイズだが、今回は違った。
なぜなら、自分の目の前に最高の使い魔が現れたからだ。
それに比べたら、幼稚な罵倒や、見る目が無いバカの戯言などまったく気にならなかった。

「ねえ、いつまで硬直してるのよ? あんたは私の使い魔なんだから早く私について来なさい」

そういって狐人間が着ていた服を掴もうとした瞬間だった。

「い、い、い、い、いきなり何をするだあーっ!!」

狐人間が思いっきり叫んだ。
思わず台詞をかんでしまったことを恥じる。
しかし、この狐人間にとってもっと恥じるべきことが先ほど発生した。
台詞をかんだことよりも、そっちの方が遥かに重大であった。

「……へ?」
「"へ?"じゃない! キミには恥じらいというものが無いのか!」
「あんた、喋れるの……?」
「……? 何を言ってるんだ、当たり前じゃないか」



655 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:15:12 ID:KJqQO8CK
ジョースター一族な狐に支援

656 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:16:45 ID:zK8nNd3/
うおっ、遂にスターフォックスからの召喚が!
これは支援せざるを得ない

657 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:16:51 ID:dIu6kmRH
LUCK PLUCK 支援!

658 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:17:17 ID:WTy/cA1z
           /;;/^i ___/;;/^i
               /.:.:.         \      にゃーんにゃーん♪
                  /:,:.:.:  /   ヽ    \     にゃにゃにゃにゃーん♪
              /.:.l:.:.:/:/   :/  ', :l   ヾ`ー
                /!:.:.|:.: l/  〃 / j } :|    ハ    ユキネコだよー
            /イ:.:.i|:.:.jL __,/_/ | /l.、_/| l  l }     ゆっくりしてくんないとひっかくよー
             N:.ハ:.:.:l rr=-, レ /r=;ァ| /| ∧j
              ヽム:.} 〃 ̄     ̄" ル iレヽ
                    `ヘ:ゝ   'ー=-'  小/   
                      ヾ:{>、 __ ,.ィ<}/|/
               _, ィr'´ヽ{ ___`} ヽ、_
             /| l:|   | ===|   |:l゙ヽ
              /  | l:l   l     l   l::l l
               l  ヽハ    l    l  //  |
            ハ  ヾヽ  l   l  // l l
               | ヘ  l ヾ\ ヽm/ ,/ V :|
             ノ  \|  `ト,\V/|   │ 、|
            {/ ̄>‐ァ、  j__≧i≦ !,ィ彡三>ヽ
           j  /{ `ヘ三三三ミ=彡<_/  }
           {   >ー‐'"ト-- (^ー'⌒ 〉 __ノ
           `ー‐イ      | { { {T'┬='ーく |
                | |    ∨  〉〉〈( j    }|
                K_/x'⌒{\'-' ‐}>└r‐xヘ}|


659 :雇われた使い魔:2008/03/24(月) 22:17:34 ID:N10P9mMG
狐人間がしゃべった。いや、狐"人間"なのだからしゃべって当たり前なのかもしれない。
しかし、この狐人間が喋るなんて毛ほども想像していなかったルイズは、驚きと同時に深い喜びを感じた。

「す、すごい! すごいわ! ねぇねぇあんた一体何者なの? 人間じゃないんでしょ? でも、狐でもないんでしょ?
 一体何なの? どんな生物なの? 名前は何? どこから来たの? 歳はいくつ? 性別は雄……じゃなくて男……どっちでもいいわ!」

凄い勢いで質問攻めしてくるルイズに、狐人間は後頭部に大きな汗を流す。
そして、とりあえずルイズを落ち着かせることにする。

「ちょ、ちょっと待ってくれ。 オレだって質問したいことは山ほどあるんだ。
 とりあえず順番にお互いのことを話していくってことでどうだい?」

狐人間の提案に、ルイズはなるほどといった表情で頷いた。

「そうね、それがいいわ。じゃあまず名前から聞くわ。ていうかあんた名前とかあるの?」

狐人間はむっとした表情で答える。

「あるに決まってるじゃないか、失礼な子だな……。オレの名前はフォックス・マクラウドだ。
 雇われ遊撃隊、スターフォックスのリーダーを務めている。よろしくな」

フォックスと名乗った男は握手を求め手を差し出す。

「雇われ遊撃隊……? ナニそれ? ……ま、いいわ。フォックスって呼べばいい?」
「ああ、そう呼んでくれると助かるよ。オレの仲間も皆そう呼んでいるからね」
「そう。私の名前はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」

ルイズが言い終えると、フォックスは頭に?マークを浮かべ、しばし考え込む。

660 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:18:06 ID:Ex/EWvgl
フォックス支援

661 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:18:39 ID:HPNvyhoV
ちょいと64買ってくr

662 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:19:43 ID:FHL00zgL
大混乱中のフォックス君支援w

663 :雇われた使い魔:2008/03/24(月) 22:21:30 ID:N10P9mMG
「……それ、キミの名前かい?」
「当たり前でしょ」
「……な、なんだかずいぶんと長い名前だな……えーとルイズ・フランスソース……?」
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ!!」
「……? ……そうか、よくわかった! よろしく頼む、ルイズ」
「あんた絶対分かってないでしょ……」

ルイズはあきれ返ったような表情でフォックスを見た。
さっきの最高の使い魔を手に入れたという表情はどこへやら。
ひょっとして自分はとんでもないボンクラを呼び出してしまったのではないかとさえ感じている。

「ところで、先に一つ言っておくことがあるわ」
「……なんだ?」

ルイズはフォックスが差し出している手をはたく。

「な、何をするんだ!」
「あのね、今日から私はあんたのご主人様なの。わかる?
 握手するつもりなんだろうけど、ご主人様に軽々しく握手するなんて使い魔としてどうなのって感じでしょ?」

フォックスは自分が何を言われているか理解できてない表情で首を傾げる。

「あー、もう! つまり、あんたは私の部下ってこと! だから私と立場が同じと思っちゃだめなの!
 わかったら、"ハイッ!"って大きな声で返事をしなさい! これは私の最初の命令よ!」

フォックスは今となっては誰にも通じない通信機に向かって呟いた。

「コイツ何言ってんだ?」

その声はルイズにも聞こえ、ルイズは顔を振るわせながら両手を挙げる。

「あんた私に喧嘩売ってるの!? とにかくあんたは今日から私の使い魔なの! 分かったわね!」
「……言っている意味がさっぱりわからない。スリッピー、この子が言っていることを分析してくれ……」

今やそばにいない仲間に助けを求め、フォックスは頭を抱えた。
しかし、フォックスの苦悩はまだ始まったばかりなのであった。


664 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:22:50 ID:Rp4IlrbB
ゲハの某スレに報告したいのをぐっと堪えて支援

665 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:24:37 ID:zK8nNd3/
フォックスが身振り手振りであのツンとした口をパクパクさせて喋ってる光景が浮かんで仕方ないw

666 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:25:05 ID:FHL00zgL
なにこのでこぼこコンビw支援

667 :雇われた使い魔:2008/03/24(月) 22:26:15 ID:N10P9mMG
とりあえず、今回は以上です。
2話目からがんがっていきたいと思います。
皆様支援ありがとうございました!

668 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:27:34 ID:XcPn58vI
乙&GJ。続きにも期待してますよー。

669 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:28:24 ID:zK8nNd3/
>>667
乙!次回も期待してますyo

670 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:30:28 ID:FHL00zgL
>>667
乙!ワロタw
次回、楽しみに(ry

671 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:30:44 ID:kHzbGmKo
さすがフォックスだ、アーウィン無いと駄目駄目だ

672 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:34:27 ID:h9Nhov6T
狐人間乙
見た目は狐の亜人といったとこだろうか

>>671
せめて64じゃなくてADVからの召喚なら……

673 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:34:40 ID:uHRgvpW2
>>661
         / ̄\
        |     |
         \_/
          |
       /  ̄  ̄ \
     /  \ /  \
    /   ⌒   ⌒   \      いい心がけだ!
    |    (__人__)     |      褒美としてオプーナをくれてやる
    \    ` ⌒´    /   ☆
    /ヽ、--ー、__,-‐´ \─/
   / >   ヽ▼●▼<\  ||ー、.
  / ヽ、   \ i |。| |/  ヽ (ニ、`ヽ.
 .l   ヽ     l |。| | r-、y `ニ  ノ \
 l     |    |ー─ |  ̄ l   `~ヽ_ノ

http://news4vip.livedoor.biz/archives/51143679.html


674 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:35:15 ID:gDlbagyK
スターフォックスは初代SFC版しかプレイしていないので、あの口パクがどうしても浮かぶ……
それはさておき作者さん乙。

675 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:37:32 ID:mlyCFR1v
フォックスの人gjっす!


676 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:37:37 ID:OkYFLN+g
>>671
最近はそうでもないぜw

677 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:41:47 ID:1lt5qoim
>>558
体長数メートルのミミズはオーストラリアにふつうにいるぞ。

678 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:42:07 ID:z9OmVRts
リフレクターは魔法も跳ね返せるか?

679 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:43:52 ID:Jvkvz8gH
フォックスは最近生身でもいろいろ活躍してるからな
今後も期待しています

680 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:44:21 ID:zK8nNd3/
>>673
スレにオプーナが召喚されちゃったじゃないかw

681 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:52:00 ID:h9Nhov6T
>>551
駄犬というかバカ犬だけど
マリオかゼル伝のワンワン召喚とか
いい感じじゃなかろうか

682 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:57:12 ID:HPNvyhoV
犬といえばやっぱポチを、、メタマ2の(フル装備で)
問題はキャラとして成り立ってないということ位か

683 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:58:57 ID:getW1mS1
ティガとテファって似ている

684 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 22:59:48 ID:IsaTy2BG
不思議のダンジョン系から店の主人を召喚。
ドロボウと認識されれば………。


685 :ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg :2008/03/24(月) 23:01:45 ID:RBLpjLQg
こんばんは。
視界良好であれば、五分後に第五話を投下したいと思います。
よろしいでしょうか?

686 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 23:02:26 ID:EqWqyoEy
進路クリアー発艦どうぞ!

687 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 23:05:56 ID:HPNvyhoV
支援準備

688 :ゼロの戦乙女第五話1/6 ◆5ZSwcPATsg :2008/03/24(月) 23:07:20 ID:RBLpjLQg
 シエスタと別れたレナスは、合流したルイズに連れられて教室に来ていた。
 アリューゼは興味なさそうなので内に戻ったが、メルティーナは幽体の状態で外に出ている。
 教室中の使い魔たちがちらちらとメルティーナに視線を飛ばしているが、彼女は気にも留めず、興味深げに教室内を見回している。

「……何か、見られてるような気がする」

 逆に、ルイズの方がしきりに使い魔の視線を気にして首を傾げていた。
 ルイズだけではなく、レナスにも生徒たちの視線が突き刺さっている。
 仮にも貴族の学院であるから、不躾にじろじろ眺めるような生徒はいないが、それでもちらちらと視線が飛ばされてくる。
 中にはひそひそと隣同士で何かを話している生徒もいて、時折振り返ってはニヤニヤ笑ってレナスを見ている。

(それにしても、ここまで集まると壮観ね)

 レナスは自分に突き刺さる視線を柳に風と受け流し、教室に集合した使い魔たちを見回して感嘆する。
 使い魔の種類も多種多様で、ちょっとした小動物から、キュルケのサラマンダーのような幻獣までいるようだ。
 教室の一番後ろにルイズが陣取っているので、レナスが立っていても他の生徒の邪魔にはならないうえに、教室を一望することができた。

「何よ、そんなに他人の使い魔が珍しいの?」

 使い魔の視線は結局気にしないことに決めたらしいルイズが、立ったままのレナスを見上げる。

「動物はそうでもないけれど、幻獣は見たことのないものが多いわね」

「そう。なら説明してあげる。あの一つ目なのが……」

 ルイズがご主人さま風を吹かせて説明していると、教室の前の扉が開いて教師が入ってきた。
 教師は紫色のローブととんがり帽子を被った女性で、それさえ除けばどこにでもいそうなふくよかな中年女性だ。

『ヘラヘラした面晒して、随分と威厳のなさそうな教師ねぇ。いけ好かない奴だったけど、ロレンタのババアの方がまだ威厳があるわ』

 ルイズを挟むようにレナスの反対側にいるメルティーナが、入ってきた教師を見て即行毒舌を吐く。
 ちなみにロレンタというのは、メルティーナがミッドガルドのフレンスブルグ魔術学院の学生時代に師事していた学院長だ。
 優れた指導力と協調性、慈愛を秘めた気品ある物腰、大陸随一と噂される魔力と、教師として生徒を導くに値する人間性を備えたロレンタに比べたら、目の前の教師は確かに見劣りするだろう。
 フレンスブルグ魔術学院のエリートであったメルティーナは、厳格な性格のロレンタと破滅的に反りが合わなかったとはいえ、その指導力や実力そのものは高く評価していた。
 教壇に上った教師は、教室内を一度ぐるりと見回してにこやかに微笑む。

689 :ゼロの戦乙女第五話2/6 ◆5ZSwcPATsg :2008/03/24(月) 23:08:31 ID:RBLpjLQg
「皆さん、春の使い魔召喚は全員無事に成功したようですね。このシュヴルーズ、毎年最初の授業で召喚された使い魔を見るのがとても楽しみなのですよ」

 シュブルーズは真剣に授業を聞く体勢に入ったルイズと、その横で無表情に佇んでいるレナスに視線を向ける。
 勿論幽体のメルティーナには気付かない。

「特に、ミス・ヴァリエールは大変珍しい使い魔を召喚したようですね」

 自らを話題に出されたレナスが、無表情を保ったまま小さく会釈する。
 どうやら、ルイズの傍にいる間は徹底的に平民の使い魔を演じる気らしい。
 横でそれを察したメルティーナが苦笑した。
 ルイズと同じ反対側の最後尾に座っていた、小太りの男子生徒がルイズに野次を飛ばす。

「『ゼロ』のルイズ! 召喚に失敗したからといって、そこらへんを歩いてた平民を連れてくるなよな!」

「五月蝿いわよ風邪っ引きのマリコルヌ!」

 負けじと怒鳴ったルイズに、マリコルヌと呼ばれた男子生徒は怒りで一気に顔を赤くした。

「誰が風邪っ引きだ! 僕の二つ名は『風上』、風邪っ引きじゃない!」

「アンタの声がガラガラで、風邪引いてるみたいに聞こえるのよ!」

「何だと!」

「そこまで!」

 二人がお互いに激昂して立ち上がったところで、シュヴルーズが一喝した。

「二人とも席に座りなさい。お友達をゼロだの風邪っ引きだの呼んではいけません。貴族としての品位を疑われてしまいますよ」

 魔法が使えない故に誰よりも貴族であることを誇りにしているルイズは、貴族としての品位を持ち出されては何も言えない。
 悔しげに唇を噛みながらも大人しく引き下がるが、マリコルヌは引き下がろうとしない。

「ですが先生! 僕の風邪っ引きは言い掛かりですが、ルイズの『ゼロ』は事実です!」

「黙りなさい。それ以上騒ぐようなら口に赤土を詰めて授業を受けてもらいますよ」

 この一連のやり取りを、レナスとメルティーナ、そして一部の生徒たちはしらーっとした顔で聞いていた。
 そもそもシュヴルーズが妙な含みを持たせてルイズに注目を集めさせなければ、こんなことにはならなかったのである。

690 :ゼロの戦乙女第五話3/6 ◆5ZSwcPATsg :2008/03/24(月) 23:09:36 ID:RBLpjLQg
『このババア、ロレンタよりもムカつくわ』

 メルティーナなどはもうゴミを見るような目でシュヴルーズを見ている。
 マリコルヌが押し黙って席についたのを確認すると、シュヴルーズは満足そうに宣言する。

「それでは、授業を始めます」

 シュブルーズが杖を抜いて振ると、教卓の上に石ころが現れた。

「まず初見の方もいると思いますので、先に自己紹介をしておきましょう。私の二つ名は『赤土』。『赤土』のシュヴルーズです。これから一年間、『土』系統の魔法について皆さんに講義していきます」

 説明を聞くメルティーナは、シュヴルーズの言う二つ名というものがどういうものなのか分からず、眉を顰める。

『ねえヴァルキリー、ルイズに二つ名について聞いてみてくれないかしら?』

 疑問をそのままにしておくの嫌いな性質のメルティーナは、手っ取り早くレナスを通訳にしてルイズに訊ねることにした。
 戦闘以外にはあまり興味を見せないアリューゼと違い、メルティーナはレナスの内にいてもちょくちょく外の様子を窺っているので、ルイズを呼び捨てにするのに何の躊躇いも持たない。
 頼まれたレナスはちらりとメルティーナに視線を向け、小さく頷いて承諾の意を伝えると、ルイズの肩を突付いて振り返らせる。

「ルイズ。二つ名とは何かしら」

「へ?」

 己の使い魔を物静かで気難しく、無口な平民だと思っているルイズは、珍しく質問をしてきたレナスに驚いた。
 すぐに我に返り、前を向いてシュヴルーズの注意が自分に及んでいないことを確認すると、レナスに向き直る。

「ええとね、二つ名はその人の性質や使える魔法、性格を現すニックネームのようなものよ」

 魔法が使えない分知識を披露できるのが楽しいらしく、ルイズは饒舌になって例を挙げる。

「例えば、今教壇に立っているシュヴルーズ先生の二つ名である『赤槌』は、赤土に関係する魔法を得意をすることからつけられているの」

 自分の説明にレナスが頷くのを確認して、ルイズは周りに男たちを侍らせて座っているキュルケを指差す。

「他にも生徒の中で有名な二つ名は、ツェルプストーの『微熱』と」

 言葉を切ったルイズの指がキュルケからその隣のタバサへと移る。

「ミス・タバサの『雪風』ね。ツェルプストーの場合は恋の多さと得意とする火系統の魔法にちなんでいるわ。ミス・タバサの場合は風と水を組み合わせた複合系統の魔法を得意とすることからきているの」

 ルイズの説明に再び頷くレナスだが、実際にルイズの説明を感心して聞いているのはレナスではなくメルティーナである。

691 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 23:09:42 ID:HPNvyhoV
支援

692 :ゼロの戦乙女第五話4/6 ◆5ZSwcPATsg :2008/03/24(月) 23:10:34 ID:RBLpjLQg
『なるほどねぇ。じゃあ、ルイズの二つ名は何なの? レナス、聞いてみてくれる?』

 講義を聴く姿勢を崩さずに頼んでくるメルティーナに、レナスはルイズのことを考えて質問すべきか僅かに躊躇した。
 昨日、ルイズがゼロと呼ばれていたから、大方それがルイズの二つ名なのだろう。
 だが、彼女が気にしていることを改めて聞くのは、さすがにレナスにしても気に引ける。
 その間にもシュヴルーズは授業を進めていく。

「土系統の基本が『錬金』であることは一年生の時に習いましたね? 今日は初回ですし、その復習からしてみましょう」

 最初に作り出した小石に杖先を当て、シュブルーズが『錬金』のルーンを唱えると、ただの小石は金色の石に変わった。
 レナスとメルティーナの視線が金色の石に引きつけられる。

「……驚いたわ」

『ただ呪文を唱えただけで、物質を変化させるなんて……』

 今の『錬金』には、メルティーナだけでなくレナスも興味をそそられた。
 神であるレナスならば創造の力を使い、無から最高位の魔法金属であるオリハルコンを創りだせる。
 元となる物質を必要とするとはいえ、人の身で似たようなことができるとは意外だ。

『これは、是非とも原理を解明しなくっちゃ』

 持ち前の知識欲を刺激され、メルティーナはルイズの二つ名への興味を忘れて講義を聴くのに没頭する。

「ゴ、ゴールドですか!?」

 男子生徒を侍らせていたキュルケが、思いがけない金色の輝きに目の色を変えた。
 しかし、シュブルーズは恥ずかしそうに首を横に振る。

「いいえ、真鍮です。ゴールドを錬金できるのはスクウェアクラスのメイジだけです。私はただのトライアングルですから」

 再び耳にした聞きなれない言葉に、レナスはメルティーナに催促される前にルイズに質問する。

「トライアングルとスクウェアとはどういう意味なの?」

 レナスの質問に、ルイズはシュヴルーズを気にするそぶりを見せたが、結局振り返って答えた。

「メイジは一度に組み合わせることができる系統の数でメイジとしての格が決まるのよ。一つはドット、二つはライン、三つはトライアングル、四つだとスクウェアっていう風に」

『ふぅん……。スクウェアだとどのくらい強いのかしら?』

 メルティーナの声が聞こえたわけではないが、ルイズは興が乗って説明を続ける。

693 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 23:10:48 ID:vc1M39YP
>>681 このバカ犬とよばないで といったら アイランドからポチだろう

694 :ゼロの戦乙女第五話5/6 ◆5ZSwcPATsg :2008/03/24(月) 23:11:42 ID:RBLpjLQg
「魔法学院だと殆どの生徒がドットで、優等生でもほぼラインね。トライアングルは一部のエリートや教師にしかいないわ。ちなみにさっき言ったツェルプストーやミス・タバサもトライアングルよ」

「では、今の錬金を……そうですね、ミス・ヴァリエールにやってもらいましょう」

 後ろを向いたまま説明に夢中になっていたルイズは、それを見咎めたシュヴルーズに突然指名され、飛び上がって前に向き直った。

「わ、私ですか!?」

 今まで使った魔法のことごとくを爆発させてきたルイズは、まさか自分が当てられるとは夢にも思わなかったらしい。
 ルイズの二つ名を知らないメルティーナは、慌てるルイズの様子を見て首を傾げたが、大人しく授業を見守る。

「ミス・ヴァリエール。使い魔とコミュニケーションを取るのは結構ですが、今は授業に集中してくださいね」

 シュヴルーズに皮肉を言われ、ルイズが顔を赤くした。
 指名される原因を作ったレナスを怒ろうにも、シュヴルーズに見られていて後ろを振り向けないので怒れない。

「……あとでお仕置きだからね」

 前を向いたままシュブルーズに聞こえないように言うルイズに、レナスはため息をつく。
 素直に立ち上がろうかどうか迷うルイズの代わりに、キュルケがルイズをちらりと挑発的に見てから手を上げた。

「先生、ミス・ヴァリエールを教えるのは今年が初めてでしたよね? 彼女には実技をさせない方がいいかと思いますわ」

 爆発による被害を恐れて殆どの生徒たちが深く頷いた。
 しかし、シュヴルーズはそれを魔法が不得手なルイズへの生徒全員での嫌がらせと受け取ったらしく、殊更優しい笑顔でルイズを促す。

「大丈夫ですよ、ミス・ヴァリエール。ほら、席を立って教壇へいらっしゃい」

「待ってください、実技なら私がやりますから──」

 キュルケが何とかルイズに実技をさせるのをやめさせようと食い下がる。
 逆にルイズはキュルケへの対抗心を煽られたらしく、決心して勢いよく席を立つ。

「私がやります!」

 歩いていくルイズに、教室が一気に騒がしくなった。
 ルイズが教壇に立つと、レナスと幽体のメルティーナ以外、全ての生徒たちが机の下に潜り始める。
 レナスとメルティーナは見晴らしがよくなった視界に目を丸くする。
 唯一、タバサだけがさっさと教室を出ていった。

695 :ゼロの戦乙女第五話6/6 ◆5ZSwcPATsg :2008/03/24(月) 23:12:48 ID:RBLpjLQg
『な、何が起こるのよ……?』

「……分からない」

 混乱する二人を他所に、ルイズは唾を飲み込むと杖を抜いて小石に杖先をつける。

「いいですか、ミス・ヴァリエール。錬金したい金属を頭に思い浮かべるのです。そうすれば──」

 シュヴルーズのアドバイスを聞きながらルイズがルーンを唱えて錬金を行うと、何故か小石が大爆発を起こした。
 一足先に教室を出たタバサ以外、生徒たちは全員机に潜っていたし、レナスとメルティーナは一番後ろの席にいたので被害は全くない。
 しかし、爆心地である教卓と生徒たちの使い魔はもろに被害を被っていた。
 教卓に立っていたルイズとシュヴルーズは間近で爆風を浴びて教壇に倒れているし、爆発に驚いた使い魔たちが恐慌を起こして大騒動になっている。

「だから『ゼロ』に任せるのは嫌だったのよ!」

「ああもう、髪が爆風で埃だらけよ! どうしてくれるの、『ゼロ』のルイズ!」

「クヴァーシルが! 僕のクヴァーシルが喰われた!」

 阿鼻叫喚の教室の中、爆発でボロボロになったルイズがむくりと身を起こした。
 スカートからハンカチを取り出して顔の煤を拭い、教室内を見回して一瞬顔を引き攣らせた後、何でもない風を装って取り繕うように言う。

「ちょっと失敗したわね」

 一斉に生徒たちからブーイングが起こった。

「どこがちょっとだ! この惨状が見えないのか!」

「使い魔が驚いて教室中滅茶苦茶になってるわよ!」

 さすがにやり過ぎたとは思っているのか、ルイズは顔を真っ赤にして言い返す。

「五月蝿いわね! たまたま失敗しただけじゃない!」

「たまたまって、まともに魔法を成功させたことなんか一度もないじゃないか! 魔法成功率『ゼロ』のルイズ!」

 口喧嘩の様相を呈していく中で、幽体であるため物理的な影響は受けないメルティーナが納得したように手を打つ。

『なるほど。魔法が一度も成功しないから、ルイズの二つ名は『ゼロ』なのね』

 レナスは再びため息をついた。

696 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 23:14:17 ID:Pw0mtyWk
支援
まあ、シュヴルーズ先生は結構うっかりな人だしな…w

697 :ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg :2008/03/24(月) 23:14:58 ID:RBLpjLQg
以上、第五話終了です。
01〜04までレナスの口調を修正したので、
それに合わせています。
支援ありがとうございました。

698 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 23:15:15 ID:w8JjByNK
乙!

699 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 23:15:24 ID:HPNvyhoV
乙です〜

700 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 23:16:32 ID:gDlbagyK
お疲れ様です。

……教職員に免許が要らない世界だからだろうか、学園の教師たちに人格的な教師の資格が足りないような気がするのはいつもの事か。

701 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 23:19:19 ID:XgZZWy35
すべてはノボルネ申の(ry

702 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 23:19:46 ID:Pw0mtyWk
お疲れ様ですー
原作の学院教師で名前が出てるのって爺とコッパゲとキトーとシュヴ先生だけでしたよね、確か
おマチさんは秘書だし。

703 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 23:23:49 ID:rDcPq/2Z
>702
ミスタ・亀…

704 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 23:26:22 ID:gDlbagyK
>703
南国アイスホッケー部に「かめあたま」先生というのがいたが……怖くて漢字変換できん。

多分二次だと思うのですが、魔法学園の教師は家を継げないしエリートコースにも乗れない、二流が多いというのがありましたね。

705 :551:2008/03/24(月) 23:34:10 ID:DUmDvos6
完璧にスルーされると思ったけど反応があって驚いた。
ルイズと使い魔が同時に成長する材料だからなんだろうか。
ただ自分、犬は苦手なんだ。子犬に吠えられたら悲鳴上げるんだ。
期待させるようなことかいてすまなかった。
あと、投下乙。

706 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 23:34:46 ID:aXQcmUSh
確か実際にもウンチタメゾーという人がいるはずだぞ
ウンチは雲に知で名前はどんな綴りだったか忘れたけど

707 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 23:38:42 ID:L84YxoOd
フォックスか懐かしいw
64のラスボスが凄い怖かったな

708 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 23:43:21 ID:getW1mS1
スーパー1呼ぼうぜ

709 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 23:48:51 ID:axVgb0t+
>>700
日本だって明治初期の頃は
学校の校長がエリートコースから外れた人の行く先立ったりするし
中世レベルと考えるとむしろ優秀な部類じゃなかろうか?



710 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/24(月) 23:54:10 ID:zA97UuYw
思い返してみれば、自分らが高校の頃だって人格的に教師としてどうか(生徒主観)な人はいっぱいいたしな。
教師に過剰な幻想を抱いてはいけない。奴らも人だ。

711 :ゼロ点の使い魔(前編) ◆iPwmJvtOls :2008/03/25(火) 00:01:01 ID:EVkZ46ex
小ネタ前後編、前編投下します。多重クロス、13巻辺りからです。

712 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 00:01:51 ID:HXoEbny7
多重クロスとな…

713 :ゼロ点の使い魔(前編) ◆iPwmJvtOls :2008/03/25(火) 00:02:06 ID:DBr9HuTj
ついにガリア王が正体をあらわした!
エルフと手を組んである恐ろしい計画を実行に移したのだ。
その計画とは……人類抹殺計画!
人類抹殺計画を阻止せんと立ち上がった虚無の使い手、
ルイズ、ロマリア教皇聖エイジス三十二世、そしてティファニア。
打倒ジョゼフに燃える三人に襲いかかる「規格外」
ガリア王ジョゼフ擁する虚無の使い魔、ミョズニトニルン――――

「へっへーん、もう謝っても許してあげないよ!なんてったって、あたいったら最強なんだから!」

ガリアでは一般的なガーゴイルさえまともに活用できず、
もはやミョズニトニルンである意味を喪失したと巷で噂の、
「東方の氷精」チルノの弾幕が、ルイズたちに襲いかかる。
そして、それを阻止しようと立ちはだかる虚無の使い魔が三人――!

「あ、あんな氷があたったら、死んじゃうじゃないかー!助けて、ママー!!」
「ママーじゃなくて!あんた仮にもガンダールヴなんだから、しっかりしなさいよ!」
野比のび太。神の左手ガンダールヴ。背に負いし剣と二丁の銃で、並居る敵をなぎ倒す……はず。

「行くぞヴィットーリオちゃん!私の回転防御を見せてやるぜー!」
滝野智。神の右手ヴィンダールヴ。本物の力となった回転防御と榊さんの運動能力、
そして有り余る元気の力で獣達を従えようとして、ひっかかれて涙目。
現在騎乗しているグリフォンに主と認められるまでの苦闘は、ロマリア教皇聖エイジス三十二世をして
「ともちゃんは、ヴィンダールヴとしてそこにいてくれるだけでいいんですよ」
と暗に戦力外通告をさせ、しかも当の本人には婉曲すぎて伝わらない愉快な逸話として、
ロマリアっ子達の語り草になったほどである。

そして、虚無の使い魔最後の一人。口に出すのも恐ろしい……
「ここはどこでしょう?」
ついさきほど、ティファニアのコントラクト・サーヴァントを受け入れた『間抜作』が、
いつもと変わらぬ笑みを浮かべて戸惑いを表していた。

「抜作さん、かわいい……」
思わず漏れたティファニアの呟きに、視線が集中する。
「あ……私ったら、今はそんな場合じゃないですよね。……後でゆっくり……」
以前感じたことがあるようなそうでないような嫌な予感に襲われた間抜作が、
顔色を少々青くしながら、ぼそりと呟く。
「あのー、帰っていいですか?」

ハルケギニアの、人類の未来をかけた最終決戦が、始まろうとしていた。

714 :ゼロ点の使い魔(前編) ◆iPwmJvtOls :2008/03/25(火) 00:03:27 ID:DBr9HuTj
前編終了です。後編は今日か明日中にでも。

715 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 00:06:09 ID:qMcH0qXy
もうこなくていいです
多重クロスは受け付けておりません

716 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 00:16:28 ID:YpZJJU3s
>>658
可愛いと思うのは私だけなんだろな。

717 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 00:21:27 ID:8DsS8Tm9
ラブひなから浦島啓太郎を召還

718 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 00:26:59 ID:nsYX4iIR
多重クロスってダメなんですか?
>>1 にはかいてありませんが・・・・・確かにまとめで多重クロス読んだ事無いですけどね〜



719 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 00:29:06 ID:iQ/17Wdb
ダメっつーか純粋につまらないから。
単発ネタにしてももっと錬れと。

720 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 00:32:26 ID:cmLFk3ju
>>718
まぁ個人的には悪くないキャラ選びだと思うし、多重クロスにも抵抗ないんだが、
そうじゃない人も結構居るからね。
やっぱそういう冒険は避難所でやった方が良いと思うよ。

んでそっちの方で続編(オチ?)を読ませてくれると嬉しいな。

721 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 00:32:55 ID:dhNiIsQw
>>718
悪くは無いけど、茨の道かもね
ただでさえクロス物は難しいから

722 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 00:33:13 ID:O92+8okq
多重クロスは駄目とは言わんが
ここでやるより避難所でやった方がいい気がする

723 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 00:33:20 ID:+MnTfbvw
「多重ダメ」は、単なるバカの捏造だが
一発ネタで続きは明日とか言ってるのはダメダメだな

724 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 00:35:29 ID:SLo+nPhg
>>723
いや、本スレで多重クロスはやめろ、少なくとも避難所行けっていうのは結構前からそうなんだが……

725 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 00:35:31 ID:r4J002n9
多重クロスがダメとは言わない

ただね、十中八九くらいは話がまとまらない

これを面白く出来るなら、本当に大したモノだけどね
まだそんな勇者に出会った事はない

726 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 00:36:10 ID:bd8Rh6NB
まとめに多重クロスはあることはある。

ただしゼロ魔キャラを含めたすべてを公平に書ききるなんてのはほぼ不可能だ。
読み手も全てのキャラを知ってる訳じゃないからその辺の障害もある。
素人にはオススメできない。

727 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 00:36:22 ID:M86f4YX3
多重クロス、あることはある。

「魔法先生ネギま!」の近衛このか
「あずまんが大王」の大阪こと春日歩
「魔法少女リリカルなのはSs」の八神はやて

ttp://www35.atwiki.jp/anozero/pages/971.html

728 :チキの人:2008/03/25(火) 00:53:06 ID:5Rxh4dkE
今から投下しても大丈夫でしょうか?
十一話。アンリエッタの出番はこれで最後ですなお話。

729 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 00:53:16 ID:RWdETKRh
ZXとかは

730 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 00:56:33 ID:nsYX4iIR
なるほどツマリ混ぜるな危険って事ですね!
作者が同じ漫画からのクロスとか面白そうだなぁ〜と思ったモノで

731 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 00:58:54 ID:WpCaN8KY
同じ世界からの召喚なら…
何はともあれ支援

732 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 00:59:03 ID:nsYX4iIR
チキ来た!
支援

733 :ゼロのルイズとマムクートプリンセス 第十一話:2008/03/25(火) 00:59:23 ID:5Rxh4dkE
「私はかえーってきたぁー!」
 わっふー(挨拶)ルイズです。
 ここ、トリステインの城下町は今日もとっても平和です。
 たくさんの平民たちが、溢れない才能を自らの汗で補いながら働いてます。
 何ですこぶる気分が高揚しているかというと、怖かったからです。
 正直幼少時以来でしたわ、下着を濡らしてしまうと言うのは。
 その原因はもちろん、今私の腕にべったり張り付いているチキ。
 実は様々な種類の竜に変身できるという、とてつもない力を持った女の子。
 つい数時間前まで、私はラ・ロシェールという町にいたんですけど、その変身したチキに乗って帰ってきました。
 昨日の夜まではべったりとお姉ちゃんに張り付く妹って感じでした。
 おーよしよしと、頭をなでなでしたくなるような、庇護欲……もとい、母性愛を刺激する少女だったのですが。
 今日の朝のことです。
 朝食を採っている間、唐突にルイズは太股が好きなの? と言って来ました。
 意図が理解できませんでしたので、そんなことありませんですわと、ついちいねえさまを想像しつつ答えました。
 ちいねえさまは全てが柔らかくて気持ちが良いのです。
 ですがチキは、そうなんだと無邪気に答え私はほっとしました。
 何せ一瞬、親の仇でも見るかのような目で一点を見つめた物ですから。
 もしかして思考がばれてしまったのかとひやひやしたのです。 
 しかしその後も何事も無かったかのように、
 まるでそんな質問などしなかったみたいに過ごされたので、私も安心していました。
 おかしいなあと思ったのは、チキが変身してその背に乗った時です。
 そういえば、タバサの風竜を置いて行ってしまうくらい、早いスピードで飛ぶ竜なんだよね? 大丈夫なのかなあ。
 と、思ったのも束の間のことだった。
 まず、マントが吹っ飛んだ。
 あっ、と思った瞬間振り返ると、もう影も形も無くなってた。
 次に杖が吹き飛んだ。
 まあ、これはトリステインに着いたら圧し折ろうと思っていたので良かった。
 そしてしばらくしたら意識と記憶が吹っ飛んだ。
 ……ああ、生きてるって不思議。
「ルイズはトリステインが好きなんだね」
 隣で腕を組みながら歩くチキが言う。
 その姿は端から見れば、恋人同士にも見えそうなんだけど。
 別段、特に不愉快でもない。
「好きって言われれば好きなのかなあ……」
 ぐっ! 唐突に腕が痛くなったと思ったら爪が食い込んでました。
 にっこり笑顔でも不思議と怖いってあるんだな、また一つ賢くなった。
 それはともかく。
 とりあえずは生活できる場所の確保が先決だ。
 学院にはもう戻らないと決めてあるし、勝手な行動をしたからヴァリエールの家にも迷惑はかけられない。
 お金はお小遣いが残っているけど、これだって節約しなきゃいけない。
 正直昨日の屋根裏みたいな部屋で過ごさなきゃいけないのか、と考えると憂鬱になるんだけれども。


734 :ゼロのルイズとマムクートプリンセス 第十一話:2008/03/25(火) 01:00:08 ID:5Rxh4dkE
 それにしても、逗留する場所を探してから働き場所を決めるか。
 働き先を見つけてから、宿を見つけるか。
 一番楽なのは住み込みで働ける場所を見つけることなんだけど……。
 まあ、街の入り口で止まってる事はないか。
「うん、歩きながら考えましょうか」
「ルイズは考えてばっかりだよね」
 あはは、と乾いた笑いを浮かべながら頷く。
 表通りを歩きながら、働き手を募集してそうな店を探す。
 ただ、働くことは初めてだからできれば簡単そうな場所を……ああ、でも何を持って簡単と判断すれば良いのか。
 ちょっと歩くと、良さそうな喫茶店が働き手を募集したので入ってみた。
 制服を着た私と、長い耳を持つチキを見て怪訝そうな顔をされつつ断られる。
 ……しまった、この魔法学院の制服を着たままじゃ怪しさ全開じゃないか。
 しかし服を買うにもお金がかかるし、脱ぐか? 往来で脱ぐのか? 
 いかん、思考がピーキーになってる、落ち着かないと。
「ルイズ、もしかして私達目立ってる?」
「確かに、もうちょっと簡素な服のほうがいいかも」
 耳と羽が、なんていう責任転嫁をするつもりは無いので、主に私が目立ってると主張してみた。
 しかし私の言葉にうーんと、チキは考えるような仕草をとり、おもむろに額に付けていた飾り物を取る。
 ……それ、張りついてるのかと思った。と言う言葉をすんでの所で飲み込む。
「これを売れば少しはお金になるかも」
「え? それって大切な物なんじゃないの?」
 確か一番最初にオールド・オスマンと対面した時、宝石を見て大切にしろと。
 私が記憶を紐解いていると、チキが首を捻りつつ。
「うーん、まあ、年は取ってるから」
 そなたは我が学院の長をボケてると申すか。
 ひとまずそれは置いておいて、チキの装飾品を手にとってみる。
 これは、ティアラに近いのかしら? はめた瞬間に外れなくなるマジックアイテムとかじゃないわよね。
 それにこの石……紅水晶かしら? でも随分と濃い色だし、ルビー?
「確かに、これなら新金貨で取引されても……いや、でも」
「大丈夫だよ、これくらいならいつでも加工してできるから」
 いつでも? 加工?
 いけない、聞かなかったことにしなきゃいけない。
 ついつい働かなくてもというのは裏切り行為だよね? うん、そうだ。
「売る売らないはひとまず考えるのを……しかし問題を先送りしてばかりね」
 経験が無いというのはここまで思考を鈍らせる物なのか。
 それにちょっとお腹も空いてきたし、お昼にもいい時間だなあ。
「とにかく、お腹を膨らませましょうか?」
「うん、座って考えるのも良いと思うよ、他の人にも聞けるしね」


735 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 01:00:25 ID:c488d+0O
>>730
つまりルイズとその同級生が「あだち充」や「手塚治虫」のキャラ召喚
…ルーンが無いと区別がつかなくなる訳ですね

736 :ゼロのルイズとマムクートプリンセス 第十一話:2008/03/25(火) 01:03:10 ID:5Rxh4dkE
街の人から情報収集した結果、安くて美味しいお店があるとの事だ。
 しかし探し回ってみたけど、どうにも見つからない。
「ううーん、食べ物を出しそうな店は無いわねえ」
「民家ばっかりだよね」
 隠れ家的名店とは言っていたが、まさか民家を改築したお店とか?
 それならば看板くらい出しておけば良いのに……と毒づいてみる。
「あら? あらあらあら? もしかしてルイズ?」
 うーん、お店お店……。
「こんな所で会うなんて、始祖ブリミルのお導きかしら? 隣にいるのは使い魔さん? 本当に人の姿をしているのね? 使い魔品評会に参加したんだけど、ルイズがいなくて心配したのよ」
 ええと確か、お店の特徴は……あーしまった、聞き忘れてたわ。
 でも、食べ物を出すのなら匂いくらいはするかも。
「それにしても本当に偶然ね、あら、鼻を動かしてどうしたの? ルイズってば昔からよく分からない行動をして、私を楽しませてくれたわね」
 あ、少しトマトを使ったスープの匂いがする……。
 チキの手をとってその方向に歩き出す。
「どこに行くのルイズ、追いかけっこかしら。それなら負けないわよ……ふふっ、思い出すわね湖での出来事、そう、湖といえばねルイズ」
 どんどん匂いが近づいてきた。
 何か心なしか外野が煩い気がするんだけど、神経をそちらに向けるわけには行かない。匂いはあまりにも微かである。
「ワルド子爵にとある物の回収を頼んだんだけど戻って来なくて……本当ならルイズに頼もうと思ってたんだけどいなかったから。
アルビオンはまだ健在だけど、正直もう時間の問題なの。あれがもし敵の手に渡れば一大事。ねぇルイズ、今から言う私のお願い事を聞いてはくれないかしら」
 お、着いた着いた。
 このドアの奥からすごく良い匂いがする。
 ちょーっと値段が心配だけど平民が安いって言うくらいだもの、大丈夫よね。
「あまりに勝手な願いなのは分かっているわ、でもね、歴史のあるトリステインを私の代で終わらせたくはないの、あ、まだ即位はしてないんだけどね」
 それにしても騒がしいなあ、平民如きが……あ、良い匂いだー。
 ドアを開けてチキと一緒に中に入る。
「う、私はお金を持って来ていないわ。お名残惜しいけどルイズ、お話をするのは今度にしましょうね」
 私の姿というより、チキの姿を見てウェイターが驚いたような表情をする。
 しかし、私が客よと呟くと、席まできちんと案内した。
 隠れ家というだけあってやはり狭いが、汚いわけじゃないし、チキと二人で利用するのならちょうど良い。
 メニューが読めないチキに代わって、私が注文を入れる。
「どんなものを頼んだの?」
「ピッツァっていう……そうね、パンの上にチーズを乗せたようなものよ」
「ふぅん、食堂に出たことある?」
「無かったと思う、冷めると美味しくないから」
 貴族がピッツァから伸びるチーズを……というのは、客観的に見て宜しくない。
 だけど実は憧れだった、口に咥えた瞬間伸びるチーズっていうのを、どこまでも伸ばしてみるの。
「ふぅ、と、ようやく落ち着いたんだけど、さっき私に話しかけてなかった?」
「ううん、怪しいフードをかぶった女がブツブツ呟いてたけど……」
 始祖ブリミルとか、アルビオンとか、即位とか。
 そんな言葉をもしも平民が使っているなら、危ない奴なのは確実ね。
 私は見なかったけど、怪しいフードをかぶった女って言うのも癪に障るし。
「うーん、怪しいから、聞いた事は忘れちゃいなさい」
「そうするよー」
 しばらくは平民に混じって生活するのだから、美味しくないものを食べても文句を言わないようにしようかと思ってたけど。


737 :ゼロのルイズとマムクートプリンセス 第十一話:2008/03/25(火) 01:03:54 ID:5Rxh4dkE
「これは……美味しいわね」
「うん、味付けが食堂と似てるよ」
 確かに学院に勤めるくらいのコックだから、弟子とかいても不思議じゃないか。
 と、勝手にここの料理人を弟子に決めつつ食事をする。
 お腹も膨らんだ所で、グラスに注いだ水を飲みつつ話し合う。
「と、さすがにこれ以上長居するわけには行かないわね」
 うんうんと頷くチキを傍目に見つつ、お金を払って外に出る。
 きょろきょろと見回して怪しい女がいないか確認したけど、うん、大丈夫。
 私のチキに指一本でも触れようものなら、魔法で……いや、鞭で叩いてやるんだから。
「ふぅー、とりあえず、泊れる場所を探すってことで、いいよね」
 結論はこんな感じだった。
 とにかく泊れる場所を探してみる。
 落ち着いたら仕事を探しつつ情報収集。
 仕事先が決まったら、チキをきちんとお留守番させると。
 不満そうな顔をするかと思ったけど、一番最初の喫茶店とさっきの店での経験が頭にあるのか、素直に頷いてくれた。
 表通りに出ると人通りが少なくなってることに気がつく。
 首を捻りつつ、たまたま目の会った人に話を聞いてみると、
 どうも、キツイ印象を持つ眼鏡の金髪の貴族様が、人を探しているらしい。
「エレオノール姉様みたいな人かしら……」
 仮に全然違う人間だったとしても、姉様を彷彿とさせるのは嫌だなあ。
 ここは、その人に会わないうちにとっとと宿を見つけて退散しよう……。
「あ、いた! この、ちびルイズ!」
 ……た、退散! 退散したいけど多分無理!  

738 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 01:04:21 ID:ZE13DNOT
支援

739 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 01:06:20 ID:FbXQxUsm
支援?それともさるさん?

740 :チキの人:2008/03/25(火) 01:06:20 ID:5Rxh4dkE
736の間に空白を入れたら、何故か投稿内容が吹っ飛びました。
……なんでだろう?
投下終了です。
まとめサイトにまとめてくださる方、支援してくださる方、感想を下さる方。
いつもありがとうございます。

741 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 01:08:35 ID:EkRiPKbo
GJでやんした

742 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 01:09:33 ID:FJc5ft+q
うを支援しそびれた。
ともあれ乙っすー。…ルイズ、ホントに思考がピーキーになってんなぁ…。
あと、その挨拶はクロノアくんに使用料払わなくちゃならんのでは?(w

743 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 01:14:01 ID:nsYX4iIR
チキの方乙です!
・・・・・・・・アンアン・・・・・orz
しかも出番最後となっ!
ヒドスッwww

744 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 01:16:03 ID:lLtyM4wH
三人 の例もあるから多重クロス的な小ネタぐらいならいいと思うんだけどな
それはともかく戦乙女乙です

745 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 01:48:21 ID:CWIoBS0i
>>900ならサウンドウェーブ(G1)を召還

746 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 01:56:18 ID:hqMwDsZd
面白くないから投下するってのは読み手の傲慢だな。
けど最初から面白いと思って貰う努力をしないのは書き手の怠慢だ。

>714
ちゃんと最後まで書いた上で三日は熟成させたか?
その上でちゃんと推敲やったか?
魅せたい箇所、その前の為、オチをちゃんと考えたか?
小ネタは短い間にどれだけ緩急をつけて盛り上がるかが勝負。
多重クロスで上手くやってる人もいるけど、設定のすり合わせとかが難しいから注意。

あんま文章書いたことないなら、練習方法として「上手いな」と感じた別の人の短編を展開はそのままに、別の構成と表現で自分なりに書いてみるってのがいいよ。
何度も読み込む、自分の手でよりより表現にしようと努力することで作者の人がどのへんに心を砕いて書いたかってのがおぼろげながら分かってくるから。

747 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 02:00:48 ID:MJ6gbhJc
>>713
間抜作に吹いた。
確かにアレは記すことすらはばかられるなw

748 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 02:03:06 ID:z1IlOMHu
戦乙女氏乙です。
このスレのSS全般に言えることだが、やはりギーシュがどう料理されるかが楽しみですのぅw

749 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 02:08:57 ID:gTRy0yX5
まあ、ここで多重クロスが忌避される一番の理由って、主に出番的な意味でゼロ魔側のキャラが
割を食う確率が極端に上がるって事だろうな


750 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 02:13:39 ID:zhfImoyy
多重クロスでふと思った。
FFのクラウドの場合どうなんだろう?
FFTとFF7で両方出演してるキャラ…。

そういえば、怪物王女からはまだ誰もしょうかんされてないな?

751 :ゼロのエルクゥ04 0/6 ◆yxbMPy6fic :2008/03/25(火) 02:31:02 ID:YpZeRX3d
予定が無いなら、5分後に投下したいと思います。
ありがたい事にwikiにまとめてくださっているようですので、話数もつけますね。

752 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 02:35:34 ID:EkRiPKbo
支援でござる

753 :ゼロのエルクゥ04 1/6 ◆yxbMPy6fic :2008/03/25(火) 02:36:50 ID:YpZeRX3d
「はは……まあ、魔法なんて物がある時点でわかってた事だけどな……」

 空に浮かぶ巨大な双子の月を見上げて、耕一はどこか乾いた声を搾り出した。
 なんというか……動かぬ証拠、とでもいうか。
 ああ、ここは『違うところ』なんだなあ、と、昼間に『フライ』の魔法を見た時とはまた違う実感が、耕一の心に去来していた。

「月なんて見上げて、どうしたの?」
「いやあ……こっちの世界じゃ、月は一つでね。改めて、ここが違う世界なんだと実感してたトコ」
「月が一つ、ねえ……やっぱり、聞いた事ないわ」

 同じく窓の方を見ながら、ルイズはため息をついた。

「そろそろ夕食の時間ね。あんた、食べ物は何を食べるの?」
「……穀物とか、野菜とか、肉とか魚とか。別に変わらないと思うぞ」

 むしろ元人間です。と、エルクゥの素性を隠すに当たって言うに言えない耕一は、そんな風に言葉を濁すしかなかった。

「そう。じゃあ、ついてきなさい。食堂に行くわよ」

 ベッドから立ち上がるルイズに首肯して、耕一も席を立った。

 本塔の1階にある食堂は、夕食時の賑やかな喧騒に包まれていた。
 ぴかぴかと光を放つ壁に床に天井。広く、高く、大きな空間に、装飾過多にしか思えない内装、壁を囲むように配置された、精緻な人形の数々。
 そこでは、故郷の都会にある特殊な喫茶店で見るような外面だけの服ではない、使い込まれた本物の給仕の服を来た沢山の小間使い達が、ルイズと同じマントを羽織った少年少女の食事の世話をあくせくと行っている。

 現代日本の人間に、これがおとぎ話のお城の広間です、と目の前に差し出したら信じてしまいそうな、そんな場所だった。

「驚いてるみたいね。ここがアルヴィーズの食堂。トリステイン魔法学院に住んでいる人達の食事は、すべてここでまかなわれるの。……ほら、椅子を引きなさい。気が付かない使い魔ね」

 ルイズは、食堂に並んだ異様に長い3つのテーブルのうち、真ん中にあるテーブルに付いた。
 周囲を見ると、生徒たちはそれぞれ、着けているマントの色が違う事に気付いた。
 ルイズが着けている黒と、紫と、茶色。
 黒いマントは真ん中のテーブル、紫のマントが食堂の正面に向かってその左、茶色のマントが右に集まっているように見える。
 そういやさっき、1年生から3年生まで居るような事を言ってたな……と、故郷の学校のジャージや上履きの色分けを思い出した。

754 :ゼロのエルクゥ04 2/6 ◆yxbMPy6fic :2008/03/25(火) 02:37:55 ID:YpZeRX3d
「『貴族は魔法を以ってしてその精神となす』。学院では、魔法だけでなく、貴族としての、貴族たるべき教育も存分に行われるわ。その食事を預かる食卓も、それにふさわしいものでなければならないのよ」

 見るも鮮やかな料理を優雅な手付きで口に運び、上品に歓談し、華麗に席を立つ。
 少年少女しかいないそれは多少の緩やかさを持ってはいたが、周囲で展開される光景はまさに、『貴族』という言葉のイメージ通りの光景だった。

「……で、俺はどうすればいいんだ? 適当に座れば良いのか?」
「主人と同じテーブルにつく使い魔がどこに居るのよ。今話をするから待ってなさい。ちょっと、そこのメイド」
「はい。どうかなされましたか?」

 ルイズがちょうど通りがかった給仕の女の子を呼びつける。
 まるで絵に描いたような欧州風の外見をした人ばかりのこの場では珍しい、黒髪の女の子だ。
 肩で切りそろえられたそれが、自らの恋人を思わせた。

「これに食事を用意してあげてちょうだい。私の使い魔よ。給仕の賄いみたいなものでいいわ」
「つ、使い魔、ですか? あっ、し、失礼致しました! はい、すぐにご用意致します!」

 黒髪のメイドは、困惑したように眉をひそめた後、耕一の左手のあたりに目をやり、弾かれるように厨房へと駆け出していった。

「偉大なる始祖ブリミルと女王陛下よ。今夜もささやかな糧を我に与えたもうた事を感謝致します」

 『いただきます』にしては随分と装飾過多な言葉を口にして、手を握り合わせるルイズ。
 並べられていくフランス料理のフルコースのような皿の数々。豪奢に飾り付けられたテーブルの上の花瓶や燭台。籠に山と盛られたフルーツの彩り。

「……どこが『ささやか』なんだか」
「貴族の食事としては普通よ」

 耕一の呟きに篭められた意味は理解しているのか、前掛けを付けながらそんな答えを返すと、料理を口に運び始める。
 その後ろで手持ちぶさたになってしまった耕一に、先程の黒髪のメイドが走り寄ってきた。

755 :ゼロのエルクゥ04 3/6 ◆yxbMPy6fic :2008/03/25(火) 02:39:20 ID:YpZeRX3d
「お待たせしました。あの、賄いはご用意できるんですけど、食卓に並べるわけには参りませんので、厨房まで来てほしい、との事です」
「構わないわ。行ってらっしゃい、コーイチ。終わったら向こうの入り口で待っていればいいから」
「わかったよ。じゃあ、行ってくる」
「こちらです。どうぞ」

 黒髪のメイドに、食堂の裏手にある厨房へと案内される。

「……あの、あなたが使い魔って、ホントなんですか?」
「みたいだ。不本意ながらね」

 行きがてら、おそるおそるといった感じでされた質問に、苦笑しつつ左手を上げてプラプラさせると、メイドは慌てて頭を下げた。

「す、すいません。その、召喚の魔法で人を呼んだなんて、初めて聞くものですから……」
「気にしなくていいよ。えっと……君の名前は?」
「あ、私、シエスタと申します」
「シエスタちゃん、ね。俺は柏木耕一。耕一、でいいよ」

 耕一の自己紹介を聞いて、黒髪のメイド、シエスタは驚いたような表情を浮かべた。

「コーイチさん……不思議なお名前ですね。どこか遠いところから?」
「ああ。この国がどこにあるのかわからないぐらいに遠くから、かな」

 全てを説明してもしょうがないと、耕一はそう誤魔化す。

「そうですか……」
「……どうかした?」
「い、いえ、何も」

 言葉とは裏腹に、厨房らしき場所に到着しても、シエスタはどこか考え込むような表情をしたままだった。

「シエスタちゃん?」
「あ、ご、ごめんなさい。こちらです、どうぞ」

 一声かけると、慌てたように厨房の中へと入っていく。
 耕一もそれに続くと、食堂の中とは異質の喧騒が耕一を包んだ。

756 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 02:40:00 ID:zhfImoyy
支援

757 :ゼロのエルクゥ04 4/6 ◆yxbMPy6fic :2008/03/25(火) 02:40:32 ID:YpZeRX3d
 油が爆ぜる音。
 肉が焼ける音。
 水が沸き立つ音。
 食器の触れ合う音。
 人の怒鳴る声。
 せわしない足音。

 前に鶴来屋の厨房を覗いた時もこんな感じだった事を思い出す。それは外の絢爛さとは似ても似つかぬ、紛れもない労働の場だった。

「おう、お前が貴族どもの使い魔にされちまったっつー平民か。災難だったなあ」

 被っている縦長の白い帽子と服装からしてコックさんであろう、体格のいい男が近寄ってきて、バンバンと耕一の肩を叩いた。

「ど、どうも。あなたは?」
「ここの料理長をやってる、マルトーってんだ。よろしくな」
「柏木耕一と言います。すいません、突然押しかけて」
「なぁに、メシぐらいだったら幾らでも出してやるさ。味もわからねえ貴族のおぼっちゃん様方の貧しい舌に乗せられるぐらいなら、お前さんに食べてもらったほうが食材も幸せってもんだ。だっはっは!」

 人好きのする豪快な笑いをあげて、マルトーは力コブを作ってみせた。

「はは……ありがとうございます」
「いいってことよ。遠慮はいらねえから、ゆっくりしていきな」

 マルトーはひとしきり笑い、厨房の忙しさの中に戻っていった。

「じゃあコーイチさん、ここで待っていてくださいね。今お持ちします」

 片隅に置かれた粗末なテーブルと椅子に腰を下ろすと、すぐに温かそうなシチューとサラダ、パンが並べられる。
 食堂で見たきらびやかな料理とはまったく違うものだったが、耕一にとっては馴染みのある、素朴な装いだった。

「ありがとう、シエスタちゃん。じゃあ、いただきます」
「はい、どうぞ。では、私はお仕事に戻りますね。食べ終わった食器は、あちらの洗い場の人に渡してください」
「ああ、行ってらっしゃい。悪かったね」

 いえいえ、とシエスタは笑顔を浮かべ、食堂の方に戻っていった。

758 :ゼロのエルクゥ04 5/6 ◆yxbMPy6fic :2008/03/25(火) 02:41:36 ID:YpZeRX3d
「……あ、うまい」

 料理は、特に前の世界と違う味がするでもなく、むしろかなりおいしかった。
 唯一、サラダに含まれていた濃緑色の細い葉っぱだけは、千鶴さんの料理を彷彿とさせるようなとんでもない味がしたが、舌にエルクゥの力を込めると美味しくなったので些細な問題だった。

 食べ物がおいしい事は、とにもかくにも人の生活に活力を与える。
 平静であろうとしても、どこか不安に沈んでいた心が、少しだけ洗われた気がした。



「……今日は疲れたわ。私は寝るから、明日の朝は起こしてね」

 部屋に戻るなり、お風呂上がりの火照った頬で、ルイズはベッドに転がった。

「起こしてねって……何時ぐらいに起こせばいいんだ?」
「そうね……2時でお願い」

 学院内の5つの広場の一つ、ユミルの広場には、大きな日時計が設置されている。
 日の出である0時から日の入である12時まで。夏の間は15時ぐらいまで伸びるし、冬なら10時で日が沈む。春の今なら、2時とは、日本で言う朝の7時ごろに当たるだろうか。
 機械時計はないものの、時刻という概念はハルケギニアにも浸透しているようだった。

「あと、私を起こす前に、これとこれ、洗濯しておいてね」
「ちょ、うわっ! お、おい!」
「干すところはメイドに聞けばわかると思うわ」

 クローゼットから薄手のネグリジェを取り出し、制服と下着をおもむろに脱ぎ出して平然としているルイズに、耕一はさすがに焦った。

「ていうか、いきなり脱ぐなっ! お、俺は男だぞ!? はしたない!」
「使い魔のオスを気にするメイジがどこにいるのよ」
「っ……はぁ。やれやれ」

 取り付く島も無いと諦めた耕一は、着替えるルイズを極力見ないようにしながら、脱ぎ散らかされたそれらを拾い集めた。
 向こうがどう思っていようと、耕一は健康かつ健全な男だから気にするものだ。いくらその体型が、年相応より発育の遅めな少女のものであるといっても、直視できるようなものではない。

759 :ゼロのエルクゥ04 6/6 ◆yxbMPy6fic :2008/03/25(火) 02:42:38 ID:YpZeRX3d
 ……まあ、恋人が似たような体型なのが一つの理由であるというのは、彼の名誉の為に黙っておくべき事柄だろう。

「俺はロリコンじゃないぞ。誓って楓ちゃんだけだ。ホントだって。信じて。信じろコラ」
「どこに向かって何を言ってんのよ……」

 虚空に向かってブツブツ言い出した耕一を、アレな視線で眺めるルイズ。

「亜人だからしょうがないのかもしれないけど、恥をかくのは私なんだから、人前で変な行動は取らないでよね。じゃ、お休み」
「ん、お休み。ルイズちゃん」

 ルイズが布団を被って、ぱちん、と指を鳴らすと、テーブルの上や枕元に灯っていたランプが、ふっとかききえた。

「灯りも魔法か……便利なもんだな」

 ぎしり、と椅子をきしませて腕を組み、耕一は窓の外に目をやった。
 蒼紅の双月が、煌々と夜を照らしている。部屋の中には、微かな風の音とルイズの寝息だけが響いている。

 情緒はたっぷりだったが、先程言いつけられたお役目を思い出した耕一は、一つ嘆息して椅子に背を預け、目を閉じた。
 ルイズが起きる前に洗濯をしなければならないのなら、それより早く起きなければならないという事だ。1時間は見ておかなくてはならない。
 地上最強の生物、エルクゥであると同時に、必須科目以外の講義は極力1限に入れないようなぐーたら大学生であるところの耕一には、早起きなどというものは、三文の得でしかなかった。二束で。

 ……中世ファンタジー世界に来てまで、情緒を楽しむより時間に追われるとはなあ、などと埒も無い事を考えている内に、意識は眠りに吸い込まれていった。

760 :ゼロのエルクゥ ◆yxbMPy6fic :2008/03/25(火) 02:44:04 ID:YpZeRX3d
以上です。支援ありがとうございました。
楽しんでいただければ幸い。

761 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 02:44:05 ID:nsYX4iIR
>>750
クラウドですか・・・FF7から来たとしてマテリアmaxだと何持たしてるか作者のセンスが問われそうですね〜てかマテリア分裂しなかったけ?貴族ピンチw 個人的にはザイドリッツフルカウンター装備希望

762 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 02:54:11 ID:nsYX4iIR
ゆっくり書き込んでたら支援しそこねた・・・・・orz
乙です!

763 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 02:58:09 ID:WU+g/xAV
エルクゥの方乙でした。多重クロスならリーフファイトinタルブ温泉とか
ルミラとかショップねーちゃんとかティリアとかなら平気でハルケギニアに来てそうだし

764 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 03:02:51 ID:3ifM9dnG
複数の作品に登場するキャラって他にどんなのがいたかな。


765 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 03:04:07 ID:IJi2AVvh
乙!
で、ちょっと失礼。
アーマードコア・フォーアンサーが発売されたからSSでも書こうかと思っているんだが…
オリジナルキャラを登場させるか、それとも作中のリンクスを出すかどっちがいいと思う?
骨組みは何とかできているんだが…作中の連中がみんな濃い奴ばっかりだから迷ってorz
どうか、この哀れな奴にお恵みをお願いします。

766 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 03:07:08 ID:u5zFsyDq
>>765
オリジナルはキャラは止めておいた方が良い。

三次創作は荒れるモトなんでやるなら当たり障りのない避難所で御願いします。

767 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 03:07:42 ID:pToFW1uX
>>765
とりあえずsageて>>1を熟読して半年ROMれ

768 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 03:17:23 ID:906GDcfn
いっそのことアームズフォート呼んであたり一面コジマの海に…

769 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 03:24:43 ID:BBdLg/Cv
>>765
オリキャラを入れるなら理想郷に投稿しては?
あそこは前例としてフロト・ミッションのクロスでオリキャラ召喚SS有りますので・・・
ただし、あちらは無事に完結したので
別の意味でプレッシャーが来るかと・・・

770 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 03:43:43 ID:K7e3b/wk
ゼロの戦乙女にハマッた。
誰だか知らんが、作者がんばってくれ。

771 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 03:44:24 ID:6TWTDw6Y
スピリット・オブ・マザーウィルをだな

772 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 03:47:13 ID:wMN0REr2
ここは旧作に還ってナインボーを召還しようz

773 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 03:53:59 ID:6TWTDw6Y
どうせならラストレイヴン登場の全レイヴンを喚ぶとか…


エロイムエッサイム、我は求め訴えたり…

774 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 04:16:44 ID:GWyWsa1a
>>772
旧作ナインボールはなあ、デフォでエネルギー切れが起きない反則機体なんだぜ。

775 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 04:19:17 ID:6TWTDw6Y
ナインボール・セラフってヤツもいたよな、確か
今思えば可変式のACってあいつだけのような

776 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 04:30:38 ID:ML7sqVEO
なに?またロボ(笑)語っちゃってるの?

777 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 04:31:15 ID:906GDcfn
>>775
装甲落ちたり、パーツが外れたりして変わる奴は結構いるな。
ラストクラインのディソーダーとか3の飛行MTとかSLの重装甲MTとかラスボスとか…
4はよく知らないけど変形する奴いなかったっけ?

セラフはヤバかったなあ… 何回死んだことか。

778 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 04:47:41 ID:6TWTDw6Y
量産型メタルギアRAYの群を召還


779 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 04:50:57 ID:q6rUrtBy
>>778
良いセンスだ

780 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 04:52:25 ID:zhfImoyy
ロボットならドラクエのキラーマシンは?
あれならこっぱげでもメンテできそうだが

781 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 04:56:07 ID:u5zFsyDq
>>780
てかキラーマシンって何で動いているんだっけ?
V辺りで仲間になったような覚えもあるんだが。

782 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 05:21:34 ID:GWyWsa1a
魔王の魔力。
ダイ大では人間が搭乗して操作できるように改造されてたが。

783 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 05:30:52 ID:vruKuKos
つまり、召喚時点では全く動かないただのガラクタだが
ルイズとのコントラクト・サーヴァントで魔力が供給されて動き出すわけだな

784 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 05:32:48 ID:e4BhcQ5a
>>524-526
ちょい前のレスだが、某所で話してて指摘されたので
クリプトン人は太陽系の太陽の元でのみ超人になるので、ハルケギニアではただの人

ダメじゃん

785 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 05:37:33 ID:A6lGMhue
戦乙女はこの一文で怪しくなってきたな

>メルティーナなどはもうゴミを見るような目でシュヴルーズを見ている。

厨房が飛びつくエピソードにキャラヘイトを絡めたって感じ。
ここでシュヴルーズを必要以上に貶める意味が分からん。
厨房だからああいう教師は叩かれて当然という思考なんだろうかねぇ。

786 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 05:49:34 ID:knHCH9UB
速攻魔法発動!バーサーカースルー!
このカードはモンスターカードが出る限り、攻撃力1200以下のモンスターはスルー出来る!

787 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 06:16:25 ID:Uvn4sV8R
スルーの魔法もいいけど、こう、ルイズの爆破魔法みたいに
消し去ってしまえばベストだな!

788 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 06:31:27 ID:c488d+0O
>>765
まあオリキャラと言うのが「主人公」だったら「仕方無い」と思うけど
それ以外は、そっちも言うようにリンクス関係はFAってこれまでに無く「濃い」奴等だったし

…でも「コジマ粒子」どうするの?

789 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 06:39:03 ID:WU+g/xAV
>>773
レイブン、ホークマン、バルタン…オウガバトルか懐かしいな
ここはタバサにカノープス(46歳)召喚させてエギンハイム村に出張するんですね

790 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 07:16:00 ID:MJ6gbhJc
>>764
パーマン。

791 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 07:32:55 ID:RWdETKRh
ダイゴ呼ぼうぜ

792 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 07:57:47 ID:ZqqtQDUO
>>765
主人公は一切語ってないからどうしてもオリになるよなぁ。
>>788
有澤重工社長ならPAに頼らないし、武器もグレオンだから大丈夫じゃないか?(コジマ的な意味で)
あれ?ノーマルでも別に大差ない…

793 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 08:33:47 ID:UO0a4MS9
ヘラクレスの栄光IIIみたく、一切喋らない主人公(仲間に無口と評されていた)を持ってくるのも手かもな。
エンディング中の彼なら本名も発覚してるから一応名乗れるし。

794 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 08:54:28 ID:c3ONaLXb
あとは、小説が出版されてたら、そこから名前を持ってくる、と言うのも手ですな。
ドラクエVの主人公はそう言う手法をとってた・・・・・・よね?

795 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 09:14:14 ID:WU+g/xAV
真・女神転生も小説化されてたと思うがカオスヒーローの名前なんだったけ?
いやいや、ワルオじゃないから

796 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 09:42:47 ID:BBdLg/Cv
>>780
キラーマシンか・・・
たしか、コイツの誕生秘話はややこしかった記憶がありますね。
なんせ流れが5⇒3⇒2でしたから

DQ3で劣勢になったゾーマが新しい魔物を召喚しょうとして魔法陣を試行錯誤して呼び出したのが
未知の魔界(後のDQ5)から呼びだされた『未完成』のキラーマシンで
コイツを完成させようとするが勇者ロトにゾーマが滅ぼされて
残った残党がDQ2の大陸の某所に隠して
バーゴン一味が見つけるまで眠りにつくと言うお話でした

・・・ヨクサビナカッタナ(・_・;)

797 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 10:24:59 ID:358OrPf2
>>713
ワロタwこういう小ネタでの複数作品の共演は面白いね。
4番目にぬけさく先生が出てくるとは思わなんだw

798 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 10:25:17 ID:FXxcSoMc
DQ7のエリーを召喚

「ルイズ…ゲンキナイ…スープ…ツクル…」
無限ループ

799 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 11:31:55 ID:tpAJ/aDl
DQ2のローレシアの王子を召喚。
三人がかりだったとはいえ神殺しの英雄だし、すべての武具を装備できるという特性は
ガンダールブの能力と相性がいい。力の盾を持たせるとどうやっても倒せないキャラになるな・・・。

800 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 11:35:55 ID:uS+zKrnc
>>799
破壊神を破壊した男

801 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 11:36:43 ID:358OrPf2
ネカマ作戦記から甑ヴァカ葉さんを召喚・・・これしかない・・・る

802 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 11:39:52 ID:p9IuJ5AG
>>799
7万の軍勢にメガ……いえなんでもないです

803 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 11:40:26 ID:GQhPCyoC
サマルwww

804 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 11:41:03 ID:p9IuJ5AG
>>802
とと、ぼけてた、これサマルだった

805 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 11:41:06 ID:zDgP0IRi
>>802
それローレシアの王子じゃなくてサマルトリアの王子

806 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 11:43:30 ID:tpAJ/aDl
>>799
呪文の効果範囲はどうなるんだろうなw

807 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 11:44:36 ID:tpAJ/aDl
>>806のレスは>>802あて

808 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 11:45:09 ID:xl74KZeX
>>799
サマルトリアの王子のが面白そう
召還の爆発で死亡、ルーンが刻まれる痛みで死亡、
ギーシュ戦で集中攻撃されて死亡、ゴーレムの痛恨の一撃をもらって死亡……etcetc
デルフは重すぎて装備できず

ルイズ「どうしてアンタが私の使い魔なのよ! ローレシアの王子なら良かったのに!」
サマル「ルイズちゃん…ぼくは…」

最後にアルビオンの軍勢に向かってメガンテで終了

809 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 11:45:57 ID:xl74KZeX
>>802
ゴメン被った

810 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 11:47:34 ID:6r5pK/mm
神殺しといえば彼。

つ[キリコ・キュービィー元曹長]

811 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 11:55:27 ID:c3ONaLXb
>808

どこでローレシア王子を知ったルイズw

812 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 11:55:45 ID:VOa6JZNK
魔界塔士の面々も神殺し
あらゆる武器を使いこなす人間に
癖の強い魔法や、強力な魔道書でルイズのコンプレックスを悪化させるエスパー
色んなモノ食って色んな姿に変身するモンスター
個人的にモンスター召喚が一番面白そう

813 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 11:59:49 ID:K8vz1TvA
>>812
親子で召喚したけど名前無かったから小ネタでやめたんだ〜

814 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 12:01:19 ID:+bgl8k/x
サマルは隼を呪わせると強いな
あとあいつ大器晩成だから後半から能力伸びだしたはず

815 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 12:05:02 ID:c3ONaLXb
814
それはSFC版やGB版の話では?
初代のFC版はメガンテのためだけに存在するそうだけど。

816 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 12:06:26 ID:VOa6JZNK
>>813
決まった名前無くてキャラの個性も薄いのが一番の問題か……

817 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 12:10:22 ID:GQhPCyoC
デルフがチェーンソーになりそうだな

818 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 12:20:25 ID:ruNUhZ9L
>>808

召喚したはずの使い魔が見つからずに必死に探しまくるルイズ
ようやく見つけたと思ったら
「やあ、ようやくあえましたね」

殺意沸き起こりそう


819 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 12:21:58 ID:MJ6gbhJc
>>817
聖地に着いたらブリミルがいて、
「わたしが つくった そうだいな ストーリーの ゲームです!」

820 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 12:29:47 ID:iplwSOxE
何かお前等変だぞ。
ムーンブルクとサマルは ゼロ魔世界的に見れば、
立派な 異国の貴族/王族扱いしてもらえるが

ローレシアは自称王族の平民扱いになるぞ。

821 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 12:29:54 ID:R4sy9KD7
>>818
宿屋の一室が爆発w

822 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 12:30:01 ID:358OrPf2
>>810
死なない使い魔かw見てみたいなぁ。
赫奕たる異端のマーティアル事変後からの召喚になるのかな?
レッドショルダー訓練基地のリンチばりにワルキューレに一度フルボッコにされるんだろなとか妄想してしまうよ。

823 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 12:33:50 ID:kFIbKmw5
>>816
キャラとしての個性は充分にある気がする
連中のアウトローっぷりは凄まじいし
召喚しても「おれたちは モノじゃない!」と反逆するだろうなあ……

824 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 12:48:26 ID:Eyff/OR7
失礼を承知で聞きます。
既に他のサイトに二重に投稿しているのですが、双方とも二重投稿は許可されています。
ではここに三重目となる投稿をして良いのでしょうか?
マナー違反、管理人様に失礼というのであればしません。よろしければ、その点について教えて頂けないでしょうか?

825 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 12:52:44 ID:pToFW1uX
>>824
とりあえずsageろ
話はそれからだ


826 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 12:52:45 ID:3JClXpZF
>>824
3つめを投稿すると投稿済みの2つのサイトの規約に違反するんじゃね?

827 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 12:53:46 ID:Vw+gy/IN
ageてるし二重投稿だの言う奴はいらない

828 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 12:54:04 ID:pToFW1uX
何でこう頭の中が春なやつばかりやってくるんだよ……

829 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 12:54:34 ID:x0y11x6x
>>824
二度と来ない方が良いんじゃないかな?

830 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 13:00:45 ID:Vw+gy/IN
ここに載せたら他の投稿場所も捜しだされて荒らしがわくかもな
三重投稿てそんなに感想欲しいんかねぇ・・・

831 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 13:04:27 ID:pToFW1uX
そういやそろそろ小学校も春休みか

832 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 13:04:58 ID:ruNUhZ9L
>>830
欲しいです
はっきり言って投下した以上は感想がめがっさ欲しいです
自分が投下したものがどんな評価されてるのか切に知りたいです
でんでんうけなくて無視されたりしたらきっと泣いちゃいます
貴方も投下してみればこの気持ち、きっと判るでしょう

>>824
でもまあ三重投稿は控えたが良いかと

833 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 13:05:19 ID:Eyff/OR7
824です。
やはり失礼ですね。もうこのようなことはしません。
答えてくださった方々、ありがとうございました。

834 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 13:07:26 ID:+MnTfbvw
sageる事すら出来ん馬鹿者には二重云々以前にここに来る資格無し

835 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 13:10:36 ID:c488d+0O
>>792
いや、ネクスト用ジェネレーター自体コジマ技術の産物で
OBやPA以外にQB使用時もコジマ粒子を撒き散らすので
まあ「ハルキゲニアの生物は元々コジマ粒子に高い抵抗力を持つ遺伝情報を持ってた」で済みますが
放射線に対する抵抗力だって個人差ありますし

836 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 13:16:26 ID:pToFW1uX
結局sageなかったか

837 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 13:16:55 ID:Lz7lawiX
7万の軍勢にメガン〜・・・
ロト紋のタルキンを思い出した・・・向こうは10万だったが。

838 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 13:17:12 ID:358OrPf2
>>833
ちょっと興味があるのだけど、クロス先の作品は何ですかな?
北斗の拳とかだったら是非見てみたいんだが・・・

839 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 13:21:44 ID:NTlNfZBI
>>811
そこはほら、

( ´・ω・)っ【召喚されし任天堂ファミリーコンピューター】

840 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 13:31:30 ID:pToFW1uX
そういやシチュエーション似てるな

才人vsアルビオン軍&洗脳された連合軍の計7万人と
勇者(最初は一人)vs10万の獣兵団
お偉いさんの命令で戦いに赴いたのも同じか

841 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 13:39:28 ID:358OrPf2
>>832
>自分が投下したものがどんな評価されてるのか切に知りたいです
ちょっと考えさせらる言葉だな…。
全く別のSSスレでの話なんだが、自分の好きなSSを書く人が居て
いつもその人の新作が投稿されるのを楽しみにしてたんだが、
その人は凄く感想を欲しがっていて俺もちょくちょく感想を送っていたんだけど、
でもある時期からもっぱら読むばかりに徹して感想レスは送らなくなったんだ。(毎回感想考えるのが面倒臭かったからね)

今思えばそれが原因だったのかもしれないけど、
ほどなくしてその人の投稿が無くなってしまって気になる作品の続きも読めなくなってしまったんだよな。

842 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 13:40:47 ID:+bgl8k/x
クリフトとか
ギーシュにザラキ連発

843 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 13:48:51 ID:vsAiBb+r
>>785
実際にゴミなんだから仕方ない。

自分で煽って騒ぎを起こし、生徒がそれに乗って騒いだら罰するという自作自演をしてまで生徒を傷付けてるんだし。
そしてまともな感性を持った奴が不快感を感じても当然。

不快な行動に不快だと感じただけでヘイトだとか、アホかバカかと。

844 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 13:49:49 ID:tpAJ/aDl
クリフトは ザラキを となえた!
ギーシュAの いきのねをとめた!

845 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 13:54:23 ID:GJe8uXt/
ザラキがワルキューレに聞いたらぱたぱた倒れて土に戻っていくんだろうか

個人的にはクリフトだけよりアリーナ達サントハイム組3人まとめて呼んだ方が面白そうだと思う

846 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 13:55:29 ID:F59T4z4f
>>843
お前、もう少し常識的な思考を持てよw
ミセス・シュヴルーズは至極真っ当な人間だぞ?
ルイズがゼロと知らないからこその発言だったんだし、それで変わった使い魔を見つけたら何か言うのはおかしくないだろ
周りが悪意を持っていたらそれをしかる程度の良識は持っている
平民上がりの騎士になったサイトに対して数少ない優しい教師でもあった

847 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 13:58:40 ID:llDcUeKP
まとめ読んで来たんだけど
女神転生のやつってどれも完結してないのね…
鬼門ですか?

848 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 13:59:46 ID:llDcUeKP
>>846
それぞれのSS書き手によって違う捉え方があるということだ、
気にしないで普通に読め

849 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:02:21 ID:358OrPf2
>>846
少なくともギトー先生よりはずっとマトモな先生だとは思うけどね。
シュヴルーズはなんたってオスマンがお尻を触っても怒らないしw

850 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:03:00 ID:wNztETgG
>>846
かまって欲しいだけのやつなんだからスルーしろw

851 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:03:51 ID:SPaf2Wf9
>>844
ギーシュ何人居るんだwww

852 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:06:13 ID:e1RNxTaN
王家と親戚関係にあるほど、国でも有数の大貴族であるヴァリエール公爵家の息女。
そして貴族でありながら魔法を使えないという前代未聞の存在。

同じ学校にいながら、それを知らないって有り得るの?
もし本当に知らないとしたら、それこそ教師失格だな。

ちなみに、シュヴルーズは顔を見ただけでルイズの名前が分かっているし、
ルイズが非常に勉強熱心であることも知っている。
なのに魔法を使えないこと”だけ”知らないの?
不思議だね。


変わった使い魔を召喚したと、”とぼけた声”で言ってる辺り、からかう意図はあったと思うがな。

853 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:06:58 ID:K8vz1TvA
>>847
むしろ全体的に完結している作品が珍しいと思われ

854 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:08:45 ID:LC0Xefr6
824です。sageの意味もわからずやってました。すみません。
>>838
興味がない作品だと悪いのですが、クロス先の作品はスパロボです。


855 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:09:54 ID:wNztETgG
大貴族だからって特別扱いするのは教師としてどうなのか
いじられキャラをいじっただけでごみ扱いされるのはどうなのか

ふぅ

856 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:11:02 ID:v4jrwCCE
>メルティーナなどはもうゴミを見るような目でシュヴルーズを見ている。

メルティーナはこういう思考するやつだと思うんで、相変わらずの性格だなーと思ってたんだが、みんなは違うのか。

857 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:11:06 ID:0C7Xiyqv
もしなのはクロスで盗作やらかした奴なら帰れ(・∀・)

858 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:13:59 ID:LucixDng
もし違っていたのら非常に申し訳ないが、
盗作やっちゃってるんならそれ以降、ネット上には作品を発表できる場所ないぞ

859 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:14:23 ID:gxMdguX3
しっかし、まあここもなのはスレも読んでいる者としては、感想クレクレ野郎と言い、盗作野郎と言い、それどころか、sageないで書きながら投下orめがっさ短い量しか投下しない野郎と言い、春めいているのは十分分かっているが……
その、何だ、まとめて回線切って首吊って死んでこい。


860 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:16:51 ID:wNztETgG
通報しました

861 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:18:07 ID:UO0a4MS9
>>815
ファミコン版でもサマルは大器晩成。といっても限度はあるが。
FC版もSFC版も、能力値はレベルに応じて固定で、ランダム要素は3以降のみだし、
FCとSFC版で能力値に差はなかった。

…SFC版では装備が優遇されてるからそれなりにつかえるんだけどな。

862 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:18:47 ID:mL1pw7qh
>>859
”スパロボ”という単語だけで盗作野郎と断定してるお前みたいな馬鹿こそ死ぬべきだと思う。

863 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:20:26 ID:358OrPf2
>>854
ありがとう!スパロボかぁ…
シリーズは一度もやった事無いからあまり興味は無いかもだ、スマンだよ。

864 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:21:29 ID:GJe8uXt/
>>862
単に煽りたいだけの馬鹿は精神病院に帰れよ

865 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:24:56 ID:eQXZFU3P
>>855
生徒が大貴族だからって特別扱いしないことと、
生徒が大貴族だと把握してないこと、全く別問題だな。


>いじられキャラをいじっただけ

まさしく苛める側の論理、ゴミの論理。
シュヴルーズはどうだか分からないけど、少なくとも君の考え方はゴミだな。

866 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:26:36 ID:V6gLgIuo
>>864
君も>>859と一緒に帰った方がいい。

867 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:28:45 ID:RfUTOvdi
初めて書いた駄文のプロローグのみでゼロ使キャラが最後しか出て来ませんがこの空気で投下してみても良いですか?

868 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:29:15 ID:jgF259+U
>>852
ある意味そこが矛盾してるような
魔法が使えないことを知ってるくらいなら、けっこうな威力の爆発を起こす事だって知ってる筈なんだが

869 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:32:13 ID:jgF259+U
>>867
まあ一応作品名と召喚されるキャラの名前を

870 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:33:00 ID:+MnTfbvw
悪人じゃないが教職には致命的に迂闊
それでいいんじゃないか?評価としては

871 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:33:34 ID:RfUTOvdi
自由人HEROでナンバーワンs
です

872 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:34:59 ID:358OrPf2
>>871
うおっ、アーミン先生作品から召喚かw
遠慮なく投下してくれ!

873 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:37:41 ID:jgF259+U
>>870
多分そうなんだろーね
ルイズに関しても、魔法が全く使えないなんて思ってなかったんだろうと思う
やや失敗が多い程度としか認識してなかったんじゃ
>>871
よっしゃカモーン

874 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:41:15 ID:bd8Rh6NB
シンタロー、タイガー、バード、サクラ、リュウ、キリー、クラーケンだっけ?

875 :自由人ZERO:2008/03/25(火) 14:41:25 ID:y5hlBMQV
では、もう一度言います
駄文です、ゼロ使キャラはラストにチラッとしか出ません
それでも良ければ・・・
自由人ZERO

〜Prologue〜

冥界との戦いが終結して少しの時が流れ世界は今平和に…

そしてある日三人の兄たちはヒーローに会いに来ていた
[自由人宅]
「義父さーん、ヒーローに会いに来ましたよー」
「はっはっは、アンタ俺よりもかなり年上なんだからその『義父さん』ての正直止めてほしいんだけど…
というか前開いてるぞ」
実はパンツも穿いてないのだが、それについては自分もナマ装備だからなのか全く触れる気配は無い。
「ああ失敬失敬」
そう言いながら乱世はチャックを閉め始めた
「しっかし、いつもながらクソ狭い洞穴だよなぁ〜。で?ヒーローはどこだよオッサン」
そんな兄に慣れているせいか諦めたのかあの日のように「いいからパンツをはけ」という言葉は出ない
というか兄を見ていない
「貴様は礼儀ってモンを知らんのか?というか家具を蹴るな!シメるぞヤンキー!」
《君も変わらないねぇ申し訳ないけどヒーローは今出掛けているんだ》
度重なる無礼にシンタローは頭に血がのぼっているせいか言葉と考えていることが逆転している
「逆ですよ…」
と、いきなりシンタローの後ろから声をかける忍
「うっわ!驚いた、いつからいたんだよ!?」
「最初からいましたよ……ホラ『三人の兄たち』って書いてあるじゃないですか………ねぇ?」
なぜか最後の「ねぇ?」の時に誰もいない所に目を向ける忍
「おーい忍、兄ちゃんたちには分からないから、見えない人に話を振るのは止めなさい」
「ハァ…ヒーローなら日課の見回りに行ってるけど、今日は何の用ですか?」
そんな掛け合いがしばらく続き、いい加減にツッコミ疲れたのか話を戻すシンタロー
「いやね、なんか今朝から『七世界のナンバーワンの次々と気配が消えてる』ってガマ吉が言ってたんで」
「それでヒーローが心配になって様子を見に来たと」


876 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:42:16 ID:y5hlBMQV
シンタローは都合によりカットしました

877 :自由人ZERO:2008/03/25(火) 14:44:02 ID:y5hlBMQV
〜そのころのヒーロー〜
「あら、ヒーローちゃん今日も見回り?」
「こんにちは、今は平和だけどナニが起こるか判んないからこれは続けてるんだぞー」
「ヒーローちゃんはえらいわねぇ〜、そういえばさっきヒーローちゃんのお家の方に怪しい三人組みが歩いて行ったわよ」
「怪しい三人組?」
少し考え込むヒーロー
「心当りが多すぎだぞー…その三人組みってどんなやつらだったんだーァ?」
「えーとね…前を開けっぱなしのタンクトップと…」
「いや、もうわかったぞー…多分乱世達だ…」
「お知り合い?」
「うん、ヒーローのニーニ達だぞーォ」
「そうだったの、じゃあ早く会いに行ってあげなきゃね」
「ウン、またね小母さん」
「またね、ヒーローちゃん」
小母さんたちとの井戸端会議を終えてヒーローは家に戻ってみる事にした
          チェンジ
「それじゃあ急ぐぞー、変身!!」

878 :自由人ZERO:2008/03/25(火) 14:47:45 ID:y5hlBMQV
[自由人宅]
「なるほどねぇ…確かにそりゃ変だ、戦いの痕跡も無くナンバーワンが居なくなるなんて……ッツ!!
ヒーローの気配だ!」
と、家(洞穴)の外に飛び出すシンタロー
「アンタ…そんなモンいつの間に身に着けたんだ…」
「愛のなせる業だ」
「愛て…おわっ!ほんとに来た」
見るとものすごいスピードでヒーローが飛んでくる
「さあヒーロー、パーパの胸に飛び込んでおいで」
鼻血をボタボタと垂らしながら待ち構えるシンタロー

と、ヒーローの目の前に光り輝く何かが出現した
ヒーローはあわてて止まろうとするが…時すでに遅し、変身していた為か勢いを殺しきれずにそれに飛び込んでしまう
そしてその謎の物体は・・・消えた。

・・・バビュッ
ドサリ
「忍にーちゃんがまた手首切ったー!!」
「いや!それよりもヒーローが!!」
「ヒィィィィィロォォォォォォォォーーーーーーー!!」

いや…一部では平和にはなっていなかった…


「うん…?ここは何処だぁー?」
気付いてみるとヒーローは土煙の中にいた、まったく見えないと言う訳では無いがごく近くしか見えない

ふと辺りを見回して見ると桃色の髪の女の子が目に入った
その女の子は良く分からない言葉で何かを唱え
いきなりヒーローに駆け寄って来て

ヒーローは

唇を…奪われた

〜Prologue Fin〜

初投稿後って色々考えます…
自分の文章力、表現力の無さとか…

879 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:49:37 ID:358OrPf2
支援ほいほい

880 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:49:48 ID:RfUTOvdi
批判バッチコーイ!!

881 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:50:17 ID:U8nEBuMs
>858
いや そんなことは無い
エヴァ界には

>「ANGEL、すごいですね。「AuroraApostle」まんまのパクリですか?」
>「あたり!やっぱりわかりやすいですかね?」

で神になった作者が居る

882 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:54:41 ID:jgF259+U
投下乙です
>自分の文章力、表現力の無さとか…
まあその辺はプロの作品やこのスレの他作品なんかを参考にしていけばいいんじゃないかと

883 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:56:58 ID:RfUTOvdi
実はヒーローだけにしようかとして途中で
『オッサンにアレ言わせたいなぁ』
『じゃあツッコミも入れとか無いと』
『コイツにはコイツ当てたいなぁ』とか考えてたらいつの間にかナンバーワンsに…orz

884 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 14:59:53 ID:358OrPf2
乙乙!
柴田あみ先生って今でもちゃんと漫画描いてるのかなw
最後に見たのがファミ通の本筋脱線漫画だった記憶が…

885 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 15:02:25 ID:c488d+0O
>>854
別にこのスレに投稿しなくても、避難所に投稿すれば良い
…と言うか「どう言う出来なのか」が分からないのは、投稿したのって何処?

886 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 15:03:00 ID:RfUTOvdi
あれ?骨組み見てたら完全にデルフが空気になってる…

887 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 15:04:12 ID:c3ONaLXb
>884

Gファンタジーとかで連載中みたいだよ。

888 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 15:05:24 ID:iO/zdDFp
>884
今はエニックスのGファンタジーでカミヨミという明治時代を舞台にした伝奇物描いてます
パプワ続編は先月終わりましたけど
しかしまあ乱世やシンタロー達がらしいわw
いっそ乱世召喚させりゃ良かったのに
チャック開きっぱなしでルイズ驚愕、キュルケ生唾ごっくんとw

889 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 15:07:34 ID:9uumvmaL
ゼロ魔世界でも酷い目に遭うだろうバードに泣いた

890 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 15:12:07 ID:RfUTOvdi
>>888
そうだ…バシュラ折れたから適当な刀持たせりゃ命削られないんだった…orz

891 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 15:29:52 ID:R4sy9KD7
キュルケはヒーローを誘……わないだろうな流石に。自由人状態じゃ…
超人か天帝になってからなら別だろうけど。

892 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 15:29:56 ID:jgF259+U
>>889
恋人と引き離されてしまったキリーの事も忘れないでやって下さい
クラーケンやリュウにサクラといった癖が強い連中召喚した連中もかなり気の毒だがw

893 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 15:30:41 ID:358OrPf2
>>887-888
なるほどー…情報サンクス!
フェミ通のせいで脱線漫画家な印象のある人だったけど、
ちゃんと長編ものも描ける人だったんだね。

894 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 16:22:06 ID:bd8Rh6NB
バードが不幸になるためのお約束ギャグとして「惚れた美少女が実はオカマ」をハルケギニア人相手にもやるんだろうか

895 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 16:28:53 ID:v4jrwCCE
パーパ召喚の場合・・・

ギーシュとの決闘、広場への道を間違えて不戦敗
7万の軍勢に向かおうとして、道を間違えて見当違いの場所に・・・結果止められない

896 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 16:36:34 ID:l160R5gb
スパロボですでに2重投稿・・・
もしやあれか・・・

897 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 16:38:13 ID:3bZWTk6I
>>895
パーパっつかシンタローだったらギーシュはともかく、
七万(アルビオン&洗脳ゲルマニア、トリステイン連合軍)だったら
ロンディニアのクロムウェルへたどり着いてかく乱の方だろうJK。

898 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 16:46:54 ID:Bzr8G8hs
パーパがバーバに見えてバーバパパ召喚かと思ったぞ

899 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 16:50:06 ID:c3ONaLXb
バーバパパかー。
どんな形にでもなれるのはいいとして、戦闘力あるのか、あの謎生物。
火の魔法とか喰らったらあっという間に蒸発して消えそうなんだけどw



900 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 16:53:13 ID:c3ONaLXb
って、Wikipedia見てみたら、あれっておばけなのか(最初の本が「おばけのバーバパパ」)
タバサの苦手分野だな。

でもって卵で生まれる・・・・・・ってオバQ?


901 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 16:55:26 ID:PsgyktwE
>>848
>>846は普通に読んだ結果の彼なりの、そして多くの読者が共感するであろう常識的な捉え方だろ?
それに対して「普通に読め」なんて言ってるあたり、>>848は何様のつもりなんだ?
ああ、>>843の困ったちゃんかw

902 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 16:56:30 ID:c3ONaLXb
480kb超えたんで新スレ立てますよー。

903 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 16:57:24 ID:yvQGteNk
バーバパパなんてコマーシャルで見かけたくらいでよく分からないんですが……
一見弱そうで強い謎生物? 
……デモンベインでアルがベッドにしていたショゴス・ダンセイニはナイアさんから九朔を守ったナイスガイだが、残念ながらスレ違い。
DQM+からクリオがつれていたスライムの誰か……とか。

904 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 16:58:22 ID:ROJiIZ0D
500kbなら妖怪人間ベム召喚

905 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 16:58:44 ID:c3ONaLXb
立てましたー。

あの作品のキャラがルイズに召喚されました part124
http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/anichara/1206431878/l50

はてさて、500kbが先か1000レスが先か。

906 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 17:05:36 ID:c3ONaLXb
>903
デモベはスレ違いじゃないぞ?
・・・ってそう言えばダンセイニ卿は呼ばれてないな。
バーバパパ対ダンセイニ卿、二大軟体生物対決とか。

907 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 17:18:36 ID:U8nEBuMs
ホルグルゥ

あれ軟体生物だっけ

908 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 17:26:24 ID:v4jrwCCE
そういえばヒーローって何気に既婚者。
そしてパーパは本当は未婚・・・

909 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 17:29:45 ID:c3ONaLXb
あと軟体生物と言えば・・・

「鉄腕バーディー」の不定形生物バチルスか。

910 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 17:35:50 ID:358OrPf2
>>905乙!!
埋めついでに、「こんな使い魔見てみたい!」を貼ってみるよ。

キテレツ大百科のコロスケ・・・ガンダ補正+デルフ装備で我輩NARYYYYY!!
地獄先生ぬ〜べ〜の鵺野鳴介・・・神の左手ならぬ鬼の左手w
となりのトトロから大トトロ・・・ルイズの大きくなあれ踊りを見てみたいw
エイリアンシリーズから成体エイリアン・・・命がけのコントラクト・サーヴァントキッス…ガクガクブルブル

911 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 17:41:43 ID:ROJiIZ0D
キテレツ大百科なら、書物『奇天烈大百科』と神通鏡をセット召喚が面白そう

912 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 17:42:28 ID:Gh9ri4Ll
>910
クライマックスではネコバスで容態急変したカトレア姉様に会いに行くんだな

913 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 17:42:50 ID:8BU+Hkln
>>910
ルイズの(胸が)大きくなあれ踊りと申したか!

914 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 17:45:38 ID:x8Cy3sLb
>>913
左様。
>>910
小ネタでエイリアンの卵が喚ばれてたような?バッドエンドだけど…………。
あとプレデター召喚の長編が避難所で連載中だな。どっちも面白いと思うよ。

915 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 17:48:05 ID:no+SmolV
ギルティギアからファウストを希望してみる
タイトルはゼロの刺激的絶命拳で
具体的内容は俺のテレパシーを感じてくれ

……まあ真面目な話、魔法に頼らない腕のいい医者は需要あると思う
ちいねえさまやらタバサママがらみで

916 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 17:49:41 ID:MJ6gbhJc
>>911
妙なこだわりだが、アイテム系は宝物庫やタルブにあって欲しい。

というわけで召喚されるのはキテレツで、学院の宝物庫にあるのがコロスケで、
タルブの村に大百科の写本があって、キテレツと出会ったコルベール先生狂喜乱舞の図とか。
時系列のズレは航時機のトラブルってことでウヤムヤにしてしまう。

917 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 17:53:27 ID:ZZmjfjUo
>>915
あえてボルドヘッド時代のファウスト先生をだな

918 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 17:56:45 ID:duZq64y2
スーパーマンからクラーク・ケント、とか言ってみる
実写だから駄目なのか? 原作は一応アメコミだから有りかなとか思ったんだが

919 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 17:58:52 ID:6xPybRp9
>>918
太陽系以外は無力と何度言ったら(ry
いや、能力がない状態でどう戦うかってのを書いてみたけりゃ止めはせんが。

920 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 17:59:47 ID:r8CS6JKP
>>918
>スーパーマンからクラーク・ケント、とか言ってみる

おいおい、実写云々以前のスレ死亡フラグだぞそりわ。
お米の国の版権管理は冗談抜きにキッツイんだから。

921 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 18:02:55 ID:v4jrwCCE
優秀な医者を呼ぶというのも・・・書きづらいが、上手くやれば面白そうだ。

仁から南方仁とか
ブラックジャックもいいかもしれん


922 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 18:05:21 ID:ROJiIZ0D
手塚先生系なら、マグマ大使とか百鬼丸とか・・・あと写楽にレオも捨てがたい

923 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 18:09:50 ID:RfUTOvdi
百鬼丸も良いな
あとトン子

924 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 18:12:44 ID:dvZ+iWiy
手塚ならドクターキリコ召喚。
カトレアやタバサママンに「眠りながら心臓が止まる薬」を………

925 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 18:13:33 ID:358OrPf2
医者モノならスーパードクターKのK先生を忘れちゃいかんyo
脳溢血のオスマン氏、実験中の事故で重症のコルベール先生、
過労で胆石のマザリーニ、危篤状態のウェールズ皇子…皆まとめて神のメスで救済青汁。
クライマックスはちぃ姉さまのオペでめでたし×2

>>914
情報サンクス!探してみるよ!

926 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 18:14:36 ID:v4jrwCCE
キリコ、だめーーー!!

・・・いや、あの人助けられるなら助けるでしょ。

927 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 18:16:35 ID:ZZmjfjUo
流石のキリコも助けられる可能性のある人を安楽死はさせんと思うよ

928 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 18:18:15 ID:ekH2DkIX
ここでドクターメフィストを(ry
悪党は臓器採取用のパーツにすぎません

929 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 18:21:58 ID:O92+8okq
モヒカン先生なら針1本で
カトレアさんもタバサママも完治させるに違いない

930 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 18:22:53 ID:v4jrwCCE
何気に思いついた医者ネタ、食いつきいいなあ。

ならば、ふらんはどうだ?
シグルイと同誌で連載のあれだ

931 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 18:23:32 ID:9EvV33KR
ドクターならDBのDr.ゲロやマジンガーのDr.ヘルやDr.マリオを

932 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 18:28:01 ID:jgF259+U
しかしお医者さん召喚もやはり医療に関しての知識が無いと書けんだろーな

933 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 18:39:06 ID:U8nEBuMs
医者じゃないけど薬師で丁度いいのがいるじゃん
「魔法薬売りのマレア」のブラコンマゾ妹魔法薬師のマレア

934 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 18:41:11 ID:Gh9ri4Ll
>930
水の魔法と組み合わせたら効果絶大になりそうだしな
縫合した端から秘薬と魔法で傷ふさいでいけばペニシリンがないくらいの状況ならひっくり返していけそうだし

935 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 18:55:34 ID:Gm/ftfqB
エルククゥな作者の方へ。
4巻P82にアルビオン兵からの分捕り品である時計
6巻P49、ルイズの姉エレオノールが懐中時計を
と記述がありますので、機械式か魔法式かは不明ですが
携帯型の時計はあるようです。
かなりの高級品かもしれませんが。


なお、観察者の目から見ればないと思うかもしれないので、
修正の必要自体は無いと思います。
ちなみに作者参考図書の三銃士には柱時計が出てきます。

936 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 19:06:15 ID:Cidm+GJh
>>905乙。

500kbならアイドルマスターの如月千早を召喚。

937 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 19:13:28 ID:YKfiq/SW
>>918
無敵と思わせておいて、スリーピングクラウドで速攻眠ったり洗脳されて大変な事になるんですね。
分かります。

938 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 19:17:45 ID:RWdETKRh
改造人間にすれば病気も治るんじゃね

939 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 19:27:26 ID:MJ6gbhJc
>>920
と言いつつ洋画からは結構召喚されてる罠。
あと、掲示板の投稿に版権もへったくれもなかろう。
問題があるとすれば著作権だが、ノベライズ版を翻訳して引き写し、
なんてことをしなければ大丈夫じゃね?

940 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 19:28:30 ID:TDQnobj4
無敵ならEVER17キュレイ感染者

941 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 19:38:34 ID:8BU+Hkln
>>918
過去スレかどっかで
スーパーマンは魔法だか魔力だかにめちゃ弱いとか言ってたような気が……

942 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 19:43:54 ID:+BvZYVJL
489kb

943 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 19:48:24 ID:RWdETKRh
じゃあスーパー1呼ぼうぜ

944 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 19:49:40 ID:GNa/hkqK
いやXライダーだろ

945 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 19:49:54 ID:tnm7SAC3
ヴェノム予防ぜ

946 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 20:01:15 ID:358OrPf2
仮面ライダー系はV3以外にも結構召喚されてるんだね。
555が好きだったから、巧の話の続きが気になるんだがどうも打ち切りっぽい…。
大地の精霊と仲良しのJが呼ばれたらルイズは土属性専属コース行きかなw
精霊といえばプリキュアスプラッシュスターのメンツも精霊と仲良しだったような。

947 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 20:01:25 ID:FJc5ft+q
ヴェノムかー…個人的にはかなり好きなキャラだから何とかしたいなぁ…
ここでカーネイジとかベン・ライリーとか言っちゃ流石にまずいか。

948 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 20:03:29 ID:HjTTiUaw
カーネイジ……


NO FUTURE

T260Gを呼ぶのか

949 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 20:07:42 ID:+JEryc72
>>940 紫外線に弱いから昼間は着ぐるみじゃなきゃ外に出られないぜ。
月海なら契約の時ルイズはり倒しそうだ。でも母性本能強いからな。で、大怪我負ったルイズに輸血してルイズも半キュレイ化。

950 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 20:11:45 ID:GNa/hkqK
ガレリアンズのレオン召喚してクレー

951 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 20:13:47 ID:R4sy9KD7
アギトの黒い青年召喚してみたり

952 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 20:13:53 ID:HW/Q5sJJ
剣の聖女がいるのに、アシュレーが召喚されていないのは何故なのか。
ただの平民と思わせておいて、フォースアビリティという特殊能力を持ち、ARMというコルベール先生対策を持ち、特撮好きな大きなお友達を満足させるナイトブレイザーでもある。
……ちなみに、マリナがいないのでバッドエンドフラグも立ってますけど。

953 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 20:21:45 ID:VOa6JZNK
ツンデレを除けばルイズもリルカも似た者同士だね
俺は断然後者の方がsゲフンゲフン

954 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 20:21:52 ID:wp2CauSo
>>952
そこはそれ、ガンダ補正による暴走の抑止やテファ辺りにマリナ喚んでもらえば。

955 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 20:26:29 ID:8GyOh/+a
>>948
エンディングのT260Gの独白には感動で鳥肌たった

956 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 20:38:18 ID:p9IuJ5AG
>>955
ゲンさんに叩かれてHQに消されかけてた命令を思い出したときはもう……

そーいやブルーの人来ないかなぁ

957 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 20:44:03 ID:HjTTiUaw
>>955
あれはクるね
しかしヒューズ編では全く(ry

ヒューズがリージョン間誘拐事件あたりで来てくれないかしら
ミョズ=モンドあたりで

958 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 21:23:36 ID:hv1FwO9U
>>901
>>846みたいな浅い考えをスレ住人のスタンダードにしないで欲しいものだ。

959 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 21:43:33 ID:X8as8U1K
漫画サロンにあるヘルシングとクロスしてるスレはなんか凄いなあ…
絵描きのみならず、エロ絵描きやエロ文書きまでいるなんて…

960 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 21:46:13 ID:MGLkKEVe
>>784
他所の星でエイリアンと戦ってるの見たような記憶があるけど

961 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 21:47:07 ID:azRNjenz
まぁここにはエロ作家はイラン
そういうのがすきなのはエロパロ行けばよろし

962 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 21:56:17 ID:CuSlf48Y
>>961
そういう言い方すると
『ゼロ使単体でのエロはもう十分だ!俺はここのネタでヤりたいんだ!』
とか言ってくる悪寒
こういうとこのネタとかはあっちじゃ多分断られるだろうしな

ぶっちゃけいらないのは同意、考えるんだったらせめて避難所で

963 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 22:02:29 ID:YKfiq/SW
>>960
どこでも弱るとは限らない。
「赤い太陽(赤色巨星とは関係ない)」と呼ばれる種類の恒星の放射線を浴びると能力が常人並みになる。
太陽系の太陽は「黄色の太陽」でこっちの放射線を浴びると超人化する。

964 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 22:09:01 ID:MGLkKEVe
じゃー、ハルキゲニアの太陽が黄色い太陽なら大丈夫なんだ

965 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 22:09:38 ID:bMWx+PFp
ume

966 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 22:12:17 ID:jgF259+U
埋め代わりに小ネタ投下するぜ



967 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 22:14:34 ID:jgF259+U
舞台はアルビオン、そこでは今まさにルイズとワルドの結婚式が行われようとしていた。

ワルド 「ルイズ、僕は聖地を手に入れる! 
      その為には君の力、君の使い魔の力が必要なんだ。」
ルイズ 「ふざけないでワルド!! 誰が貴方なんかと……」
スイフリー「私はそちら側に付く事にやぶさかではないよ。」

ワ・ル・キ・ギ「「「「ヘっ!?」」」」

スイフリー「それでどの程度の見返りを用意してくれるんだ?」
キュルケ「あ、貴方正気なの?知り合いを裏切るつもりなの!?」
ギーシュ「ここで彼を倒してルイズを守れば、姫様からそれなりの報酬が……」
スイフリー「甘いな、はとこの子のそのまた従兄弟の遠い親戚よ。
        不正は取り締まっても金にはならない。
        見逃してこそお金になるのだ!」
タバサ「ダークエルフの処世術講座。」

ワルド「……悪いがさっきの話はなしだ。
     貴様のような奴を野放しにしておくわけにはいかない!!」

タバサ「ご破算になったけどいいの?」
スイフリー「ああ、どうせ奴に着いて行くつもりは無かったし。」


ソードワールドより、付け耳白粉エルフのスイフリー召喚

968 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 22:20:18 ID:vhhoduWj
>>967さん乙。

吹いた。
いや、ハルキゲニアにエルフは…付け耳だからいいか。

969 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 22:23:02 ID:FJc5ft+q
>>967乙ー

飲んでたグァバ茶かえせ。
…でもスイフリーだと真面目にこういうことやりそうだから油断ならんw。

970 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 22:28:31 ID:ML83pA+F
>>967

ちょっと待てw
悪役の筈のワルドが、悪に立ち向かう騎士に変わってるw
流石白いダークエルフ

971 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 22:41:13 ID:jgF259+U
500kbなら『へっぽこ冒険者と虚無の魔法使い』が再開
新キャラでスイフリーが登場


972 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 22:43:51 ID:ML83pA+F
>>971

なるほど、つまりミョズニトニルンがスイフリーw
ってヒースぢゃ絶対勝てネーーーーー!


973 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 22:49:15 ID:fM+VFSnB
ソードワールドのキャラが召喚されましたスレのことも、思い出してやってくれ
なさい

ジョゼフとスイフリー、邪悪天才同士で相性は悪くないな。以前から召喚が期待されているキャラの一人なんだが、
やっぱり書くのは難しいのかなあ

974 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 23:07:37 ID:ZGe4C8yv
                    |\ || /|    >>1
      __,-‐ァ, -‐- 、 l==|==!
r、__ , --イ-=- '</ 从l iハヽ、|/ || \| <なぎはらえー
\〈三三wwヽ / ゝ パヮ゚ノ|}// ̄ ̄
_ r、,、  |,、/Yソl  ゝ) )水Y /==
〈V〈ノ   /ミ!;;|  (ゝイノ、/ ニニ=
. }  )   !三|;;;;|/─''´、,、<`ヽ\
/ノ、〈ヽ {二,|/ ̄/Y/ || \>-‐'´
´  \`T  / ̄l´ /─'' ̄ヾ二

975 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 23:07:57 ID:ZGe4C8yv
>>1
なぎはらえー
                    _ ィ'   __    Ο____
          , ―――r/   L/     \   |l\:::ll ll:::/|
ト、     ,. ―┬' ャtァ-  " ∠ / ネ//  l l l lハ, |lニニニニニニニ!
ヽ,\_,,∠-―く   __     z‐く  リ尤V尤カ |ヽヽ|l/:::ll ll:::\|
  ヽ, ←――‐X爻xxxY   乙  ≧/人 t ┐ノ h / ̄ ̄ ̄ ̄
    \「 ̄ ̄|   /入,,∨|  (,_人 (えハ圦  ソ/∠__
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)'ヘ/"リ1       /___/xx.ハ  ( |Σ_ィ| . !!V::ソ/∠___
ヽ   {7.       /__lxXX∧ _≧_:::/λ >' ---- ――
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 リ  リ 、     |   |]>' _ - 7// ∧ l \ ヽ   \/
ノ、∧ く\ __,,7ー∠,,__  ,〃 :l /: ',|_\V -‐┬

976 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 23:08:04 ID:ML83pA+F
>967

まとめにはどういうタイトルで入れたらいいのかな?
「処世術講座」とか?

977 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/03/25(火) 23:08:24 ID:ZGe4C8yv
                               なぎはらえー     |:|\\:::::||.:.||::::://|    /イ
                                              |:l\\\||.:.|l///|  .///
                         __ ィ   ,. -――- 、     |:|:二二二二二二二 !// /
                        /    /          \.   |:l///||.:.|l\\\|/  /
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / ./  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\l    /
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―   `ー /  l从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄    |                  イ
  ヽ \__∠ -――く  __       .Z¨¨\   N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\|       / /     |                / !
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐  . \   / /         \           /   l
.    \\_____ivvvvvvvv|   V.    (  (  /Tえハフ{  V   ‐一 '´ /     __. -―=-`      /  / l  l
       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧  ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ /        /   / l.  l
 __  |\       l/V  _{_____/x|    (_|::::__ノ   }ィ介ーヘ  /  ,.-‐ ' ´           /       ____  ̄ ̄フ ∧  l
  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___           {     /      `<  /  \|
  {  V  /`7.         /___./xXハ    ( |:::::::::::::::::ハ   >' ____ 二二二二二二>   /   __    〈
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    |   ヽ        /____|]]∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、       /       \_____/    /
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   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|] >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/                 /
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 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V       ヽ       \    ,.  '´
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_     \_      ` <
        \  `' ┴ヘ     {    .レ__r‐|ィ‐┬、lレ' |    /  ノ`y‐一'  >、_/   / ̄ 7丶、_   丶
         \    ヽ   /`ー「と_し^´ |  |    }  ム-‐'  /     /    \_/  /  /  ヘ    \
           ヽ   _>-ヶ--∧_}   ノ  j   /` 7 ̄ ̄ ̄{      (         ̄ ̄`ー‐^ーく_〉  .ト、_>
            ', /     人__/   .ィ  {__ノ`ー'    ヽ    人     \__              {  }  |
            V     人__/  / | /           ̄{ ̄  >‐ ァ-、    \             〉ー}  j
                {  / ./  ∨      __      ̄ ̄ >-</  / ̄ ̄         廴ノ  '
      <ヽ__      /し /        < )__ \   _r‐く___/  /    < ) \     {__ノ /
        Y__>一'    /         ___r―、_\ >'   `ー' ,.  ´       >.、 \__ノ    {
     ∠二)―、       `ー‐┐    ∠ ∠_r‐--―      <__       ∠ )__          \_
       ∠)__ノ ̄`‐⌒ヽ__|>      ∠)__r―――-― ..__{>        ∠_廴,. ⌒ー'  ̄ \__{>

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